特許第6596170号(P6596170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596170荷重検知センサ及び荷重検知センサユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596170
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】荷重検知センサ及び荷重検知センサユニット
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/20 20060101AFI20191010BHJP
   H01H 13/16 20060101ALI20191010BHJP
   G01G 19/52 20060101ALN20191010BHJP
   B60N 2/90 20180101ALN20191010BHJP
   A47C 7/62 20060101ALN20191010BHJP
【FI】
   G01L1/20 Z
   H01H13/16 B
   !G01G19/52 Z
   !B60N2/90
   !A47C7/62 Z
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-549706(P2018-549706)
(86)(22)【出願日】2016年11月11日
(86)【国際出願番号】JP2016083488
(87)【国際公開番号】WO2018087874
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2018年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】亀島 貴
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−121363(JP,A)
【文献】 特開2001−099726(JP,A)
【文献】 特開2004−347415(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/148521(WO,A1)
【文献】 特表2006−509337(JP,A)
【文献】 特開平08−266030(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/121835(WO,A1)
【文献】 特開2007−132888(JP,A)
【文献】 米国特許第04933660(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/20
G01L 5/00
G01G 19/52
A47C 7/62
B60N 2/90
H01H 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する樹脂製の第1絶縁シート及び第2絶縁シートと、前記第2絶縁シートに対向する前記第1絶縁シートの面上に設けられる第1電極と、前記第1絶縁シート及び前記第2絶縁シート間に配置され前記第1電極と対をなす第2電極とを有するセンサシートと、
前記第2絶縁シートのうち前記第1絶縁シートに対向する前記第2絶縁シートの面とは逆側の面において少なくとも前記第1電極及び前記第2電極と重なる部位に設けられる金属板と
前記第2絶縁シートと前記金属板との間に設けられ、前記第2絶縁シートと前記金属板とを接着する接着層と
を備え、
前記第2絶縁シートの厚さ及び前記接着層の厚さを合計した厚さは、前記金属板の厚さ未満である
ことを特徴とする荷重検知センサ。
【請求項2】
前記接着層の厚さは、10μm以上であって、前記第2絶縁シートの厚さの0.8倍以下である
ことを特徴とする請求項に記載の荷重検知センサ。
【請求項3】
前記第2絶縁シートの厚さは、前記金属板の厚さの10%〜75%の範囲内である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の荷重検知センサ。
【請求項4】
前記第2絶縁シートの厚さは、前記第1絶縁シートの厚さ未満である
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の荷重検知センサ。
【請求項5】
前記第1絶縁シートと前記第2絶縁シートとの間に設けられるスペーサをさらに備え、
85℃の気温環境での前記スペーサの弾性率は、10MPa以上である
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の荷重検知センサ。
【請求項6】
前記第1絶縁シートと前記第2絶縁シートとの間に設けられる絶縁シートと、前記絶縁シートと前記第1絶縁シートとを接着する第1接着層と、前記絶縁シートと前記第2絶縁シートとを接着する第2接着層とでなるスペーサをさらに備え、
85℃の気温環境での前記第1接着層及び前記第2接着層の弾性率は、10MPa以上である
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の荷重検知センサ。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の荷重検知センサと、
前記金属板のセンサシート側とは反対側に配置され前記金属板を押圧する押圧部を有する押圧部材と
を備えることを特徴とする荷重検知センサユニット。
【請求項8】
前記押圧部材は、前記押圧部が前記金属板に接触する面積よりも大きな面積とされ、シートクッションからの押圧を受ける頂壁を有する
ことを特徴とする請求項に記載の荷重検知センサユニット。
【請求項9】
前記頂壁は、前記第1電極及び前記第2電極よりも大きな面積であり、
前記押圧部は、前記第1電極及び前記第2電極よりも小さな面積である
ことを特徴とする請求項に記載の荷重検知センサユニット。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重検知センサ及び荷重検知センサユニットに関し、着座等を適切に検知する場合に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
車両における安全システムの一つとして、乗車時にシートベルトが非着用であることを警告するアラームシステムが実用化されている。このアラームシステムでは、人の着座が感知されている状態でシートベルトの着用が非感知となる場合に、警告が発せられる。この人の着座を感知する装置として、着座による荷重を検知する着座検知装置が用いられる場合がある。
【0003】
着座検知装置として、開口が形成されたスペーサが一対の樹脂製のフィルム間に配置され、それぞれのフィルム上に形成された電極が、スペーサの開口内において互いに所定の間隔をあけて対向する構成の荷重検知センサが用いられたものが知られている(例えば下記特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平09−315199号公報
【発明の概要】
【0005】
しかし、樹脂製のフィルムは、一般的に、温度が上昇すると強度が低下して弱い力で撓んでしまう傾向がある。従って、炎天下の自動車の車内の様に高温になる環境に置かれると、樹脂製のフィルムの強度が低下する場合がある。この場合、通常の人の荷重よりも軽い荷重が座席装置に加わっても、着座として誤検知してしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、着座等に応じて加わる荷重を適切に検知することができる荷重検知センサ及び荷重検知センサユニットを提供することを目的とする。
【0007】
上記課題を解決するため本発明の荷重検知センサは、互いに対向する樹脂製の第1絶縁シート及び第2絶縁シートと、前記第2絶縁シートに対向する前記第1絶縁シートの面上に設けられる第1電極と、前記第1絶縁シート及び前記第2絶縁シート間に配置され前記第1電極と対をなす第2電極とを有するセンサシートと、前記第2絶縁シートのうち前記第1絶縁シートに対向する前記第2絶縁シートの面とは逆側の面において少なくとも前記第1電極及び前記第2電極と重なる部位に設けられる金属板とを備え、前記第2絶縁シートの厚さは、前記金属板の厚さ未満であることを特徴とする。
【0008】
このような荷重検知センサでは、金属板が押圧された場合、金属板が撓むとともにその金属板の撓み方に追随するようにセンサシートの第2絶縁シートが撓むことで、当該金属板と重なる部位に設けられる第1電極及び第2電極の状態が変化し荷重検知センサがオンとなり、荷重が検知される。金属は樹脂と比べるとクリープが生じにくいため、樹脂製の第2絶縁シートに比べて金属板には押し癖がつきづらい。従って、押し癖による荷重の誤検知を抑制することができる。
ところで、樹脂は、金属に比べて環境温度に応じて変形し易い傾向にある。しかし、この荷重検知センサユニットでは、センサシートにおける第2絶縁シートの厚さが金属板の厚さ未満とされているため、当該第2絶縁シートの厚さが金属板の厚さ以上である場合に比べて、樹脂である第2絶縁シートの変形量を小さくすることができる。つまり、あたかも第2絶縁シートがなく金属板のみである場合に近づくことになる。従って、荷重検知センサがオンとなった時点で荷重検知センサに加わっている荷重(オン荷重)が温度変化によりばらつくことを低減できる。この結果、温度変化による荷重の誤検知を抑制することもできる。
こうして、本発明の荷重検知センサによれば、荷重を適切に検知することができる。
【0009】
ところで、前記第2絶縁シートと前記金属板との間に設けられ、前記第2絶縁シートと前記金属板とを接着する接着層をさらに備え、前記第2絶縁シートの厚さ及び前記接着層の厚さを合計した厚さは、前記金属板の厚さ未満であることが好ましい。
【0010】
第2絶縁シートと金属板とが接着層により接着されることで、金属板に対する押圧が解除され、非押圧時の位置にまで金属板が戻るときに、当該位置にまで金属板が第2絶縁シートを戻すことができる。従って、荷重検知センサの周りの環境温度が変化する場合であっても第2絶縁シートに押し癖がつき難くなる。これに加えて、第2絶縁シートの厚さ及び接着層の厚さを合計した厚さが金属板の厚さ未満とされることで、より一段と温度変化による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0011】
なお、前記接着層の厚さは、10μm以上であって、前記第2絶縁シートの厚さの0.8倍以下であることが好ましい。
【0012】
低温環境下において接着層は硬化し弾性率が著しく高くなることが知られており、当該低温環境下において荷重検知センサのオン荷重をより安定化させるためには接着層の弾性率が重要となる場合がある。接着層の厚さが第2絶縁シートの厚さの0.8倍以下であれば、低温環境下において接着層の弾性率が第2絶縁シートの弾性率の20%程度まで上昇するため、低温環境下でもオン荷重をより安定させることができる。また、接着層の厚さが10μm以上である場合、高温環境下において接着層に過大な押圧力が加わり接着層が側方に流動して一定厚さ以下となることでオン荷重が下がったり、接着性が損なわれ常時電極が接触してしまうことを抑制できる。
また、前記第2絶縁シートの厚さは、前記金属板の厚さの10%〜75%の範囲内であることが好ましい。
【0013】
このような範囲内の厚さの第2絶縁シートであれば、当該第2絶縁シートの耐久性を確保しながらも温度変化による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0014】
また、前記第2絶縁シートの厚さは、前記第1絶縁シートの厚さ未満であることが好ましい。
【0015】
このようにした場合、荷重検知センサをより薄くしながらも温度変化による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0016】
また、前記第1絶縁シートと前記第2絶縁シートとの間に設けられるスペーサをさらに備え、85℃の気温環境での前記スペーサの弾性率は、10MPa以上であることが好ましい。
【0017】
このようなスペーサを備える荷重検知センサでは、スペーサの弾性率の増加に応じてオン荷重が増加するものの、その弾性率が10MPa以上からオン荷重の増加率が小さくなる。また、樹脂は一般的に低温では硬くなる傾向にある。このため、85℃の気温環境でのスペーサの弾性率が10MPa以上であれば、当該85℃から低い気温環境になっても、スペーサの弾性率が10MPa以上となる。したがって、低温から高温にわたってスペーサの変形が小さく、厚さの変化も小さいので、当該変化による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0018】
また、前記第1絶縁シートと前記第2絶縁シートとの間に設けられる絶縁シートと、前記絶縁シートと前記第1絶縁シートとを接着する第1接着層と、前記絶縁シートと前記第2絶縁シートとを接着する第2接着層とでなるスペーサをさらに備え、85℃の気温環境での前記第1接着層及び前記第2接着層の弾性率は、10MPa以上であることが好ましい。
【0019】
このようなスペーサを備える荷重検知センサでは、当該スペーサの第1接着層及び第2接着層の弾性率の増加に応じてオン荷重が増加するものの、その弾性率が10MPa以上からオン荷重の増加率が小さくなる。また、樹脂は一般的に低温では硬くなる傾向にある。このため、85℃の気温環境での第1接着層及び前記第2接着層の弾性率が10MPa以上であれば、当該85℃から低い気温環境になっても、スペーサの弾性率が10MPa以上となる。したがって、低温から高温にわたってスペーサの変形が小さく、厚さの変化も小さいので、当該変化による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0020】
また、本発明の荷重検知センサユニットは、上記のいずれかの荷重検知センサと、前記金属板のセンサシート側とは反対側に配置され前記金属板を押圧する押圧部を有する押圧部材とを備えることを特徴とする。
【0021】
押圧部によって金属板が押圧されているため、シートクッションによって直接金属板が押圧される場合よりも金属板を適切に撓ませることができ、着座等を適切に検知することができる。また、金属は樹脂と比べるとクリープが生じにくいため、押圧部で押圧されても金属板に押し癖がつきづらい。従って、この荷重検知センサユニットでは、押し癖に起因して着座等に応じて加わる荷重の誤検知を抑制することができ、この結果、着座等に応じて加わる荷重を適切に検知することができる。
【0022】
また、前記押圧部材は、前記押圧部が前記金属板に接触する面積よりも大きな面積とされシートクッションからの押圧を受ける頂壁を有することが好ましい。
【0023】
シートクッションからの押圧を受ける頂壁の面積が金属板に接触する押圧部の面積よりも大きいため、当該頂壁によってシートクッションからの押圧力を押圧部に集中させることができ、より適切に金属板を撓ませることができる。従って、より適切に荷重を検知することができる。
【0024】
また、前記頂壁は、前記第1電極及び前記第2電極よりも大きな面積であり、前記押圧部は、前記第1電極及び前記第2電極よりも小さな面積であることが好ましい。
【0025】
頂壁が、第1電極及び前記第2電極よりも大きな面積であるため、第1電極や第2電極よりも大きな荷重を受けることができ、押圧部が第1電極及び第2電極よりも小さな面積であることで、当該押圧部に対して押圧部材の頂壁によって集中された押圧力を分散させずに第1電極及び第2電極に伝えることができる。
【0026】
以上のように本発明によれば、着座等に応じて加わる荷重を適切に検知することができる荷重検知センサユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態における荷重検知センサユニットの構成を示す分解図である。
図2】荷重検知センサユニットがSばねに取り付けられた様子を示す断面図である。
図3】押圧部材を図1とは異なる視点で示す図である。
図4】荷重検知センサの分解図である。
図5】スペーサが複数層で構成される場合の荷重検知センサを示す断面図である。
図6】荷重検知センサのオン状態の様子を示す図である。
図7】荷重検知センサにおける第2絶縁シートの厚さが金属板の厚さ未満である場合と、当該第2絶縁シートの厚さが金属板の厚さと同じである場合とを異なる気温環境下で荷重を与えた実験結果を示す表である。
図8図6の実験結果の数値をグラフとして表した図である。
図9】第2接着層とオン荷重との関係を示すグラフである。
図10】先端が平面形状とされる押圧部によって荷重検知センサを押圧した場合の実験結果を示すグラフである。
図11】先端が凸状の曲面形状とされる押圧部を有する荷重検知センサユニットを図2と同じ視点で示す図である。
図12】先端が凸状の曲面形状とされる押圧部によって荷重検知センサを押圧した場合の実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る荷重検知センサ及び荷重検知センサユニットの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、理解の容易のため、それぞれの図のスケールと、以下の説明に記載のスケールとが異なる場合がある。
【0029】
(1)実施形態
図1は本実施形態の荷重検知センサユニットの構成を示す分解図であり、図2は荷重検知センサユニットが座席装置のSばねに取り付けられた様子を示す断面図である。なお、図2は、座席装置の左右方向に沿った面における荷重検知センサユニットの断面図である。図1図2に示すように、荷重検知センサユニット1Aは台座2、押圧部材4及び荷重検知センサ5を主な構成として備える。
【0030】
荷重検知センサ5は、第1電極56e及び第2電極57eで構成されるスイッチSWを有し、可撓性を有するセンサシート50と、金属板60と、センサシート50と金属板60とを接着する接着層70とを備える。接着層70により、センサシート50と金属板60とは、貼り合わされている。
【0031】
センサシート50は、シート状のメンブレンスイッチとされ、概ね矩形のメインブロック50mと、メインブロック50mに接続されメインブロック50mよりも幅の狭いテールブロック50tとを有する。メインブロック50mには第1電極56e及び第2電極57eで構成されるスイッチSWが設けられている。また、テールブロック50tには幅の広い羽根部50fが形成されている。また、メインブロック50mの各頂点付近には、貫通孔50Hが形成されている。
【0032】
金属板60は、図2に示すように、接着層70によってセンサシート50における一方の面に貼り付けられる。本実施形態では、センサシート50の一部であるメインブロック50mのうち、座席装置のシートクッションSC側となる面であるクッション側面50mcsに金属板60が貼り付けられる。なお、クッション側面50mcsには、当該クッション側面50mcsに直交する方向においてセンサシート50の第1電極56e及び第2電極57eと重なる領域が含まれ、当該領域を含むクッション側面50mcs上に金属板60が貼り付けられる。すなわち、クッション側面50mcsを正面視した場合、金属板60の厚み方向とは直交する方向における金属板60の側面で囲まれる範囲よりも内側に第1電極56e及び第2電極57eが位置している。
【0033】
接着層70は、センサシート50と金属板60とを貼り合わす層状の部材である。接着層70は、センサシート50と金属板60との間の全体に設けられていても一部に設けられていても良い。ただし、センサシート50と金属板60との間の一部に接着層70を設ける場合、少なくとも、その接着層70に厚み方向において後述する押圧部材4の押圧部46と重なる領域に設けられる。なお、接着層70に厚み方向において第1電極56e及び第2電極57eと重なる領域にも設けられていることが好ましい。本実施形態では、接着層70は、金属板60と同等の大きさとされる。この接着層70の材料としては、センサシート50と金属板60とを貼り合わすことができる限り、どのような材料でも良いが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や光硬化樹脂等が挙げられる。また、接着層70としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)や不織布などの基材の両面に接着層が形成されているものでもよい。ここで、接着層70のガラス転移点Tgとしては、85℃以上であることが好ましい。ガラス転移点Tgが、85℃以上であることで、炎天下の自動車の車内の様に高温になる環境においても、流動しづらくいため、接着層70の流動による着座の誤検知を抑制することができる。
【0034】
台座2は、荷重検知センサ5が載置される載置部21と、当該載置部21に連結される一対のフック部22とを有する。載置部21の上側の面は載置面21Sである。この載置面21S上にはメインブロック50mが配置される。メインブロック50mは、図2に示すように、載置部21の載置面21Sに対向する面である台座対向面50mps全体が載置部21に接着されておらず、当該載置面21Sと台座対向面50mpsとは当接される。また、載置部21には、載置面21Sから載置部21の下側の面(載置面21Sと反対側の面)まで貫通する複数の貫通孔20H(図1)が形成され、また複数のフック用開口24(図1)が形成されている。
【0035】
一対のフック部22は、載置部21を挟んで互いに対向する位置にそれぞれ設けられており、車両の座席装置におけるフレームの開口に並べて張り渡される複数のSばね100(図2)のうち隣接する一対のSばね100にそれぞれ嵌め込まれる。従って、それぞれのフック部22は、台座2をSばね100に係止する係止部である。本実施形態では、一対のフック部22は座席装置の横方向に並び、当該横方向に隣接する一対のSばね100に嵌め込まれるように形成される。また、一対のフック部22がこのように隣接する一対のSばね100に嵌め込まれた状態で、載置部21は複数のSばね100上に載置されるシートクッションSC(図2)の下方に位置し、さらに、複数のSばねを上方から見る場合に載置部21は当該一対のSばね100の間に配置される。上記のように一対のフック部22が一対のSばね100に嵌め込まれた状態で、本実施形態では、載置面21Sは、それぞれのSばね100の下端部よりも下側に位置する。また、本実施形態の場合、金属板を成形して台座2が得られ、この場合の板厚は例えば0.8mmとされる。
【0036】
押圧部材4は、載置部21の載置面21Sに載置されるメインブロック50mを覆ってメインブロック50mの第1電極56e及び第2電極57eなどを保護する部材である。また、押圧部材4は、図2に示すように、シートクッションSCに押圧されることで荷重検知センサ5の第1電極56e及び第2電極57eで構成されるスイッチSWを押圧する押圧部材でもある。
【0037】
この押圧部材4は、頂壁45及び枠壁48を有する。頂壁45は概ね円形とされる板状の部材である。また、押圧部材4の枠壁48は複数に分割されて、頂壁45の外周状に接続されている。複数に分割されている枠壁48の各間において、フック片47が頂壁45に接続されている。それぞれのフック片47は、台座2の載置部21に形成されるフック用開口24に嵌め込まれる構成とされる。それぞれのフック片47がフック用開口24に嵌め込まれることで、台座2と押圧部材4との載置面21S方向における相対的な移動が規制される。
【0038】
図3は、押圧部材4を図1とは異なる視点で示す図である。図3に示すように、押圧部材4の頂壁45には、台座2の載置部21に対向される底面から突出する押圧部46が設けられている。本実施形態の場合、押圧部46の先端は平面形状とされ、当該平面は略円形とされる。この押圧部46は、第1電極56e及び第2電極57eよりも小さな面積である。すなわち、押圧部材4の上面45Sを正面視した場合、当該上面の縁で囲まれる範囲よりも内側に第1電極56e及び第2電極57eが位置する。また、押圧部材4の上面45Sを正面視した場合、第1電極56e及び第2電極57eの厚み方向とは直交する方向における電極の側面で囲まれる範囲よりも内側に押圧部46が位置する。
【0039】
また、押圧部材4の頂壁45には、押圧部46が設けられる側と同じ底面から突出する複数のリブ49が設けられている。これらのリブ49は、台座2の載置部21に形成される複数の貫通孔20Hと重なる位置に形成されている。台座2の載置部21に載置される荷重検知センサ5を押圧部材4が覆いそれぞれのフック用開口24にそれぞれのフック片47が嵌め込まれた状態では、各リブ49は対応する貫通孔20Hに挿入される。これにより荷重検知センサ5のシート面全体が載置部21に接着されていなくても、当該荷重検知センサ5と押圧部材4の押圧部46との載置面21S方向における相対的な移動が規制される。なお、載置部21に載置される荷重検知センサ5を押圧部材4が覆い各フック用開口24に対応するフック片47が嵌め込まれた状態では、押圧部46の先端は荷重検知センサ5と接触している。
【0040】
なお、押圧部材4は、シートクッションSCよりも硬質な材料から形成されている。従って、押圧部材4の一部である押圧部46もシートクッションSCよりも硬質な材料から形成されている。一般的にシートクッションSCは発泡されたウレタン樹脂からなるため、このような押圧部材4の材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、PBT、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0041】
このような荷重検知センサユニット1Aが一対のSばね100に取り付けられた状態では、押圧部材4の頂壁45における上面45Sは、シートクッションSCの下面と所定の距離を空けて対向する。この上面45Sは平面状とされる。上面45SはシートクッションSCからの押圧を受ける受圧面であり、当該上面45Sの面積は押圧部46における荷重検知センサ5の金属板60と接触する部分の面積よりも大きくされている。
【0042】
次に、荷重検知センサ5についてより詳細に説明する。
【0043】
図4は、荷重検知センサ5の分解図である。図4に示すように、センサシート50は、第1電極シート56とスペーサ58と第2電極シート57とを備える。第1電極シート56は、第1絶縁シート56sと、第1電極56eと、第1端子56cとを主な構成として有する。
【0044】
第1絶縁シート56sは、可撓性を有する樹脂製の絶縁シートとされる。この第1絶縁シート56sは、センサシート50のメインブロック50mと同形状のメインブロック56mと、メインブロック56mに接続されセンサシート50のテールブロック50tと概ね同形状のテールブロック56tとから成る。テールブロック56tの形状は、メインブロック56mと反対側の先端部位がテールブロック56tの他の部位よりも狭い幅となっている点において、センサシート50のテールブロック50tの形状と異なる。また、メインブロック56mには、センサシート50の貫通孔50Hと同様の位置に貫通孔56Hが形成されている。このような第1絶縁シート56sの材料としては、PET、ポリイミド(PI)又はポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂を挙げることができる。なお、第1絶縁シート56sにおけるメインブロック56mのうち、スペーサ58と対向する側とは反対側の面が、上記のように、センサシート50におけるメインブロック50mの台座対向面50mpsとなる(図2)。
【0045】
第1電極56eは、メインブロック56mの概ね中央における一方の面上に設けられている。第1電極56eは、導体の層からなり、例えば略円形の金属印刷層とされる。第1端子56cは、導体の層からなり、例えば略四角形の金属層とされる。第1端子56cは、テールブロック56tの上記先端部位における第1電極56eが設けられている側の面上に設けられている。また、第1電極56eと第1端子56cとは第1配線56wを介して互いに電気的に接続されている。
【0046】
第2電極シート57は、第2絶縁シート57sと、第2電極57eと、第2端子57cとを主な構成として有する。
【0047】
第2絶縁シート57sは、第1電極シート56よりもシートクッションSC側に配置され(図2)、第1絶縁シート56sと同様に樹脂製の絶縁シートとされる。本実施形態の場合、第2絶縁シート57sは、第1絶縁シート56sのメインブロック56mと同じ形状のメインブロック57mと、メインブロック57mに接続され第1絶縁シート56sのテールブロック56tと先端部位以外の形状が同じ形状のテールブロック57tとから成る。テールブロック57tの先端部位はテールブロック57tの他の部位よりも狭い幅とされており、第1絶縁シート56sと第2絶縁シート57sとを重ねたときに、第1絶縁シート56sのテールブロック56tにおける先端部位と第2絶縁シート57sのテールブロック57tにおける先端部位とが互いに重ならないようにされている。また、メインブロック57mには、第1絶縁シート56sと同様にして、センサシート50の貫通孔50Hと同様の位置に貫通孔57Hが形成されている。第2絶縁シート57sの材料としては、第1絶縁シート56sと同様に、PET、PI又はPEN等の樹脂を挙げることができ、第2絶縁シート57sの材料は、第1絶縁シート56sの材料と同じであっても異なっていても良い。
【0048】
第2電極57eは、第1電極56eと対をなす電極であり、第1電極56eと同様の構成とされる。この第2電極57eは、第2絶縁シート57sのメインブロック57mの概ね中央における一方の面上に設けられている。また、第2電極57eが設けられる位置は、第1電極シート56と第2電極シート57とを重ねたときに第1電極56eと重なる位置とされる。第2端子57cは、第1端子56cと同様の構成とされ、テールブロック57tの上記先端部位における第2電極57eが設けられている側の面上に設けられている。また、上記のように、第1絶縁シート56sと第2絶縁シート57sとを重ねるとき、それぞれの絶縁シートの先端部位が互いに重ならないため、第1端子56c及び第2端子57cは、第1絶縁シート56sと第2絶縁シート57sとの間に位置せずに露出する。また、第2電極57eと第2端子57cとは第2配線57wを介して互いに電気的に接続されている。
【0049】
スペーサ58は、第1電極シート56及び第2電極シート57の間に配置され、樹脂製の絶縁シートとされる。このスペーサ58は、メインブロック58mと、メインブロック58mに接続されるテールブロック58tとから成る。メインブロック58mは、外形が第1絶縁シート56s、第2絶縁シート57sのメインブロック56m,57mの外形と同様とされる。また、メインブロック58mには、中央に開口58cが形成されており、また、第1絶縁シート56s、第2絶縁シート57sと同様にして、センサシート50の貫通孔50Hと同様の位置に貫通孔58Hが形成されている。テールブロック58tは、第1絶縁シート56s、第2絶縁シート57sのテールブロック56t,57tにおける幅が狭い先端部位を除く形状とされる。
【0050】
開口58cは、略円形の形状であり、第1電極56e及び第2電極57eの直径よりも直径が僅かに小さく形成されている。本実施形態の場合、押圧部46の先端における平面の面積が、3.0mm以上であることが好ましい。また、押圧部46の先端における平面の外形が略円形の形状とされ、その平面の直径D2としては、2.0mm以上であることが好ましい。また、開口58cの面積に対する、押圧部46の先端における平面の面積は、0.8倍以下であることが好ましい。また、開口58cも押圧部46の先端における平面の外形も略円形の場合、開口58cの直径D1に対する押圧部46の先端における平面の直径D2としては、0.8倍以下であることが好ましい。
【0051】
また、開口58cは、スペーサ58を第1電極シート56及び第2電極シート57と重ね合わせて、スペーサ58を平面視する場合、開口58cが第1電極56e及び第2電極57e周縁の内側に位置するように形成されている。さらにスペーサ58には、開口58c内の空間とセンサシート50の外部の空間とを接続するスリット58bが形成されている。このスリット58bは、第1電極シート56、スペーサ58、第2電極シート57をそれぞれ重ねたときに、エアベントとされる。なお、スペーサ58を第1電極シート56及び第2電極シート57と重ね合わせて、スペーサ58を平面視する場合に、開口58cが第1電極56e及び第2電極57e周縁の外側に位置するように形成してもよい。
【0052】
このようなスペーサ58の一方の面側には第1電極シート56の第1絶縁シート56sが接着され、当該スペーサ58の他方の面側には第2電極シート57の第2絶縁シート57sが接着される。なお、スペーサ58が接着を兼ねていても兼ねていなくても良い。
【0053】
スペーサ58が接着を兼ねる場合、当該スペーサ58は、図2に示すように、単一の層で構成される。この場合、85℃の気温環境でのスペーサ58の弾性率が10MPa以上とされることが好ましい。なお、この場合のスペーサ58の材料としては、熱硬化性樹脂や光硬化樹脂等の硬化樹脂が採用される。未硬化状態の硬化性樹脂を第1絶縁シート56sと第2絶縁シート57sとの間に塗布した後に硬化させることでスペーサ58が得られ、当該スペーサ58が第1絶縁シート56s及び第2絶縁シート57sと直接的に接着する。このため物理的に別体の接着層と絶縁シートとを設けることが省略される。
【0054】
スペーサ58が接着を兼ねない場合、当該スペーサ58は、図5に示すように、スペーサ用の絶縁シート101と、第1接着層102と、第2接着層103とでなる複数の層で構成される。この場合、85℃の気温環境での第1接着層102及び第2接着層103の弾性率が10MPa以上とされることが好ましい。なお、絶縁シート101は第1絶縁シート56sと第2絶縁シート57sとの間に設けられ、当該絶縁シート101の材料としてはPET、PI又はPEN等の樹脂が挙げられる。絶縁シート101の材料と、第1絶縁シート56s又は第2絶縁シート57sの材料とは同じであっても異なっていても良い。第1接着層102は絶縁シート101と第1絶縁シート56sとを接着するものであり、当該第1接着層102の材料としては熱硬化性樹脂や光硬化樹脂等の硬化樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられる。第2接着層103は絶縁シート101と第2絶縁シート57sとを接着するものであり、当該第2接着層103の材料としては熱硬化性樹脂や光硬化樹脂等の硬化樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられる。第1接着層102の材料と第2接着層103の材料とは同じであっても異なっていても良い。
【0055】
スペーサ58と第1電極シート56及び第2電極シート57とが接着された場合、第1電極シート56の第1電極56e、第1配線56w、及び、第2電極シート57の第2電極57e、第2配線57wは、第1絶縁シート56sと第2絶縁シート57sとの間に位置する。そして、第1電極56eと第2電極57eとが開口58cを介して対向してスイッチSWを構成する。また、第1電極シート56とスペーサ58と第2電極シート57とが重ねられた状態で、それぞれの貫通孔56H,57H,58Hが互いに重なり、センサシート50の貫通孔50Hとなる。
【0056】
また、センサシート50の第1端子56c及び第2端子57cには、不図示の制御装置に接続される信号ケーブル19がそれぞれ接続されている。第1端子56c及び第2端子57cとそれぞれの信号ケーブル19とは導電性ペーストやはんだ付け等により接続される。信号ケーブル19が接続された第1端子56c及び第2端子57cを含むセンサシート50のテールブロック50tの端部は、図1に示すように、封止樹脂18により覆われている。この封止樹脂18は、例えば、ホットメルトや光硬化樹脂等から成る。こうして、それぞれの信号ケーブル19がそれぞれの第1端子56c及び第2端子57cから外れることが抑制されると共に、第1端子56c及び第2端子57cが導電性の塵埃等により短絡することが抑制されている。
【0057】
金属板60は、センサシート50に比べると撓み難い程度の可撓性を有する金属の板材から成る。金属板60の材料としては、導電性を有する金属である限り特に限定するものではないが、例えば銅やステンレスなどが挙げられる。本実施形態の場合、金属板60は、センサシート50のメインブロック50mと概ね同じ形状とされる。
【0058】
この金属板60には、センサシート50の貫通孔50Hと同様の位置に貫通孔60Hが形成されており、センサシート50と金属板60とを重ねたときに、センサシート50の貫通孔50Hと金属板60の貫通孔60Hとが互いに重なる。また、センサシート50と金属板60とを重ねたときに、金属板60は、センサシート50の第1電極56e及び第2電極57eで構成されるスイッチSWを覆うようにしてクッション側面50mcs上に配置され、当該クッション側面50mcsに接着層70により接着される。なお、クッション側面50mcsは、上記のように、第2絶縁シート57sのメインブロック57mのうち、第1絶縁シート56sのメインブロック56mに対向する面とは逆側の面である。
【0059】
本実施形態における第2絶縁シート57s(メインブロック57m,テールブロック57t)の厚さT1(図2)は、金属板60の厚さT2(図2)未満である。なお、第2絶縁シート57s(メインブロック57m,テールブロック57t)の厚さT1及び接着層70の厚さT3(図2)を合計した厚さは、金属板60の厚さT2未満であることが好ましい。また、第2絶縁シート57s(メインブロック57m,テールブロック57t)の厚さT1は、第1絶縁シート56s(メインブロック56m,テールブロック56t)の厚さT4未満であることが好ましい。さらに、第2絶縁シート57sの厚さT1は、金属板60の厚さT2の10%〜75%の範囲内であることが好ましい。このような金属板60の厚さT2は30〜300μmの範囲内とされることが好ましく、接着層70の厚さT3は10〜100μmの範囲内とされることが好ましい。また、第2絶縁シート57sの厚さT1は10〜100μmの範囲内とされることが好ましく、第1絶縁シート56sの厚さT4は50〜200μmの範囲内とされることが好ましい。
【0060】
以上の構成の荷重検知センサ5は、台座2の載置部21上に配置される。具体的には、第1電極56e及び第2電極57eを有するセンサシート50のメインブロック50mが台座2の載置部21上に位置する。そして、センサシート50のテールブロック50t、封止樹脂18、一対の信号ケーブル19は、台座2から導出される。
【0061】
また、上記のように、台座2に載置される荷重検知センサ5を押圧部材4が覆いそれぞれのフック用開口24にそれぞれのフック片47が嵌め込まれた状態では、押圧部46は、先端が荷重検知センサ5の金属板60における第1電極56e及び第2電極57eと重なる位置に接触する。また、この状態では、各リブ49は、対応する金属板60の貫通孔60H、センサシート50の貫通孔50H及び台座2の貫通孔20Hを挿通する。従って、台座2と第1絶縁シート56sとが接着されていない状態であっても、当該荷重検知センサ5と押圧部材4の押圧部46との相対的な移動が規制される。すなわち、リブ49は、台座対向面50mpsの方向おけるセンサシート50と台座2との相対的な移動を規制する移動規制部材と理解できる。
【0062】
次に、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aによる着座の検知について説明する。
【0063】
図6は、荷重検知センサ5のオン状態を示す図である。座席装置に人が着座すると、シートクッションSCの下面が下方に移動し、シートクッションSCの下面は、押圧部材4の上面45Sに接触して、上面45Sを押圧する。そして、さらにシートクッションSCの下面が下方に移動すると、図6に示すように、押圧部46の先端が金属板60を押圧し、金属板60の撓みにより、第2絶縁シート57sのメインブロック57mも撓む。このとき、第1絶縁シート56sにおけるメインブロック56mの台座対向面50mpsは台座2に接着されていないため、少なくとも第1電極56e及び第2電極57eの周辺部分は金属板60の撓み方に追随するように変形する。その結果、第2電極57eは第1電極56eに接触して、荷重検知センサ5がオンとなり、荷重が検知される。そして、信号ケーブル19に接続される図示せぬ車両用制御ユニットにより着座が検知される。
【0064】
以上の通り、本実施形態の荷重検知センサ5は、センサシート50と、そのセンサシート50のクッション側面50mcsにおいて第1電極56e及び第2電極57eと重なる部位に設けられる金属板60とを備えている。
【0065】
この金属板60が押圧された場合、金属板60が撓むとともに、その金属板の撓み方に追随するようにセンサシート50における第2絶縁シート57sのメインブロック57mが撓む。これにより第1電極56eと第2電極57eとが接触し、荷重検知センサ5がオンとなり、荷重が検知される。金属は樹脂と比べるとクリープが生じにくいため、樹脂製の第2絶縁シート57sに比べて金属板60には押し癖がつきづらい。従って、この荷重検知センサ5では、押し癖による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0066】
ところで、樹脂は、金属に比べて環境温度に応じて変形し易い傾向にあるが、本実施形態の荷重検知センサ5における第2絶縁シート57s(メインブロック57m,テールブロック57t)の厚さT1は、金属板60の厚さT2未満である。このため、第2絶縁シート57sの厚さT1が金属板60の厚さT2以上である場合に比べて、樹脂である第2絶縁シート57sの変形量を小さくすることができる。つまり、あたかも第2絶縁シート57sがなく金属板60のみである場合に近づくことになる。従って、荷重検知センサ5がオンとなった時点で荷重検知センサ5に加わっている荷重(オン荷重)が温度変化によりばらつくことを低減できる。この結果、温度変化による荷重の誤検知を抑制することもできる。
【0067】
ここで、荷重検知センサ5における第2絶縁シート57sの厚さT1が金属板60の厚さT2と同じである場合を比較例とし、第2絶縁シート57sの厚さT1が金属板60の厚さT2未満である場合を実施例1及び実施例2として、異なる気温環境下で荷重を与える実験を行った。
【0068】
図7に示すように、比較例の第2絶縁シート57sとしてはPETで成る厚さ100μmのシートを用い、実施例1及び実施例2の第2絶縁シート57sとしてはPETで成る厚さ50μmのシートを用いている。接着層70としては、比較例及び実施例それぞれ、PETで成る厚さ6μmの基材の両面に対してアクリル系樹脂で成る厚さ12μmの接着層を塗布した両面テープを用いている。スペーサ58としては、比較例及び実施例1では、PETで成る厚さ50μmの基材の両面に対してアクリル系樹脂で成る厚さ25μmの接着層を塗布した両面テープを用い、実施例2では、ポリエステル系ポリウレタンアクリレートで成る厚さ100μmの熱硬化接着テープを用いている。第1絶縁シート56sとしては、比較例及び実施例それぞれ、PETで成る厚さ100μmのシートを用いている。
【0069】
実験方法は、−40℃、25℃、85℃のそれぞれの気温環境下に比較例の荷重検知センサ5と実施例1の荷重検知センサ5と実施例2の荷重検知センサ5とを配置し、当該荷重検知センサを金属板側から押圧して一対の電極56e,57eが接触した時点で加わっている荷重(オン荷重)を測定した。なお、図7では、25℃の気温環境で測定されたオン荷重は1.0とし、−40℃の気温環境で測定されたオン荷重及び85℃の気温環境で測定されたオン荷重は、25℃の気温環境で測定されたオン荷重を1.0とした場合の比率で表わしている。これらの数値をグラフ化したものを図8に示す。
【0070】
図7及び図8に示すように、荷重検知センサ5における第2絶縁シート57sの厚さT1が金属板60の厚さT2未満である場合、当該第2絶縁シート57sの厚さT1が金属板60の厚さT2と同じである場合に比べて、オン荷重の温度変化によるばらつきが小さくなっている。すなわち、常温よりも高温又は低温になっても、当該常温環境下と同等に荷重を検知することができる。従って、温度変化による荷重の誤検知を抑制することができる。こうして、本実施形態の荷重検知センサ5によれば、荷重を適切に検知することができる。
【0071】
また本実施形態の荷重検知センサ5の場合、第2絶縁シート57sのメインブロック57mと金属板60とは接着層70により接着されている。このため、金属板60に対する押圧が解除され、非押圧時の位置にまで金属板60が戻るときに、当該位置にまで金属板60が第2絶縁シート57sのメインブロック57mを戻すことができる。従って、荷重検知センサ5では、当該荷重検知センサ5の周りの環境温度が変化する場合であっても第2絶縁シート57sのメインブロック57mに押し癖がつき難くなる。これに加えて、第2絶縁シート57sの厚さT1及び接着層70の厚さT3を合計した厚さは金属板60の厚さT2未満であるため、より一段と温度変化による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0072】
なお、低温環境下において、接着層70は硬化し弾性率が著しく高くなることが知られており、特に温度が接着層70のガラス転移点以下の場合に接着層70の弾性率の影響が無視できなくなる。接着層70の弾性率は温度により大きく変化するためセンサのオン荷重の安定のためには、接着層70の弾性率の影響は10%以下とすることが好ましい。例えば、低温環境下において、接着層70の弾性率が第2絶縁シート57sの弾性率の20%程度まで上昇する場合、接着層70の厚さT3は第2絶縁シート57sの厚さT1の0.8倍以下とすることが求められる。つまり、接着層70の厚さT3が第2絶縁シート57sの厚さT1の0.8倍以下である場合、オン荷重を安定させることができる。本実施形態のように接着層70が金属板60を介して押圧部46により押圧される場合、接着層70の厚さT3が第2絶縁シート57sの厚さT1の0.8倍以下とすることは、オン荷重を安定させる点で特に有効である。ただし、押圧部46により押圧されない場合であっても、接着層70の厚さT3が第2絶縁シート57sの厚さT1の0.8倍以下とすることで、低温環境下でのオン荷重は安定する。
【0073】
また、接着層70の厚さT3が10μm以上である場合、高温環境下において接着層70に過大な押圧力が加わり接着層70が側方に流動して一定厚さ以下となることでオン荷重が下がったり、接着性が損なわれ常時電極が接触してしまうことを抑制できる。
【0074】
さらに、第2絶縁シート57sの厚さT1が金属板60の厚さT2の10%〜75%の範囲内である場合、当該第2絶縁シート57sの耐久性を確保しながらも温度変化による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0075】
さらに、第2絶縁シート57sの厚さT1が第1絶縁シート56sの厚さT4未満である場合、荷重検知センサ5をより薄くしながらも温度変化による荷重の誤検知を抑制することができる。
【0076】
また本実施形態の荷重検知センサ5の場合、第1絶縁シート56s及び第2絶縁シート57sの間にスペーサ58が設けられている。このスペーサ58として図5に示すような両面テープを用いた場合、図9に示すように、その両面テープにおけるアクリル系樹脂の接着層の弾性率の増加に応じてオン荷重が増加する。しかし、接着層の弾性率が10MPa以上からオン荷重の増加率が小さくなり、当該接着層の弾性率が20MPa以上からオン荷重の増加率が概ね変化しなくなることが確認された。また、樹脂は一般的に低温では硬くなる傾向にある。このため、85℃の気温環境での第1接着層102及び第2接着層103の弾性率が10MPa以上であれば、当該85℃から低い気温環境になっても、スペーサ58の弾性率が10MPa以上となる。同様に、第1絶縁シート56s及び第2絶縁シート57sとの接着を兼ねる図2に示すようなスペーサ58が用いられる場合、85℃の気温環境でのスペーサ58の弾性率が10MPa以上であれば、当該85℃から低い気温環境になっても、スペーサ58の弾性率が10MPa以上となる。このようにスペーサ58において接着に関与する構成要素の弾性率が10MPa以上である場合、低温から高温にわたってスペーサ58の変形が小さく、厚さの変化も小さいので、当該変化による荷重の誤検知を抑制することができる。このことは、図7及び図8に示す実施例1と実施例2との実験結果からも確認することができる。
【0077】
ところで、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、荷重検知センサ5の金属板60は、シートクッションよりも硬質な押圧部46によって押圧される。このため、シートクッションSCによって直接金属板60が押圧される場合よりも金属板60を適切に撓ませることができ、着座を適切に検知することができる。
【0078】
また、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、台座2上に配置されるセンサシート50のメインブロック50mは、台座2に対向する台座対向面50mps全体が台座2に接着されていない。このため、メインブロック50mのうち台座対向面50mpsにおいて少なくとも第1電極56e及び第2電極57eと重なる領域の周辺部分が浮くように変形し易くなる。従って、少なくとも第1電極56e及び第2電極57eの周辺部分である周縁部位は金属板60の撓み方に追随するように変形し易くなり(図4)、この結果、着座を適切に検知することができる。
【0079】
このように本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、押圧時にはセンサシート50を金属板60に追随するように変形し易くする一方、非押圧時には金属板60によってセンサシート50を元に戻し易く変形させるようにしている。
【0080】
また、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、台座対向面50mpsの方向おけるメインブロック50m及び台座2との相対的な移動を規制するリブ49が設けられている。
【0081】
このため、台座2上に配置されているメインブロック50m全体が非接着であっても、台座2に対するメインブロック50mのずれが抑制され、当該台座2に対するメインブロック50mのずれることを抑制することができる。従って、押圧部46から押圧されても荷重検知センサ5がオンにならなくなるという不具合を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、リブ49がセンサシート50に形成される貫通孔50H及び台座2に形成される貫通孔20Hを挿通しているので、台座2に対するセンサシート50のずれを抑制し易くなる。
【0083】
また、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、リブ49が押圧部材4の一部とされる。
【0084】
このため、押圧部材4における押圧部46と第1電極56e及び第2電極57eの位置関係のずれが抑制され、当該押圧部46から押圧されても荷重検知センサ5がオンにならなくなるという不具合を抑制することができる。また、この押圧部材4の一部がリブ49とされることで、押圧部材4の他に別途移動規制部材を設けることなく、台座2上に配置されているメインブロック50m全体が非接着であっても、台座2に対するメインブロック50mのずれを抑制することができる。従って、本実施形態のように荷重検知センサユニット1Aが押圧部材4を有する場合には、当該荷重検知センサユニット1Aの構成を簡易にすることができる。
【0085】
また、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、押圧部材4は、押圧部46が金属板60に接触する面積よりも大きな面積とされシートクッションSCからの押圧を受ける頂壁45を有する。
【0086】
シートクッションSCに押圧される頂壁45の面積が金属板60に接触する押圧部46の面積よりも大きいため、当該頂壁45によってシートクッションSCからの押圧力を押圧部46に集中させることができ、より適切に金属板60を撓ませることができる。従ってこの押圧部材4によれば、センサシート50の第1電極56e及び第2電極57e等を保護するのみならず、より適切に着座を検知することができる。
【0087】
また、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、頂壁45の面積が押圧部46により押圧される第1電極56e及び第2電極57eの面積よりも大きく、当該押圧部46は、第1電極56e及び第2電極57eよりも小さな面積である。頂壁45が、第1電極56e及び第2電極57eよりも大きな面積であるため、第1電極56eや第2電極57eよりも大きな荷重を受けることができる。これに加えてシートクッションSCが第1電極56e及び第2電極57eの直上以外から頂壁45に力を伝えることができる。また、押圧部46が第1電極56e及び第2電極57eよりも小さな面積であることで、当該押圧部46に対して押圧部材4の頂壁45によって集中された押圧力を分散させずに第1電極56e及び第2電極57eに伝えることができる。従って、より適切に着座を検知することができる。
【0088】
また、本実施形態の荷重検知センサユニット1Aでは、押圧部46の先端が平面形状とされている。この押圧部46の先端が平面形状である場合、当該先端が凸状の曲面形状とされる場合に比べて、荷重検知センサ5が押圧部46から受ける押圧力が分散されため、荷重検知センサ5の接着層70が押圧部46の押圧によって側方に逃げ難くなる。従って、接着層70に押し癖がつき難くなり、この結果、接着層70に追随するようにして金属板60に押し癖がつくことも低減される。
【0089】
ここで、先端が平面形状である本実施形態の押圧部46によって荷重検知センサ5を押圧した場合の実験結果を図10に示す。また、本実施形態の押圧部46に代えて、図11に示すように、先端が凸状の曲面形状とされる押圧部146を採用し、当該押圧部146によって荷重検知センサ5を押圧した場合の実験結果を図12に示す。実験方法は、25℃の環境下において1秒だけ荷重検知センサ5に所定の印加荷重を与えた後に、再び荷重を荷重検知センサ5に与えて一対の電極56e,57eが接触した時点の荷重(オン荷重)を測定した。印加荷重は無荷重状態(0N)から10Nずつ増加させ、それぞれの印加荷重ごとにオン荷重を測定している。また、オン荷重の測定回数は3回とした。図10及び図12に示すように、先端が平面形状とされる押圧部46を適用した場合、先端が凸状の曲面形状とされる押圧部146を適用する場合に比べるとオン荷重のばらつきが小さくなっており、荷重検知センサ5の接着層70や金属板60に押し癖がつき難いことが理解できる。
【0090】
ところで、体重の重い男性(男性の体重の統計における低い方から95%の男性)が座った際の体重として、荷重検知センサユニット1Aに加わる荷重としては約20Nとなる。そして、約20Nの荷重が荷重検知センサユニット1Aに加わった際に、押圧部46から金属板60に過大な力が加わり、金属板60の押圧部46に押された部分が塑性変形を起こす場合があり、この場合にはオン荷重が低下し、荷重を適切に検知できなくなる。
【0091】
本実施形態の場合、押圧部46の先端における平面の面積が、3.0mm以上である。また、押圧部46の先端における平面の外形が略円形の形状とされ、その平面の直径D2としては、2.0mm以上である。この場合、金属板60の押圧部46に押された部分が塑性変形を起こすことをより抑制しつつも、押圧力が分散しすぎて、荷重検知センサ5がオンにならなくなるという不具合を防止することができる。
【0092】
さらに本実施形態場合、開口58cの面積に対する、押圧部46の先端における平面の面積は、0.8倍以下である。また、開口58cの直径D1に対する押圧部46の先端における平面の直径D2が、0.8倍以下である。この場合、押圧部46が大きすぎて押圧力が分散してしまうことを抑制でき、荷重検知センサ5がオンにならなくなるという不具合を抑制することができる。
【0093】
(2)変形例
以上、本発明の荷重検知センサユニットについて上記実施形態を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0094】
例えば、上記実施形態では、センサシート50の一部であるメインブロック50mのクッション側面50mcsに金属板60が貼り付けられた。しかしながら、センサシート50においてシートクッションSC側となる一方の面のうち、メインブロック50mとテールブロック50tの一部とを含む部位に金属板60が貼り付けられていても良く、当該一方の面全体に金属板60が貼り付けられていても良い。要するに、センサシート50においてシートクッションSC側となる一方の面のうち少なくとも第1電極56e及び第2電極57eと重なる部位に貼り付けられる金属板が採用可能である。
【0095】
また、上記実施形態では、第1電極56e及び第2電極57eを含みその第1電極56e及び第2電極57eよりも広いメインブロック50mが台座2上に配置された。しかしながら、メインブロック50mとテールブロック50tの一部とが台座2上に配置されても良く、センサシート50全体が台座2上に配置されていても良い。なお、台座は、上記実施形態では一対のSばね100の間にセンサシート50を配置するための台座2とされたが、当該台座2に限定されるものではない。少なくとも第1電極56e及び第2電極57e部分を配置可能である限り、例えばシートパンや車体の一部など種々の部材を台座とすることができる。
【0096】
また、上記実施形態では台座2上に配置されるメインブロック50mは、載置部21の載置面21Sに対向するメインブロック50mの台座対向面50mps全体が載置部21に接着されていなかった。しかし、台座対向面50mpsのうち第1電極56e及び第2電極57eと重なる領域ARが接着され、当該領域AR以外の台座対向面50mps全体が接着されていなくても良い。また、台座2上に配置されるメインブロック50m全体が台座2に接着されていても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、リブ49により、センサシート50と金属板60との面方向おける相対的な移動が規制された。しかし、リブ49は必須では無い。この場合、例えば、上記のようにメインブロック50mのうち、第1電極56e及び第2電極57eと重なる領域ARが接着されていると良い。
【0098】
また、上記実施形態では、押圧部材4の押圧部46と頂壁45とが一体に成形された。しかしながら、押圧部46が頂壁45と別体とされ、当該頂壁45などに取り付けられていても良い。
【0099】
また、上記実施形態では、押圧部46の先端は平面形状とされた。しかしながら、押圧部46の先端は、図10に示したような凸状の曲面形状とされても良い。押圧部46の先端が凸状の曲面形状とされた場合、その先端が平面形状とされる場合に比べて、押圧部46から荷重検知センサ5に与える押圧力を集中させることができる。従って、荷重検知センサ5における金属板60が厚くなる場合等、押圧部46から受ける押圧力が荷重検知センサ5に伝わり難い状態であっても適切に荷重を検知することができる。
【0100】
また、上記実施形態では、外圧が加わらない着座の検知時以外の状態で、押圧部46が金属板60と当接していた。しかしながら、外圧が加わらない着座の検知時以外の状態で、押圧部46が金属板60と離間していても良い。なお、押圧部46及び金属板60は、シートクッションSCとセンサシートの間に設けられたが、センサシート50のうちシートクッションSCとは逆側の面と金属板60とを貼り合わせ、当該金属板60のセンサシート50と逆側(シートクッションSCと逆側)に押圧部46を設けても良い。この場合、センサシート50とシートクッションSCとを固定可能であれば、台座2を設けなくても良い。
【0101】
また、上記実施形態では、外圧が加わらない着座の検知時以外の状態で、押圧部材4の頂壁45がシートクッションSCと離間していた。しかしながら、外圧が加わらない着座の検知時以外の状態で、押圧部材4の頂壁45がシートクッションSCと当接していても良い。
【0102】
また、上記実施形態では、スイッチSWを有し、互いに対向する第1絶縁シート56s及び第2絶縁シート57sと、これら絶縁シート56s,57sの間に配置され開口58cを有するスペーサ58と、第1絶縁シート56sのうち絶縁シート57sが対向する面に設けられる第1電極56eと、その第1電極56eと対をなし開口58cを介して距離を隔てて第1電極56eと対向する状態で第2絶縁シート57sに設けられる第2電極57eとによりセンサシート50が構成された。しかしながら、センサシート50の構成は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、センサシート50における第1電極56e又は第2電極57eが第1の櫛歯状電極片と、当該第1の櫛歯状電極片に対して隙間を隔てて歯合するように配設される第2の歯状電極片とにより構成されていてもよい。
また例えば、カーボン等の抵抗値の高い材料でなる第1電極及び第2電極を、スペーサ58の開口58cを介して互いに接触する状態で第1絶縁シート56s及び第2絶縁シート57sの対向面上にそれぞれ設けたセンサシートが用いられても良い。このセンサシートでは、押圧力が加わると一対の電極の抵抗値が下がる。このように変化する抵抗値が、所定の荷重を受けたときの抵抗値として設定される閾値を下回った場合に荷重を受けたことが検知される。
また例えば、スペーサ58の開口58cに配置される導電ゴムを介して第1電極56eと第2電極57eとが接触する状態で、それら電極56e,57eを第1絶縁シート56s及び第2絶縁シート57sの対向面上にそれぞれ設けたセンサシートが用いられても良い。このセンサシートでは、押圧力が加わると導電ゴムが変位して一対の電極56e,57e間の抵抗値が下がる。このように変化する抵抗値が、所定の荷重を受けたときの抵抗値として設定される閾値を下回った場合に荷重を受けたことが検知される。
また例えば、第1絶縁シート56sのうち第2絶縁シート57sに対向する面上に第1電極としての第1の櫛歯状電極片と、第2電極としての第2の歯状電極片とを設け、第2絶縁シート57sのうち第1絶縁シート56sに対向する面上に導電ゴムを設ける。加えて、導電ゴムと第1の櫛歯状電極片及び第2の歯状電極片とが開口58cを介して対向するよう第1絶縁シート56s及び第2絶縁シート57s間にスペーサ58を設けたセンサシートが用いられても良い。このセンサシートでは、押圧力が加わると第1の櫛歯状電極片及び第2の歯状電極片との接触面積が増大して出力抵抗値が下がるとともに、導電ゴムが変位して第1の櫛歯状電極片及び第2の歯状電極片間の抵抗値が下がる。このように変化する抵抗値が、所定の荷重を受けたときの抵抗値として設定される閾値を下回った場合に荷重を受けたことが検知される。なお、このセンサシートのスペーサ58は省略されていても良い。
また例えば、開口58cが省略された可撓性を有するシート状のスペーサを第1絶縁シート56s及び第2絶縁シート57sの間に配置し、そのスペーサを挟んで対向する第1電極56eと第2電極57eとを対応する絶縁シート56s,57sの面上に設けた静電容量式のセンサシートが用いられても良い。このセンサシートでは、押圧力が加わるとスペーサが撓むことで一対の電極56e,57e間の距離が小さくなり、当該電極56e,57e間に生じる静電容量が大きくなる。このように変化する静電容量が、所定の荷重を受けたときの静電容量として設定される閾値を上回った場合に荷重を受けたことが検知される。
【0103】
上記の荷重検知センサユニット1Aにおける各構成要素は、上記の実施形態や変形例に示された内容以外に、適宜、本願目的を逸脱しない範囲で組み合わせ、省略、変更、周知技術の付加などをすることができる。
【0104】
本発明の荷重検知装置は、荷重を検知すべき検知対象物に対する荷重の有無を検知する限り利用可能性を有する。上記実施形態に限らず他の形態が採用可能である。例えば、介護用ベッドのシートクッションの下方に荷重検知装置を配置する形態が挙げられる。このような形態であっても、荷重検知装置が荷重を検知でき、当該荷重検知装置の検知結果に基づいて、シートクッション上に人が存在しているかを示す情報を得ることができる。また、電子機器のスイッチとして用いられ、荷重の有無を検知してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1A・・・荷重検知センサユニット
2・・・台座
4・・・押圧部材
5・・・荷重検知センサ
46,146・・・押圧部
49・・・リブ
50・・・センサシート
56・・・第1電極シート
56e・・・第1電極
56s・・・第1絶縁シート
57・・・第2電極シート
57e・・・第2電極
57s・・・第2絶縁シート
58・・・スペーサ
60・・・金属板
70・・・接着層
SC・・・シートクッション
SW・・・スイッチ

図1
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