(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エバポレータユニットと流体連通するコンデンサユニットをさらに備え、該コンデンサユニットが、前記蒸気を凝縮された作動液へと凝縮し、前記凝縮された作動液を前記液体貯槽へと送るように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のガラス製造装置。
【発明の概要】
【0004】
詳細な説明に記載されるある例示的態様の基本的な理解をもたらすために、本開示の簡略化された概要が以下に提示される。
【0005】
第1の例示的態様では、ガラスリボンを延伸するように構成されたガラス製造装置は、作動液を収容するように構成された液体貯槽と、液体貯槽に収容された作動液と熱的に接触して配されるように構成された熱伝導素子とを備えたエバポレータユニットを備える。熱伝導素子は、ガラスリボンから放射熱を受け取り、液体貯槽に収容された作動液へと熱を伝導し、それにより、一定量の作動液を蒸気へと変換することによって、ガラス製造装置から延伸されているガラスリボンを冷却するように構成される。
【0006】
第1の態様の一例では、ガラス製造装置は、エバポレータユニットと流体連通するコンデンサユニットをさらに備える。コンデンサユニットは、蒸気を凝縮された作動液へと凝縮し、凝縮された作動液を液体貯槽に送り戻すように構成される。例えば、一例では、ガラス製造装置は、凝縮された作動液が液体貯槽に重力送給されるように構成される。
【0007】
第1の態様の別の例では、ガラス製造装置は、追加の作動液を液体貯槽に選択的に供給するように構成された補助的な液体貯槽をさらに備える。
【0008】
第1の態様のさらに別の例では、ガラス製造装置は、電磁エネルギーを熱伝導素子に選択的に供給するように構成された誘導コイルをさらに備える。一例では、熱伝導素子は、電磁エネルギーを熱に転換し、熱を放射によりガラスリボンに伝導するように構成される。別の例では、誘導コイルが液体貯槽内に設けられている。さらに別の例では、ガラス製造装置は、誘導コイルを、液体貯槽に収容された作動液との接触から隔離するように構成された隔離チャンバをさらに備える。
【0009】
第1の態様のさらに別の例では、ガラス製造装置は作動液をさらに含み、この作動液は水である。
【0010】
第1の態様のさらに別の例では、熱伝導素子は液体貯槽の壁部を画成する。
【0011】
第1の態様は、単独で提供されてもよいし、あるいは、上述の第1の態様の例の1つ以上と組み合わせて提供されてもよい。
【0012】
第2の例示的態様では、ガラスを製造する方法は、一定量の溶融材料からガラスリボンを延伸する工程を含む。本方法は、ガラスリボンから熱伝導素子に熱を放射し、次に、熱伝導素子から液体貯槽内の作動液へと熱を伝導し、それにより、一定量の作動液を蒸気へと変換することによって、ガラスリボンを冷却する工程をさらに含む。
【0013】
第2の態様の1つの例では、方法は、液体貯槽内の作動液の飽和温度を調整することによって熱伝導素子の冷却速度を調整する工程をさらに含む。例えば、一例では、作動液の飽和温度は、液体貯槽の流体圧力を調整することによって調整される。
【0014】
第2の態様の別の例では、方法は、作動液と熱伝導素子との間の熱的接触の面積を調整することによって熱伝導素子の冷却速度を調整する工程をさらに含む。一例では、熱伝導素子の冷却速度は、液体貯槽内の作動液の飽和温度を調整することによってさらに調整される。例えば、一例では、液体貯槽の流体圧力を調整することによって作動液の飽和温度が調整される。
【0015】
第2の態様のさらに別の例では、方法は、蒸気を凝縮された作動液へと凝縮し、凝縮された作動液を液体貯槽に供給する工程をさらに含む。例えば、一例では、凝縮された作動液は、凝縮された作動液を液体貯槽に重力送給することによって、液体貯槽に供給される。
【0016】
第2の態様のさらに別の例では、方法は、電磁エネルギーを放射熱へと転換するように構成されている熱伝導素子に、電磁エネルギーを供給する工程をさらに含む。一例では、電磁エネルギーによって供給された放射熱は、放射によりガラスリボンへと伝導される。
【0017】
第2の態様は、単独で提供されてもよいし、あるいは、上述の第2の態様の例の1つ以上と組み合わせて提供されてもよい。
【0018】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読み解かれるときに、さらによく理解される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
装置及び方法は、本開示の例示的実施形態を示す添付の図面を参照して、以下により十分に説明される。可能な限り、図面全体を通して、同一又は同様のパーツについての参照には同一の参照番号が用いられる。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化されて差し支えなく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0021】
本開示のさまざまなガラス製造装置及び方法を、ガラスリボンの製造に使用してよく、ガラスリボンはさらに1枚以上のガラス板へと加工されてもよい。例えば、ガラス製造装置は、ダウンドロー、アップドロー、フロート、フュージョン、圧延、スロットドロー、又は他のガラス形成技術によってガラスリボンを形成するように構成されうる。一例として、例示的なダウンドロー装置及び方法が説明かつ例証されるが、さらなる例では、他のガラス製造法が使用されうる。
【0022】
図1は、ガラス板を製造するためにフュージョンダウンドロー法を行うように構成された例示的ガラス製造装置101を概略的に示している。図示されるように、ガラス製造装置101は、貯留ビン109からバッチ材料107を受け取るように構成された溶融容器105を備えうる。バッチ材料107は、モーター113で動くバッチ供給装置111によって導入することができる。随意的なコントローラ115は、矢印117が示すように、所望の量のバッチ材料107を溶融容器105内に導入するために、モーター113を作動させるように構成されうる。金属プローブ119を使用して、スタンドパイプ123内の溶融ガラス121のレベルを測定し、その測定情報を通信回線125によってコントローラ115に通信することができる。
【0023】
ガラス製造装置101は、溶融容器105から下流に設置され、第1の連結管129によって溶融容器105に連結された清澄容器127、例えば清澄管も備えることができる。攪拌チャンバなどの混合容器131もまた、清澄容器127から下流に設置することができ、供給容器133は混合容器131から下流に設置されうる。図示されるように、第2の連結管135は清澄容器127を混合容器131に連結することができ、第3の連結管137は混合容器131を供給容器133に連結することができる。さらに図示されるように、下降管139は、溶融ガラス121を供給容器133から延伸装置へと送出するように配置することができる。図示されるフュージョンドロー機140を備えたガラス製造装置101は、以下にさらに十分に論じられるように、溶融ガラスをガラスリボンへと延伸するように構成される。一例では、フュージョンドロー機140は、溶融ガラスを下降管139から収容するために入口141に設けられた形成容器143を備えうる。
【0024】
図示されるように、溶融容器105、清澄容器127、混合容器131、供給容器133、及び形成容器143は、ガラス製造装置101に沿って直列に設置されてよい、溶融ガラスステーションの例である。
【0025】
溶融容器105は、典型的には、耐火(例えばセラミック)レンガなどの耐火材料で作られている。ガラス製造装置101は、典型的には、白金又は、白金−ロジウム、白金−イリジウム及びそれらの組合せなどの白金含有金属から作製されるが、例えば、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウムなどの耐火金属、及びそれらの合金及び/又は二酸化ジルコニウムを含んでもよい、構成要素をさらに含みうる。白金を含有する構成要素は、第1の連結管129、清澄容器127(例えば微細管(finer tube))、第2の連結管135、スタンドパイプ123、混合容器131(例えば攪拌チャンバ)、第3の連結管137、供給容器133(例えばボウル)、下降管139及び入口141のうち1つ以上を備えうる。形成容器143もまた耐火材料で作られており、ガラスリボン103を形成するように設計される。
【0026】
図2は、
図1の線2−2に沿ったガラス製造装置101の断面の斜視図である。図示されるように、形成容器143は、一対の下方に傾斜した成形面部分203、205が成形ウェッジ201の対向する両端部の間に延びる、成形ウェッジ201を備えている。一対の下方に傾斜した成形面部分203、205は、延伸方向207に沿って収束してルート209を形成する。延伸面211は、ルート209を通って延び、ガラスリボン103は、延伸面211に沿って延伸方向207に延伸されうる。図示されるように、延伸面211はルート209を二分してよいが、延伸面211はルート209に対して他の位置に延びてよい。
【0027】
図2に示されるように、ガラスリボン103は、第1の主面231及び第2の主面232を伴って、ルート209から延伸される。図示されるように、第1の主面231及び第2の主面232は、第1の主面231と第2の主面232との間に画成されるガラスリボン103の厚さTを伴って互いに反対側に面している。
【0028】
ガラスリボンを溶融延伸するガラス製造装置101はまた、リボンが成形ウェッジ201のルート209から延伸される際に、ガラスリボン103の対応するエッジ103a、103bを係合するように構成された一対のエッジローラを有する、少なくとも1つのエッジローラアセンブリを備えうる。一対のエッジローラは、ガラスリボンのエッジの良好な仕上りを促進する。エッジローラ仕上げにより、一対の下方に傾斜した成形面部分203、205に結合したエッジディレクタ212の対向する面から引っ張られる溶融ガラスのエッジ部分に適切な溶融及び所望のエッジ特性がもたらされる。
図2に示されるように、第1のエッジローラアセンブリ213aは、第1のエッジ103aに関連付けられる。
図3は、ガラスリボン103の第2のエッジ103bに関連付けられた第2のエッジローラアセンブリ213bを示している。
【0029】
図3に示されるように、ガラス製造装置101は、ガラスリボン103の延伸面211の延伸方向207への引っ張りを促進するために、各々のエッジ103a、103bのための第1及び第2のプルロールアセンブリ301a、301bをさらに備えうる。また
図3に示されるように、ガラス製造装置101は、ガラスリボン103を別個のガラス板305へと切断可能にする切断装置303を備えうる。ガラス板305は、液晶ディスプレイ(LCD)などのさまざまなディスプレイ装置内に組み込むための個々のガラス板に細分されうる。
【0030】
図2を参照すると、一例では、溶融ガラス121は、形成容器143のトラフ215へと流れうる。溶融ガラス121は、次に、同時に、対応する堰217a、217bから溢れ出て、対応する堰217a、217bの外表面219a、219bを下方へと流れうる。溶融ガラスのそれぞれの流れは、次に、下方に傾斜した成形面部分203、205に沿って形成容器143のルート209へと流れ、これらの流れは収束かつ融合してガラスリボン103となる。ガラスリボン103は、その後、ルート209から延伸方向207に沿った延伸面211において延伸される。
【0031】
図2〜3に示されるように、ガラス製造装置101は、熱伝導装置221を備えうる。例えば、
図2に示されるように、熱伝導装置221は、延伸方向207に対して、例えば垂直に、横方向へ延びる少なくとも1つの熱伝導軸に沿ってそれぞれの側方位置225に配置されうる複数の熱伝導ユニット223を備えうる。熱伝導装置221は、
図3に示されるように、フュージョンドロー機140内に設置することができ、あるいは、熱伝導装置221は、フュージョンドロー機140の下流に設置することができる。以下にさらに詳細に論じられるように、熱伝導装置221の熱伝導ユニット223は、ガラスリボン103の制御された冷却又は加熱をもたらすように動作させることができる。
【0032】
図示されるように、熱伝導装置221は、第1の熱伝導軸227a及び第2の熱伝導軸227bとして少なくとも1つの軸を含みうるが、さらなる例では、単一の又は3つ以上の熱伝導軸が設けられてもよい。図示されるように、第1及び第2の熱伝導軸227a、227bは、各々、実質的にまっすぐな軸を含みうるが、さらなる例では、湾曲した又は他の軸形状が設けられてもよい。さらには、第1及び第2の熱伝導軸227a、227bは互いに対して略平行であるが、さらなる例では、軸は互いに対して角度をなしていてもよい。
【0033】
熱伝導軸は、ガラスリボンに関して多種多様な高さ位置に設置されうる。例えば、
図2及び3に示されるように、第1及び第2の熱伝導軸227a、227bは、硬化ゾーン309内に設置される。加えて又は代替的に、各々又は少なくとも1つの熱伝導軸は、さらなる例では、粘性ゾーン307内及び/又は弾性ゾーン311内に設置されうる。
【0034】
先に述べた通り、
図2に示されるように、複数の熱伝導ユニット223は、それぞれの側方位置225に設置することができ、熱伝導ユニット223は、ガラスリボン103の幅Wに沿って、ガラスリボン103と熱伝導ユニット223との間で熱を伝導するように構成される。例えば、
図2に示されるように、各熱伝導軸上の複数の熱伝導ユニット223の各々は、それぞれの熱伝導軸に沿って連続して互いに離間されうる。熱伝導ユニット223の1つは、ガラスリボン103のエッジ103aから距離L1にある、側方位置225に設置されてよく、一方、隣接する熱伝導ユニット223は、距離L1よりも大きい、エッジ103aからの距離L2に設置することができる。一部の例では、熱伝導ユニット223は、ガラスリボンの幅Wに沿って互いに等間隔で離間させることができるが、熱伝導ユニットはガラスリボンのエッジ103a、103bに対してさまざまな距離で設置されてもよい。例えば、熱伝導ユニット223は、ガラスリボンの中心部分よりもエッジにおいてより大きい熱伝導を可能にするために、ガラスリボン103の中心領域と比較した場合に、エッジ103a、103bの近くで互いにより近接して設置されうる。
【0035】
複数の熱伝導ユニット223は、ガラスリボン103と熱伝導ユニット223との間で熱を放射により伝導するように構成されてもよく、したがって、複数の熱伝導ユニット223を、ガラスリボン103と物理的に接触しないように、ガラスリボン103から離間することが可能となる。例えば、
図2に示されるように、第1の熱伝導軸227aに沿った複数の熱伝導ユニット223は、ガラスリボン103の第1の主面231から距離Dだけ離して設置されうる。第2の熱伝導軸227bに沿った複数の熱伝導ユニット223もまた、第1の主面231から距離Dだけ離して設置することができる。一部の例では、熱伝導ユニット223の1つは、第1の主面231から距離Dだけ離して設置されうるが、一方、熱伝導ユニットの別の1つは、第1の主面231から異なる距離だけ離して設置される。実際、複数の熱伝導ユニット223の各々は、第1の主面231からさまざまな距離に設置することができる。
【0036】
さらには、複数の熱伝導ユニット223は、第1の主面231に対して離間された関係で延在するように示されている。図示してはいないが、さらなる例では、さらなる熱伝導ユニット223は、ガラスリボン103の第1の主面231とは反対側にある第2の主面232とは離間された関係で延在してもよい。一例では、熱伝導ユニット223の同一の構成が、第1の主面231に沿って設けられた熱伝導ユニット223の構成を反映させて、第2の主面232に沿って設けられてもよい。熱伝導ユニット223をガラスリボン103の第1及び第2の主面231、232の両方から離間して設けることは、ガラスリボンの厚さTに亘って均一な熱伝導をもたらすのに役立ちうる。さらなる例では、熱伝導ユニット223は、主面の一つに沿って設けられうる。このような構成は、約300μm以下の厚さ又は他の厚さを有する比較的薄いガラスリボンを冷却する場合に、ガラスリボンの単一の主面に沿ってリボンから熱を伝導する場合でも厚さに亘って熱伝導を実質的に均一にすることができ、特に所望でありうる。
【0037】
図4〜6を参照して、上述の熱伝導ユニット223の1つ以上に使用することができる、例示的熱伝導ユニット423が説明される。図示されるように、熱伝導ユニット423は、エバポレータユニット427を備えてもよい。さらなる例では、熱伝導ユニット423は、随意的なコンデンサユニット429及び/又は随意的な補助液体貯槽431を備えてもよい。熱伝導ユニット423はまた、作動液503及び/又は蒸気の形態をした作動流体も含みうる。エバポレータユニット427は、液体貯槽435及び熱伝導素子437を備えてもよい。
図5及び6から分かるように、液体貯槽435は、作動液503を収容するように構成され、熱伝導素子437は、液体貯槽435に収容された作動液503と熱的に接触して配置されるように構成される。作動液503は、水又は他の任意の種類の液体を含みうる。
【0038】
熱伝導素子437は、液体貯槽435の壁部を画成することができる。例えば、熱伝導素子437は、液体貯槽435の壁全体を画成することができ、あるいは、熱伝導素子437は、液体貯槽435の壁の一部のみを画成することもできる。一部の例では、熱伝導素子437は、液体貯槽435の壁部だけでなくそれ以上を画成してもよいであろう。例えば、熱伝導素子437は、液体貯槽435全体を画成してもよいであろう。この例では、
図4及び6に示されるように、熱伝導素子437は、ガラスリボン103の第1の主面231に面する液体貯槽435の壁全体443を画成する、第1の表面439及び反対側の第2の表面441を有するプレートである。熱伝導素子437は、液体貯槽435の残余部分445に取り外し可能に連結されて、作動液503を回収するためのリザーバを形成する。残余部分445は、ガラスセラミック又は他の非金属材料などの非伝導性材料を含みうるが、一部の例では、残余部分445は、加えて又は代替的に、例えば、鋼鉄又は一部の他の金属材料などの熱伝導材料を含んでもよいであろう。
【0039】
熱伝導ユニット423は、熱伝導素子437の第1の表面439が、ガラス製造装置101から延伸されているガラスリボン103の第1の主面231に面し、かつ、それから離間され、それによって、ガラスリボン103からの熱を、熱伝導素子437の第1の表面439へと放射により伝導できるように配置されうる。熱伝導素子437は、ガラスリボン103から放射熱を受け取り、液体貯槽435に収容された作動液503へと熱を伝導し、それにより、一定量の作動液503を蒸気へと変換することによって、ガラスリボン103を冷却するように構成されうる。例えば、熱伝導素子437は、第1の表面439に放射により伝導された熱が、熱伝導素子437の第2の表面441と熱的に接触している作動液503に、熱伝導を介して伝導できるように、例えば、鋼鉄又は他の金属材料のような熱伝導材料を含んでよい。最終的には、十分な熱がガラスリボン103から作動液503へと伝導される場合に、一定量の作動液503が蒸気へと変換される。
【0040】
熱伝導ユニット423は、エバポレータユニット427内で生じた蒸気が、エバポレータユニット427と流体連通するコンデンサユニット429へと供給されるように構成されうる。例えば、コンデンサユニット429は、蒸気がエバポレータユニット427からコンデンサユニット429へと自然に上昇するように、エバポレータユニット427に対して配置されてよい。コンデンサユニット429は、その後、凝縮された作動液へと戻すように蒸気を凝縮し、凝縮された作動液を液体貯槽435に送り戻すように構成されうる。より具体的には、熱伝導ユニット423は、凝縮された作動液が液体貯槽435へと重力送給されるように構成されうる。例えば、コンデンサユニット429は、凝縮された作動液がコンデンサユニット429からエバポレータユニット427の液体貯槽435へと自然に降下するように、エバポレータユニット427の上に部分的に又は全体的に配置されてよい。加えて又は代替的に、他の機械的及び/又は電気的手段を使用して、凝縮された作動液の液体貯槽435への供給を補助してもよい。よって、エバポレータユニット427及びコンデンサユニット429は、閉ループシステムを形成することができ、ここで、液体貯槽435内の作動流体は、液体から蒸気へと変換されるまでガラスリボン103から熱を繰り返し吸収し、次いで、コンデンサユニット429によって液体形態に戻るように凝縮され、その後、液体貯槽435に送り戻されて、再び蒸発するまで、さらなる熱をガラスリボン103から吸収する。
【0041】
熱伝導ユニット423は、電磁エネルギーを熱伝導素子437に選択的に供給するように構成された随意的な誘導コイル509をさらに備えうる。誘導コイル509は、液体貯槽435の外部に設置されてよく、あるいは、誘導コイル509は、液体貯槽435内に、少なくとも部分的に、又は、
図5及び6に示されるように全体的に、設けることができる。さらには、液体貯槽435の内部に配置される場合、誘導コイル509を液体貯槽435内に収容された作動液503との接触から隔離するように構成された隔離チャンバ513内に、誘導コイル509を設けることができる。残余部分445と同様に、隔離チャンバ513は、ガラスセラミック又は他の非金属材料などの非伝導性材料を含みうるが、一部の例では、隔離チャンバ513は、加えて又は代替的に、例えば、鋼鉄又は他の金属材料などの熱伝導材料を含んでもよいであろう。
【0042】
熱伝導素子437は、電磁エネルギーを熱に転換し、熱をガラスリボン103に放射により伝導するように構成されうる。例えば、上で論じられるように、熱伝導素子437は、鋼鉄又は他の金属材料などの熱伝導材料を含みうる。伝導性材料は、電磁エネルギーを吸収し、それを熱へと変換する能力を有するサセプタとして作用しうる。よって、熱伝導素子437は、誘導コイル509からの電磁エネルギーを熱へと転換でき、次いでこの熱は、熱伝導素子437の第1の表面439からガラスリボン103へと放射により伝導されうる。さらには、隔離チャンバ513及び残余部分445が非伝導性材料を含む例では、隔離チャンバ513及び残余部分445のいずれも、誘導コイル509により供給される電磁エネルギーのサセプタとして作用しない。したがって、より大量の電磁エネルギーを熱伝導素子437によって転換することができ、それによって、ガラスリボン103の放射熱源としての熱伝導素子437の有効性を向上することができる。
【0043】
上述の熱伝導素子437によって、熱伝導ユニット423をガラスリボン103のためのヒートシンク又は熱源のいずれかとして動作可能にすることができる。熱伝導素子437が作動液503に伝導されるガラスリボン103からの放射熱を取り除く速度(すなわち、熱伝導素子437の冷却速度)は、シュテファン・ボルツマンの法則によって支配され、ここで、放射熱流束は以下によって与えられる:
Q=ε・σ・A・(T
14−T
24)
式中:
ε=熱伝導素子の放射率
σ=シュテファン・ボルツマン定数
A=熱伝導素子の第1の表面の有効表面積
T
1=ガラスリボンの温度
T
2=有効表面積に亘る熱伝導素子の温度
よって、熱伝導素子437の冷却速度Qは、とりわけ、熱伝導素子437の第1の表面439の有効表面積A、及び有効表面積Aに亘る熱伝導素子437の温度T
2に依存する。したがって、以下にさらに詳細に論じられるように、これらの変数は、熱伝導素子437の冷却速度Qを制御するために調整されうる。
【0044】
蒸気の熱伝導率は作動液503の熱伝導率より小さいため、液体貯槽435の蒸気領域515は熱伝導の工程に対する寄与が比較的制限されることから、熱伝導素子437の有効表面積Aは、作動液503と熱的に接触する第2の表面441の面積と実質的に等しい。したがって、作動液503と熱伝導素子437との間の熱的接触の面積を調整することによって、熱伝導素子437の冷却速度Qを調整しうる。実際、作動液503と熱伝導素子437との間の熱的接触の面積の調整は、熱伝導素子437の冷却速度Qにおいて一次効果を有し、したがって、有効な制御手段である。
【0045】
作動液503と熱伝導素子437との間の熱的接触の面積は、例えば、液体貯槽435内の作動液503のレベルLを調整することにより、調整することができる。レベルLを調整するため、随意的なコンデンサユニット429の凝縮速度は、凝縮された作動液が液体貯槽435へとフィードバックされる速度を増大又は低下するように調整することができる。凝縮速度が十分に低下している場合、蒸発する作動液503を交換するために液体貯槽435へとフィードバックされる凝縮された作動液は十分に存在せず、作動液レベルLは低下する。あるいは、凝縮速度が十分に増大している場合、液体貯槽435にフィードバックされる、凝縮された作動液の速度は、作動液503の蒸発速度より大きく、作動液レベルLは増大する。レベルLはまた、随意的な補助的液体貯槽431を使用して調整することもできる。補助的な液体貯槽431は、設けられる場合には、追加的な作動液を液体貯槽431に選択的に供給し、及び/又は、液体貯槽431から作動液を選択的に取り除き、それによって、液体貯槽435内の作動液503のレベルLを調整するように構成されうる。
【0046】
上述のように、熱伝導素子437の冷却速度Qは、有効表面積Aに亘る熱伝導素子437の温度T
2にも依存する。温度T
2は、作動液503の飽和温度に、熱伝導素子437の厚さ及び熱伝導率によって決まる上昇分を加えたものと実質的に等しい。したがって、上で論じた熱伝導素子437の有効表面積Aを調整することに加えて又はその代替として、作動液503の飽和温度、熱伝導素子437の厚さ、及び/又は熱伝導素子437の熱伝導率を調整することによって、熱伝導素子437の冷却速度Qを調整することができる。例えば、熱伝導素子437の冷却速度Qは、作動液503の飽和温度を調整することによって調整することができる。一例では、作動液503の飽和温度は、液体貯槽431内の作動液503の流体圧力を調整することによって調整することができる。流体圧力の増加は飽和温度を上昇させる一方、流体圧力の低下は飽和温度を低下させる。別の例では、作動液503の飽和温度は、作動液の組成を変えることによって調整することができる。この例では、作動液503は水を含む。しかしながら、異なる飽和温度を有する異なる液体を使用してもよい。
【0047】
別の例として、熱伝導素子437の厚さを調整することによって、熱伝導素子437の冷却速度Qを調整することができる。熱伝導素子437の厚さは、熱伝導素子437の第1の表面439及び/又は第2の表面441に熱伝導層を加えることによって調整することができる。加えて又は代替的に、熱伝導素子437は、残余部分445から取り外されて、異なる厚さを有する代替的な熱伝導素子437と置換されてもよい。
【0048】
さらに別の例として、熱伝導素子437の熱伝導率を調整することによって、熱伝導素子437の冷却速度Qを調整することができる。熱伝導素子437とは異なる熱伝導率を有する熱伝導層を、熱伝導素子437の第1の表面439及び/又は第2の表面441に加えることによって、熱伝導率を調整することができる。加えて又は代替的に、熱伝導素子437は、残余部分445から取り外されて、異なる熱伝導率を有する代替的な熱伝導素子437と置換されてもよい。
【0049】
上で論じたガラス製造装置101を用いてガラスリボン103を製造する方法は、これより、
図7を参照して説明される。方法701は、成形ウェッジ201内で、延伸方向207において、一定量の溶融ガラス121からガラスリボン103を延伸する工程703を含みうる。方法701は、ガラスリボン103から熱伝導ユニット423の熱伝導素子437へと熱を放射し、次いで、熱伝導素子437から液体貯槽435内の作動液503へと熱を伝導し、それにより、一定量の作動液503を蒸気へと変換することによって、ガラスリボン103を冷却する工程705をさらに含みうる。量は、液体貯槽435内の作動液503のすべて又は一部でありうる。破線矢印706により示されるように、方法701は、蒸気を凝縮された作動液へと凝縮し、凝縮された作動液を液体貯槽435に供給する随意的な工程707をさらに含みうる。例えば、蒸気は、上述のコンデンサユニット429を使用して凝縮することができる。一例では、凝縮された作動液は、凝縮された作動液を液体貯槽435へと重力供給することにより、液体貯槽435へと供給されうる。図示されてはいないが、ポンプもまた、作動液をコンデンサユニットから液体貯槽に供給するために設けられてもよい。
【0050】
加えて又は代替的に、破線矢印708によってさらに示されるように、方法701は、熱伝導素子437の冷却速度Qを調整する随意的な工程709をさらに含みうる。冷却速度Qは、上述の技法のいずれかを使用して調整することができる。例えば、冷却速度Qは、液体貯槽435内の作動液503の飽和温度を調整することによって調整されうる。例えば、飽和温度は、液体貯槽435内の作動液503の流体圧力を変更することによって調整してもよい。別の例として、冷却速度Qは、例えば、液体貯槽435内の作動液503のレベルLを調整することにより、作動液503と熱伝導素子437との間の熱的接触の面積を調整することによって調整されうる。さらに別の例として、冷却速度Qは、熱伝導素子437の厚さ及び/又は熱伝導率を調整することによって調整されうる。冷却速度Qは、別個に、又は互いに組み合わせて、上述の技法のいずれかを使用して調整してもよい。
【0051】
加えて又は代替的に、破線矢印710によってさらに示されるように、方法701は、電磁エネルギーを熱伝導素子437に供給する随意的な工程711をさらに含みうる。例えば、電磁エネルギーを、上に論じた誘導コイル509を使用して熱伝導素子437に供給することができる。上述のように、熱伝導素子437は、電磁エネルギーを放射熱へと転換するように構成される。放射熱は、次に、ガラスリボン103へと放射により伝導される。
【0052】
工程705、707、709及び711は、設けられる場合には、任意の順序で行うことができる。さらには、工程703及び705は、単独で、又は、工程707、709、711及び/又は他の工程のうちの1つ又はそれらの任意の組合せと組み合わせて行われてもよい。
【0053】
当業者は、さまざまな修正及び変更が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示になされうることを認識するであろう。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内にあることを条件に、本開示の修正及び変更に及ぶことが意図されている。
【0054】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0055】
実施形態1
ガラスリボンを延伸するように構成されたガラス製造装置であって、
作動液を収容するように構成された液体貯槽と、前記液体貯槽に収容された前記作動液と熱的に接触して配置されるように構成された熱伝導素子とを備えたエバポレータユニットを備え、
前記熱伝導素子が、前記ガラスリボンから放射熱を受け取り、前記液体貯槽に収容された前記作動液に前記熱を伝導し、それにより、一定量の前記作動液を蒸気へと変換することによって、前記ガラス製造装置から延伸されている前記ガラスリボンを冷却するように構成されている、
ガラス製造装置。
【0056】
実施形態2
前記エバポレータユニットと流体連通するコンデンサユニットをさらに備え、該コンデンサユニットが、前記蒸気を凝縮された作動液へと凝縮し、該凝縮された作動液を前記液体貯槽へと送り戻すように構成されている、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0057】
実施形態3
前記ガラス製造装置が、前記凝縮された作動液が前記液体貯槽に重力送給されるように構成されている、実施形態2に記載のガラス製造装置。
【0058】
実施形態4
追加的な作動液を前記液体貯槽に選択的に供給するように構成された補助的な液体貯槽をさらに備える、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0059】
実施形態5
電磁エネルギーを前記熱伝導素子に選択的に供給するように構成された誘導コイルをさらに備える、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0060】
実施形態6
前記熱伝導素子が、前記電磁エネルギーを熱へと転換し、かつ、前記熱を前記ガラスリボンに放射により伝導するように構成される、実施形態5に記載のガラス製造装置。
【0061】
実施形態7
前記誘導コイルが前記液体貯槽内に設けられている、実施形態5に記載のガラス製造装置。
【0062】
実施形態8
前記誘導コイルを、前記液体貯槽内に収容された前記作動液との接触から隔離するように構成された隔離チャンバをさらに備えている、実施形態7に記載のガラス製造装置。
【0063】
実施形態9
前記作動液をさらに含み、該作動液が水である、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0064】
実施形態10
前記熱伝導素子が前記液体貯槽の壁部を画成する、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0065】
実施形態11
一定量の溶融材料からガラスリボンを延伸する工程;及び
前記ガラスリボンから熱伝導素子に熱を放射し、次いで、前記熱伝導素子から液体貯槽内の作動液へと熱を伝導し、それにより、一定量の前記作動液を蒸気へと変換することによって、前記ガラスリボンを冷却する工程
を含む、ガラスを製造する方法。
【0066】
実施形態12
前記液体貯槽内の前記作動液の飽和温度を調整することによって、前記熱伝導素子の冷却速度を調整する工程をさらに含む、実施形態11に記載の方法。
【0067】
実施形態13
前記作動液の飽和温度が、前記液体貯槽の流体圧力を調整することによって調整される、実施形態12に記載の方法。
【0068】
実施形態14
前記作動液と前記熱伝導素子との間の熱的接触の面積を調整することによって前記熱伝導素子の冷却速度を調整する工程をさらに含む、実施形態11に記載の方法。
【0069】
実施形態15
前記熱伝導素子の冷却速度が、前記液体貯槽内の前記作動液の飽和温度を調整することによってさらに調整される、実施形態14に記載の方法。
【0070】
実施形態16
前記作動液の飽和温度が、前記液体貯槽の流体圧力を調整することによって調整される、実施形態15に記載の方法。
【0071】
実施形態17
前記蒸気を凝縮された作動液へと凝縮する工程、及び前記凝縮された作動液を前記液体貯槽に供給する工程をさらに含む、実施形態11に記載の方法。
【0072】
実施形態18
前記凝縮された作動液を前記液体貯槽へと重力供給することによって、前記凝縮された作動液が前記液体貯槽に供給される、実施形態17に記載の方法。
【0073】
実施形態19
前記熱伝導素子に電磁エネルギーを供給する工程をさらに含み、前記熱伝導素子が、前記電磁エネルギーを放射熱へと転換するように構成される、実施形態11に記載の方法。
【0074】
実施形態20
前記電磁エネルギーによってもたらされる前記放射熱が、前記ガラスリボンに放射により伝導される、実施形態19に記載の方法。