【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の一実施例による機械式駐車装置の概略構成を示す側面図である。
【0016】
駐車車両の運転手は、地下駐車装置建屋1の出入口階に形成された出入口から駐車車両を乗り入れ、リフト装置2に搭載された状態のトレー3に乗り込ませ、その後に駐車車両から降りて駐車車両を機械式駐車装置に引き渡す。その後、制御装置によって制御されながらリフト装置2により地下などに構成された格納部階へと駐車車両を搬送し、リフト装置2から降ろした後に格納部階の任意の駐車スペースへと移動させてトレーと共に駐車車両が格納される。格納部階は様々な構成を採用することができるが、ここでは多層構造の格納部を例示しており、複数本の柱4A〜4Nを用いて最上層部床5、中間層部床6および最下層部床7を支持固定して、最上層部8、中間層部9および最下層部10の三層構造となっている。
【0017】
詳細は後述するが、トレー3の裏面側にはトレー側ガイドレールが構成され、一方、最上層部床5、中間層部床6および最下層部床7の各格納スペースには、トレーを駆動する床側トレー駆動装置が構成されている。床側トレー駆動装置には、方向転換を行わせる方向変換機能があり、この方向変換機能を用いて可動ガイドレールの向きを変更し、制御装置(図示せず)からの指令に基づいてトレー駆動装置にてトレー3を任意の位置の格納スペースへと移動することができるように構成されている。
【0018】
出入口階と各層部8〜10間で駐車車両の移動を行うリフト装置2は、紙面の手前と奥側に対向配置して固定された一対の縦ガイドレール11と、この縦ガイドレール11に沿って上下方向に移動可能で、かつ駐車車両を搭載可能なトレー3を乗降可能に載せることができる昇降台12と、この昇降台12を昇降駆動する図示しない昇降駆動装置などを有して構成されている。
【0019】
本実施例では、三層構造の最上層部8、中間層部9および最下層部10のうち、最上方に位置した最上層部8には、ハイルーフなどの大型車を搭載可能な大型トレー3Aと、小型および中型車を搭載可能な小型トレー3Bとが混在して格納できる構成としている。これに対して中間層部9および最下層部10には、小型および中型車を搭載可能な小型トレー3Bのみが格納できる構成としている。
【0020】
このような二種類の大型トレー3Aと小型トレー3Bを使用するため、地下駐車装置建屋1の出入口近傍の床部には、リフト装置2上に搭載されているのが大型トレー3Aであっても小型トレー3Bであっても引き込むことができる大きさのリフト開口部13が形成されている。当然のこととして、このリフト開口部13の大きさは、大型トレー3Aの大きさを考慮して決定されるため、小型トレー3Bの使用時には、小型トレー3Bの外周部とリフト開口部13の内周縁部間には隙間が形成されてしまい、駐車車両から運転手が降りるときに足下の安全性を損なうことになる。そこで、詳細を後述するが小型トレー3Bを使用する場合にのみ隙間を遮蔽する遮蔽装置14が構成されている。
【0021】
図2は、中間層部9を示す平面図である。
【0022】
本実施例では柱4A〜4Nの位置や小型トレー3Bの大きさは、ハイルーフなどの大型車を搭載可能な大型トレー3Aの使用を想定していない場合の機械式駐車装置と同じである。三層構造の最上層部8、中間層部9および最下層部10を構成するために使用した複数本の柱4A〜4Nは、小型トレー3Bが図示の長手方向または幅方向に移動するときに干渉することのない位置にそれぞれ設置されている。例えば、柱4Cと柱4D間、また柱4Gと柱4H間は、小型トレー3Bの幅よりも若干大きくされ、小型トレー3Bの長手方向への移動を制限することはない。同様に、柱4Cと柱4G間、また柱4Dと柱4H間は、小型トレー3Bの長さよりも若干大きくされ、小型トレー3Bの幅方向への移動を制限することはない。
【0023】
ここでは、図示の横方向に三列の格納スペースが形成され、また縦方向にも三列の格納スペースが形成されている。各格納スペースを形成している
図1に示した中間層部床6には、小型トレー3Bの長手方向および幅方向への移動を案内する床側長手方向ガイドレール15Aおよび床側幅方向ガイドレール15Bを含んだ床側トレー駆動装置16がそれぞれ構成されている。
【0024】
各格納スペースのうち、少なくとも一つは小型トレー3Bを配置しない空きスペースとされ、この空きスペースへ小型トレーを移動することによって所定の小型トレーの移動方向に空きスペースを形成し、この動作を繰り返すことによって所定の小型トレー3Bを所定の位置まで移動するように制御される。
【0025】
本実施例では、
図1に示した最下層部10の図示を省略しているが、中間層部9と同様の構成となっている。
【0026】
図3は、最上層部8を示す平面図である。
【0027】
上述した各柱4A〜4Nは、
図1に示した最下層部10から樹立されて上方へと延びているが、最上層部8における最上層部床5の近傍までであり、最上層部床5での大型トレー3Aおよび小型トレー3Bの移動を妨げることはない。従って、従来構成と同じ間隔で配置した各柱4A〜4Nを用いて中間層部9および最下層部10を構成した機械式駐車装置でも、最上層部8を選ぶなら、最上層部8での大型トレー3Aの大きさは各柱4A〜4Nの間隔による制限は受けなくなる。こうして最上層部8では、小型トレー3Bよりも大きな大型トレー3Aの使用が可能となり、
図3に示すように大型トレー3Aおよび小型トレー3Bを容易に混在させることができる。
【0028】
また大型トレー3Aは、隣接する格納スペースにそれぞれ配置された場合でも、互いに衝突することなく移動することが可能な範囲で、小型トレー3Bの幅よりも大きな幅で、かつ小型トレー3Bの長さよりも大きな長さを有して構成することができる。例えば、
図2に示した柱4C,4D,4G,4Hに対応する格納スペースでは、各柱4C,4D,4G,4Hの中心線間を結ぶ仮想四角形よりも若干小さい程度の大型トレー3Aを使用することが可能となる。
【0029】
この最上層部8においても、図示の長手方向に三列の格納スペースが形成され、また幅方向にも三列の格納スペースが形成されている。これらの各格納スペースを形成している最上層部8の床にも、大型トレー3Aおよび小型トレー3Bの長手方向および幅方向への移動を案内する床側長手方向ガイドレール15Aおよび床側幅方向ガイドレール15Bを有すると共に、
図2に示したものと同一構成の床側駆動装置16がそれぞれ構成されている。この床側トレー駆動装置16は、最上層部8において後述するトレー側ガイドレールを介して大型トレー3Aおよび小型トレー3Bを任意の格納スペースへと駆動する駆動装置を構成している。
【0030】
図4は、トレー側ガイドレールを示す平面図である。
【0031】
大型トレー3Aと小型トレー3Bとは大きさの点で異なるが、基本的に同一
構成のトレー側ガイドレールを有しているので、ここでは大型トレー3Aの裏面側に構成されたトレー側ガイドレールとして説明する。
【0032】
大型トレー3Aの裏面には、大型トレー3Aを床側長手方向ガイドレール15Aに沿って走行するように支持した長手方向車輪17A〜17Dと、大型トレー3Aを床側幅方向ガイドレール15Bに沿って走行するように支持した幅方向車輪18A〜18Dとが可回転的に取り付けられている。また中央部で長手方向に延びた直線19上には、離散的に固定した固定ガイドレール19A,19B,19Cと、これら各固定ガイドレール19A〜19Cの各対向部間に配置した可動ガイドレール20A,20Bが設けられている。これらの可動ガイドレール20A,20Bは、中心軸21A,21Bを中心にしてそれぞれ可回転的に支持されている。さらに、可動ガイドレール20A,20Bが90度回転されて幅方向を向いたとき、この可動ガイドレール20A,20Bと合致した幅方向直線22A,22B上には、他の固定ガイドレール23A,23Bと、固定ガイドレール24A,24Bとがそれぞれ対応して固定されている。
【0033】
従って、可動ガイドレール20A,20Bが図示のように長手方向を向いた状態では、固定ガイドレール19A〜19Cと可動ガイドレール20A,20Bとが長手方向の直線19上に位置している。一方、可動ガイドレール20A,20Bが幅方向を向いた状態では、固定ガイドレール23A,23Bと可動ガイドレール20Aが幅方向直線22A上に位置し、かつ固定ガイドレール24A,24Bと可動ガイドレール20Bとが幅方向直線22B上に位置することになる。
【0034】
図5は、上述した各格納スペースの床側に構成された床側トレー駆動装置16を示す平面図である。
【0035】
床側トレー駆動装置16は、格納スペース毎にその床面に固定したベース25上に構成されている。
図4に示した中心軸21Aとほぼ対向する位置に設けた回転軸26によって可回転的に設けた第一駆動装置27と、
図4に示した中心軸21Bとほぼ対向する位置に設けた回転軸28によって可回転的に設けた第二駆動装置29と、これらの第一駆動装置27と第二駆動装置29の中間部に位置して回転軸26,28の回転角度を切り替える切り替え駆動装置30を有している。
【0036】
切り替え駆動装置30は、回転軸31を中心にしてモータ32によって回転されるレバー33を有しており、このレバー33の一方端に連結したリンク34は、第一駆動装置27の回転軸26に固定したアーム35に連結されている。またレバー33の他方端に連結したリンク36は、第二駆動装置29の回転軸28に固定したアーム37に連結されている。
【0037】
第一駆動装置27には、モータ38と、このモータ38によって回転駆動されるフリクションローラである送りローラ39と、回転軸26の両側に位置して上述した可動ガイドレール20Aを挟み込むことになるように対向配置した二組の挟み込みローラ40が設けられている。また第二駆動装置29も同一構成で、モータ41と、このモータ41によって回転駆動されるフリクションローラである送りローラ42と、回転軸28の両側に位置して上述した可動ガイドレール20Bを挟み込むことになるように対向配置した二組の挟み込みローラ43が設けられている。
【0038】
図示の状態でモータ38,41を回転すると、送りローラ39,42も回転することになる。この送りローラ39,42は、同じ格納スペースに配置されている大型トレー3Aの
図4に示した固定ガイドレール19A,19B,19Cなどに押圧されており、その回転力によって長手方向の直線19に沿って大型トレー3Aを例えば図示の上方向に移動させることになる。一方、モータ38,42を逆方向に回転すると、送りローラ39,42の逆方向回転力によって長手方向の直線19に沿って大型トレー3Aを図示の下方向に移動させることになる。
【0039】
しかし、切り替え駆動装置30のモータ32によってレバー33を反時計方向に所定角度だけ回転駆動すると、リンク34を介して連結した第一駆動装置27は回転軸26を中心にして反時計方向に90度だけ回転されると共に、リンク36を介して連結した第二駆動装置29は回転軸28を中心にして反時計方向に90度だけ回転されることになる。第一駆動装置27および第二駆動装置29の上述した回転によって、挟み込みローラ40,43間に挟み込まれた
図4の可動ガイドレール20A,20Bも90度回転される。この状態で、モータ38,41によって送りローラ39,42が回転されると、
図4に示した大型トレー3Aが幅方向直線22A,22Bに沿って、例えば図示の左方向に移動させることになる。
【0040】
これに対して、モータ38,41によって送りローラ39,42が逆方向に回転されると、
図4に示した大型トレー3Aが幅方向直線22A,22Bに沿って今度は図示の右方向に移動させることになる。
【0041】
このような床側トレー駆動装置16を格納スペース毎に床側に構成し、また各トレー側ガイドレールを大型トレー3Aおよび小型トレー3B毎に構成することにより、所定の大型トレー3Aまたは小型トレー3Bを所定の格納スペースへと移動させることが可能となる。つまり、格納スペースに存在している少なくとも一つの空スペースを利用しながら、所定の大型トレー3Aの下部床に設けられている床側トレー駆動装置16におけるモータ32,38,41を制御装置から制御することにより、隣接する空スペースへと所定の大型トレー3Aを移動させる。その後も同様で、空スペースを利用しながら、移動した位置で新たに対応した床側トレー駆動装置16におけるモータ32,38,41を制御装置から制御することにより、所定の大型トレー3Aを順次移動させ、こうして最終的には所定の格納スペースまで自立式で移動させることができる。
【0042】
図6および
図7は、大型トレー3Aを配置したときのリフト開口部13の平面図および側面図である。
【0043】
リフト開口部13は大型トレー3Aに対応する大きさに形成されているため、
図6に示すようにリフト装置2上に大型トレー3Aが乗せられると、リフト開口部13は大型トレー3Aによってほぼ塞がれた状態となる。このため、大型トレー3Aがリフト装置12上に準備されたとき、図示しない検出装置は同状態では遮蔽装置14を駆動させず、ほぼ鉛直な非遮蔽状態を保持するようにしている。従って、両図から分かるように、大型トレー3A上に大型駐車車両を搭載した後、大型駐車車両から運転手が降りるとき足下の安全性は確保されている。
【0044】
図8および
図9は、小型トレー3Bを配置したときのリフト開口部13の平面図および側面図である。
【0045】
この実施例で小型トレー3Bは、大型トレー3Aよりも長手方向にも幅方向にも小さく構成されている。このため両図に示すようにリフト装置2上に小型トレー3Bが乗せられると、小型トレー3Bの外周四方向とリフト開口部13の内縁部との間にはそれぞれ隙間が形成されてしまう。このままでは、小型トレー3B上に小型駐車車両を搭載した後、小型駐車車両から運転手が降りるとき足下に存在している隙間に足を取られて転倒したり、挟み込まれたりする危険がある。
【0046】
しかしながら、両図に示したようにリフト開口部13の外周部には遮蔽装置14が配置され、小型トレー3Bがリフト装置2上に準備されたときに図示しない検出装置は同状態を検出し、小型トレー3Bの外周四方向とリフト開口部13の内縁部との間に形成された隙間が遮蔽状態となるように遮蔽装置14を駆動する。遮蔽装置14は、
図7に示した鉛直の非遮蔽状態から
図9に示したほぼ水平の遮蔽状態に駆動される。こうして、小型トレー3Bの外周四方向とリフト開口部13の内縁部との間に存在していた隙間は、
図7に斜線で示すように遮蔽装置14によって塞がれる。このため、小型駐車車両から運転手が降りるとき、運転手が隙間に足を取られて転倒したり、隙間に挟み込まれたりする危険がなくなる。
【0047】
図10および
図11は、他の小型トレー3Bを配置したときのリフト開口部13の平面図および側面図である。
【0048】
この実施例で小型トレー3Bは、長手方向には大型トレー3Aとほぼ同一寸法であるが、幅方向には大型トレー3Aよりも小さく構成されている。このため両図に示すようにリフト装置2上に小型トレー3Bが乗せられると、小型トレー3Bの幅方向両側とリフト開口部13の内縁部との間に隙間が形成されてしまう。このままでは先の場合と同様に、小型トレー3B上に小型駐車車両を搭載した後、小型駐車車両から運転手が降りるとき足下に存在する隙間によって足を取られて転倒したり、挟み込まれたりする危険がある。
【0049】
しかしながら、リフト開口部13の幅方向両側には遮蔽装置14がそれぞれ配置され、小型トレー3Bがリフト装置2上に準備されたときに図示しない検出装置は同状態を検出し、小型トレー3Bの幅方向両側とリフト開口部13の内縁部との間に形成された両隙間をそれぞれ遮蔽状態とするように遮蔽装置14を駆動する。遮蔽装置14は、
図7に示した鉛直な非遮蔽状態から
図11に示したほぼ水平な遮蔽状態に駆動される。こうして、小型トレー3Bの幅方向両側とリフト開口部13の内縁部との間に存在していた両隙間は、両図に斜線で示すように遮蔽装置14によってそれぞれ塞がれるので、小型駐車車両から運転手が降りるとき、運転手が隙間に足を取られて転倒したり、挟み込まれたりする危険がなくなる。
【0050】
また小型トレー3Bとしては、長手方向で大型トレー3Aと同様にすることによって、小型トレー3Bの外周部とリフト開口部13の内縁部との間に存在する隙間の領域は少なくなり、遮蔽装置14の構成を簡略化することができる。
【0051】
図12および
図13は、さらに他の構成の小型トレー3Bを配置したときのリフト開口部13の平面図および側面図である。
【0052】
この実施例で小型トレー3Bは、幅方向では大型トレー3Aとほぼ同程度の大きさであるが、長手方向では
図8に示した小型トレー3Bと同程度に小さく構成したものである。このため両図に示すようにリフト装置2上に小型トレー3Bが乗せられると、小型トレー3Bの幅方向両側とリフト開口部13の内縁部との間に隙間が形成されないが、小型トレー3Bの長手方向両側とリフト開口部13の内縁部との間にだけ隙間が形成されてしまう。
【0053】
しかしながら、リフト開口部13の長手方向両側とリフト開口部13の内縁部との間には遮蔽装置14が配置され、小型トレー3Bがリフト装置2上に準備されたときに図示しない検出装置は同状態を検出し、小型トレー3Bの長手方向両側に形成された両隙間をそれぞれ遮蔽するように遮蔽装置14を駆動する。この場合の遮蔽装置14も、
図7に示したようにほぼ鉛直な非遮蔽状態から動作して
図13に示したようにほぼ水平な遮蔽状態になる。こうして、小型トレー3Bの長手方向両側に存在していた隙間は、両図に斜線で示すように遮蔽装置14によってそれぞれ塞がれるので、小型駐車車両から運転手が降りるとき、運転手が足を取られて転倒したり、挟み込まれたりする危険がなくなる。
【0054】
また小型トレー3Bとしては、幅方向で大型トレー3Aと同様にすることによって、小型トレー3Bの外周部とリフト開口部13の内縁部との間に存在する隙間の領域は少なくなり、遮蔽装置14の構成を簡略化することができる。
【0055】
これらの各図の説明から分かるように、大型トレー3Aは小型トレー3Bに衝突しないで格納スペース間で移動できる大きさにするという制限はあるが、大型トレー3Aや小型トレー3Bの大きさをある程度任意に決定することができる。
【0056】
次に、上述した遮蔽装置14の具体的な構成について説明する。
【0057】
図14は、
図8に示した遮蔽装置14の具体的な構成を示す平面図である。
【0058】
小型トレー3Bの長手方向両側とリフト開口部13の内縁部との間には、リフト開口部13近傍の床側に支持した四角形状の遮蔽板44A,44Bがそれぞれ配置されている。遮蔽板44Aを備えた遮蔽装置14Aと、遮蔽板44Bを備えた遮蔽装置14Bは、向きが異なるだけで基本的な構造は同一であるから、遮蔽板44Aを備えた遮蔽装置14Aについてのみ説明する。遮蔽装置14Aは、一つの駆動装置46と、共通の駆動装置46からの駆動力を受けて遮蔽板44Aを非遮蔽状態と遮蔽状態に切り替え移動させる二つの状態切り替え装置47を有している。
【0059】
一方、また小型トレー3Bの幅方向両側とリフト開口部13の内縁部との間には、より長い四角形状の遮蔽板44C,44Dがそれぞれ配置されている。遮蔽板44Cを備えた遮蔽装置14Cと、遮蔽板44Dを備えた遮蔽装置14Dとは向きが異なるだけで基本的な構造は同一であるから、遮蔽板44Cを備えた遮蔽装置14Cについてのみ説明する。遮蔽装置14Cは、一つの駆動装置46と、長手方向の中央部と両端部に位置して共通の駆動装置46からの駆動力を受けて遮蔽板44Cを非遮蔽状態と遮蔽状態に切り替え移動させる三つの状態切り替え装置47を有している。
【0060】
遮蔽装置14Aは、二つの状態切り替え装置47を有しているのに対して、遮蔽装置14Cは、三つの状態切り替え装置47を有している。しかし両者は、基本的にはほぼ同一構成である。そこで動作説明は、遮蔽装置14Cにおける駆動装置46と一つの状態切り替え装置47を代表して説明する。
【0061】
図15および
図16は、遮蔽装置14Cの非遮蔽状態を示す平面図および側面図である。
【0062】
遮蔽装置14Cの遮蔽板44Aは、リフト開口部13の近傍における床48に支持した回転軸49で回転させると非遮蔽状態と遮蔽状態をとることができる。床48の下部側には、駆動装置46と一つの状態切り替え装置47が配置されている。駆動装置46は、床48に固定されたベース50に支持され、その回転駆動軸51にはリンク装置52の一端が連結されている。リンク装置52の他端は、回転軸53を有するL字状レバー54の一端に連結され、L字状レバー54の他端には状態切り替え装置47が連結されている。
【0063】
図15および
図16に示した非遮蔽状態で、遮蔽装置14Cの遮蔽板44Aは回転軸49を中心にして鉛直方向に収納されている。またL字状レバー54は回転軸53を中心にして反時計方向に回転されていて、L字状レバー54に連結された状態切り替え装置47を床48の下側に位置させている。
【0064】
今、駆動装置46に遮蔽指令が与えられると、回転駆動軸51が時計方向に回転され、リンク装置52を介してL字状レバー54の回転軸53が時計方向に回転され、状態切り替え装置47の動作が開始される。
【0065】
図17および
図18は、遮蔽装置14Cの遮蔽動作初期状態を示す平面図および側面図である。
【0066】
L字状レバー54の回転軸53が時計方向に回転されると、状態切り替え装置47は回転軸53を中心にして時計方向に移動される。L字状レバー54がある長さを有しているため、状態切り替え装置47は床48の下側から遮蔽板44A側へと移動されて、状態切り替え装置47の頂部の滑らかな曲面が遮蔽板44Aに接触し、回転軸49を中心にして遮蔽板44Aを駆動し始める。
【0067】
図19および
図20は、遮蔽装置14Cの遮蔽状態を示す平面図および側面図である。
【0068】
状態切り替え装置47によってやがて遮蔽板44Aは、回転軸49を中心にしてほぼ水平な遮蔽状態となり、先に説明したように小型トレー3Bの外周部とリフト開口部13の内縁部との間に存在する隙間を塞ぐ。
【0069】
上述したように全てのトレー3A,3Bはその裏面側に設けたトレー側ガイドレールと、各格納スペースの床側に設けた床側トレー駆動装置16によって移動可能に構成しているため、リフト装置2を特別の構成に改造する必要はない。また、リフト開口部13近傍の床側に遮蔽装置14A〜14Dを設けているため、従来のように複雑で大がかりな渡り床などをリフト装置2側に追加する必要もない。こうしてリフト装置2の構成を複雑にすることはなく、従来と同じ構成のものを使用しながら、小型トレー3Bをリフト装置2に搭載させたとき小型トレー3Bの外周部とリフト開口部13の内縁部間に形成されてしまう隙間を簡単な構成で塞いで、大型トレー3Aと小型トレー3Bを混在させることができる。
【0070】
また最上層部8でのみ大型トレー3Aと小型トレー3Bを混在させるようにしているため、他の中間層部9および最下層部10や各柱4A〜4Nの位置を変更する必要がない。このため、従来の機械式駐車装置を少し改造して大型トレー3Aと小型トレー3Bを混在させることができる。
【実施例2】
【0071】
図21は、本発明の他の実施例を示す機械式駐車装置の概略構成を示す側面図である。
【0072】
先の実施例との同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略し、相違部分についてのみ説明する。上述した各実施例は、いずれの場合も多層の床を構成した場合について説明したが、
図1における複数本の柱4A〜4Nを除いて最下層部10における一層のみの床7を有する構成とし、この一層のみの床7に大型トレー3Aと小型トレー3Bとを混在させる構成としている。リフト装置2の構成や、リフト装置2に小型トレー3Bを搭載したときリフト開口部13の内縁部と小型トレー3Bの外周部間に形成された隙間を塞ぐ遮蔽装置14の構成は、先の実施例と同様である。
【0073】
このような構成は、従来の構成では実施することができなかったが、本発明を採用することによって、一層の床構成でも大型トレー3Aと小型トレー3Bとを混在させることができるようになる。
【0074】
尚、本発明の実施に際して、リフト装置2は
図2および
図3に示したように中央の壁側に構成したが、この位置に限らず構成することができる。例えば、
図2および
図3に示した角部の格納スペースの位置に構成したり、中央部の格納スペースの位置に構成したりすることができる。
【0075】
また上述した実施例では、機械式駐車装置の最上層部8において大型トレー3Aと、小型トレー3Bを混在させることについて説明したが、最上層部8の全体または最上層部8の特定のエリアのみを混在区間として使用することもできる。さらに本発明の実施に際して、他の中間層部9および最下層部10にも大型トレー3Aと小型トレー3Bを混在させたりすることもできる。この場合、従来の構成では、中間層部9および最下層部10に位置した各柱4A〜4Nが大型トレー3Aの移動に対して障害となる。従って、このような機械式駐車装置では、中間層部9および最下層部10に位置した各柱4A〜4Nの間隔を、大型トレー3Aが長手方向にも幅方向にも移動できるようにより大きな間隔に変更する。
【0076】
以上説明したように本発明による機械式駐車装置は、駐車車両を載せて移動することになるトレーは、大型駐車車両用の大型トレー3Aと、大型トレー3Aよりも小型の小型トレー3Bとを有し、大型トレー3Aと小型トレー3Bの裏面側に設けたトレー側ガイドレールと、格納部階の各格納スペースの床側に構成された大型トレー3Aまたは小型トレー3Bを任意の格納スペースへと移動する床側トレー駆動装置16と、小型トレー3Bがリフト装置2に搭載されたとき、リフト開口部13の内縁部と小型トレー3Bの外周部間に形成された隙間を塞ぐ遮蔽装置14A〜14Dを設け、遮蔽装置14A〜14Dをリフト開口部13近傍の床側に構成したことを特徴とする。
【0077】
このような構成によれば、リフト装置2側の構成を複雑にすることはなく、従来と同じ構成のものを使用しながら、小型トレー3Bをリフト装置2に搭載させたとき小型トレー3Bの外周部とリフト開口部13の内縁部間に形成されてしまう隙間を簡単な構成で塞いで、大型トレー3Aと小型トレー3Bを混在させることができる。
【0078】
また本発明は、上述の構成に加えて、格納部は、一層の床のみを有した構成とし、一層のみの床に大型トレー3Aと小型トレー3Bとを混在させる構成としたことを特徴とする。
【0079】
このような構成によれば、多層の床を構成することなく、一層の床構成でも大型トレー3Aと小型トレー3Bとを混在させることができる。
【0080】
また本発明は、上述の構成に加えて、格納部階は、複数本の柱4A〜4Nと、柱4A〜4Nを用いて構成した多層の床5〜7とを有し、多層の床5〜7のうち最上層部床5に大型トレー3Aと小型トレー3Bとを混在させる構成としたことを特徴とする
【0081】
このような構成によれば、最上層部床5には大型トレー3Aおよび小型トレー3Bの移動を阻止する柱4A〜4Nがなく、または柱4A〜4Nのない構成に簡単にすることができ、これらの柱4A〜4Nによって大型トレー3Aの移動を制限されることなく、小型トレー3Bより大きな大型トレー3Aを使用することができる。