特許第6596212号(P6596212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596212
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】外付けPTC素子および筒型電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-62356(P2015-62356)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-181473(P2016-181473A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂口 誠
【審査官】 松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−063553(JP,A)
【文献】 実開平07−041974(JP,U)
【文献】 特開2013−101794(JP,A)
【文献】 特開2002−164085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端面に電極端子を備えた筒形電池の一方の電極端子に取り付けられる外付けPTC素子であって、
下方に配置された金属板からなる底板の上方に板状のPTCチップ部品と金属板からなる天板がこの順に積層されてなり、
前記PTCチップ部品は環状に成形され、
前記天板と前記底板の双方が環状に形成されて、上方から見たときに、当該天板の内側空洞領域と、当該底板の内側空洞領域とが、ともに前記PTCチップ部品の内側空洞領域を包含している、
ことを特徴とする外付けPTC素子。
【請求項2】
請求項1において、上方から見たときに、前記PTCチップ部品の外形平面領域が前記天板の外形平面領域を包含していることを特徴とする外付けPTC素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の前記外付けPTC素子が取り付けられてなる筒形電池であって、両端面を電極端子として、一方の端面の電極端子の上面に前記外付けPTC素子における前記底板の下面が接触した状態で取り付けられていることを特徴とする筒形電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池に外付けされるPTC素子、および当該外付けPTC素子が取り付けられてなる筒型電池に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者によって電池交換ができない電子機器では、電池自体が電子部品の一つとしてその電子機器の回路基板に実装されている。そして大電流を扱う電子機器では電池内外の短絡などによって電池の温度が上昇したときに電流を遮断するための安全装置が必要となる。そこでリチウム電池などの大電流放電が可能な電池にはPTC(Positive Temperature Coefficient)素子が組み込まれているものがある。周知のごとく、PTC素子は通常は低抵抗であるが温度が上昇したときに電気抵抗が増大する板状の高分子材料(ポリマー)やセラミックス材料(以下、PTC材料とも言う)の両面に金属箔を配置した積層構造を有するチップ部品である。電池内に組み込まれるPTC素子は、普通、一方の電極端子を兼ねる封口体内に配置される。
【0003】
しかしながらPTC素子を内蔵できない封口構造を備えた電池もある。あるいは電池内に組み込まれたPTCの電流遮断特性が電子機器側で要求される特性と一致しないような場合もある。そこでそのような場合に対応する電子部品として、電池の電極端子に外付けされるPTC素子(以下、外付けPTC素子とも言う)がある。そして外付けPTC素子が取り付けられた電池を電子機器内に組み込むのである。
【0004】
外付けPTC素子は、チップ部品である平板状のPTC素子(以下、PTCチップ部品とも言う)を金属板で挟持した構造であり、金属板とPTCチップ部品における金属箔とはリフロー半田付けなどによって相互に接合されている。なお以下の特許文献1には板状のPTCチップ部品を2枚の帯状の金属板で狭持した構造の外付けPTC素子について記載されている。また以下の非特許文献1にはPTC材料にポリマーを用いた所謂「ポリスイッチ」と呼ばれるPTCチップ部品の構造や特性などについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−150918号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社、”「ポリスイッチの概要と選定方法」「ポリスイッチの信頼性」”、[online]、[平成27年2月20日検索]、インターネット<URL:http://www.te.com/japan/bu/circuitprotection/polyswitch/pdf/2011_fundamentals.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように外付け用PTC素子は、PTC素子を金属板で挟持した構造であり、その外付けPTC素子は電池の電極端子に直接取り付けられるものである。しかしながら特許文献1などに記載されている外付けPTC素子では、2枚の帯状の金属板がそれぞれの基端側でPTC素子を挟持し、金属板のそれぞれの先端は互いに反対方向を向くように延長している。そしてこのような外付けPTC素子を、例えば円筒形電池などの汎用的な電池に取り付ける場合、PTC素子を挟持する2枚の金属板の一方の先端を電池の電極端子に取り付ける。そのため、この一方の金属板は帯状に延長し基端側で他方の金属板と対面し、その対面領域でPTC素子を挟持し、その他方の金属板がさらに帯状に延長することになる。これでは外付けPTC素子は電池の外方に大きく突出してしまう。そしてこの外付けPTC素子が取り付けられた状態の電池を回路基板に実装すれば回路基板の実装面積の多くを占有してしまい、電子機器の小型化を阻害する。譬え帯状の金属板を電池に沿わせるように折り曲げたとしても、外付けPTC素子を含めた電池のサイズが大型化し、やはり電子機器の小型化が難しくなる。
【0008】
そこで電池の電極端子と同様の平面形状を有する2枚の電極板の間にPTC素子を挟持し、2枚の金属板の一方を電極端子に取り付けることが考えられる。例えば、円筒形電池用の外付けPTC素子であれば、円板状のPTCチップ部品を2枚の円板状の電極板で挟持した構造にする。そして一方の円板状の金属板を電極端子にスポット溶接などによって取り付けるのである。しかしながら電池の電極端子の形状に合わせて専用のPTCチップ部品を用意すれば製造コストが増加する可能性がある。したがって可能な限り汎用部品を用いて外付けPTC素子を構成してコスト増加を抑制することも必要となる。
【0009】
ところで電池用のPTC素子としては、電池の封口体内部に組み込まれることを想定して環状に成形されているものがあり、この従前からあるPTC素子を外付けPTC素子に転用できれば、専用のPTC素子を用いる必要が無く、コストダウンが図れる。ところが環状のPTCチップ部品を用いた外付けPTC素子では二枚の金属板間が短絡するという問題が発生することが判明した。具体的には、外付けPTC素子は、二枚の金属板でPTCチップ部品を挟持した構造であり、薄いPTCチップ部品と金属板はリフロー半田付けによって一体化される。そのためリフロー半田の塗布位置がずれていたり、塗布量が過剰であったりした場合に、リフロー半田付けの工程に際して半田ボールが発生する可能性がある。外付けPTC素子を電池の電極端子に溶接する場合は、その溶接時の熱によって固化した半田が溶解して再固化する際に半田ボールが発生する可能性もある。そしてその半田ボールが環状のPTC素子の内側(以下、内側空洞領域とも言う)に入り込むと、その半田ボールがPTCチップ部品を挟持する2枚の金属板に接触して短絡させる可能性がある。
【0010】
そこで本発明は、環状のPTCチップ部品を2枚の金属板で挟持した構造としつつ、半田ボールによる短絡を確実に防止できる外付けPTC素子、およびその外付けPTC素子が取り付けられてなる筒型電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明は、両端面に電極端子を備えた筒形電池の一方の電極端子に取り付けられる外付けPTC素子であって、
下方に配置された金属板からなる底板の上方に板状のPTCチップ部品と金属板からなる天板がこの順に積層されてなり、
前記PTCチップ部品は環状に成形され、
前記天板と前記底板の双方が環状に形成されて、上方から見たときに、当該天板の内側空洞領域と、当該底板の内側空洞領域とが、ともに前記PTCチップ部品の内側空洞領域を包含している、
ことを特徴とする外付けPTC素子としている。
【0012】
上方から見たときに、前記PTCチップ部品の外形平面領域が前記天板の外形平面領域を包含している外付けPTC素子とすることもできる。
【0013】
また上記のいずれかに記載の前記外付けPTC素子が取り付けられてなる筒形電池も本発明の範囲であって、当該筒型電池は、両端面を電極端子として、一方の端面の電極端子の上面に前記外付けPTC素子における前記底板の下面が接触した状態で取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の外付けPTC素子によれば、汎用的な環状のPTCチップ部品を用いてコストアップを抑制しつつ、半田ボールに起因する短絡を確実に防止することができる。なおその他の効果については以下の記載で明らかにする。またそのPTC素子が取り付けられてなる本発明に係る筒型電池によれば、熱暴走が確実に防止されて、熱暴走よる筒型電池自体および当該筒型電池が実装される電子回路の破損を確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施例に係る外付けPTC素子の一例を示す図である。
図2】上記第1の実施例に係る外付けPTC素子を電池の一方の電極端子に取り付けた状態を示す図である。
図3】上記第1の実施例に係る外付けPTC素子を電池の他方の電極端子に取り付けた状態を示す図である。
図4】上記第1の実施例の変形例に係る外付けPTC素子を示す図である。
図5】上記第1の実施例において問題となる半田ボールの大きさを示す図である。
図6】本発明の第2の実施例に係る外付けPTC素子を示す図である。
図7】外付けPTC素子の外側にある半田ボールに関わる問題点を説明するための図である。
図8】本発明の第3の実施例に係る外付けPTC素子を示す図である。
図9】上記第3の実施例の変形例に係る外付けPTC素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。ある図面において符号を付した部分について、不要であれば他の図面ではその部分に符号を付さない場合もある。
【0017】
===第1の実施例===
本発明の実施例として円筒形電池を取付け対象とした外付けPTC素子を挙げる。図1に本発明の第1の実施例に係る外付けPTC素子1aの構造を示した。図1(A)は第1の実施例に係る外付けPTC素子1aの分解斜視図であり、図1(B)は当該外付けPTC素子1aを上方から見たときの平面図である。図1(C)は(B)におけるa−a矢視断面に対応する縦断面図である。なおこの図1では外付けPTC素子1aを構成する各部材を異なるハッチングによって示している。そして第1の実施例に係る外付けPTC素子1aは、他の実施例に共通の基本構成を備えている。
【0018】
図1(A)に示したように、第1の実施例に係る外付けPTC素子(以下、第1実施例1aとも言う)は円環状のPTCチップ部品10を平板状の2枚の金属板(20、30)で狭持した構造であり、金属板(20、30)とPTCチップ部品10とはリフロー半田付けによって接合されている。この例では金属板(20、30)としてニッケル板を用い、PTCチップ部品10には高温になると電気抵抗が増大する特性を有する導電性ポリマーをアルミ箔などの金属箔で狭持した所謂「ポリスイッチ」を用いている。
【0019】
ここで第1実施例1aを含めた以下の各実施例において、PTCチップ部品10を狭持する2枚の金属板(20、30)のうち、電池の電極端子に直接取り付けられる側の金属板20を「底板」と言うこととする。PTCチップ部品10を介して底板20と対面する金属板30については「天板」とも言うこととする。また底板20を下方として、底板20の上方にPTCチップ部品10と天板30がこの順に積層されていることして上下の各方向を規定することとする。
【0020】
ここに示した第1実施例1aでは、天板30がPTCチップ部品10と同様に円環状に形成されており、天板30の外径φ2に対して底板20の外径φ1が大きく、PTCチップ部品10の外径φ3は天板30の外径φ2にほぼ一致している。さらに天板30の内径φ4はPTCチップ部品10の内径φ5よりも大きい。すなわち図1(B)に示したように、上方から見たときに、円環状の天板30における円形の内側空洞領域31がPTCチップ部品10における内側空洞領域11を包含している。そして図1(C)に示したように、PTCチップ部品10の内側空洞領域11では、底板20の上面21と天板30の下面32が対面せず、PTCチップ部品10の内側空洞領域11の縁端が天板30の内側空洞領域31の縁端よりも内方にある。すなわち天板30の内周縁端33に対してPTCチップ部品10の内周縁端12が内方に突出している。そのためPTCチップ部品10の内側空洞領域11に半田ボール40が存在しても、その半田ボール40は下方にて底板20の上面21に接触し、側方はPTCチップ部品10の内周縁端12に当接する。それによって底板20の上面21と天板30の内周縁端33の双方に半田ボールが接触することによる短絡を防止している。
【0021】
図2に円筒形電池50の電極端子52に図1に示した第1実施例1aが取り付けられた状態を示した。この例では、円筒形電池(以下、電池50とも言う)の一方(ここでは下方)の端面には凸状の一方の極の電極端子51が形成され、他方(上方)の端面は平坦面で、この平坦面が他方の極の電極端子52となっている。そしてここでは平坦面となっている側の電極端子52に第1実施例1aが取り付けられている例を示した。
【0022】
図2に示したように、第1実施例1aを電池50に取り付ける際には、底板20の上面21において天板30の平面領域の外側に露出する領域22に電極端子52とスポット溶接やレーザー溶接などの溶接を行う箇所23を設ければよい。もちろん第1実施例1aは凸状の電極端子51に取り付けることもできる。この場合は、例えば図3に示したように、PTC素子10の内側空洞領域11内に底板20の上面21が露出しており、この露出した領域24に溶接箇所23を設ければよい。
【0023】
なお図1に示した第1実施例1aでは天板30が環状であったが底板20を環状にした変形例も考えられる。図4に当該変形例に係る外付けPTC素子(以下、変形例1bとも言う)の縦断面図を示した。ここではこの変形例1bを電池50における平坦面側の電極端子52に取り付けた状態を示している。図4に示したように変形例1bでは、天板30が内側空洞領域を持たない平板状で、底板20が環状となっている。そして上下方向から見たときに底板20における内側空洞領域26がPTCチップ部品10の内側空洞領域11を包含している。
【0024】
ところで図4に示した変形例1bでは、底板20の下面25からPTCチップ部品10の上面13までの厚さtよりも外径が大きな半田ボール40が発生した場合には電池50の電極端子52の上面53と天板30の下面32との間で短絡が生じる可能性があるものの、特殊な状況を除けば、このような大きな半田ボール40が発生する可能性を考慮する必要は無い。特殊な状況としては、例えば、試作段階の外付けPTC素子に対し、底板、PTCチップ部品、および天板のそれぞれの界面に塗布するリフロー半田の印刷位置精度や塗布量の調整を行っているような場合などが考えられる。言い換えれば、少なくとも製品として出荷できる段階にあれば図4に示した変形例1bの構成で憂慮されるような大きな半田ボールが発生することは無いと言える。すなわち少なくとも底板と天板の一方が環状で、いずれか一方の内側空洞領域がPTCチップ部品の内側空洞領域を包含するように形成されていれば、外付けPTC素子の製造過程で発生するほとんどの半田ボールに対しては充分に対応することができる。
【0025】
===第2の実施例===
第1実施例やその変形例に係る外付けPTC素子では半田ボールによる短絡をほぼ確実に防止することができる。しかし上述したように、試作段階での製造工程などでは大きな半田ボールが発生する可能性がゼロではない。すなわち図5に示したように、第1実施例1aの構造であっても、底板20と天板30とを短絡させるような大きな半田ボール40が発生する可能性がある。そこで本発明の第2の実施例として、環状のPTCチップ部品10の内側にどのような大きさの半田ボール40が存在していても、確実に底板20と天板30との間の短絡を防止できる外付けPTC素子を挙げる。図6に第2の実施例に係る外付けPTC素子(以下、第2実施例1cとも言う)の構造を縦断面図にして示した。ここでは第2実施例1cを電池50における平坦面側の電極端子52に取り付けた状態を示している。図6に示したように底板20と天板30の双方が環状であり、底板20と天板30の内側空洞領域(26、31)の双方がPTCチップ部品10の内側空洞領域11を包含している。それによって図中に示したように、環状のPTCチップ部品10の内側にどのような大きさの半田ボール40があっても、その半田ボール40はPTCチップ部品10の内周縁端12に当接し、底板20と天板30の双方の内周側縁端(27,33)同士が接触することがない。もちろん電池50の電極端子52と天板30の下面32との間での短絡も発生しない。
【0026】
===第3の実施例===
上記第1および第2実施例では、環状のPTCチップ部品の内側空洞領域にある半田ボールによる短絡を防止することを目的としていた。これは環状のPTCチップ部品の内側空洞領域は狭く、そこに入り込んだ半田ボールを除去することが容易でないからである。さらには図4に示した変形例1bのように天板30が環状ではなく平板状となっている場合では、外付けPTC素子1bを電池50に取り付けた後に発生した半田ボール40を目視することができないからである。
【0027】
一方PTC素子の外側にある半田ボールであれば目視しやすいし、譬え半田ボールが付着していたとしても外付けPTC素子の外側であれば、エアを吹き付けるなどして容易に半田ボールを除去することができる。しかし新入工員など検査に不慣れな人が目視検査を行うような場合では、外付けPTC素子の外側に付着して底板と天板を短絡させる半田ボールを見逃す可能性がある。図7に第1実施例1aの外側にある半田ボール40によって底板20の上面21と天板30の外周縁端34との間で短絡している状態を示した。そこで本発明の第3の実施例として、半田ボールによる外側での短絡を確実に防止できる外付けPTC素子を挙げる。
【0028】
図8は第3の実施例に係る外付けPTC素子(以下、第3実施例1dとも言う)の構造を示す縦断面図である。この図8に示したように、第3実施例1dでは、天板30の外径φ2がPTCチップ部品10の外径φ3よりも小さくなっている。そのため、外部に半田ボール40が付着していたとしても、PTCチップ部品10の外周縁端14に半田ボール40の表面が当接するため、半田ボール40が底板20と天板30の双方に接触することがない。すなわち短絡が発生しない。なお極めて考えにくいことではあるが、常識外の大きさの半田ボールの発生までも考慮するのであれば、図9に示した外付けPTC素子1eのように、底板20と天板30の双方の外径(φ1、φ2)をPTCチップ部品10の外径φ3よりも小さくすれば、底板20と天板30の外周縁端(28,34)の双方に半田ボール40の表面が接触することを完全に防止することができる。なおこの図9に示した外付けPTC素子1eのように底板20が環状で、かつPTCチップ部品10の平面領域が底板20の平面領域を包含している場合では、底板20の上面21が上方に露出せず、電池50の電極端子52に溶接するための領域がなくなる。このような場合には底板20の下面25と電極端子の上面(図中では平坦面側の電極端子52の上面53)とを導電性接着剤によって接着すればよい。
【0029】
===その他の実施例===
上記各実施例では、外付けPTC素子を円筒形電池の電極端子に取り付けることを想定し、底板と天板およびPTCチップ部品の外形が円形であった。もちろん外形は円形に限らず、矩形など適宜に変更することができる。いずれにしてもPTCチップ部品は内側空洞領域を有して環状に形成されていればよい。そして底板と天板もPTCチップ部品と同様の外形を有しつつ、少なくとも一方が環状で、その内側空洞領域がPTC素子の内側空洞領域を包含していればよい。
【符号の説明】
【0030】
1a〜1e 外付けPTC素子、10 PTCチップ部品、
11 PTCチップ部品の内側空洞領域、20 底板、23 溶接箇所、
26 底板の内側空洞領域、30 天板、31 天板の内側空洞領域、
40 半田ボール、50 電池、51,52 電極端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9