(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記音圧計測手段によって計測された音圧から、発生音圧信号の周波数の音圧レベルを抽出するための演算機能、及び/又は、カプラ内の音圧レベルを算出するRMS演算機能を備えた演算手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記演算手段によって演算された値を用いて、前記音響出力手段を制御する、請求項1又は請求項2に記載の音響校正器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カプラ21内の空間をスピーカ11によって二つの空間に仕切られた前室の音圧を圧力センサにより検出する構造としては、2通りが考えられる。すなわち、
図9と
図10の構造である。
図9は、スピーカ11が水平に保持され、スピーカ11とマイクロホン31が平行に配置された構造である。
図10は、スピーカ11が垂直に保持され、マイクロホン31に対してスピーカ11が直角に配置された構造である。
【0008】
音響校正は、通常、
図11に示すように、マイクロホンを縦方向にし、音響校正器を上から差し込み実施される。そのため、音響校正器の重心位置が、マイクロホンの振動膜面中心の上方にあるのが理想である。
図10の構造では、音響校正器のカプラ重心が、マイクロホンの振動膜の中心から大きく外れ一致せず、音響較正器として使用する場合、バランスが悪く使いづらいという問題があった。
【0009】
一方、
図9の構造では、カプラ21の側面22に挿入用の孔を設け、そこに圧力センサ41を挿入し、前室51の音圧を測定する。この時、背室52は密閉し容積を一定にする。ここで、カプラ21の側面22には、スピーカをカプラ21に固定するための機構が存在する。また、カプラ21の側面22には、カプラ21の前部と後部を係合する機構も存在する。このためにカプラ21の側面22は、圧力センサ41を取り付けるためのスペースが狭く、その取り付けは必ずしも容易ではなかった。
また、大気圧導入口が圧力導入口と同じ方向にある圧力センサでは、前記大気圧導入口を塞がないようにする必要がある。また、カプラ21が円筒形の場合、曲面である側面22への取り付けとなる等、取り付けが必ずしも容易ではないという問題があった。
【0010】
本発明は、圧力センサの取り付けが容易な音響校正器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
(1)マイクロホンを挿入するためのカプラを有する音響校正器であって、
前記カプラ内に音響を出力する音響出力手段と、
カプラの背室の音圧を計測する音圧計測手段と、
前記音圧計測手段によって計測された音圧が、前室の音圧が予め設定された音圧であった時の背室の音圧になるように、前記音響出力手段を制御する制御手段と、
を備える音響校正器。
【0012】
(1)の構成によれば、カプラの背室の音圧を計測するので、圧力センサをカプラの側面ではなく、カプラの背面に取り付けることが可能となり、圧力センサの取り付けが容易になる。
【0013】
(2)前記音圧計測手段は、カプラの背面に圧力センサを取り付けたことを特徴とする、(1)記載の音響校正器。
【0014】
(2)の構成によれば、スペース的に余裕のあるカプラの背面に圧力センサを取り付けるので、圧力センサの取り付けが容易になる。
【0015】
(3)前記音圧計測手段によって計測された音圧から、発生音圧信号の周波数の音圧レベルを抽出するための演算機能及び/又はカプラ内の音圧レベルを算出するRMS演算機能を備えた演算手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記演算手段によって演算された値を用いて、前記音響出力手段を制御する、(1)又は(2)記載の音響校正器。
【0016】
(3)の発生音圧信号の周波数の音圧レベルを抽出するための演算機能及び後述の(4)の構成によれば、発生音圧信号の周波数の音圧レベル値を用いて、大気圧の変化の影響を受けない一定の音圧を発生させることにより、大気圧の変化の影響を受けずに、より精度の高い校正ができる。
【0017】
(4)前記発生音圧信号の周波数の音圧レベルを抽出するための演算機能が、FFT演算機能又はDFT演算機能である、(3)記載の音響校正器。
なお、FFT演算に対する(3)のRMS演算のメリットを説明すれば、以下のようになる。
RMS演算でもFFT演算でも、カプラ内音圧は、[発生音圧]+[ベント経由でカプラに入り込む周囲騒音の圧力]になる。例えば、発生音圧の周波数に近い周波数の周囲騒音が存在する場合には、FFT演算の場合、分解能をより高く(サンプル点数を増やす)し、発生音圧のみを抽出する必要があり平均化に時間がかかる。しかし、RMS演算の場合には時定数を演算に含むことが容易なため、周囲騒音を含んだ音の平均化がリアルタイムで求められるので、カプラ内の音圧をより正確に抽出できる。
【0018】
(5)前記音圧計測手段に沿って配置され、気体の温度を計測する温度計測手段と、
前記温度計測手段によって計測された温度に基づいて、前記音圧計測手段によって計測された音圧を補正する温度補正手段と、
をさらに備える、(1)から(4)のいずれかに記載の音響校正器。
【0019】
(5)の構成によれば、計測された音圧信号を温度補正し、温度の変化の影響を受けない一定の音圧を発生させることにより、温度の変化の影響を受けずに、より精度よく校正できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カプラの背室の音圧を計測するので、カプラの前室の音圧を計測する必要がなくなる。したがって、スペース的に余裕のあるカプラの背面に圧力センサを配置することが可能となり、圧力センサの取り付けが容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態について図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカプラの構造を表す図である。カプラ21は、スピーカ11、背室の圧力を計測する圧力センサ41を備える。カプラ21内の空間は、スピーカ11によって、前室51と背室52とに仕切られている。
【0023】
図1では、背室52の圧力を計測するために、スピーカ11の後方であって、カプラ21の背面23に圧力センサ41の圧力導入口を設置し、圧力センサ41を取り付けている。カプラ21の背面23には、スピーカ11をカプラ21に固定するための機構及びカプラ21の前部と後部を係合する機構が存在しないので、圧力センサ41をカプラ21に取り付けることが比較的容易にできる。また、圧力センサ41の大気圧導入口があるためカプラ21の背面との間に隙間なく圧力センサを41を押し付けて配置することはできず、
図2のように、圧力センサ41の圧力導入ポートをカプラ21へ挿入し、カプラ21との間に一定の隙間を設け、圧力センサ41を押しつけて配置する。そして、カプラ21の背面23と圧力センサ41との間にOリング33を介在させれば、隙間ができないように取り付けることが可能となる。
【0024】
図3は、ある電流波形が一定な電流値でスピーカ11を駆動した時の、前室の音圧を計測し、基準の大気圧(101.325kPa)のときの前室音圧を基準として、大気圧が変化したときの、マイクロホンの大気圧特性を除いたカプラ内に配置したスピーカの大気圧特性の偏差のグラフである。横軸は、前室の音圧を計測した時の大気圧である。
図3のように、スピーカ11を駆動する電流値が同じでも、大気圧が異なると、前室の音圧は必ずしも同じ値にはならない。
しかし、
図3は、スピーカ11を駆動する電流を一定波形の電流値とした場合であり、スピーカ11を駆動する電流値を制御することにより、大気圧に対する発生音圧の偏差を一定にすることは可能である。
【0025】
スピーカ11をある特定の周波数(例えば、1kHz)の正弦波の電流で駆動することにより、カプラ21内の空間に音波が発生する。このとき、前室51の音圧波形と背室52の音圧波形とは、位相が180°ずれている。この様子を
図4に示す。そして、前室51の音圧波形の振幅と背室52の音圧波形の振幅比は、大気圧の値に依存しない、ある一定の相関関係がある。
【0026】
カプラ21が密閉されている状態(前室は基準マイクロホンが挿入された状態、背室は圧力センサが取り付けられた状態をいう。)で、前室と背室の容積を決定し、音圧波形の振幅は一定にする。密閉され、背室の容積が変化しない
図2の状態で、
背室圧力 = (背室のセンサポートに印可された圧力 +大気圧) − 大気圧
である。大気圧の影響が打ち消され、(背室圧力)=(背室のセンサポートに印可された圧力)となる。
ここで、圧力センサが検出する背室の圧力を一定にすることで、前室の音圧も一定に保つことが可能になる。
ここで、前室容積と背室容積は同じであることが好ましい。更には前室容積とカプラの前室内面の表面積との比と、背室容積とカプラの背室内面の表面積との比が同じであることが好ましい。
【0027】
したがって、前室51の音圧を直接測定しなくても、ある大気圧の下で、前室51の音圧が予め設定された音圧になった時の背室52の音圧x[Pa]を求め、異なる大気圧においても、背室52の音圧をx[Pa]にすることにより、前室51の音圧を予め設定された音圧にすることができる。
【0028】
次に、前室51の音圧が予め設定された音圧の時、背室52の音圧がx[Pa]であるとし、本実施形態における音響校正器60の全体構成について
図5を参照しながら、説明する。
図5に、本発明の一実施形態に係る音響校正器60のブロック図を示す。
【0029】
スピーカ11は、カプラ21内に音響を出力する。
【0030】
カプラ21は、被校正体であるマイクロホン31を挿入することができるように開口部211を備えている。
【0031】
圧力センサ41は、大気圧を基準とした圧力を計測する圧力センサである。
【0032】
アンプ131は、圧力センサ41の出力であるアナログ信号を増幅する回路である。
【0033】
温度センサ15は、圧力センサ41の近傍の温度を計測するセンサであり、差圧センサの温度特性との相関関係は必要ない。
また、温度センサはアナログ出力又はデジタル出力のどちらを用いてもよい。デジタル出力の場合は、制御手段13へ直接データが取り込まれる。
【0034】
A/Dコンバータ132は、アンプ131の出力であるアナログ信号と、温度センサ15の出力であるアナログ信号とを、各々、デジタル信号に変換する。
【0035】
正弦波テーブル133には、正弦波を構成するデータが記憶されている。
【0036】
制御手段13は、カプラ21の背室の音圧がx[Pa]になるようにするための制御を行う。
【0037】
温度補正手段16は、A/Dコンバータ132の出力である背室の音圧データに対して、圧力センサ41の温度特性に基づく温度補正を行う。
温度補正には、差圧センサデジタルデータの補正を行う方法と、差圧センサデジタルデータはそのままで、センサ補正値を正弦波テーブルの振幅に係数として掛けて補正する方法とがある。本実施形態では、前者の場合を説明する。
【0038】
演算手段14は、温度補正手段16により温度補正された音圧データに対する、FFT(Fast Fourier Transform)演算機能又はDFT(Discrete Fourier Transform)演算機能及び/又はRMS(Root Mean Square)演算機能を備えている。
【0039】
D/Aコンバータ134は、制御手段13の出力である、スピーカ11を駆動するためのデジタル信号をアナログ信号に変換する。
【0040】
アンプ135は、スピーカを駆動するためのD/Aコンバータ134の出力であるアナログ信号を、実際にスピーカを駆動する電流に変換する回路である。
【0041】
DC―DCコンバータ137は、バッテリ138の出力電圧を、電圧値の異なる直流電圧に変換する。バッテリ138及びDC―DCコンバータ137が、音響校正器60全体の電源であり、DC―DCコンバータ137の出力により音響校正器60が動作している。
【0042】
スピーカ11は、電流駆動で制御され、例えば、正弦波の電気信号に応じて振動板(ダイアフラム)が振動し、音波を放射する。音波として正弦波がスピーカ11から出ていると仮定すると、カプラ21内の圧力の変化は大気圧を中心とした正弦波になる。
【0043】
カプラ21へマイクロホン31を取り付けた状態でしばらく放置すると、例えば、内径Φが1mm、長さ5.5mmで形成された、前室ベント53及び背室ベント54経由で空気が流通し、前室、背室ともに大気圧となる。その後、スピーカ11から正弦波の音を発生させる。
【0044】
制御手段13は、正弦波テーブル133に基づく基本波正弦波によってスピーカ11を駆動してカプラ21内に音圧を発生させ、発生させた音圧が圧力センサ41によって計測され、計測されたデータをアンプ131とA/Dコンバータ132とを介してデジタル値に変換し、音圧データを得る。次に、制御手段13は、音圧データと規定値とに基づいて、前室の音圧が設定音圧のときの背室音圧となるように基本波正弦波に対する係数kを決定し、決定した係数kに基づいた基本波正弦波をD/Aコンバータ134とアンプ135とを介して出力し、スピーカ11を駆動する。なお、段落0033の後者の場合は、このkに温度補正係数を含ませてもよい。
【0045】
正弦波テーブル133には、周波数に対応して正弦波を構成するデータが記憶されている。
スピーカ11に出力される値Vは、V=正弦波値×k×β(すなわち、V=k×β×sin(ωt))となり、kの範囲は1≧k>0で、kのデフォルトは適宜選択されてよい。
βは、k=1のとき、発生する音圧の歪が初期に設定した値を満足する最大音圧となる係数である。
【0046】
演算手段14は、後述の温度補正手段16によって温度補正された音圧データに対し、FFT(Fast Fourier Transform)演算又はDFT(Discrete Fourier Transform)演算及び/又はRMS(Root Mean Square)演算を行う。演算手段14が、FFT演算、DFT演算、RMS演算の内の複数の演算を行う機能を備えていてもよいが、スピーカ11から発生する音圧を制御するために利用される演算結果は、その内の一つの演算結果のみとなる。
ここで、FFT演算又はDFT演算によれば、スピーカ11から発生している発生音圧信号の周波数のみ抽出し圧力(レベル)を計算するので、センサの自己ノイズ、オフセットの影響を少なくすることができ、発生している周波数の音圧精度を上げることが可能となる。また、歪まで検出できるので、歪の補正も可能となる。
【0047】
RMS演算は、FFT演算に対して、次のメリットを有している。
RMS演算でもFFT演算でも、カプラ内音圧は、[発生音圧]+[ベント経由でカプラに入り込む周囲騒音の圧力]になる。例えば、発生音圧の周波数に近い周波数の周囲騒音が存在する場合には、FFT演算の場合、分解能をより高く(サンプル点数を増やす)し、発生音圧のみを抽出する必要があり平均化に時間がかかる。しかし、RMS演算の場合には時定数を演算に含むことが容易なため、周囲騒音を含んだ音の平均化がリアルタイムで求められるので、カプラ内の音圧をより正確に抽出できる。
【0048】
温度センサ15は、圧力センサ41に沿って配置され、気体の温度を計測する。具体的には、温度センサ15は、圧力センサ41に沿って配置され、気体の温度を測定するように設置される。
温度補正手段16は、温度センサ15によって計測された温度に基づいて、圧力センサ41によって計測された音圧を補正する。例えば、圧力センサ41の温度特性が、0度から50度までは一定だが、0度以下の場合、又は50度以上の場合に変化するものとする。このような圧力センサ41の温度特性に基づいて、温度補正手段16は、温度センサ15によって計測された温度で、計測された音圧を補正する。
【0049】
前室の音圧が予め設定された値になるときの背室の音圧がx[Pa]である場合、制御手段13は、背室音圧が、x[Pa]を中心とした±α[Pa]の許容範囲内にある場合は、スピーカ11を駆動する電流値を変えない。
そして、背室音圧が、x+α[Pa]よりも大きい場合は、スピーカ11を駆動する電流値を一定値だけ下げる。
また、背室音圧が、x−α[Pa]よりも小さい場合は、スピーカ11を駆動する電流値を一定値だけ上げる制御をする。なお、許容範囲のαの大きさは、適宜設定することができる設計的事項である。
【0050】
次に、本実施形態における音響校正器60の動作について
図6及び
図7を参照しながら、説明する。
図6及び
図7は、本発明の一実施形態に係る音響校正器60の処理内容を示すフローチャートである。
なお、音響校正器60は、コンピュータ及びその周辺装置を備えるハードウェア並びに該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成され、音響校正器60のCPU又はDSPを所定のソフトウェアに従って実行させることで、前記CPU又はDSPを、特に制御手段13、演算手段14、及び温度補正手段16として機能させる。
【0051】
ステップS101において、制御手段13は、発生音圧の周波数を設定する。より具体的には、制御手段13は、発生音圧の周波数を1kHzの初期値に設定する。さらに、制御手段13は、係数kの初期値(例えば、0.5)を設定する。
その後、制御手段13は、処理をステップS102に移す。ステップS102において、制御手段13は、サンプルクロックを設定する。その後、制御手段13は、処理をステップS103に移す。
【0052】
ステップS103において、制御手段13は、周波数の設定を変更するか否かを判断する。より具体的には、制御手段13は、周波数の設定を変更するための指示がされている(例えば、周波数の変更を示すスイッチが押下されている)か否かを判断する。この判断がYESの場合、制御手段13は、処理をステップS104に移し、この判断がNOの場合、制御手段13は、処理をステップS106に移す。
【0053】
ステップS104において、制御手段13は、周波数の設定をする。より具体的には、制御手段13は、周波数の設定を変更するための指示がされたときの周波数を入力し、記憶部に記憶する。その後、制御手段13は、処理をステップS105に移す。
【0054】
ステップS105において、制御手段13は、サンプルクロックを設定する。より具体的には、制御手段13は、発生させる基本波正弦波の周波数に対応するサンプルクロックを設定する。その後、制御手段13は、処理をステップS106に移す。
【0055】
ステップS106において、制御手段13は、基本波正弦波を読み出す。より具体的には、制御手段13は、正弦波テーブル133に基づいて、設定された周波数に対応する基本波正弦波のデジタル値を正弦波テーブル133から読み出す。その後、制御手段13は、処理をステップS107に移す。
【0056】
ステップS107において、制御手段13は、基本波正弦波に係数kと係数βを乗算する。より具体的には、制御手段13は、読み出した基本波正弦波のデジタル値に係数k(1≧k>0)と係数βを乗算する。その後、制御手段13は、処理をステップS108に移す。
【0057】
ステップS108において、D/Aコンバータ134は、基本波正弦波に係数kと係数βを乗算したデジタル値をアナログ値に変換し、アンプ135を介してスピーカ11に出力し、スピーカを駆動する。その後、処理はステップS109に移る。
【0058】
ステップS109において、圧力センサ41は、カプラ21内の背室の音圧を計測する。その後、処理はステップS110に移る。
【0059】
ステップS110において、温度センサ15は、気体温度を計測する。その後、処理はステップS111に移る。
【0060】
ステップS111において、A/Dコンバータ132は、アンプ131を介した背室音圧及び気体温度のアナログ値をデジタル値に変換する。その後、処理はステップS112に移る。
【0061】
ステップS112において、温度補正手段16は、温度センサ15により計測された温度及び圧力センサ41の温度特性に基づいて、圧力センサ41により計測されたカプラ21内の背室の音圧に対する温度補正をする。また、ステップS112において、演算手段14は、温度補正手段16により温度補正された背室の音圧に対し、FFT演算又はDFT演算及び/又はRMS演算を行い、音圧演算値を算出する。その後、処理はステップS201に移る。
【0062】
ステップS201において、制御手段13は、音圧演算値が所定の最大値と最小値との範囲内か否かを判断する。より具体的には、制御手段13は、音圧演算値が所定の最大値(x+α[Pa])と所定の最小値(x−α[Pa])との範囲内か否かを判断する。この判断がYESの場合、制御手段13は、処理をステップS202に移し、この判断がNOの場合、制御手段13は、処理をステップS203に移す。
【0063】
ステップS202において、制御手段13は、基本波正弦波に対する係数kを維持し、処理をステップS103に移す。
【0064】
ステップS203において、制御手段13は、音圧演算値が所定の最大値より大きいか否かを判断する。より具体的には、制御手段13は、音圧演算値が所定の最大値(x+α[Pa])より大きいか否かを判断する。この判断がYESの場合、制御手段13は、処理をステップS204に移し、この判断がNOの場合、制御手段13は、処理をステップS205に移す。
【0065】
ステップS204において、制御手段13は、基本波正弦波に対する係数kを小さくする。より具体的には、制御手段13は、係数kから所定値(例えば、0.01)を減算し、係数kを小さくする。その後、制御手段13は、処理をステップS103に移す。
【0066】
ステップS205において、制御手段13は、基本波正弦波に対する係数kを大きくする。より具体的には、制御手段13は、係数kに所定値(例えば、0.01)を加算し、係数kを大きくする。その後、制御手段13は、処理をステップS206に移す。
【0067】
ステップS206において、制御手段13は、係数kが規定値を超えたか否かを判断する。この判断がYESの場合、制御手段13は、処理をステップS207に移し、この判断がNOの場合、制御手段13は、処理をステップS103に移す。
【0068】
ステップS207において、制御手段13は、マイクロホン31が差し込まれていないと判断して音響校正器60の電源をOFFにする、又は音圧レベルを下げる、又は警報音で通知する。その後、制御手段13は、処理を終了する。
【0069】
以上説明したことから、次の効果を奏する。
本実施形態によれば、カプラ21の背室52の音圧を計測するので、圧力センサ41をカプラ21の背面23に取り付ければ良くなり、圧力センサ41の取り付けが容易になる。
【0070】
本実施形態によれば、
図2に見られるように、カプラ21の背面と圧力センサ41との間にOリング33をはめることにより、隙間を埋めて、カプラ21の内部と外部との間の空気の流通がないようにすることが容易にできる。
【0071】
また、カプラ21のサイズを圧力センサ取り付けのために大きくせず、カプラ21内にスピーカ11を配置し、スピーカ11の前方に被校正マイクロホン31を配置し、スピーカ11の後方に圧力センサ41の圧力導入口を設置した。これによりカプラ21を大きくすることなくスピーカ11前方の音圧を一定の精度で制御が可能となる。
【0072】
さらに、音響校正器60は、発生音圧の周波数をFFT演算又はDFT演算することによりセンサのオフセットや、ノイズの影響を受けずに精度を上げることが可能になる。
【0073】
また、音響校正器60は、カプラ内の音圧レベルを算出するRMS演算をすることにより、時定数を演算に含むことが容易なため、周囲騒音を含んだ音の平均化をリアルタイムで求めることができ、カプラ内の音圧をより正確に抽出できる。
【0074】
本実施形態によれば、音響校正器60は、カプラ21にマイクロホン31が挿入されているか否かを判断して、音響校正器60自身の電源を切ることができ、校正が終了し校正器からマイクロホン31を抜いた時に電源を切らなくても自動的に電源をOFFする制御も可能である。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0076】
<変形例1>
第1実施形態においては、発生音圧の信号波形として正弦波を用いているが、発生音圧の信号波形は、正弦波に限らない。正弦波以外の変動する信号波形を発生音圧の信号波形として使用しても、背室の音圧を、前室の音圧が予め設定された音圧であった時の背室の音圧とすることにより、前室の音圧を予め設定された音圧にすることができることは同じである。
【0077】
<変形例2>
補正された背室音圧に対する許容範囲αの値は、適宜設定できる設計的事項である。