(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したルーフロック装置としては、電動モータを有する駆動装置を搭載させ、フック部材のロック状態とアンロック状態とをモータ駆動により切り換える構成が考えられる。
具体的には、駆動装置には、電動モータと、電動モータに回転駆動される回転体(ギア)と、回転体の回転運動をフック部材の往復運動に変換するリンク部材とを設ける。これにより、電動モータに同期してフック部材を前後に移動させることができ、この移動に伴いフック部材のロック状態とアンロック状態とを切り換えることができる。より詳細には、例えばリンク部材によりフック部材を最も後方に引き込むことで、ストライカにフック部材を係合させることができる。つまり、フック部材及びリンク部材を後方に位置させてフック部材をロック状態とすることで、閉状態のルーフ部材を車両本体と強固に固定できる。
【0009】
一方、例えば車両の衝突時において、このように後方に位置したフック部材及びリンク部材に対して前方への力が急激に作用すると、リンク部材によって前側に引っ張られる回転体が所定方向に回転してしまい、フック部材及びリンク部材が前方へ移動してしまうおそれがある。このようにしてフック部材が前方へ移動すると、フック部材がアンロック状態となり、ルーフロック装置の信頼性が損なわれてしまうという問題が生じる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フック部材がロック状態であるときに、フック部材が前方へ移動してしまうことを確実に回避できるルーフロック装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、ルーフ部材に設置され、車両本体の被係合部に係合するロック状態と、該係合が解除されるアンロック状態とに切り換わるフック部材を備えたルーフロック装置を対象とし、電動モータと、該電動モータに回転駆動される回転体と、該回転体と上記フック部材とを連結し、上記回転体の回転に伴い上記フック部材を前後に往復動させるリンク部材とを有する駆動装置を備え、駆動装置は、上記フック部材をアンロック状態とするための第1角度位置と、該フック部材をロック状態とするための第2角度位置との間で、上記回転体を回転させるように構成され、上記リンク部材と回転体との連結部が最も後方に位置する状態での上記回転体の角度を基準角度位置とした場合に、上記第1角度位置は該基準角度位置から第1回転方向に角度θ1をなす角度位置であり、上記第2角度位置は該基準角度位置から上記第1回転方向と逆向きの第2回転方向に上記角度θ1よりも小さい角度θ2をなす角度位置であり、上記駆動装置は、上記回転体が上記第2角度位置から上記第2の回転方向へ回転することを禁止する規制部を有する。
【0012】
上記の構成では、電動モータが回転体を回転駆動させると、回転体の回転運動がリンク部材を介してフック部材の往復運動に変換される。これにより、フック部材は前後に進退する。回転体は、第1角度位置と第2角度位置との間で回転する。回転体が第1角度位置まで回転すると、フック部材が前方へ移動し、フック部材がアンロック状態となる。回転体が第2角度位置まで回転すると、フック部材が後方へ移動し、フック部材がロック状態となる。
【0013】
ここで、回転体の第2角度位置が、リンク部材と回転体の連結部が最も後方に位置する状態での角度位置(基準角度位置)であるか、それよりも第1回転方向に所定の角度をなす位置であるとする。この場合に、フック部材やリンク部材に対し前方への力が作用し、連結部が前方へ引っ張られると、回転体が第1回転方向に回転してしまい、ひいてはリンク部材及びフック部材が前方へ移動してしまうおそれがある。
【0014】
これに対し、本発明の第2角度位置は、基準角度位置から第1回転方向とは逆側の第2回転方向へθ2をなす角度である。このため、フック部材やリンク部材に対し前方への力が作用すると、リンク部材と回転体の連結部は第2回転方向へと回転しようとする。しかし、本発明では、規制部が、第2角度位置の回転体が第2回転方向へ更に回転することを禁止する。これにより、ロック状態のフック部材が前方へ移動してしまうことを確実に回避できる。
【0015】
基準角度位置と第2角度位置との間のなす角度θ2は、基準角度位置と第1角度位置の間のなす角度θ1よりも小さい。このため、回転体を第2角度位置としたときのフック部材は、回転体を第1角度位置としたときのフック部材よりも後方に位置することになる。従って、第2角度位置では、フック部材を比較的後方寄りに位置させることができ、フック部材を被係合部へ確実に係合できる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、上記回転体又は上記リンク部材は、該回転体が上記第2角度位置に至ると上記規制部と接触する当接部を有し、上記駆動装置は、上記当接部が上記規制部に接触する位置であることを検出する接触位置検出部を有し、上記接触位置検出部によって上記当接部が上記規制部に接触する位置であることが検出されると、上記電動モータを停止させるように構成される。
【0017】
第2の発明では、回転体又はリンク部材の当接部が規制部と接触することで、回転体が第2角度位置から更に第2の回転方向へ回転してしまうことを禁止できる。これにより、ロック状態のフック部材が前方へ移動してしまうことを確実に回避できる。
【0018】
駆動装置は、接触位置検出部によって、当接部が規制部と接触する位置であることを検出すると、電動モータを停止させる。これにより、回転体を第2角度位置において確実に停止させ、フック部材をロック状態とすることができる。つまり、当接部は、回転体の回転を機械的に規制するストッパとして機能するだけでなく、回転体が第2角度位置にいることを検出するための位置検出用の部材としても機能する。
【0019】
第3の発明は、第1の発明において、上記駆動装置は、リンク部材又はフック部材の所定部位の位置を検出する位置検出部を有し、該位置検出部によって検出した所定部位の位置に基づいて、上記電動モータを制御するように構成される。
【0020】
第3の発明では、位置検出部がリンク部材又はフック部材の所定部位の位置を検出する。駆動装置は、この所定部位の位置に基づいて電動モータを制御する。つまり、駆動装置は、回転体の所定部位ではなく、それよりも被係合部に近いリンク部材やフック部材の位置に基づいて電動モータを制御する。これにより、フック部材の位置を精度よく調節できる。
【0021】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記フック部材は、該フック部材の両側の側方へそれぞれ突出する突出部を有し、上記フック部材の両側の側方にそれぞれ配置され、上記各突出部が挿通され且つ上記フック部材の往復運動する方向に沿って延びる溝がそれぞれ形成される一対のブラケットと、該一対のブラケットのそれぞれに連結する連結部材とを備えている。
【0022】
第4の発明では、フック部材が往復動する際、フック部材の各突出部が一対のブラケットの各溝に沿う方向に移動する。一対のブラケットは、連結部材に連結されることで互いの相対的な位置を調節できる。従って、各溝の位置合わせを精度よく行うことができる。
【0023】
第5の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記フック部材は、該フック部材の側方へ突出する少なくとも1つの突出部を有し、上記フック部材の側方に配置され、上記突出部が挿通され且つ上記フック部材の往復運動する方向に沿って延びる溝が形成されるブラケットと、上記フック部材が上記リンク部材に対して上下に回動可能となるように、該リンク部材と上記フック部材とを連結する連結軸と、往復運動する上記フック部材を下側から上方へ付勢する付勢部材とを備える。
【0024】
第5の発明では、フック部材が往復動する際、フック部材の突出部がブラケットの溝に沿う方向に移動する。フック部材は連結軸を介してリンク部材と連結される。これにより、フック部材の上下方向の運動が可能となる。
【0025】
この構成において、フック部材が前方へ移動する際、フック部材の先端に何らかの物(例えば人の手)が当たったとする。すると、フック部材は、付勢部材の付勢力に抗して連結軸を支点として上側へ回動する。これにより、フック部材がリンク部材に対してVの字状に屈曲した状態となる。また、この際には、突出部がブラケットの溝の上縁部に強く接触する。この結果、リンク部材のこれ以上の進行が規制される。従って、フック部材の先端に何らかの物が当たった状態において、フック部材が更に前に移動することを抑制できる。
【0026】
第6の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記フック部材が上記リンク部材に対して上下に回動可能となるように、該リンク部材と上記フック部材とを連結する連結軸と、上記フック部材が上記被係合部に下側から係合するロック状態を保持するように、該フック部材を上方へ付勢する付勢部材とを備えている。
【0027】
第6の発明では、フック部材が被係合部に下側から係合することで、フック部材がロック状態となる。付勢部材は、フック部材を上方へ付勢する。これにより、フック部材のロック状態が保持される。
【0028】
この構成において、被係合部に係合しようとするフック部材と被係合部との間に何らかの物(例えば人の指)が介在してしまったとする。この場合、フック部材は、付勢部材の付勢力に抗して連結軸を支点して下方へ回動する。これにより、フック部材と被係合部との間に何らかの物が強く挟まれてしまうことを回避できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、フック部材がロック状態であるときに、回転体が更に回転することを規制部が禁止するため、車両の衝突時等において、フック部材及びリンク部材が何らかの力によって前方へ移動してしまうことを確実に防止できる。従って、フック部材のロック状態を確実に維持でき、ルーフロック装置の信頼性を確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
図1〜
図3に示す本実施形態に係る車両1には、開閉装置10が搭載される。開閉装置10は、車室2の上側がルーフ部材12で覆われる閉状態と、車室2の上側が開放される開状態とを切り換えるように構成される。開閉装置10は、リトラクタブルルーフ11、デッキカバー18、及びルーフロック装置20を有している。まず、これらの構成について、原則として車室2が閉鎖された状態(
図1の状態)を基準に説明する。
【0033】
〈リトラクタブルルーフ〉
リトラクタブルルーフ11は、ルーフ部材12と、該ルーフ部材12の後側に位置するバックウインドウ15とを有する。ルーフ部材12は、車両1のフロントヘッダ3の上縁部からデッキカバー18の上縁部に亘って前後に延びている。ルーフ部材12は、フロントルーフパネル13と、該フロントルーフパネル13の後方に配置されるミドルルーフパネル14とを有する。バックウインドウ15は、透明性の部材で構成され、車両1の後方に形成される格納室4の上側に配置される。
【0034】
リトラクタブルルーフ11は、ルーフ駆動機構(図示省略)によって駆動される。具体的には、ルーフ駆動機構は、第1駆動モータと、該第1駆動モータとリトラクタブルルーフ11を連結する第1リンク機構とを有する。第1リンク機構は、第1駆動モータの回転動力をフロントルーフパネル13、ミドルルーフパネル14、及びバックウインドウ15に伝達させる。これにより、リトラクタブルルーフ11は、使用位置(
図1に示す位置)と、格納位置(
図3に示す位置)とに変位可能に構成される。使用位置のリトラクタブルルーフ11は、格納室4の外部に位置し、車室2を覆う状態となる。格納位置のリトラクタブルルーフ11は、車室2を開放し、格納室4に格納される状態となる。
【0035】
〈デッキカバー〉
図1に示すように、デッキカバー18は、ルーフ部材12の後方で且つ格納室4の上方に配置される。つまり、デッキカバー18は、車室2の後側を覆うとともに、格納室4の上端開口を閉鎖する。デッキカバー18には、バックウインドウ15が嵌合する窓枠(図示省略)が形成される。
【0036】
デッキカバー18は、デッキ駆動機構(図示省略)によって駆動される。具体的には、デッキ駆動機構は、第2駆動モータと、該第2駆動モータとデッキカバー18とを連結する第2リンク機構とを有する。第2リンク機構は、第2駆動モータの回転動力をデッキカバー18に伝達させる。これにより、デッキカバー18は、定位置(
図1や
図3に示す位置)と、退避位置(例えば
図2に示す位置)とに変位可能に構成される。
【0037】
定位置のデッキカバー18は、格納室4の上端開口を覆うとともに、その内部の窓枠にバックウインドウ15が嵌合可能な状態となる。退避位置のデッキカバー18は、定位置よりも後方斜め上方に位置し、格納室4の上端開口を開放する状態となる。このように、デッキカバー18が退避位置になることで、使用位置と格納位置との間でのリトラクタブルルーフ11の移動が許容される。
【0038】
〈ルーフロック装置〉
ルーフロック装置20は、フロントルーフパネル13の下面(車室内方側の面)の前端部に取り付けられる。ルーフロック装置20は、車両1の本体(フロントヘッダ3)に固定されたストライカ6(被係合部)に係合可能なフック部材80を有している(例えば
図13を参照)。リトラクタブルルーフ11が使用位置であるときに、フック部材80がストライカ6に係合することで、ルーフ部材12がフロントヘッダ3に固定される。
【0039】
−開閉装置の動作−
開閉装置10の開動作及び閉動作について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。「開動作」は、使用位置のリトラクタブルルーフ11が格納位置に至るまでの動作をいう。「閉動作」は、格納位置のリトラクタブルルーフ11が使用位置に至るまでの動作をいう。
【0040】
開動作では、ルーフロック装置20のフロントヘッダ3に対するロックが解除される。また、定位置のデッキカバー18が退避位置に向かって移動する。次いで、使用位置のリトラクタブルルーフ11が、格納位置に向かって移動する。
【0041】
具体的には、フロントルーフパネル13、ミドルルーフパネル14、及びバックウインドウ15は、複数のリンク部材(図示省略)を介して各々が独立して回動するとともに、全体として格納室4に近づくように移動する(例えば
図2を参照)。そして、フロントルーフパネル13、ミドルルーフパネル14、及びバックウインドウ15が全体として折り畳まれた状態で格納室4へ格納されると、退避位置のデッキカバー18が定位置へ戻る(
図3を参照)。これにより、車室2が開状態となる。
【0042】
開状態の車室2を閉鎖する動作では、まず、定位置のデッキカバー18が退避位置に向かって移動する。次いで、格納位置のリトラクタブルルーフ11が、使用位置に向かって移動する。
【0043】
具体的には、フロントルーフパネル13、ミドルルーフパネル14、及びバックウインドウ15は、複数のリンク部材を介して各々が独立して回動するとともに、全体として車室2に近づくように移動する(例えば
図2を参照)。その後、リトラクタブルルーフ11が使用位置に至るとともに、退避位置のデッキカバー18が定位置へ戻る(
図1を参照)。これにより、車室2が閉状態となる。その後、ルーフロック装置20がフロントヘッダ3にロックされる。
【0044】
〈ルーフロック装置の詳細な構成〉
ルーフロック装置20の詳細な構成について、
図4〜
図14を参照しながら詳細に説明する。ルーフロック装置20は、フロントルーフパネル13の下面のうち前寄り部分に固定される。ルーフロック装置20は、フロントルーフパネル13に取り付けられる支持部材21と、該支持部材21に支持される駆動装置60と、該駆動装置60に駆動されるフック部材80とを有する。
【0045】
〔支持部材〕
図4〜
図8に示すように、支持部材21は、ルーフロック装置20の後側部分に形成されるモータ支持板22と、ルーフロック装置20の前側部分に形成される一対のブラケット30,40と、一対のブラケット30,40の間に配置される一対のガイド部材51,52と、該一対のガイド部材51、52の下側に配置される板ばね部材56とを有している。
【0046】
モータ支持板22は、上下に扁平な板状に形成されている。モータ支持板22の前縁の中央には、後方に凹んだ切欠部23が形成される(
図6を参照)。切欠部23の内部には、一対のブラケット30,40の各側板部32,42の後端が位置する。モータ支持板22の中央には、上側に向かって膨出する膨出部24が形成される。膨出部24は、扁平な台形円錐状の後部が切り欠かれたような形状をしている。
【0047】
図6に示すように、モータ支持板22の後縁のうち中央寄りの部分には、セクターギア62のストッパ65の外周面が接触する第1接触面25が形成されている。第1接触面25は、
図6の状態(第1角度位置の状態)のセクターギア62が、
図6における反時計回り方向(第1回転方向)に回転することを禁止する規制部を構成する。
【0048】
図12に示すように、モータ支持板22の後縁のうち右寄りの部分には、セクターギア62のストッパ65が接触する第2接触面26が形成されている。第2接触面26は、
図12の状態(第2角度位置の状態)のセクターギア62が、
図12における時計回り方向(第2の回転方向)へ回転することを禁止する規制部を構成する。
【0049】
このように、セクターギア62は、第1角度位置から第2角度位置までの角度範囲における回転が許容される一方、この角度範囲以外の回転が禁止される。ここで、第1角度位置は、フック部材80が
図4〜
図7に示すアンロック状態になるときのセクターギア62の角度位置である。第2角度位置は、フック部材80が
図10〜
図12に示すロック状態になるときのセクターギア62の角度位置である。
【0050】
一対のブラケット30,40は、フック部材80の右側に配置される第1ブラケット30と、フック部材80の左側に配置される第2ブラケット40とで構成される。第1ブラケット30は、第1上板部31と第1側板部32とを有している。第2ブラケット40は、第2上板部41と第2側板部42とを有している。
【0051】
第1上板部31及び第2上板部41は、ルーフロック装置20の上端部に形成される。第1上板部31には、その本体側から右斜め後方に延出する第1延出板部33が形成される。第1延出板部33は、モータ支持板22の右側縁部の上側に積層され、締結部材(図示省略)を介してモータ支持板22に固定される。第2上板部41には、その本体側から左斜め後方に延出する第2延出板部43が形成される。第2延出板部43は、モータ支持板22の左側縁部の上側に積層され、締結部材(図示省略)を介してモータ支持板22に固定される。
【0052】
このように、第1ブラケット30と第2ブラケット40とは別体に構成され、各ブラケット30,40がモータ支持板22(連結部材)に締結部材を介して連結される。これにより、第1ブラケット30と第2ブラケット40との相対的な位置を精度よく調節できる。
【0053】
第1側板部32及び第2側板部42は、モータ支持板22の切欠部23の近傍から前方に延びる板状に形成される。第1側板部32は、第1上板部31の左側縁部(内縁部)から下方に屈曲している。第2側板部42は、第2上板部41の右側縁部(内縁部)から下方に屈曲している。
【0054】
第1側板部32には第1溝34が形成され、第2側板部42には第2溝44が形成される。第1溝34及び第2溝44は、互いに同じ形状に構成される。各溝34,44は、前後方向(フック部材80の往復運動する方向)に延びる横溝部35と、該横溝部35の前端から下方に延出する縦溝部36とをそれぞれ有する。つまり、各溝34,44は、垂直断面において略Lの字状に形成される。
【0055】
図7に示すように、第1側板部32の後縁の幅方向(上下方向)の中間部には、前方に向かって凹んだ切欠凹部32aが形成される。切欠凹部32aの内部には、リンク部材66に形成されたエッジ部67bが移動可能な空間が形成される。
【0056】
図8に示すように、第2ブラケット40には、第2側板部42の下縁の前後方向の中間部から、第1側板部32に向かって突出する板状の板ばね支持部47が形成される。
【0057】
図8に示すように、一対のガイド部材51,52は、第1側板部32と第2側板部42との間に配置され、第1側板部32と第2側板部42とに締結部材(例えば複数のプッシュナット90)を介して連結される。各ガイド部材51,52は、第1側板部32の内面に沿って形成される第1ガイド部材51と、第2側板部42の内面に沿って形成される第2ガイド部材52とで構成される。各ガイド部材51,52は、各側板部32,42に沿った縦板部53と、該縦板部53の下端側に形成される2つのカシメ部54と、該縦板部53の上端側に形成されるレール部55とをそれぞれ有している。
【0058】
各カシメ部54は、各側板部32,42の下端を挟持する。これにより、各ガイド部材51,52と各ブラケット30,40との位置決めが行われる。一対のレール部55,55は、互いに平行となるように、前後方向に延びる棒状に形成される。各レール部55の下面には、リンク部材66の上側スライド部68aが摺接する。つまり、各ガイド部材51,52は、リンク部材66を前後方向に案内する。
【0059】
図5に示すように、板ばね部材56は、各側板部32,42の下側に配置される。板ばね部材56は、第2ブラケット40の板ばね支持部47に固定される基板部57と、該基板部57の右側縁部から上方に屈曲する曲板部58と、基板部57から前方に延出する板ばね部59とを有する。基板部57は、矩形板状に形成され、板ばね支持部47の下面に締結部材(ビス91)を介して固定される。曲板部58は、上下に縦長の略長方形板状に形成され、第1ブラケット30の第1側板部32に締結部材(ビス92))を介して固定される。板ばね部59は、前後に横長の略長方形板状に形成される。
図5及び
図8に示すように、板ばね部59は、基板部57から斜め上方に延びる傾斜部59aと、該傾斜部59aの前端から下方へ湾曲した湾曲部59bとを有する。板ばね部59は、フック部材80の下面を下側から支えるとともに、該フック部材80を上方へ押し付ける付勢力を該フック部材80に作用させる。つまり、板ばね部材56は、フック部材80のロック状態を保持するように、該フック部材80を上方へ付勢する付勢部材を構成する。
【0060】
〔駆動装置〕
駆動装置60は、支持部材21に設置され、フック部材80をロック状態とアンロック状態とに切り換えるように構成される。駆動装置60は、電動モータ61と、電動モータ61に回転駆動させるセクターギア62(回転体)と、セクターギア62に連結するリンク部材66とを有している。
【0061】
図4及び
図5に示すように、電動モータ61はモータ支持板22の左寄りの部分に取り付けられている。電動モータ61の出力軸は、ピニオンを介してセクターギア62に連結される。
【0062】
セクターギア62は、モータ支持板22の膨出部24の下側に配置されている。セクターギア62は、モータ支持板22に沿った略平板状に形成される。セクターギア62の大部分は、モータ支持板22によって上側から覆われる。セクターギア62は、ギア本体63と、該ギア本体63の側縁から外方へ張り出した連結板部64と、該連結板部64の上面から上方へ突出するストッパ65とを有する。
【0063】
ギア本体63は、略扇形ないし略半円形の板状に形成され、略円弧状の外周部分に複数の歯63aが形成される。ギア本体63の複数の歯63aは、ピニオンに歯合する。ギア本体63の軸心には、第1ベアリングボルト93が挿通される(例えば
図9を参照)。第1ベアリングボルト93は、モータ支持板22を貫通するとともにギア本体63を回転可能に支持する軸受部を構成する。
【0064】
連結板部64は、セクターギア62の側縁に沿った方向に延びる横長板状に形成される。連結板部64のうちギア本体63の軸心から比較的近い部分には、第2ベアリングボルト94が挿通される。第2ベアリングボルト94は、セクターギア62に対してリンク部材66が回動可能となるようにセクターギア62とリンク部材66の基端(後端)とを連結する連結部を構成する。
【0065】
ストッパ65は、連結板部64の上面うちギア本体63の軸心から比較的離れた部分に固定される。ストッパ65は、横断面が円形の円柱状に形成される。ストッパ65は、その上端がモータ支持板22よりも上方に突出する凸部を構成している。
【0066】
リンク部材66は、セクターギア62が回転することに伴い、概ね前後方向に進退するように構成される。リンク部材66は、セクターギア62に連結されるリンク本体67と、リンク本体67の前端に取り付けられるスライド部材68と、スライド部材68とフック部材80とを回転可動に結合するカップリング69とを有する。
【0067】
リンク本体67は、略前後に延び且つセクターギア62と平行な横長の平板状に形成される。リンク本体67の後側部分は、モータ支持板22の下側に位置する。リンク本体67の後端には、第2ベアリングボルト94が挿通される。リンク本体67の前側部分は、一対のブラケット30,40の間に配置される。
【0068】
図7及び
図9に示すように、リンク本体67の右側縁部には、右前方へ突出するエッジ部67aが形成される。エッジ部67aは、第1ブラケット30の第1側板部32の切欠凹部32aの内部を前後に進退するように構成される。
【0069】
スライド部材68は、リンク本体67が進退することに伴い、一対のレール部55,55に案内されながら前後に往復運動を行うように構成される。スライド部材68は、上側スライド部68aと下側スライド部68bとを有する。上側スライド部68aは、リンク本体67の前端部の上側に配置され、下側スライド部68bは、リンク本体67の前端部の下側に配置される。上側スライド部68a及び下側スライド部68bは、前後に横長で且つリンク本体67と平行な平板状に形成される。上側スライド部68a及び下側スライド部68bは、リンク本体67を挟んだ状態において、ボルト70により締結される。ボルト70は、上側スライド部68aから更に上方へ突出する突出ピン71を有している。突出ピン71には、前後に伸縮するスプリング85の一端(後端)が着脱可能に固定される(
図4を参照)。
【0070】
図9に示すように、カップリング69は、矩形柱状の基部69aと、該基部69aの左右の側縁から前方に突出する一対の軸支持板69bと、該一対の軸支持板69bの間に回転可能に支持される連結軸69cとを有している。基部69aは、上側スライド部68aと下側スライド部68bとに挟まれた状態において、2本のスクリュー95を介してスライド部材68に連結される。連結軸69cは、一対のブラケット30,40の各側板部32,42に直交するように、左右方向に延びている。連結軸69cには、フック部材80の後端部が回転可能に支持される。連結軸69cの軸方向の両端は、軸支持板69bよりも側方へ延出していない。つまり、連結軸69cは、2つの溝34,44の内部には嵌まり込んでいない。
【0071】
図4〜
図6、
図9〜
図12に示すように、駆動装置60は、2つのリミットスイッチ73,74と、これらのリミットスイッチ73,74の検出信号に基づいて電動モータを制御する制御部(図示省略)とを備えている。2つのリミットスイッチ73,74は、フック部材80がロック状態であることを検出するための第1リミットスイッチ73(ロック側リミットスイッチ)と、フック部材80がアンロック状態であることを検出するための第2リミットスイッチ74(アンロック側リミットスイッチ)とを有している。第1リミットスイッチ73と第2リミットスイッチ74とは、各々に対応するケーブル73b,74bを介して制御部(例えば制御基板)等と接続される。
【0072】
第1リミットスイッチ73は、モータ支持板22の上面のうち該モータ支持板22の後縁の中央部であって、第2接触面26の付近に取り付けられる。第1リミットスイッチ73は、板ばね状の第1スイッチ部73aを有する。第1スイッチ部73aの先端は、後側へ屈曲している。セクターギア62が第2角度位置まで回転すると、ストッパ65が第2接触面26に接触して更なる回転が規制されると同時に、該ストッパ65が第1スイッチ部73aをばね力に抗して前方へ押し込む。これにより、第1リミットスイッチ73がON状態となり、セクターギア62が第2角度位置であることを示す信号が、制御部へと出力される。制御部は、この信号を受信することで、電動モータ61を停止させる。
【0073】
このように、第1リミットスイッチ73は、第2接触面26に接する状態のストッパ65が当たることで、セクターギア62が第2角度位置にあることを検出する。つまり、第1リミットスイッチ73は、ストッパ65が第2接触面26に接触する位置であることを検出する接触位置検出部を構成する。
【0074】
第2リミットスイッチ74は、モータ支持板22の下面のうち第1ブラケット30の第1上板部31と重なる部分に取り付けられている。第2リミットスイッチ74は、板ばね状の第2スイッチ部74aを有する。第2スイッチ部74aの先端は、リンク本体67に向かって左斜め後へ屈曲している。セクターギア62が第1角度位置まで回転すると、リンク本体67のエッジ部67aが、第2スイッチ部74aをばね力に抗して前方へ押し込む。これにより、第2リミットスイッチ74がON状態となり、セクターギア62が第1角度位置であることを示す信号が、制御部へと出力される。制御部は、この信号を受信することで、電動モータ61を停止させる。
【0075】
〔フック部材〕
図9に示すように、フック部材80は、駆動装置60に駆動されることで、前後に往復運動を行うように構成される。フック部材80は、車両本体側のストライカ6に係合するロック状態と、該ストライカ6の係合が解除されるアンロック状態とに切り換わるように構成される。フック部材80は、横長の胴部81と、胴部81の先端に形成されるフック部82とを有している。胴部81の後端部には、カップリング69の連結軸69cが挿通される。これにより、フック部材80は、連結軸69cを支点として上下に回動するように構成される。フック部82は、胴部81の先端から上側に向かって突出する。つまり、フック部材80は、側面視において略Jの字状に形成される。フック部材80では、胴部81とフック部82の間にストライカ6が係合可能となる(例えば
図13を参照)。
【0076】
フック部材80は、胴部81の後寄りの部分を貫通するピン83と、胴部81の後端部から上方に突出するスプリングホルダ84とを有する。ピン83は、その軸心が連結軸69cと平行になるように左右に延びている。ピン83のうち、胴部81から右側方に突出する部分が第1突出部83aを構成し、胴部81から左側方に突出する部分が第2突出部83bを構成する。
【0077】
第1突出部83a及び第2突出部83bは、縦断面が円形の略円柱状に形成される。第1突出部83aは、第1側板部32の第1溝34に挿通され、第2突出部83bは、第2側板部42の第2溝44に挿通される。各突出部83a,83bには、各側板部32,42の側面(外側面)に摺接するようにワッシャ96が外嵌される(
図4を参照)。
【0078】
図13に示すように、第1突出部83aの外径は、第1溝34の上下方向の幅よりも大きい。第2突出部83bの外径は、第2溝44の幅方向(上下方向)の幅よりも大きい。つまり、各突出部83a,83bは、各溝34,44において上下に隙間を空けるように遊嵌している。従って、上述した板ばね部材56によってフック部材80が上方へ付勢される状態では、各突出部83a,83bが各溝34,44の上縁にそれぞれ接触するとともに、各突出部83a,83bと各溝34,44の下縁との間に隙間が形成される。
【0079】
図4及び
図9に示すように、スプリングホルダ84は、胴部81の上縁部から上側ないし後側に向かって延出している。スプリングホルダ84は、左右に扁平な薄板状に形成される。スプリングホルダ84の先端には、側面視においてJ字状の鍵部84aが形成される。鍵部84aには、スプリング85の他端(前端)が着脱可能に固定される。
【0080】
スプリング85は、ボルト70の突出ピン71と、スプリングホルダ84の鍵部84aの間に張架される。スプリング85は、フック部材80を後側に付勢する。
【0081】
−ルーフロック装置の動作−
ルーフロック装置20の動作について詳細に説明する。ルーフロック装置20は、アンロック状態(
図10〜
図12、
図14を参照)のフック部材80をロック状態に切り換える第1動作(閉動作)と、ロック状態(
図4〜
図7、
図13を参照)のフック部材80をアンロック状態に切り換える第2動作(開動作)とを行う。
【0082】
〔第1動作〕
フック部材80がアンロック状態であるときには、セクターギア62が第1角度位置にある(
図5を参照)。この状態では、フック部材80のピン83が第1溝34及び第2溝44の縦溝部46に入り込み、フック部材80が前側斜め下方を向く状態となる(
図14を参照)。これにより、フック部材80のフック部82がストライカ6から外れた状態となる。
【0083】
制御部に第1動作を開始する指令が入力されると、制御部は、セクターギア62が第2の回転方向に回転するように電動モータを制御する。セクターギア62が第2の回転方向に回転すると、第2ベアリングボルト94が後方へ移動し、これに伴いリンク部材66、ひいてはフック部材80が後方へと移動する。フック部材80が後方へ移動すると、フック部材80が連結軸69cを支点として上方へと回動し、縦溝部46のピン83が横溝部45へ入り込む。そして、水平な状態となったフック部材80は、一対のブラケット30,40に沿うように後方へ移動する。この際、フック部材80のピン83は、各溝34,44の上縁部と摺接することになる。
【0084】
セクターギア62が更に回転すると、リンク部材66の第2ベアリングボルト94が最も後方に位置する(
図15の二点鎖線の状態を参照)。この状態のセクターギア62の回転角度を基準角度位置という。従って、セクターギア62が基準角度位置にあるときには、フック部材80及びリンク部材66が最も後方に位置する。換言すると、セクターギア62が基準角度位置にあるときには、セクターギア62の回転中心P1と、第2ベアリングボルト94の回転中心P2とを結ぶ仮想平面と、フック部材80の往復動する軌跡とが重なる関係、あるいは平行な関係となる。セクターギア62が基準角度位置にあるときには、フック部材80がストライカ6に密に係合する状態となる。
【0085】
図11、
図12、及び
図15に示すように、基準角度位置のセクターギア62が第2回転方向へ僅かに回転すると、セクターギア62が第2角度位置になる。この際、リンク部材66の第2ベアリングボルト94が僅かに前方へ移動し、これに伴いリンク部材66、ひいてはフック部材80も僅かに前方へと移動する。そして、セクターギア62のストッパ65が支持部材21の第2接触面26に接すると、ストッパ65によって第1リミットスイッチ73がONされる。電動モータ61は、このON信号が入力されることで電動モータ61を停止させる。この結果、セクターギア62を第2角度位置で確実に停止させることができる。
【0086】
このように、ストッパ65は、セクターギア62の回転を規制する部材だけでなく、セクターギア62が第2角度位置にあることを検出するための位置検出用の部材としても機能する。これにより、部品点数を削減できるとともに、セクターギア62が第2角度位置にあることを確実に検出できる。
【0087】
セクターギア62が第2角度位置にあるときには、フック部材80がストライカ6に十分な力で係合し、フック部材80がロック状態となる(
図13を参照)。このロック状態では、フック部材80が板ばね部材56によって上方へ付勢される。同時にフック部材80はスプリング85によって後方へ付勢される。これにより、ストライカ6の先端がフック部82に圧接し、フック部材80のロック状態が確実に保持される。
【0088】
〔第2動作〕
フック部材80がロック状態であるときには、セクターギア62が第2角度位置にある(
図11を参照)。この状態では、フック部材80のピン83が第1溝34及び第2溝44の横溝部45の後方寄りに位置し、フック部材80が水平に延びる状態となる(
図13を参照)。
【0089】
制御部に第2動作を開始する指令が入力されると、制御部は、セクターギア62が第1の回転方向に回転するように電動モータ61を制御する。セクターギア62が第1の回転方向に回転すると、セクターギア62が基準角度位置となる(
図15の二点鎖線を参照)。
【0090】
セクターギア62が更に回転すると、リンク部材66の第2ベアリングボルト94が前方へ移動し、これに伴いリンク部材66ひいてはフック部材80が前方へと移動する。そして、セクターギア62のストッパ65が支持部材21の第1接触面25に接すると(
図6を参照)、リンク部材66のエッジ部67aによって第2リミットスイッチ74がONされる(
図5を参照)。電動モータ61は、このON信号が入力されることで電動モータ61を停止させる。この結果、セクターギア62を第1角度位置で確実に停止させることができる。
【0091】
このように、第2リミットスイッチ74は、リンク部材66に設けられるエッジ部67aの位置に基づいて、セクターギア62が第1角度位置であることを検出する。このため、例えば第2リミットスイッチ74が、セクターギア62の所定部位を検出する場合と比較すると、検出する位置がフック部材80に近くなる。従って、フック部材80の位置を精度よく制御できる。
【0092】
セクターギア62が第1角度位置に至ると、フック部材80のピン83が横溝部45から縦溝部46へ落ち込み、ストライカ6が前側斜め下方を向く状態となる。これにより、フック部材80のフック部82がストライカ6から外れた状態となる。
【0093】
−ロック状態のフック部材に前方への力が働いた際の作用−
例えば車両1の走行時等において、フック部材80がロック状態であるときに、フック部材80に前方への力(例えば慣性力)が作用したとする。この場合、フック部材80が前側へ移動しようとすることでセクターギア62が第1回転方向へ回転してしまうと、リンク部材66が前方へ移動し、ひいてはフック部材80も前方へ移動してしまう。こうなると、フック部材80がストライカ6から外れてしまい、フック部材80がアンロック状態となってしまう可能性がある。
【0094】
そこで、本実施形態では、
図15に示すように、フック部材80をロック状態とするときのセクターギア62の第2角度位置を、基準角度位置よりも第2回転方向へ僅かにずらすようにしている。この構成では、フック部材80に前方への力が作用すると、第2ベアリングボルト94が第2の回転方向へ回転しようとする。ここで、第2角度位置の状態のセクターギア62の第2の回転方向への回転は、ストッパ65及び第2接触面26が接触することにより禁止される。従って、フック部材80に前方への力が作用することに起因して、セクターギア62が回転してしまうことを確実に回避できる。この結果、ロック状態のフック部材80が前方へ移動することに起因してフック部材80のロックが解除されることを回避でき、ルーフロック装置20の信頼性を確保できる。
【0095】
基準角度位置と第2角度位置の角度差θ2(
図15を参照)は、基準角度位置と第1角度位置の角度差θ1より小さくする。θ2がθ1以上であると、第2角度位置のフック部材80がアンロック状態の位置まで移動してしまうことになり、ロック状態を確保できない。フック部材80のロック状態を確実に確保するためには、θ2はできる限り小さくするのがよく、
図15に示すように、基準角度位置に対して僅かに第2回転方向へ回転した角度であるのがよい。
【0096】
−ロック状態のフック部材の安全機能−
図14に示すように、フック部材80がロック状態であるときに、何らかの物体O(例えば人の指)が、ストライカ6の先端とフック部82との間に入り込んでしまったとする。この場合、ロック状態のフック部材80を上側に付勢していた板ばね部材56が、物体Oに押し下げられて下方へ変形する。この結果、
図16に示すように、フック部材80のフック部82は連結軸69cを支点に下方へ移動する。従って、ストライカ6とフック部材80の間に物体Oが強く挟まれてしまうことを確実に回避でき、ルーフロック装置20の信頼性を確保できる。
【0097】
−第2動作におけるフック部材の停止機能−
第2動作において、ロック状態のフック部材80が前方へと移動している際、フック部材80の先端に何からの物体O(例えば人の手)が当たってしまったとする。この場合、
図17に示すように、フック部材80は、物体Oに当たることに起因して物体Oに乗り上げるような状態となる。これにより、フック部材80は、連結軸69cを支点として上側へ回動する。同時に、フック部材80を付勢する板ばね部材56が下方へ変形する。この際、連結軸69cは、各溝34,44の内部まで延びていないため、連結軸69cが各溝34,44の下縁部に接触することがない。
【0098】
このような状態では、フック部材80がリンク部材66に対してVの字状に屈曲した状態となる。また、フック部材80のピン83が各溝34,44の上縁部に強く接触する。これにより、第2動作におけるフック部材80の前方への移動が機械的に規制される。従って、フック部材80が物体Oに対してこれ以上強く当たることを回避でき、ルーフロック装置20の信頼性を確保できる。
【0099】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、第1リミットスイッチ73がセクターギア62のストッパ65の位置を検出し、第2リミットスイッチ74がリンク部材66のエッジ部67aの位置を検出している。しかしながら、これらのリミットスイッチ73,74の両方がセクターギア62の所定部分の位置を検出してもよいし、これらのリミットスイッチ73,74の双方がリンク部材66の所定部分の位置を検出してもよい。
【0100】
更に、これらのリミットスイッチ73,74の一方又は両方が、フック部材80の所定部分の位置を検出し、この検出結果に基づいて電動モータ61を制御してもよい。この場合、検出位置が、最終的な駆動対象であるフック部材80そのものとなるため、フック部材80の位置を更に精度よく制御できる。
【0101】
上記実施形態では、セクターギア62のストッパ65が所定の規制部と接する位置を、接触位置検出部で検出している。しかしながら、例えばリンク部材66に当接部を設け、この当接部が所定の規制部と接する位置を接触位置検出部で検出するようにしてもよい。つまり、リンク部材66に設けた当接部に、ストッパとしての機能と、位置検出用の部材としての機能をもたしてもよい。