(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596010
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】継ぎ目のないタイルドディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G09F 9/40 20060101AFI20191010BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20191010BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20191010BHJP
G03B 21/10 20060101ALI20191010BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20191010BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
G09F9/40 301
G09F9/33
G03B21/00 E
G03B21/10 Z
G02F1/1333
G02F1/1335
【請求項の数】46
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-554497(P2016-554497)
(86)(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公表番号】特表2017-508185(P2017-508185A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】EP2015053999
(87)【国際公開番号】WO2015128408
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2018年2月22日
(31)【優先権主張番号】1403516.6
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500251180
【氏名又は名称】バルコ・ナムローゼ・フエンノートシャップ
(73)【特許権者】
【識別番号】516157946
【氏名又は名称】バルコ・コントロール・ルームズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BARCO CONTROL ROOMS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒックル,ペーター
【審査官】
石本 努
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−529090(JP,A)
【文献】
特表平09−512111(JP,A)
【文献】
特開2008−286987(JP,A)
【文献】
特開2007−093867(JP,A)
【文献】
米国特許第08284487(US,B1)
【文献】
特表2008−545875(JP,A)
【文献】
特開2002−350612(JP,A)
【文献】
特開平06−317847(JP,A)
【文献】
特開平02−183241(JP,A)
【文献】
特開平04−315137(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0001051(US,A1)
【文献】
米国特許第06005649(US,A)
【文献】
特開2007−271645(JP,A)
【文献】
特開2006−195013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133−1/1335
1/13363
1/1339−1/1341
1/1347
G03B21/00−21/10
21/12−21/30
21/56−21/64
33/00−33/16
G09F9/00−9/46
H01L27/32
51/50
H04N5/64−5/74
9/12−9/31
H05B33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルを有する直視型またはリアプロジェクションタイルドディスプレイ構成であって、各タイルはディスプレイスクリーンと画素位置とを有しており、前記タイルドディスプレイ構成は、
少なくとも2つの隣接するタイルを含み、前記2つの隣接するタイルの各々は、第1の材料の少なくとも1つの基板と、前記少なくとも1つの基板に固定される第2の材料の少なくとも1つの第1の層とを有しており、前記少なくとも1つの第1の層の厚さは前記少なくとも1つの基板の厚さより小さいことを特徴とし、前記少なくとも1つの基板の熱膨張率は、前記少なくとも1つの第1の層の熱膨張率より小さく、前記少なくとも1つの基板は支持フレームに固定されており、各タイルの形状および寸法は、前記少なくとも2つのタイルの間の距離が前記ディスプレイスクリーン上で0.5mm未満に維持されるように、前記タイルドディスプレイにおける前記少なくとも2つの隣接するタイルの整列の変化を低減するために選択されており、前記少なくとも1つの基板は、第1の傾斜接着表面を形成しているその横側上に面取り部を有しており、前記支持フレームは、前記第1の傾斜接着表面と合致する第2の傾斜接着表面を有しており、前記第1および第2の傾斜接着表面は、温度活性化接着テープのような境界付けされた温度活性化接着剤により、互いに固定されるか、または、薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤により接着され、前記第1および第2の傾斜接着表面は、前記境界付けされた温度活性化接着剤または前記薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤が、長期のクリープおよびシアーに対して抵抗を有するような傾斜接着表面であり、前記各タイルの前記支持フレームは機械固定手段によって支持構造に固定される、タイルドディスプレイ構成。
【請求項2】
前記第1の傾斜接着表面の傾斜角は、前記タイルに対して垂直な前記タイルの光学軸に対する鋭角を形成する、請求項1に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項3】
対向する横側の傾斜接着表面の傾斜角は、前記支持フレームと前記少なくとも1つの基板との間に、前記光学軸に平行または直交するシアー平面が存在しないように異なる角度で傾斜する、請求項2に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項4】
隣接するタイルの前記少なくとも1つの基板は互いに機械的に接触されることが可能である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項5】
前記少なくとも2つのタイルの前記少なくとも1つの基板の熱膨張率は、273°Kと373°Kとの間で、9.5 10−6 1/°K以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項6】
前記第2の材料の前記第1の層は、フレネルレンズを形成するために刻み込みまたは成形により修正されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項7】
前記フレネルレンズは前記少なくとも1つの基板上に接着または積層される、請求項6に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項8】
第2の層を支持する他の基板をさらに含む、請求項6または7に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項9】
前記第2の層は前記他の基板に固定される、請求項8に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項10】
前記他の基板は、前記少なくとも1つの基板と同じ材料である第3の材料から作製されている、請求項8または9に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項11】
前記他の基板に固定される前記第2の層は、前記第1または第3の材料と異なる第4の材料で作製されている、請求項10に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項12】
前記第2の層は、前記他の基板に固定されるか、または、硬化される前に前記他の基板に堆積される、請求項8〜11のいずれか1項に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項13】
前記第2の層は前記他の基板上に接着または積層される、請求項8〜11のいずれか1項に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項14】
各タイルの前記少なくとも1つの基板および前記他の基板は互いに固定される、請求項8〜12のいずれか1項に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項15】
各タイルの前記少なくとも1つの基板および前記他の基板は、温度活性化接着テープのような境界付けされた温度活性化接着剤により互いに固定されるか、または、薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤により互いに接着される、請求項14に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項16】
前記他の基板は前記支持フレームに固定される、請求項8〜15のいずれか1項に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項17】
前記少なくとも1つの基板は液晶画像形成装置を支持する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のタイルドディスプレイ構成。
【請求項18】
リアプロジェクションまたは直視型ディスプレイシステムのための少なくとも2つの隣接するタイルを有するタイルドディスプレイ構成を作製する方法であって、各タイルは画素位置を有するディスプレイスクリーンに関連付けられており、前記2つの隣接するタイルの各々は第1の材料の少なくとも1つの基板を有しており、前記方法は、
前記少なくとも1つの基板に第2の材料の少なくとも1つの第1の層を固定するステップを含み、前記少なくとも1つの第1の層の厚さは前記少なくとも1つの基板の厚さより小さいことを特徴とし、前記少なくとも1つの基板の熱膨張率は、前記少なくとも1つの第1の層の熱膨張率より小さく、各タイルの形状および寸法は、前記少なくとも2つのタイルの間の距離が前記ディスプレイスクリーン上で0.5mm未満であるような形状および寸法であり、前記方法はさらに、前記少なくとも1つの基板を支持フレームに固定するステップを含み、前記少なくとも1つの基板は、第1の傾斜接着表面を形成するその横側上に面取り部を有しており、前記支持フレームは、前記第1の傾斜接着表面と合致する第2の傾斜接着表面を有しており、前記第1および第2の傾斜接着表面は、温度活性化接着テープのような境界付けされた温度活性化接着剤により、互いに固定されるか、または、薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤により接着されて、前記接着テープまたは前記接着剤内のシアーおよびクリープが低減される、方法。
【請求項19】
前記第1の傾斜接着表面の傾斜角は、前記タイルに対して垂直な前記タイルの光学軸に対する鋭角を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
隣接するタイルの前記少なくとも1つの基板を互いに機械的に接触するステップをさらに含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の材料の前記第1の層は、フレネルレンズを形成するために刻み込みまたは成形により修正される、請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記フレネルレンズは前記少なくとも1つの基板上に接着または積層される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第2の材料の前記第1の層は、フレネルレンズへと成型される前に前記少なくとも1つの基板上に樹脂として堆積され、前記少なくとも1つの基板上で硬化される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
フレネルレンズは、前記少なくとも1つの基板に直接的に刻まれる、請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
各ディスプレイタイルは他の基板を有し、前記方法はさらに、前記他の基板に第2の層を固定するステップを含む、請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の層は前記他の基板に堆積され、その後、硬化される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の層は前記他の基板上に接着または積層される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
各タイルの前記少なくとも1つの基板および前記他の基板は互いに固定される、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
各タイルの前記少なくとも1つの基板および前記他の基板は、温度活性化接着テープのような境界付けされた温度活性化接着剤により互いに固定されるか、または、薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤により互いに接着される、請求項25〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記他の基板は支持フレームに固定される、請求項25〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの基板により液晶画像形成装置を支持するステップをさらに含む、請求項18〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
リアプロジェクションまたは直視型ディスプレイシステムのためのタイルドディスプレイ構成のためのタイルであって、前記タイルは画素位置を有するディスプレイスクリーンを有しており、前記タイルは、
剛性および強度の特性を有する第1の材料の少なくとも1つの基板と、前記少なくとも1つの基板に固定される第2の材料の少なくとも1つの第1の層とを含み、前記少なくとも1つの第1の層の厚さは前記少なくとも1つの基板の厚さより小さいことを特徴とし、前記少なくとも1つの基板の熱膨張率は、前記少なくとも1つの第1の層の熱膨張率より小さく、前記少なくとも1つの基板は支持フレームに固定され、前記少なくとも1つの基板は、第1の傾斜接着表面を形成するその横側上に面取り部を有しており、前記支持フレームは、前記第1の傾斜接着表面と合致する第2の傾斜接着表面を有しており、前記第1および第2の傾斜接着表面は、温度活性化接着テープのような境界付けされた温度活性化接着剤により、互いに固定されるか、または、薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤により接着されて、前記温度活性化接着テープまたは前記接着剤内のシアーおよびクリープが低減される、タイル。
【請求項33】
前記第1の傾斜接着表面の傾斜角は、前記タイルに対して垂直な前記タイルの光学軸に対する鋭角を形成する、請求項32に記載のタイル。
【請求項34】
対向する横側の傾斜接着表面の傾斜角は、前記支持フレームと前記少なくとも1つの基板との間に、前記光学軸に平行または直交するシアー平面が存在しないように異なる角度で傾斜する、請求項33に記載のタイル。
【請求項35】
前記少なくとも1つの基板の熱膨張率は、273°Kと373°Kとの間で、9.5 10−6 1/°K以下である、請求項32〜34のいずれか1項に記載のタイル。
【請求項36】
前記第2の材料の前記第1の層は、フレネルレンズを形成するために刻み込みまたは成形により修正されている、請求項34または35のいずれか1項に記載のタイル。
【請求項37】
前記フレネルレンズは前記少なくとも1つの基板上に接着または積層される、請求項36に記載のタイル。
【請求項38】
第2の層を支持する他の基板をさらに含む、請求項36または37に記載のタイル。
【請求項39】
前記第2の層は前記他の基板に固定される、請求項38に記載のタイル。
【請求項40】
前記他の基板は、前記少なくとも1つの基板と同じ材料である第3の材料から作製されている、請求項38または39に記載のタイル。
【請求項41】
前記第2の層は、前記第1または第3の材料と異なる第4の材料から作製されている、請求項38、39または40に記載のタイル。
【請求項42】
前記第2の層は、硬化される前に前記他の基板に堆積される、請求項38〜41のいずれか1項に記載のタイル。
【請求項43】
前記第2の層は前記他の基板上に接着または積層される、請求項38〜41のいずれか1項に記載のタイル。
【請求項44】
前記タイルの前記少なくとも1つの基板および前記他の基板は互いに固定される、請求項38〜43のいずれか1項に記載のタイル。
【請求項45】
前記タイルの前記少なくとも1つの基板および前記他の基板は、温度活性化接着テープのような境界付けされた温度活性化接着剤により互いに固定されるか、または、薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤により互いに接着される、請求項44に記載のタイル。
【請求項46】
前記少なくとも1つの基板は液晶画像形成装置を支持する、請求項32〜45のいずれか1項に記載のタイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルドディスプレイと、ディスプレイタイルと、そのようなディスプレイを駆動するために必要とされる任意のソフトウェアまたはコントローラを含む、これらを製造および動作する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
図1は、先行技術から公知である、プロジェクタPによるリアプロジェクションセットアップの図を示しており、フレネルレンズFはプロジェクションスクリーンPの前に配置されている。これにより、特定の写角から見ている視聴者Vにとってより一般的な明るさが提供され得る。
【0003】
プロジェクションスクリーンPは、たとえばポリメタクリル酸メチル(PMMA)といった、ディフューザに関連付けられるプラスチック材料からなる。ディフューザはたとえば、プロジェクションスクリーンの出力表面(視聴者が見る表面)をサンドブラスティングすることによって、または、重合の前に樹脂に小さな粒子(たとえば二酸化チタン)を混合することによって、得られる。
【0004】
タイルドリアプロジェクションセットアップにおいて、
図2において示されるように、各々がスクリーンPを有するいくつかのリアプロジェクションモジュールが、より大きなプロジェクションスクリーンを形成するよう、チェス盤の態様で互いに隣接して配置される。
【0005】
さらに、
図2は、画素がプロジェクションスクリーンP上でどのように配されるかを概略的に示す。ライトバルブ(たとえばLCOS、LC、または、DMDとしても既知であるマイクロミラー)ユニットによって示される画像のプロジェクションに関係している。緑、赤および青といった3つのサブ画素が互いに近接して存在しており、表示される画像の画素をそれら全体で作り出す。画素は間隔Aを伴って互いに連続している。破線は、先行技術から公知であるプロジェクションセットアップにおいて、光が投射されるプロジェクションスクリーンPの内部エリアを示す。この図から、プロジェクションスクリーンPの縁部において画素が互いに対して直接的に当接するような態様でリアプロジェクションモジュールを構築することは必要ではないということが明らかになる。なぜならば、隣接するプロジェクションスクリーンに投射される2つの隣接する画素同士の間の実現可能な間隔が、プロジェクションスクリーンP上の画素の間隔Aにほぼ対応する場合、表示される画像の画素構造で十分であるからである。先行技術において、隣接するプロジェクションスクリーンに投射がなされる2つの隣接する画素同士の間の間隔は主として、2つの隣接するプロジェクションスクリーンPを分離する距離によって決定される。2つの隣接するプロジェクションスクリーンP同士の間のスペースはしばしば継ぎ目(seam)と称される。ライトバルブがDMDである場合、赤、緑および青のサブ画素は必ずしも存在しない。その場合、当該色成分の各々は、順次投射され、画素の全エリアを占める。当該色成分は、順次投射される代わりに、互いの上に同時に投射され得、画像の各色成分がDMDによって形成され、プロジェクタはカラー画像を形成するために3つのDMDを有する。
【0006】
2つの隣接するプロジェクションスクリーン間の最小距離は、プロジェクションスクリーンPの位置ずれ、湾曲、または破損なしでプロジェクションスクリーンPの熱膨張および湿度膨張を可能にするのに必要な隙間に依存する。
【0007】
熱膨張および湿度膨張と、互いに対するタイルの相対的な動きと、タイル間継ぎ目へのその影響との問題も当該技術において周知である。
【0008】
「リアプロジェクション画像表示システムのためのスクリーンユニット、その製造方法、およびスクリーンユニットを組み立てるために使用される構成要素(Screen unit for rear projection picture display system, method for producing the same and component to be used for assembling the screen unit)」という名称のUS5,400,178において、熱膨張の問題は、ほぼ同じ熱膨張率を有する材料を使用することにより対応されている。しかしながら、タイル間継ぎ目の幅が同じタイル上の2つの隣接する画素同士の間の距離以下でなければならない継ぎ目のないタイルドディスプレイについては、熱膨脹差はそれでも大きすぎる。
【0009】
「透過型プロジェクションスクリーンアセンブリ(Transmission type projection screen assembly)」という名称のUS5,185,677では、張力機構が使用される。当該機構は、スクリーンタイルがそれから作製されているシートの熱膨張率と実質的に等しい熱膨張率を有する材料で作製されている力受取ブロックを含む。
【0010】
しかしながら、隣接するスクリーンの1つより多い列を有するタイルドディスプレイの場合、張力機構を視聴者から隠すことはできない。したがって、US5,185,677に提案されている機構では、大きな複数列の継ぎ目のないタイルドディスプレイの組み立ては可能ではない。
【0011】
基本ユニットから組み立てられるマルチスクリーンディスプレイの場合だけでなく、たとえば接着結合によって小さなスクリーン同士を結合することによってより大きなスクリーンが得られる先行技術のマルチスクリーンディスプレイの場合も大気条件の影響は重要である。
【0012】
上で記載された先行技術の基本ユニットはしばしばスクリーンのまわりにフレームを有しており、当該フレームは、このスクリーンを平坦に保持し、さらに、しばしば当該基本ユニットの筐体にスクリーンを取り付けるよう機能するとともにスクリーンの縁部を破損から保護する。このフレームは、基本ユニットの前側の外縁部まで画像が投射されるのを防止し、かつ、基本ユニット同士間の視覚結合部または継ぎ目をより大きくする。EP−0 650 295およびEP−0 523 427は、この性質の基本ユニットと、マルチスクリーンディスプレイを形成するこの性質の複数の基本ユニットのアセンブリとを記載している。WO95/28664においては、ちょうど基本ユニットの前側の縁部まで画像が投射されることを可能にするためのソリューションが記載されており、当該ソリューションは、プロジェクタからの光が、妨げられることなく、基本ユニットの前縁部でもあるスクリーンの前縁部に到達することができるように、スクリーンの外縁部の特別な処理を行うことと、支持構造への上記スクリーンの特別な取り付けを行うこととから構成される。原理上、特定の温度にて基本ユニットのスクリーン同士の間の完全な接続を達成することは可能である。しかしながら、この性質の基本ユニットの縁部は輸送の間に壊れやすく、また、基本ユニットのアセンブリに固有の他の問題が存在し続けている。
【0013】
別のソリューションは、より大きなスクリーンを形成するために相対的に小さな光学スクリーン同士を接着結合することである。この性質の接着結合されたより大きなスクリーンは、プロジェクションスクリーンが設置されることになっている位置で製造することができず、建設者の施設においてのみ製造することができ、その後、非常に堅牢で大きな包装で輸送されなければならない。支持構造への取り付けの間にスクリーンの損傷および汚染を防止するために、可能な限り最も大きな注意で設置が行なわれなければならない。大気条件(紫外線、温度変化の繰り返し、湿気の吸収、酸化…)の影響により、接着剤の機械的および光学的性質が変化することになり、継ぎ目がより識別可能になる。
【0014】
接着結合を作り出すために接着剤を塗布する場合、層同士の間の薄い連続的な膜内に当該接着剤を押し込み、結合部から空気を押し出し、表面を接着剤と密接させ、かつ、接着剤の硬化の間にこの位置においてそれらを保持するために、圧力が使用される。
【0015】
これは、以下の理由により、従来の接着ストラテジーである。
a)接着剤材料自体はあまり強くないので、接着剤の厚さを大きくすることはよい考えではない。その代わりに、接着剤は、良好に処理された表面に非常に良好に粘着した非常に薄い層であるべきである。
【0016】
b)これを行うために、当該表面は非常に平らでかつ完全に清潔でなければならず、接着剤が乾くまで可能な限り強く互いにクランプされなければならない。
【0017】
接着剤は絞り出され(ステップ1)、さらに、圧力下で表面同士は一緒に保持されなければならない(ステップ2)。
【0018】
ステップ1は、製造の間に煩雑になり得、表面を清浄にする必要があり、ステップ2は、製造を遅らせ、そのため製造時間を増加させ製造コストを増加させる。
【0019】
たとえばガラスから作製される壊れやすい基板が、適用された圧力によって破壊され得る。大きなタイルドディスプレイの重さを低減するために、すべての構成要素の厚さおよび重さを低減することに関心が存在する。
【0020】
液体接着剤は、傾斜/横方向接着表面に対応していない。接着剤は、(ディスプレイタイル間のギャップ/継ぎ目に影響を与える)不規則な厚さを有し、時に層同士の間(たとえばフレネルレンズとその上の基板との間)を流れる/漏出することが知られている。そのような接着剤は、汚れおよび目に見えるアーティファクトを形成し得る。
【0021】
熱活性化接着テープのような、境界付けされた熱活性化接着剤の1つの利点は、優れた構造的接着特性を有したまま他の構成要素への熱的損傷が低減または回避され得るように、熱活性(すなわち温度および活性化時間の組合せ)が良好に制御され得ることである。たとえば、本発明の実施形態と共に使用されるような、熱活性化接着テープといった境界付けされた熱活性化接着剤は、90秒未満の活性化時間で120℃までの温度で活性化され得る。温度が低い場合、より高い活性化時間が使用され得る。活性化時間は、温度が70℃〜80℃のような典型的なポリマーガラス温度まで低減される場合、さほど問題ではない。そのような非常に低い温度のシステムはあまり好ましくない。したがって、活性化温度の妥当な範囲は100℃〜140℃であり、140℃での活性化時間は30秒未満であり、120℃での活性化時間は90秒未満である。
【0022】
スクリーンパネルは好ましくは、フレネルレンズ、両凸レンズ、または、これら2つの組合せといった光学パネルであり、完全に直線的な縁部を有する。これらのスクリーンパネルは、複数の層を含んでもよく、当該複数の層のうち少なくとも1つの層は、結合ワイヤーの支援により取付板に取り付けられる。スクリーンパネル同士を互いに向かって引くとともに互いに対して位置決めするために、かつ、これらのスクリーンパネルを固定するとともに取付板に対して位置決めするために、U字型で金属またはプラスチックから作製される剛性の結合ワイヤーの使用が好ましい。
【0023】
互いに向かって引かれたスクリーンパネル同士の間の継ぎ目は最小であり、1/2ミリメートル未満のサイズである。結合ワイヤーによってパネルをともに引くことによって、製造公差ならびに温度および相対的な大気湿度のような変化する気候条件下にかかわらず、スクリーン同士の間の継ぎ目は常に最小のままであることが保証される。一方のスクリーンパネルと他方のプロジェクションスクリーンの支持構造との間の膨張/収縮の如何なる差も、スクリーンと支持構造とを一緒に結合する取付板が変形可能であり、および/または、支持構造に対して移動可能な結合部を有するという事実と、スクリーンパネル同士の間の結合部を最適に維持するために結合ワイヤーが限られた程度で変形し得るという事実とによって、吸収される。結果として、スクリーンは、継ぎ目が最小のままであるような態様で、ある範囲内で支持構造に対して動き得る。しかしながら、「互いに隣接および/または互いの上に位置決めされる画像再生装置のためのプロジェクションスクリーン(PROJECTION SCREEN FOR IMAGE REPRODUCTION DEVICES WHICH ARE POSITIONED NEXT TO AND/OR ABOVE ONE ANOTHER)」という名称のEP 1 012 666 B1において開示される縫合されたスクリーンにおける縫合ワイヤーは容易に識別可能である。さらに、設置の労力が高く、環境条件が変化するとプロジェクタは再調節されなければならず、また、ウォールサイズが実際的に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
発明の概要
本発明の目的は、代替的なタイルドディスプレイ、ディスプレイタイル、または、そのようなディスプレイを駆動するために必要とされる任意のソフトウェアまたはコントローラを含む、これらを製造および動作する方法を提供することである。
【0025】
いくつかの実施形態の利点は、たとえばタイルが支持構造に対して移動可能であるという可能性を低減することであり、そのため、継ぎ目は小さいかまたは最小のままとなる。
【0026】
本発明の実施形態の利点は、支持部と基板との間の接続について、以下の利点の少なくとも2つもしくは3つまたはすべてが提供されることである。
【0027】
a)結合部のシアー(sheer)強度
b)結合部のシアー変形
c)接着エリアのサイズ
d)接着される表面の構成、たとえば、傾斜
e)たとえば境界付けされた熱活性化接着剤のような接着剤の選択
f)製造中の圧力の低減による、薄く脆い基板の破損の低減、製造歩留まりの増加、および全重量の低減
g)さらに、重量の低減による、基板へのフレームの接続部に対する荷重の低減。
【0028】
本発明の目的は、固定のための表面エリアを大きくするとともに長期の変形およびシアーに対して抵抗を当該表面エリアに与えつつ、影の問題を悪化させない、支持部と基板との間の嵌合および結合表面の機械的設計を提供することであり、外観を向上させるためにタイル間に小さく正確な継ぎ目を提供し、製造の間に加えられる圧力を低減し、構成要素の重さを低減し、薄く脆い基板を使用する場合に歩留まりを増加させることを可能にする設計を提供することである。
【0029】
いくつかの実施形態の利点は、大きく複数列の継ぎ目のないタイルドディスプレイのアセンブリを可能にすることである。
【0030】
いくつかの実施形態の利点は、熱膨張および湿度膨張と、互いに対するタイルの相対的な動きとの、タイル間継ぎ目に対する影響が低減され得るということである。これにより、薄く脆い基板の使用が可能になり、構成要素の重さを低減する。
【0031】
いくつかの実施形態の利点は、設置の労力が低減され得るということである。いくつかの実施形態の利点は、環境条件が変化している場合に、プロジェクタが必要とする再調節がより少なくなるということである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明のある局面に従うと、タイルドディスプレイシステムが提供される。当該タイルドディスプレイシステムは、少なくとも2つの隣接するタイルを含み、上記少なくとも2つの隣接するタイルの各々は、画素である表示画素を有するディスプレイスクリーンに関連付けられるか、または、当該ディスプレイスクリーンを有する。有色ディスプレイの場合、各画素は、複数の発光素子(たとえばLED)または光調節素子(たとえばLCD)(たとえばRGB(
図1を参照))を含み、隣接するタイルの各々は、第1の材料の少なくとも1つの第1の基板と、第1の基板に固定される第2の材料の少なくとも1つの第1の層とを有しており、少なくとも1つの第1の層の厚さは第1の基板の厚さより小さいことを特徴とし、第1の基板の熱膨張率は、少なくとも1つの第1の層の熱膨張率より小さく、少なくとも2つのタイルの間の距離は、ディスプレイスクリーン上の画素位置のサイズより小さい。
【0033】
本発明の実施形態は、プロジェクションに基づいたビデオウォールに限定されない。それらは、液晶ディスプレイまたはOLEDディスプレイのような直視型ディスプレイの継ぎ目のないタイル配置を可能にするために使用され得る。従来のディスプレイは通常、数ミリメートルの相当な継ぎ目を有し、関連するビデオウォールにおいて大きく見苦しいギャップを引き起こす。
【0034】
本発明の別の局面に従うと、タイル同士の間の継ぎ目を可能な限り最小に低減するために、隣接するタイルの第1の基板は互いに機械的に接触されることが可能である。2つの隣接するタイル同士の間の距離がタイルT上の2つの隣接する画素同士の間の距離「A」より小さい場合、実現されたタイルドディスプレイは継ぎ目がないと考えられる。
【0035】
本発明の別の局面に従うと、少なくとも2つのタイルの基板の熱膨張率は、273°Kと373°Kとの間で、9.5 10
−61/°K以下である。これにより、より大きな温度間隔にわたって、継ぎ目を最小にまで低減することが可能になる。
【0036】
本発明の別の局面によれば、第2の材料の第1の層はフレネルレンズを有する。たとえば、第2の材料の第1の層は、フレネルレンズを形成するために刻み込み(engraving)により修正される。これは、タイルドリアプロジェクションディスプレイシステムには特に妥当である。
【0037】
第2の材料の第1の層はフレネルレンズになるように成型され得る。その後、得られたフレネルレンズは第1の基板上に固定され得、たとえば、第1の基板上に接着または積層され得る。代替的には、フレネルレンズは、第1の層が第1の基板上に固定された後、たとえば、第1の基板上に接着または積層された後で、成型される。
【0038】
代替的には、第2の材料の第1の層は、フレネルレンズへと成型される前に、第1の基板に樹脂として堆積され、随意に第1の基板上で硬化される。
【0039】
本発明の別の局面において、フレネルレンズを支持する第1の基板は、別の機能層を支持する別の基板に関連付けられる。本発明の当該局面において、各ディスプレイタイルは、第2の基板と、第2の基板に固定される第2の層とを有する。第2の基板は、第1の基板と同じ材料で作製され得るか、または、第3の材料で作製され得る。第2の層は一般に、第1または第3の材料と異なる第4の材料から作製される。
【0040】
第2の層は第2の基板に固定される。たとえば、第2の層は通常は、第2の基板に接着もしくは積層されるか、または、硬化される前に第2の基板に堆積される。
【0041】
本発明の別の局面において、フレネルレンズは、第1の基板に直接的に刻まれる。
本発明の実施形態に従うと、各タイルの第1および第2の基板は、たとえば境界付けされた熱活性化接着剤の使用によって、互いに固定され得る。感圧性構造接着テープは、圧力の使用がガラスのような薄く脆い基板を損なう場合があるので、あまり好ましくない。ガラスは重い材料であり、ガラスを薄くすることは、ディスプレイタイルのコストを低減するとともに重さを低減するので利点となる。境界付けされた熱活性化接着剤は、接着剤のフローが境界付けされるもの、すなわち、境界に制限されたものである。境界付けされた熱活性化接着剤はたとえば、温度活性化接着テープ、または、薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤であり得る。
【0042】
熱活性化接着テープのような、境界付けされた熱活性化接着剤の1つの利点は、優れた構造的接着特性を有したまま他の構成要素への熱的損傷が低減または回避され得るように、熱活性(すなわち温度および活性化時間の組合せ)が良好に制御され得ることである。たとえば、本発明の実施形態と共に使用されるような、熱活性化接着テープといった境界付けされた熱活性化接着剤は、90秒未満の活性化時間で120℃までの温度で活性化され得る。温度が低い場合、より高い活性化時間が使用され得る。活性化時間は、温度が70℃〜80℃のような典型的なポリマーガラス温度まで低減される場合、さほど問題ではない。そのような非常に低い温度のシステムはあまり好ましくない。したがって、活性化温度の妥当な範囲は100℃〜140℃であり、140℃での活性化時間は30秒未満であり、120℃での活性化時間は90秒未満である。
【0043】
本発明の実施形態は以下の利点の1つ以上を有する。
a)ディスプレイタイルの光学軸を基準として表面を傾斜させることによって、すなわち表面に角度を与えることによって、結合面のエリアを増加させる。
【0044】
b)その一方、結合表面をほぼ平行に保つ。
c)強い接続を提供しつつ移動または流れない、たとえばテープの形態の境界付けされた温度活性化接着剤を使用する。
【0045】
d)さらに、基板の傾斜縁または面取り縁によって、縁部上の影を低い値、理想的には可能な限り小さな値、に維持する。
【0046】
e)両方の側上のフレームの接続部は、ディスプレイが設置される際に、ディスプレイの光学軸と平行であり、および/または、垂直方向に沿った破断線またはシアー表面が存在しないように、傾斜または面取りされた結合表面を有する(当該傾斜または面取りされた結合表面は、一方の側であり、ディスプレイタイルの他方の側上の傾斜と対向する)。
【0047】
f)製造の間に基板に加えられた圧力が低減され、重さを低減し歩留まりを増加させるガラスのようなより薄く脆い基板の使用が可能になり、これにより、コストが低減され、さらに基板へのフレームの接続部に対する荷重が低減される。
【0048】
本発明の実施形態は、タイルの対向する縁部(横側)上の面取り部の反対の傾斜方向により、増加した接着エリアを有する。これは、基板がシアー平面に沿って垂直に摺動し得ないように、その支持部への基板の接続部が、少なくとも一方向、好ましくは2つの直交する方向において、ディスプレイタイルの光学軸と平行であるか、または、光学軸に垂直であるシアー平面を有していないことを意味する。支持部の縁部(横側)上の面取り部の傾斜によって、縁部でのより良好な光学設計が提供される。
【0049】
したがって、本発明のある局面において、本発明の実施形態に従うと、たとえば境界付けされた熱活性化接着剤によって、第1および第2の基板の少なくとも1つが支持フレームに固定される。感圧性構造接着剤テープは、上で述べた理由により、すなわち、脆い基板の破損のリスクがあり、より厚くより重いプレートが使用されることになってしまうので、あまり好ましくない。境界付けされた熱活性化接着剤は、接着剤のフローに境界がつけられたものである。境界付けされた熱活性化接着剤は、温度活性化接着テープまたは薄いキャリアフォイル上に施された温度活性化接着剤であり得る。第1および第2の基板の少なくとも1つを支持フレームに固定するための表面は、ディスプレイタイルの光学軸に対して鋭角でタイルディスプレイの縁部からタイルの中心に向かって内方へ延在する結合表面である。光学軸は、基板またはタイルの主表面に垂直であると仮定される。タイルの対向する縁部(横側)は、第1および第2の基板の少なくとも1つを支持フレームに固定するための表面を有しており、これにより、各結合表面は、ディスプレイタイルの光学軸に対して鋭角で、タイルディスプレイの縁部からタイルの中心に向かって内方へ延在する。基板の縁部(横側)は面取りされている。ディスプレイが4つの側面を有し、かつ、各縁部(横側)が内方へ面取りされている場合、基板は、ピラミッドの切頭基部の形態にある。これにより、ディスプレイタイルの基板の縁部(対向する横側)での2つの対向する(正反対の)結合表面は、光学軸に平行なシアー線が形成されないように、反対の角度で内方へ傾斜する。好ましくは、タイルは、ディスプレイが設置される際の垂直方向における光学軸に垂直なシアー線が形成されないように、ディスプレイタイルが設置される際に、反対の角度で内方へ傾斜する、基板の頂縁部および底縁部にて2つの面取りされた結合表面を有する。
【0050】
熱活性化テープのような境界付けされた熱活性化接着剤を使用することによって、厚さが制御される(液体接着剤と異なり、少なすぎるまたは多すぎる接着剤についての製造問題およびそれに関連するオペレータの感性は存在しないからである)。これは、タイル間のギャップの寸法を制御するために重要であり、接着剤の境界付けは、製造の間またはその後に接着剤が「漏出する」ことはないことを意味する。本発明の実施形態に従うと、たとえば1.5mの対角線であり、タイルごとに数キログラムであり、各々が1〜3mmの厚さを有する、
10以上の基板を有するディスプレイタイルのための安定した支持を提供するよう、接着にはより大きな表面が与えられる。本発明の実施形態は、好ましくは、ディスプレイタイルの面取り縁(横側)に沿って、より大きな表面を有する支持部になされる接着を提供し、したがって、受ける剪断力がより低い。設置されると、タイルの重さは、少なくとも2つの縁部に沿って、ほとんど横方向ではなく垂直に適用される。高い圧力を伴わない接着方法の使用により、ガラスのような脆い基板に対する損傷のリスクが低減され、これにより、全重量を低減するとともに接続部に対する
長時間荷重を低減する。
【0051】
代替的には、熱活性化接着テープのような境界付けされる熱活性化接着剤は、基板を機械的固定要素に固定するために使用され得る。特に、熱活性化接着テープのような同じ境界付けされる熱活性化接着剤は、2つの基板を互いに固定するために使用され得、また、基板を機械的固定要素に固定している。
【0052】
本発明の別の局面において、第1の基板は、キャリアとして作用し、液晶画像形成装置を支持する。
【0053】
本発明はさらに、タイルドディスプレイ構成のためのタイルを提供する。当該タイルは、画素位置を有するディスプレイスクリーンを有し、2つの隣接するタイル同士の間の距離がディスプレイスクリーン上の画素位置のサイズより小さいように適合される。上記タイルは、第1の材料の少なくとも1つの第1の基板と、第1の基板に固定される第2の材料の少なくとも1つの第1の層とを含み、少なくとも1つの第1の層の厚さは第1の基板の厚さより小さいことを特徴とし、第1の基板の熱膨張率は、少なくとも1つの第1の層の熱膨張率より小さい。
【0054】
本発明はさらに、少なくとも2つの隣接するタイルを有するタイルドディスプレイ構成を作製する方法を提供する。各タイルは、画素位置を有するディスプレイスクリーンを有しており、2つの隣接するタイルの各々は第1の材料の少なくとも1つの第1の基板を有している。当該方法は、第1の基板に第2の材料の少なくとも1つの第1の層を固定するステップを含み、少なくとも1つの第1の層の厚さは第1の基板の厚さより小さいことを特徴とし、第1の基板の熱膨張率は、少なくとも1つの第1の層の熱膨張率より小さく、少なくとも2つのタイルの間の距離は、ディスプレイスクリーン上の画素位置のサイズより小さい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】リアプロジェクションシステムの概略図である。
【
図2】タイルドディスプレイ上の画素の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態に従ったディスプレイタイルの断面図である。
【
図4a】本発明の実施形態に従ったキャリア基板の面取りの例の図である。
【
図4b】本発明の実施形態に従ったキャリア基板の面取りの例の図である。
【
図5】本発明の実施形態に従ったタイルおよび固定機構の断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に従ったタイルおよびそれが固定されるフレームの展開図である。
【
図7】本発明の実施形態に従った接着テープによるフレームへの2つのキャリア基板の固定の図である。
【
図8】本発明の実施形態に従ったキャリア基板の面取りおよび基板を通る最も外側の光線の伝搬の詳細の図である。
【
図9】本発明の実施形態に従ったキャリア基板の面取りおよび基板を通る最も外側の光線の伝搬の詳細の図である。
【
図10】本発明の実施形態に従った直視型ディスプレイにおけるタイルの概略図である。
【
図11】本発明の実施形態に従った直視型タイルドディスプレイの概略図である。
【
図12】本発明の実施形態に従った、タイルの概略的な断面図であって、基板と機械的固定要素とフレームとの間の隙間の図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
実施形態の詳細な説明
特定の実施形態に関してある図面を参照して本発明を記載するが、本発明はそれらに限定されず、請求の範囲によってのみ限定される。記載される図面は単に概略的であり非限定的である。当該図面において、要素のうちのいくつかのサイズは、説明目的のために誇張されており、尺度決めされて描かれていない。「含む」という用語は、本記載および請求の範囲において使用される場合、他の要素またはステップを除外しない。たとえば「ある(「a」または「an」)」または「その(「the」)といった単数名詞を参照する場合に不定冠詞または定冠詞が使用される場合、これは、他のことが具体的には述べられなければ、当該名詞の複数を含む。請求の範囲において使用される「含む」という用語は、その前に列挙される手段に制限されるとは解釈されるべきでなく、他の要素またはステップを除外しない。
【0057】
さらに、当該記載および請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」などといった用語は、同様の要素同士を区別するために使用されており、必ずしも、連続する順序または時間的順序を説明するためのものではない。そのように用いられる上記の用語は適切な状況下では交換可能であり、本願明細書において記載された本発明の実施形態は、本願明細書において記載または説明された以外のシーケンスにおける動作が可能であることが理解されるべきである。
【0058】
さらに、当該記載および請求の範囲における「頂部」、「底部」、「水平」および「垂直」などといった用語は、別の意味がそれらに割り当てられていなければ、水平に置かれるカーペットを説明するために通常使用される。
【0059】
図面において、同様の参照番号は同様の特徴を示しており、1つより多い図に現われる参照番号は同じ要素を指す。
【0060】
本発明は、ディスプレイタイルTと、たとえばリアプロジェクションタイルドディスプレイまたはタイルド液晶ディスプレイのようなタイルドディスプレイとに関する。
【0061】
本発明は、自身の形状および平坦性を維持し、その環境(高湿度、温度変動…)にかかわらず小さいまたは無視できる熱膨張のみを有し、タイルドディスプレイにおける隣接したディスプレイタイルと整列されたままであるディスプレイタイルTの設計に関する。そのために、たとえばガラスのような安定した透明なキャリア基板1が使用される。有利な特性は、剛性および強度、透明性、低コスト、絶縁体、さまざまなサイズおよび厚さでの入手可能性である。ガラスはこれらの特性を示し得る。ガラスはたとえばソーダ石灰ガラスである。他のタイプのガラスが可能である。当該キャリア基板に使用される材料の熱膨張率は、9.5 10
−6°K
−1未満であることが有利である。基板1は、実質的に平坦である第1の側、第1の主表面、または、入射面を有する。入射面は、プロジェクタまたはバックライトによって投射された光が入射する基板1の面または側である。基板1は、実質的に平坦な第2の側、第2の主面、または、出射面を有する。出射面は、光が出射する基板1の面または側である。基板1の第1の側および第2の側は実質的に平行である。線または表面、特に平面が、基板1に垂直であると言及される場合、これは、当該線または表面が基板1の第1および第2の側に垂直であるということを意味する。
【0062】
フレネルレンズ2が基板1上に設けられる。フレネルレンズ2はたとえば基板1に直接的に刻まれ得る。代替的には、フレネルレンズは、たとえば
図3に示されるように基板1上に積層または接着されるといったように基板1に固定される薄いポリマー層3において実現される。フレネルレンズは、鋳型が押される硬化性樹脂層への直接的な複製によって形成され得る。樹脂は、鋳型の適用に先立って基板1に堆積され得る。樹脂は、基板1とは異なる中間キャリア表面に堆積され、鋳型の適用後に剥がされ、基板1に積層または接着され得る。樹脂は、シリコーン樹脂またはゴムまたはエラストマーのような軟質樹脂か、または、アクリル樹脂のような硬質樹脂であり得る。硬質材料または軟質材料の選択は、タイルTの用途および寸法の関数として決定される。表1(以下を参照)は、軟質のシリコン樹脂の代わりに硬質のアクリル樹脂を使用する利点の概略を示す。
【0063】
ポリマー層3は好ましくは「キャリア」基板1より薄い。たとえば、ポリマー層3が0.3mmの厚さである場合、キャリア基板1の厚さは1mm、2mmまたはそれ以上であり得る。キャリア基板とそれが関連付けられるポリマー層3との厚さの比は、1.8以上たとえば2.5、3または5以下であることが有利である。ポリマー層および基板は一般に異なる熱膨張率を有しており、この厚さの相違により、温度が変動する場合、時間にわたる基板の過度の湾曲または座屈が低減または防止される。基板1は、湿度、酸素に晒されることおよび温度変動によって実質的に影響されない安定した材料であるので、タイルドディスプレイにおいて使用される本発明の実施形態に従ったディスプレイタイルは、隣接するディスプレイタイルと機械的に接触し得る。利点は、タイルの整列は、温度、湿度、ならびに、UV照射および/または酸素に晒された基板の材料の経年変化の変動する条件下で時間にわたって損なわれないということである。
【0064】
キャリア基板1およびポリマー層3の両方を最初は過剰に寸法決めすることにより、キャリア基板1およびポリマー層3の横方向の寸法について高精度が得られる。ポリマー層3は、中間キャリア層にわたってたとえば0.3mm以上の厚さまで広げられ、薄いフレネルレンズ2を形成するよう成型され、剥がされる。この段階において、フレネルレンズ2の横方向の寸法は、たとえば1mmより大きく、一般に20mm程度だけ過剰にサイズ決めされている。たとえば、タイルTの寸法が1550mm×872mmになるべきである場合、過剰にサイズ決めされたタイルTおよびフレネルレンズ2は少なくとも1570mm×892mmになる。過剰にサイズ決めされたフレネルレンズ2は、過剰にサイズ決めされたキャリア基板1上に積層または接着される。ひとたび組み立てられると、過剰にサイズ決めされたキャリア基板1およびフレネルレンズ2は、たとえばウォータージェットにより、それらの最終寸法へと切断される。本発明者は、ウォータージェットが、キャリア基板またはフレネルレンズを劣化させることなく最良の正確さに到達することを可能にした切断技術であることを発見した。フレネルレンズが(過剰にサイズ決めされた)キャリア基板上に直接的に形成される場合に、準用して同じ技術が適用される。代替的には、フレネルレンズ層およびキャリア基板は、組み立てられる前に、別々にある寸法に切断され得る。
【0065】
表2(以下を参照)は、発明者によってテストされたさまざまな切断方法に関連付けられる問題を要約している。
【0066】
反射防止構造4が、
図1のタイルドリアプロジェクションディスプレイにおいてプロジェクタに面する基板1の面上に提供、たとえばエッチングされ得る。代替的な実施形態において、視聴者に面する基板の面または基板の両方の面上に反射防止構造がエッチングされ得る。
【0067】
本発明に従ったディスプレイタイルの形状および寸法は、タイルドディスプレイにおけるそのようなタイルの整列の変化を低減または防止する。したがって、熱拡張によって引き起こされる、互いに対する応力をタイルが働かせるリスクなしで、2つの隣接するタイルの間の距離は最小化され得る。特に、リアプロジェクションタイルドディスプレイスクリーンにおける隣接するタイル同士の間の距離は、たとえば1mm以下、好ましくは0.5mm未満だけ、リアプロジェクションタイルドディスプレイスクリーン上の画素の寸法より小さくなり得る。
【0068】
この発明の実施形態に従ったリアプロジェクションタイルドディスプレイスクリーンにおいて、隣接するタイル同士の間の距離は、非常に低い値に低減され得るか、または、0まで低減、すなわち、隣接するタイルが機械的に接触し得る。これは、隣接するタイルのキャリア基板が互いに直接的に接触し得ることを意味する。特に、タイルドディスプレイは、隣接するタイルのキャリア基板同士が、ディスプレイが動作されることになる最大温度にて、機械的に接触するように設計され得る。ディスプレイが動作する温度が最高温度より小さい場合、隣接するタイル同士は接触をやめ得、2つのタイルの間の距離は増加し得るが、たとえばそうでない場合に可能な値より小さい低い値に常になる。特にリアプロジェクションディスプレイの場合、散乱層および/またはコントラスト増強層も設けられ得る。必要とされる散乱特性およびコントラスト増強特性を有する第2の層6を支持するために第1の基板1に同様または同一である第2の基板5が使用され得る。層6は、基板5の第1の側または第2の側に配置され得る。層6は通常、反射防止構造によって補完される。通常、反射防止構造はたとえば、層6上に重畳される付加的な膜層6bとして層6上に実現される。層6および層6aは通常、中間基板上で重合され、剥がされる。
【0069】
キャリア基板5ならびにポリマー層6および6bの両方を最初は過剰に寸法決めすることにより、キャリア基板5ならびにポリマー層6および6bの横方向の寸法について高精度が得られる。ポリマー層6および6bは順次、中間キャリア層にわたって、たとえば0.3mm以上の厚さに広げられ重合され、剥がされる。この段階において、ポリマー層の横方向の寸法は、たとえば1mmより大きく、通常20mm程度だけ過剰にサイズ決めされている。たとえば、タイルTの寸法が1550mm×872mmになるべきである場合、過剰にサイズ決めされたキャリア基板5およびポリマー層6および6bは少なくとも1570mm×892mmになる。
【0070】
過剰にサイズ決めされた層6および6bは一緒に、過剰にサイズ決めされたキャリア基板5上に、(互いの上に)積層または接着されるといったように固定され得る。ひとたび組み立てられると、過剰にサイズ決めされたキャリア基板5ならびに層6および6bは、たとえばウォータージェットにより、それらの最終寸法へと切断される。本発明者は、キャリア基板または複合層6および6bを劣化させることなく複合層6および6bについて所望の精度に到達することを可能にするといったような非常に重要な特性の組合せを有するウォータージェットが非常に良好な切断技術であるということを発見した。フレネルレンズが(過剰にサイズ決めされた)キャリア基板上に直接的に形成される場合に、準用して同じ技術が適用され得る。
【0071】
基板1および5の断面は、少なくとも一方向(たとえば1Dタイル配置、すなわち、
図4aにおけるような列でのタイル配置の場合)、または、2つの垂直方向(2Dタイル配置、すなわち、
図4bにおけるような1つより多いタイルのいくつかの列でのタイル配置の場合、または、換言すると、ディスプレイタイルがチェス盤のパターンで配置される場合)において、台形または六角形であり得る。
【0072】
キャリア基板1および/または5のプロファイリングは好ましくは、必要な精度へ到達するために、研削のような機械加工技術によって行われる。
【0073】
図4aにおいて、断面は、平面Π上でなされている。
図4bにおいて、断面は、平面Π
1およびΠ
2上でなされており、両方の平面は基板1に垂直である。
【0074】
たとえば
図4aもしくは
図4bならびに/または
図5および/もしくは
図7に示されるように、ならびに/または、
図8および/もしくは
図9および/もしくは
図12に示されるように、本発明の実施形態に従った基板1の2つまたは4つ(すなわちすべて)の縁部(横側)の面取りといったような縁部の面取りにより、より複雑な断面が得られる場合がある。いくつかの実施形態において、
図9および
図12において基板5について示されるように、他の基板が2つ以上の縁部(横側)上にて面取りされてもよく、
図5および/または
図7および/または
図8および/または
図9および/または
図12に示されるように、機械的固定要素8について合致する傾斜または面取りがされてもよい。
【0075】
キャリア基板の断面は、ここで論じられるように、基板の固定に重要な役割を果たす。
機械固定要素8の表面7は、基板1の横側9の部分または当該部分のうちの1つと傾斜が合致する。この目的のために、基板1の横側9は、結合表面がディスプレイタイルの光学軸に対して鋭角を形成するような態様で、斜角がつけられるかまたは面取りされる。光学軸は、基板1の主表面に垂直であると仮定される。しかしながら、これは、主光軸について決定要素とはならない縁部(横側)近辺以外のケースである。
図4a、
図4b、
図5、
図7、
図8、
図9および
図12において示される鋭角は、垂直線と、ディスプレイタイルの内部に向かって下方へ傾斜する線との間である。たとえば
図9において、当該鋭角は、テープが留まる表面と垂直線との間に規定される。この表面は、これらの図面において上方向である出射光学方向に反対の方向において下方に傾斜する。同じ状況が
図4a、
図4b、
図5、
図7、
図8および
図12に提示されている。
【0076】
要素8と同一の別の機械的固定要素の少なくとも1つの表面7bは、図
7に示されるように側9に対向する基板の横側10と合致する。この目的のために、基板1のこの横側9は、結合表面がディスプレイタイルの光学軸に対して鋭角を形成するが、図面において示されるように結合表面がタイルの縁部から内方および下方へ延在するように対向する横側上の角度同士は反対になるような態様で、斜角がつけられるかまたは面取りされる。この効果は、タイルのすべての縁部上、たとえば4つの縁部の各々上にてなされる場合、機械固定要素8がそれに沿って時間とともに変形し得るシアー平面が生成されないということである。機械的固定要素に基板1を固定することは、たとえば表面7および7b上の接着剤によりなされる。側9および10は基板1を面取りすることにより得られる。液体接着剤はあまり好ましくない。最も好ましいのは、上で説明された理由により(液体)接着剤の代わりに基板1を機械的固定要素8に固定するのに有利に使用される、熱活性化接着膜13のような境界付けされた熱活性化接着剤である。第2の基板5は、
図5に示されるようなフレネル層の切頭頂部に接着されてもよい。
【0077】
この発明の実施形態に従ったタイルの斜視図が
図6に与えられる。機械的固定要素8が基板1の周辺に沿って位置決めされることが
図6から明らかである。フレーム要素は、(たとえばナット11およびボルト12によって)フレームFに機械的に固定される。フレームFは、タイルドディスプレイを形成する同一のタイルTを整列および支持する支持構造にタイルTを固定するために使用される。支持構造への固定は、たとえば機械的固定要素A、B、CおよびDによってなされる。支持構造は好ましくは、タイルドディスプレイの平面(たとえばタイルディスプレイのタイルによって決定される平面)において各タイルの位置を調節するよう位置調節手段を有する。たとえば、位置調節手段は、2つの垂直方向における個々のタイルの並進移動を可能にし得る。タイルTの機械的固定要素A、B、CおよびDは、タイルに関連した位置調節手段に固定される。タイルドディスプレイへとタイルを組み立てるために、第1のタイルT1が位置決めされる。第2のタイルT2はT1に隣接していて配置され、タイルT1およびT2の平面内のその位置は、T2の位置調節手段によってタイルを整列させるように調節される。第3のタイルT3はT1に隣接して配置(T2およびT3はT1の対向する側上にある)され、タイルの平面におけるその位置は、T3の位置調節手段によって調節される。第4のタイルT4はT1の上に配置され、タイルの平面内のその位置は調節されるなど…。2×4タイルドディスプレイについて
図13において例が与えられる。
【0078】
その最も単純な形態において、位置調節機構は、ボルトがボルトの直径より大きな開口部を通り抜けるナットおよびボルトシステムからなる。タイルの動きは、開口部におけるボルトの最大の偏位に制限される。ひとたびタイルが位置決めされると、ねじおよびボルトが締められ、ワッシャに圧力がかかる。開口部の各側上に1つのワッシャが存在する。これらのワッシャは、タイルが変位されるとボルトと一緒に動く。支持構造におけるナット、ボルト、ワッシャおよび対応する開口部の4つのセットは、タイルの位置を調節するためにタイルに関連付けられる。
【0079】
基板1および5の信頼性のある組み立てには通常、フレネル要素を切頭することが必要とされる。これらの2つの基板の固定は、たとえばフレネルレンズ層の周辺上において基板5の底部側を切頭されたフレネル要素の頂部へ接着することにより行なわれる。両方の基板1および5の側にオーバーラップする接着膜13と一緒に2つのキャリア基板を固定することが有利である。これは
図7によって示される。代替的な実施形態において、
図3bでのように、層6はフレネルレンズ3と第2のキャリア基板5との間に位置決めされる。
【0080】
境界付けされた熱活性化接着剤の例は、「Latent reaktive, hitzeaktivierbare Klebmasse und damit hergestellte Klebemittel」という名称のドイツ実用新案DE202009015262U1に記載されるような接着膜13である。熱活性化はたとえば、近赤外線加熱または(ヒートガンによって提供されるような)熱風によって行なわれ得る。
【0081】
熱活性化接着テープのような、境界付けされた熱活性化接着剤の1つの利点は、優れた構造的接着特性を有したまま他の構成要素への熱的損傷が低減または回避され得るように、熱活性(すなわち温度および活性化時間の組合せ)が良好に制御され得ることである。たとえば、本発明の実施形態と共に使用されるような、熱活性化接着テープといった境界付けされた熱活性化接着剤は、90秒未満の活性化時間で120℃までの温度で活性化され得る。温度が低い場合、より高い活性化時間が使用され得る。活性化時間は、温度が70℃〜80℃のような典型的なポリマーガラス温度まで低減される場合、さほど問題ではない。そのような非常に低い温度のシステムはあまり好ましくない。したがって、活性化温度の妥当な範囲は100℃〜140℃であり、140℃での活性化時間は30秒未満であり、120℃での活性化時間は90秒未満である。
【0082】
膠のような流体ではない熱活性化接着膜のような境界付けされた熱活性化接着剤では、接着膜13の厚さを制御することがより容易であり、これは、隣接するタイル同士の間の継ぎ目に寄与する。
図7、
図8および
図9から推測することができるように、厚さの良好な制御が必要であり、隣接するタイル同士の間の継ぎ目を制御するよう本発明の実施形態によって提供される。
【0083】
熱活性化接着膜のような境界付けされた熱活性化接着剤も、適用するのが容易であり、層同士の間またはフレネルレンズの溝において接着剤の侵入のリスクが有意に低減されるかまたは当該リスクが引き起こされない。これは、接着剤の侵入が視覚的なアーティファクトを引き起こすので、非常に重要である。代替的な実施形態において、両方の基板1および5は好ましくは、
図8に示されるように、すべての縁部上で面取りされ、フレーム要素8および8bに固定される。この目的のために、両方の基板1および5の少なくとも部分またはすべての横側は、結合表面がディスプレイタイルの光学軸に対して鋭角を形成するが、図面において示されるように、結合表面がタイルの縁部から内方および下方へ延在するように、対向する側上の角度が反対であるような態様で、フレーム要素8および8bの傾斜表面に合致する斜角がつけられるかまたは面取りされる。この効果は、タイルのすべての縁部上、たとえば4つの縁部の各々上にてなされる場合、機械固定要素がそれに沿って時間とともに変形し得るシアー平面が生成されないということである。また、接着層13の厚さの良好な制御によって、2つの隣接するタイル同士の間の距離のより良好な制御が可能になる。
図7、
図8、
図9および
図12は、熱活性化接着膜13のような境界付けされた熱活性化接着剤により2つのキャリア基板1および5と機械的固定要素8とを一緒に固定する代替的な技術を示す。
図7および
図8において、基板1は面取りされるが、その厚さにわたって完全には面取りされない。
図9において、基板1および5はそれらの厚さにわたって面取りされる。しかしながら、随意では、光学要素2および3は面取りされない。
図12に示されるように、基板1は完全に面取りされ、基板5は縁部上で完全には面取りされない。さらに、境界付けされた熱活性化接着剤の使用により、製造の間の圧力が低減され、これにより、高歩留まりで低重量でより薄く脆い基板の使用につながる。
【0084】
上記の概念は、プロジェクションに基づくビデオウォールに限定されない。さらに、上記の概念は、液晶ディスプレイまたはOLEDディスプレイのような直視型ディスプレイの継ぎ目のないタイル配置を可能にするために使用され得る。これらのディスプレイは、数ミリメートルの相当な継ぎ目を有し、関連するビデオウォールにおいて大きなギャップを引き起こす。
【0085】
本発明の実施形態のうちのいずれかにおいて、フレネルレンズ要素は、別の光ガイド機能および画像拡大機能と置換されてもよい。さらに、必要とされる機能のうちのいくつかはディスプレイの前部へ結合され得る。配光、コントラスト増強、および継ぎ目のないタイル配置のためのガラス前面要素の機能は同様の態様で使用される。0.5mmを下回る非常に低い継ぎ目である直視型ディスプレイウォールを構築することが可能である。それは、≒5.5mmを示す今日のソリューションと比較して、一種の改善になる。
【0086】
図10は、継ぎ目のないタイルド液晶(LC: Liquid Crystal)ディスプレイにおいて、単一のキャリア基板および関連付けられる機能層がどのように使用され得るかを示す。ベゼルに固定されるLCパネルは、タイルTに関連付けられる。ベゼルはたとえば0.5cm程度であり得る。LCパネルからの光は、LCパネル上に形成される画像を拡大させる効果を有する発散フレネルレンズ15に対して垂直に到達する。画像は、本発明に従ったタイルT上、すなわち、反射防止層を有するまたは有さない拡散層を支持するキャリア基板に形成される。
【0087】
LCパネル上に形成された画像はタイルTを充填するように拡大される。
図11は、本発明に従ったタイルドディスプレイにおいて2つの隣接したタイルTおよびそれらの関連付けられるLCパネルの断面上の最も外側の投射光線を示す。
【0088】
LCパネル14上に形成される画像を拡大する発散フレネルレンズ15に加えて、フレネルレンズ16が、LCパネル14を照らすバックライトのために使用される。任意の種類の非常に平行なバックライトが、良好なフォーカスおよび増加したコントラストのために好ましい。
【0089】
拡大された画像は、キャリア基板5によって支持された拡散層6によって分散される。2つの隣接するキャリア基板同士の間の距離は、タイルドディスプレイが動作される温度の全範囲にわたり(
図2に示されるように)同じタイルT上に投射される2つの隣接する画素間の間隔A未満である。
【0090】
より良好な画像均一性のために光を平行にするよう、付加的なフレネルレンズ17が、拡散層6およびそのキャリア基板5の前に直接的に位置決めされ得る。キャリア基板および機械的固定要素の断面は、拡散層6への最も外側の投射光線の経路上に障害物が存在しないような断面である。
図12に示されるように、キャリア基板5について最も単純な断面は台形である。LCパネル上に形成される画像の境界は、拡散層6の境界に沿って投射される。
【0091】
2つの隣接したタイル同士の間の距離はタイルT上の2つの隣接する画素同士の間の距離Aより小さいので、実現されたタイルドディスプレイは、継ぎ目がないと考えられる。
【0092】
動作の最高温度で2つの隣接するキャリア同士の間の接触を可能にするために、キャリア基板5の最も外側の横側S1および縁部E1と、機械的固定要素8の最外面要素S2と、フレームFの最外面要素S3との間に、何らかの隙間Δ1およびΔ2を有することが重要である。
【0093】
機械的公差および熱膨張は、隣接するキャリア基板同士間の継ぎ目を最小限にするためにΔ1およびΔ2の値を決定する際に考慮に入れられる。