特許第6596211号(P6596211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596211
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】難消化性デキストリン含有炭酸飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/54 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   A23L2/54
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-55932(P2015-55932)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-174552(P2016-174552A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】391058381
【氏名又は名称】キリンビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100177714
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昌平
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(72)【発明者】
【氏名】岡村 かすみ
(72)【発明者】
【氏名】中村 友香里
(72)【発明者】
【氏名】若林 英行
【審査官】 松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−164272(JP,A)
【文献】 クリム8月号,2014年,pp. 48-49
【文献】 @cosme(アットコスメ)[online],2014年 7月30日,検索日2018.6.20,URL,http://www.cosme.net/product/product_id/10043105/review/503277226
【文献】 コープ商品情報検索[online],2016年10月14日,URL,http://mdinfo.jccu.coop/bb/shohindetail/4902220771127/
【文献】 農林水産省/炭酸飲料の日本農林規格,2012年 7月17日,pp. 1-4,検索日2018.6.14,URL,http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0001015.html
【文献】 最新・ソフトドリンクス,2003年,pp. 954-955
【文献】 表面技術,2014年,Vol. 65, No. 4,pp. 158,検索日2019.1.16,URL,https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/65/4/65_158/_article/-char/ja
【文献】 三菱重工技報,2005年,Vol. 42, No. 1,pp. 42-43
【文献】 PETボトルのバリア膜に関する業界動向(各社のニュースリリースを抜粋),2014年
【文献】 最新・ソフトドリンクス,2003年,pp. 256-257
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00− 2/84
A23L 5/40− 5/49
A23L 31/00−33/21
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない、容器詰飲料であって、
難消化性デキストリンの含有量を、飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内に調整し、かつ、前記容器詰飲料の製造時に二酸化炭素を0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように含有し、かつ、溶存二酸化炭素の脱気処理が行われていない状態で測定されたpHを2.53.6の範囲内に調整したことにより、水様の味覚が保持されつつ、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭が抑制されたことを特徴とする、長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料。
【請求項2】
さらに着色成分も含有しないことを特徴とする請求項1に記載の難消化性デキストリン含有容器詰飲料。
【請求項3】
酸味成分が、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、酒石酸、酢酸、アスコルビン酸、グルコン酸、乳酸、コハク酸、メチレンコハク酸、フマル酸、アジピン酸、フィチン酸及びグルタル酸、並びに、それらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上であり、塩味成分が、塩化ナトリウム及び塩化カリウムからなる群から選択される1種又は2種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難消化性デキストリン含有容器詰飲料。
【請求項4】
難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を添加しない容器詰飲料の製造に際して、
前記飲料の製造原料に、飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内の難消化性デキストリンを含有させ、かつ、0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように二酸化炭素を含有させ、かつ、溶存二酸化炭素の脱気処理が行われていない状態で測定されたpHを2.53.6の範囲内に調整することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない容器詰飲料の長期保存により発生する難消化性デキストリンの異臭を、水様の味覚を保持しつつ抑制し、長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康意識の高まりに対応すべく、様々な種類の保健機能性物質を含む飲料が開発されている。そのような保健機能性物質の中でも、難消化性デキストリンは、整腸作用、食後の血糖値上昇抑制作用、血中の中性脂肪やコレステロール低下作用などの、多くの機能性が知られている。そのため、難消化性デキストリンを飲料に適用した例は比較的多く知られている。
【0003】
一方で、難消化性デキストリンには異味や異臭があることが知られており、難消化性デキストリンを飲料に適用する際には、かかる異味や異臭を軽減するために、他の香味成分や酸味成分との併用が行われていた。例えば、特開2014−161292号公報(特許文献1)には、ノンアルコール飲料における水溶性食物繊維のペーパー臭を、ビタミンCを併用することによって抑制する方法が、特開2014−161294号公報(特許文献2)には、ノンアルコール飲料における水溶性食物繊維による後味の悪さ、飲み難さを、ナトリウムを併用することによって改善し、後味の改善と飲みやすさの増強を達成する方法が、特開2014−161295号公報(特許文献3)には、ノンアルコール飲料における水溶性食物繊維の平板な香味や飲み難さを、カラメルを併用することによって改善し、味の厚みと飲みやすさの増強を達成する方法が、特開2014−161293号公報(特許文献4)には、ノンアルコール飲料における水溶性食物繊維の平板な香味や飲み難さを、クエン酸を併用することによって改善し、味の厚みと飲みやすさの増強を達成する方法が、それぞれ開示されている。
【0004】
しかし、酸味成分、甘味成分、塩味成分のいずれも含まない水様の飲料に難消化性デキストリンを配合した容器詰飲料や、かかる容器詰飲料において、水様の味覚を保持しつつ、難消化性デキストリンの異臭を効果的に抑制する方法は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−161292号公報
【特許文献2】特開2014−161294号公報
【特許文献3】特開2014−161295号公報
【特許文献4】特開2014−161293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、難消化性デキストリンには異味や異臭があることが知られているため、酸味成分、甘味成分、塩味成分のいずれか1種又は2種以上を含まない容器詰飲料(特に、これらを3種とも含まない容器詰飲料)に、敢えて難消化性デキストリンの配合を試みること自体、当業者には容易ではないという状況があった。本発明者らは、当業者の通常の発想にとらわれず、様々な試みを行う中で、その試みの1つとして、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない、水様の容器詰飲料の香味に対して、難消化性デキストリンが与える影響について検討を行った。
【0007】
その結果、本発明者らは、酸味成分、甘味成分、塩味成分のいずれか1種又は2種以上を含む容器詰飲料に難消化性デキストリンを配合した場合とは異なり、酸味成分、甘味成分及び塩味成分をいずれも含有しない前述の水様の容器詰飲料に難消化性デキストリンを配合した場合は、難消化性デキストリンの特に異臭が顕著に感じられるという知見を得た。本発明者らはさらに、難消化性デキストリンを配合した前述の水様の容器詰飲料を長期保存すると、製造直後の該容器詰飲料と比較して、難消化性デキストリンの異臭がより強力でより不快になるという知見を得た。すなわち、本発明者らは、難消化性デキストリンを配合した前述の水様の容器詰飲料に特有の課題として、難消化性デキストリンの特に異臭が顕著に感じられるという課題、及び、長期保存によって、難消化性デキストリンのより強力でより不快な異臭が発生するという課題を新たに見いだした。
【0008】
また、難消化性デキストリンを配合した前述の水様の容器詰飲料においては、難消化性デキストリンの異臭を抑制するために、酸味成分、甘味成分、塩味成分を含有させると、水様の味覚が損なわれ得るという課題もある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない容器詰飲料の長期保存により発生する、より強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭を、水様の味覚を保持しつつ抑制し、長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料、及び、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない容器詰飲料であって、水様の味覚が保持されつつ、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭が抑制された難消化性デキストリン含有容器詰飲料を製造する方法について鋭意検討した結果、意外なことに、上記難消化性デキストリン含有容器詰飲料において、含有させる難消化性デキストリンの量を特定量とし、かつ、二酸化炭素を特定のガス圧となるように含有させることによって、水様の味覚を保持しつつ、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭を効果的に抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない、容器詰飲料であって、
難消化性デキストリンの含有量を、飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内に調整し、かつ、二酸化炭素を0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように含有したことにより、水様の味覚が保持されつつ、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭が抑制されたことを特徴とする、長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料や、
(2)さらに着色成分も含有しないことを特徴とする上記(1)に記載の難消化性デキストリン含有容器詰飲料や、
(3)溶存二酸化炭素の脱気処理が行われていない状態で測定されたpHが2〜4の範囲内であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の難消化性デキストリン含有容器詰飲料や、
(4)酸味成分が、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、酒石酸、酢酸、アスコルビン酸、グルコン酸、乳酸、コハク酸、メチレンコハク酸、フマル酸、アジピン酸、フィチン酸及びグルタル酸、並びに、それらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上であり、塩味成分が、塩化ナトリウム及び塩化カリウムからなる群から選択される1種又は2種であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の難消化性デキストリン含有容器詰飲料に関する。
【0012】
また、本発明は、
(5)難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を添加しない容器詰飲料の製造に際して、
前記飲料の製造原料に、飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内の難消化性デキストリンを含有させ、かつ、0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように二酸化炭素を含有させることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない容器詰飲料の長期保存により発生する、より強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭を、水様の味覚を保持しつつ抑制し、長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料(以下、「本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料」とも表示する)、及び、その製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない容器詰飲料であって、難消化性デキストリンの含有量(又は添加量)を、飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内に調整し、かつ、二酸化炭素を0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように含有したことにより、水様の味覚が保持されつつ、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭が抑制されたことを特徴とする、長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料、及びその製造方法からなる。
【0015】
<本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料>
難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内の難消化性デキストリンを含有し、及び、二酸化炭素を0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように含有すること以外は、用いる製造原料、製造方法並びに製造条件において、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない通常の容器詰飲料(例えば、容器詰の水)と特に相違する点はない。本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、長期保存により発生する、より強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭を、水様の味覚を保持しつつ抑制し、長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料である。かかる「長期保存」における「長期」とは例えば3日間以上、好ましくは1週間以上、より好ましくは3週間以上、さらに好ましくは4週間以上の期間を意味し、期間の上限としては1年間以内を好ましく挙げることができる。また、上記「長期保存」における保存温度としては特に制限はないが、例えば−20℃〜50℃の範囲内や、0℃〜35℃の範囲内や、0℃〜10℃の範囲内の温度を挙げることができる。また、本明細書における容器詰飲料の「保存」には、小売店で販売される際の店頭での保存のほか、小売店や飲料の製造会社等の倉庫等での保存、自動販売機内での保存などが含まれる。なお、本明細書において、「〜」で表された数値範囲には、特に言及がない限り、「〜」の両端の数値も当然含まれる。
【0016】
<難消化性デキストリン>
難消化性デキストリンとは、とうもろこし、小麦、米、豆類、イモ類、タピオカなどの植物由来の澱粉を加酸(例えば塩酸を添加)及び/又は加熱して得た焙焼デキストリンを、必要に応じてαアミラーゼ及び/又はグルコアミラーゼで酵素処理した後、必要に応じて脱塩、脱色した水溶性食物繊維であり、難消化性の特徴を持つものをいう。かかる難消化性デキストリンには、平成11年4月26日付衛新第13号(「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」)に記載の食物繊維の分析方法である高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)で測定される難消化性成分を含むデキストリン、好ましくは85〜95質量%の難消化性成分を含むデキストリンなどが含まれる。本発明で用いる難消化性デキストリンには、便宜上、水素添加により製造される、難消化性デキストリンの還元物も含まれるものとする。なお、難消化性デキストリンやその還元物(還元難消化性デキストリン)は、粉末、細粒、顆粒などの形態で市販されており、いずれの形態のものでも本発明に使用することができる。
【0017】
本発明における難消化性デキストリンの使用量(含有量又は添加量、好ましくは添加量)としては、飲料全量に対して、例えば0.5〜2.5重量%の範囲内とすることができ、難消化性デキストリンの健康機能を十分に得ることと、長期保存に対して香味を保持することのバランスの観点から、0.6〜2.3重量%の範囲内が好ましく、0.8〜2.0重量%の範囲内がより好ましく、1.0〜1.8重量%の範囲内がさらに好ましい。0.5重量%以下では、長期保存による、より強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭がそもそも発生せず、また、難消化性デキストリンの健康機能を十分に得られない場合があり、一方、2.5重量%より高いと、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭を、容器詰飲料の香味バランスを保ったまま十分に抑制できない場合があるからである。
【0018】
飲料中の難消化性デキストリン含量は、例えば、平成11年4月26日衛新第13号(「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」)に記載の食物繊維の分析方法である高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により測定することができる。
【0019】
<ガス圧>
本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、二酸化炭素を0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように含有したことにより、水様の味覚が保持されつつ、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭が抑制されている。本発明におけるガス圧は、20℃における容器内でのガス圧を意味する。かかるガス圧は、例えば、20℃で保存した本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料のガス圧を、市販のガス圧力計を用いて測定することができる。なお、難消化性デキストリンの使用量(含有量又は添加量、好ましくは添加量)が飲料全量に対して1〜2.5重量%の範囲内である場合に、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭を十分に抑制する観点から好ましい、ガス圧と、難消化性デキストリンの使用量(含有量又は添加量、好ましくは添加量)との関係として、以下の式を満たす関係が特に好適に挙げられる。
Y≧0.1X+0.1[Xは飲料全量に対する難消化性デキストリンの使用量(重量%)を表し、Yはガス圧(MPa)を表す。ただし、Xは1以上2.5以下の数値であり、Yは0.2以上0.35以下の数値である。]
また、難消化性デキストリンの使用量(含有量又は添加量、好ましくは添加量)が飲料全量に対して0.5重量%以上1.0重量%未満の範囲内である場合は、ガス圧は0.2〜0.35MPaの範囲内のいずれでも好適である。
【0020】
本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料におけるガス圧は、該飲料に吹き込む二酸化炭素の量や圧力を調整することによって調節することができる。本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料のガス圧は、通常の方法で測定することができ、例えば、ガスボリューム測定装置GVA-500B(京都電子工業株式会社製)等の市販の測定装置を用いて、常法により測定することができる。
【0021】
<酸味成分、甘味成分、塩味成分>
本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有していない。本明細書において、「酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有していない」とは、それらの3種のいずれの成分も完全に含有していないことの他、水様の味覚を損なわない量であり、それら3種のいずれの成分も、飲料全量に対して130ppm未満(好ましくは50ppm未満、より好ましくは30ppm未満、さらに好ましくは15ppm未満、より好ましくは10ppm未満、さらに好ましくは5ppm未満、より好ましくは1ppm未満)であることも、便宜上含まれ、好適な態様としては、酸味成分、甘味成分がそれぞれ飲料全量に対して、30ppm未満(好ましくは15ppm未満、より好ましくは10ppm未満、さらに好ましくは5ppm未満、より好ましくは1ppm未満)であり、かつ、塩味成分が飲料全量に対して130ppm未満(好ましくは50ppm未満、より好ましくは30ppm未満、さらに好ましくは15ppm未満、より好ましくは10ppm未満、さらに好ましくは5ppm未満、より好ましくは1ppm未満)であることが含まれる。
【0022】
上記の酸味成分としては、飲料に含有させたときに飲料に酸味を与える成分である限り特に制限されず、酸味料の他、果汁、野菜汁等の植物汁、果実抽出物、野菜抽出物等の植物抽出物なども含まれる。前述の酸味料としては、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、酒石酸、酢酸、アスコルビン酸、グルコン酸、乳酸、コハク酸、メチレンコハク酸、フマル酸、アジピン酸、フィチン酸及びグルタル酸、並びに、それらの塩からなる群から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。上記の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0023】
上記の甘味成分としては、飲料に含有させたときに甘味を与える成分である限り特に制限されず、甘味料の他、果汁、野菜汁等の植物汁、果実抽出物、野菜抽出物等の植物抽出物なども含まれる。前述の甘味料としては、ショ糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖等の糖類(特に単糖や二糖)、糖アルコール、高甘味度甘味料(非糖質系甘味料)などの甘味料を挙げることができる。上記の高甘味度甘味料としては、天然高甘味度甘味料であっても、合成高甘味度甘味料であってもよく、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア抽出物、ステビア末、酵素処理ステビア、ネオテーム等が挙げられる。
【0024】
上記の塩味成分としては、飲料に含有させたときに塩味を与える成分であり、好ましくは、塩化ナトリウム等のナトリウムを含む物質や、塩化カリウム等のカリウムを含む物質が挙げられる。なお、ナトリウムを含む物質や、カリウムを含む物質について、前述の含有許容濃度(飲料全量に対して例えば130ppm未満)を算出する際は、ナトリウム濃度やカリウム濃度に換算した値を用いる。
【0025】
本明細書において、「酸味成分」、「甘味成分」、「塩味成分」は、互いに排他的な概念ではなく、成分の性質によっては、「酸味成分」、「甘味成分」、「塩味成分」のうち、2種類又は3種類に重複して分類される成分もあり得る。
【0026】
<着色成分>
本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、着色成分を含有していてもよいが、水様の外観を保持する観点から、着色成分を含有しないことが好ましい。着色成分としては、色素を含む成分である限り特に制限されず、カラメル、ラック色素、ブドウ果皮色素、β−カロテンなどが挙げられる。
【0027】
<pH>
本明細書において、難消化性デキストリン含有容器詰飲料のpHとは、溶存二酸化炭素の脱気処理が行われていない状態で測定されたpHの測定値を意味する。かかる脱気処理としては、飲料を収容する容器やタンク内を減圧して飲料中の溶存二酸化炭素を脱気する方法、減圧したタンク内で飲料を噴霧することにより、飲料中の溶存二酸化炭素を脱気する方法、膜を介した気体透過によって、飲料中の溶存二酸化炭素を脱気する方法、飲料を20℃以上(例えば35〜100℃の範囲内)に加熱して溶存二酸化炭素の溶解度を減少させることによって、飲料中の溶存二酸化炭素を脱気する方法、減圧されていない容器やタンク内で、飲料を15℃以上(例えば15〜35℃の範囲内)の環境下にて長時間(例えば2時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上)静置又は攪拌等することによって、飲料中の溶存二酸化炭素を脱気する方法などが挙げられる。本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料のpHは、特に制限されないが、水様の味覚を保持しつつ、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭をより効果的に抑制する観点から、例えば2〜4、好ましくは2〜3.8、より好ましくは2.5〜3.6の範囲内であることが好適に挙げられる。
【0028】
溶存二酸化炭素の脱気処理を行わずに、難消化性デキストリン含有容器詰飲料のpHを測定する方法としては、溶存二酸化炭素の脱気処理を行わない該飲料のpHを測定する方法である限り特に制限されず、例えば、PBA-S(Packaged Beverage Analyzer for Soft Drinks)及びpH ME Measuring Module(Anton Paar社製)を用いて飲料のpHを測定する方法が好ましく挙げられる。かかる好ましい方法を用いる場合の好ましい測定条件として、PBA-Sを不活性ガスを用いて加圧し、設定圧が0.5MPa以上となるように調整する条件、及び/又は、pHの測定前に、PBA-SやpH ME Measuring Moduleの取扱説明書に指定の方法に従ってpH校正を行う条件を挙げることができる。その際のpHの校正は2点校正とすることが好ましく、かかる2点校正としては、中性りん酸塩pH標準液(pH6.86、和光純薬工業社製)及びフタル酸塩pH標準液(pH4.01、和光純薬工業社製)を用いる2点校正が好ましい。
【0029】
<その他成分>
本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、マグネシウム、カルシウム等のミネラルや、フレーバーなどのその他成分を含有させない又は添加しなくてもよいが、水様の味覚を損なわない範囲で、マグネシウム、カルシウム等のミネラルや、フレーバーなどのその他成分を含有させ又は添加してもよい。
【0030】
本発明における容器としては、ペットボトル、ポリプロピレンボトル、ポリ塩化ビニルボトル等の樹脂ボトル容器;ビン容器;缶容器;紙パック容器;ラミネートパック容器;等の容器が挙げられるが、水様のさわやかな外観がより明確に消費者に認識される点で、樹脂ボトル容器や、透明度の高いビン容器が好ましく挙げられる。
【0031】
本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、殺菌処理された容器詰飲料であることが好ましい。
【0032】
本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料としては、具体的には、炭酸水(スパークリングウォーター)が好ましく挙げられる。
【0033】
<難消化性デキストリンの異臭の抑制>
本発明において、「長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭が抑制された」難消化性デキストリン含有容器詰飲料とは、難消化性デキストリンの含有量が飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内の難消化性デキストリン含有容器詰飲料であって、かつ、二酸化炭素を0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように含有させないこと以外は同様に製造した難消化性デキストリン含有容器詰飲料と比較して、長期保存により発生する強力でより不快な異臭が抑制された難消化性デキストリン含有容器詰飲料を意味する。「長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭が抑制された」難消化性デキストリン含有容器詰飲料には、難消化性デキストリンの含有量が飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内の難消化性デキストリン含有容器詰飲料であって、かつ、二酸化炭素を0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように含有させないこと以外は、同種、同量の原料を用いて同じ製法で製造した難消化性デキストリン含有容器詰飲料(以下、「コントロール容器詰飲料」とも表示する。)と比較して、長期保存後の容器詰飲料中の難消化性デキストリンの異臭が抑制された難消化性デキストリン含有容器詰飲料が含まれる。上記の「長期保存後の容器詰飲料」の一例として、50℃で1週間保管した容器詰飲料が挙げられる。高めの温度で保存すると、低めの温度でより長期に保存した場合と同様の状態の容器詰飲料を、より速やかに入手することができる。長期保存後のある容器詰飲料中の難消化性デキストリンの異臭が、長期保存後のコントロール容器詰飲料中の難消化性デキストリンの異臭と比較して抑制されているかどうかは、訓練されたパネラーであれば、容易かつ明確に決定することができる。なお、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭が抑制されていれば、製造直後や短期保存後の難消化性デキストリンの異臭も抑制されているため、本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、製造直後や短期保存後の難消化性デキストリンの異臭も抑制されている。
【0034】
<水様の味覚の保持>
本発明において、「水様の味覚が保持された」飲料とは、その飲料の味覚のうち、二酸化炭素に由来する香味を除いた味覚が、水(好ましくはミネラルウォーター)に類似した味覚(味わい)である飲料を意味し、例えばその飲料の二酸化炭素を抜いた後、訓練されたパネラーが官能評価すれば、かかる「水様の味覚」を特定することができる。
【0035】
<本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料の製造方法>
本発明の難消化性デキストリン含有容器詰飲料は、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有させず、飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内の難消化性デキストリンを含有させ、かつ、0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように二酸化炭素を含有させること以外は、従来公知の炭酸水飲料の製造方法にしたがって製造することができる。本発明の製造方法としては、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を添加しない容器詰飲料の製造に際して、前記飲料の製造原料(水、場合によっては、さらに着色成分やその他成分等)に、飲料全量に対して0.5〜2.5重量%の範囲内の難消化性デキストリンを含有させ、かつ、0.2〜0.35MPaの範囲内のガス圧となるように二酸化炭素を含有させる方法である限り特に制限されず、好ましくは、難消化性デキストリンを含有させ、及び、二酸化炭素を含有させた後、殺菌することをさらに含む方法を挙げることができる。
【0036】
本発明の製造方法のより具体的な工程としては、
水以外の製造原料(難消化性デキストリン、場合によっては、さらに着色成分やその他成分等)を、水に添加する調合工程A:
調合工程Aを経た調合液に二酸化炭素を吹き込む工程B:及び
工程Bを経た液体を容器に充填する工程C:
を有する方法を挙げることができる。また、かかる方法は、殺菌工程を有していてもよい。殺菌工程を有する方法としては、
水以外の製造原料(難消化性デキストリン、場合によっては、さらに着色成分やその他成分等)を、水に添加する調合工程A:
調合工程Aを経た調合液に二酸化炭素を吹き込む工程B:
工程Bを経た液体を容器に充填する工程C1:及び
工程C1を経た液体入り容器を殺菌する工程D1:
を有する方法の他、
該方法の工程C1と工程D1の順序を逆にした以下の方法を挙げることができる。
水以外の製造原料(難消化性デキストリン、場合によっては、さらに着色成分やその他成分等)を、水に添加する調合工程A:
調合工程Aを経た調合液に二酸化炭素を吹き込む工程B:
工程Bを経た液体を殺菌する工程D2:
工程D2を経た液体を容器に充填する工程C2。
【0037】
殺菌方法としては特に制限されず、例えば、高温短時間殺菌法(HTST法)、レトルト殺菌法、超高温加熱処理法(UHT法)等を挙げることができる。
【0038】
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0039】
[二酸化炭素を含有させること、及び、そのガス圧の違いによる、難消化性デキストリンの異臭への影響]
イオン交換水に難消化性デキストリン(松谷化学社製)を1.0重量%添加した後、その液体に二酸化炭素を所定のガス圧(後述の表1参照)になるまで吹き込んだ。次いで、それぞれの液体を各ペットボトル容器に充填し、容器詰を行うことによって、後述の試験1〜5のサンプル飲料を得た。これらのサンプル飲料は、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない、容器詰飲料である。また、容器詰直後の各サンプル飲料のpHは後述の表1の通りであった。
【0040】
上記試験1〜5の各サンプル飲料のそれぞれについて、「容器詰直後のサンプル飲料」と、「50℃で1週間保管した後のサンプル飲料」の両方の試験区を用意した。これらのサンプル飲料について、難消化性デキストリンによる異臭の有無を、炭酸飲料の商品開発に精通した7人のパネルで評価した。各試験区のサンプル飲料について「異臭を強く感じる」と判断したパネルの人数は以下の表1に示す通りであった。
【0041】
【表1】
【0042】
また、炭酸ガスによるpH調整で、飲料のpHを4以下、望ましくは3.8以下に調整することが望ましいことがわかった。(試験4、pH3.6)。サンプル飲料のpHは、サンプル飲料の脱気処理を行わず、PBA-S(Packaged Beverage Analyzer for Soft Drinks)及びpH ME Measuring Module(Anton Paar社製)を用いて測定した。測定の際、PBA-Sは不活性ガスを用いて加圧し、設定圧が0.5MPa以上となるように調整した。また測定前にこれらの装置の取扱説明書に指定の方法に従ってpH校正を行った。pHの校正は2点校正とし、中性りん酸塩pH標準液(pH6.86、和光純薬工業社製)及びフタル酸塩pH標準液(pH4.01、和光純薬工業社製)を用いた。また、サンプル飲料のガス圧は、ガスボリューム測定装置GVA-500B(京都電子工業株式会社製)を用いて測定した。
【0043】
表1の結果から、サンプル飲料が含有する二酸化炭素のガス圧が高くなるにつれて、難消化性デキストリンの異臭を強く感じたパネルの人数は減少する傾向が認められた。より詳細には、試験1(ガス圧0.05MPa)においては、50℃1週間保管の試験区はもちろん、容器詰直後の試験区でさえも、難消化性デキストリンの異臭は抑制されず、試験2(ガス圧0.1MPa)や試験3(ガス圧0.15MPa)においては、容器詰直後の試験区では、難消化性デキストリンの異臭をある程度又はかなり抑制されることが示されたものの、50℃1週間保管の試験区では、ほとんど抑制されないことが示された。一方、二酸化炭素のガス圧が0.2MPa以上の試験区(試験4、試験5)のサンプル飲料では、容器詰直後の試験区だけでなく、50℃1週間保管の試験区でも、難消化性デキストリンの異臭が抑制されることが示された。
【0044】
表1の結果から、二酸化炭素を0.2MPa以上(好ましくは0.2〜0.35MPaの範囲内)のガス圧となるように含有させると、長期保存により発生するより強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭を抑制できることが示された。
【実施例2】
【0045】
[難消化性デキストリンの含有量の違いによる、難消化性デキストリンの異臭への影響]
イオン交換水に難消化性デキストリン(松谷化学社製)を所定量(後述の表2参照)添加した後、その液体に二酸化炭素をガス圧0.2〜0.35MPaの範囲になるまで吹き込んだ。次いで、それぞれの液体を各ペットボトル容器に充填し、容器詰を行うことによって、後述の試験6〜8のサンプル飲料を得た。なお、これらのサンプル飲料は、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない、容器詰飲料である。
【0046】
上記試験6〜8の各サンプル飲料のそれぞれについて、「容器詰直後のサンプル飲料」と、「50℃で1週間保管した後のサンプル飲料」の両方の試験区を用意した。これらのサンプル飲料について、難消化性デキストリンによる異臭の有無を、実施例1の官能試験と同様の方法で評価した。すなわち、炭酸飲料の商品開発に精通した7人のパネルのうち、何人が「異臭を強く感じる」と判断したか、で評価した。各試験区のサンプル飲料について「異臭を強く感じる」と判断したパネルの人数を、以下の表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
難消化性デキストリンの添加量が多くなると、難消化性デキストリンの異臭の問題が生じやすくなるところ、表2の結果から、難消化性デキストリンの添加量が0.6重量%や1.0重量%であり、かつ、ガス圧が0.2MPaである場合(試験6、試験7)は、容器詰直後の試験区でも、50℃1週間保管の試験区でも、難消化性デキストリンの異臭が十分に抑制されることが示された。また、難消化性デキストリンの添加量が2.5重量%であり、かつ、ガス圧が0.35MPaである場合(試験8)も、容器詰直後の試験区、50℃1週間保管の試験区のいずれでも、難消化性デキストリンの異臭が十分に抑制されることが示された。しかし、難消化性デキストリンの添加量が2.5重量%を超えた濃度では難消化性デキストリンの異臭は十分には抑制されなかった。
【0049】
表2等の結果から、難消化性デキストリンの添加量は、約0.5〜2.5重量%の範囲内、好ましくは約0.6〜2.3重量%の範囲内、より好ましくは約0.8〜2.0重量%の範囲内、さらに好ましくは約1.0〜1.8重量%の範囲内であることが示された。
【0050】
なお、上記実施例1及び2では、難消化性デキストリンの使用量を「添加濃度」で記載しているが、上記のサンプル飲料には、他に難消化性デキストリンを含む原料は含まれていないため、難消化性デキストリンの「添加濃度」は「含有濃度」と同義となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、難消化性デキストリンを含有し、かつ、酸味成分、甘味成分及び塩味成分を含有しない容器詰飲料の長期保存により発生する、より強力でより不快な難消化性デキストリンの異臭を、水様の味覚を保持しつつ抑制し、長期保存に対して香味の保持された難消化性デキストリン含有容器詰飲料、及び、その製造方法を提供する。