(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなロール・ツー・ロール方式で色素増感太陽電池を生産する場合には、接着剤、封止剤、導通ペーストなどを設置する必要がある。これら接着剤、封止剤、導通ペースト等は、大半の場合において粘性体である場合が多く、グラビア印刷(塗布用のロール版に液を絡ませ塗る)、ダイコーター(大きなヘッドに穴を開けて突出)等で塗布されている。この場合には、複数種類の粘性体を細く基材上に塗布しようとすると、先行して塗布された粘性体を粘性体供給装置のヘッドで擦ってしまうという問題があった。
【0006】
塗布方法としては、圧力式、スクリュー式、及びモーノ式等のディスペンサを用いる方法も知られているが、ロール・ツー・ロール方式で用いる場合には、フィルムの反りなどで精密に粘性体の塗布量を制御することが難しい。反りを解消するためには、フィルムに対して大きなテンションを付与しつつ、フィルムを基台に密着させるといったフィルムの平面性を担保する複雑な構成となる。そのため、簡単な構造で綺麗にディスペンスできるものが求められており、その点で改善の余地があった。
【0007】
また、一般的にロール・ツー・ロール方式でフィルムを搬送する場合には、搬送速度、フィルム材質、装置構成にもよるが、フィルムのばたつきが発生し易くなっている。このようなばたつきを防ぐために、フィルムを搬送ロールに抱かせる(例えば、90°以上折り曲げるよう巻き掛ける)ことが行われるが、搬送ロールに抱かせてもフィルムを単独で搬送する距離、すなわち搬送ロール同士の離間が長くなると、その効果は小さくなり、またばたつきが生じて綺麗にディスペンスできないおそれがある。
一方で、フィルムを巻き掛ける搬送ロール同士の離間を小さくすると、これら搬送ロール間に複数のディスペンサを配置することが困難になるという問題があった。
【0008】
また、上述したように、フィルムを搬送ロールに抱かせる場合には、ディスペンサ等を粘性体が設置されたフィルムの表面に接触又は近接させることができないため、ディスペンサ等の位置が制限されるという課題があった。
【0009】
さらに、色素増感太陽電池の場合には、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電層含む基材(フィルム)としているので、導電性が低下することから、フィルムに長さ方向に大きな張力を付与することができないという問題もあった。
【0010】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、かつフィルムが負担する張力の増大を抑えて、綺麗にディスペンスすることができる粘性体供給装置、及び色素増感太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る粘性体供給装置は、連続的に搬送されるフィルムの一方の第1表面に粘性体を供給するディスペンサ部を備えた粘性体供給装置であって、
前記ディスペンサ部は、前記フィルムの第1表面側に搬送方向に沿って連続的に配置され、前記フィルムの他方の第2表面側において、前記フィルムの搬送方向に沿って複数の搬送ロールが配列されており、
前記複数の搬送ロールは、少なくとも前記複数のディスペンサ部に対向する配列範囲に設けられ、前記配列範囲に設けられる前記複数の搬送ロールは、前記搬送ロールのロール軸方向から見て、ロール軸同士を結ぶ線が前記ディスペンサ部側に向けて突となる
一定の曲率の凸曲線を形成してなることを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る色素増感太陽電池の製造方法は、上述した粘性体供給装置を用いた色素増感太陽電池の製造方法であって、前記凸曲線を形成した前記複数の搬送ロールに沿って前記フィルムを搬送させる工程と、前記ディスペンサ部の吐出部より封止剤、配線用ペースト、及び電解液のうち少なくとも一つの粘性体を吐出させて、前記フィルムの前記第1表面に供給する工程と、前記粘性体が供給された前記フィルムの前記第1表面に対して、別のフィルムを対向させて貼り合せる工程と、を有することを特徴としている。
【0013】
本発明では、前記配列範囲に設けられる複数の搬送ロールが、それらのロール軸同士を結ぶ曲線が略円弧状の凸曲線となるように配置され、搬送されるフィルムが凸曲線を形成する複数の搬送ロールに巻き掛けられた状態となり、この配列範囲においてフィルムが凸曲線を描くようにして搬送される。つまり、フィルムは、凸曲線を形成する複数の搬送ロールによって抱かれた状態となり、これら搬送ロール側に向けて押し付ける押圧力が付与されるため、この複数の搬送ロールを通過するフィルムにおける搬送ロールに対する近接離反する方向のばたつきを押えることができる。そのため、ディスペンサ部とフィルムとの距離を安定させることができ、フィルムに塗布される粘性体の量を一定に、かつ精度よく供給することができることから、ディスペンサ部によってフィルムの第1表面に粘性体を綺麗に塗布することができる。
【0014】
しかも、フィルムを複数の搬送ロールに巻き掛けることによって前記押圧力を得ることができるので、フィルムの長さ方向に大きな張力を付与させる必要がなくなる。そのため、例えば色素増感太陽電池の場合において、大きな張力を付与することによる導電性基材の導電性の低下を防止することができる。
また、本発明では、複数の搬送ロールを前記凸曲線となるように配置するといった簡単な構成により、上述したようなフィルムのばたつきを防止することができ、従来のような平板の板面にフィルムを密着させるような複雑な構成にすることをなくすことが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る粘性体供給装置では、前記複数の搬送ロールは、搬送される前記フィルム
の前記第1表面を上に向けた状態で、前記フィルムの第2表面側に位置するように設けられていてもよい。
【0016】
この場合には、フィルムに作用する前記押圧力に対してさらにフィルムの重力が加わることから、配列範囲の凸曲線をなす複数の搬送ロールにフィルムが効果的に巻き掛けられ、搬送されるフィルムのばたつきをより確実に押えることができる。
【0017】
また、本発明に係る粘性体供給装置では、前記ディスペンサ部の吐出部は、前記フィルムを挟んで前記搬送ロールに対向する位置に設けられていることが好ましい。
【0018】
この場合には、ディスペンサ部の吐出部と搬送ロール上に位置するフィルムの第1表面との距離が最も安定する位置において、当該第1表面に対してディスペンサ部の吐出部から粘性体を供給することができる。そのため、フィルムの第1表面に塗布される粘性体の量や精度の安定性が増し、塗布状態をより一層向上させることができる。
【0019】
また、本発明に係る粘性体供給装置では、前記配列範囲は、前記複数の搬送ロールの全体にわたる範囲であることが好ましい。
【0020】
この場合には、配列される複数の搬送ロールの全域にわたってフィルムを凸曲線状に巻き掛けることができる。つまり、ディスペンサ部によって粘性体が吐出される範囲のフィルム全体の押圧力が複数の搬送ロールに対して均等に作用し、当該範囲におけるフィルムのばたつきが押えられるため、ディスペンサ部によって粘性体を綺麗に塗布することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の粘性体供給装置、及び色素増感太陽電池の製造方法によれば、簡単な構造で、かつフィルムが負担する張力の増大を抑えて、綺麗にディスペンスすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態による粘性体供給装置、及び色素増感太陽電池の製造方法について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率、電池の構成・構造等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更できる。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態による粘性体供給装置10は、フィルム型の色素増感太陽電池1を製造する際に用いられる製造装置の一部であって、後述する封止剤、配線、電解液等の粘性体を塗布するためのディスペンサ部11を備えている。すなわち、色素増感太陽電池の製造工程のうち、封止剤、配線、電解液を基板に塗布する工程に関する部分を対象としている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、色素増感太陽電池1は、第1表面2aの互いに異なる領域に第1電極4、封止剤5及び配線6が形成された第1基板2(フィルム)と、板面3aに第2電極7が形成された第2基板3(別のフィルム)と、を備えている。
【0026】
第1基板2は、第1電極4、封止剤5及び配線6の基台となる部材である。第1基板2は、ロール・ツー・ロール方式等での太陽電池の連続生産に適用できる適度な柔軟性を有し、大面積フィルム状に形成可能な材質であれば特に限定されない。このような材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等の透明の樹脂材料が挙げられる。
【0027】
第1基板2の第1表面2aには、スパッタリング法や印刷法により、透明導電膜21が成膜されている。透明導電膜21には、例えば、酸化スズ(ITO)、酸化亜鉛等が用いられる。
【0028】
透明導電膜21の上には、複数の半導体層22が積層されている。半導体層22は、透明導電膜21とともに第1電極4を構成するものである。半導体層22は、例えば、増感色素から電子を受け取り輸送する機能を有する金属酸化物からなる。このような金属酸化物としては、例えば、酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO
2)、等が挙げられる。
【0029】
半導体層22には、不図示の増感色素が担持されている。増感色素は、有機色素または金属錯体色素で構成されている。有機色素として、例えば、クマリン系、ポリエン系、シアニン系、ヘミシアニン系、チオフェン系、等の各種有機色素を用いることができる。金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム錯体等、が好適に用いられる。
【0030】
透明導電膜21の上には、半導体層22同士の間に、封止剤5を介して配線6が設けられている。なお、色素増感太陽電池1の配線パターンとして配線6が不要な箇所では、半導体層22同士の間には封止剤5のみが設けられている。
配線6は、例えば銅等の導電材、或いは前記導電材を含むペーストである。
封止剤5は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂の樹脂を少なくとも一種含んだ樹脂材料が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0031】
第2基板3は、第1基板2と同様に透明の樹脂材料等から構成されている。
第2基板3の板面3aには、スパッタリング法や印刷法により、第2電極7が成膜されている。第2電極7には、例えば、酸化スズ(ITO)、プラチナ、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、カーボン等が用いられるが、特にこれらに限定されることはない。
また、第1電極4の透明導電膜21及び第2電極7が成膜する部分は、絶縁処理をする部分でもあることから、非連続で成膜されていていても構わない。
【0032】
なお、半導体層22と第2電極7との間に隙間が生じている際には、その隙間に電解液が充填されていてもよい。電解液としては、例えば、アセトニトリル、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムまたはヨウ化ブチルメチルイミダゾリウム等のイオン液体などの液体成分に、ヨウ化リチウム等の支持電解質とヨウ素とが混合された溶液(プロピオニトリル等の非水系溶剤)等の液体が挙げられるが、特にこれらに限定されることはない。
なお、電解液は、例えば、真空注入、ODF工法(液晶滴下工法)等により充填することができる。
【0033】
色素増感太陽電池1のセルCは、半導体層22と、半導体層22を挟んで対向する第1電極4と第2電極7とから構成されてなる。
【0034】
色素増感太陽電池1は、
図4に示すように、第1表面2aの異なる領域に第1電極4、封止剤5及び配線6が形成された第1基板2と、板面3aに第2電極7が形成された第2基板3と、それぞれを分離した状態から互いに貼り合わせて製造される。
【0035】
図1に示すように、本実施の形態の粘性体供給装置10を含む製造装置は、ロール・ツー・ロール方式を用いた装置であって、第1基板2の巻き出し部12、粘性体供給装置10、貼り合せ部(図示省略)、および巻き取り部16が第1基板2(フィルム)の搬送方向(矢印E方向)の上流側から下流側の順で備えられている。つまり、製造装置では、第1基板2を連続的に搬送させつつ各部の作業工程を実施することで、色素増感太陽電池1を製造するものである。
【0036】
粘性体供給装置10は、ロール・ツー・ロール方式を用いて一方向に沿って連続的に搬送される第1基板2の第1表面2aに粘性体(例えば、封止剤5、配線6用のペースト(材料)、又は電解液(不図示))を供給する複数のディスペンサ部11を備えている。粘性体供給装置10は、第1基板2の他方の第2表面2b側において、第1基板2の搬送方向Eに沿って複数の搬送ロール15、15、…が配列されている。
【0037】
複数の搬送ロール15、15、…は、搬送方向Eで上流側に位置する上流側ロール13と、下流側に位置する下流側ロール14と、の間に配列されている。これらのロール13、14、15は、すべて搬送される第1基板2の裏面(第2表面2b)側に配置されている。
ディスペンサ部11は、第1基板2の第1表面2a側に配置されている。さらに具体的にディスペンサ部11は、吐出部11aが第1基板2を挟んで各搬送ロール15に対向する位置に設けられ、各搬送ロール15のロール軸O方向に複数(例えば、1〜30個)設けられている。ここで、ディスペンサ部11の吐出部11aは、第1基板2との間に僅かな隙間をあけて配置されている。また、ディスペンサ部11の数量は、ロール軸O方向に1つであっても良い。
【0038】
上流側ロール13、下流側ロール14、及び搬送ロール15は、それぞれロール軸Oを中心にして回転自在であり、それぞれがロール軸Oを平行にして配置されている。
複数の搬送ロール15、15、…は、搬送ロール15のロール軸O方向から見て、これら複数の搬送ロール15、15、…のすべてが配列される配列範囲Tにおいて、この配列範囲Tに設けられる複数の搬送ロール15、15、…のロール軸O同士を連続して結ぶ曲線がディスペンサ部11側に向けて突となる円弧状の凸曲線Rを形成している。なお、本実施の形態では、上流側ロール13及び下流側ロール14も前記配列範囲Tに含まれている。
このように配置される配列範囲Tにある複数の搬送ロール15、15、…は、凸曲線Rの曲率が例えば直径φ80mmの以上の凸曲線を呈するように設定される。
【0039】
第1基板2は、配列範囲Tに設けられる複数の搬送ロール15、15、…に巻き掛けられ、所定の押圧力(
図1に示す符号F)をもってこれら複数の搬送ロール15、15、…に押し付けられている。
【0040】
このように構成される粘性体供給装置10を用いて色素増感太陽電池1を製造する方法として、
図1に示すように、凸曲線Rを形成した複数の搬送ロール15、15、…に沿って第1基板2を搬送させる工程と、ディスペンサ部11の吐出部11aより封止剤、配線用ペースト、及び電解液のうち少なくとも一つの粘性体を吐出させて、第1基板2の第1表面2aに供給する工程と、
図4に示すように、粘性体が供給された第1基板2の第1表面2aに対して、別の基板(第2基板3)を対向させて貼り合せる工程と、を有している。
そしてこれらの作業工程は、
図1に示すように、上述した製造装置の搬送方向Eの始点側の巻き出し部12から連続的に繰り出された第1基板2の搬送に伴って、上述した工程を色素増感太陽電池1として製造され、終点側の巻き取り部16とによって巻き取られるロール・ツー・ロール方式による連続的な製造工程となる。
【0041】
次に、上述した粘性体供給装置、及び色素増感型太陽電池の製造方法の作用について、図面を用いて詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態では、配列範囲Tに設けられる複数の搬送ロール15、15、…が、それらのロール軸O同士を結ぶ曲線が凸曲線状の凸曲線Rとなるように配置され、搬送される第1基板2が凸曲線Rを形成する複数の搬送ロール15、15、…に巻き掛けられた状態となり、この配列範囲Tにおいて第1基板2が凸曲線を描くようにして搬送される。つまり、第1基板2は、凸曲線Rを形成する複数の搬送ロール15、15、…によって抱かれた状態となり、これら搬送ロール15、15、…側に向けて押し付ける押圧力Fが付与されるため、この複数の搬送ロール15、15、…を通過する第1基板2における搬送ロール15、15、…に対する近接離反する方向のばたつきを押えることができる。
そのため、ディスペンサ部11と第1基板2との距離を安定させることができ、第1基板2に塗布される粘性体の量を一定に、かつ精度よく供給することができることから、ディスペンサ部11によって第1基板2の第1表面2aに粘性体を綺麗に塗布することができる。
【0042】
しかも、第1基板2を複数の搬送ロール15、15、…に巻き掛けることによって前記押圧力を得ることができるので、第1基板2の長さ方向に大きな張力を付与させる必要がなくなる。そのため、本実施の形態のような色素増感太陽電池1を製造する場合において、大きな張力を付与することによる導電基材の導電性の低下を防止することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、複数の搬送ロール15、15、…を前記凸曲線Rとなるように配置するといった簡単な構成により、上述したような第1基板2のばたつきを防止することができ、従来のように平板の板面に第1基板2を密着させるような複雑な構成にすることをなくすことが可能となる。
【0044】
さらに、本実施の形態では、複数の搬送ロール15、15、…が搬送される第1基板2の下側に設けられているので、第1基板2に作用する前記押圧力に対してさらに第1基板2の重力が加わることから、配列範囲Tの凸曲線Rをなす複数の搬送ロール15、15、…に第1基板2が効果的に巻き掛けられるので、搬送される第1基板2のばたつきをより確実に押えることができる。
【0045】
さらにまた、本実施の形態では、ディスペンサ部11の吐出部11aが第1基板2を挟んで搬送ロール15に対向する位置に設けられていることから、ディスペンサ部11の吐出部11aと搬送ロール15上に位置する第1基板2の第1表面2aとの距離が最も安定する位置において、当該第1表面2aに対してディスペンサ部11の吐出部11aから粘性体を供給することができる。そのため、第1基板2の第1表面2aに塗布される粘性体の量や精度の安定性が増し、塗布状態をより一層向上させることができる。
【0046】
さらに、本実施の形態は、配列範囲Tが複数の搬送ロール15、15、…の全体にわたる範囲であるので、配列される複数の搬送ロール15、15、…の全域にわたって第1基板2を凸曲線状に巻き掛けることができる。つまり、ディスペンサ部11によって粘性体が吐出される範囲の第1基板2全体の押圧力が複数の搬送ロール15、15、…に対して均等に作用し、当該範囲における第1基板2のばたつきが押えられるため、ディスペンサ部11によって粘性体を綺麗に塗布することができる。
【0047】
上述のように本実施の形態による粘性体供給装置、及び色素増感型太陽電池では、簡単な構造で、かつ第1基板2が負担する張力の増大を抑えて、綺麗にディスペンスすることができる。
【0048】
以上、本発明による粘性体供給装置、及び色素増感型太陽電池の製造方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の本実施の形態では、複数の搬送ロール15を第1基板2の下側に配列されているが、この位置に限定されることはない。つまり、複数の搬送ロール15、15、…は、全体的に横方向(略水平方向)に向けて配列されているが、これに限定されることはなく、ロール軸O同士を結ぶ曲線がディスペンサ部側に向けて突となる凸曲線を形成していれば良いのであって、全体的に縦方向(上下方向)に配列されていてもかまわない。
【0049】
さらに、上述した凸曲線の形状は、全体に亘って一定の曲率であってもよいし、途中で曲率が変化してもよい。例えば、配列範囲Tの凸曲線Rにおいて、搬送方向Eの中央部分の曲率が両端側部分(中央部分の上流側部分および下流側部分)の曲率よりも小さくなるような凸曲線形状であってもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、ディスペンサ部11の吐出部11aが第1基板2を挟んで搬送ロール15に対向する位置に設けられているが、この位置であることに制限されることはなく、搬送方向Eに隣接する搬送ロール15、15同士の間の第1基板2の第1表面2aに対向する位置にディスペンサ部11の吐出部11aが配置されていてもよい。
【0051】
さらに、凸曲線Rが形成される搬送ロール15の配列範囲Tは、配置される全ての搬送ロール15を含む範囲としているが、部分的な範囲であってもかまわない。
【0052】
また、搬送ロール15の外径、配置数量、向き(ロール軸Oの向き)等の構成については、製造する色素増感太陽電池の形状、積層構造、ディスペンサ部の数量等の条件に合わせて適宜変更可能である。
【0053】
さらに、粘性体としては、本実施の形態で例えば、封止剤5、配線6用のペーストや電解液などを含むものを対象としているが、これらに限定されることはない。例えば、色素溶液や、水のような極めて粘性の小さな液体であっても、本発明の粘性体の適用対象とすることができる。
【0054】
さらにまた、本実施の形態では、ロール・ツー・ロール方式による連続的な製造を適用対象としているが、これに制限されることはなく、例えば途中に裁断機を設置したロール・ツー・シート方式による製造を適用対象とすることも可能である。
【0055】
また、上述した実施の形態では、説明上、単純な電池構造で示したが、電池の構成・構造はこれに限定されるものではない。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。