特許第6596078号(P6596078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596078血管を評価するためのベッドサイドコントローラ並びに関連デバイス、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596078
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】血管を評価するためのベッドサイドコントローラ並びに関連デバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0215 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   A61B5/0215 C
【請求項の数】20
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-513459(P2017-513459)
(86)(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公表番号】特表2017-530760(P2017-530760A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】IB2015056491
(87)【国際公開番号】WO2016038493
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年8月23日
(31)【優先権主張番号】62/049,265
(32)【優先日】2014年9月11日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】ボルケーノ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】アルパート ハワード デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】コーエン アシェル
(72)【発明者】
【氏名】メリット ファーガス
(72)【発明者】
【氏名】リム メン
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/109815(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/028614(WO,A2)
【文献】 特開2009−045123(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/099803(WO,A1)
【文献】 特開2012−106004(JP,A)
【文献】 特表2006−513731(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/030491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
A61B 5/044
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脈管を評価するシステムの作動方法であって、
前記システムは、第1の器具と、第2の器具と、処理システムと、タッチセンシティブディスプレイを有するベッドサイドコントローラとを含み、
前記処理システムが、前記第1の器具が前記脈管内で静止したままであり、前記第2の器具が前記脈管内の遠位位置から前記脈管内の近位位置へと長手方向に前記脈管内を移動される間に、前記患者の前記脈管内に配置された前記第1の器具及び前記第2の器具から圧力測定値を取得するステップと、
前記処理システムが、
前記第1の器具と前記第2の器具とのうちの一方から取得した前記圧力測定値を表す、第1の近位側圧力波形、及び、前記第1の器具と前記第2の器具とのうちの他方から取得した前記圧力測定値を示し、前記第1の近位側圧力波形と同時に取得した第1の遠位側圧力波形と、
前記取得した圧力測定値の複数の圧力比のそれぞれが一定の時間間隔によって隔てられている、当該複数の圧力比と、
を含む画面表示を前記ベッドサイドコントローラの前記タッチセンシティブディスプレイに出力するステップと、
前記処理システムが、前記ベッドサイドコントローラの前記タッチセンシティブディスプレイを介して、ユーザタッチ入力を受け取るステップと、
前記処理システムが、前記ユーザタッチ入力に応答して、前記画面表示を変更するステップと、
を含み、
前記タッチセンシティブディスプレイに出力するステップにおいて、前記処理システムは、圧力比を表示する窓と、該窓に表示される圧力比を計算するために用いた第1の圧力波形の部分の強調表示とを、前記画面表示に含める、作動方法。
【請求項2】
前記処理システムが、前記ベッドサイドコントローラの前記タッチセンシティブディスプレイを介して、前記圧力測定値が取得された時間を特定する更なるユーザタッチ入力を受け取るステップと、
前記処理システムが、前記更なるユーザタッチ入力に応答して、特定された前記時間に対応する前記取得された圧力測定値の視覚的表現を含むように前記画面表示を変更するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の作動方法。
【請求項3】
前記特定された時間に対応する前記取得された圧力測定値の前記視覚的表現は、前記タッチセンシティブディスプレイに最初に接触した箇所によって画定される第1の圧力波形の少なくとも一部分の近傍の位置に表示される、請求項2に記載の作動方法。
【請求項4】
前記特定された時間に対応する前記取得された圧力測定値の前記視覚的表現は、前記特定された時間における前記取得された圧力測定値の数値を含む、請求項3に記載の作動方法。
【請求項5】
前記特定された時間に対応する前記取得された圧力測定値の前記視覚的表現は、前記特定された時間における前記取得された圧力測定値の第1の圧力比を含む、請求項3に記載の作動方法。
【請求項6】
前記特定された時間に対応する前記取得された圧力測定値の前記視覚的表現は、前記特定された時間における前記取得された圧力測定値の第2の圧力比を含み、前記第2の圧力比は、前記第1の圧力比とは異なる方法により算出される、請求項5に記載の作動方法。
【請求項7】
前記特定された時間に対応する前記取得された圧力測定値の前記視覚的表現は、前記特定された時間における前記取得された圧力測定値の数値と、前記特定された時間における前記取得された圧力測定値の第1の圧力比と、前記特定された時間における前記取得され
た圧力測定値の第2の圧力比と、を含み、前記第2の圧力比は、前記第1の圧力比とは異なる方法により算出される、請求項3に記載の作動方法。
【請求項8】
患者の脈管を評価するシステムの作動方法であって、
前記システムは、第1の器具と、第2の器具と、処理システムと、タッチセンシティブ
ディスプレイを有するベッドサイドコントローラとを含み、
前記処理システムが、前記第1の器具が前記脈管内で静止したままであり、前記第2の器具が前記脈管内の遠位位置から前記脈管内の近位位置へと長手方向に前記脈管内を移動される間に、前記患者の前記脈管内に配置された前記第1の器具及び前記第2の器具から圧力測定値を取得するステップと、
前記処理システムが、
前記圧力測定値の第1の圧力比の視覚的表現と、
前記第1の器具と前記第2の器具とのうちの一方から取得した前記圧力測定値を表す、第1の近位側圧力波形及び第2の近位側圧力波形、並びに、前記第1の器具と前記第2の器具とのうちの他方から取得した前記圧力測定値を示し、前記第1の近位側圧力波形と
同時に取得した第1の遠位側圧力波形及び前記第2の近位側圧力波形と同時に取得した第2の遠位側圧力波形と、
前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形の一部分の上に配置され、
前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形に表される前記取得された圧力測定値の第1の部分を特定するオーバレイと、
を含む画面表示をベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイに出力するステップであって、前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形は、前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形に比してより長い時間量にわたり取得された前記圧力測定値を示す、前記出力するステップと、
前記処理システムが、前記ベッドサイドコントローラの前記タッチセンシティブディスプレイを介して、前記圧力測定値の第2の部分を特定するように前記オーバレイを変更するユーザタッチ入力を受け取るステップと、
前記処理システムが、前記ユーザタッチ入力に応答して、前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形における前記圧力測定値の前記第2の部分を示すように前記画面表示を変更するステップと、
を含み、
前記タッチセンシティブディスプレイに出力するステップにおいて、前記処理システムが、圧力比を表示する窓と、該窓に表示される圧力比を計算するために用いた、第1の圧力波形の部分及び/又は第2の圧力波形の部分の強調表示とを、前記画面表示に含める、作動方法。
【請求項9】
前記オーバレイの変更は、前記オーバレイを、前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形の異なる部分の上に配置されるように移動することを含み、
前記画面表示を変更するステップは、前記処理システムが、前記ユーザタッチ入力に応答して、前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形が、前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形の前記異なる部分の上にある前記オーバレイの位置に対応する前記取得された圧力測定値を含むように前記画面表示を変更するステップを
含む、請求項8に記載の作動方法。
【請求項10】
前記画面表示は、前記取得された圧力測定値の数値を含む、請求項8に記載の作動方法。
【請求項11】
前記取得された圧力測定値の前記第1の圧力比の前記視覚的表現は、数値を含む、請求項8に記載の作動方法。
【請求項12】
前記画面表示は、前記取得された圧力測定値の第2の圧力比を含み、前記第2の圧力比は、前記第1の圧力比とは異なる方法により算出される、請求項11に記載の作動方法。
【請求項13】
前記画面表示は、前記圧力測定値の差の視覚的表現を含む、請求項8に記載の作動方法。
【請求項14】
患者の脈管を評価するためのシステムであって、
前記患者の前記脈管に導入するための大きさ及び形状に作られた第1の器具と、
前記患者の前記脈管に導入するための大きさ及び形状に作られた第2の器具であって、
前記第1の器具は前記脈管内で静止したままであり、当該第2の器具は前記脈管内の遠位位置から前記脈管内の近位位置へと長手方向に前記脈管内を移動される、第2の器具と、
タッチセンシティブディスプレイを含むベッドサイドコントローラであって、画面表示を表示し、前記タッチセンシティブディスプレイ上でユーザタッチ入力を受け取る、ベッドサイドコントローラと、
前記第1の器具及び前記第2の器具と前記ベッドサイドコントローラとに通信的に結合された処理システムであって、
前記第1の器具及び前記第2の器具から圧力測定値を受信し、
前記ベッドサイドコントローラの前記タッチセンシティブディスプレイに、
前記第1の器具と前記第2の器具のうちの一方から取得された前記圧力測定値を表す、第1の近位側圧力波形、及び、前記第1の器具と前記第2の器具とのうちの他方から取得された前記圧力測定値を示し、前記第1の近位側圧力波形と同時に取得された第1の遠位側圧力波形と、
前記取得された圧力測定値の複数の圧力比のそれぞれが一定の時間間隔によって隔てられている、当該複数の圧力比と、
を含む前記画面表示を出力し、
前記タッチセンシティブディスプレイで受け取ったユーザタッチ入力に応答して、前記ベッドサイドコントローラから信号を受信し、
受信した前記信号に応答して、前記画面表示を変更する、処理システムと、
を含み、
前記処理システムは、前記画面表示を出力する際に、圧力比を表示する窓と、該窓に表示される圧力比を計算するために用いた第1の圧力波形の部分の強調表示とを、前記画面表示に含める、患者の脈管を評価するためのシステム。
【請求項15】
前記処理システムは、
前記圧力測定値が取得された時間を特定する更なるユーザタッチ入力に応答して、更なる信号を受信し、
受信した前記更なる信号に応答して、特定された前記時間に対応する前記取得された圧力測定値の視覚的表現を含むように前記画面表示を変更する、
請求項14に記載の患者の脈管を評価するためのシステム。
【請求項16】
前記特定された時間に対応する前記取得された圧力測定値の前記視覚的表現は、前記特定された時間における前記取得された圧力測定値の数値と、前記特定された時間における前記取得された圧力測定値の第1の圧力比の数値とを含む、請求項15に記載の患者の脈管を評価するためのシステム。
【請求項17】
前記特定された時間に対応する前記取得された圧力測定値の前記視覚的表現は、前記特定された時間における前記取得された圧力測定値の第2の圧力比の数値を更に含み、前記第2の圧力比は、前記第1の圧力比とは異なる方法により算出される、請求項16に記載の患者の脈管を評価するためのシステム。
【請求項18】
患者の脈管を評価するためのシステムであって、
前記患者の前記脈管に導入するための大きさ及び形状に作られた第1の器具と、
前記患者の前記脈管に導入するための大きさ及び形状に作られた第2の器具であって、
前記第1の器具は前記脈管内で静止したままであり、当該第2の器具は前記脈管内の遠位位置から前記脈管内の近位位置へと長手方向に前記脈管内を移動される、第2の器具と、
タッチセンシティブディスプレイを含むベッドサイドコントローラであって、画面表示を表示し、前記タッチセンシティブディスプレイ上でユーザタッチ入力を受け取る、ベッ
ドサイドコントローラと、
前記第1の器具及び前記第2の器具と前記ベッドサイドコントローラとに通信的に結合された処理システムであって、
前記第1の器具及び前記第2の器具から圧力測定値を受信し、
前記ベッドサイドコントローラの前記タッチセンシティブディスプレイに、
前記圧力測定値の圧力比の視覚的表現と、
前記第1の器具と前記第2の器具とのうちの一方から取得された前記圧力測定値を表す、第1の近位側圧力波形及び第2の近位側圧力波形、並びに、前記第1の器具と前記第2の器具とのうちの他方から取得された前記圧力測定値を示し、前記第1の近位側圧力波形と同時に取得された第1の遠位側圧力波形及び前記第2の近位側圧力波形と同時に取得された第2の遠位側圧力波形と、
前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形の一部分の上に配置され、前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形に表される前記取得された圧力測定値の第1の部分を特定するオーバレイと、
を含む前記画面表示を出力し、前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形は、前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形に比してより長い時間量にわたる前記取得された圧力測定値を示し、
前記タッチセンシティブディスプレイで受け取った、前記圧力測定値の第2の部分を特定するように前記オーバレイを変更するユーザタッチ入力に応答して、前記ベッドサイドコントローラから信号を受信し、
受信した前記信号に応答して、前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形における前記圧力測定値の前記第2の部分を示すように前記画面表示を変更する、処理システムと、
を含み、
前記処理システムは、前記画面表示を出力する際に、圧力比を表示する窓と、該窓に表示される圧力比を計算するために用いた、第1の圧力波形の部分及び/又は第2の圧力波形の部分の強調表示とを前記画面表示に含める、患者の脈管を評価するためのシステム。
【請求項19】
前記オーバレイの変更は、前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形の異なる部分の上に配置されるように前記オーバレイを移動することを含み、
前記画面表示を変更することは、前記受信した信号に応答して、前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形が、前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形の前記異なる部分の上にあるオーバレイの位置に対応する前記取得された圧力測定値を含むように前記画面表示を変更することを含む、請求項18に記載の患者の脈管を評価するためのシステム。
【請求項20】
前記第1の近位側圧力波形及び前記第1の遠位側圧力波形は、測定された圧力の値及び/又は圧力の平均値のプロットを含み、
前記第2の近位側圧力波形及び前記第2の遠位側圧力波形は、測定された圧力の値及び/又は圧力の平均値のプロットを含む、
請求項18に記載の患者の脈管を評価するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、ベッドサイドコントローラを用いた脈管の評価に関する。例えば、本開示の幾つかの実施形態は、脈管から収集される医療センシングデータをベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイを用いて分析することにより、ヒトの血管の狭窄など脈管内における流体の流れの閉塞又は他の制限の重症度を評価するのに適している。
【背景技術】
【0002】
病気の治療の成功レベルの診断及び確認における革新は、単なる外部撮像プロセスから、内部診断プロセスを含むように進歩してきた。X線、MRI、CTスキャン、蛍光透視法及び血管造影法などの従来の外部影像技術に加え、現在では、小型センサが体内に直接配置される場合がある。例えば、脈管系の閉塞及びその他の脈管系の疾患を、カテーテルなどの可撓性長尺状部材又はカテーテル処置に使用されるガイドワイヤの遠位端に配置された超小型センサによって診断するための診断機器及びプロセスが開発されてきた。例えば、既知の医療センシング技術には、血管内超音波法(IVUS:intravascular ultrasound)、前方視IVUS(FL−IVUS:forward looking intravascular ultrasound)、血流予備量比(FFR:fractional flow reserve)の決定、冠血流予備能(CFR:coronary flow rewserve)の決定、光干渉断層法(OCT:optical coherence tomography)、経食道心エコー図検査法及び画像誘導治療を含む。従来、これら処置の多くは多数の医師及び臨床医により行われており、それぞれが割り当てられた職務を実施している。例えば、医師は無菌野内で患者の隣に立ち、医療センシングカテーテルの挿入及び引き戻しを案内してもよい。医師の近くにいる臨床医が、コントローラを用いて、例えば、医療データの取得を開始及び停止することにより処置ワークフローを制御してもよい。更に、医療データが取得されると、隣の制御室においてデスクトップコンピュータで作業する第2の臨床医が、取得したデータから算出された量を見直すことなどによってデータを分析してもよい。通常、カテーテルラボ内の医師と制御室内の臨床医は、該当医療データを取得し、分析するために連絡しなければならない。このことは、処置時間を長くし、処置費用を増す可能性があると共に、連絡不備又は臨床医の経験不足による過誤に繋がる可能性がある。
【0003】
1つの例示的な処置の種類には、血管内の圧力測定を含む。現在受け入れられている、虚血性病変を含む血管の狭窄の重症度を評価するための手法は、冠血流予備量比(FFR)である。FFRは、(狭窄の近位側で測定された)近位側圧力測定値に対する(狭窄の遠位側で測定された)遠位側圧力測定値の比率の計算値である。FFRは、閉塞が、治療が必要とされる程度まで脈管内の血流を制限しているかどうかについての決定を可能にする狭窄重症度の指標を提供する。健康な脈管におけるFFRの正常値は1.00である一方、約0.80よりも低い値は、一般に、有意であり、治療を要すると考えられる。一般的な治療オプションには、血管形成術及びステント挿入術を含む。
【0004】
冠血流は、(大動脈などの)近位で生じる圧の変動に影響されるのみならず、同時に、微小循環において遠位に生じる変動によっても影響されるという点で特有である。従って、冠動脈狭窄症の重症度を、狭窄における平均又は最高圧力の低下を単に測定することで正確に評価することは不可能である。これは、遠位側冠動脈圧は純粋に、脈管の大動脈端から伝達される圧力の残差ではないことが理由である。結果的に、冠動脈内のFFRの有効な算出のためには、脈管内の血流抵抗を低下させる必要がある。現在、冠動脈内の抵抗を低下させ且つ安定させるためにアデノシンなどの薬理学的な充血剤が投与されている。これらの強い血管拡張薬は、主として、心臓周期の収縮期部分に関連する微小循環抵抗を低下させ、比較的安定した、最小抵抗値を得ることによって抵抗の著しい変動を低減させる。
【0005】
しかしながら、充血剤の投与は必ずしも可能ではない又は推奨されるわけではない。第1に、充血剤を投与する臨床的労力は多大なものとなり得る。一部の国(特に米国)では、アデノシンなどの充血剤は高価であり、経静脈(IV)投与される場合、入手に時間がかかる。この点で、IV投与アデノシンは、一般に、病院内の薬局で症例毎に調合される。アデノシンを調製して手術領域に送ることには多大な量の時間及び労力を要する可能性がある。これらの資材調達の障害は、FFRを使用するという医師の決定に影響を及ぼす可能性がある。第2に、一部の患者は、喘息、重篤なCOPD、低血圧、徐脈、低心駆出率、亜急性心筋梗塞及び/又は充血剤の投与を阻害する他の要因など、充血剤の使用に対して禁忌を有する。第3に、多くの患者は充血剤の投与を不快に感じ、これに、FFR測定値を得るための処置の過程において充血剤が複数回投与される必要があり得るという事実が単に付加される。第4に、充血剤の投与は、回避されていた可能性のある中心静脈アクセス(例えば中心静脈シース)を必要とする場合もある。最後に、全ての患者が充血剤に対して期待通りに反応するとは限らず、場合によっては、これら患者を充血剤の投与前に識別することは困難である。
【0006】
従って、脈管の閉塞、特に血管の狭窄の重症度を評価するための改良されたデバイス、システム及び方法への需要が依然としてある。この点に関し、充血剤の投与を必要としない、冠動脈の狭窄の重症度を評価するための改良されたデバイス、システム及び方法に対する需要が依然としてある。また、脈管、特に、脈管の任意の狭窄又は病変の評価を可能にする、脈管の視覚的描写を提供するための改良されたデバイス、システム及び方法に対する需要が依然としてある。更に、狭窄の重症度を評価すること及び脈管の視覚的描写を効率的な手法で提供することに対する需要が依然としてある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態は、脈管の閉塞、特に血管の狭窄の重症度を、ベッドサイドコントローラを使用して効率的に評価するように構成されている。幾つかの特定の実施形態では、本開示のデバイス、システム及び方法は、ベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイ上での脈管、特に脈管の任意の狭窄又は病変の評価を可能にする画面表示を提供するように構成されている。脈管データは、ベッドサイドコントローラ上で受け取ったタッチ入力を用いて効率的に評価され得る。
【0008】
例示的な態様では、本開示は、患者の脈管を評価する方法に関する。当該方法は、ベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイに、第1の器具が脈管内で静止したままであり、第2の器具が脈管内を脈管の狭窄の遠位側の第1の位置から狭窄の近位側の第2の位置へと長手方向に移動される間、脈管内に配置された第1の器具及び第2の器具により取得された圧力測定値の第1の圧力比の視覚的表現と、取得された圧力測定値の第1の近位側圧力波形及び第1の遠位側圧力波形と、を含む画面表示を出力するステップと;ベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイを介して、第1の近位側圧力波形及び第1の遠位側圧力波形の少なくとも1つにおいてユーザのタッチ入力を受け取り、圧力測定値が取得された時間を特定するステップと;ユーザのタッチ入力に応答して、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現を更に含むように画面表示を変更するステップと、を含む。
【0009】
幾つかの態様では、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現は、タッチセンシティブディスプレイに最初に接触した箇所によって画定される第1の圧力波形の少なくとも一部分の近傍の位置に表示される。幾つかの態様では、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現は、特定された時間における取得された圧力測定値の数値を含む。幾つかの態様では、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現は、特定された時間における取得された圧力測定値の第1の圧力比を含む。幾つかの態様では、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現は、特定された時間における取得された圧力測定値の第2の圧力比を含み、第2の圧力比は、第1の圧力比とは異なるように算出される。幾つかの態様では、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現は、特定された時間における取得された圧力測定値の数値と、特定された時間における取得された圧力測定値の第1の圧力比と、特定された時間における取得された圧力測定値の第2の圧力比と、を含み、第2の圧力比は、第1の圧力比とは異なるように算出される。幾つかの態様では、画面表示は、取得された圧力測定値の第2の近位側圧力波形及び第2の遠位側圧力波形を含み、第2の近位側及び遠位側圧力波形は、第1の近位側及び遠位側圧力波形に比してより長い時間量にわたる取得された圧力測定値を示す。幾つかの態様では、画面表示は、第2の近位側及び遠位側圧力波形の一部分の上に配置されたオーバレイを含み、オーバレイは、第1の近位側及び遠位側圧力波形に示される、取得された圧力測定値の一部分を示す。幾つかの態様では、方法は、ベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイを介して、オーバレイが第2の近位側及び遠位側圧力波形の異なる部分の上に配置されるように移動させるためのユーザのタッチ入力を、オーバレイ上で受け取るステップと、ユーザのタッチ入力に応答して、第1の近位側及び遠位側圧力波形の少なくとも一部分が、第2の近位側及び遠位側圧力波形の異なる部分の上にあるオーバレイの位置に対応する取得された圧力測定値を含むように画面表示を変更するステップと、を更に含む。幾つかの態様では、画面表示は、取得された圧力測定値の複数の圧力比を含み、複数の圧力比のそれぞれは、一定の間隔によって隔てられている。幾つかの態様では、画面表示は、取得された圧力測定値の数値を含む。幾つかの態様では、取得された圧力測定値の第1の圧力比の視覚的表現は、数値を含む。幾つかの態様では、画面表示は、取得された圧力測定値の第2の圧力比を含み、第2の圧力比は、第1の圧力比とは異なるように算出される。幾つかの態様では、画面表示は、圧力測定値の差の視覚的表現を含む。
【0010】
例示的な態様では、本開示は、患者の脈管に導入するための大きさ及び形状に作られた第1の器具と;患者の脈管に導入するための大きさ及び形状に作られた第2の器具と;タッチセンシティブディスプレイを含むベッドサイドコントローラであって、ベッドサイドコントローラは、画面表示を表示し、タッチセンシティブディスプレイ上でユーザのタッチ入力を受け取るように構成されているベッドサイドコントローラと;第1の器具及び第2の器具とベッドサイドコントローラとに通信的に結合された処理システムであって、処理システムは、第1の器具が脈管内で静止したままであり、第2の器具が脈管内を脈管の狭窄の遠位側の第1の位置から狭窄の近位側の第2の位置へと長手方向に移動される間、脈管内に配置された第1の器具及び第2の器具から圧力測定値を受信し;ベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイに、取得された圧力測定値の圧力比の視覚的表現と、取得された圧力測定値の第1の近位側圧力波形及び第1の遠位側圧力波形と、を含む画面表示を出力し;タッチセンシティブディスプレイで受け取ったユーザのタッチ入力に応答してベッドサイドコントローラから信号を受信し、ユーザのタッチ入力は、第1の近位側圧力波形及び第1の遠位側圧力波形の少なくとも1つに関する圧力測定値が取得された時間を特定し;受信した信号に応答して、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現を更に含むように画面表示を変更する、ように構成されている、処理システムと、を含む、患者の血管を測定するためのシステムに関する。
【0011】
幾つかの態様では、上記システムは、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現が、特定された時間における取得された圧力測定値の数値と、特定された時間における取得された圧力測定値の第1の圧力比の数値とを含む。幾つかの態様では、特定された時間に対応する取得された圧力測定値の視覚的表現は、特定された時間における取得された圧力測定値の第2の圧力比の数値を更に含み、第2の圧力比は、第1の圧力比とは異なるように算出される。幾つかの態様では、処理システムは、取得された圧力測定値の第2の近位側圧力波形及び第2の遠位側圧力波形であって、第2の近位側及び遠位側圧力波形が、第1の近位側及び遠位側圧力波形に比してより長い時間量にわたる取得された圧力測定値を示す、第2の近位側圧力波形及び第2の遠位側圧力波形と、第2の近位側及び遠位側圧力波形の一部分の上に配置されたオーバレイであって、オーバレイが、第1の近位側及び遠位側圧力波形に示される、取得された圧力測定値の一部分を示す、オーバレイと、を更に含む画面表示を出力するように構成されている。幾つかの態様では、処理システムは、タッチセンシティブディスプレイで受け取ったユーザのタッチ入力に応答してベッドサイドコントローラから信号を受信し、ユーザのタッチ入力は、オーバレイを、第2の圧力波形の異なる部分の上に配置されるように移動し、受信した信号に応答して、第1の波形の少なくとも一部分が、第2の圧力波形の異なる部分の上にあるオーバレイの位置に対応する取得された圧力測定値を含むように画面表示を変更するように更に構成されている。幾つかの態様では、処理システムは、取得された圧力測定値の複数の圧力比であって、複数の圧力比のそれぞれは、一定の間隔によって隔てられている、複数の圧力比を更に含む、画面表示を出力するように構成されている。
【0012】
本開示の更なる態様、特徴及び利点が以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0013】
本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一実施形態による、ベッドサイドコントローラを含む医療用センシングシステムを示す概略図である。
図2】本開示の別の実施形態による、無線ベッドサイドコントローラを含む医療用センシングシステムを示す概略図である。
図3A】ベッドサイドコントローラの概略斜視図である。
図3B図3Aのベッドサイドコントローラの概略後部斜視図である。
図3C】ベッドレールに取り付けられた図3A及び図3Bのベッドサイドコントローラの概略斜視図である。
図4】本開示の態様による図3A図3Cのベッドサイドコントローラの機能ブロック図である。
図5】可動式処理システムに取り付けられた、図3A図3Cのベッドサイドコントローラを有する可動式処理システムの概略斜視図である。
図6】点滴ポールに着脱可能に取り付けられた、図3A図3Cのベッドサイドコントローラの概略斜視図である。
図7】本開示の種々の態様による、ベッドサイドコントローラによって医療センシングのワークフローを行う方法を示す流れ図である。
図8】本開示の一実施形態による、狭窄を有する血管の概略斜視図を示す。
図9図8の断面線9−9に沿って切った、図8の血管の一部の概略部分断面斜視図を示す。
図10】本開示の一実施形態による、器具が血管内に配置されている図8及び図9の血管の概略部分断面斜視図を示す。
図11】本開示の一実施形態によるシステムの模式的概略図を示す。
図12】本開示の一実施形態による画面表示を示す。
図13】本開示の一実施形態による画面表示を示す。
図14】本開示の別の実施形態による画面表示の一部を示す。
図15】本開示の別の実施形態による画面表示の一部を示す。
図16】本開示の別の実施形態による画面表示の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の原理の理解を促す目的で、ここで、図面に示される実施形態について述べ、実施形態を説明するために特定の言語が使用される。しかしながら、本開示の範囲の限定は意図しないことは理解される。記載されたデバイス、システム及び方法への任意の変更並びに更なる修正、並びに本開示の原理の任意の更なる応用は、本開示に関係する当業者に通常想起されるものとして本開示の範囲内であると十分に考えられると共に本開示の範囲内に含まれる。特に、一実施形態に関して記載されている特徴、構成要素及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して記載される特徴、構成要素及び/又はステップと組み合わせてもよいと十分に考えられる。しかしながら、簡略化のため、これら組み合わせの多くの繰り返しについては別個に記載されない。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態による、ベッドサイドコントローラ102を含む医療用センシングシステム100を示す概略図である。概して、医療用センシングシステム100は、ヒトの生物学的、生理学的及び形態学的情報を取得及び解釈するために使用される種々の方法に対し感度を持つように設計された、取得及び処理要素の複数形態のコヒーレントな集積及び統合を提供する。より具体的には、システム100において、ベッドサイドコントローラ102は、医療センシングデータの取得、制御、解釈、測定及び表示用のタッチ可能な、一体型コンピューティングデバイスである。図示されている実施形態においては、ベッドサイドコントローラ102は、ユーザ制御及び診断画像を単一表面上で提供するタブレット型タッチセンサ式コンピュータである。医療用センシングシステム100において、ベッドサイドコントローラ102は、複数の医療センシングモダリティに対応するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)によって、ワークフロー制御オプション及び患者の画像データを提示するように動作可能である。ベッドサイドコントローラ102については、図3A図3B及び図4に関連してより詳細に記載される。
【0017】
図示されている実施形態においては、医療用センシングシステム100はカテーテルラボ104内に配置されている。カテーテルラボ104は、患者106に対し、例えば、血管造影法、血管内超音波法(IVUS)、組織性状診断(VH:virtual histology)、前方視IVUS(FL−IVUS)、血管内光音響(IVPA:intravascular photoacoustic)イメージング、血圧、血流予備量比決定法、血流速度、血流量、冠血流予備能(CFR)決定法、光干渉断層法(OCT)、コンピュータ断層撮影法、心腔内心エコー法(ICE:intracardiac echocardiography)、前方視ICE(FLICE:forward−looking intracardiac echocardiography)、血管内パルポグラフィ(palpography)、経食道超音波法、又は当該技術分野で知られている任意の他の医療センシングモダリティなどであるが、これらに限定しない任意の数の医療センシング処置を、単独若しくは組み合わせて実施するために使用されてもよい。カテーテルラボ104は、また、Instant Wave−Free Ratio(商標)Functionality(iFR(登録商標)Functionality)(双方ともVolcano Corp.の商標)、並びに全体が参照により本明細書に援用される、充血剤の投与なしで利用可能な圧力比の使用を開示している「血管を評価するためのデバイス、システム及び方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL)」という名称の米国特許出願第13/460,296号に開示されているものに関連する医療センシング処置を行うことができる。更に、2014年7月14日に出願された、「脈管の治療のためのデバイス、システム及び方法(DEVICES,SYSTEMS,ANDMETHODSFORTREATMENTOFVESSELS)」という名称の、全体が参照により本明細書に援用される米国仮特許出願第62/024,005号に開示されている、iFR(登録商標)、FFR及び/又は他の受け入れられている診断圧力比を推定するのに好適な補償Pd/Pa比に関連する医療センシング処置がカテーテルラボ104内で実施され得る。医療用センシングシステムを制御することに加えて、例えば、ステント留置、コイル塞栓術、アブレーション治療、腎結石治療、膀胱鏡検査におけるバスケット留置、腫瘍除去及び化学療法に用いられるものなどであるが、これらに限定されない内科的治療システムと協働し、制御するためのベッドサイドコントローラが用いられてもよい。カテーテルラボ104は無菌野105を更に含む。無菌野105は、処置台109上の患者106及び臨床医107を取り囲むカテーテルラボの一部分を含む。臨床医107は、任意の数の医療センシング処置又は治療を実施してもよい。図1に示されるように、ベッドサイドコントローラ102は無菌野105内に配置されてもよく、患者106に対し実施される医療センシング処置又は治療のワークフローを制御するために臨床医107によって利用されてもよい。例えば、臨床医107は、処置ワークフローを開始してもよく、処置中に取得された圧力測定値(例えば、圧力波形などの、圧力データの視覚的表現)などの医療センシングデータをリアルタイムで見てもよく、無菌野105内のベッドサイドコントローラ102を使用し、取得した医療センシングデータと対話してもよい。別の実施形態では、ベッドサイドコントローラ102は、無菌野105の外部、例えば、カテーテルラボ104内の他の位置で又はカテーテルラボの隣の制御室内で利用されてもよい。ベッドサイドコントローラ102を用いて医療センシングのワークフロー又は治療ワークフローを制御する方法は、以下、より詳細に説明される。幾つかの実施形態では、医療用センシングシステム100は以下に記載されるシステム850(図8)として実装され得る。幾つかの実施形態では、システム850の1つ以上の構成要素が医療用センシングシステム100内に実装され得る。
【0018】
図1に示されている実施形態では、医療用センシングシステム100は、カテーテルラボ104内において、医療センシングデバイス108及び医療センシングデバイス110などの、圧力センシングワークフロー処置を容易にするための幾つかの相互接続された医療センシング関連ツールと、処理システム124と、を更に含む。医療センシングデバイス108及び110は、圧力監視要素を含み得る。医療用センシングシステム100の幾つかの実施形態は、医療センシングデバイス108に通信的に結合された患者インターフェースモジュール(PIM:patient interface module)112と、医療センシングデバイス110に通信的に結合されたPIM114と、心電図(ECG:electrocardiogram)デバイス116と、血管造影システム117と、カンチレバー式(boom)ディスプレイ122と、を含み得る。ベッドサイドコントローラ102と、PIM112及び114と、ECGデバイス116と、血管造影システム117と、カンチレバー式ディスプレイ122とは、処理システム124に通信的に結合されている。幾つかの実施形態では、医療センシングデバイス108及び110は、撮像ワークフローを容易にするための撮像要素を含み得る。一実施形態においては、処理システム124は、医療センシングデータを取得、処理及び表示するためのハードウェア及びソフトウェアを備えるコンピュータワークステーションであるが、他の実施形態では、処理システムは、医療センシングデータを処理するように動作可能な任意の他の種類のコンピューティングシステムであってもよい。例えば、圧力センシングワークフロー中、処理システム124は、医療センシングデバイス108及び110並びに/又はPIM112及び114から未処理の圧力データを受け取り、この圧力データを、例えば、圧力波形、数値、計算価等のような視覚的表現を含む画面表示に変換し、これらが分析のため臨床医107に対し表示され得るように、画面表示をベッドサイドコントローラ124で利用できるようにするよう動作可能である。処理システム124がコンピュータワークステーションである実施形態では、システムは、マイクロコントローラ又は専用の中央処理装置(CPU)などのプロセッサ、ハードドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)などの非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体、グラフィック処理ユニット(GPU)などのビデオコントローラ、並びにイーサネット(登録商標)コントローラなどのネットワーク通信デバイスを少なくとも含む。更に、処理システム124は、データネットワーク125に通信的に結合されている。図示されている実施形態においては、データネットワーク125は、TCP/IPベースのローカルエリアネットワーク(LAN)であるが、他の実施形態では、同期光ネットワーキング(SONET)などの異なるプロトコルを利用してもよく、又はワイドエリアネットワーク(WAN)であってもよい。処理システム124は、医用デジタル画像と通信(DICOM:Digital Imaging and Communications in Medicine)システム、画像保管通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)及び病院情報システムなどのネットワーク125を介して種々のリソースに接続してもよい。処理システム124は、「医療測定システム及び方法(MEDICAL MEASURING SYSTEM AND METHOD)」という名称の、2014年6月17日に出願された米国特許第8,754,865号、及び「マルチモダリティ医療用センシングシステム及び方法(MULTI−MODALITY MEDICAL SENSING SYSTEM AND METHOD)」という名称の、2011年4月8日に出願された米国特許出願第61/473,570号(これらは両方とも参照により全体が本明細書に援用される)に開示されている医療センシングデータを処理するマルチモダリティ処理システムに類似し得る。
【0019】
医療用センシングシステム100では、PIM112及びPIM114はそれぞれ、医療センシングデバイス108及び医療センシングデバイス110によって患者106から収集された医療センシングデータを受信するように動作可能であると共に、受信したデータを処理システム124に送信するように動作可能である。一実施形態において、PIM112及びPIM114は、医療センシングデータを周辺機器相互接続エクスプレス(PCI:Peripheral Component Interconnect Express)データバス接続で送信するが、他の実施形態では、PIM112及びPIM114は、USB接続、サンダーボルト接続、ファイアワイヤ接続又は幾つかの他の高速データバス接続でデータを送信してもよい。加えて、ECGデバイス116は、患者106からの心電図信号又は他の血流力学データを処理システム124に送信するように動作可能である。データ収集において臨床医を補助するため、ベッドサイドコントローラ102は、ECGデータを医療センシングデータのそばに表示するように動作可能である。更に、幾つかの実施形態では、処理システム124は、ECG116からのECG信号を使用してデータ収集をカテーテル108及び110と同期させるように動作可能であってもよい。更に、血管造影システム117は、患者106のx線、コンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴像(MRI)を収集し、これらを処理システム124に送信するように動作可能である。x線、CT又はMRIデータが処理システム124によって人が読める画像に加工された後、臨床医107はベッドサイドコントローラ102上のGUIをナビゲートして処理システム124から画像を取り出し、これらをコントローラ上に表示してもよい。幾つかの実施形態では、処理システム124は、血管造影システム117から画像データ(例えば、x線データ、MRIデータ、CTデータ等)を、及びカテーテル108及び110からのセンシングデータとコレジストレーションしてもよい。本開示の一態様として、コレジストレーションは、センシングデータとの3次元画像を生じさせるために実施されてもよい。このようなコレジストレーションされた3D画像データは、ベッドサイドコントローラ124上で見ることができてもよい。一実施形態において、臨床医は、ベッドサイドコントローラ102上のこのような3D画像を、同時タッチ入力(即ちマルチタッチ)及びジェスチャを使用して回転、ズーム及びそれ以外で操作してもよい。
【0020】
加えて、図1の図示されている実施形態においては、システム100内の医療センシングツールは、標準的な銅リンク又は光ファイバリンクなどの有線接続を介して処理システム124に通信的に結合されている。具体的には、ベッドサイドコントローラ124は、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続、パワーオーバーイーサネット(登録商標)接続、サンダーボルト接続、ファイアワイヤ接続、又は幾つかの他の高速データバス接続により処理システム124に通信的に及び/又は電気的に接続されてもよい。
【0021】
しかしながら、図2に示されるものなどの別の実施形態では、医療センシングツールは無線通信してもよい。この点に関して、図2は、本開示の別の実施形態による、無線ベッドサイドコントローラ202を含む医療用センシングシステム200を示す概略図である。医療用センシングシステム200は図1のシステム100に類似しているものの、無線ベッドサイドコントローラ202と、無線PIM204と、無線PIM206と、を含む医療センシングツールは、無線ネットワーキングプロトコルを介して無線ネットワーク208と通信する。例えば、ベッドサイドコントローラ202は、ワークフロー制御パラメータ、医療センシング画像及び測定データを、IEEE802.11 Wi−Fi(登録商標)規格、超広帯域無線(UWB)規格、無線ファイアワイヤ、無線USB、Bluetooth(登録商標)又は別の高速無線ネットワーキング規格を介して、遠隔処理システムに及び遠隔処理システムから送信及び受信してもよい。このような無線性能により、臨床医107が、より良好なワークフロー管理のために、ベッドサイドコントローラ202を無菌野105の内側又は外側により自由に位置決めすることを可能にする。
【0022】
ここで図3A図3B図3C及び図4を参照すると、図3Aは、ベッドサイドコントローラ300の概略斜視図であり、図3Bは、ベッドサイドコントローラの概略後部斜視図であり、図3Cは、ベッドレールに取り付けられたベッドサイドコントローラの概略斜視図であり、図4は、本開示の態様によるベッドサイドコントローラ300の機能ブロック図である。ベッドサイドコントローラ300は、医療用センシングシステム100及び200のベッドサイドコントローラ102及び202に類似しており、中でも、医療センシング又は治療処置ワークフローを開始し、処置中に得られたリアルタイムデータ(例えば、圧力データの視覚的表現)を表示し、臨床医からの圧力データの視覚的表現上にユーザのタッチを受け入れるように動作可能である。ベッドサイドコントローラ300は、概して、患者台にて作業する臨床医にとって利用可能なシステム制御を向上させる。例えば、無菌野内でのワークフロー制御及び分析能力の両方を臨床医に与えることで、エラーを低減し、ワークフロー効率を向上させる。
【0023】
図3Aに示すように、ベッドサイドコントローラ300は、把持して、カテーテルラボ又は他の医療環境を移動させることが簡単な、一体形成された筺体302を含む。一実施形態において、一体形成された筺体302は、熱可塑性若しくは熱硬化性プラスチック又は成形可能な金属などの材料からシームレスで成形されてもよい。他の実施形態では、一体形成された筺体302は、実質的に永久的手法で固定的に結合されて一体的な筺体を形成する複数の筺体部分を含んでもよい。筺体302は流体に耐え、一実施形態においては、流体の侵入に対し、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)規格60529によって定められたIPX4の等級を有してもよい。筺体302が異なる環境において使用され得る他の実施形態では、ハブは、異なる流体侵入等級を有してもよい。図示されている実施形態においては、筺体302は、幅約10.5インチ、高さ約8.25インチであり、約2.75インチの厚さを有する。別の実施形態では、筺体は、同様に携帯性を促す異なる幅、高さ又は厚さを有してもよい。
【0024】
図3Bに示されるように、筺体302は、筺体上に配置された内蔵式取付構造303を更に含む。図示されている実施形態においては、取付構造は、筺体の外縁部の近傍に配置されている。取付構造303は、ベッドサイドコントローラ300がカテーテルラボ内及び外の種々の場所に内蔵状態で着脱可能に取り付けられることを可能にする。つまり、ベッドサイドコントローラ300は、別個の外部マウントの使用なく別の物体に直接固定されてもよい。図示されている実施形態においては、取付構造303は、取付チャネル304と、取付チャネル上で枢動し、取付チャネル内に取付台を固定する保持クランプ305と、を含む。取付チャネル304は、より長い前壁350と、頂壁352と、より短い後壁354と、によって画定され、保持クランプは、取付チャネルに略平行な状態でクランプ内に延びるスロット356を含む。前壁350及び後壁354は、筺体302内のタッチセンシティブディスプレイ307に略垂直であり、頂壁352は、ディスプレイ307に略平行である。図示されている実施形態においては、保持クランプはばね荷重式であり、取付チャネル内に位置している物体に圧力を解放可能に作用する。別の実施形態では、保持クランプは、異なるように構成されてもよく、ばね以外の機構により力を作用してもよい。
【0025】
図3Cに示されるように、動作時、ベッドサイドコントローラ300は、取付クランプ305を開位置に枢動させ、レールがチャネル304の長さ内に延びるようにコントローラを位置決めし、クランプがチャネル内のレールを固定するようにクランプを解放することによって、取付台、例えば、ベッドレール306に着脱可能に固定されてもよい。レール306が取付チャネル304内に配置され、クランプ305がレール306を取付チャネル304内に保持すると、レールの3つの表面がそれぞれ、前壁350、頂壁352及び後壁354により係合され、レールの第4の表面がクランプ305のスロット356内に延びる。このようにして、図3Bに示されるように、取付構造303は、ベッドサイドコントローラ300を、ベッドレール306と組み合わされた処置台351に略平行な姿勢に維持してもよい。異なるように説明すると、取付構造303は、取付構造303がコントローラの一端を物体に固定する一方で、コントローラの大半はこの物体から遠ざかる方に無支持の状態で延びるという点で、片持式取付構造である。このような片持姿勢は、コントローラのディスプレイが、オペレータにとって可読であり、且つ快適な入カ角度にある、の両方であることを可能にする。更に、内蔵式取付構造303は、ベッドサイドコントローラ300がベッドレール306から素早く取り外され、点滴ポール、処理システムが配置されているカート、又は無菌野内若しくは外の他の位置に再度取付けられることを可能にし、便利なワークフロー制御及び画像分析を可能にする。別の実施形態では、ベッドサイドコントローラの取付構造303は図3A及び図3Bに示される設計と異なっていてもよく、内蔵式取り付けを可能にするための付加的な及び/又は異なる構成要素を含んでもよい。
【0026】
筺体302の前部に埋め込まれているのは、タッチパネル308と、フラットパネルディスプレイ309と、の両方を含むタッチセンシティブディスプレイ307である。タッチパネル308はフラットパネルディスプレイ309に重なり、人の接触、スタイラスによる接触又は幾つかの他の類似の入カ方法によりユーザ入力を受け取る。換言すると、タッチセンシティブディスプレイ307は同じ表面上で画像を表示し、ユーザ入力を受け取る。本実施形態では、タッチパネル308は抵抗膜方式のパネルであるが、別の実施形態では、タッチパネル308は、静電容量方式のパネル、投影型のパネル又は幾つかの他の好適な種類のタッチ可能式入力パネルであってもよい。更に、タッチパネル308は、複数の入力を同時に受け取るように動作可能であり(マルチタッチ)、例えば、複数の軸に沿った脈管の3次元レンダリングの回転を可能にする。加えて、タッチパネル308は、無菌ドレープ301がベッドサイドコントローラ300を覆っている時、また、ユーザが手袋を着用している時に入カを受け取ることが可能である。タッチパネル308は、筺体302内に配置されたタッチコントローラ310によって制御される。更に、臨床医がタッチパネル308に接触する際、タッチパネルは触覚コントローラ312及び触覚ドライバ314を通じて触覚フィードバックを提供するように動作可能である。この触覚技術は、タッチパネルにユーザが接触する際に発生する振動の強度及び頻度を変化させることによってタッチパネル308上で複数の感覚を模すように動作可能である。幾つかの実施形態では、筺体302は、中にスタイラスを収納するように構成されたシースを含んでもよい。従って、臨床医は、筺体内のシースからスタイラスを取り出し、ベッドサイドコントローラで測定を行い、測定が完了するとスタイラスを収納してもよい。
【0027】
タッチパネル308の下にあるのは、ユーザにグラフィカルユーザインターフェース(GUI)316を提示するフラットパネルディスプレイ309である。図示されている実施形態においては、フラットパネルディスプレイ309はLCDディスプレイであるが、別の実施形態では、フラットパネルディスプレイ309は、LEDディスプレイ又はAMOLEDディスプレイなどの異なるタイプのディスプレイであってもよい。図示されている実施形態においては、フラットパネルディスプレイ309は、LEDバックライトパワーインバータ318によって照明される。上で述べたように、GUI316は、臨床医が医療センシングのワークフローを制御するだけでなく、無菌野内の患者から取得した圧力データを見て、このデータと対話することを可能にする。データを見、データと対話するためにGUI316と対話する方法は、図7図12に関連してより詳細に説明される。
【0028】
ベッドサイドコントローラ300は、筺体302内に、GUI316をレンダリングし、ユーザのタッチ入力を処理するように動作可能なシングルボード処理プラットフォーム320を含む。図示されている実施形態においては、処理プラットフォームはピコフォームファクタを有し、プロセッサ321、システムメモリ322、グラフィック処理ユニット(GPU)、通信モジュール323及びI/Oバスコントローラなどの内蔵処理部品を含む。幾つかの実施形態では、プロセッサ321はIntelのAtom(登録商標)プロセッサ又はARMベースのプロセッサなどの低消費電力プロセッサであってもよく、通信モジュール323は10/100/1Gbイーサネット(登録商標)モジュールであってもよい。また、I/Oバスコントローラはユニバーサルシリアルバス(USB)コントローラであってもよい。ベッドサイドコントローラ300は、ストレージモジュール324を更に含む。ストレージモジュール324は非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であり、オベレーティングシステム(即ち、GUIをレンダリングし、制御するためのソフトウェア)と、データ及び/又は視覚的表現操作ソフトウェアと、処理システムから受け取った医療センシングデータ及び視覚的表現と、他の医療センシング関連ソフトウェアと、を保存するように動作可能である。プロセッサ321は、ストレージモジュール324に保存されたソフトウェア及び命令を実行するように構成されている。図示されている実施形態においては、ストレージモジュール324は、SATA接続を介して処理プラットフォーム320に通信的に結合されたソリッドステートドライブ(SSD)ハードドライブであるが、別の実施形態では、任意の他の種類の不揮発性又は一時記憶モジュールであってもよい。ベッドサイドコントローラ300は、処理プラットフォーム320に通信的に結合された無線通信モジュール326を更に含む。幾つかの実施形態では、無線通信モジュールは、IEEE802.11Wi−Fi(登録商標)モジュールであるが、他の実施形態では、超広帯域(UWB)無線モジュール、無線ファイアワイヤモジュール、無線USBモジュール、Bluetooth(登録商標)モジュール又は別の高速無線ネットワーキングモジュールであってもよい。
【0029】
図示されている実施形態においては、ベッドサイドコントローラ300は、有線12VDCパワーオーバーイーサネット(登録商標)(PoE)接続328と、筺体302内に配置されたバッテリ330との両方により電力を供給される。一実施形態において、バッテリ330は一体形成された筺体302内に密封されてもよく、筺体の外部に配置され且つバッテリに電気的に接続された電気接点を介して充電されてもよい。図3Bの実施形態に示されるように、前壁350は1つ以上の電気接点358を含んでもよく、互換性のある充電構造を備える物体にコントローラが取り付けられると、1つ以上の電気接点358を通じてバッテリ330が充電されてもよい。他の実施形態では、筺体302は、バッテリの交換を可能にするために、取り外し可能なカバーを備えるバッテリ収納部を含んでもよい。このようなバッテリ収納部カバーは、流体の侵入に耐えるものであってもよい(例えば、IPX4等級を有する)。ベッドサイドコントローラ300は、カテーテルラボ内の処理システムにPoE接続328を介して結合されてもよい。PoE接続328を介して、ベッドサイドコントローラ300は、患者から撮影され、処理システムでレンダリングされた医療センシング画像を受信する。動作時、ベッドサイドコントローラがPoE接続328に結合される場合、ベッドサイドコントローラは電力及び通信を同じ物理的線で受け取る。ベッドサイドコントローラ300がPoE接続328から切り離されると、ベッドサイドコントローラ300はバッテリの電力で駆動し、データを、無線通信モジュール326を介して無線で受信する。カテーテルラボ内において無線で使用される場合、ベッドサイドコントローラは、処理システムと直接通信してもよい(即ち、アドホック無線モードで)、又は別法として、ベッドサイドコントローラは、複数の無線デバイスに通信を提供する無線ネットワークと通信してもよい。別の実施形態では、ベッドサイドコントローラ300は、電力及びデータを異なる有線接続を介して受け取ってもよく、又はデータ通信を有線データ接続を介して受け取り、電力をバッテリ330から受け取ってもよく、又はデータ通信を無線通信モジュール326を介して受け取り、電力を有線電気接続から受け取ってもよい。幾つかの実施形態では、ベッドサイドコントローラ300は半無線構成で使用されてもよい。半無線構成では、コントローラが一時的に有線電源から切り離されている際、バッテリ330がコントローラに予備電源を提供する。例えば、処置の最初に、ベッドサイドコントローラ300がPoE接続(又は他の種類の有線接続)に接続され、処置中に、配線調整を可能とするためにコントローラがPoE接続から切断されなければならない場合、バッテリ330は、PoE接続が再確立され得るまでコントローラを通電された状態に維持してもよい。このようにして、処置中におけるコントローラ300の完全な電源オフ及び再起動が回避される。図4に示されるように、DC−DC電力変換器332が入カ電圧を、処理プラットフォーム320によって使用可能な電圧に変換する。
【0030】
図3及び図4に示されている実施形態において、ベッドサイドコントローラ300は本明細書中に記載される特定の構成要素を含むものの、ベッドサイドコントローラは、任意の数の追加の構成要素、例えば、電気接点とバッテリとの間に配置される充電レギュレータを含んでいてもよく、別の実施形態では、任意の数の代替的構成で構成されてもよいことは理解される。
【0031】
ここで図5及び図6を参照すると、ベッドサイドコントローラ300が取り付けられてもよい場所の例が示されている。図5は、可動式処理システム500の概略斜視図である。処理システム500はカート502上に配置され、カート502は、処理システムが異なるカテーテルラボなどの異なる場所の間で容易に移動されることを可能にする。図5に示されるように、ベッドサイドコントローラ300が処理システムと共にカテーテルラボに運ばれ得るように、ベッドサイドコントローラ300はカート502に取り付けられている。ベッドサイドコントローラ300は、筺体302に組み込まれた内蔵式取付構造303を介してカートに着脱可能に固定されている。更に、幾つかの実施形態では、カート502は、コントローラをカート上にドッキングさせている時、そのバッテリが筺体302上に配置された電気接点358を通じて充電されるように、ベッドサイドコントローラ300用のドックを含んでもよい。図6に示されるように、ベッドサイドコントローラ300は、また、内蔵式取付構造303を介して、点滴ポール600に着脱可能に取り付けてもよい。このように取り付けられる場合、ベッドサイドコントローラ300は、無菌野内の患者の隣に、故に、コントローラを片手で操作する場合がある臨床医の手が届く範囲内に転がして移動させてもよい。
【0032】
図7は、本開示の種々の態様による、図3A図4のベッドサイドコントローラ300を用いて、医療センシングのワークフローを実施する方法700を示す流れ図である。方法700は、iFR処置などの圧力センシング処置と関連して記載されるが、FFR処置、IVUS処置、OCT処置、FLIVUS処置、ICE処置等などの任意の数の医療センシング又は治療処置に等しく適用してもよい。方法700は、図8図16を参照するとより良く理解され得る。方法700はブロック710において開始する。ブロック710では、ベッドサイドコントローラ300による医療センシングのワークフローが開始される。iFR処置を一例として使用すると、無菌野内で、患者の近傍にいる臨床医が、ベッドサイドコントローラのGUIの複数のモード(例えば、FFR、iFR、CFR等)から「iFR」オプションを選択し、iFRワークフローを開始してもよい。次に、ブロック720において、カテーテル又はガイドワイヤなどの圧力センシング血管内デバイスが患者に挿入された後、臨床医はベッドサイドコントローラのGUIで「ライブ」オプションを選択し、血管内デバイスから生の圧力測定値を受け取ってもよい。幾つかの実施形態では、臨床医はリアルタイム圧力測定値を使用し、血管内デバイスを患者内において所望の位置まで案内してもよい。典型的な実施形態では、処理システムは未処理の圧力データを血管内デバイスから収集し、データを処理して、取得した圧力データの視覚的表現をレンダリングしてもよい。ベッドサイドコントローラは視覚的表現を処理システムから取り出し、これらをユーザにリアルタイムで表示する。次いで、ブロック730において、圧力センシング血管内デバイスが患者内に適切に配置された後、臨床医はベッドサイドコントローラGUIで「記録」オプションを選択する。圧力測定値は以下の処置の1つ以上の最中に収集され得る:充血が誘発される間圧力センサが1つの場所に留まるFFR「スポット」測定;長期の充血が誘発され、センサが小孔まで引き戻されるFFRプルバック;FFRスポット測定に似ているが充血のないiFR「スポット」測定;及びFFRプルバックであるが充血のないiFRプルバック。処理システムは記録コマンドに応答し、圧力測定値及び圧力測定値から生じた視覚的表現のレンダリング及び保存を開始する。視覚的表現は、数値的、図形的、文字的及び/又は他の適切な視覚化を含み得る。方法700は、ブロック740に進む。ブロック740では、圧力測定値収集工程が完了した後、臨床医はベッドサイドコントローラのGUIを通じて圧力測定値の記録を終了する。次いで、ブロック750において、ベッドサイドにいる臨床医は、ベッドサイドコントローラ上で圧力測定値又は対応する視覚的表現を呼び出し、ナビゲートする。具体的には、ベッドサイドコントローラは取得した圧力データの圧力測定値又は視覚的表現をベッドサイドコントローラ上に提示してもよく、臨床医はベッドサイドコントローラのタッチパネル上でジェスチャを使用してこれらをナビゲートしてもよい。最後に、ブロック760において、臨床医は取得した圧力データ又は取得した圧力データの視覚的表現をベッドサイドコントローラ上で直接分析する。例えば、ベッドサイドコントローラのユーザは取得した圧力データ又は視覚的表現と、指又はスタイラスを用いた、コントローラのタッチセンシティブディスプレイ上における一連の押す動作、移動する動作及び放す動作を通じて対話する。これら操作はベッドサイドコントローラの内部プロセッサによって解釈される。幾つかの実施形態では、取得した圧力データ及び/又は視覚的表現はユーザのタッチ入力に応答して修正され得る。例えば、ベッドサイドコントローラ上のユーザのタッチ入力では、圧力測定値が得られた特定の時間に該当する圧力波形の特定箇所を選択することができる。ユーザのタッチ入力に応答して、特定の時間に取得した圧力データが、ベッドサイドコントローラ上で圧力波形の特定箇所の近傍に表示され得る。
【0033】
図8及び図9を参照すると、本開示の一実施形態による、狭窄を有する脈管800が示されている。この点に関して、図8は、脈管800の概略斜視図であり、図9は、図の断面線9−9に沿って切った脈管800の一部の部分断面斜視図である。特に図8を参照すると、脈管800は、近位部802と遠位部804とを含む。内腔806が、近位部802と遠位部804との間に、脈管800の長さに沿って延在する。この点に関して、内腔806は、脈管を流体が流れるのを可能にするように構成されている。場合によっては、脈管800は血管である。幾つかの特定の例では、脈管800は冠動脈である。このような例では、内腔806は脈管800内の血液の流れを促進するように構成されている。
【0034】
示されているように、脈管800は近位部802と遠位部804との間に狭窄808を含む。狭窄808は、任意の遮断、又は脈管800の内腔806内の流体の流れを制限することとなる他の構造配置を全般的に表す。本開示の実施形態は、冠、末梢(下肢、頚動脈及び神経血管を含むが、これらに限定されない)、腎及び/又は静脈を含むが、これに限定されない多種多様な脈管用途における使用に好適である。脈管800が血管である場合、狭窄808は、線維性、線維脂肪性(線維脂質)、壊死性コア、石灰化(高密度石灰化)、血液、新血栓及び成熟血栓などのプラーク構成成分を含むがこれらに限定されない、プラーク蓄積の結果である可能性がある。概して、狭窄の構成は評価される脈管の種類に依存する。この点に関しては、本開示の概念は、事実上あらゆる種類の遮断又は他の流体の流れの低下を生じる脈管の狭窄に適用可能であることは理解される。
【0035】
特に図9を参照すると、脈管800の内腔806は狭窄808の近位側において直径810を有し、狭窄の遠位側において直径812を有する。場合によっては、直径810と直径812とは互いに実質的に等しい。この点に関して、直径810及び直径812は、狭窄808に比して、内腔806の健康な部分又は少なくともより健康な部分を表すことを意図している。従って、内腔806のこれらより健康な部分は実質的に一定の円筒状プロファイルを有するものとして示され、結果として、内腔の高さ又は幅が直径と呼ばれる。しかしながら、多くの場合、内腔806のこれら部分もまた、プラーク蓄積、非対称なプロファイル及び/又は他の不規則性を有するものの、その程度は狭窄808よりも少なく、従って、円筒状プロファイルを有しないことは理解される。このような例では、直径810及び直径812は、内腔の相対的な大きさ又は断面積を表すものであり、円形断面プロファイルを意味するものではないと理解される。
【0036】
図9に示されているように、狭窄808は、脈管800の内腔806を狭くするプラーク蓄積814を含む。場合によっては、プラーク蓄積814は均一又は対称なプロファイルを有さず、このような狭窄の血管造影評価を信頼できないものにする。図示されている実施形態においては、プラーク蓄積814は、上部分816と、対向する下部分818と、を含む。この点に関して、下部分818は上部分816に対して増加した厚みを有し、狭窄808の近位側及び遠位側の内腔の部分に対し、非対称且つ不均一なプロファイルが生じる。示されているように、プラーク蓄積814は、流体が内腔806内を流れるのに利用可能な空間を減少させる。特に、内腔806の断面積はプラーク蓄積814によって減少する。上部分816と下部分818との間の最も狭い箇所において、内腔806は高さ820を有し、これは狭窄808の近位側及び遠位側の直径810及び直径812に対して減少した大きさ又は断面積を表す。プラーク蓄積814を含む狭窄808は本質的に例示であり、いかようにも限定するものと考えられるべきではないことに留意されたい。この点に関して、狭窄808は、他の例では、内腔806内の流体の流れを制限する他の形状及び/又は構成を有することは理解される。図8及び図9には、脈管800は1つの狭窄808を有するものとして示され、以下の実施形態の記載は主として1つの狭窄に関して行われるものの、しかしながら、本明細書中に記載されるデバイス、システム及び方法は、複数の狭窄部位を有する脈管に対する類似の用途を有することは理解される。
【0037】
ここで図10を参照すると、脈管800はその中に配置された、本開示の一実施形態による器具830及び器具832を有して示されている。概して、器具830及び器具832は、脈管内に配置されるような大きさ及び形状に作られた任意の形態のデバイス、器具又はプローブであってもよい。器具830及び器具832は医療用センシングシステム100(図1)内に医療センシングデバイス108及び110として実装され得る。図示されている実施形態においては、器具830は概して、ガイドワイヤを表し、器具832は概して、カテーテルを表す。この点に関して、器具830は器具832の中心ルーメン内に延びる。しかしながら、他の実施形態では、器具830及び器具832は他の形態を取る。この点に関して、幾つかの実施形態では、器具830及び器具832は類似の形態のものである。例えば、場合によっては、器具830及び器具832は両方ともガイドワイヤである。他の例では、器具830及び器具832は両方ともカテーテルである。その一方で、器具の1つがカテーテルであり、もう一方がガイドワイヤである図示した実施形態などの幾つかの実施形態では、器具830と器具832とは異なる形態のものであってもよい。更に、場合によっては、図10の図示されている実施形態に示されるように、器具830と器具832とは互いに同軸に配置されている。他の例では、器具の1つが、もう一方の器具の離心したルーメン内に延びる。更に別の例では、器具830と器具832とは並んで延びる。幾つかの特定の実施形態では、器具の少なくとも1つはラピッドエクスチェンジ式カテーテルなどのラピッドエクスチェンジ式デバイスである。このような実施形態では、もう一方の器具は、ラピッドエクスチェンジ式デバイスの導入及び抜去を容易にするように構成されたバディワイヤ又は他のデバイスである。更に、他の例では、2つの別個の器具830及び器具832の代わりに、1つの器具が利用される。幾つかの実施形態では、1つの器具は、器具830及び器具832両方の機能態様(例えばデータ取得)を組み込む。
【0038】
器具830は、脈管800に関する診断情報を得るように構成されている。この点に関して、器具830は、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は脈管に関する診断情報を得るように構成された他の監視要素を含む。診断情報は、圧力、流れ(速度及び/若しくは体積)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱及び/若しくは他の撮像技術を用いて得られる画像を含む)、温度及び/又はこれらの組み合わせのうち1つ以上を含む。場合によっては、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素は、器具830の遠位部に隣接して配置される。この点に関して、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素は、場合によっては、器具830の遠位側先端834から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満及び/又は1cm未満に配置される。場合によっては、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素の少なくとも1つは、器具830の遠位側先端に配置される。器具830は、脈管800内の圧力を監視するように構成された少なくとも1つの要素を含む。圧力監視要素は、圧電抵抗圧力センサ、圧電圧力センサ、容量性圧力センサ、電磁式圧力センサ、流体柱(流体柱は、器具から離れた及び/若しくは器具の、流体柱の近位側の部分に配置された流体柱センサと連通している)、光学式圧力センサ及び/又はこれらの組み合わせの形態を取り得る。場合によっては、圧力監視要素の1つ以上の特徴は、半導体及び/又は他の適切な製造技術を用いて製造された固体構成要素として実施される。適切な圧力監視要素を含む市販のガイドワイヤ製品の例としては、PrimeWire PRESTIGE(登録商標)プレッシャーガイドワイヤ、PrimeWire(登録商標)プレッシャーガイドワイヤ及びComboWire(登録商標)XTプレッシャー及びフローガイドワイヤ(それぞれVolcano Corporationから入手可能)、並びにPressureWire(商標)Certusガイドワイヤ及びPressureWire(商標)Aerisガイドワイヤ(それぞれSt. Jude Medical,Inc.から入手可能)を含むが、これらに限定されない。概して、器具830は、器具830が、狭窄を横断して流れる流体に大きく影響して遠位側の圧力表示に影響を及ぼすことなく狭窄808内に配置され得るような大きさに作られる。従って、場合によっては、器具830は0.018”以下の外径を有する。幾つかの実施形態では、器具830は0.014”以下の外径を有する。
【0039】
器具832は、また、脈管800に関する診断情報を得るように構成されている。場合によっては、器具832は、器具830と同じ診断情報を得るように構成されている。他の例では、器具832は、器具830とは異なる診断情報を得るように構成され、診断情報には、追加の診断情報、より少ない診断情報及び/又は別の診断情報を含んでもよい。器具832により得られる診断情報は、圧力、流れ(速度及び/若しくは体積)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱及び/若しくは他の撮像技術を用いて得られる画像を含む)、温度及び/又はこれらの組み合わせのうち1つ以上を含む。器具832は、この診断情報を得るように構成された1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素を含む。この点に関して、場合によっては、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素は、器具832の遠位部に隣接して配置される。この点に関して、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素は、場合によっては、器具832の遠位側先端836から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満及び/又は1cm未満に配置される。場合によっては、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は他の監視要素の少なくとも1つは、器具832の遠位側先端に配置される。
【0040】
器具830と同様に、器具832もまた、脈管800内の圧力を監視するように構成された少なくとも1つの要素を含む。圧力監視要素は、圧電抵抗圧力センサ、圧電圧力センサ、容量性圧力センサ、電磁式圧力センサ、流体柱(流体柱は、器具から離れた及び/又は器具の、流体柱の近位側の部分に配置された流体柱センサに連通している)、光学式圧力センサ及び/又はこれらの組み合わせの形態を取り得る。場合によっては、圧力監視要素の1つ以上の特徴は、半導体及び/又は他の適切な製造技術を用いて製造された固体構成要素として実施される。場合によっては、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5の1つ以上との使用に好適であり、圧力監視要素を含む現在利用可能なカテーテル製品が器具832として用いられ得る。
【0041】
本開示の態様によれば、器具830及び器具832の少なくとも1つは、狭窄808の遠位側における脈管800内の圧力を監視するように構成されており、器具830及び器具832の少なくとも1つは、狭窄の近位側における脈管内の圧力を監視するように構成されている。この点に関して、器具830,832は、デバイスの構成に基づき、必要に応じて、脈管800内の圧力を監視するように構成された少なくとも1つの要素の位置決めが狭窄808の近位側及び/又は遠位側に位置決めされることを可能にするような大きさ及び形状に作られる。この点に関して、図10は、狭窄808の遠位側の圧力を測定するのに好適な位置838を示す。この点に関して、場合によっては(図9に示されるように)、位置838は、狭窄808の遠位端から5cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、5mm未満及び/又は2.5mm未満である。図10は、また、狭窄808の近位側の圧力を測定するための複数の好適な位置を示す。この点に関して、場合によっては、位置840、842、844、846及び848はそれぞれ、狭窄の近位側の圧力を監視するのに好適な位置を示す。この点に関して、位置840、842、844、846及び848は、狭窄808の近位端から異なる距離に配置されており、この距離は、20cm超から約5mm以下の範囲である。概して、近位側圧力測定は狭窄の近位端から離間している。従って、場合によっては、近位側圧力測定は、狭窄の近位端から、脈管の内腔の内径に等しいか又は脈管の内腔の内径を超える距離にて行われる。冠動脈圧力測定に関しては、近位側圧力測定は、概して、脈管の近位部内の、狭窄の近位側及び大動脈の遠位側の位置にて行われる。しかしながら、冠動脈圧力測定の幾つかの特定の例では、近位側圧力測定は大動脈内の位置から行われる。他の例では、近位側圧力測定は冠動脈の基部又は入口部にて行われる。
【0042】
いくつかの実施形態では、器具830及び器具832の少なくとも1つは、内腔806内を移動される間、脈管800内の圧力を監視するように構成されている。場合によっては、器具830は、内腔806内を、及び狭窄808を横断して移動されるように構成されている。この点に関して、場合によっては、器具830は、狭窄808の遠位側に配置され、狭窄の近位側の位置まで狭窄を横断して近位に移動される(即ち、引き戻される)。他の例では、器具830は狭窄808の近位側に配置され、狭窄の遠位側の位置まで狭窄を横断して遠位に移動される。幾つかの実施形態では、器具830の動きは、近位又は遠位の何れであっても、医療関係者により手(例えば、外科医の手)で制御される。他の実施形態では、器具830の動きは、近位又は遠位の何れであっても、動き制御デバイス(例えば、Volcano Corporationから入手可能なTrak Back(登録商標)II Deviceなどのプルバックデバイス)によって自動的に制御される。この点に関して、動き制御デバイスは、場合によっては、器具830の動きを選択可能且つ既知の速度に(例えば、2.0mm/s、1.0mm/s、0.5mm/s、0.2mm/s等)制御する。場合によっては、プルバック又はプッシュスルーのそれぞれにおいて、脈管内における器具830の動きは連続的である。他の例では、器具830は脈管内を段階的に移動される(即ち、固定された距離量及び/又は固定された時間量で繰り返し移動される)。以下に記載される視覚的描写の幾つかの態様は、器具830及び器具832の少なくとも1つが内腔806内を移動される実施形態に特に適している。更に、幾つかの特定の例では、以下に記載される視覚的描写の態様は、第2の器具の存在がある又はない状態で1つの器具が内腔806内を移動される実施形態に特に適している。
【0043】
場合によっては、1つの器具の使用は、一般にドリフトと呼ばれる、経時的な、1つの器具の別の器具に対する圧力測定値の変動に関連する問題を回避するという点で利点を有する。この点に関し、従来の血流予備量比(FFR)測定値におけるドリフトの主な原因は、ガイドカテーテルの圧力表示に対し、ガイドワイヤの圧力表示に開きがあることである。この点に関し、FFRは、ガイドワイヤにより得られる圧力測定値の、カテーテルにより取得される圧力測定値に対する比率として算出されるため、この開きは取得されるFFR値に影響を及ぼす。これに対し、1つの器具が用いられ、1つの器具が脈管内を移動される際に圧力測定値を取得する場合、ドリフトはごく僅かであるか、存在しない。例えば、場合によっては、1つの器具は、圧力測定間の時間が、器具の圧力感度のあらゆる変化のいかなる影響も妨げるほど十分に短くなる(例えば、500ms未満、100ms未満、50ms未満、10ms未満、5ms未満、1ms未満又はこれら以外)ように、1つの器具が脈管内を移動される際の圧力の相対変化を得るために用いられる。
【0044】
ここで図11を参照すると、本開示の一実施形態によるシステム850が示されている。この点に関して、図11は、システム850の模式的概略図である。幾つかの実施形態では、システム850は医療用センシングシステム100(図1)として実装され得る。幾つかの実施形態では、タッチセンシティブディスプレイを有するベッドサイドコントローラなどの、医療用センシングシステム100の1つ以上の構成要素がシステム850内に付加的に実装され得る。示されるように、システム850は器具852を含む。この点に関して、場合によっては、器具852は、上述の器具830及び器具832(図8図10)及び/又は医療センシングデバイス108及び110(図1)の少なくとも1つとしての使用に好適である。従って、場合によっては、器具852は、場合によっては、器具830及び器具832に関して上述したものと類似の特徴を含む。図示されている実施形態においては、器具852は、遠位部854と、遠位部に隣接して配置された筺体856と、を有するガイドワイヤである。この点に関して、筺体856は、器具852の遠位側先端から約3cm離間している。筺体856は、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は脈管に関する診断情報を得るように構成された他の監視要素を収容するように構成されている。図示されている実施形態においては、筺体856は、器具852が配置される内腔内の圧力を監視するように構成された圧力センサを少なくとも含む。シャフト858が筺体856から近位に延びる。トルクデバイス860がシャフト858の近位部上に配置され、シャフト858の近位部に結合されている。器具852の近位端部862はコネクタ864に結合されている。ケーブル866がコネクタ864からコネクタ868へと延びる。場合によっては、コネクタ868はインターフェース870に差し込まれるように構成されている。この点に関して、場合によっては、インターフェース870は患者インターフェースモジュール(PIM)である。インターフェース870はPIM112(図1)として実装され得る。場合によっては、ケーブル866の代わりに無線接続が用いられる。この点に関しては、器具852とインターフェース870との間に、物理的接続(電気、光及び/若しくは流体接続を含む)、無線接続並びに/又はこれらの組み合わせを含む種々の通信経路が用いられてもよいことは理解される。
【0045】
インターフェース870は、接続874を介してコンピューティングデバイス872に通信的に結合されている。コンピューティングデバイス872は、概して、本開示内に記載される処理及び分析技法を実行するのに好適な任意のデバイスを表す。幾つかの実施形態では、コンピューティングデバイス872は、プロセッサ、ランダムアクセスメモリ及びストレージ媒体を含む。この点に関して、幾つかの特定の例では、コンピューティングデバイス872は、本明細書中に記載されるデータ取得及び分析に関連するステップを実行するようにプログラムされている。従って、本開示のデータ取得、データ処理、器具制御及び/又は他の処理若しくは制御態様に関連する任意のステップは、コンピューティングデバイスによってアクセス可能な非一時的コンピュータ可読媒体上又は内に保存された、対応する命令を使用し、コンピューティングデバイスによって実施されてもよいことは理解される。場合によっては、コンピューティングデバイス872はベッドサイドコントローラである。例えば、本明細書中に記載される処理ステップは、処理プラットフォーム320(図4)などの、ベッドサイドコントローラの1つ以上の処理構成要素によって実施され得る。場合によっては、コンピューティングデバイス872はコンソールデバイスである。幾つかの特定の例では、コンピューティングデバイス872は、s5(商標)Imaging System又はs5i(商標)Imaging System(Volcano Corporationからそれぞれ入手可能)に類似する。場合によっては、コンピューティングデバイス872は可搬式(例えば、手持式、ローリングカート上にある、等)である。更に、場合によっては、コンピューティングデバイス872は複数のコンピューティングデバイスを含むことは理解される。この点に関して、本開示の異なる処理及び/又は制御態様は、複数のコンピューティングデバイスを用いて、別個に又は既定のグルーピング内において実施されてもよいことは特に理解される。複数のコンピューティングデバイスにおいて以下に記載される処理及び/若しくは制御態様の任意の分割並びに/又は組み合わせは、本開示の範囲内である。
【0046】
コネクタ864と、ケーブル866と、コネクタ868と、インターフェース870と、接続874とは共に、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は器具852の他の監視要素と、コンピューティングデバイス872との間の通信を容易にする。しかしながら、この通信経路は本質的に例示であり、いかようにも限定であると考えられるべきではない。この点に関して、器具852とコンピューティングデバイス872との間に、物理的接続(電気、光及び/若しくは流体接続を含む)、無線接続並びに/又はこれらの組み合わせを含む任意の通信経路が用いられ得ることは理解される。この点に関して、場合によっては、接続874は無線であることは理解される。場合によっては、接続874は、ネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、電気通信ネットワーク及び/又は他のネットワーク)上の通信リンクを含む。この点に関して、場合によっては、コンピューティングデバイス872は器具852が使用される操作領域から離して配置されることは理解される。接続874にネットワーク上の接続を含めると、コンピューティングデバイスが隣の部屋、隣の建物又は異なる州/国にあるかどうかに関わらず、器具852とリモートコンピューティングデバイス872との間の通信を容易にすることができる。更に、場合によっては、器具852とコンピューティングデバイス872との間の通信経路はセキュアな接続であることは理解される。更に加えて、場合によっては、器具852とコンピューティングデバイス872との間の通信経路の1つ以上の部分上において通信されるデータは暗号化されることは理解される。
【0047】
システム850は器具875も含む。この点に関して、場合によっては、器具875は、上述の器具830及び器具832図8図10)並びに/又は医療センシングデバイス108及び110(図1)の少なくとも1つとしての使用に好適である。従って、場合によっては、器具875は、場合によっては、器具830及び器具832に関して上述したものと類似の特徴を含む。図示されている実施形態においては、器具875はカテーテル型デバイスである。この点に関しては、器具875は、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は器具の遠位部に隣接する、脈管に関する診断情報を得るように構成された他の監視要素を含む。図示されている実施形態においては、器具875は、器具875が配置される内腔内の圧力を監視するように構成された圧力センサを含む。器具875は接続877を介してインターフェース876と通信する。場合によっては、インターフェース876は血行力学モニタリングシステム、又はSiemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5などの他の制御デバイスである。1つの特定の実施形態では、器具875は圧力センシングカテーテルであり、その長さに沿って延びる流体柱を含む。このような実施形態では、インターフェース876は、カテーテルの流体柱に流体的に結合された止血弁と、止血弁に流体的に結合されたマニホールドと、必要に応じ構成要素間に延びて構成要素を流体的に結合するチュービングと、を含む。この点に関しては、カテーテルの流体柱は、弁、マニホールド及びチュービングを介して圧力センサと流体連通している。場合によっては、圧力センサはインターフェース876の一部である。他の例では、圧力センサは、器具875とインターフェース876との間に配置された別個の構成要素である。インターフェース876は、接続878を介してコンピューティングデバイス872に通信的に結合されている。
【0048】
器具852とコンピューティングデバイス872との間の接続と同様に、インターフェース876並びに接続877及び878は、1つ以上のセンサ、トランスデューサ及び/又は器具875の他の監視要素と、コンピューティングデバイス872との間の通信を容易にする。しかしながら、この通信経路は、本質的に例示であり、いかようにも限定するものと考えられるべきではない。この点に関して、器具875とコンピューティングデバイス872との間に、物理的接続(電気、光及び/若しくは流体接続を含む)、無線接続並びに/又はこれらの組み合わせを含む任意の通信経路が用いられてもよいことは理解される。この点に関して、場合によっては、接続878は無線であることは理解される。場合によっては、接続878は、ネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、電気通信ネットワーク及び/又は他のネットワーク)上の通信リンクを含む。この点に関して、場合によっては、コンピューティングデバイス872が、器具875が使用される操作領域から離して配置されることは理解される。接続878にネットワーク上の接続を含めることで、コンピューティングデバイスが隣の部屋、隣の建物又は異なる州/国にあるかどうかに関わらず器具875とリモートコンピューティングデバイス872との間の通信を容易にすることができる。更に、場合によっては、器具875とコンピューティングデバイス872との間の通信経路がセキュアな接続であることは理解される。更に加えて、場合によっては、器具875とコンピューティングデバイス872との間の通信経路の1つ以上の部分において通信されるデータは暗号化されることは理解される。
【0049】
本開示の他の実施形態では、システム850の1つ以上の構成要素は含まれない、異なる配置/順序で実装される、及び/又は代替的なデバイス/機構と入れ替えられることは理解される。例えば、場合によっては、システム850はインターフェース870及び/又はインターフェース876を含まない。このような例では、コネクタ868(又は器具852若しくは器具875と通信する他の類似のコネクタ)は、コンピューティングデバイス872に関連するポートに差し込んでもよい。或いは、器具852、875は、コンピューティングデバイス872と無線通信してもよい。概して、器具852、875の何れか又は両方とコンピューティングデバイス872との間の通信経路は、中間ノードを有しなくてもよく(即ち、直接接続)、器具とコンピューティングデバイスとの間に1つの中間ノードを有してもよく、又は器具とコンピューティングデバイスとの間に複数の中間ノードを有してもよい。システム850は、更に、医療用センシングシステム100(図1)のベッドサイドコントローラなどのベッドサイドコントローラを含み得る。ベッドサイドコントローラは、臨床医によって、器具852及び器具875を、処置中に圧力データを取得するため、医療圧力測定値(例えば、圧力波形、数値等などの圧力データの視覚的表現)をリアルタイムに観察するため、並びにベッドサイドコントローラを使用して、取得した医療センシングデータと対話するように制御するために利用されてもよい。この点に関して、ベッドサイドコントローラは、コンピューティングデバイス872、インターフェース870及び876、並びに/又は器具864及び器具875に通信的に結合され得る。
【0050】
ここで図12図16を参照すると、本開示の実施形態による、取得された圧力測定値に基づき脈管を測定するための画面表示の種々の視覚的描写が示されている。画面表示はベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイ上に表示されている。臨床医は、圧力データ及び/又は圧力データの視覚的表現を見て、分析し、対話することができる。特に図12を参照すると、本開示の一実施形態による画面表示1200が示されている。示されているように、画面表示1200はiFRワークフローに関連する。画面表示1200は、FFRタブ1204と、iFRタブ1202と、を含む。iFRタブ1202は、取得された圧力測定値及び圧力測定値の視覚的表現を含み得る。示されているように、iFRタブ1202は、圧力波形プロット1212及び1238を含み、この両方は、同じ時間にわたり取得した圧力データを示す。画面表示1200は、また、算出された圧力比(例えばFFR、iFR又はそれ以外)を示す窓1214を含む。
【0051】
この点に関して、画面表示1200の圧力波形プロット1212及び1238並びに算出された圧力比は、1つの器具が脈管内を移動され、別の器具が固定位置に維持されている際に取得された圧力測定値の態様を示す。この点に関して、場合によっては、圧力測定値は、脈管内の固定位置と、器具が脈管内を移動される際の器具の移動位置との間の圧力比を表す。例えば、場合によっては、近位側圧力測定値は、近位側圧力測定値が得られる位置の遠位側の第1の位置から、第1の位置に比べてより近位側の(即ち、近位側圧力測定の固定位置により近い)第2の位置まで器具が脈管内を引き戻される間に、脈管内の固定位置において得られる。本開示の概念の理解を明確にするために、この配置は本開示の実施形態の多くを記載するために用いられる。しかしながら、この概念は、他の配置に等しく適用可能であることは理解される。例えば、場合によっては、器具は、近位側圧力測定位置の遠位側の第1の位置から、更に遠位側(即ち、近位側圧力測定の固定位置から更に離れた)の第2の位置へと脈管に押し入れられる。他の例では、遠位側圧力測定値は脈管内の固定位置において取得され、器具は、遠位側圧力測定の固定位置の近位側の第1の位置から、第1の位置に比べてより近位側の(即ち、遠位側圧力測定の固定位置から更に離れた)第2の位置へと脈管内を引き戻される。更に他の例では、遠位側圧力測定値は脈管内の固定位置において取得され、器具は、遠位側圧力測定の固定位置の近位側の第1の位置から、第1の位置に比べてより近位側でない(即ち、遠位側圧力測定の固定位置により近い)第2の位置へと脈管に押し入れられる。
【0052】
場合によっては、脈管内の2つの圧力測定値(例えば、固定位置圧力測定値と移動圧力測定値)間の圧力差は、2つの圧力測定値の比率として算出される(例えば、移動圧力測定値を固定位置圧力測定値で割る)。場合によっては、圧力差は患者の各拍動周期に関して算出される。この点に関して、幾つかの実施形態では、算出される圧力差は拍動周期にわたる平均圧力差である。例えば、患者に充血剤が投与される場合においては、圧力差を算出するために、拍動周期にわたる平均圧力差が用いられる。他の実施形態では、拍動周期の一部のみが圧力差を算出するために用いられる。場合によっては、圧力差は、拍動周期の一部又は診断ウインドウにわたる平均である。
【0053】
幾つかの実施形態では、診断ウインドウは、2012年4月30日に出願された、「脈管を評価するためのデバイス、システム及び方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL)」という名称であり、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第13/460,296号に記載されている技術の1つ以上を用いて選択される。同出願中記載されているように、診断ウインドウ及び関連技術は、患者に充血剤を投与することなく使用するのに特に適している。概して、狭窄における圧力差を、充血剤を使用することなく測定するための診断ウインドウは、近位側圧力測定値、遠位側圧力測定値、近位側速度測定値、遠位側速度測定値、ECG波形並びに/又は脈管性能の他の識別可能及び/若しくは測定可能な性状のうち1つ以上の特性及び/又は成分を基に識別される。この点に関しては、適切な診断ウインドウを識別するために、種々の信号処理及び/又は計算手法が、近位側圧力測定値、遠位側圧力測定値、近位側速度測定値、遠位側速度測定値、ECG波形並びに/又は脈管性能の他の識別可能及び/若しくは測定可能な性状のうち1つ以上の特性及び/又は成分に適用され得る。
【0054】
画面表示1200の視覚的表現は、圧力比及び/又は基礎となる圧力測定値を任意の適切な手法で示す。概して、データの表現は、脈管内の顕著な病変を示し得る、圧力比及び/又は基礎となる圧力測定値の勾配/変化を特定するために利用され得る。この点に関して、データの視覚的表現は、圧力測定値;圧力測定値の比率;圧力測定値の差;圧力測定値の勾配、圧力測定値の比率及び/若しくは圧力測定値の差;圧力測定値の第1若しくは第2の導関数、圧力測定値の比率及び/若しくは圧力測定値の差;並びに/又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0055】
例えば、圧力波形プロット1212及び1238は、対応する圧力データを示す。この点に関して、圧力波形プロット1212及び1238は、引き戻し中の、脈管内を移動される圧力センシングデバイスの圧力波形、静止した圧力センシングデバイスの圧力波形、又はその両方を含み得る。図示されている実施形態においては、圧力波形プロット1212及び1238は、両方の圧力波形を含む。以下、図14図16に関して説明されるように、場合によっては、圧力波形プロット1212は、圧力比の算出に用いられる診断ウインドウに対応する圧力データを強調する又はそうでなければ際立たせるために拡大される。
【0056】
圧力波形プロット1212及び1238は、x軸に時間、y軸に圧力の大きさを含む。圧力波形プロット1238は、波形プロット1212に比してより長い時間量にわたる取得された圧力測定値を示す。例えば、圧力波形プロット1238は、全体的な取得、プルバック又は「ラン」を示す一方で、圧力波形1212は、その少なくとも一部を示す。圧力波形プロット1212は、固定位置に維持された器具によって測定された圧力を表す曲線1256(簡略化のためこれはPa下(Pa below)と呼ばれる)と、経時的に引き戻しのため脈管内を移動される器具によって測定された圧力を表す曲線1252(簡略化のためこれはPd下(Pd below)と呼ばれる)と、を含む。圧力波形プロット1212は、また、取得したPa値とPd値との平均値を含む。曲線1254は平均Pd値を表す一方で、曲線1258は平均Pa値を表す。この点に関して、平均Pa値及びPd値は、各拍動周期の平均値、中央値、最頻値及び/又は他の適切な値(例えば、フィルタリングで線外値を除去し、その後、平均値、中央値及び/又は最頻値を使用する、等)とされ得る。幾つかの実施形態では、圧力波形プロット1212は、全4つの曲線1252、1254、1256及び1258を含む。幾つかの実施形態では、圧力波形プロット1212は、曲線1252、1254、1256及び1258のサブセット(例えば、1つ以上だが全てではない)を含む。例えば、圧力波形プロット1212は、曲線1242及び曲線1256を含むことによって、取得したPa値及びPd値のみを示すことができ、又は曲線1254及び曲線1258を含むことによって平均Pa値及びPd値のみを示すことができる。圧力波形プロット1238は、取得全体における曲線1252、1254、1256及び1258の1つ以上を同様に示すことができる。図12では、圧力波形プロット1212は全4つの曲線1252、1254、1256及び1258を含む一方で、圧力波形プロット1238は平均Pa値及びPd値を含む。圧力波形プロット1212及び1238は、2013年7月19日に出願され、「自動化されたドリフト補正によって脈管を評価するためのデバイス、システム及び方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL WITH AUTOMATED DRIFT CORRECTION)」という名称の、その全体が参照により本明細書に援用される米国仮特許出願第61/856,518号に記載されるように、未処理の圧力データ並びに/又はデータの異常を除去するために平滑化された、フィルタリングされた、調整された及び/若しくはそれ以外の手法で処理されたデータを含み得る。「脈管を評価するためのデバイス、システム及び方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL)」という名称の、2014年1月16日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第14/157,404号に記載されている正規化工程を実施するために正規化オプション1246が提供され得る。
【0057】
グラフィカルオーバレイ1240が圧力波形プロット1238の一部の上に配置され得る。オーバレイ1240は、圧力波形プロット1212に示される、取得された圧力測定値の一部分を示す。従って、例えば、圧力波形プロット1212がより短い取得時間を含むものの、その選択した時間の圧力測定値に関する更なる詳細を含むという点で、圧力波形プロット1212は圧力波形プロット1238の「拡大」版である。ユーザは、例えば、ベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイ上のオーバレイ1240及び又は圧力波形プロット1212にタッチし、左又は右にドラッグし、取得の他の部分を見ることによって圧力データと対話することができる。画面表示1200は、ユーザがオーバレイ1240をクリックし、ドラッグする際に自動的にリアルタイムで更新することができる。例えば、画面表示1200は、オーバレイ1240が圧力波形プロット1238上で位置を移動する際、及び圧力波形プロット1212が選択された時限にわたり収集された圧力データを含むように更新する際に自動的に変更され得る。画面表示1200は、また、ユーザが圧力波形プロット1212をそれぞれ縮小する又は拡大することを可能にするズームボタン1218、1220を含む。ズームボタン1218、1220上におけるユーザのタッチ入力に応答して、画面表示1200は、圧力波形プロット1212を、圧力データの適切な部分、並びに圧力波形プロット1238上におけるオーバレイ1240の幅及び/又は位置を含むように自動的に更新することができる。
【0058】
画面表示1200は、特定時間における取得された圧力測定値の視覚的表現を含み得る。例えば、ユーザは、ベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイ上で圧力波形プロット1212上のある箇所をタッチ及びリリースすることができる。プロット1212内の選択された箇所又は位置は取得中の特定時間に一致する。図12に示されるように、ユーザは、圧力波形プロット1212上にタッチ入力をほぼ7秒与える。ユーザのタッチ入力に応答して、画面表示1200は、1つ以上の情報オーバレイ1260、1262及び/又は1264を含むように変更され得る。オーバレイ1260は、ユーザによるタッチ入力によって選択された時間を強調する垂直線である。オーバレイ1260は、選択された時間を視覚的に区別するために様々な色にされ得る。オーバレイ1264は、ユーザのタッチ入力によって選択された時間の数値を提供する。オーバレイ1262は、選択された時間における圧力データを提供する。この点に関して、オーバレイ1262は、選択された時間おける算出された圧力比(iFR、FFR等)の数値、選択された時間における補償Pd/Paの数値、選択された時間における平均Pd値の数値、選択された時間における平均Pa値の数値、選択された時間における実際のPd値の数値及び/又は選択された時間における実際のPd値の数値を含み得る。オーバレイ1262中の数値は、未処理値又は変更値とされ得る。圧力波形プロット1212におけるユーザのタッチ入力に応答して特定の時間が強調されると、画面表示1200は、取得全体内の強調された時間を当てはめるために、対応するオーバレイ1242を圧力波形プロット1238内に含むように自動的に変更され得る。図13に関して記載されるように、画面表示の幾つかの実施形態は、圧力波形プロット1212及び1238の1つ又は両方に固定インジケータ1244を含み得る。固定インジケータ1244は、取得内の特定の固定時間(例えば、FFRが計算される時点である最大充血に関連する時間)を強調する。幾つかの実施形態では、選択された時間を強調するオーバレイは、ベッドサイドコントローラ上のユーザのタッチ入力に応答して除去され得る。
【0059】
画面表示1200は、また、圧力比1236(例えば、iFR、補償Pa/Pd値等)を一定の間隔で提供する。例えば、図12では、各拍動周期のiFR値1236が圧力波形プロット1212の下に表示されている。他の実施形態では、圧力比は、曲線1252、1254、1256及び/又は1258の近傍など、圧力波形プロット1212に対する種々の位置に表示される。
【0060】
画面表示1200は、また、算出された圧力比(例えばFFR、iFR又はこれ以外)を示す窓1214を含む。図12の図示されている実施形態においては、窓1214は、引き戻し時のiFR圧力比値を示す。この点に関しては、iFR圧力比及び/又は関連データは、2012年1月6日に出願された、「流体充填管の狭窄の特性を明らかにする装置及び方法(APPARATUS AND METHOD OF CHARACTERISING A NARROWING IN A FLUID FILLED TUBE)」という名称のPCT特許出願公報国際公開第2012/093260号、2012年1月6日に出願された、「流体充填管の狭窄を評価する装置及び方法(APPARATUS AND METHOD OF ASSESSING A NARROWING IN A FLUID FILLED TUBE)」という名称のPCT特許出願公報国際公開第2012/093266号、2012年4月30日に出願された、「脈管を評価するためのデバイス、システム及び方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL)」という名称の米国特許出願第13/460,296号、2012年8月20日に出願された、「脈管を視覚的に示すため、及び治療オプションを評価するためのデバイス、システム並びに方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR VISUALLY DEPICTING A VESSEL AND EVALUATING TREATMENT OPTIONS)」という名称のPCT特許出願公報国際公開第2013/028612号、2013年7月19日に出願された、「脈管の評価のためのデバイス、システム及び方法(DEVICES, SYSTEMS AND METHODS FOR ASSESSMENT OF VESSELS)」という名称の米国仮特許出願第61/856,509号、並びに2013年7月19日に出願された、「自動化されたドリフト補正によって脈管を評価するためのデバイス、システム及び方法(DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL WITH AUTOMATED DRIFT CORRECTION)」という名称の米国仮特許出願第61/856,518号(このそれぞれは全体が参照により本明細書に援用される)の1つ以上に記載されるように算出及び/又は表示されてもよい。場合によっては、窓1214に表示される圧力比の数値は、圧力波形プロット1212を表示する圧力データの一部及び/又は圧力波形プロット1238上におけるオーバレイ1240の位置に基づき更新される。この点に関して、場合によっては、窓1214に表示される圧力比の数値は、圧力波形プロット1212に表示されている圧力データのみに基づく。しかしながら、他の例では、窓1214に表示される圧力比の数値は、プロット1212に表示されている圧力データ、及び圧力波形プロット1212に表示されない圧力データの1つ又は組み合わせに基づく。例えば、窓1214に表示される圧力比は、(いくつかの実施形態では、圧力波形プロット1240によって示されるように)取得全体に基づき得る。画面表示1200は、また、窓1214に示される圧力比を算出するために使用されるPd値及びPa値をそれぞれ示す窓1270及び窓1272を含む。
【0061】
図12に示されるように、ベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイ上に提供される画面表示1200は、データが「ライブ」モードで表示されていることを示すボタン1226を含む。「ライブ」モードは、圧力波形プロット1212及び1238、算出された圧力比1236及び/又は窓1214、1270、1272を含む画面表示1200が、処置が実施される際にリアルタイムで更新されることを示す。記録ボタン1250は、取得した圧力データの保存を開始するために、ベッドサイドコントローラ上のユーザのタッチ入力によって選択され得る。他の例では、画面表示1200のボタン1226は、画面表示1200が前に取得したデータを示していることを示す「再生」又は「レビュー」モードにあることが示される。「ライブ」モードに関しては、拍動周期の診断ウインドウを特定するため及び圧力差を算出するための診断ウインドウの決定並びに/又は圧力差の計算は、ほぼリアルタイムで又は生で実施されることに留意すべきである。この点に関しては、本開示と関連する、圧力差の「リアルタイム」又は「ライブ」での計算は、データ取得から10秒以内に行う計算を含むものと理解される。しかしながら、多くの場合、「リアルタイム」又は「ライブ」での計算は、データ取得から1秒以内に実施されることは認識される。場合によっては、「リアルタイム」又は「ライブ」での計算はデータ取得と同時に実施される。場合によっては、計算は、データ取得間の遅延内においてプロセッサにより実施される。例えば、データが圧力センシングデバイスから5ms毎に1msの間取得される場合は、プロセッサはデータ取得の間4msで計算を実施することができる。これらタイミングは単に例であり、データ取得速度、処理時間及び/又は計算に関わる他のパラメータは異なることは理解される。他の実施形態では、圧力差計算はデータ取得後10秒以上経って実施される。例えば、いくつかの実施形態では、診断ウインドウを特定する及び/又は圧力差を計算するために用いられたデータは、後の分析のために保存される。
【0062】
算出された圧力差を閾値又は所定値と比較することによって、医師又は他の治療医療関係者は、もし行うとすれば、どの治療が施されるべきかを決定することができる。この点に関して、場合によっては、閾値(例えば、0.00〜1.00のスケールで0.80)を超える、算出された圧力差は、第1の治療モード(例えば、治療、薬物療法等がない)を示す一方で、閾値を下回る、算出された圧力差は、第2の、より侵襲的な治療モード(例えば、血管形成術、ステント等)を示す。場合によっては、閾値は、一定の、予め設定された値である。他の例では、閾値は特定の患者及び/又は患者の特定の狭窄に対して選択される。この点に関して、特定の患者の閾値は、実験によって得られるデータ、患者背景、患者病歴、医師の好み、利用可能な治療オプション及び/又は他のパラメータの1つ以上を基にしてもよい。
【0063】
この点に関して、場合によっては、図12の画面表示1200の圧力比1236及び/若しくは窓1214に示される圧力差測定値の色及び/又は他の視覚的に際立った点は閾値に基づき構成される。例えば、第1の色(例えば、緑、白又はこれ以外)は閾値をかなり超える値(例えば、閾値が0.00〜1.00のスケールで0.80の場合、0.90を超える値)を示すために用いられ得る。第2の色(例えば、黄、グレー又はこれ以外)は閾値に近いが閾値を超える値(例えば、閾値が0.00〜1.00のスケールで0.80の場合、0.81〜0.90の値)を示すために用いられ得る。第3の色(例えば、赤、黒又はこれ以外)は、閾値に等しい又は閾値未満の値(例えば、閾値が0.00〜1.00のスケールで0.80の場合、0.80及び0.80未満の値)を示すために用いられ得る。閾値に対する圧力差の相対値を視覚的に示すために、任意の数の色の組み合わせ、尺度構成、分類及び/又は他の特性が用いられ得ることは認識される。しかしながら、簡略化のため、本出願人は本明細書中に多くの変形形態を明示的に記載しない。
【0064】
画面表示1200はECG波形1232を含む。ECG波形は圧力波形プロット1212及び/又は1238と時間的に同期され得る。この点に関して、ECG波形1232は、圧力波形プロット1212及び/又は1238の変更に応答して変更され得る。例えば、ユーザが圧力波形プロット1212及び/又は1238の異なる部分を見る際に、ECG波形1232における時間と圧力波形プロット1212及び1238における時間とが同期されるように、ECG波形1232は「拡大(zoomed in)」又は「拡大(zoomed in)」され得る。画面表示1200は、加えて、患者の名前1266、患者の識別子1268及び日付/時間1274を含む。ケースログボタン1230は、患者に関する追加情報(例えば、他の圧力取得値)にアクセスするため及び/又は現在の圧力取得データを後に取り出すために選択され得る。ラベル領域1234は、ユーザが患者又は処置に関する追加記録を入カすることを可能にする。ラベル領域1266をベッドサイドコントローラ上のタッチ入力によって選択することで、オンスクリーンキーボードを表示させることができる。ユーザは、オンスクリーンキーボード上のタッチ入力によってラベル領域1266に文字を入カすることができる。画面表示は、また、オプションタブ1208及びブックマークオプション1248を含む。これについては図13に関してより詳細に記載される。
【0065】
ここで図13を参照すると、本開示の一実施形態による画面表示1300が示されている。画面表示1300は多くの点において上述の画面表示1200に類似する。この点に関しては、画面表示1200の1つ以上の特徴が画面表示1300に含まれ得る(例えば、オーバレイ1262及び/又は1264)。しかしながら、画面表示1300はFFRワークフローに関連付けられる。この点に関して、圧力波形プロット1238に示されるように、患者に充血剤が2つの間隔1290及び1292において投与され得る。FFRタブ1204は、取得された圧力測定値と、圧力測定値の視覚的表現と、を含み得る。この点に関して、FFRタブ1204は、算出された圧力比の数値(例えば、FFR、iFR又はこれ以外)を示す窓1276と、FFRを算出するために使用される最大充血における平均Pd及びPaの数値を示す窓1270及び1272と、を含む。画面表示1300は、また、数値補償Pd/Pa値を示す窓1278及び/又はPdとPaとの間の数値差(例えば、Pd−Pa及び/若しくはPa−Pd)の1つ又は両方を含む窓1280を含み得る。
【0066】
圧力波形プロット1212は、取得中の、最大充血に相当する時間を強調するオーバレイ1282及び1284の1つ又は両方を含み得る。最大充血の時間は処理システムによって自動的に決定され得る。最大充血が発生する時間は各充血間隔1290及び1292に対して決定され得る。オーバレイ1282は、充血間隔1292中に充血が発生した時間を強調する垂直線である。オーバレイ1282は、選択された時間を視覚的に区別するために様々な色にされ得る。例えば、オーバレイ1282は、図12に関して上述したように、取得中の、ユーザが強調した時間であるオーバレイ1260とは異なる色とされ得る。最大充血の決定された時間における平均Pa値及びPd値は、間隔1292におけるFFRを算出するために使用される。オーバレイ1284は、FFRが強調された時間の平均Pa値及びPd値に基づき算出されることを明示する文字インジケータである。圧力波形プロット1238は、間隔1292に関して、取得中、最大充血が発生した時間を当てはめたオーバレイ1286と、間隔1290に関して、最大充血が発生した時を示すオーバレイ1294と、を含む。圧力波形プロット1238は、また、ユーザが選択した時間を強調するオーバレイ1242を含む。圧力波形プロット1212内のオーバレイ1260及び1282と同様に、オーバレイ1242は、圧力波形1238内のオーバレイ1286及び1292とは異なる色にされる。オーバレイ1282、1286及び/又は1294は、間隔1290及び1292において最大充血が発生する、定められた時間に相当する、波形1212及び/又は1238内の固定位置に配置され得る。オーバレイ1242及び/又は1260、取得中の任意の時間に相当する、波形1212及び/又は1238内の任意の位置におけるユーザのタッチ入力に応答して選択的に追加又は除去され得る。
【0067】
画面表示1300内の圧力波形プロット1212はブックマーク1288を含む。ブックマーク1288は、「ライブ」又は「レビュー」モード中、ユーザがベッドサイドコントローラのタッチセンシティブディスプレイ上のブックマークオプション1248をタッチし、リリースした時に追加され得る。ブックマークは、取得中の、臨床医が後により詳細に見直したい時間を強調することができる。例えば、臨床医は、例えば、選択された時間における圧力データを提供するオーバレイ1262がベッドサイドコントローラ上に表示されるように、ブックマーク1288に対応する箇所の圧力波形1212をタッチし、リリースすることができる。幾つかの実施形態では、ブックマーク1288をタッチし、リリースすることでオーバレイ1262を表示させることができる。幾つかの実施形態では、画面表示1300は、ユーザが画面表示の画像をその現在の形態において撮影するためのスクリーンショットオプション1276を含む。スクリーンショットはベッドサイドコントローラのメモリに保存され得ると共に、ユーザが、例えば、ケースログ1230を選択することによって後にアクセスされ得る。
【0068】
図14図16を全体的に参照すると、画面表示1200及び1300の要素に加えて並びに/又は画面表示1200及び1300の要素の代わりに提供され得る圧力測定値の更なる視覚的表現が示されている。この点に関して、画面表示1200及び1300は、「脈管を評価するためのデバイス、システム及び方法並びに関連ディスプレイ画面(Devices, Systems, and Methods and Associated Display Screens for Assessment of Vessels)」という名称の、2014年2月20日に出願された米国特許仮出願第61/942,338号、並びに「複数のセンシング部品を備える、脈管を評価するためのデバイス、システム及び方法並びに関連ディスプレイ画面(Devices, Systems, and Methods and Associated Display Screens for Assessment of Vessels with Multiple Sensing Components)」という名称の、2014年7月15日に出願された米国特許仮出願第62/024,901号(これら両方は、その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されている1つ以上の特徴を含み得る。例えば、画面表示1200及び1300は、経時的な圧力比(iFR、FFR、補償Pa/Pd等)、引き戻し中の圧力差、引き戻し中の経時的な圧力比値の累積変化、経時的な圧力比値の局所変化、引き戻し中の経時的なPa及びPd圧力、事実上の引き戻しの一部として、経時的な複数の遠位側圧力センシング構成要素から取得された圧力測定値、重ね合わされた血管内測定値に基づき強調された脈管の血管造影画像等の数値的、視覚的及び/又はグラフィカル表示を含み得る。画面表示は、ベッドサイドコントローラに提供され得る。ベッドサイドコントローラで、ユーザは、タッチセンシティブディスプレイ上のタッチ入力によってデータを見て、対話することができる。
【0069】
ここで図14図16を参照すると、本開示による圧力波形プロットの種々の表示が示されている。特に、図14図16の実施形態は、本開示の画面表示の何れにおける圧力波形プロット1212及び/又は1238の代わりに使用されてもよい。この目的のため、図14図16の圧力波形プロットは、画面表示の他のグラフ及び/若しくは窓に示される圧力比の計算を行うために用いられた圧力データの部分を目立たせる、強調する並びに/又はそうでなければ際立たせる。特に、幾つかの実装形態では、図14図16の圧力波形プロットは、iFR計算を行うのに用いた診断ウインドウを明らかにする。
【0070】
より具体的に図14を参照すると、図12の圧力波形プロット1212に示されるものと類似のデータに相当するが、窓1214に示されるiFR計算を行うために用いた診断ウインドウ内の各拍動における圧力データが強調されている圧力波形プロット1400が示されている。例えば、圧力波形プロット1400の左側の最初の拍動周期について、診断ウインドウ1402内の圧力データが強調されている。各拍動周期の診断ウインドウ内の圧力波形プロット1400の一部分を強調することによって、ユーザは、結果的に行われた圧力比計算において基にした圧力データを素早く可視化することができる。
【0071】
図15及び図16は、各拍動周期の診断ウインドウ内の圧力波形プロットの部分を識別する他の手法を示す。例えば、図15は、上記圧力波形プロット1212及び1400に示されるものと類似のデータに相当するが、窓1214に示されるiFR計算を行うために用いた診断ウインドウ内の各拍動における圧力データが強調され、診断ウインドウの外側の各拍動における圧力データが見えなくなっている圧力波形プロット1500を示す。特に、圧力波形プロット1500の左側の最初の拍動周期について、診断ウインドウ1402内の圧力データが強調され、最初の拍動周期の残りの圧力データは見えない状態又は他の低コントラスト設定で示される。同様に、図16は、上記圧力波形プロット1212、1400及び1500に示されるものと同じデータに相当するが、窓1214に示されるiFR計算を行うために用いた診断ウインドウ内の各拍動における圧力データが強調され、診断ウインドウの外側の各拍動における圧力データが完全に除去された圧力波形プロット1600を示す。特に、圧力波形プロット1600の左側の最初の拍動周期について、診断ウインドウ1402内の圧力データが強調され、最初の拍動周期の残りの圧力データは除去されている。従って、圧力波形プロット1600は、診断ウインドウ1402内の圧力データのみを示す。診断ウインドウ内の圧力データは、任意の適切な手法で識別され得る及び/又は際立たせることができることは理解される。
【0072】
当業者であれば、上述の装置、システム及び方法が種々の手法で変更され得ることも理解しよう。従って、当業者であれば、本開示により包含される実施形態は、上述の特定の例示的実施形態に限定されないことは理解しよう。この点に関して、例証的な実施形態が示され且つ記載されてきたが、前述の開示においては、広範な修正、変更及び置換が企図される。本開示の範囲から逸脱することなく、前述に対しこのような変更が施されてもよいことは理解される。従って、添付の特許請求の範囲が広く且つ本開示に合致する態様で解釈されることは適切である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16