特許第6596184号(P6596184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596184放射線ディテクター及びX線像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596184
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】放射線ディテクター及びX線像形成システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/32 20060101AFI20191010BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20191010BHJP
【FI】
   H04N5/32
   H04N5/3745 500
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-513003(P2019-513003)
(86)(22)【出願日】2017年9月5日
(65)【公表番号】特表2019-528864(P2019-528864A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2017072138
(87)【国際公開番号】WO2018046454
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2019年3月7日
(31)【優先権主張番号】16187823.6
(32)【優先日】2016年9月8日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】プロクサ ローランド
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/184714(WO,A1)
【文献】 特表2012−521555(JP,A)
【文献】 特開2002−33664(JP,A)
【文献】 特開2015−65532(JP,A)
【文献】 特開2010−182738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンチレーターと、前記シンチレーターに光学的に結合された光センサーと、電荷積分器及び比較器を備える電流−周波数コンバーターを備える電子モジュールとを備える、放射線ディテクターであって、前記電流−周波数コンバーターは、測定サイクル中に前記光センサーにより生成された電荷を積分して、電荷と相関した周波数をもつパルス状信号に変換し、
前記電子モジュールは、前記電流−周波数コンバーターにバイアス電流を供給するため、及び、前記パルス状信号の周波数オフセットを生成するための電流源を備え、
前記電子モジュールは、前記電荷積分器による電荷の積分を中断するための中断デバイスを備え、
前記電子モジュールは、前記パルス状信号の周波数を決定するための論理モジュールをさらに備え、
前記論理モジュールは、放射源のオフ状態を決定し、前記放射源の前記オフ状態を決定すると前記中断デバイスを始動させる、
放射線ディテクター。
【請求項2】
前記論理モジュールは、前記オフ状態を決定した後、前記パルス状信号のさらなるパルスを検出すると、前記中断デバイスを始動させる、
請求項1に記載の放射線ディテクター。
【請求項3】
前記論理モジュールは、前記放射源の前記オフ状態及び/又はオン状態を表す制御信号を受信することにより、前記放射源の前記オフ状態を決定する、
請求項1又は2に記載の放射線ディテクター。
【請求項4】
前記中断デバイスが電子スイッチを備え、
前記論理モジュールは、前記電子スイッチを作動させることにより前記中断デバイスを始動させる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の放射線ディテクター。
【請求項5】
前記電子スイッチは、前記電流源と前記電流−周波数コンバーターとを相互接続する供給線に接続され、
前記電子スイッチが、グランド電位に前記供給線を接続する、
請求項4に記載の放射線ディテクター。
【請求項6】
前記電流−周波数コンバーターの前記電荷積分器は積分コンデンサを備え、
前記中断デバイスの前記電子スイッチは、前記電荷積分器の前記積分コンデンサを短絡する、
請求項4に記載の放射線ディテクター。
【請求項7】
X線を発するための放射源と、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の放射線ディテクターとを備える、
X線像形成システム。
【請求項8】
前記放射源は、グリッド制御X線管である、
請求項7に記載のX線像形成システム。
【請求項9】
スイッチング信号により前記放射源をオン状態とオフ状態とに交互にスイッチングする制御装置をさらに備え、
前記放射線ディテクターの前記論理モジュールは、前記制御装置の前記スイッチング信号に基づいて、前記放射源の前記オフ状態を決定する、
請求項7又は8に記載のX線像形成システム。
【請求項10】
放射線ディテクターと放射源とを含むX線像形成システムの作動方法であって、前記方法は、
シンチレーターに光学的に結合された光センサーを備える前記放射線ディテクターを照射することにより、前記X線像形成システムの測定サイクル中、電荷を生成するステップと、
電荷積分器を含む電流−周波数コンバーターが、電荷を積分し、前記測定サイクル中に生成された電荷を表す周波数をもつパルス状信号に変換するステップと、
電流源が、バイアス電流を前記電流−周波数コンバーターに供給するステップと、
前記放射線ディテクターの論理モジュールが、前記放射源のオフ状態を決定するステップと、
前記オフ状態を決定した後、前記電荷積分器が電荷の積分を中断するステップと、
を有する、方法。
【請求項11】
前記オフ状態を決定した後、前記パルス状信号のさらなるパルスを検出するステップをさらに有し、
前記さらなるパルスが検出された後、前記電荷の積分が中断される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電荷の積分を中断するステップは、前記電流−周波数コンバーターの前記電荷積分器をリセットするステップを有する、
請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記電荷の積分を中断するステップは、前記電荷積分器の積分コンデンサを短絡するステップを有し、及び/又は、
前記電荷の積分を中断するステップは、供給線を介して前記バイアス電流が前記電流−周波数コンバーターに供給される当該供給線を、グランド電位に接続するステップを有する、
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
X線像形成システムの制御装置において実行されたとき、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように制御装置に命令する、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムが記憶された、コンピュータ可読媒体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、放射線ディテクターの分野に関する。より具体的には、本発明は、X線像形成システムのための放射線ディテクター、X線像形成システム、X線像形成システムを動作させる方法、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放射線ディテクターは、例えばコンピュータ断層撮影用途において使用され、通常、フォトダイオードに結合されて、X線フラックスを光学的な光に変換した後、電流、すなわち単位時間当たりの電荷に変換するシンチレーターを備える。フォトダイオードからの電流は、通常、電流−周波数コンバーター及びデジタルカウンターにより変換及びデジタル化される。
【0003】
電子機器を低X線フラックスのための適切な動作点に維持するために、通常、フォトダイオードからの電流に並列なバイアス電流が電流−周波数コンバーターに供給され、このバイアス電流が、電流−周波数コンバーターに供給される電流のオフセットを生成する。
【0004】
このような放射線ディテクターは、通常、例えばバイアス電流の1/fノイズなどの多くのノイズ源の影響を受ける。低X線フラックスにおいて、このノイズは、さらに顕著に目立つようになり、超低線量像形成に対する限界を設定する。
【0005】
米国特許出願公開第2012/0097856(A1)号は、上述のような電流−周波数コンバーターが使用される、シンチレーターアレイに光学的に結合された光センサーアレイを含む像形成ディテクターを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ノイズ特性を改善した放射線ディテクター及びX線像形成システムの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項の主題により解決される。さらなる実施形態が、従属請求項及び以下の説明に組み込まれる。
【0008】
本発明の後述の第1の態様が、X線像形成システム、X線像形成システムを動作させる方法、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読媒体に等しく適用されることが留意されなければならない。
【0009】
本発明の第1の態様は、放射線ディテクターに関し、特に、X線ディテクターに関する。放射線ディテクターは、シンチレーターと、シンチレーターに光学的に結合された光センサーと、電子モジュールとを備える。電子モジュールは、電荷積分器と比較器とを備える電流−周波数コンバーターを備える。電流−周波数コンバーターは、測定サイクル中に光センサーにより生成及び/又は出力された電荷を積分し、電荷と相関した周波数をもつパルス状信号に変換するように構成される。従って、パルスは、単位時間当たりの電荷と相関した、すなわち光センサーにより生成された電流と相関した周波数をもつ。その中で、電子モジュールは、電流−周波数コンバーターにバイアス電流を供給するため、及び、パルス状信号の周波数オフセットを生成するための電流源を備える。電子モジュールは、電荷積分器による電荷の積分を中断するための中断デバイスを備える。電子モジュールは、パルス状信号の周波数を決定するための論理モジュールをさらに備え、論理モジュールは、放射源のオフ状態を決定し、放射源のオフ状態を決定すると中断デバイスを始動させるように構成される。
【0010】
本発明の第1の態様を言い換えると、放射線ディテクターは、X線光子などの放射粒子のフラックスを可視光に変換するためのシンチレーターを備える。この可視光は、次に、光センサーにより電荷に変換され、光センサーは、シンチレーターにより出力された可視光を電荷に変換するためのフォトダイオードを備える。測定サイクル中に光センサーにより生成及び/又は出力された電荷は、次に、既定の電荷閾値に到達するまで、段階的に、すなわち決定の量及び/又は部分の電荷ごとに、電荷積分器により積分され、既定の閾値に到達すると、比較器によりパルス状信号の単一パルスが生成される。従って、光センサーにより生成された電荷は、測定サイクル中、連続的に、積分されて、測定サイクル中に生成された電荷を表す周波数をもつデジタルパルス状信号に変換される。電子モジュールのコンポーネントを実行可能な、及び/又は適切な動作点に保つために、バイアス電流が電流−周波数コンバーターに供給される結果、一定の電流、すなわち単位時間当たりの電荷が電荷積分器に供給され、結果的に、パルス状信号の一定の周波数オフセットをもたらす。この周波数オフセットは、放射線ディテクターの照射中に光センサーにより生成された電荷によりもたらされる信号と重ね合わされることによりパルス状信号を生成する。電流−周波数コンバーターにより出力されたパルス状信号の周波数は、最後に、論理モジュールにより決定される。この電流から周波数への変換は、基本的に、パルス状信号の周波数を決定することにより、何桁もの大きさのダイナミックレンジにわたって高精度にX線フラックスを決定することを可能にする。
【0011】
中断デバイスにより、電荷積分器の電荷積分及び/又は電荷積分器の電荷積分機能は、中断、抑制、抑止、及び/又は停止され得る。放射線ディテクターの論理モジュールは、放射線及び/又は実際の像形成工程に関連した放射線が放射線ディテクターに当たらない放射源のオフ状態を決定するように構成される。放射源のオフ状態を決定したことに応答して、及び/又は、放射源のオフ状態を決定した後、電荷積分器による電荷積分が中断、抑制、抑止、及び/又は停止されるように、論理モジュールが中断デバイスを始動させる。
【0012】
このアプローチは、X線フラックス変調用途に特に有益である。これらの用途では、X線源はパルスモードで動作させられ、X線源がオンとオフとに交互に完全にスイッチングされるか、又はX線源が非一定の管電流を使用して動作させられ、放射線ディテクターが、投影データの獲得のために使用される、つまりは像再現のために使用される決定の時間インターバル中にのみX線光子の関連フラックスにより照射される。
【0013】
従って、放射源のオフ状態を決定すること、及び、電荷積分器の電荷積分を中断することにより、例えばフラックス変調用途において、放射線ディテクターが照射されない、及び/又は、像再現に関連したX線フラックスにより照射されない期間中、バイアス電流がパルス状信号に寄与しないこと、すなわち、バイアス電流が電流−周波数コンバーターによりデジタル化されないことが確実にされる。従って、放射源のオフ状態中、1/fノイズなどのバイアス電流のノイズが抑制される。言い換えると、オフ状態を決定し、オフ状態を決定すると電荷積分を中断することにより、電荷が光センサーにより生成されなければならない期間である測定サイクル中、及び/又は、電荷が電荷積分器により積分されなければならない期間である積分期間中、バイアス電流のみがノイズに寄与することが確実にされる。
【0014】
放射源の「オフ状態」という用語は、放射粒子がディテクターに当たらない、及び/又は、投影データの獲得に関連した放射粒子のフラックスがディテクターに当たらない期間及び/又は時間インターバルを表す。X線フラックス変調用途について述べると、「オフ状態」は、像再現及び/又は投影データの獲得のために使用されないX線フラックスが生成されるように、X線源が完全にオフにスイッチングされる、及び/又は小さな管電流しかX線管に供給されない状態を表す。
【0015】
従って、「測定サイクル」という用語は、像再現のための投影データを獲得するために、放射粒子のフラックス、例えばX線フラックスにより生成されたパルス状信号が放射線ディテクターにより検出される期間及び/又は時間インターバルを表す。測定サイクルは、放射粒子がディテクターに当たる、及び/又は、投影データの獲得に関連した放射線フラックスがディテクターに当たる放射源のオン状態と少なくとも同じ長さである。しかし、測定サイクルは、また、オン状態より長い。測定サイクルは、また、光センサーからの電荷及び/又はバイアス電流が電荷積分器により積分される積分期間を表す。
【0016】
概して、「中断デバイス」は、電荷積分器の電荷積分を中断、抑止、及び/又は抑制するための中断モジュール、中断ユニット、及び/又は中断器を表す。例示として、これは、電荷積分器を短絡することを介して、及び/又は、電荷積分器をグランド電位に接続することを介して達成される。例えば、電荷積分器の積分コンデンサが短絡される。さらに、電荷−周波数コンバーターに対するバイアス電流の供給は、中断デバイスにより抑制及び/又は中断される。従って、中断デバイスは、電荷積分器によるバイアス電流の積分が抑制されるように、バイアス電流を流出させる、及び/又は除去するように構成される。
【0017】
「論理モジュール」は、特に、デジタル信号、サンプルデータ、出力デジタル信号、及び/又は出力データを処理するように構成される。論理モジュールは、例えば、ディスクリート型論理モジュール、ディスクリート型論理ユニット、処理ユニット、及び/又はプロセッサを表す。
【0018】
一実施形態によると、論理モジュールは、放射源のオフ状態を決定した後、パルス状信号のさらなるパルスを検出すると、中断デバイスを始動させるように構成される。従って、論理モジュールは、さらなるパルスを検出したことに応答して、及び/又は、さらなるパルスを検出した後、中断デバイスを始動させるように構成される。言い換えると、論理モジュールは、2つの状態が満たされたとき、中断デバイスを始動させるように構成され、第1の条件は、放射源のオフ状態が決定されることであり、第2の条件は、オフ状態を決定した後、パルス状信号のさらなるパルスが検出されることである。しかし、両方の状態が、また、同時に満たされることもある。さらなるパルスは、例えば、放射源がオフ状態にスイッチングされた後、バイアス電流により生成される。さらなるパルスを待つこと、及び、さらなるパルスの検出後に中断デバイスを始動させることにより、電荷積分器がほとんど電荷を蓄えなくなるように、従って、後続の測定サイクルのために準備されるように、電荷積分器の電荷がさらなるパルスに変換された直後にのみ中断デバイスが始動されることが確実にされる。従って、電荷積分器がリセットされ、その結果、電荷積分器に残っていれば後続の測定サイクルのパルス状信号に寄与するおそれのある電荷が、電荷積分器にほとんど残らない。これは、投影データの獲得の全体的な精度を向上させ、及び/又は改善する。
【0019】
一実施形態によると、論理モジュールは、放射源のオフ状態を表す、及び/又はオン状態を表す制御信号を受信することにより、放射源のオフ状態を決定するように構成される。例示として、制御信号は、例えば、X線像形成システムの制御装置から直接受信され、制御装置は、放射源をオン及び/又はオフに、すなわちオン状態及び/又はオフ状態にスイッチングするように構成される。さらに、制御信号は、放射源をオフ状態及び/又はオン状態にスイッチングするための、制御装置のスイッチング信号と相関する。これは、オフ状態が論理モジュールにより時間遅延なく信頼可能に決定されることを確実にする。
【0020】
一実施形態によると、中断デバイスが電子スイッチを備え、論理モジュールは、電子スイッチを作動させることにより中断デバイスを始動させるように構成される。電子スイッチは、特に、半導体ベースのスイッチ、例えば、例として、トランジスタ、サイリスタ、電界効果トランジスタ、金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ、相補型金属−酸化物−半導体などである。電子スイッチは、従って、スイッチのゲート端子に電気信号を提供することにより作動するようにされる。概して、電子スイッチを使用することは、小型かつ信頼可能な回路を使用して、ある程度高速なスイッチング、つまりは、中断デバイスのある程度高速な始動を可能にする。
【0021】
一実施形態によると、電子スイッチが、電流源と電流−周波数コンバーターとを相互接続する供給線に接続され、電子スイッチが、グランド電位に供給線を接続するように構成される。このように、中断デバイスが始動されたとき、バイアス電流が除去され、及び/又は流出させられ、それにより、電荷積分器の電荷積分を信頼可能に中断する。
【0022】
一実施形態によると、電流−周波数コンバーターの電荷積分器が積分コンデンサを備え、中断デバイスの電子スイッチは、電荷積分器の積分コンデンサを短絡するように構成される。スイッチは、積分コンデンサと並列に構成され、スイッチの作動時にバイアス電流のためのバイパス経路を提供する。これは、積分コンデンサから任意の電荷が除去され、及び/又は流出させられることにより、積分コンデンサ及び/又は電荷積分器をリセットすることを確実にする。
【0023】
本発明の第2の態様は、ここまでに説明されるように、及び以下で説明されるように、X線を発するための放射源と、放射線ディテクターとを備えるX線像形成システムに関する。従って、放射線ディテクターは、X線ディテクターを表し、放射源は、X線管などのX線源を表す。特に、X線像形成システムは、コンピュータ断層撮影(CT:computed tomography)像形成システムを表す。
【0024】
一実施形態によると、放射源は、グリッド制御X線管である。X線管は、X線管のアノードとカソードとの間に配置されたグリッドを備える。X線管内で、アノードからカソードまでの電子フラックスは、アノードにおけるX線光子の生成を抑止するために、グリッドに供給される負の制御電位を使用してオフにスイッチングされる。従って、X線像形成システムは、例えば、X線管グリッドスイッチングなどの、高速X線フラックス変調性能をもつCT像形成システムを表す。その中で、スイッチング時間は、1μ秒未満であり、フラックス変調は、CTのためのまばらな角度サンプリングを行うために使用される。加えて、パルス幅変調が、積分期間及び/又は測定サイクル内の限られた時間インターバルのみにわたって放射線ディテクターを照射するために使用される。
【0025】
一実施形態によると、X線像形成システムは、スイッチング信号により放射源をオン状態とオフ状態とに交互にスイッチングするように構成された制御装置をさらに備え、放射線ディテクターの論理モジュールは、制御装置のスイッチング信号に基づいて、放射源のオフ状態を決定するように構成される。例示として、オン状態において、X線管のグリッドに電位が与えられない、及び/又は、X線管のグリッドに正電位が印加されるのに対し、オフ状態において、X線光子の生成を抑止するために負電位がグリッドに与えられる。論理モジュールが制御信号に基づいて放射源のオフ状態を決定し得、その制御信号がスイッチング信号と相関することにより、オフ状態を信頼可能に決定することを可能にする。さらに、スイッチング信号は、オフ状態を決定するために論理モジュールに制御信号として直接提供される。
【0026】
本発明の第3の態様は、放射線ディテクターと放射源とを含むX線像形成システムの作動方法に関する。本方法は、
− シンチレーターに光学的に結合された光センサーを備える放射線ディテクターを照射することにより、X線像形成システムの測定サイクル中、電荷を生成するステップと、
− 電荷積分器を含む電流−周波数コンバーターが、電荷を積分し、測定サイクル中に生成された電荷を表す周波数をもつパルス状信号に変換するステップと、
− 電流源が、バイアス電流を電流−周波数コンバーターに供給するステップと、
− 放射線ディテクターの論理モジュールが、放射源のオフ状態を決定するステップと、
− オフ状態を決定した後、電荷積分器による電荷の積分を中断するステップと、
を有する。
【0027】
ここで、測定サイクル中に生成された電荷は、パルス状信号を生成するために、決定の一部及び/又は電荷量において段階的に積分される。言い換えると、光センサーにより生成された電荷は、パルス状信号へと連続的に積分されてデジタル化される。
【0028】
ここまでに説明されるような、及び以下で説明されるような放射線ディテクターの特徴及び/又は要素は、X線像形成システム及び/又は方法の特徴及び/又は要素であることが留意されなければならない。逆も同様であり、ここまでに説明されるような、及び以下で説明されるようなX線像形成システム及び/又は方法の特徴は、放射線ディテクターの特徴及び/又は要素である。
【0029】
一実施形態によると、本方法は、オフ状態を決定した後、パルス状信号のさらなるパルスを検出するステップをさらに有し、さらなるパルスが検出された後、電荷積分器による電荷の積分が中断される。
【0030】
一実施形態によると、電荷の積分を中断するステップは、電流−周波数コンバーターの電荷積分器をリセットするステップを有する。
【0031】
一実施形態によると、電荷の積分を中断するステップは、電荷積分器の積分コンデンサを短絡するステップを有する。
【0032】
代替的に、又は追加的に、電荷の積分を中断するステップは、供給線であって、本供給線を介してバイアス電流が電流−周波数コンバーターに供給されるその供給線を、グランド電位に接続するステップを有する。
【0033】
本発明の第4の態様は、コンピュータプログラム要素に関し、本コンピュータプログラム要素は、X線像形成システムの制御装置において実行されたとき、ここまでに説明されるように、及び以下で説明されるように、方法のステップを実行するように制御装置に命令する。
【0034】
本発明の第5の態様は、コンピュータ可読媒体に関し、コンピュータ可読媒体上のコンピュータプログラム要素が、X線像形成システムの制御装置において実行されたとき、ここまでに説明されるように、及び以下で説明されるように、方法のステップを実行するように制御装置に命令する。
【0035】
コンピュータ可読媒体は、フロッピーディスク、ハードディスク、USB(ユニバーサルシリアルバス)記憶デバイス、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)、及びEPROM(消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ)である。コンピュータ可読媒体は、また、プログラムコードをダウンロードすることを可能にする、インターネットなどのデータ通信ネットワークである。
【0036】
本発明のこれらの態様及び他の態様が、以下で説明される実施形態から明らかとなり、以下で説明される実施形態を参照しながら説明される。
【0037】
本発明の主題は、添付の図面に示される例示的な実施形態を参照しながら、以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】放射線ディテクターを概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態による、放射線ディテクターを概略的に示す図である。
図3図2に示す放射線ディテクターの動作を示すタイミング図を概略的に示す図である。
図4】本発明の実施形態による、X線像形成システムを概略的に示す図である。
図5】本発明の実施形態による、X線像形成システムを動作させる方法のステップを示すフロー図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
原則として、複数の図面を通して、同一の部分に同じ参照符号が付されている。
【0040】
図1は、従来の放射線ディテクター100を概略的に示す。放射線ディテクター100は、特に、X線光子を検出するためのX線放射線ディテクター100である。
【0041】
放射線ディテクター100は、シンチレーター102と、フォトダイオード106を備えて、シンチレーター102に光学的に結合された光センサー104とを備える。シンチレーター102に当たったX線光子101は、視認可能な、及び/又は光学的な光に変換された後、視認可能な及び/又は光学的な光が、フォトダイオード106により電荷及び/又は電流Iに変換される。
【0042】
放射線ディテクター100は、電流−周波数コンバーター110を含む電子モジュール108をさらに備える。電流−周波数コンバーター110は、増幅器114と積分コンデンサ116とを含む電荷積分器112を備える。増幅器114及びコンデンサ116は、コンバーター110の前段増幅器とみなされる。電流−周波数コンバーター110は、増幅器114の出力に接続されて、増幅器114の出力における電圧を閾値と比較するように構成された比較器118をさらに備える。電流−周波数コンバーター110は、概して、コンバーター110に供給される単位時間当たりの電荷、すなわち電流を、単位時間当たりの電荷及び/又は電流を表す、並びに/或いは、単位時間当たりの電荷及び/又は電流と相関した周波数をもつデジタルパルス状信号に変換するように構成される。
【0043】
電子モジュール108は、供給線122を介して電流−周波数コンバーター110にバイアス電流を供給するための電流源120をさらに備える。
【0044】
さらに、電子モジュール108は、電流−周波数コンバーター110からデジタルパルス状信号を受信するための第1の入力125を含む論理モジュール124を備える。
【0045】
電子モジュール108は、測定サイクル中及び/又は積分期間中、電流−周波数コンバーター110の電荷積分器112をリセットするためのリセットスイッチ126をさらに備える。リセットスイッチ126は、基準電圧Vrefにより充電されるコンデンサ128と、論理モジュール124の制御出力127に接続されたスイッチ要素130とを備える。
【0046】
電子モジュール108の機能が以下で説明される。電荷積分器112、すなわち増幅器114及び積分コンデンサ116は、光センサー104及び/又はフォトダイオード106により生成された負の電流I及び/又は電荷を積分し、積分コンデンサ116は、正電圧をもち、従って、電流I及び/又は対応する電荷により下げられる。積分器112及び/又は積分コンデンサ116の電圧がゼロに達した場合、デジタルパルスが比較器118により生成される。このパルスは、第1の入力125を介して論理モジュール124に送信され、続いて、論理モジュール124が、電気信号により、リセットスイッチ126を始動させてスイッチ要素130を作動させる。スイッチ要素130が作動させられたとき、コンデンサ128の正基準電荷パッケージを使用して電荷積分器112及び/又は積分コンデンサ116が充電され、コンデンサ128自体は、基準電圧Vrefにより充電される。バイアス電流が供給されない場合、これらの事象の数が論理モジュール124によりカウントされ、光センサー104及び/又はフォトダイオード106からの、それぞれ、獲得インターバル、測定サイクル、及び/又は積分期間における総電荷を表す。
【0047】
さらに、最初のパルス又は事象と最後のパルス又は事象との間の期間は、例えば論理モジュール124のクロック入力129を介して論理モジュール124にクロック信号132を提供することにより測定される。
【0048】
電子モジュール108の電子コンポーネントを低フラックスのX線光子に対して実行可能な、及び/又は適切な動作点に維持するために、バイアス電流が電流源120により供給される。バイアス電流は、光センサー104の電流Iに並列な供給線122を介して供給される。図1に示される放射線ディテクター100は、例えばバイアス電流の1/fノイズのような多くのノイズ源の影響を受ける。低X線フラックスにおいて、このノイズが実効性をもつようになり、超低線量像形成に対する限界を設定する。
【0049】
図2は、本発明の実施形態による、放射線ディテクター100を概略的に示す。別段の記載がない場合、図2に示す放射線ディテクター100は、図1に示す放射線ディテクター100と同じ機能、特徴、及び/又は要素を備える。
【0050】
放射線ディテクター100の電子モジュール108は、電荷積分器112による電荷の積分を中断するための、及び/又は、電荷積分器112の電荷積分機能を中断するための中断デバイス134を備える。この目的において、中断デバイス134は、電荷積分器112の積分コンデンサ116と並列に配置及び/又は接続された電子スイッチ136を備える。
【0051】
電子スイッチ136は、論理モジュール124による作動信号を介して作動可能な、例えば任意の適切な半導体ベースのスイッチである。この目的において、論理モジュール124は、作動信号を出力するための、及び、線135を介して電子スイッチ136に、例えば電子スイッチ136のゲート端子に作動信号を送信するための出力131を備える。スイッチ136の作動により、すなわち、スイッチ136を閉じることにより、バイアス電流のためのバイパス経路が提供され、積分コンデンサ116が短絡され、及び、任意の電荷が積分コンデンサから除去され、及び/又は流出させられ、結果として、電荷積分器112及び/又は積分コンデンサ116をリセットする。
【0052】
論理モジュール124は、放射源のオフ状態を表す、及び/又は放射源のオフ状態と相関した(図4参照)制御信号を受信するための、第2の入力133及び/又はフラックス入力133をさらに備える。例えば、制御信号は、放射源をオン状態とオフ状態とにスイッチングするように構成された(図4に示される制御装置410を表す)制御装置204により提供される。
【0053】
論理モジュール124は、制御信号を受信した後、制御信号を受信すると、及び/又は、制御信号を受信したことに応答して、つまりは放射源のオフ状態を決定すると、電子スイッチ136に作動信号を提供することにより中断デバイス134を始動させるように構成される。
【0054】
さらに、論理モジュール124は、オフ状態を決定した後、パルス状信号のさらなるパルスを検出すると、中断デバイスを始動させるように構成される。従って、このさらなるパルスは、バイアス電流によりもたらされ、これが、バイアス電流によりもたらされる周波数オフセットを総合的に、及び信頼可能に決定することを可能にし、並びに/又は、これが、測定サイクル中及び/若しくは積分期間中、バイアス電流の寄与のみによりもたらされるすべてのパルスを減算することを可能にする。従って、これは、測定サイクル中及び/又は積分期間中に光センサー104により生成された電荷のみによりもたらされる測定サイクル及び/又は積分期間当たりのパルス数を決定することを可能にする。
【0055】
本例において、追加的に、又は代替的に、電子スイッチ136が、供給線122に接続されること、及び、電荷積分が、グランド電位に供給線122を接続することにより中断デバイス134により中断されることに注意されたい。
【0056】
図2に示す放射線ディテクター100の機能及び/又は動作が、以下で簡潔に要約される。放射線ディテクター100は、X線フラックスオンインジケーター信号とみなされる制御信号を使用して、電荷積分器112の電荷積分及びその電荷のパルス状信号への変換を、X線光子のフラックスをともなう時間インターバルに、並びに/又は、測定サイクルに、及び/若しくは積分期間に制限する。その結果、このインターバルの外側における電子ノイズは、獲得ノイズに寄与しない。
【0057】
積分期間及び/又は測定サイクル中、すなわち、例えば、制御信号が放射源のオン状態を示すと、電子モジュール108のコンポーネントが、図1に示す従来の放射線ディテクター100に類似した働きをする。放射源がオフ状態にスイッチングされた場合、すなわち、フラックス期間が終了した場合、放射線ディテクター100のデジタル制御部とみなされる論理モジュール124が、次のカウントイベントが発生するまで、すなわち、パルス状信号のさらなるパルスが検出されるまで待つ。これは、バイアス電流を理由として、光センサー104からの電流及び/又は電荷が一切なくても発生する。この時点において、電荷積分器112が中断及び/又は停止され、並びに、任意の電荷が積分コンデンサ116から除去される、及び/又は流出させられる。従って、積分器112が0ボルトに維持される。電子スイッチ136は、すべての電流、すなわちバイアス電流、及びすべてのノイズ電流をショートカットし、短絡し、除去し、及び/又は流出させる。次のフラックス期間、測定サイクル、及び/又は積分期間が始まったとき、電子スイッチ136が再度作動させられ、ショートカットが開放され、電荷積分器112が基準電荷パッケージを使用して充電され、積分器112が電荷積分を再開することをもたらす。
【0058】
事象及び/又はパルスカウントに加えて、フラックスの開始からの時間、測定サイクル内における最後のカウント及び/又はパルスが、論理モジュール124により測定され得る。この時間は、測定の正確さ及び精度を高めるために、論理モジュール124により決定されたカウントイベント及び/又はパルスから減算されなければならないバイアス電流により誘発されたカウント及び/又はパルスを厳密に計算するために使用され得る。
【0059】
図3は、図2における放射線ディテクター100の動作を示すタイミング図を概略的に示す。その中、曲線300は、時間の関数として、放射源のオン状態とオフ状態とを示す制御信号を示す。曲線302は、時間の関数として、電荷積分器112及び/又は積分コンデンサ116により蓄えられた電荷を示す。曲線304は、時間の関数として、リセットスイッチ126、及び/又は、リセットスイッチ126のスイッチング要素130の作動を示す。曲線306は、時間の関数として、中断デバイス134の電子スイッチ136作動を示す。
【0060】
放射線ディテクター100の動作は次のとおりである。時点tにおいて、測定サイクル及び/又は積分期間が始まり、曲線300に示される制御信号により示されるように、放射源がオン状態にスイッチングされる。電荷積分器112は、曲線302に示されるように正電荷パッケージを供給され、この供給は、曲線304に示されるようにリセットスイッチ126の作動によりもたらされる。さらに、電子スイッチ136が開くことにより、電荷積分器112の規則的な動作を可能にする。
【0061】
バイアス電流及び光センサーからの電流Iが電荷積分器112に供給されて、積分コンデンサ116の電荷が減ることにより、曲線302に示されるように電荷積分器112の電荷の減少をもたらす。積分コンデンサ116の電荷がゼロに達すると、比較器118が始動させられ、パルスが論理モジュール124に送信され、さらに、パルスがリセットスイッチ126を始動させ、基準電荷パッケージを使用した積分コンデンサ116の再充電を誘起する。これが、曲線302に描かれた積分器112の鋸歯形信号をもたらす。
【0062】
時点tにおいて、放射源が曲線300に示される制御信号により示されるようにオフ状態にスイッチングされる。従って、オフ状態が論理モジュール124により決定される。放射源がオフにスイッチングされるので、バイアス電流のみが電荷積分器112に供給され、結果として、最後の積分器パルスの傾きが変化する。論理モジュール124は、この時点で、電流−周波数コンバーターにより時点tにおいてさらなるパルスが生成されるまで待つ。両方の状態が満たされたとき、すなわち、オフ状態が決定されて、かつ、さらなるパルスが検出されたとき、曲線306に示されるように、論理モジュール124が電子スイッチ136を作動させることにより、中断デバイス134を始動させる。積分器112からのすべての電荷が除去され、及び/又は流出させられたとき、積分器112が0ボルトに維持される。
【0063】
からtまでの時間インターバルは、放射源のオン状態を表し、tからtまでの時間インターバルは、積分器112により電荷積分が実施される測定サイクル及び/又は積分期間を表す。
【0064】
中断デバイス134は、次に、始動された状態に留まり、及び/又は、時点tにおいて制御信号により始動される次の測定サイクルが始まるまで、スイッチ136が閉状態に留まる。
【0065】
図4は、本発明の実施形態によるX線像形成システム400を概略的に示す。図4に示されるX線像形成システム400は、CT像形成システム400である。
【0066】
X線像形成システム400は、放射線ディテクター406に向けてX線のビームを投影するX線放射源404を含む回転可能ガントリー402を備える。
【0067】
別段の記載がない場合、図4に示す放射線ディテクター100は、前述の図1から図3において説明される放射線ディテクター100と同じ特徴、機能、及び要素を備える。
【0068】
放射源404及びディテクター100は、ガントリー402の反対側に配置される。ディテクター100により、患者408を通る投影されたX線が検知及び/又は検出され、患者408が可動テーブル409上に配置される。
【0069】
X線像形成システム400は、特に、ガントリー402の回転とX線源404の動作とを管理する制御装置410をさらに備える。制御装置410は、例えば、制御ユニット、制御構成、及び/又はコンピュータを表す。
【0070】
特に、放射源404は、アノード、カソード、及び間に配置されたグリッドを備えるグリッド制御X線管404である。その中で、アノードからカソードまでの電子フラックスは、アノードにおけるX線光子の生成を抑止するために、グリッドに供給される負の制御電位を使用してオフにスイッチングされる。従って、X線像形成システム400は、例えば、X線管グリッドスイッチングなどの高速X線フラックス変調性能をもつCT像形成システムを表す。その中で、スイッチング時間は、1μ秒未満であり、フラックス変調は、CTのためのまばらな角度サンプリングを行うために使用される。加えて、積分期間及び/又は測定サイクル内の限られた時間インターバルのみにわたって放射線ディテクターを照射するために、パルス幅変調が使用される。
【0071】
さらに、制御装置410は、スイッチング信号により放射源404をオン状態とオフ状態とに交互にスイッチングするように構成され、放射線ディテクター100の論理モジュール124は、制御装置410のスイッチング信号に基づいて、放射源404のオフ状態を決定するように構成される。例示として、オン状態において、X線管404のグリッドに電位が与えられないことになるのに対し、オフ状態において、X線光子の生成を抑止するためにグリッドに負電位が与えられる。
【0072】
図5は、本発明の実施形態による、放射線ディテクター100と放射源404とを含むX線像形成システム400を動作させる方法のステップを示すフロー図を概略的に示す。
【0073】
ステップS1において、放射源404を使用して放射線ディテクター100を照射することにより、X線像形成システム400の測定サイクル中、電荷が生成され、放射線ディテクター100は、シンチレーター102に光学的に結合された光センサー104を備える。
【0074】
ステップS2において、電荷が、測定サイクル中に生成された電荷を表す周波数をもつパルス状信号に積分及び変換され、ステップS2は、電荷積分器112を含む電流−周波数コンバーター110により実施される。
【0075】
さらなるステップS3において、バイアス電流が、電流源120により電流−周波数コンバーター110に供給される。
【0076】
ステップS4において、放射源404のオフ状態が、放射線ディテクター100の論理モジュール124により決定される。
【0077】
ステップS4においてオフ状態を決定した後、ステップS5において、論理モジュール124によりパルス状信号のさらなるパルスが決定される。
【0078】
最後に、ステップS6において、ステップS4において放射源404のオフ状態を決定すると、及び、ステップS5においてさらなるパルスを検出すると論理モジュール124により始動させられる中断デバイス134により、電荷積分器112による電荷の積分が中断される。
【0079】
任意選択的に、電荷の積分を中断することは、電流−周波数コンバーター110の電荷積分器112をリセットすることを有する。
【0080】
任意選択的に、電荷の積分を中断することは、電荷積分器112の積分コンデンサ116を短絡すること、及び/又は、バイアス電流が電流−周波数コンバーター110に供給されるときに通る供給線122をグランド電位に接続することを有する。
【0081】
図面及びここまでの説明において本発明が詳細に例示及び説明されるが、このような例示及び説明は例示又は一例とみなされ、限定とはみなされず、本発明は開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する他の変形例が、図面、本開示、及び付属の特許請求の範囲の考察により、当技術分野の、及び請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実現される。
【0082】
特許請求の範囲において、「備える」という用語は、他の要素もステップも排除せず、「1つ(a)」又は「1つ(an)」という単数表現の不定冠詞は、複数を排除しない。単に、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実は、利点を得るためにこれらの手段の組み合わせが使用不可能なことを示すわけではない。特許請求の範囲における参照符号は、いずれも特許請求の範囲を限定するように解釈されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5