【実施例】
【0038】
図1は、本実施例に係る原子力施設に設けられるピット設備を示す外観斜視図である。本実施例のピット設備10が設けられる原子力施設1は、燃料を格納したり、燃料の入れ替えを行ったりする施設であり、例えば、原子力発電プラントまたは再処理施設等がある。
【0039】
ピット設備10は、フロア面5から没して設けられており、用水が満たされている。この用水は、燃料を冷やす冷却材として機能すると共に、燃料から発生する中性子を減速する減速材として機能しており、例えば、水が用いられている。ピット設備10は、満たした用水の中に、燃料が水没させられ、この状態で、燃料が取り扱われる。
図1に示すように、ピット設備10は、第1ピット11と、第2ピット12と、水路(カナルともいう)13と、スロット14と、ピットゲート15と、を備えている。
【0040】
第1ピット11は、中空の直方体形状に形成されており、その一面に、水路13の一端が接続されている。第1ピット11は、第2ピット12に比して、その容積が大きなものとなっている。第1ピット11は、その内部が水密となるように、シール性を有するライニング材で覆われている。
【0041】
第2ピット12は、第1ピット11と同様に、中空の直方体形状に形成されており、その一面に、水路13の他端が接続されている。第2ピット12は、第1ピット11に比して、その容積が小さなものとなっている。第2ピット12は、第1ピット11と同様に、その内部が水密となるように、シール性を有するライニング材で覆われている。なお、第1ピット11及び第2ピット12は、上記の形状に限定されず、いずれの形状であってもよい。
【0042】
水路13は、その一端が第1ピット11に接続され、その他端が第2ピット12に接続されている。なお、水路13が延在する方向、つまり、第1ピット11と第2ピット12とが対向する方向を長さ方向とし、鉛直方向(
図1の上下方向)を高さ方向とし、長さ方向及び高さ方向に直交する方向を、幅方向とする。
【0043】
水路13は、第1ピット11と第2ピット12との間で燃料の移動が可能な大きさとなっており、高さ方向の下方側に形成される底面13aと、底面13aの幅方向の両側に形成される2つの側面13bとによって形成されている。この水路13は、第1ピット11と第2ピット12とを連通していることから、第1ピット11及び第2ピット12に満たされた用水が相互に流通することで、第1ピット11に満たされる用水の水位と、第2ピット12に満たされる用水の水位とが同じ高さとなる。
【0044】
スロット14は、水路13に設けられており、ピットゲート15を収容可能な空間となっている。スロット14は、長さ方向に直交する断面において、水路13よりも一回り大きく形成されている。すなわち、スロット14は、水路13の底面13aから窪んで形成される底面14a(
図2参照)と、底面14aの幅方向の両側に形成され、水路13の2つの側面13bから窪んで形成される2つの側面14b(
図2参照)とを有している。また、スロット14は、水路13から窪んで形成されることで、底面13aの長さ方向の両側にU字状の2つの側面が形成され、このU字状の側面が、後述するピットゲート15が密着するシール面14c(
図2参照)となっている。つまり、2つのシール面14cは、その一方が、スロット14の第1ピット11側の面となっており、その他方が、スロット14の第2ピット12側の面となっている。そして、2つのシール面14cのそれぞれは、平坦面に形成されている。
【0045】
次に、
図2から
図10を参照して、ピットゲート15について説明する。
図2は、本実施例に係るピットゲートの正面図であり、
図3は、本実施例に係るピットゲートの側面図である。
図4は、シール部材の断面図である。
図5は、上部押え金具の正面図であり、
図6は、上部押え金具の側面図である。
図7は、中間押え金具の正面図であり、
図8は、中間押え金具の側面図である。
図9は、下部押え金具の正面図であり、
図10は、下部押え金具の側面図である。
【0046】
ピットゲート15は、スロット14に収容され、第1ピット11及び第2ピット12の一方が水抜きされることで、第1ピット11及び第2ピット12の他方からの水圧によって、水路13を水密に仕切るものである。ここで、ピットゲート15は、水路13の長さ方向が厚さ方向となっており、水路13の幅方向が幅方向となっており、水路13の高さ方向が長手方向となっている。
図2及び
図3に示すように、ピットゲート15は、ゲート本体21と、シール部材22と、上部押え金具(第1押え金具)23と、2つの中間押え金具(第2押え金具)24と、下部押え金具(第3押え金具)25と、を有している。このとき、上部押え金具23、2つの中間押え金具24及び下部押え金具25は、長手方向において、所定の間隔を空けて設けられている。
【0047】
ゲート本体21は、長手方向に長く形成され、長手方向が高さ方向となるように、スロット14に収容される。ゲート本体21は、ゲートフレーム31と、ゲートフレーム31の内部に設けられる波状部材32とを含んで構成されている。
【0048】
ゲートフレーム31は、波状部材32の周りを取り囲むように、長手方向の上方側、長手方向の下方側、幅方向の左方側及び幅方向の右方側の四方に形成されている。このゲートフレーム31は、スロット14に収容された状態において、長手方向の下方側、幅方向の左方側及び幅方向の右方側の三方の部位が、スロット14のシール面14cと対向して形成されている。ゲートフレーム31は、その上部が、ピット設備10のフロア面5にスペーサ35を介して固定される。また、ゲートフレーム31には、後述する上部押え金具23、中間押え金具24、下部押え金具25の各ゲート側押え部材41,44,48がそれぞれ取り付けられている。
【0049】
波状部材32は、長手方向の上方側から下方側に向かって、山部及び谷部が交互に形成される波状の部材である。この波状部材32は、ゲートフレーム31に溶接によって一体に固定されている。波状部材32は、山部及び谷部が幅方向に延在して形成されており、高さ方向に隣接する山部同士の間のピッチ、換言すれば、長手方向に隣接する谷部同士の間のピッチが、長手方向の上方側から下方側に向かうにつれて狭く形成されている。これは、ピットゲート15の波状部材32に与えられる水圧は、長手方向の上方側に比して下方側の方が大きいからである。
【0050】
シール部材22は、ゲートフレーム31に設けられ、スロット14のシール面14cと対向する位置に設けられている。つまり、シール部材22は、ゲート本体21(ゲートフレーム31)の厚さ方向における一方側の面に設けられている。このシール部材22は、ゲートフレーム31に沿って設けられ、長手方向の下方側、幅方向の左右両側に連なって、U字状に配置されている。このため、シール部材22は、U字状に形成されるスロット14のシール面14cに対し、シール面14cの形状に沿って密着することが可能となる。
【0051】
図4に示すように、シール部材22は、内部に中空空間が形成されていない中実型のものであり、その断面が、シール面14c側に凸となる、略三角形状に形成されている。このシール部材22は、例えば、シリコンゴムを用いて構成されている。
【0052】
図5及び
図6に示すように、上部押え金具23は、ゲート本体21(ゲートフレーム31)の厚さ方向における他方側の面、すなわちシール部材22とは反対側の面に設けられる一対の上部ゲート側押え部材(第1ゲート側押え部材)41を含んで構成されている。一対の上部ゲート側押え部材41は、ゲート本体21の幅方向の両側に設けられている。各上部ゲート側押え部材41は、長手方向の上方側から下方側に向かって薄くなるくさび形状に形成されている。上部ゲート側押え部材41は、厚さ方向の一方側の面がゲート本体21に取り付けられる取付面となっており、この取付面の反対側の面に、第1ゲート側傾斜面42が形成されている。上部ゲート側傾斜面(第1ゲート側傾斜面)42は、長手方向の上方側から下方側に向かって、シール部材22側に傾斜している。上部ゲート側傾斜面42は、ピットゲート15のスロット14への挿入時において、スロット14に接触する。従って、ピットゲート15がスロット14へ挿入されると、上部押え金具23は、上部ゲート側傾斜面42がスロット14に接触することで、ピットゲート15を、シール部材22側に移動させる。
【0053】
図7及び
図8に示すように、中間押え金具24は、ゲート本体21(ゲートフレーム31)の幅方向両側から突出して設けられる一対の中間ゲート側押え部材(第2ゲート側押え部材)44と、一対の中間ゲート側押え部材44に接触する一対の中間スロット側押え部材(第2スロット側押え部材)45とが設けられている。また、一対の中間スロット側押え部材45は、対向する2つのシール面14cに応じて2組設けられている。
【0054】
一対の中間ゲート側押え部材44は、水平方向を軸方向とする棒状に形成されている。各中間ゲート側押え部材44は、円柱形状または円筒形状に形成されており、ゲート本体21の波状部材32を挟んで、シール部材22の反対側に位置するゲートフレーム31に固定されている。また、各中間ゲート側押え部材44は、その軸中心が、ゲートフレーム31の厚さ方向の中央に対し、シール部材22の反対側に寄せて配置されている。
【0055】
一対の中間スロット側押え部材45は、スロット14のシール面14cに取り付けられており、スロット14に収容されるピットゲート15の幅方向の両側に配置されている。各中間スロット側押え部材45は、長手方向の上方側から下方側に向かって厚くなるくさび形状に形成されている。各中間スロット側押え部材45は、スロット14のシール面14cに取り付けられ、シール面14cとは反対側の面に、中間スロット側傾斜面(第2スロット側傾斜面)46が形成されている。中間スロット側傾斜面46は、長手方向の上方側から下方側に向かって、シール部材22側(スロット14の内側)に傾斜している。中間スロット側傾斜面46は、ピットゲート15のスロット14への挿入時において、ピットゲート15の中間ゲート側押え部材44に接触する。
【0056】
また、一対の中間スロット側押え部材45の1組と、一対の中間スロット側押え部材45の他の1組とは、ピットゲート15の厚さ方向(スロット14の長さ方向)において対向する位置に設けられている。つまり、1組となる一対の中間スロット側押え部材45は、第1ピット11側のスロット14のシール面14cに設けられ、他の1組となる一対の中間スロット側押え部材45は、第2ピット12側のスロット14のシール面14cに設けられている。
【0057】
従って、ピットゲート15がスロット14へ挿入されると、中間押え金具24は、一対の中間ゲート側押え部材44が、1組の一対の中間スロット側押え部材45(の中間スロット側傾斜面46)に接触することで、ピットゲート15を、シール部材22側に移動させる。
【0058】
ここで、2つの中間押え金具24は、ゲート本体21の長手方向において、所定の間隔を空けて配置されている。2つの中間押え金具24は、ピットゲート15のスロット14への挿入時において、相互に物理的に干渉しないように、中間ゲート側押え部材44の形状、及び中間スロット側押え部材45の配置が異なっている。
【0059】
具体的に、長手方向の上方側の中間押え金具24における一対の中間ゲート側押え部材44は、長手方向の下方側の中間押え金具24における一対の中間ゲート側押え部材44に比して、軸方向における長さが長く形成されている。つまり、上方側の一対の中間ゲート側押え部材44は、ゲート本体21の幅方向における長さが長く形成され、下方側の一対の中間ゲート側押え部材44は、ゲート本体21の幅方向における長さが短く形成されている。また、長手方向の上方側の中間押え金具24における一対の中間スロット側押え部材45は、長手方向の下方側の中間押え金具24における一対の中間スロット側押え部材45に比して、ゲート本体21の幅方向の外側に配置されている。つまり、上方側の一対の中間スロット側押え部材45は、その間の幅方向における長さが長くなっており、下方側の一対の中間スロット側押え部材45は、その間の幅方向における長さが短くなっている。
【0060】
このため、ピットゲート15がスロット14へ挿入されると、下方側の一対の中間ゲート側押え部材44は、上方側の一対の中間スロット側押え部材45を回避する。この後、ピットゲート15がスロット14へさらに挿入されると、下方側の一対の中間ゲート側押え部材44は、下方側の一対の中間スロット側押え部材45に接触すると共に、上方側の一対の中間ゲート側押え部材44は、上方側の一対の中間スロット側押え部材45に接触する。
【0061】
図9及び
図10に示すように、下部押え金具25は、ゲート本体21(ゲートフレーム31)の長手方向の下方側から突出して設けられる下部ゲート側押え部材(第3ゲート側押え部材)48と、下部ゲート側押え部材48に接触する一対の下部スロット側押え部材(第3スロット側押え部材)49とが設けられている。また、一対の下部スロット側押え部材49は、対向する2つのシール面14cに応じて2組設けられている。
【0062】
下部ゲート側押え部材48は、ゲート本体21の幅方向に延びて設けられ、下方側に凸となる曲面を有する形状となっている。下部ゲート側押え部材48は、ゲートフレーム31の厚さ方向の中央に対し、シール部材22の反対側に寄せて配置されている。
【0063】
一対の下部スロット側押え部材49は、スロット14の底面14a及びシール面14cにより形成される角部に設けられ、スロット14の幅方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、一対の下部スロット側押え部材49は、下部ゲート側押え部材48の幅方向両側に対向する位置に設けられている。各下部スロット側押え部材49は、長手方向の上方側から下方側に向かって厚くなるくさび形状に形成されている。各下部スロット側押え部材49は、スロット14の底面14a及びシール面14cに取り付けられ、シール面14cとは反対側の面に、下部スロット側傾斜面(第3スロット側傾斜面)50が形成されている。下部スロット側傾斜面50は、長手方向の上方側から下方側に向かって、シール部材22側(スロット14の内側)に傾斜している。下部スロット側傾斜面50は、ピットゲート15のスロット14への挿入時において、ピットゲート15の下部ゲート側押え部材48に接触する。
【0064】
また、一対の下部スロット側押え部材49の1組と、一対の下部スロット側押え部材49の他の1組とは、ピットゲート15の厚さ方向(スロット14の長さ方向)において対向する位置に設けられている。つまり、1組となる一対の下部スロット側押え部材49は、第1ピット11側のスロット14のシール面14cに設けられ、他の1組となる一対の下部スロット側押え部材49は、第2ピット12側のスロット14のシール面14cに設けられている。
【0065】
従って、ピットゲート15がスロット14へ挿入されると、下部押え金具25は、下部ゲート側押え部材48が、1組の一対の下部スロット側押え部材49(の下部スロット側傾斜面50)に接触することで、ピットゲート15を、シール部材22側に移動させる。
【0066】
ここで、中間押え金具24は、2組となる一対の中間スロット側押え部材45を有し、また、下部押え金具25は、2組となる一対の下部スロット側押え部材49を有している。これは、ピットゲート15を第1ピット11側のスロット14のシール面14cに密着させる場合と、ピットゲート15を第2ピット12側のスロット14のシール面14cに密着させる場合とで、ピットゲート15の位置を180度異ならせて入れ替えるからである。つまり、ピットゲート15を第1ピット11側のスロット14のシール面14cに密着させる場合、中間押え金具24において、第2ピット12側の一対の中間スロット側押え部材45が用いられ、下部押え金具25において、第2ピット12側の一対の下部スロット側押え部材49が用いられる。一方で、ピットゲート15を第2ピット12側のスロット14のシール面14cに密着させる場合、中間押え金具24において、第1ピット11側の一対の中間スロット側押え部材45が用いられ、下部押え金具25において、第1ピット11側の一対の下部スロット側押え部材49が用いられる。
【0067】
このように形成される上部押え金具23、2つの中間押え金具24及び下部押え金具25は、上部ゲート側傾斜面42、中間スロット側傾斜面46及び下部スロット側傾斜面50の傾斜角度が同じ傾斜角度となっている。ここで、傾斜角度は、高さ方向に直交する水平面に対する傾斜角度である。上部ゲート側傾斜面42、中間スロット側傾斜面46及び下部スロット側傾斜面50の傾斜角度を同じ傾斜角度にすると、上部押え金具23、2つの中間押え金具24及び下部押え金具25によって、シール部材22側に移動するピットゲート15の移動量が同じ移動量となる。すなわち、ピットゲート15の高さ方向における移動量に応じたシール部材22側への移動量が、上部押え金具23、2つの中間押え金具24及び下部押え金具25において、同じ移動量となる。なお、上部押え金具23、2つの中間押え金具24及び下部押え金具25は、ピットゲート15の長手方向において、不等間隔となっている。これは、ゲート本体21の波状部材32における山部同士のピッチ間隔が不等であるからである。
【0068】
次に、
図11を参照して、スロット14にピットゲート15を収容するピットゲート15の設置方法について説明する。
図11は、ピットゲートの設置方法に関する説明図である。
図11に示すように、ピットゲート15の設置前において、ピット設備10の第1ピット11及び第2ピット12は、用水が満たされた状態となっている(ステップS100)。このとき、ピットゲート15が設置されていないことから、第1ピット11及び第2ピット12の水位は、同じ高さとなっている。
【0069】
S100の状態において、ピット設備10の第2ピット12に満たされた用水を水抜きする場合、ピットゲート15は、シール部材22が設けられている面を第2ピット12側に向けて、スロット14に収容される。すると、ピットゲート15は、上部押え金具23、2つの中間押え金具24及び下部押え金具25により、シール部材22側に移動することから、第2ピット12側に移動する。このため、ピットゲート15のシール部材22は、第2ピット12側のスロット14のシール面14cに接触する(ステップS101)。この後、ピットゲート15は、スペーサ35を介して、ピット設備10のフロア面5に固定される。なお、固定後のピットゲート15において、中間押え金具24の中間ゲート側押え部材44は、中間スロット側押え部材45の中間スロット側傾斜面46に対して、途中の位置、つまり、中間スロット側傾斜面46の上方側の縁部と下方側の縁部との間の位置となっている。このため、中間ゲート側押え部材44は、中間スロット側傾斜面46に対して、高さ方向の下方側に移動可能な余地がある。同様に、下部押え金具25の下部ゲート側押え部材48は、下部スロット側押え部材49の下部スロット側傾斜面50に対して、途中の位置、つまり、下部スロット側傾斜面50の上方側の縁部と下方側の縁部との間の位置となっている。このため、下部ゲート側押え部材48は、下部スロット側傾斜面50に対して、高さ方向の下方側に移動可能な余地がある。
【0070】
S101の状態において、第2ピット12に満たされた用水を水抜きすることで、ピットゲート15は、第1ピット11に満たされた用水からの水圧が与えられ、スロット14のシール面14cに密着する(ステップS102)。
【0071】
なお、上記では、第2ピット12の水抜きを行う場合について説明したが、第1ピット11の水抜きを行う場合には、シール部材22が設けられている面を第1ピット11側に向けて、ピットゲート15をスロット14に収容する。また、ピットゲート15は、スペーサ35を介してフロア面5に固定されるが、スペーサ35は、シール部材22のスロット14側への突出状態に応じて、その高さを調整してもよい。つまり、シール部材22のスロット14側への突出長さが短い場合には、スペーサ35の高さを低くすることで、スロット14に対するピットゲート15の高さ方向における挿入量(移動量)を大きくし、これにより、シール部材22側への移動量を大きくすることができる。これは、中間ゲート側押え部材44及び下部ゲート側押え部材48が、高さ方向の下方側に移動可能な余地を残しているからである。このように、スペーサ35の高さを調整することで、シール部材22の劣化具合に応じて、スロット14のシール面14cへの密着性を調整することができる。
【0072】
以上のように、本実施例によれば、鉛直方向の上方側から下方側に向かって、スロット14にピットゲート15を収容すると、ピットゲート15は、上部ゲート側傾斜面42、中間スロット側傾斜面46及び下部スロット側傾斜面50に沿ってシール部材22側に移動する。このため、上部押え金具23、中間押え金具24及び下部押え金具25により、鉛直方向に亘って、ピットゲート15をシール部材22側に好適に移動させることができる。このため、上部押え金具23、中間押え金具24及び下部押え金具25により、簡易な構成となるピットゲート15をシール部材22側に好適に移動させることができるため、シール部材22をスロット14に適切に密着させることができる。よって、ゲート本体21とスロット14との間を、シール部材22により水密に封止することができるため、第1ピット11及び第2ピット12からの用水の漏出を抑制することができる。
【0073】
また、本実施例によれば、上部ゲート側傾斜面42、中間スロット側傾斜面46及び下部スロット側傾斜面50を同じ傾斜角度とすることで、ピットゲート15の鉛直方向の移動量に対する、ピットゲート15のシール部材22側への移動量を、上部押え金具23、中間押え金具24及び下部押え金具25において、同じ移動量とすることができる。このため、ピットゲート15の鉛直方向に亘って、ピットゲート15のスロット14側への押付力を、均等にすることができる。
【0074】
また、本実施例によれば、シール部材22を、スロット14側に凸となる断面形状とすることで、スロット14に密着させ易い形状にすることができる。
【0075】
また、本実施例によれば、中間ゲート側押え部材44を、ゲート本体21の厚さ方向の中央に対して、シール部材22の反対側に配置することで、中間スロット側押え部材45側に近づけて配置することができるため、中間ゲート側押え部材44のシール部材22側への移動量を適切に確保することができる。
【0076】
また、本実施例によれば、一対の中間スロット側押え部材45及び一対の下部スロット側押え部材49をそれぞれ2組設けることで、ピットゲート15の位置を入れ替えることができるため、第1ピット11の水抜き及び第2ピット12の水抜きを行うことが可能となる。
【0077】
また、本実施例によれば、中間押え金具24を、鉛直方向に亘って複数設ける場合であっても、中間ゲート側押え部材44の軸方向における長さを、上方側と下方側とにおいて異ならせると共に、中間スロット側押え部材45の幅方向における配置を、上方側と下方側とにおいて異ならせることで、中間押え金具24同士の物理的な干渉を回避することができる。
【0078】
また、本実施例によれば、波状部材32の山部同士の間のピッチを、下方側に向かうにつれて狭くすることで、ピットゲート15を、水圧に好適に耐え得る構成とすることができる。
【0079】
また、本実施例によれば、簡易な構成となるピットゲート15を用いて、水路13を水密に仕切ることができる。このため、第1ピット11及び第2ピット12のうち、一方のピットが水抜きされる場合であっても、用水が満たされる他方のピットから用水が漏出することを抑制することができる。また、用水が満たされる他方のピットにおいて、原子力施設で用いられる燃料を好適に取り扱うことができる。
【0080】
また、本実施例によれば、スロット14に対するピットゲート15の位置を、水抜き予定となる第1ピット11または第2ピット12に応じた位置にして、スロット14に収容することで、簡単に水路13を仕切ることができる。
【0081】
なお、本実施例では、上部押え金具23、2つの中間押え金具24及び下部押え金具25を適用したが、特に限定されず、いずれかの押え金具23,24,25を用いればよい。つまり、上部押え金具23、中間押え金具24及び下部押え金具25を単体で用いてもよいし、上部押え金具23、中間押え金具24及び下部押え金具25を複数用いてもよいし、上部押え金具23、中間押え金具24及び下部押え金具25を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0082】
また、本実施例では、シール部材22の断面形状を、略三角形状としたが、この形状に特に限定されず。シール面14cに密着可能な形状であれば、いずれの形状であってもよい。