(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成によれば、被検査材の肌荒れ、光源の輝度ムラなどの探傷条件によって探傷画像の輝度のバラツキ具合が変化したとしても、常に適正な2値化のしきい値を決定することが可能となり、誤検出を少なくし、且つ漏れなく表面の欠陥を検出することができるとされている。
【0008】
ここで、磁粉探傷試験において、深さが深い傷や幅が広い傷は明るく撮像される。一方で、深さが浅い傷や幅が狭い傷はあまり明るく撮像されない。これは、深さが深い傷や幅が広い傷は漏洩磁束が大きくなるので、より多くの磁粉が引き寄せられるためである。同様に、浸透探傷試験においても、深さが深い傷や幅が広い傷は明るく撮像される。一方で、深さが浅い傷や幅が狭い傷はあまり明るく撮像されない。これは、深さが深い傷や幅が広い傷には多くの浸透液が浸透するためである。
【0009】
表面に形成される欠陥としての傷は、その大きさや深さは様々である。また、1つの連続する傷、例えば線状に延びる傷は、その深さや幅は一定ではない。つまり、磁粉探傷試験や浸透探傷試験において、深さが浅い部分と深い部分や幅が広い部分と狭い部分とが混在するような1つの連続する傷は、その部分毎に明るさが異なる画像として撮像される。
【0010】
したがって、画像の輝度に基づいて傷であるか否かの判定をする場合、1つの連続する傷であっても、途切れ途切れなものとなって欠陥としての傷と判定されずに、傷を見逃してしまうことがある。一方、傷と判定されやすくする、つまり基準となる輝度を下げると、不要な微細な傷やバリ、埃などが欠陥としての傷として判定されて、不要な傷や埃などを検出する状態である過検出となってしまうことがある。そして、特許文献1では、探傷条件による画像の輝度のバラツキ具合による誤検出の防止は考慮されているものの、傷の深さや幅に起因する輝度のバラツキによる誤検出については何ら考慮がなされていない。
【0011】
そこで本発明の目的は、傷部の検出漏れ及び過検出を防止し、傷部の検出率が向上された探傷装置、及び探傷装置による傷部検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、被検査物の表面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された原画像を処理して、前記表面における傷部を検出する検出装置と、を備える探傷装置において、前記検出装置は、前記原画像を第1の閾値で二値化処理して第1の傷候補部を抽出する第1の抽出部と、前記第1の傷候補部が含まれるように
その面積が最小となるものを縦方向及び横方向にそれぞれ所定の幅だけ拡大させた図形によって囲われる検査領域を生成する検査領域生成部と、前記検査領域を第2の閾値で二値化処理して
第1の判定基準値よりも領域が抽出されにくい状態である第2の判定基準値によって第2の傷候補部を抽出する第2の抽出部と、前記第2の傷候補部を膨張処理して前記傷部を検出する傷判定部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の探傷装置に係る前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも小であることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の探傷装置に係る前記検査領域は、前記第1の傷候補部が含まれる最小の矩形を、所定の幅だけ拡大させた矩形によって囲われる領域であることを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の探傷装置に係る前記膨張処理は、前記第2の傷候補部をそれぞれの長軸方向へ膨張させる処理であることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明は、撮像装置が、被検査物の表面を撮像し、検出装置が、前記撮像装置によって撮像された原画像を処理して、前記表面における傷部を検出する探傷装置による傷部検出方法において、前記検出装置が、前記原画像を第1の閾値で二値化処理して第1の傷候補部を抽出し、前記第1の傷候補部が含まれるように
その面積が最小となるものを縦方向及び横方向にそれぞれ所定の幅だけ拡大させた図形によって囲われる検査領域を生成し、前記検査領域を第2の閾値で二値化処理して
第1の判定基準値よりも領域が抽出されにくい状態である第2の判定基準値によって第2の傷候補部を抽出し、前記第2の傷候補部を膨張処理して前記傷部を検出することを特徴とする。
【0017】
更に、本発明の傷部検出方法に係る前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも小であることを特徴とする。
【0018】
更に、本発明の傷部検出方法に係る前記検査領域は、前記第1の傷候補部が含まれる最小の矩形を、所定の幅だけ拡大させた矩形によって囲われる領域であることを特徴とする。
【0019】
更に、本発明の傷部検出方法に係る前記膨張処理は、前記第2の傷候補部をそれぞれの長軸方向へ膨張させる処理であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被検査物の表面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された原画像を処理して、前記表面における傷部を検出する検出装置と、を備える探傷装置において、前記検出装置は、前記原画像を第1の閾値で二値化処理して第1の傷候補部を抽出する第1の抽出部と、前記第1の傷候補部が含まれるように
その面積が最小となるものを縦方向及び横方向にそれぞれ所定の幅だけ拡大させた図形によって囲われる検査領域を生成する検査領域生成部と、前記検査領域を第2の閾値で二値化処理して
第1の判定基準値よりも領域が抽出されにくい状態である第2の判定基準値によって第2の傷候補部を抽出する第2の抽出部と、前記第2の傷候補部を膨張処理して前記傷部を検出する傷判定部と、を備えるので、傷部の検出漏れ及び過検出を防止し、傷部の検出率が向上された探傷装置を提供することができる。
【0021】
更に、前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも小である構成によれば、傷部の検出漏れ及び過検出を防止し、傷部の検出率が向上された探傷装置を提供することができる。
【0022】
更に、前記検査領域は、前記第1の傷候補部が含まれる最小の矩形を、所定の幅だけ拡大させた矩形によって囲われる領域である構成によれば、検出装置の演算量の増大を防止することができる。
【0023】
更に、前記膨張処理は、前記第2の傷候補部をそれぞれの長軸方向へ膨張させる処理である構成によれば、より高い確度で傷部の検出漏れを防止することができる。
【0024】
本発明によれば、撮像装置が、被検査物の表面を撮像し、検出装置が、前記撮像装置によって撮像された原画像を処理して、前記表面における傷部を検出する探傷装置による傷部検出方法において、前記検出装置が、前記原画像を第1の閾値で二値化処理して第1の傷候補部を抽出し、前記第1の傷候補部が含まれるように
その面積が最小となるものを縦方向及び横方向にそれぞれ所定の幅だけ拡大させた図形によって囲われる検査領域を生成し、前記検査領域を第2の閾値で二値化処理して
第1の判定基準値よりも領域が抽出されにくい状態である第2の判定基準値によって第2の傷候補部を抽出し、前記第2の傷候補部を膨張処理して前記傷部を検出するので、傷部の検出漏れ及び過検出を防止し、傷部の検出率が向上された探傷装置による傷部検出方法を提供することができる。
【0025】
更に、前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも小である方法によれば、傷部の検出漏れ及び過検出を防止し、傷部の検出率が向上された探傷装置による傷部検出方法を提供することができる。
【0026】
更に、前記検査領域は、前記第1の傷候補部が含まれる最小の矩形を、所定の幅だけ拡大させた矩形によって囲われる領域である方法によれば、検出装置の演算量の増大を防止することができる。
【0027】
更に、前記膨張処理は、前記第2の傷候補部をそれぞれの長軸方向へ膨張させる処理である方法によれば、より高い確度で傷部の検出漏れを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本実施形態に係る探傷装置の一例としての磁粉探傷装置1の構成が示された模式図である。なお、
図1における矢印は、被検査物10の搬送方向を示し、被検査物10は、
図1における右側から左側へ向けて搬送される。
【0030】
図1に示すように、磁粉探傷装置1は、例えば長尺な角柱状の鋼材などの被検査物10の表面における欠陥としての傷部を、磁粉を用いて自動制御によって検出する探傷装置である。そして、磁粉探傷装置1は、搬送装置11と、磁粉散布装置12と、磁化装置13と、エアーブロー装置14と、紫外線探傷灯15と、撮像装置16と、マーキング装置17などを備える。また、磁粉探傷装置1は、ここでは図示せぬコントローラCや検出装置30なども備える。
【0031】
搬送装置11は、被検査物10を搬送するものである。搬送装置11は、複数のローラなどから構成されるローラコンベアであり、被検査物10を所望の速度で搬送できるように構成されている。そして、被検査物10は、
図1において、磁粉散布装置12が位置する右側からマーキング装置17が位置する左側へ搬送される。なお、搬送装置11は、ここでは図示せぬ搬送距離計測装置18を備える。搬送距離計測装置18は、被検査物10の搬送距離を計測するものである。搬送距離計測装置18としては、搬送装置11のローラの回転の変位を計測するロータリエンコーダなどから構成される測定装置を用いることができる。なお、搬送距離計測装置18の構成は特に限定されるものではなく、非接触による測定装置、例えば、レーザ表面速度計が用いられてもよく、これらを組み合わせた構成であっても良い。また、搬送装置11の構成も特に限定されるものではなく、例えば、無端体であるベルトなどから構成されるベルトコンベアなどであっても良い。
【0032】
磁粉散布装置12は、磁粉検査液を被検査物10の表面に散布するものであり、搬送方向における上流側に配置されている。磁粉散布装置12は、図示せぬタンク、ポンプ、ノズルなどから構成される。タンクに収容された磁粉検査液が、ポンプよってノズルへ圧送され、ノズルから磁粉検査液が噴出される。磁粉検査液は、表面が蛍光体で被覆された磁粉を含有する溶液である。磁粉散布装置12は、所望の量の磁粉検査液を被検査物10の表面に連続して散布することができるように構成されている。なお、磁粉散布装置12の構成は特に限定されるものではない。
【0033】
磁化装置13は、被検査物10に磁場を印加するものであり、磁粉散布装置12の下流側に隣接して配置される。磁化装置13は、搬送方向の上流側と下流側に対向して配置される2つの貫通コイル19、20と、2つの貫通コイル19、20の間であって、搬送方向に列を成して配置される2つの極間コイル21、22などから構成される。貫通コイル19、20は円環状に形成され、被検査物10はその中心を貫通するようにして搬送される。一方、極間コイル21、22はU字状に形成され、被検査物10はその空隙を通過するように搬送される。そして、磁化装置13は、この2つの極間コイル21、22を備えることで、2つの貫通コイル19、20の間で一様な回転磁界を発生させることができる。
【0034】
より詳細には、貫通コイル19、20と極間コイル21、22に電流が流れることによって、貫通コイル19、20では被検査物10の搬送方向に磁場が生成され、極間コイル21、22ではその空隙方向である被検査物10の搬送方向と直交する方向に磁場が生成される。そして、貫通コイル19、20と極間コイル21、22に位相が90度ずれた交流電流が流れると、貫通コイル19、20によって生成される磁場の方向(搬送方向)と極間コイル21、22によって生成される磁場の方向(搬送方向と直交する方向)とで形成される平面内において、一定の磁界強度で回転する回転磁界が生成される。
【0035】
なお、磁化装置13の構成は特に限定されるものではなく、貫通コイル19、20や極間コイル21、22の数などは適宜設計できる。例えば、磁化装置13は、極間コイル21、22の他に更に複数の極間コイルを有する構成であっても良い。また、磁化装置13は、1つの貫通コイル19と1つの極間コイル21から構成されるものであっても良い。
【0036】
エアーブロー装置14は、被検査物10に向けて重力に逆らう方向にエアーを吹き付けるものである。エアーブロー装置14は、2つの貫通コイル19、20の間であって、貫通コイル19と極間コイル21の間、2つの極間コイル21、22の間、及び極間コイル22と貫通コイル20の間にそれぞれ設けられている。このエアーブロー装置14によって、被検査物10の表面を流れる磁粉検査液の流速を調節することができる。なお、エアーブロー装置14の構成は特に限定されるものではない。
【0037】
紫外線探傷灯15は、2つの貫通コイル19、20の間において、被検査物10の表面の磁粉検査液に紫外線を照射するものである。紫外線探傷灯15は、磁化装置13によって生成される強い回転磁界の影響を避けるため、被検査物10から所定の距離、例えば600mm〜2000mm程度離れた位置に配置される。なお、紫外線探傷灯15の構成は特に限定されるものではなく、例えば、磁気シールドが施される構成であっても良い。
【0038】
撮像装置16は、紫外線探傷灯15によって紫外線が照射された被検査物10の表面を撮像するものである。撮像装置16は、被検査物10の表面に対して垂直方向から撮像することができるように配置されている。また、撮像装置16は、磁化装置13によって生成される強い回転磁界の影響を避けるため、被検査物10から所定の距離、例えば600mm〜2000mm程度離れた位置に配置されるとともに、磁気シールドが施されている。なお、撮像装置16は、紫外線探傷灯15によって紫外線が照射された被検査物10の表面を撮像することができればよく、その撮像方向は限定されるものではない。しかしながら、傷部を高い確度で検出する観点において、撮像装置16は、被検査物10の表面に対して垂直方向から撮像するように構成されることが好ましい。撮像装置16としては、エリアカメラまたはラインカメラを用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。
【0039】
マーキング装置17は、後述する検出装置30によって検出された被検査物10の表面における欠陥としての傷部に、目視可能なマーキングをするものである。マーキング装置17としては、例えば、空気圧を用いてインクを噴射することでマーキングを行うマーキングガンを用いることができる。なお、マーキング装置17の構成は特に限定されるものではない。
【0040】
検出装置30は、撮像装置16によって撮像された画像信号(原画像)を読み込むとともに、原画像に所定の処理を行うことによって、被検査物10の表面の傷部を検出するものであり、その構成及び検出方法については後述する。
【0041】
次に、本実施形態に係る磁粉探傷装置1の制御系統について説明する。
図2は、磁粉探傷装置1の制御系統のブロック図である。磁粉探傷装置1はコントローラCを備え、このコントローラCによって、搬送装置11、搬送距離計測装置18、磁粉散布装置12、磁化装置13、エアーブロー装置14、紫外線探傷灯15、撮像装置16、マーキング装置17などが制御され、自動制御によって被検査物10の表面の傷部を検出することができるように構成されている。
【0042】
コントローラCは、種々の設定値や、各種センサによる検出値などの入力信号を読み込むとともに、制御信号を出力することで、磁粉探傷装置1が備える各種装置の動作を制御するように構成されている。コントローラCは、演算処理及び制御処理を行う処理装置、データが格納される主記憶装置などから構成されている。コントローラCは、例えば、処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、タイマ、入力回路、出力回路、電源回路などを備えるマイクロコンピュータである。主記憶装置には、本実施形態に係る動作を実行するための制御プログラムや、各種データなどが格納されている。なお、これらの各種プログラムやデータなどは、コントローラCとは別体として設けられる記憶装置に格納され、コントローラCが読み出す形態であっても良い。
【0043】
コントローラCには、搬送装置11と、搬送距離計測装置18と、磁粉散布装置12と、磁化装置13と、エアーブロー装置14と、紫外線探傷灯15と、撮像装置16と、マーキング装置17と、検出装置30とが電気的に接続されている。なお、コントローラCには、
図2に示された構成以外の各種センサなどが電気的に接続されている。
【0044】
検出装置30は、コントローラCと同様に、演算処理及び制御処理を行う処理装置、データが格納される主記憶装置などから構成され、例えば、CPU、主記憶装置、タイマ、入力回路、出力回路、電源回路などを備えるマイクロコンピュータである。
【0045】
検出装置30は、第1の抽出部31を有している。第1の抽出部31は、例えばプログラムによって構成される。詳細については後述するが、第1の抽出部31は、撮像装置16によって撮像された画像信号(原画像)を予め定められた第1の閾値で二値化処理して第1の傷候補部を抽出するように構成される。なお、撮像装置16によって撮像され原画像は、コントローラCを介して検出装置30に入力される。
【0046】
検出装置30は、検査領域生成部32を更に有している。検査領域生成部32も、例えばプログラムによって構成される。詳細については後述するが、検査領域生成部32は、第1の抽出部31によって抽出された第1の傷候補部が含まれるように検査領域を生成するように構成されている。
【0047】
検出装置30は、第2の抽出部33を更に有している。第2の抽出部33も、例えばプログラムによって構成される。詳細については後述するが、第2の抽出部33は、検査領域生成部32によって生成された検査領域を予め定められた第2の閾値で二値化処理して第2の傷候補部を抽出するように構成されている。
【0048】
検出装置30は、傷判定部34を更に有している。傷判定部34も、例えばプログラムによって構成される。詳細については後述するが、傷判定部34は、第2の抽出部33によって抽出された第2の傷候補部を膨張処理して傷部を検出するように構成されている。そして、検出装置30は、傷判定部34によって検出された傷部の位置データをコントローラCに送るように構成されている。
【0049】
次に、磁粉探傷装置1の動作について説明する。磁粉探傷装置1は、搬送装置11によって被検査物10を順次各装置へ搬送して被検査物10の表面の傷部を検出するように構成されている。被検査物10は、まず、磁粉散布装置12に搬送されて表面に磁粉検査液が散布される。表面に磁粉検査液が散布された被検査物10は、磁化装置13によって形成された回転磁界領域内に搬送される。
【0050】
この際、被検査物10の表面に傷部が存在する場合、その傷部に起因する漏洩磁界が生じて、磁粉検査液に含まれる磁粉が、その漏洩磁界に引き寄せられる。ここで、磁化装置13によって形成された磁界は回転しているため、傷部の延びる方向(形状)に関わらず漏洩磁界が発生し、傷部に磁粉が引き寄せられる。そして、磁粉が傷部に集合することで、傷部に起因する磁粉指示模様が被検査物10の表面に形成される。
【0051】
なお、被検査物10の表面を流れる磁粉検査液の流速は、エアーブロー装置14によって適宜調節される。磁粉指示模様を安定して形成させる観点において、磁粉検査液の流速は、5〜100mm/sが好ましい。磁粉検査液の流速が100mm/sより速いと、磁粉が傷部に起因する漏洩磁界に引き寄せられにくくなり、磁粉指示模様が不安定なものとなる。一方、磁粉検査液の流速が5mm/sより遅いと、安定した磁粉指示模様の形成に多くの時間を要することになり、検査効率の低下に繋がる。
【0052】
このようにして形成された磁粉指示模様は、紫外線探傷灯15によって紫外線を照射することで、磁粉の表面を被覆する蛍光体を励起させ、撮像装置16によって撮像される。この撮像装置16によって撮像された原画像は、検出装置30に送られる。検出装置30は、この原画像に所定の処理を行い、原画像内における傷部を検出し、その位置データをコントローラCに送る。そして、コントローラCは、この傷部の位置データと搬送距離計測装置18の計測データに基づいて、マーキング装置17の動作を制御し、被検査物10の表面の傷部にマーキングを行う。
【0053】
次に、検出装置30による傷部の検出方法について説明する。
図3は、検出装置30の検出動作の一例を説明するためのフローチャートである。検出装置30は、撮像装置16によって撮像された画像信号(原画像)をコントローラCを介して取り込む(ステップS1)。ここで、撮像された原画像は、例えば縦960×横1280の画素から構成される。また、原画像には、撮像装置16によって撮像された時刻が関連付けられている。
【0054】
次に、検出装置30は、第1の抽出部31によって、取り込まれた原画像に対して、前処理として、各種のフィルタを用いた強調処理を行う(ステップS2)。ここで、強調処理は、原画像における傷部が強調されるような処理であれば良く、例えば、LUT(Look Up Table)変換処理、拡大・収縮処理、シェーディング処理などであり、これらの各種処理を組み合わせた処理としても良い。
【0055】
そして、第1の抽出部31は、強調処理された画像を、第1の閾値で二値化処理する(ステップS3)。第1の抽出部31によって二値化処理された画像の一例が示された概略図を
図4に示す。なお、第1の閾値は予め設定されるものであり、検出装置30の図示せぬ主記憶装置に格納されている。
【0056】
また、第1の抽出部31は、二値化処理された画像において、ラベリング処理を行う(ステップS4)。ここで、ラベリング処理とは、二値化画像において、連続する画素に対して同一のラベルを付与し、領域分けを行う処理である。
【0057】
そして、第1の抽出部31は、ラベルが付与された領域毎に、判定値として、例えば、面積、長さ、縦方向の幅、横方向の幅などを算出し、これら算出された判定値と予め格納されている第1の判定基準値とを比較して第1の傷候補部であるか否かを判定し、第1の傷候補部に該当する領域を抽出する(ステップS5)。
【0058】
ここで、第1の傷候補部とは、傷部に想定される領域のことを表す。また、第1の抽出部31は、ラベルが付与された全ての領域に対して、判定値の算出、算出された判定値と第1の判定基準値との比較、及び第1の傷候補部であるか否かの判定を行う。そして、
図5には、抽出された第1の傷候補部40の一例が示された画像の概略図を示す。なお、
図5は、領域の長さを判定値として第1の傷候補部40が抽出された状態であり、4つの第1の傷候補部40a、40b、40c、40dが抽出された状態である。
【0059】
なお、判定値は、上記のものに限定されるものではなく、領域の特徴を比較できるものであれば良く、適宜設定される。また、第1の傷候補部40であるか否かの判定は、1種類の判定値に基づいて行われても良く、複数種類の判定値に基づいて行われても良い。また、複数種類の判定値に基づいて第1の傷候補部40であるか否かの判定がされる場合、それら複数種類の判定値の内で少なくとも1種類の判定値に基づいて判定がなされれば良い。例えば、3種類の判定値の内で少なくとも2種類の判定値が第1の判定基準を満たす場合に、その領域を第1の傷候補部40であると判定するような構成であっても良い。
【0060】
また、第1の抽出部31は、領域毎にステップS5を繰り返す構成に限定されるものではなく、全ての領域に対して判定値を算出し、次いで、領域毎に、算出された判定値と第1の判定基準値との比較、及び第1の傷候補部であるか否かの判定を行うような構成であっても良い。
【0061】
次に、検出装置30は、検査領域生成部32によって、第1の抽出部31によって抽出された第1の傷候補部40毎に、それぞれが含まれる検査領域41を生成する(ステップS6)。そして、
図6には、生成された検査領域41の一例が示された画像の概略図を示す。なお、
図6は、4つの第1の傷候補部40a、40b、40c、40dに対する検査領域41a、41b、41c、41dが生成された状態である。検査領域41は、縦方向及び横方向に延びる矩形によって囲われる領域である。そして、検査領域41は、その面積が最小となるものを縦方向及び横方向にそれぞれ所定の幅だけ拡大させた矩形によって囲われる領域である。ここで、検査領域41の形状や大きさなどは限定されるものではなく、第1の傷候補部40が含まれる領域であれば良い。例えば、検査領域41は、菱形、台形、円、楕円などによって囲われる領域であっても良い。また、検査領域41は、傾いた領域であっても良く、例えば、第1の傷候補部40の長軸方向に延びる矩形などであっても良い。
【0062】
次に、検出装置30は、第2の抽出部33によって、検査領域41に対応する原画像を抜き出す(ステップS7)。
【0063】
そして、第2の抽出部33は、第1の抽出部31と同様に、検査領域41に対応する原画像が抜き出された画像に強調処理を行う(ステップS8)。更に、第2の抽出部33は、この強調処理された画像を、第2の閾値で二値化処理する(ステップS9)。第2の抽出部33によって二値化処理された画像の一例が示された概略図を
図7に示す。なお、第2の閾値は予め設定されるものであり、検出装置30の図示せぬ主記憶装置に格納されている。そして、この第2の閾値は、第1の閾値よりも小である。ここで、
図7では、
図4と比較して、より小さな領域が多数形成されている。また、
図6における第1の傷候補部40bに対応する領域と第1の傷候補部40dに対応する領域は連結され、1つの領域として形成されている。これは、第2の閾値は、第1の閾値よりも小であり、輝度がより小さい領域も含まれる状態であるためである。
【0064】
ここで、傷部は、その深さや幅に応じて、輝度が大きい領域と輝度が小さい領域とがランダムに存在する状態で撮像される。しかし、この第2の閾値で二値化処理するステップS9によって、輝度がより小さい領域も後述する第2の傷候補部に含ませることができ、傷部に相当する領域が途切れたものにならないようにすることができる。
【0065】
また、第2の抽出部33は、第1の抽出部31と同様に、二値化処理された画像において、ラベリング処理を行う(ステップS10)。そして、第2の抽出部33は、ラベルが付与された領域毎に、判定値として、例えば、面積、長さ、縦方向の幅、横方向の幅などを算出し、これら算出された判定値と予め格納されている第2の判定基準値とを比較して第2の傷候補部であるか否かを判定し、第2の傷候補部に該当する領域を抽出する(ステップS11)。
【0066】
ここで、第2の傷候補部とは、第1の傷候補部と同様に、傷部に想定される領域のことを表す。また、第2の抽出部33における第2の判定基準値は、第1の抽出部31における第1の判定基準値とは異なる。第2の判定基準値は、第1の判定基準値よりも、領域が抽出されにくい状態とするものである。なお、抽出されにくい状態とは、例えば、より大きい領域やより長い領域が抽出される状態のことを表す。一方、抽出されやすい状態とは、例えば、より小さい領域やより短い領域が抽出される状態のことを表す。そして、例えば、領域の長さに関して、第2の判定基準値の範囲は、第1の判定基準値の範囲よりも狭い範囲であって、かつ第1の判定基準値の範囲に含まれる範囲とされる。
【0067】
また、第2の抽出部33は、ラベルが付与された全ての領域に対して、判定値の算出、算出された判定値と第2の判定基準値との比較、及び第2の傷候補部であるか否かの判定を行う。そして、
図8には、抽出された第2の傷候補部42の一例が示された画像の概略図を示す。なお、
図8は、領域の長さを判定値として第2の傷候補部42が抽出された状態であり、2つの第2の傷候補部42a、42bが抽出された状態である。そして、
図8では、
図5における第1の傷候補部40cに対応する領域は抽出されていない。これは、第2の判定基準値が第1の判定基準値よりも領域が抽出されにくい状態とするものであるため、第1の傷候補部40cに対応する領域が傷部に想定される領域でないと判定されたためである。
【0068】
なお、判定値は、上記のものに限定されるものではなく、領域の特徴を比較できるものであれば良く、適宜設定される。また、第2の傷候補部42であるか否かの判定は、1種類の判定値に基づいて行われても良く、複数種類の判定値に基づいて行われても良い。また、複数種類の判定値に基づいて第2の傷候補部42であるか否かの判定がされる場合、それら複数種類の判定値の内で少なくとも1種類の判定値に基づいて判定がなされれば良い。例えば、3種類の判定値の内で少なくとも2種類の判定値が判定基準を満たす場合に、その領域を第2の傷候補部42であると判定するような構成であっても良い。
【0069】
また、第2の判定基準値は、第1の判定基準値よりも、領域が抽出されにくい状態とするものであれば良く、上述の構成に限定されるものではない。例えば、第2の判定基準値と第1の判定基準値は同じであっても良く、このような場合には、第2の抽出部33は、第1の抽出部31よりも多くの種類の判定値に基づいて、第2の傷候補部であるか否かの判定をするように構成する。
【0070】
また、第2の抽出部33は、第1の抽出部31と同様に、領域毎にステップS11を繰り返す構成に限定されるものではなく、全ての領域に対して判定値を算出し、次いで、領域毎に、算出された判定値と判定基準値との比較、及び第1の傷候補部であるか否かの判定を行うような構成であっても良い。
【0071】
次に、検出装置30は、傷判定部34によって、第2の傷候補部42をそれぞれ膨張処理する(ステップS12)。ここで、膨張処理とは、第2の傷候補部42を拡大させる処理である。なお、傷判定部34は、第2の傷候補部42毎に、それぞれの外形における長軸となる方向を算出し、第2の傷候補部42をこの長軸方向へ所定の量だけ拡大させる。つまり、傷判定部34の膨張処理は、第2の候補部42を長くするような処理である。そして、
図9には、第2の傷候補部42が膨張処理された一例が示された画像の概略図を示す。なお、
図9は、
図8における2つの第2の傷候補部42a、42bが膨張処理された状態である。そして、第2の傷候補部42aと第2の傷候補部42bは、それぞれ膨張されることによって連結され、1つの領域43が形成されている。
【0072】
また、傷判定部34は、第1の抽出部31及び第2の抽出部33と同様に、第2の傷候補部42が膨張処理された画像において、ラベリング処理を行う(ステップS13)。そして、傷判定部34は、ラベルが付与された領域毎に、判定値として、例えば、面積、長さ、縦方向の幅、横方向の幅などを算出し、これら算出された判定値と予め格納されている傷判定基準値とを比較して傷部であるか否かを判定し、傷部に該当する領域を傷部として検出する(ステップS14)。
【0073】
ここで、傷判定部34における傷判定基準値は、第2の抽出部33における第2の判定基準値とは異なる。傷判定基準値は、第2の判定基準値よりも、領域が抽出されにくい状態とするものである。例えば、領域の長さに関して、傷判定基準値の範囲は、第2の判定基準値の範囲よりも狭い範囲であって、かつ第2の判定基準値の範囲に含まれる範囲とされる。
【0074】
また、傷判定部34は、ラベルが付与された全ての領域に対して、判定値の算出、算出された判定値と傷判定基準値との比較、及び傷部であるか否かの判定を行う。例えば、傷判定部34は、
図9において、膨張された第2の傷候補部42aと第2の傷候補部42bとが連結されることによって形成された1つの領域43を、1つの傷部として検出する。そして、検出装置30は、コントローラCに検出した傷部の位置データを送る。
【0075】
なお、判定値は、上記のものに限定されるものではなく、領域の特徴を比較できるものであれば良く、適宜設定される。また、傷部であるか否かの判定は、1種類の判定値に基づいて行われても良く、複数種類の判定値に基づいて行われても良い。また、複数種類の判定値に基づいて傷部であるか否かの判定がされる場合、それら複数種類の判定値の内で少なくとも1種類の判定値に基づいて判定がなされれば良い。例えば、3種類の判定値の内で少なくとも2種類の判定値が判定基準を満たす場合に、その領域を傷部であると判定するような構成であっても良い。
【0076】
また、傷判定基準値は、第2の判定基準値よりも、領域が抽出されにくい状態とするものであれば良く、上述の構成に限定されるものではない。例えば、傷判定基準値と第2の判定基準値は同じであっても良く、このような場合には、傷判定部34は、第2の抽出部33よりも多くの種類の判定値に基づいて、傷部であるか否かの判定をするように構成する。
【0077】
また、傷判定部34は、第1の抽出部31、第2の抽出部33と同様に、領域毎にステップS14を繰り返す構成に限定されるものではなく、全ての領域に対して判定値を算出し、次いで、領域毎に、算出された判定値と判定基準値との比較、及び第1の傷候補部であるか否かの判定を行うような構成であっても良い。
【0078】
また、検出装置30は、第1の傷候補部40が抽出された画像、生成された検査領域41、第2の傷候補部42が抽出された画像、第2の傷候補部42が膨張処理された画像、傷部が検出された画像、算出された判定値などのデータが適宜主記憶部に格納されるように構成されても良い。
【0079】
また、検出装置30は、ステップS2において、強調処理された画像を主記憶部に格納し、ステップS7において、検査領域41に対応するこの強調処理された画像を抜き出し、この検査領域41に対応する強調処理された画像を、第2の閾値で二値化処理するように構成されていても良い。このような構成にすることで、強調処理を行うステップS8を省略することができ、検出装置30の演算量を低減することができる。
【0080】
このように、本実施形態では、検出装置30が、第1の抽出部31によって、原画像を第1の閾値で二値化処理して第1の傷候補部40を抽出し、検査領域生成部32によって、検査領域41を生成し、第2の抽出部33によって、検査領域41を第2の閾値で二値化処理して第2の傷候補部42を抽出し、傷判定部34によって、第2の傷候補部42を膨張処理して傷部を検出する。この方法によれば、傷部の検出漏れ及び過検出を防止し、傷部の検出率が向上された探傷装置による傷部検出方法を提供することができる。
【0081】
ここで、ステップS9における第2の閾値は、ステップS3における第1の閾値より小である。つまり、ステップS9は、ステップS3と比較して、より輝度の低い画素も抽出される。また、ステップS9は、限られた領域である検査領域41に対する処理である。そして、検出装置30は、まず、傷部に想定される領域である第1の傷候補部40を抽出し、その第1の傷候補部40を含む限られた領域内について、改めて傷部に想定される領域であってより輝度の低いものが含まれる第2の傷候補部42を抽出する。したがって、検出装置30は、原画像の全ての領域に対して、輝度の低いものが含まれる傷候補部の抽出を行わないため、微細な傷、バリ、埃などを傷部として検出すること(過検出)を防止できる。また、ステップS9は、限られた領域である検査領域41の二値化処理であるので、検出装置30の演算量が増大することが防止される。
【0082】
また、傷判定部34は、第2の傷候補部42を膨張処理して傷部を検出するので、1つの連続する傷を、途切れ途切れなものであって傷部ではないと判定することが防止され、傷部の検出漏れを防止することができる。また、傷判定部34は、第1の閾値より小さな輝度である第2の閾値を用いた二値化処理から抽出された第2の傷候補部42を膨張処理するので、傷部の検出漏れをより効果的に防止することができる。
【0083】
また、傷判定部34による膨張処理は、第2の傷候補部42の長軸方向へ膨張させる処理、つまり、1つの連続する傷部である場合には、その延びる方向と想定される方向へ膨張させる処理である。したがって、傷判定部34は、傷部に相当する領域が途切れ途切れなものとなって傷部ではないと判定することがより確実に防止され、より高い確度で傷部の検出漏れを防止することができる。
【0084】
また、検出装置30は、第1の閾値、第2の閾値、第1の判定基準値、第2の判定基準値、傷判定基準値を適宜設定することで、傷部として検出する傷部の大きさを適宜変更することができ、傷部の検査精度を適宜調節することができ、使い勝手が良い。
【0085】
以上のように、本実施形態では、撮像装置16が、被検査物10の表面を撮像し、検出装置30が、撮像装置16によって撮像された原画像を処理して、表面における傷部を検出する磁粉探傷装置1の傷部検出方法において、検出装置30が、原画像を第1の閾値で二値化処理して第1の傷候補部40を抽出し、第1の傷候補部40が含まれるように検査領域41を生成し、検査領域41を第2の閾値で二値化処理して第2の傷候補部42を抽出し、第2の傷候補部42を膨張処理して傷部を検出する。
【0086】
したがって、本実施形態によれば、傷部の検出漏れ及び過検出を防止し、傷部の検出率が向上された探傷装置による傷部検出方法を提供することができる。
【0087】
また、被検査物10の表面を撮像する撮像装置16と、撮像装置16によって撮像された原画像を処理して、表面における傷部を検出する検出装置30とを備える磁粉探傷装置1において、原画像を第1の閾値で二値化処理して第1の傷候補部40を抽出する第1の抽出部31と、第1の傷候補部40が含まれるように検査領域41を生成する検査領域生成部32と、検査領域41を第2の閾値で二値化処理して第2の傷候補部42を抽出する第2の抽出部33と、第2の傷候補部42を膨張処理して傷部を検出する傷判定部34とを備えるように構成されている。
【0088】
そして、本実施形態によれば、傷部の検出漏れ及び過検出を防止し、傷部の検出率が向上された磁粉探傷装置1を提供することができる。
【0089】
なお、探傷装置としての磁粉探傷装置1は、上述の構成に限定されるものではない。例えば、コントローラCと検出装置30とが一体に構成されても良い。つまり、コントローラCが、第1の抽出部31、検査領域生成部32、第2の抽出部33、及び傷判定部34を備える構成であっても良い。このような構成にすることで、磁粉探傷装置1が簡素化され、小型化が図れる。また、検出装置30は、第1の傷候補部40が抽出された画像、生成された検査領域41、第2の傷候補部42が抽出された画像、第2の傷候補部42が膨張処理された画像、検出された傷部の画像、算出された判定値などのデータを表示させるモニターを備える構成であっても良い。このような構成により、適宜傷部の検出結果を確認することができ、使い勝手が良い。
【0090】
また、磁粉探傷装置1は、コントローラCに接続される別のコントローラを更に備える構成であっても良い。別のコントローラは、コントローラCと同様に、演算処理及び制御処理を行う処理装置、データが格納される主記憶装置などから構成され、例えば、CPU、主記憶装置、タイマ、入力回路、出力回路、電源回路などを備えるマイクロコンピュータである。コントローラCは、第1の傷候補部40が抽出された画像、生成された検査領域41、第2の傷候補部42が抽出された画像、第2の傷候補部42が膨張処理された画像、検出された傷部の画像、算出された判定値などのデータを別のコントローラへ送る。一方、別のコントローラは、コントローラCから送られるこれらのデータを、その主記憶装置に、予め格納された被検査物10のサイズや材質などのデータに関連付けて格納する。
【0091】
このような構成にすることで、別のコントローラによって被検査物10の傷部のマッピングデータを作成することができ、被検査物10の生産管理が容易に行える。なお、コントローラCが、別のコントローラから被検査物10のサイズや材質などのデータを受け取り、被検査物10の傷部のマッピングデータを作成するように構成されていても良い。