特許第6596142号(P6596142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーピー化成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6596142-包装用容器 図000002
  • 特許6596142-包装用容器 図000003
  • 特許6596142-包装用容器 図000004
  • 特許6596142-包装用容器 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596142
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/10 20060101AFI20191010BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20191010BHJP
   B65D 25/28 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B65D43/10
   B65D1/26
   B65D25/28 101Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-221912(P2018-221912)
(22)【出願日】2018年11月28日
(62)【分割の表示】特願2017-80342(P2017-80342)の分割
【原出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2019-31338(P2019-31338A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2019年2月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】込山 和馬
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−190783(JP,A)
【文献】 特開2002−068306(JP,A)
【文献】 特開2002−037334(JP,A)
【文献】 特開2011−178412(JP,A)
【文献】 実開昭62−076147(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/10
B65D 1/26
B65D 25/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と蓋体からなる包装用容器であって、
前記蓋体の外周の一部から外側に向かって膨出するつまみ部が形成される一方、
前記容器本体は、
その外周部にフランジ面が形成されると共に、このフランジ面から垂直方向には周壁が立ち下がっており、
当該周壁の下端部からは前記つまみ部の外周よりも大きい外周を有する受け片が前記つまみ部に対応して膨出され、
当該受け片は、
前記つまみ部に対応する平面と、前記つまみ部の厚さよりも高い突状部とを有し、
当該突状部は、
前記容器本体の前記周壁の前記下端部を除く前記平面の先端側に形成されて、前記受け片を前記周壁の前記下端部に沿って変形可能とした、
ことを特徴とした包装用容器。
【請求項2】
つまみ部は平面状である請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
つまみ部の平面及び/または受け片のつまみ部に対応する平面には多数の細かい凹凸を形成した請求項1または2記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂シート成形品である包装用容器の蓋体と容器本体が閉蓋している際に、容易に開蓋ができる構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂シート成形からなる容器本体と蓋体の構造はその内容物によって様々であるが、汁気がある食品を収納する際に用いられる密閉構造の内嵌合容器や外嵌合容器の場合には、容器本体と蓋体が密に閉蓋されているため、食品の購入者が容易に開蓋をすることが困難な場合がある。そこで、この種の容器であっても容易に開蓋をすることができる構造が提案されてきた。
【0003】
例えば、容器本体と蓋体のそれぞれ一部に水平方向外側に突出する形状の舌片を形成し、この舌片を両手の指で摘み、引き剥がすように開蓋する構成が知られている。しかしながら、包装用容器の形状が円形の場合には容器本体と蓋体の嵌合はどのような位置でも可能である一方、2つの舌片は適切な対応関係に位置させることが好ましい。しかしながら、例えばスーパーなどのバックヤードで内容物を収納した後に閉蓋をする際には舌片の関係に注意しながら閉蓋を行わなければならず、大量の商品を処理する際には面倒であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−302150号公報
【特許文献2】特開平10−264951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、特許文献1に記載したように、容器本体の周面の一部に凹部14を設け、これに対応する蓋体の一部に水平方向外側に飛び出た形態のつまみ片23を形成し、閉蓋した状態で凹部につまみ片が収容され、開蓋時につまみ片を指でつまんで引き上げることによって開蓋を行うような発明が存在する。また、特許文献2に記載された発明では、容器本体および蓋体の隅部にそれぞれ舌片を一部が重なってずらせた状態で突設し、開蓋に際してはそれぞれの舌片を別々に摘みやすくした構成が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では閉蓋時につまみ片が容器本体から飛び出ているので、搬送している際に衣服などがつまみ片に引っかかった場合、不用意に開蓋されてしまうおそれがある。また、開蓋されないとしてもつまみ片は引っかかりやすいので、商品が積み上げられている際に手などがつまみ片に当たって商品を床に落とすという事故が発生するおそれがある。一方、特許文献2に記載された発明でもそれぞれの舌片が外側に向かって飛び出ており、蓋体の舌片が独立して引っかかるような構成であるため、やはり不用意に開蓋されてしまうというおそれがある。
【0007】
本発明はこのような従来の問題を解決するもので、開蓋に際して蓋体を容易に操作することができるとともに、不用意な開蓋を防止することができる開蓋構造を有する包装用容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明では、容器本体と蓋体からなる包装用容器であって、前記蓋体の外周の一部から外側に向かって膨出するつまみ部が形成される一方、容器本体の外周の一部には前記つまみ部に対応する受け片が膨出され、当該受け片は前記容器本体の外周に沿って変形可能とするとともに、前記つまみ部の外周よりも大きい外周を有するという手段を採用した。この手段によれば、蓋体に形成されたつまみ部は容器本体に形成された受け片よりも外部に飛び出していないので、不用意に蓋体のつまみ部に指が触れて開蓋されてしまうことがない。すなわち、受け片は常態においてつまみ部を保護する作用を行う。また、受け片を容器本体の外周に沿って変形するようにしており、これを下向きに変形させることによってつまみ部の先端部が受け片から離脱するように作用し、つまみ部をつまみやすくする。すなわち、受け片とつまみ部とは一対の開蓋のための構成とする。
【0009】
さらに、つまみ部の形状を平面状とした。つまみ部は開蓋に際して利用するだけであるが、平面とした場合には2本の指で挟み込みやすい。
【0010】
また、受け片の構成としては、つまみ部に対応する平面と、当該平面の外周部で容器本体の外周縁を除いた部分にはつまみ部の厚さよりも高い突状部を形成するという手段を用いた。この突状部はつまみ部よりも高いので、つまみ部を状態においてより保護すると同時に、不用意につまみ部の周縁が指などに触れることを防止している。さらに、突状部を形成していない容器を陳列した場合には、隣り合わせた容器のつまみ部同士が干渉し、一方のつまみ部が他方のつまみ部の下側に潜り込むことがあり、これを契機として不用意な開蓋がなされることがあるが、突状部を付設することで、当該不都合を回避することができる。
【0011】
つまみ部の平面と受け片のつまみ部に対応する平面のいずれか、または双方には多数の細かい凹凸が形成され、互いに密着することを回避するとともに、指でつまんだ場合に滑ることも回避する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器本体に対して蓋体を閉蓋した際にはつまみ部は受け片によって覆われるので、不用意につまみ部が指や衣服などに引っかかることはなく、意図しない開蓋を防止することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の包装用容器の容器本体と蓋体を重ねた一実施形態を示す断面図。
図2】同、容器本体と蓋体を閉蓋した状態を示す斜視図。
図3】同、蓋体に設けられたつまみ部を示す斜視図。
図4】同、容器本体に設けられた受け部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は本発明の一実施形態を示す包装用容器の容器本体1に対して蓋体2を閉蓋した状態を示す要部断面図であり、容器本体1と蓋体2は外嵌合によって閉蓋される。容器本体1の外周部3には円周状にフランジ面4が形成されており、このフランジ面4からほぼ垂直方向には周壁5が立ち下がっている。なお、6は周壁5の途中に内向き環状に形成された嵌合受け面である。そして、周壁5の下面の一部からは円弧状のつなぎ部7を介して受け片8が膨出している。さらに、受け片8の先端側に見られる突状部9は、受け片8における容器本体1の外周を除いた周囲を囲むように形成されている。一方、蓋体2にも容器本体1のフランジ面4に対応したフランジ部10が形成され、このフランジ部10から下向きの壁面11に環状の嵌合凸部12が形成され、容器本体1の嵌合受け面6に対して蓋体2の嵌合凸部12が外嵌合をする構成としている。13は蓋体2の外周の一部から外側に向かって膨出したつまみ部であり、閉蓋時には容器本体1の受け片8の突状部9の内側に収容されるようにしている。14は適宜つまみ部13の表面に設けられる多数の細かい凹凸である。なお、突状部9の高さは、つまみ部13の厚さよりも高いように設定している。このようにすると、つまみ部13は突状部9より飛び出ることはなく、不用意に指などが引っかかることはない。
【0015】
図2は閉蓋時に容器本体1に形成された受け片8に対して蓋体2に形成されたつまみ部13が収容された状態を示しており、図1と同じ番号は同じ箇所を示している。なお、本実施形態では容器全体の形状を平面視において円形としているが、容器全体の形状は円形に限らず矩形や楕円形、あるいは六角形や八角形などの多角形などであっても本発明に影響を与えるものではない。
【0016】
このように構成された包装用容器において、閉蓋を行う場合には、容器本体1に対して蓋体2を、容器本体1の受け片8に蓋体2のつまみ部13が対応するような回転位置とし、通常の外嵌合容器と同様に閉蓋を行う。そして、いったん閉蓋をした後はつまみ部13が受け片8の周囲に形成された突状部9よりも低い位置に収容されるので、なんら力を加えていない場合にはつまみ部13が指などにひっかかることはない。次に、開蓋する場合には、まず容器本体1の受け片8の一部、好ましくは突状部9の先端に下向きの力を加えると、受け片8はつなぎ部7を介して容易に下向きに折れ曲がる方向に変形する。そうすると、この変形によって蓋体2のつまみ部13が受け片8から相対的に離脱することになり、指でつまみ部13を挟むことができる。次に、一方の手の指でつまみ部13を確保するとともに、他方の手の指で受け片8を確保し、相互に開蓋方向に引き離せば容易に開蓋を行うことができる。
【0017】
本実施形態では、容器本体1と蓋体2は外嵌合によって閉蓋をする構成について説明したが、嵌合構造については特に限定するものではなく、内嵌合又は内外嵌合であっても容器本体1の外周から受け片8を膨出して形成することができ、蓋体2の外周からつまみ部13を膨出して形成することができる基本構造であれば広くこの構造を採用することができるのはもちろんである。また、容器本体1に形成された受け片8は、変形を容易にするためにつなぎ部7を介して成形しているが、受け片8が小さい力で下向きに変形できるのであれば、つなぎ部7は省略することもある。また、本発明において必須の構成は、つまみ部13が受け片8の外周からはみ出さないことであるから、つまみ部13の外形と受け片8の外形を相似的に一致させる必要はなく、突状部9についても必要に応じて省略することもある。
【0018】
なお、つまみ部13と受け片8には適宜多数の細かい凹凸を設けるものとしているが、これはつまみ部13と受け片8の間に水滴などが入り込んだ場合に水滴によって双方がぴったりと張り付くことを避けることを目的の一つとしているが、例えばつまみ部13と受け片8の間に隙間を形成するように成形すれば凹凸を省略してもよい。ただし、指で摘んだ場合の滑り止めを期待する場合には凹凸を設けることが好ましい。凹凸の形状については特に限定しないが、例えばローレット状、ドット状、多数の縞状など、その機能を発揮できる形状であればよい。
【0019】
ところで、図2および図4で示されるように、本実施形態では突状部9の両終端受け片8まで徐々に下向き傾斜して連続している。このように構成した場合には、閉蓋作業時に容器本体1と蓋体2の位置がずれたときでも相互に回転させてつまみ部13を受け片8の正確な位置に調整する際に下向き傾斜が存在するためにスムーズに回転させることができる。逆にいえば、いったん位置合わせが行えた後はつまみ部13が突状部9の内壁で規制されるため、回転方向の力が働いた場合でも不用意に回転することはない。ただし、これらの関係は、容器本体1と蓋体2の嵌合部が回転方向においてどのような角度でも嵌合するような円形などの場合に機能するものである。
【符号の説明】
【0020】
1 容器本体
2 蓋体
4 フランジ面
6 嵌合受け面
8 受け片
9 突状部
10 フランジ部
12 嵌合凸部
13 つまみ部
14 凹凸
図1
図2
図3
図4