(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁室を有する弁ハウジングと、前記弁室内に回転自在に配在された弁体と、該弁体を回転させるためのステッピングモータとを備え、前記弁ハウジングに、高圧導入ポート、第1、第2、第3、及び第4ポートが開口せしめられた弁座が設けられ、該弁座に、前記第1、第2、及び第3ポート間の連通状態を切り換えるとともに前記第4ポートを開閉すべく前記弁体が回転摺動自在に対接せしめられており、
前記ステッピングモータへの通電に応じて、前記弁体が回動して、前記第2ポートと前記第3ポートを連通させ、前記第1ポートを開き、前記第4ポートを閉じる第1回転位置と、前記第1ポートと前記第2ポートを連通させ、前記第3ポートを開き、前記第4ポートを閉じる第2回転位置とをとるとともに、前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の中間位置では、前記第4ポートを開くようにされていることを特徴とする電動弁。
前記弁体における前記弁座との対向面に、前記第1回転位置において前記第2ポートと前記第3ポートを連通させ、前記第2回転位置において前記第1ポートと前記第2ポートを連通させる環状シール面が設けられるとともに、前記第1回転位置おいて前記第4ポートを閉じる第1凸状シール面、前記第2回転位置において前記第4ポートを閉じる第2凸状シール面が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動弁。
前記弁体における前記弁座との対向面に、前記第1回転位置において前記高圧導入ポートと前記第1ポートの間の流路面積を確保し、前記第2回転位置において前記高圧導入ポートと前記第3ポートの間の流路面積を確保する凹溝が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電動弁。
前記弁座に、前記第1、第2、及び第3ポートが同心円上で開口せしめられ、前記高圧導入ポートが中心線上に開口せしめられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電動弁。
前記弁体には、前記ステッピングモータを構成するロータに連結された弁軸が中心線方向に摺動自在かつ前記弁体と一体に回転可能に嵌挿されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電動弁。
冷房運転、暖房運転、及び冷媒を冷房運転時と同方向に流す除霜運転を選択的に行えるようにされたヒートポンプ式冷暖房システムに使用される、冷媒流れ方向を切り換えるための四方切換弁であって、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電動弁をパイロット弁として備えるとともに、主弁室、該主弁室に配在された主弁体、及び、該主弁体を可動させるための、高圧冷媒が選択的に導入・排出される容積可変の第1作動室と第2作動室を有する四方弁本体を備え、
前記主弁室に、圧縮機の吐出側に接続される吐出側高圧ポート、室外熱交換器に接続される室外側入出ポート、前記圧縮機の吸入側に接続される吸入側低圧ポート、及び室内熱交換器に接続される室内側入出ポートが開口せしめられ、前記第1作動室及び前記第2作動室への高圧冷媒の導入・排出を制御して前記主弁体を前記主弁室内で可動させることにより、前記室外側入出ポートを開きかつ前記吸入側低圧ポートと前記室内側入出ポートとを連通させる冷房位置と、前記室内側入出ポートを開きかつ前記吸入側低圧ポートと前記室外側入出ポートとを連通させる暖房位置とが選択的にとられ、それによって、冷房又は除霜運転から暖房運転へ、及び、暖房運転から冷房又は除霜運転へ切り換えられるようにされ、
前記電動弁における前記高圧導入ポートが前記吐出側高圧ポートに、前記第1ポートが前記第1作動室に、前記第2ポートが前記吸入側低圧ポートに、前記第3ポートが前記第2作動室にそれぞれ接続されるとともに、前記第4ポートが前記吸入側低圧ポートに接続され、
除霜運転から暖房運転に切り換える際、及び、暖房運転から除霜運転に切り換える際に、前記電動弁の前記弁体に前記第4ポートを開く中間位置をとらせて前記主弁室の圧力を所定圧まで低下させ得るように構成されていることを特徴とする四方切換弁。
冷房運転、暖房運転、及び冷媒を冷房運転時と同方向に流す除霜運転を選択的に行えるようにされたヒートポンプ式冷暖房システムに使用される、冷媒流れ方向を切り換えるためのスライド式の四方切換弁であって、
請求項1から6のいずれかに記載の電動弁をパイロット弁として備えるとともに、シリンダ型の四方弁本体を備え、
該四方弁本体に、一端側から順次、第1作動室、第1ピストン、主弁室、第2ピストン、第2作動室が配在され、前記主弁室に、圧縮機の吐出側に接続される吐出側高圧ポートが設けられるとともに、主弁座が設けられ、該主弁座の弁シート面に、一端側から順次、室外熱交換器に接続される室外側入出ポート、前記圧縮機の吸入側に接続される吸入側低圧ポート、及び室内熱交換器に接続される室内側入出ポートが開口せしめられるとともに、前記室外側入出ポートを開きかつ前記吸入側低圧ポートと前記室内側入出ポートとを連通させる冷房位置と、前記室内側入出ポートを開きかつ前記吸入側低圧ポートと前記室外側入出ポートとを連通させる暖房位置とを選択的にとり得る断面逆立椀形状の主弁体が摺動自在に対接せしめられ、
前記電動弁における前記高圧導入ポートが前記吐出側高圧ポートに、前記第1ポートが前記第1作動室に、前記第2ポートが前記吸入側低圧ポートに、前記第3ポートが前記第2作動室にそれぞれ接続されるとともに、前記第4ポートが前記吸入側低圧ポートに接続され、
除霜運転から暖房運転に切り換える際、及び、暖房運転から除霜運転に切り換える際に、前記電動弁の前記弁体に前記第4ポートを開く中間位置をとらせて前記主弁室の圧力を所定圧まで低下させ得るように構成されていることを特徴とする四方切換弁。
前記第1ピストンと前記第2ピストンとは、主連結体により一体移動可能に連結され、前記主連結体に、前記主弁体が前記第1及び第2ピストンの往復移動に伴って前記冷房位置と前記暖房位置との間を行き来するように連結、嵌合、もしくは係合せしめられていることを特徴とする請求項8に記載の四方切換弁。
前記四方切換弁の一端には、前記第1ピストンの一端方向への移動を阻止するストッパを兼ねる一端側蓋部材が固着され、前記四方切換弁の他端には、前記第2ピストンの他端方向への移動を阻止するストッパを兼ねる他端側蓋部材が固着されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の四方切換弁。
【背景技術】
【0002】
一般に、ルームエアコン、カーエアコン等のヒートポンプ式冷暖房システムは、圧縮機、室外熱交換器、室内熱交換器、及び膨張弁等に加えて、流路(流れ方向)切換手段としての四方切換弁を備えている。
【0003】
この四方切換弁を備えたヒートポンプ式冷暖房システムの一例を
図10を参照しながら簡単に説明する。図示例のヒートポンプ式冷暖房システム200は、冷房運転(及び除霜運転)と暖房運転との切り換えを流路切換弁としての四方切換弁240で行うようになっており、基本的には、圧縮機210、室外熱交換器220、室内熱交換器230、及び膨張弁260を備え、圧縮機210の吐出側と吸入側と、室外熱交換器220と、室内熱交換器230との間に4つのポート、すなわち、吐出側高圧ポートD、室外側入出ポートC、室内側入出ポートE、及び吸入側低圧ポートSを有する四方切換弁240が配在されている。
【0004】
前記各機器間は導管(パイプ)等で形成される流路で接続されており、冷房運転時には、
図10(A)に示される如くに、四方切換弁240の吐出側高圧ポートDが室外側入出ポートCに、また、室内側入出ポートEが吸入側低圧ポートSにそれぞれ連通せしめられる。これにより、冷媒が圧縮機210に吸入されるとともに、圧縮機210から高温高圧の冷媒が四方切換弁240を介して室外熱交換器220に導かれ、ここで室外空気と熱交換して凝縮し、高圧の二相冷媒となって膨張弁260に導入される。この膨張弁260により高圧の冷媒が減圧され、減圧された低圧の冷媒は、室内熱交換機230に導入され、ここで室内空気と熱交換(冷房)して蒸発し、室内熱交換機230からは低温低圧の冷媒が四方切換弁240を介して圧縮機210の吸入側に戻される。
【0005】
それに対し、暖房運転時には、
図10(B)に示される如くに、四方切換弁240の吐出側高圧ポートDが室内側入出ポートEに、また、室外側入出ポートCが吸入側低圧ポートSにそれぞれ連通せしめられ、圧縮機210から高温高圧の冷媒が室内熱交換機230に導かれ、ここで室内空気と熱交換(暖房)して凝縮し、高圧の二相冷媒となって膨張弁260に導入される。この膨張弁260により高圧の冷媒が減圧され、減圧された低圧の冷媒は、室外熱交換器220に導入され、ここで室外空気と熱交換して蒸発し、室外熱交換器220からは低温低圧の冷媒が四方切換弁240を介して圧縮機210の吸入側に戻される。
【0006】
この暖房運転中においては、従来より、必要に応じて(通常は定期的に)、室外熱交換器220に付着した霜を取り除く(溶かす)べく、一時的に、当該暖房運転時とは逆のサイクル、つまり冷房運転時と同じサイクルで冷媒を循環させて、室外熱交換器220を発熱させる除霜運転を行い、この除霜運転が終了すると、再び暖房運転に復帰させるようにされている。
【0007】
ところが、暖房運転から除霜運転への切り換え時(流路切り換え時)には、高圧冷媒が流れ込むポートが室内側入出ポートEから室外側入出ポートCへ切り換えられ、除霜運転から暖房運転への切り換え時には、高圧冷媒が流れ込むポートがその逆の室外側入出ポートCから室内側入出ポートEへ切り換えられる。そのため、該切り換え時には、両ポートの開口面積が急激に変化するとともに、高圧の冷媒が低圧側のポート(導管)に一気に流れ込み、当該システム200内において急激な圧力変動が発生し、大きな騒音(切換音)が発生するという問題がある。
【0008】
かかる騒音を低減すべく、従来においては、例えば特許文献1、2等に所載のように、上記運転への切り換え時に、圧縮機を停止させるか、あるいは圧縮機の周波数(回転数)を徐々に低下させて、高圧側と低圧側の圧力差を小さく(前記騒音が許容できる程度まで小さく)してから運転(流路)の切り換えを行うようにしている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る電動弁の一実施形態をパイロット弁として備えたスライド式の四方切換弁が組み込まれたヒートポンプ式冷暖房システムの冷房運転時(除霜運転時)を示す全体構成図、
図2は、
図1に示される四方切換弁の四方弁本体の冷房運転時(除霜運転時)を示す、部分平面図付き断面図、
図3は、
図1に示されるスライド式の四方切換弁が組み込まれたヒートポンプ式冷暖房システムの暖房運転時を示す全体構成図である。また、
図4は、
図1に示される四方切換弁のパイロット弁である、電動弁の冷房運転時(除霜運転時)を示す拡大断面図である。
【0022】
なお、本明細書において、上下、左右、前後等の位置、方向を表わす記述は、説明が煩瑣になるのを避けるために図面に従って便宜上付けたものであり、実際にヒートポンプ式冷暖房システムに組み込まれた状態での位置、方向を指すとは限らない。
【0023】
また、各図において、部材間に形成される隙間や部材間の離隔距離等は、発明の理解を容易にするため、また、作図上の便宜を図るため、各構成部材の寸法に比べて大きくあるいは小さく描かれている場合がある。
【0024】
図1に示されるヒートポンプ式冷暖房システム200は、圧縮機210、室外熱交換器220、室内熱交換器230、膨張弁260、及び本発明の第1実施形態のパイロット式の四方切換弁1を備えている。
【0025】
本第1実施形態の四方切換弁1は、スライド式のもので、基本的に、シリンダ型の四方弁本体10と、パイロット弁としての単一の電動弁50とを備えている。
【0026】
[四方弁本体10の構成]
四方弁本体10は、シリンダ部11を有し、このシリンダ部11に、左端側から順次、第1作動室31、第1ピストン21、主弁室12、第2ピストン22、及び第2作動室32が配在されている。前記第1及び第2ピストン21、22にはいずれにも、シリンダ部11を気密的に仕切るべく、シリンダ部11の内周面にその外周部が圧接するばね付きパッキンが取り付けられている。
【0027】
シリンダ部11の左端には、第1ピストン21の左方向への移動を阻止するストッパを兼ねる左端蓋部材11Aが気密的に固着され、シリンダ部11の右端には、第2ピストン22の右方向への移動を阻止するストッパを兼ねる右端蓋部材11Bが気密的に固着されている。
【0028】
前記主弁室12の上部には、圧縮機210の吐出側に導管を介して接続される、管継手からなる吐出側高圧ポートDが設けられている。前記主弁室12の下部には、その上面が弁シート面とされた主弁座14がろう付け等によりシリンダ部11に気密的に固着されている。
【0029】
前記主弁座14の弁シート面には、左端側から順次、室外熱交換器220に接続される、管継手からなる室外側入出ポートC、圧縮機210の吸入側に接続される、管継手からなる吸入側低圧ポートS、及び、室内熱交換器230に接続される、管継手からなる室内側入出ポートEが開口せしめられている。
【0030】
また、主弁座14の弁シート面には、レーストラック形の環状シール面を持つ断面逆立椀形状の主弁体15が摺動自在に対接せしめられている。
【0031】
前記主弁体15は、
図1、
図2に示される如くの、室外側入出ポートCを開きかつ吸入側低圧ポートSと室内側入出ポートEとを連通させる冷房位置(右端位置)と、
図3に示される如くの、室内側入出ポートEを開きかつ吸入側低圧ポートSと室外側入出ポートCとを連通させる暖房位置(左端位置)とを選択的にとり得るようにされている。
【0032】
主弁体15は、移動時以外はポートC、S、Eのうちのいずれか二つ(CとS、SとE)の真上に位置し、このときは主弁室12に導入された高圧の冷媒により下向きに押圧されて弁シート面に圧接せしめられている。
【0033】
第1ピストン21と第2ピストン22とは、
図2に平面図で示される如くの横長矩形板状の主連結体25により一体移動可能に連結されている。主連結体25には、主弁体15が下側から摺動自在に嵌合せしめられる角丸矩形の主開口25aが形成されており、主弁体15は、第1及び第2ピストン21、22の往復移動に伴って前記主連結体25の主開口25a部分に押動されて冷房位置(右端位置)と暖房位置(左端位置)との間を行き来するようにされている。
【0034】
また、主連結体25には、前記主開口25aの左右、すなわち、主弁体15が冷房位置(右端位置)をとるとき前記室外側入出ポートCの略真上に位置する部位に円形開口25bが形成されるとともに、主弁体15が暖房位置(左端位置)をとるとき前記室内側入出ポートEの略真上に位置する部位に円形開口25cが形成されている。
【0035】
[四方弁本体10の動作]
次に、上記した如くの構成を有する四方弁本体10の動作を説明する。
【0036】
主弁体15が暖房位置(左端位置)にあるときにおいて、後述する電動弁50を介して、第1作動室31を吐出側高圧ポートDに連通させるとともに、第2作動室32を吸入側低圧ポートSに連通させると、第1作動室31に高温高圧の冷媒が導入されるとともに、第2作動室32から高温高圧の冷媒が排出され、第1作動室31の圧力が第2作動室32の圧力より高くなり、
図1に示される如くに、第1、第2ピストン21、22及び主弁体15が右方向に移動して第2ピストン22が右端蓋部材11Bに接当係止され、主弁体15が冷房位置(右端位置)をとる。
【0037】
これにより、冷暖房システム200においては、冷房運転(除霜運転)が行われる(詳細は後述)。
【0038】
主弁体15が
図1に示される如くの冷房位置(右端位置)にあるときにおいて、後述する電動弁50を介して、第2作動室32を吐出側高圧ポートDに連通させるとともに、第1作動室31を吸入側低圧ポートSに連通させると、第2作動室32に高温高圧の冷媒が導入されるとともに、第1作動室31から高温高圧の冷媒が排出され、第2作動室32の圧力が第1作動室31の圧力より高くなり、第1、第2ピストン21、22及び主弁体15が左方向に移動して第1ピストン21が左端蓋部材11Aに接当係止され、主弁体15が暖房位置(左端位置)をとる。
【0039】
これにより、冷暖房システム200においては、暖房運転が行われる(詳細は後述)。
【0040】
[電動弁50の構成]
パイロット弁としての電動弁50は、
図4(及び、
図6)に拡大図示されているように、基本的に、高圧流体が導入導出される弁室60を有する弁ハウジング65と、弁室60に回転自在に配在された弁体70を有する弁軸75と、弁ハウジング65に固着された有蓋円筒状のキャン59と、弁室60内で弁体70を回転させるための、キャン59の内側に(所定の間隔をあけて)回転自在に配在されたロ−タ56とキャン59(の円筒状部分)に外嵌されたステータ55とで構成されるステッピングモータ58と、を備えている。
【0041】
前記キャン59は、その端部(右端部)が前記弁ハウジング65の左端外周に固定された鍔状部材66(に形成された段差部)に突き合わせ溶接により密封接合されている。また、ロータ56を回転駆動すべく前記キャン59に外嵌されたステータ55は、ヨーク51、ボビン52、ステータコイル53、及び樹脂モールドカバー54等から構成されており、前記ステータコイル53は、通電ケーブル53a、コネクタ部53b等を介して通電励磁される。
【0042】
ロータ56と弁軸75との間には、ロータ56の回転を利用して前記弁軸75を回転移動(前記弁軸を軸線(中心線O)回りで回転させながら軸線(中心線O)方向へ移動)させる駆動機構が設けられている。この駆動機構は、弁ハウジング65にその右端部が圧入固定されるとともに、弁軸75(の中間大径部75c)が摺動自在に内挿された筒状のガイドブッシュ76の外周に形成された固定ねじ部(雄ねじ部)77と、前記弁軸75及びガイドブッシュ76の外周に配在された右方開口の筒状の弁軸ホルダ78の内周に形成されて前記固定ねじ部77に螺合せしめられた可動ねじ部(雌ねじ部)79とからなるねじ送り機構80を含んで構成されている。
【0043】
詳細には、弁ハウジング65(の基体部61)に設けられた嵌合穴62に、筒状のガイドブッシュ76の右部大径部76aの右半部が圧入固定されている。ガイドブッシュ76における左部小径部76bの右半部の外周には、ねじ送り機構80の一方を構成する前記固定ねじ部77が形成されている。ガイドブッシュ76には、弁軸75の中間大径部75cが該弁軸75の右端小径部75dを弁室60側に突出させるようにして摺動自在に嵌挿されている。
【0044】
ロータ56の上部には、支持リング57が一体的に結合されるとともに、この支持リング57に、右側が開口した天井部78a付き円筒状の弁軸ホルダ78の左端突部がかしめ固定され、これにより、ロータ56、支持リング57及び弁軸ホルダ78が一体的に連結されている。
【0045】
弁軸ホルダ78の右部内周には、前記ガイドブッシュ76に形成された前記固定ねじ部77に螺合するねじ送り機構80の他方を構成する前記可動ねじ部79が形成されており、弁軸ホルダ78の左部には、ガイドブッシュ76の左部小径部76b(の左半部)が内挿されるとともに、弁軸ホルダ78の天井部78a中央に形成された通し穴78bに、弁軸75の左端小径部75aが挿通せしめられている。弁軸75の左端小径部75aの端部(通し穴78bから突出した部分)には、プッシュナット73が圧入固定されている。
【0046】
また、前記弁軸75は、該弁軸75の中間中径部75b(左端小径部75aと中間大径部75cの間の部分)に外挿され、かつ、弁軸ホルダ78の天井部78aと弁軸75における中間大径部75cの左端段丘面との間に縮装された圧縮コイルばね74によって、常時右方に付勢されている。この場合、前記圧縮コイルばね74は、その左端部がワッシャ等のばね受け部材74aを介して前記弁軸ホルダ78の天井部78aに係止されている。したがって、弁軸75は、その端部に圧入固定されたプッシュナット73を弁軸ホルダ78の天井部78aに押し付けた状態で弁軸ホルダ78に伴って移動せしめられる。
【0047】
弁軸ホルダ78の天井部78a上におけるプッシュナット73の外周側には、ねじ送り機構80を構成する固定ねじ部77と可動ねじ部79との螺合が外れたとき、再螺合し易くするためのコイルばねからなる復帰ばね72が配置されている。
【0048】
また、弁軸ホルダ78とガイドブッシュ76には、ロータ56(及び弁軸ホルダ78)がねじ送り機構80により所定位置まで回転しながら移動(右方へ移動)せしめられた際、それ以上の回転移動を阻止するためのストッパ機構85が設けられている。詳細には、弁軸ホルダ78の外周には、凸状の可動ストッパ84が右向きに突設された可動基体82が一体的に回転移動できるように固着され、ガイドブッシュ76の右部大径部76aの左半部外周には、前記可動ストッパ84が衝突して停止せしめられる凸状の固定ストッパ83が左向きに突設された固定受け台81が固着されており、可動ストッパ84と固定ストッパ83とで前記ストッパ機構85が構成されている。
【0049】
一方、弁ハウジング65は、前記嵌合穴62が設けられるとともに弁室60を画成すべく右端開口の円筒状空所63が形成された基体部61を有し、その基体部61の右端開口を気密的に封止するように、左面(弁室60側の表面)が平坦な弁シート面とされた(例えば金属製の)厚肉円板状の弁座(弁座部材)64が、溶接、ろう付け、かしめ等により固定されている。弁座64と基体部61とで囲まれる領域が弁室60となっている。
【0050】
この弁座64の弁シート面(左面)には、その中心部(中心線O上)に、前記した四方弁本体10の吐出側高圧ポートDに可撓性を有する高圧細管#10を介して接続される高圧導入ポートp10が開口せしめられており、弁室60には、高圧導入ポートp10に気密的に挿着された高圧細管#10を介して前記吐出側高圧ポートDから高温高圧の冷媒が導入されるようになっている。
【0051】
また、前記弁座64の弁シート面(左面)には、同心円上に、前記した四方弁本体10の第1作動室31に第1細管#1を介して接続される第1ポートp1、吸入側低圧ポートSに第2細管#2を介して接続される第2ポートp2、第2作動室32に第3細管#3を介して接続される第3ポートp3、吸入側低圧ポートSに第4細管#4を介して接続される第4ポートp4が開口せしめられている。ここでは、弁座64の弁シート面における中心線Oより下側に第2ポートp2が開口せしめられ、第2ポートp2の前後に所定の角度間隔(図示例では第2ポートp2から略45°の角度間隔)をあけて第1ポートp1及び第3ポートp3が開口せしめられ、中心線Oより上側に(つまり、中心線Oに対して第2ポートp2とは反対側であって、第2ポートp2から略180°の角度間隔をあけて)第4ポートp4が開口せしめられている(
図5(C)参照)。
【0052】
そして、弁座64の弁シート面には、第1、第2、及び第3ポートp1、p2、p3間の連通状態を切り換えるとともに第4ポートp4を開閉すべく、先端部(右端小径部75d)が弁室60に突出された前記弁軸75と一体に回転される弁体70が回転摺動自在に対接せしめられている。
【0053】
前記弁体70は、横倒し凸状の合成樹脂製の弁体部材69に、弁軸75の右端小径部75dが中心線O方向に摺動自在に嵌挿される嵌挿穴67aが設けられた金属製のインサート部材67がインサート成形されて作製されている。
【0054】
ここで、弁軸75の右端小径部75dの外周(図示例では、中心線Oに対して反対側となる2箇所)には、中心線O方向に延びる突条75eが設けられ、弁体70(のインサート部材67)における嵌挿穴67aには、前記突条75eが挿通される係合溝67bが設けられているので、前記弁軸75の回転に伴って前記突条75eが前記係合溝67bに係合することにより、弁体70が弁軸75(すなわち、ロータ56)とともに回転せしめられる(
図5(A)及び
図7(A)参照)。
【0055】
前記弁体70(の弁体部材69における弁座64との対向面(右面)71)には、
図5(B)及び
図7(B)を参照すればよくわかるように、弁座64の弁シート面に開口する3個のポートp1〜p3のうちの隣り合うポートp1−p2間、p2−p3間を連通させ得るような大きさの凹部71aを有する環状シール面71bが突設されるとともに、第4ポートp4を閉じ得るような大きさの2つの凸状シール面(第1凸状シール面71c、第2凸状シール面71d)が突設されている。図示例では、前記凹部71aないし環状シール面71bは、周方向に沿って湾曲したレーストラック形とされ、その周方向の長さは隣り合うポートp1−p2、p2−p3の間隔より若干長くされている(詳細は後述)。また、第1及び第2凸状シール面71c、71dは、第4ポートp4より若干大径の側面視略円形とされ、略60°の角度間隔をあけて配設されている。
【0056】
また、前記弁体70(の対向面71)には、中心部から環状シール面71bの両側方まで延びる(側面視くの字状の)凹溝71eが設けられている。この凹溝71eにより、右回転位置(除霜(冷房)運転時)において高圧導入ポートp10と第1ポートp1の間の流路面積(流量)を確保し、左回転位置(暖房運転時)において高圧導入ポートp10と第3ポートp3の間の流路面積(流量)を確保することができる(後で詳述)。
【0057】
そして、前記弁体70は、弁ハウジング65における弁室60(円筒状空所63)の天井面と弁体70における外周段差部(左向き段丘面)との間に縮装された圧縮コイルばね68によって、常時右方(弁座64側)に付勢されている。
【0058】
かかる構成とされた電動弁50にあっては、ステータコイル53に対する通電(パルス供給)制御を行うことにより、弁ハウジング65に固定されたガイドブッシュ76に対し、ロータ56及び弁軸ホルダ78が一体に回転せしめられ、ガイドブッシュ76の固定ねじ部77と弁軸ホルダ78の可動ねじ部79とのねじ送りにより、弁軸75が中心線O回りで回転しながら中心線O方向へ移動するが、弁軸75の先端部(右端小径部75d)は弁体70の嵌挿穴67aに摺動自在に嵌挿されており、弁体70自体は、圧縮コイルばね68によって弁座64に常時付勢されている(押圧されている)。そのため、弁体70は、弁座64に常時圧接せしめられたままで前記弁軸75(すなわち、ロータ56)と一体に回転せしめられるので、ロータ56の回転量(つまり、供給パルス数)を制御することより、第1、第2、及び第3ポートp1、p2、p3間の連通状態が切り換えられるとともに第4ポートp4が開閉される。
【0059】
なお、上記電動弁50は、不図示の取付具等を介して四方弁本体10の背面側等に取付けられる。
【0060】
次に、ステータコイル53への通電(パルス供給)状態と弁体70の動作・回転位置との関係を
図8を参照しながら説明する。
図8は、
図4及び
図6のV−V矢視線に従う、電動弁50の動作状態毎の各部の位置及び冷媒流れを示す要部拡大図である。なお、
図8(A)は
図5(B)に、
図8(D)は
図7(B)にそれぞれ対応している。
【0061】
図8(A)に示される状態(本例では、可動ストッパ84が固定ストッパ83と衝接し、弁軸ホルダ78及び弁軸75の右方向への移動が阻止された状態)では、
図4及び
図5にも示される如くに、弁体70の環状シール面71bの凹部71aが第2ポートp2及び第3ポートp3の真上に位置し(言い換えれば、環状シール面71bが第2ポートp2及び第3ポートp3を取り囲むように位置し)、第1凸状シール面71cが第4ポートp4の真上に位置し、凹溝71eが第1ポートp1及び高圧導入ポートp10上に位置するように、弁体70等の回転位置が設定されている。そのため、弁体70は、環状シール面71b(の凹部71a)により第2ポートp2と第3ポートp3を連通させるとともに第1ポートp1を開き、第1凸状シール面71cにより第4ポートp4を閉じる右回転位置(第1回転位置)がとられている。
【0062】
この状態において、ステータコイル53へ所定の態様で通電(パルス供給)すると、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、一方向(例えば反時計回り)に回転しながら
図4上で左方へ移動する。それに伴い、弁軸75に連れ回されて弁体70が弁座64に対接せしめられた状態で回動(図示例では、約30°弱までの回転角度の範囲内で回動)し、弁体70は、
図8(B)に示される如くに、環状シール面71b(の凹部71a)により第2ポートp2と第3ポートp3を連通させるとともに第1ポートp1を開いたままで、第1凸状シール面71cが第4ポートp4から離れてそれを開く右中間位置がとられる。
【0063】
この状態において、さらにステータコイル53へ所定の態様で通電(パルス供給)すると、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、さらに一方向(例えば反時計回り)に回転しながら
図4上で左方へ移動する。それに伴い、弁軸75に連れ回されて弁体70が弁座64に対接せしめられた状態でさらに回動(図示例では、約30°から60°弱までの回転角度の範囲内で回動)し、弁体70の環状シール面71bの凹部71aが第1ポートp1及び第2ポートp2の真上に位置し(言い換えれば、環状シール面71bが第1ポートp1及び第2ポートp2を取り囲むように位置し)、凹溝71eが第3ポートp3及び高圧導入ポートp10上に位置することになり、弁体70は、
図8(C)に示される如くに、環状シール面71b(の凹部71a)により第1ポートp1と第2ポートp2を連通させるとともに第3ポートp3を開き、第4ポートp4が開かれたままとなる左中間位置がとられる。
【0064】
なお、上記のように弁体70が中間位置(右中間位置又は左中間位置)をとり、第4ポートp4が開かれた状態は、冷暖房システム200において、除霜運転(冷房運転)から暖房運転、あるいは、その逆に移行する移行状態(あるいは、均圧状態)と称される。
【0065】
この状態において、さらにステータコイル53へ所定の態様で通電(パルス供給)すると、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、さらに一方向(例えば反時計回り)に回転しながら
図4上で左方へ移動する。それに伴い、弁軸75に連れ回されて弁体70が弁座64に対接せしめられた状態でさらに回動(図示例では、略60°の回転角度位置まで回動)し、弁体70の環状シール面71bの凹部71aが第1ポートp1及び第2ポートp2の真上に位置し、凹溝71eが第3ポートp3及び高圧導入ポートp10上に位置したままで、(前記第1凸状シール面71cに代わって)第2凸状シール面71dが第4ポートp4の真上に位置することになり、弁体70は、
図8(D)並びに
図6及び
図7に示される如くに、環状シール面71b(の凹部71a)により第1ポートp1と第2ポートp2を連通させるとともに第3ポートp3を開いたままで、第2凸状シール面71dにより第4ポートp4を閉じる左回転位置(第2回転位置)がとられる。
【0066】
一方、この状態において、ステータコイル53へ前記所定の態様とは反対の態様で通電(パルス供給)すると、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、他方向(例えば時計回り)に回転しながら
図4上で右方へ移動する。それに伴い、弁軸75に連れ回されて弁体70が弁座64に対接せしめられた状態で逆方向に回動し、弁体70は、前記左回転位置から、左中間位置、右中間位置(第4ポートp4が開かれた状態)を介して、右回転位置に戻される。
【0067】
本実施形態の電動弁50では、前記したように、ステッピングモータ58を構成するステータ55のステータコイル53への通電に応じて、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が一体的に回転され、これに伴い、弁軸75に連動して弁体70が回動して、前記した右回転位置、右中間位置及び左中間位置、並びに、左回転位置を選択的にとるようにされている。
【0068】
[電動弁50を含む四方切換弁1全体の構成及び動作]
次に、電動弁50を含む四方切換弁1全体並びに冷暖房システム200の構成及び動作を説明する。
【0069】
本実施形態の四方切換弁1では、除霜運転(冷房運転)から暖房運転に切り換える際、及び、暖房運転から除霜運転(冷房運転)に切り換える際に、電動弁50の弁体70に前記中間位置(右中間位置及び左中間位置)をとらせて四方弁本体10の主弁室12の圧力を所定圧P1まで徐々に低下させることを特徴としている。
【0070】
そのため、
図1に示される如くに、電動弁50のステータコイル53への通電(パルス供給)を制御すべく、マイクロコンピュータを内蔵するコントローラ40、操作盤(リモコン)42等が備えられるとともに、主弁室12の圧力を検出するための圧力センサ45が(例えば吐出側高圧ポートD側に)備えられ、コントローラ40は、前記圧力センサ45から得られる信号に基づいて、主弁室12の圧力が前記所定圧P1まで低下したことを検知するようにされている。なお、図示はされていないが、コントローラ40には、上記操作盤42や圧力センサ45からの信号の他、各部の温度等の状態や動作状況等を表わす信号も供給され、当該コントローラ40は、それらの信号に基づいて、電動弁50(通電状態、つまり、供給パルス数)の制御、圧縮機210(回転数)の制御、室外熱交換器220や室内熱交換器230に付設された送風ファンの制御等を行うようになっている。
【0071】
以下、除霜運転(冷房運転)、除霜運転から暖房運転への切り換え、暖房運転、暖房運転から除霜運転への切り換えを、
図9のタイムチャートを参照しながら順次説明する。なお、
図9のタイムチャートでは、図面及び説明が煩瑣になるのを避けるため、通電状態の変化に対する各部の機械的な動作遅れは生じないものとして表わされている。
【0072】
また、前述したように、除霜運転時には冷房運転時と同じサイクルで冷媒が流され、各部の動作、位置、状態等は冷房運転時と同じとされる。また、冷房運転から暖房運転への切り換え頻度、並びに、暖房運転から冷房運転への切り換え頻度は極めて低いので、以下においては除霜運転を代表して説明する。
【0073】
{除霜(冷房)運転}
除霜(冷房)運転を行う際には、ステータコイル53に前記した所定の態様とは反対の態様で通電する。これにより、
図1、
図2、
図4に示される如くに、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、他方向(例えば時計回り)に回転しながら
図4上で右方へ移動し、これに伴って、弁体70が、環状シール面71b(の凹部71a)により第2ポートp2と第3ポートp3を連通させ、かつ、第1凸状シール面71cにより第4ポートp4を閉じる右回転位置をとる。なお、本例では、この右回転位置は、可動ストッパ84が固定ストッパ83と衝接し、弁軸75の
図4上で右方向への移動が阻止された位置とされており、
図9では、この位置での供給パルス数を0としている。
【0074】
弁体70が右回転位置をとると、圧縮機210の吐出側の高温高圧の冷媒が吐出側高圧ポートD→高圧細管#10→高圧導入ポートp10→弁室60(弁体70の凹溝71eを含む)→第1ポートp1→第1細管#1を介して第1作動室31に導入されるとともに、第2作動室32の高圧冷媒が第3導管#3→第3ポートp3→弁体70の凹部71a→第2ポートp2→第2細管#2を介して吸入側低圧ポートSに排出され、主弁体15が
図1上で右方向に移動して冷房位置(右端位置)をとる。
【0075】
これにより、圧縮機210からの高温高圧の冷媒が吐出側高圧ポートD→主弁室12→室外側入出ポートC→室外熱交換器220に導かれ、ここで放熱して凝縮する。そのため、室外熱交換器220に付着した霜が溶かされて取り除かれる。凝縮した高圧の冷媒は、膨張弁260に導入されて減圧され、減圧された低圧の冷媒は、室内熱交換器230に導入され、ここで室内空気と熱交換して蒸発し、室内熱交換器230からは低温低圧の冷媒が室内側入出ポートE→主弁体15内→吸入側低圧ポートSを介して圧縮機210の吸入側に戻される。
【0076】
{除霜運転から暖房運転への切り換え}
除霜運転から暖房運転への切り換えを行う際には、ステータコイル53に前記所定の態様で通電(供給パルス数:N1)する(時点t1)。これにより、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、一方向(例えば反時計回り)に回転しながら
図4上で左方へ移動し、これに伴い、弁体70が一方向に回動して、環状シール面71b(の凹部71a)により第2ポートp2と第3ポートp3を連通させたままで、第4ポートp4を開く右中間位置をとる。
【0077】
弁体70が右中間位置をとると、主弁体15は、除霜(冷房)運転時の位置を維持したままで、弁室60に導入された高圧冷媒が第4ポートp4→第4細管#4を介して吸入側低圧ポートSに排出され、主弁室12の圧力が徐々に低下する。
【0078】
そして、主弁室12の圧力が所定圧P1まで低下すると、コントローラ40が圧力センサ45からの信号に基づいてこれを検知し、ステータコイル53に前記所定の態様でさらに通電(供給パルス数:N2)する(時点t2)。具体的には、ステータコイル53への供給パルス数をN1からそれより多いN2に上げる。これにより、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、さらに一方向(例えば反時計回り)に回転しながら
図4上で左方へ移動し、これに伴い、弁体70がさらに一方向に回動して、第4ポートp4を開いたままで、環状シール面71b(の凹部71a)により第1ポートp1と第2ポートp2を連通させる左中間位置をとる。
【0079】
弁体70が左中間位置をとると、圧縮機210の吐出側の高温高圧の冷媒が吐出側高圧ポートD→高圧細管#10→高圧導入ポートp10→弁室60(弁体70の凹溝71eを含む)→第3ポートp3→第3細管#3を介して第2作動室32に導入されるとともに、第1作動室31の高圧冷媒が第1導管#1→第1ポートp1→弁体70の凹部71a→第2ポートp2→第2細管#2を介して吸入側低圧ポートSに排出され、主弁体15が
図1上で左方向に移動して暖房位置(左端位置)をとる。
【0080】
この場合、ステータコイル53への供給パルス数がN1からN2に変更される間に、主弁室12の圧力は所定圧P1から急激に下がるとともに、ステータコイル53への供給パルス数がN2である間は、第4ポートp4が開かれたままとなるので、主弁室12の圧力はさらに下がり続ける。
【0081】
そして、ステータコイル53への供給パルス数をN2に上げた時点t2から所定時間が経過すると、コントローラ40は、ステータコイル53に前記所定の態様でさらに通電(供給パルス数:N3)する(時点t3)。具体的には、ステータコイル53への供給パルス数をN2からそれより若干多いN3に上げる。これにより、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、さらに一方向(例えば反時計回り)に回転しながら
図4上で左方へ移動し、これに伴い、弁体70がさらに一方向に回動して、環状シール面71b(の凹部71a)により第1ポートp1と第2ポートp2を連通させたままで、第2凸状シール面71dにより第4ポートp4を閉じる左回転位置をとるので、主弁体15が暖房位置(左端位置)をとったままで、主弁室12の圧力はそれ以上は低下せず、時点t3から通常の暖房運転時の圧力まで上昇する。
【0082】
これにより、除霜運転から暖房運転への切り換えが完了する。
【0083】
{暖房運転}
暖房運転時には、
図3に示される如くに、圧縮機210から高温高圧の冷媒が吐出側高圧ポートD→主弁室12→室内側入出ポートE→室内熱交換器230に導かれ、ここで室内空気と熱交換(暖房)して凝縮し、高圧の二相冷媒となって膨張弁260に導入される。この膨張弁260により高圧の冷媒が減圧され、減圧された低圧の冷媒は、室外熱交換器220に導入され、ここで室外空気と熱交換して蒸発し、室外熱交換器220から低温低圧の冷媒が室外側入出ポートC→主弁体15内→吸入側低圧ポートSを介して圧縮機210の吸入側に戻される。
【0084】
{暖房運転から除霜運転への切り換え}
一方、暖房運転から除霜運転への切り換えを行う際には、ステータコイル53に前記所定の態様とは反対の態様で通電(供給パルス数:N2)する(時点t4)。具体的には、ステータコイル53への供給パルス数をN3からそれより若干少ないN2に下げる。これにより、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、他方向(例えば時計回り)に回転しながら
図4上で右方へ移動し、これに伴い、弁体70が他方向に回動して、環状シール面71b(の凹部71a)により第1ポートp1と第2ポートp2を連通させままで、第4ポートp4を開く左中間位置をとる。
【0085】
弁体70が左中間位置をとると、主弁体15は、暖房運転時の位置を維持したままで、弁室60に導入された高圧冷媒が第4ポートp4→第4細管#4を介して吸入側低圧ポートSに排出され、主弁室12の圧力が徐々に低下する。
【0086】
そして、主弁室12の圧力が所定圧P1まで低下すると、コントローラ40が圧力センサ45からの信号に基づいてこれを検知し、ステータコイル53に前記所定の態様とは反対の態様でさらに通電(供給パルス数:N1)する(時点t5)。具体的には、ステータコイル53への供給パルス数をN2からそれより少ないN1に下げる。これにより、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、さらに他方向(例えば時計回り)に回転しながら
図4上で右方へ移動し、これに伴い、弁体70がさらに他方向に回動して、第4ポートp4を開いたままで、環状シール面71b(の凹部71a)により第2ポートp2と第3ポートp3を連通させる右中間位置をとる。
【0087】
弁体70が右中間位置をとると、圧縮機210の吐出側の高温高圧の冷媒が吐出側高圧ポートD→高圧細管#10→高圧導入ポートp10→弁室60(弁体70の凹溝71eを含む)→第1ポートp1→第1細管#1を介して第1作動室31に導入されるとともに、第2作動室32の高圧冷媒が第3導管#3→第3ポートp3→弁体70の凹部71a→第2ポートp2→第2細管#2を介して吸入側低圧ポートSに排出され、主弁体15が
図1上で右方向に移動して冷房位置(右端位置)をとる。
【0088】
この場合、ステータコイル53への供給パルス数がN2からN1に変更される間に、主弁室12の圧力は所定圧P1から急激に下がるとともに、ステータコイル53への供給パルス数がN1である間は、第4ポートp4が開かれたままとなるので、主弁室12の圧力はさらに下がり続ける。
【0089】
そして、ステータコイル53への供給パルス数をN1に下げた時点t5から所定時間が経過すると、コントローラ40は、ステータコイル53に前記所定の態様とは反対の態様でさらに通電(供給パルス数:0)する(時点t6)。具体的には、ステータコイル53への供給パルス数を0にする。これにより、ロータ56、弁軸ホルダ78、及び弁軸75が、さらに他方向(例えば時計回り)に回転しながら
図4上で右方へ移動し、これに伴い、弁体70がさらに他方向に回動して、環状シール面71b(の凹部71a)により第2ポートp2と第3ポートp3を連通させたままで、第1凸状シール面71cにより第4ポートp4を閉じる右回転位置に戻されるので、主弁体15が冷房位置(右端位置)をとったままで、主弁室12の圧力はそれ以上は低下せず、時点t6から通常の除霜(冷房)運転時の圧力まで上昇する。
【0090】
これにより、暖房運転から除霜運転への切り換えが完了し、
図1、
図2、
図4に示される如くの除霜(冷房)運転となる。
【0091】
なお、上記実施形態では、除霜運転(冷房運転)から暖房運転に切り換える際、及び、暖房運転から除霜運転(冷房運転)に切り換える際に、弁体70に右中間位置及び左中間位置の双方をとらせるようにしているが、弁体70に右中間位置及び左中間位置の一方のみをとらせるようにしてもよい。すなわち、上記実施形態では、除霜運転(冷房運転)から暖房運転に切り換える際、弁体70に、右回転位置→右中間位置→左中間位置→左回転位置をとらせているが、右回転位置→右中間位置→左回転位置をとらせて、運転の切換を行ってもよい。また、上記実施形態では、暖房運転から除霜運転(冷房運転)に切り換える際、弁体70に、左回転位置→左中間位置→右中間位置→右回転位置をとらせているが、左回転位置→左中間位置→右回転位置をとらせて、運転の切換を行ってもよい。
【0092】
[電動弁50及び四方切換弁1の効果]
以上の説明から理解されるように、本実施形態の電動弁50をパイロット弁として備えた四方切換弁1は、除霜運転から暖房運転に切り換える際、及び、暖房運転から除霜運転に切り換える際に、電動弁50の弁体70に左中間位置あるいは右中間位置(第4ポートp4を開く位置)をとらせて主弁室12の圧力を所定圧まで徐々に低下させるように構成されているので、暖房運転から除霜運転へ及び除霜運転から暖房運転への切り換え時に、圧縮機210の周波数を大きく下げることを要さずに、高圧側と低圧側の圧力差を小さくでき、そのため、騒音を効果的に低減できるとともに、冷媒の圧力が所要の高圧に戻るまでの所要時間を短縮でき、それに伴い、暖房運転から除霜運転に入るまでの所要時間や室内熱交換器230から暖かい空気が出てくるまでの時間を短縮できる。
【0093】
このように、本実施形態のヒートポンプ式冷暖房システム200においては、騒音を低減しながら暖房運転から除霜運転へ、及び、除霜運転から暖房運転への切り換えを迅速に行うことが可能となり、加えて、電動弁50以外の電気的駆動弁(電磁弁等)は不要とされるので、比較的シンプルな構成のもとで、冷房運転、暖房運転、及び除霜運転を行うことができ、そのため、設置コストや部品コストを低く抑えることができる。
【0094】
また、本発明に係る電動弁50は、除霜運転から暖房運転に切り換える際、及び、暖房運転から除霜運転に切り換える際に、ステッピングモータ53への通電を制御して、弁室60内で弁体70を回動させるように構成されているので、よりシンプルな構成のもとで、冷房運転、暖房運転、及び除霜運転を行うことができる。
【0095】
また、本実施形態の電動弁50では、厚肉円板状の弁座(弁座部材)64に全てのポート(高圧導入ポートp10、第1、第2、第3、及び第4ポートp1、p2、p3、p4)が開口せしめられ、その弁座64に全ての細管(高圧細管#10、第1、第2、第3、及び第4細管#1、#2、#3、#4)が垂設されるので、細管の組立工程や検査工程等が簡便になるといった効果もある。
【0096】
また、本実施形態の電動弁50では、圧縮コイルばね68によって弁体70が弁座64に押し付けられて(付勢されて)圧接せしめられるとともに、弁体70(における弁座64との対向面71)には、環状シール面71bと第1及び第2凸状シール面71c、71dのみが設けられているので、弁体70と弁座64との接触面積が必要最低限となり、そのため、弁体70と弁座64との気密性を確保できるとともに、弁座64に対する弁体70の回転摺動摩擦(すなわち、弁体70の回転トルク)を低減できるといった効果もある。
【0097】
さらに、本実施形態の電動弁50では、弁体70が弁軸75と別体に構成され、弁体70に弁軸75(の先端部)が軸線(中心線O)方向に摺動自在かつ前記弁体75と一体に回転可能に嵌挿されるので、例えば、組立工程において、弁体70のシール面(環状シール面71b、第1及び第2凸状シール面71c、71d)が工程内で露出する状態を少なくでき、当該電動弁50の組立工程の簡素化を図ることもできる。
【0098】
なお、上記実施形態では、四方弁本体としてスライド式のものを採用しているが、四方弁本体としては種々の形態のものを適用することができ、例えば、本願の出願人による先の出願である特願2014−223189号明細書に記載されたロータリー式のもの等にも本発明を適用できることは勿論である。