特許第6595935号(P6595935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信越石英株式会社の特許一覧

特許6595935ガラス用接着剤、ガラス用接着剤の製造方法及びガラス接着体の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6595935
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ガラス用接着剤、ガラス用接着剤の製造方法及びガラス接着体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/02 20060101AFI20191010BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20191010BHJP
   C03C 27/10 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   C09J183/02
   C09J11/06
   C03C27/10 E
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-34813(P2016-34813)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-149879(P2017-149879A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190138
【氏名又は名称】信越石英株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】横澤 裕也
(72)【発明者】
【氏名】森 竜也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 敦之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宜正
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−201153(JP,A)
【文献】 特開平07−005307(JP,A)
【文献】 特開2008−189481(JP,A)
【文献】 特開平09−030840(JP,A)
【文献】 特開平09−165452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
C03C 27/00− 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物:100質量部と、
シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と
を含むものであることを特徴とするガラス用接着剤。
【請求項2】
前記シランカップリング剤が、下記一般式(1):
Si(OR4−a…(1)
(式中、Rは同一又は異なる、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Rはアルケニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基及びアミノ基のいずれかを含む基であり、aは1〜3の整数である。)
で表されるシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載のガラス用接着剤。
【請求項3】
更に、水及びアルコールを含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガラス用接着剤。
【請求項4】
前記ガラス用接着剤のpHが2以上8以下であることを特徴とする請求項3に記載のガラス用接着剤。
【請求項5】
前記ガラス用接着剤の硬化物が透明であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガラス用接着剤。
【請求項6】
石英ガラス同士を接着するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガラス用接着剤。
【請求項7】
テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物と、
シランカップリング剤又はその加水分解生成物と
を含むガラス用接着剤を製造する方法であって、前記テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して前記シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部の割合になるように混合して前記ガラス用接着剤を製造することを特徴とするガラス用接着剤の製造方法。
【請求項8】
前記ガラス用接着剤の製造を、
テトラアルコキシシラン:100質量部と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と、水とを含む溶液を準備する工程と、
該溶液を加熱する工程と
により行うことを特徴とする請求項7に記載のガラス用接着剤の製造方法。
【請求項9】
前記ガラス用接着剤の製造を、
テトラアルコキシシラン及び水を含む溶液を準備する工程と、
該溶液を加熱する工程と、
該加熱後の溶液に、シランカップリング剤又はその加水分解生成物を前記テトラアルコキシシラン100質量部に対し0.01〜3質量部添加する工程と
により行うことを特徴とする請求項7に記載のガラス用接着剤の製造方法。
【請求項10】
前記準備する溶液を、アルコールを含むものとすることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のガラス用接着剤の製造方法。
【請求項11】
前記加熱を250℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のガラス用接着剤の製造方法。
【請求項12】
請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いてガラス体同士を接着し、ガラス接着体を製造することを特徴とするガラス接着体の製造方法。
【請求項13】
前記ガラス接着体に対し、更に、加熱処理を施すことを特徴とする請求項12に記載のガラス接着体の製造方法。
【請求項14】
前記ガラス体を石英ガラスとすることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のガラス接着体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス用接着剤、ガラス用接着剤の製造方法及びガラス接着体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスの接着方法として基材表面を活性化した基材同士を張り合わせるオプティカルコンタクトが知られているが、λ/10(λは面精度測定波長)以上の面精度が必要となり、接着範囲が限定される。このため面精度に左右されないエポキシ樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂等の接着剤が一般的に用いられているが、これらは有機物を主成分とするので高温や紫外線に曝される環境下では接着強度を保つことができない。
【0003】
これに対し、優れた耐熱性を有する接着剤として特許文献1に記載の水ガラスを含む無機接着剤があるが、水ガラスの原料は珪酸ナトリウムであり、アルカリ成分を完全に除去することが困難であるため、例えば、石英ガラスのようなガラスに適用する場合、失透の原因となりうる。
【0004】
一方、アルカリ成分を含まない接着剤として特許文献2に記載のシリコーンアルコレートの加水分解生成物を用いるものがあるが、硬化時にクラックが入りやすく、安定した接着強度が得られない。
【0005】
その他の方法として、特許文献3に記載のシリコーンオイルと塗布したガラス材料同士を密着させ、荷重をかけながら炭酸ガス雰囲気で紫外線照射することによって、有機材料であるシリコーンオイルから無機材料であるSiOに変わる過程でガラス同士の接着を行うシリコーンオイルでの光学結合があるが、室温では17.7MPa(180kgf/cm)と強い引張せん断強度を示すものの、500℃では5.9MPa(60kgf/cm)まで引張せん断強度が低下するといった問題を抱えていた。
【0006】
また、特許文献4に記載の互いに接合する珪素含有基材によりなる光学部材の接合面にテトラエトキシシラン又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランよりなるシランカップリング剤を塗布する工程と、前記接合面に塗布されたシランカップリング剤を加熱し薄膜形成する工程と、加熱された前記シランカップリング剤に活性エネルギーを付与して前記シランカップリング剤の表面に反応性官能基を導入する表面活性工程と、前記反応官能基が導入された互いの前記接合面を張り合わせて一体化する張り合わせ工程と、互いに張り合わされて一体化した前記接合面を加熱処理する接合工程と、を有することを特徴とする光学部材の接合方法があるが、工程が複雑で手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−168503号公報
【特許文献2】特開平7−5307号公報
【特許文献3】特開2006−104046号公報
【特許文献4】特開2008−189481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、接着性及び耐熱性に優れたガラス用接着剤を提供することを目的とする。また、そのようなガラス用接着剤の製造方法を提供することを目的とする。また、そのようなガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いるガラス接着体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物:100質量部と、
シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と
を含むものであることを特徴とするガラス用接着剤を提供する。
【0010】
このようなガラス用接着剤であれば、接着性及び耐熱性に優れる。
【0011】
また、前記シランカップリング剤が、下記一般式(1):
Si(OR4−a…(1)
(式中、Rは同一又は異なる、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Rはアルケニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基及びアミノ基のいずれかを含む基であり、aは1〜3の整数である。)
で表されるシランカップリング剤であることが好ましい。
【0012】
シランカップリング剤としては、上記一般式(1)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
【0013】
また、更に、水及びアルコールを含むものであることが好ましい。
【0014】
このようなガラス用接着剤であれば、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解が進行しやすくなる。
【0015】
この場合、前記ガラス用接着剤のpHが2以上8以下であることが好ましい。
【0016】
このようにガラス用接着剤のpHを酸性から弱アルカリ性とすることで、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解反応が比較的ゆるやかに進行するため、コントロールしやすく均一な溶液を作製することができる。
【0017】
また、前記ガラス用接着剤の硬化物が透明であることが好ましい。
【0018】
このようなガラス用接着剤であれば、透明性が要求されるガラス接着体を製造する際に好適に用いることができる。
【0019】
また、石英ガラス同士を接着するものであってもよい。
【0020】
本発明のガラス用接着剤であれば、失透の原因となりうるアルカリ成分を含まないものとすることができるため石英ガラスへの応用も可能である。
【0021】
更に本発明では、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物と、
シランカップリング剤又はその加水分解生成物と
を含むガラス用接着剤を製造する方法であって、前記テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して前記シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部の割合になるように混合して前記ガラス用接着剤を製造することを特徴とするガラス用接着剤の製造方法を提供する。
【0022】
このようなガラス用接着剤の製造方法であれば、接着性及び耐熱性に優れたガラス用接着剤を製造することができる。
【0023】
また、前記ガラス用接着剤の製造を、
テトラアルコキシシラン:100質量部と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と、水とを含む溶液を準備する工程と、
該溶液を加熱する工程と
により行うことが好ましい。
【0024】
このように、上記水を含む溶液を加熱することによって、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解が進行しやすくなる。
【0025】
また、前記ガラス用接着剤の製造を、
テトラアルコキシシラン及び水を含む溶液を準備する工程と、
該溶液を加熱する工程と、
該加熱後の溶液に、シランカップリング剤又はその加水分解生成物を前記テトラアルコキシシラン100質量部に対し0.01〜3質量部添加する工程と
により行うことが好ましい。
【0026】
このように、上記水を含む溶液を加熱することによって、テトラアルコキシシランの加水分解が進行しやすくなる。
【0027】
また、前記準備する溶液を、アルコールを含むものとすることが好ましい。
【0028】
このようなガラス用接着剤の製造方法であれば、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解が進行しやすくなる。
【0029】
また、前記加熱を250℃以下の温度で行うことが好ましい。
【0030】
このように、準備する溶液の加熱温度としては、上記範囲内の温度が好ましい。
【0031】
更に本発明では、上記本発明のガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いてガラス体同士を接着し、ガラス接着体を製造することを特徴とするガラス接着体の製造方法を提供する。
【0032】
このようなガラス接着体の製造方法であれば、接着剤として上記本発明のガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いるため、耐熱性に優れたガラス接着体を製造することができる。
【0033】
この場合、前記ガラス接着体に対し、更に、加熱処理を施すことが好ましい。
【0034】
このようなガラス接着体の製造方法であれば、上記加熱処理により、シランカップリング剤又はその加水分解生成物の有機鎖をより効率的に除去することができるため、耐熱性及び耐紫外線性に優れたガラス接着体を製造することができる。
【0035】
また、前記ガラス体を石英ガラスとすることができる。
【0036】
上記本発明のガラス用接着剤の製造方法であれば、失透の原因となりうるアルカリ成分を含まないガラス用接着剤を製造することができる。従って、このような接着剤を用いる本発明のガラス接着体の製造方法であれば、石英ガラス同士を接着し、高品質なガラス接着体を製造することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明のガラス用接着剤は、硬化後に有機物をほとんど含まないため、耐熱性に優れる。また、本発明のガラス用接着剤は、硬化時にクラックが入りにくく、接着性に優れる。また、本発明のガラス用接着剤であれば、失透の原因となりうるアルカリ成分(例えば、ナトリウム、カリウム)を含まないものとすることができるため石英ガラスへの応用も可能である。また、本発明のガラス用接着剤は、室温で速やかに反応が進行するため、ガラスの変形を抑制できる。
【0038】
また、本発明のガラス用接着剤の製造方法であれば、上記性質を有するガラス用接着剤を容易に製造することができる。また、このような方法で製造されたガラス用接着剤を用いる本発明のガラス接着体の製造方法であれば、耐熱性に優れたガラス接着体を製造することができる。また、このようなガラス接着体に対し、更に、加熱処理を施した場合、加熱硬化後の接着層がほとんど無機物のみで形成されるため、耐熱性及び耐紫外線性に優れたガラス接着体を製造することができる。このような加熱処理を施したガラス接着体は、1200℃までの高温下での使用も可能である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0040】
上記のように、接着性及び耐熱性に優れたガラス用接着剤が求められている。
【0041】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。その結果、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物:100質量部と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部とを含むガラス用接着剤が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0042】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
<ガラス用接着剤>
上記のように、本発明のガラス用接着剤は、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物とを含む。そして、上記のように、シランカップリング剤又はその加水分解生成物のガラス用接着剤への配合割合は、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対し、シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部を満たさなければならない。シランカップリング剤又はその加水分解生成物の配合量が0.01質量部未満では硬化時に接着層にクラックが入りやすく、接着性が低下する。上記配合量が3質量部よりも大きな値では、加熱処理後に除去される有機物の割合が増えるため、加熱処理後に接着強度が低下する。すなわち、耐熱性が低下する。
【0044】
なお、本発明のガラス用接着剤がテトラアルコキシシランの加水分解生成物やシランカップリング剤の加水分解生成物を含む場合であっても、上記配合割合としては、テトラアルコキシシランに対するシランカップリング剤の配合割合に換算した値を用いることができる。なお、ここでいう加水分解生成物には、部分加水分解物、加水分解物、部分加水分解縮合物、加水分解縮合物等が含まれる。
【0045】
[テトラアルコキシシラン]
本発明に使用するテトラアルコキシシランとしては特に限定されないが、例えば、下記一般式(2):
Si(OR…(2)
(式中、Rは同一又は異なる、炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
で表されるテトラアルコキシシランが挙げられる。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0046】
テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
[シランカップリング剤]
本発明で使用されるシランカップリング剤としては、無機質材料と化学結合する縮合反応性基及び有機質材料と化学結合する反応性基を有する有機珪素化合物であれば特に限定はされないが、例えば、下記一般式(1):
Si(OR4−a…(1)
(式中、Rは同一又は異なる、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Rはアルケニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基及びアミノ基のいずれかを含む基であり、aは1〜3の整数である。)
で表されるシランカップリング剤が挙げられる。Rの具体例としては、上記一般式(2)におけるRの例示と同様の基が挙げられる。Rの具体例としては、3−グリシドキシプロピル基、p−スチリル基、3−メタクリロキシプロピル基、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピル基等が挙げられる。
【0048】
シランカップリング剤の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらを予め、加水分解させたものを原料として用いてもよいし、これらを重縮合させたオリゴマー体、ポリマー体、例えば、シルセスキオキサンを用いてもよい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
[水及びアルコール]
本発明のガラス用接着剤は、加水分解を行うために水及びアルコールを含むものであることが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール等が挙げられる。アルコールとしてはテトラエトキシシランを使用する場合はエタノールが好ましく、テトラブトキシシランを使用する場合はn−ブタノールが好ましい。水の配合量は特に限定されないが、例えば、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して5〜1000質量部であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部である。また、アルコールの配合量は特に限定されないが、例えば、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して0〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜250質量部である。なお、上記加水分解のための水の他に、接着剤を希釈するために別途水を添加してもよい。
【0050】
[pH及び酸]
本発明のガラス用接着剤のpHは2以上8以下であることが好ましく、より好ましくはpHが2以上5未満である。pHを酸性から弱アルカリ性、特には酸性とすることで、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解反応が比較的ゆるやかに進行するため、コントロールしやすく均一な溶液を作製することができる。
【0051】
pH2〜8の範囲に収めるために用いられる酸としては、揮発性を有する酸であれば特に限定はされないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸及び塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。酸の配合量は特に限定されず、pHを調整できる量であればよい。
【0052】
[その他の成分]
また、本発明のガラス用接着剤には、上記成分以外の他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、乾燥制御剤、シリカ等の酸化物粒子等が挙げられる。その他の成分として有機物を含む成分を用いる場合は、本発明のガラス用接着剤が硬化する過程で揮発する成分を用いることが好ましい。
【0053】
テトラアルコキシシラン等を加水分解して得られたゾルゲル液(加水分解液)を含む接着剤では水やアルコールが揮発していくことで接着剤の固形化が起こる。この際、水よりも高沸点で、かつ、表面張力の小さな乾燥制御剤を添加することが好ましい。これにより、水が全て揮発するまで乾燥制御剤が接着剤中に残るため、表面張力が大きい水により応力が増加し、接着剤の硬化物にクラックを入るのをより確実に防ぐことができる。なお、この乾燥制御剤は接着剤のハンドリング性を向上させるための成分であるが、必須成分ではない。また、この乾燥制御剤は本発明のガラス用接着剤が硬化する過程で揮発する成分であるため、硬化後の物性には影響を与えないものである。このような乾燥制御剤の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0054】
[用途]
本発明のガラス用接着剤は、ガラスを接着するために使用する。ガラスの具体例としては、石英ガラス等が挙げられるが、ケイ酸塩ガラス等、他のガラス材にも適用できる。本発明のガラス用接着剤であれば、失透の原因となりうるアルカリ成分を含まないものとすることができるため石英ガラスへの応用も可能である。なお、本発明のガラス用接着剤は、ガラス同士を接着する際に好適に用いることができるが、ガラスと金属のような異種間接着にも適用することができる。
【0055】
また、本発明のガラス用接着剤の硬化物が透明であることが好ましい。例えば、本発明のガラス用接着剤の硬化物が400〜800nmの可視光に対して透明であることが好ましい。このようなガラス用接着剤であれば、透明性が要求されるガラス接着体を製造する際に好適に用いることができる。本発明のガラス用接着剤の硬化温度及び硬化時間は特に限定されない。硬化温度は、例えば、20〜1200℃とすることができる。本発明のガラス用接着剤は室温(例えば、20〜30℃)でも容易に接着、硬化し、接着性及び耐熱性に優れた硬化物となる。また、硬化温度を300℃以上、特には300℃より高くとすることにより、シランカップリング剤又はその加水分解生成物の有機鎖をより効率的に除去することができる。これにより、得られる硬化物に、接着性及び耐熱性に加えて耐紫外線性を発現させることができる。硬化時間は、例えば、0.5時間〜96時間とすることができる。
【0056】
<ガラス用接着剤の製造方法>
次に、本発明のガラス用接着剤の製造方法について説明する。本発明のガラス用接着剤の製造方法は、テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物とを含むガラス用接着剤を製造する方法であって、上記テトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対して上記シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部の割合になるように混合して上記ガラス用接着剤を製造することを特徴とする。これにより、接着性及び耐熱性に優れたガラス用接着剤を製造することができる。より具体的には、以下の2つの製造方法が挙げられるが、本発明のガラス用接着剤の製造方法はこれらに限定されない。
【0057】
[第一の製造方法]
第一の製造方法においては、まず、テトラアルコキシシラン:100質量部と、シランカップリング剤又はその加水分解生成物:0.01〜3質量部と、水とを含む溶液を準備する。すなわち、第一の製造方法においては、準備する溶液にシランカップリング剤又はその加水分解生成物を添加する。上記準備する溶液は、加水分解後のテトラアルコキシシランを含む溶液と比べて低極性であるため、この方法は、原料として水に溶けにくいシランカップリング剤(例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を用いる際に好適に用いることができる。
【0058】
この際、準備する溶液を、アルコールを含むものとすることが好ましい。これにより、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解が進行しやすくなる。なお、準備する溶液にその他の成分を添加することもできる。
【0059】
次に、上記準備する溶液を加熱する。加熱温度は特に限定されないが、250℃以下の温度で行うことが好ましい。加熱温度の下限値は特に限定されないが、例えば、40℃とすることができる。テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解反応は室温でも長時間かけて進行するが、上記のように、上記水を含む溶液を加熱することによって、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤の加水分解が進行しやすくなる。加熱時間は特に限定されないが、例えば、10分〜100時間とすることができる。
【0060】
このようにして得られた加熱後の溶液を必要に応じて室温まで冷却等し、本発明のガラス用接着剤を製造することができる。
【0061】
このように、テトラアルコキシシランと、シランカップリング剤又はその加水分解生成物とを加水分解して得られたゾルゲル液を調製することで、シリカ生成を促進し、室温でのガラス接着を容易にすることができる。なお、このときシリカ生成が促進される理由は完全に解明はされていないが、比較的小さなシリカの核の元となるテトラアルコキシシランに対して、比較的大きなシリカの核の元となるシランカップリング剤等を少量混合することが重要であると考えられる。
【0062】
[第二の製造方法]
第二の製造方法においては、まず、テトラアルコキシシラン及び水を含む溶液を準備する。第二の製造方法においても、第一の製造方法と同様に、準備する溶液を、アルコールを含むものとすることが好ましい。なお、準備する溶液にその他の成分を添加することもできる。
【0063】
次に、上記準備する溶液を加熱する。加熱温度等の具体例としては、第一の製造方法と同様の条件が挙げられる。このように、上記水を含む溶液を加熱することによって、テトラアルコキシシランの加水分解が進行しやすくなる。
【0064】
次に、加熱後の溶液に、シランカップリング剤又はその加水分解生成物を上記テトラアルコキシシラン100質量部に対し0.01〜3質量部添加する。すなわち、第二の製造方法においては、加熱後の溶液にシランカップリング剤又はその加水分解生成物を添加する。なお、この添加の前に加熱後の溶液を室温まで冷却することが好ましい。上記加熱後の溶液は、通常、水溶性である(高極性である)ため、この方法は、原料として水に溶けやすいシランカップリング剤(例えば、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩)を用いる際に好適に用いることができる。
【0065】
このようにして得られた溶液を必要に応じて攪拌等し、本発明のガラス用接着剤を製造することができる。
【0066】
このように、テトラアルコキシシランを加水分解して得られたゾルゲル液にシランカップリング剤又はその加水分解生成物を添加することでシリカ生成を促進し、室温でのガラス接着を容易にすることができる。
【0067】
<ガラス接着体の製造方法>
更に本発明では、上記本発明のガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いてガラス体同士を接着し、ガラス接着体を製造することを特徴とするガラス接着体の製造方法を提供する。このようなガラス接着体の製造方法であれば、接着剤として上記本発明のガラス用接着剤の製造方法によって製造したガラス用接着剤を用いるため、耐熱性に優れたガラス接着体を製造することができる。
【0068】
例えば、ガラス体の1面に本発明のガラス用接着剤を滴下、塗布等し、その後、上記接着剤を介してこのガラス体を別のガラス体と貼り合わせ、上記接着剤からなる接着層を硬化させることによって、ガラス接着体を製造することができる。
【0069】
ガラス体の具体例としては、石英ガラス、ケイ酸塩ガラス等が挙げられる。上記本発明のガラス用接着剤の製造方法であれば、失透の原因となりうるアルカリ成分を含まないガラス用接着剤を製造することができる。従って、このような接着剤を用いる本発明のガラス接着体の製造方法であれば、石英ガラス同士を接着し、高品質なガラス接着体を製造することができる。ガラス接着体の具体例としては、光学レンズ、プリズム等が挙げられる。
【0070】
ガラス体を接着する際、ガラス体の接着面に、ゴミ、ホコリ等の接着強度低下の原因となる不純物がないことが好ましい。このような不純物の除去の方法としては、界面活性剤による洗浄、フッ酸洗浄、UV洗浄、プラズマ洗浄等が挙げられる。
【0071】
この場合、上記ガラス接着体に対し、更に、加熱処理を施すことが好ましい。この加熱処理により、シランカップリング剤又はその加水分解生成物の有機鎖をCOに変えることができる。このCOは接着剤の硬化物から容易に除去できる。従って、この加熱処理により、耐熱性及び耐紫外線性に優れたガラス接着体を製造することができる。従って、ガラス接着体を耐紫外線性が要求される用途に用いる場合、このような加熱処理を行うことが好ましい。
【0072】
上記加熱処理の温度は、300℃を超える温度とすることが好ましく、より好ましくは600℃以上である。これにより、確実に上記の有機鎖を除去することができる。加熱処理の温度の上限は特に限定されないが、例えば、1200℃以下とすることができる。加熱処理の時間は、例えば、0.5時間〜96時間とすることができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.5質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。この混合物を室温まで冷却し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
【0075】
(実施例2)
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。この混合物を室温まで冷却し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
【0076】
(実施例3)
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。この混合物を室温まで冷却し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
【0077】
(実施例4)
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。次に、この混合物を室温まで冷却した後にシランカップリング剤としてN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩1質量部を添加し、軽く攪拌することで接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
【0078】
(実施例5)
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。次に、この混合物を室温まで冷却した後にシランカップリング剤としてN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩0.02質量部を添加し、軽く攪拌することで接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
【0079】
(比較例1)
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、混合物を得た。この混合物を室温まで冷却し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
【0080】
(比較例2)
ガラス容器にテトラエトキシシラン100質量部、酸として1%硝酸水1.3質量部、エタノール47.5質量部、水86.5質量部、乾燥制御剤としてN,N−ジメチルホルムアミド42質量部を加え、120℃で20分間攪拌し、接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。
【0081】
実施例及び比較例の物性は下記の方法で測定した。
【0082】
1.接着性試験:25×10mmの1面が鏡面である10×10×25mmの石英ガラススティックを用意し、25×10mmの面に上記接着剤を滴下し、25×10mmの鏡面同士を貼り合わせ接着サンプルを得た。次に、この接着サンプル中の接着剤を25℃×3日間の条件で硬化させた。次に、この接着サンプルの3点曲げ強度試験をした。結果を表1に示す。
【0083】
2.耐熱性試験:上記接着性試験と同様の条件で接着サンプルを作製し、上記接着性試験と同様の条件で接着サンプル中の接着剤を硬化させた。次に、接着剤を硬化させた後の接着サンプルを以下の加熱条件でそれぞれ加熱した後、それぞれの3点曲げ強度試験をした。結果を表2に示す。
<加熱条件>
300℃×5時間、500℃×5時間、700℃×5時間、900℃×5時間、1100℃×10時間
【0084】
3.耐紫外線性試験:上記接着性試験と同様の条件で接着サンプルを作製し、上記接着性試験と同様の条件で接着サンプル中の接着剤を硬化させた。次に、接着剤を硬化させた後の接着サンプルを上記耐熱性試験における加熱条件と同様の条件でそれぞれ加熱した。次に、加熱後の接着サンプルに対し、下記条件でエキシマランプを用いてVUV(真空紫外線)照射を行い照射後のそれぞれの3点曲げ強度試験をした。結果を表3に示す。
<エキシマランプ照射条件>
172nm、175mW/cm、100時間
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
実施例1〜5はテトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対し、シランカップリング剤又はその加水分解生成物0.01〜3質量部を含むガラス用接着剤を使用したため、高温下でも大きな接着強度低下は見られなかった。また、接着サンプルに対して300℃以上の加熱処理を行った場合には、接着サンプルはVUV照射後も大きな接着強度を有していた。一方、比較例1はテトラアルコキシシラン又はその加水分解生成物100質量部に対し、シランカップリング剤又はその加水分解生成物を3質量部より多く含む接着剤であったため、加熱処理後に大きな強度低下が見られた。一方、比較例2はシランカップリング剤を含まない接着剤であったためクラックが入りやすく、接着強度が低かった。
【0089】
(実施例6)
上記実施例1において、テトラエトキシシランを、テトラメトキシシランに、エタノールを、メタノールに、加熱条件を、80℃で20分間に変更した以外は実施例1と同様にして接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。この接着剤について、実施例1と同様に接着性試験、耐熱性試験及び耐紫外線性試験を行った。結果を表4〜6に示す。
【0090】
(実施例7)
上記実施例1において、テトラエトキシシランを、テトラプロポキシシランに、エタノールを、n−プロパノールに、加熱条件を220℃で4時間に変更した以外は実施例1と同様にして接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。この接着剤について、実施例1と同様に接着性試験、耐熱性試験及び耐紫外線性試験を行った。結果を表4〜6に示す。
【0091】
(実施例8)
上記実施例1において、テトラエトキシシランを、テトラブトキシシランに、エタノールを、n−ブタノールに、加熱条件を240℃で4時間に変更した以外は実施例1と同様にして接着剤を得た。この接着剤のpHを測定したところ、約4であった。この接着剤について、実施例1と同様に接着性試験、耐熱性試験及び耐紫外線性試験を行った。結果を表4〜6に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
表4〜6に示すように、テトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランを用いた場合であっても、良好な結果が得られた。
【0096】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。