特許第6596217号(P6596217)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596217カシメ固定型パワーエレメント及びこれを用いた膨張弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596217
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】カシメ固定型パワーエレメント及びこれを用いた膨張弁
(51)【国際特許分類】
   F25B 41/06 20060101AFI20191010BHJP
   F16K 31/68 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   F25B41/06 L
   F25B41/06 Q
   F16K31/68 S
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-77094(P2015-77094)
(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公開番号】特開2016-196982(P2016-196982A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2018年1月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 亮
(72)【発明者】
【氏名】早川 潤哉
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/122435(WO,A1)
【文献】 特開2012−197990(JP,A)
【文献】 特開2005−164208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 41/06
F16K 31/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアフラムと、前記ダイアフラムとの間で作動ガスが封入される圧力作動室を形成する上蓋部材と、中央部に貫通孔を備えるとともに前記ダイアフラムに関して前記上蓋部材と反対側に配置される受け部材と、前記ダイアフラムと前記受け部材との間に形成される下部空間に配置されるストッパ部材と、を備え、前記上蓋部材と前記ダイアフラムと前記受け部材とを重ねて、外周部において周溶接により一体化したカシメ固定型パワーエレメントであって、
前記受け部材は、その外周部よりも中心側において当該外周部よりも一段下がって設けられた第1底面部と、当該第1底面部よりも中心側において当該第1底面部よりも一段下がって設けられその中央部に前記貫通孔が設けられた第2底面部とを備え、
前記ストッパ部材は、前記受け部材の前記貫通孔に挿通される本体部と、前記貫通孔より大径であって前記第2底面部の最大径よりも小径で前記本体部の一端に形成されたフランジ部と、を有し、
前記フランジ部は、前記下部空間における前記第2底面部の上部領域に位置し、前記下部空間側から前記受け部材に当接するように配置されており、
前記作動ガスが前記圧力作動室に封入された後、前記カシメ固定型パワーエレメントが膨張弁に組み付けられる前において、前記ダイアフラムは前記ストッパ部材に当接して支持される
ことを特徴とするカシメ固定型パワーエレメント。
【請求項2】
前記上蓋部材は、前記作動ガスを封入するための封入孔と、前記封入孔を封止するための封止栓と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載のカシメ固定型パワーエレメント。
【請求項3】
高圧の冷媒が導入される入口ポートと、該入口ポートに連通する弁室と、該弁室に開口する弁孔と、該弁孔の入口に形成される弁座と、前記弁孔を通過した冷媒が送り出される出口ポートとを有する弁本体と、前記弁座に対向して配設される弁部材と、を備え、
請求項1又は2に記載のカシメ固定型パワーエレメントを前記弁本体の上端にカシメ部を介して取り付けた
ことを特徴とする膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルに用いられる感温機構内蔵型の膨張弁に関し、特に、パワーエレメントを弁本体にカシメ構造で取り付けた膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に搭載される空調装置等に用いる冷凍サイクルについては、設置スペースや配管作業を省略するために、冷媒の通過量を温度に応じて調整する感温機構内蔵型の温度膨張弁が使用されている(例えば、特許文献1参照)。このような膨張弁の弁本体は、高圧の冷媒が導入される入口ポートと、入口ポートに連通する弁室を有する。
弁室内に配設される球状の弁部材は、弁室に開口する弁孔の弁座に対向し、パワーエレメントにより駆動される弁棒により操作されて、弁座との間の絞り通路の開度を制御する。
また、弁孔を通った冷媒は、出口ポートから蒸発器側へ送られる。蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒は、弁本体に設けられた戻り通路を通過する。
【0003】
弁本体の頂部には、パワーエレメントと称する弁部材の駆動機構が装備される。パワーエレメントは、圧力作動室を形成する上蓋部材と圧力を受けて弾性変形する薄板のダイアフラムと円盤状の受け部材で構成され、3つの部材を重ね合わせて外周部をTIG溶接やレーザ溶接等の手段により接合して形成される。
上蓋部材とダイアフラムで形成される圧力作動室には作動ガスが封入される。このとき、圧力作動室に作動ガスを封入するために、上蓋部材の頂部に穴を設け、この穴から作動ガスを封入した後に鋼球等で穴を塞ぎプロジェクション溶接手段などによって圧力作動室を封止する。
【0004】
特許文献1に開示されている感温機構内蔵型の温度膨張弁においては、パワーエレメントを弁本体に取り付ける際に、当該パワーエレメントの下カバーを弁本体のねじ孔に螺着することにより固定している。
このため、取り付けに際してパワーエレメント及び弁本体の両者に予めねじを加工する必要があり、膨張弁全体の製造工程やコストが増加する要因となる。
また、パワーエレメントを弁本体に螺着する構成のため、パワーエレメントと弁本体との高さ方向の位置関係において、ねじ込む深さによってバラツキが生じることがあった。
【0005】
これらの課題を解決した膨張弁として、弁本体の上端部にパワーエレメントをカシメ固定することにより一体化したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
このような構造を採用することにより、パワーエレメントと弁本体とに予めねじ加工することを省略できるとともに、高さ方向の位置決め精度を高めることができる。
そして、本明細書において、特許文献2に示すような、弁本体の上端部にカシメ固定されるタイプのパワーエレメントを「カシメ固定型パワーエレメント」と呼ぶこととする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−164208号公報
【特許文献2】特開2012−197990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2で示されたパワーエレメントは、上述のように、上蓋部材とダイアフラムとの間に形成される圧力作動室内に作動ガスを封入する必要がある。
このような作動ガスは、上記パワーエレメントを弁本体に取り付けてから封入してもよいが、その封入時の被封入材(膨張弁全体)の取り扱いを容易にするために、パワーエレメントを弁本体に取り付ける前のパワーエレメント単品の状態で、上記圧力作動室内に作動ガスを封入する手順で製造されている。
【0008】
図3は、特許文献2に適用されるカシメ固定型パワーエレメントの構成を示す縦断面図であり、図3(a)は作動ガス封止前の状態を示し、図3(b)は作動ガス封止後の状態を示す。
図3において、特許文献2に記載されているカシメ固定型パワーエレメントを組み立てる際に、上蓋部材1とダイアフラム2と受け部材3とを重ね合わせて外周部を周溶接し、上蓋部材1に形成された穴から作動ガスを封入して、その後、上記穴を栓4で封止する。
そして、作動ガスが封入されたパワーエレメントは、弁本体にカシメ固定されることにより、膨張弁の一部を構成する。
【0009】
ここで、作動ガス封入後のパワーエレメントにおいては、図3(b)に示すように、作動ガスが封入された上蓋部材1とダイアフラム2との間の内部空間1aの圧力(内圧)は、作動ガスにより大気圧より高くなるように設定されているため、ダイアフラム2が受け部材3側に突出するように変形する。また、内圧によってはダイアフラム2が受け部材3の開口部から張り出して露出することがある。
このような場合、作動ガスが封入されたカシメ固定型パワーエレメントのみを別工程で作成して搬送する際に、ダイアフラム2に搬送用の収納箱の内壁や他のパワーエレメント等が接触し、ダイアフラム2に傷が付いてその耐久性が低下したり、あるいはダイアフラム2が破損してしまうというおそれがあった。
【0010】
そこで本発明の目的は、上記特許文献2に示されるような、弁本体にカシメ固定されるカシメ固定型パワーエレメントにおいて、ダイアフラムの過剰な変形を抑制するとともに、取扱い時にダイアフラムの破損を防止できるパワーエレメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のカシメ固定型パワーエレメントは、ダイアフラムと、前記ダイアフラムとの間で作動ガスが封入される圧力作動室を形成する上蓋部材と、中央部に貫通孔を備えるとともに前記ダイアフラムに関して前記上蓋部材と反対側に配置される受け部材と、前記ダイアフラムと前記受け部材との間に形成される下部空間に配置されるストッパ部材と、を備えるとともに、前記上蓋部材と前記ダイアフラムと前記受け部材とを重ねて、外周部において周溶接により一体化したものであって、前記受け部材は、その外周部よりも中心側において当該外周部よりも一段下がって設けられた第1底面部と、当該第1底面部よりも中心側において当該第1底面部よりも一段下がって設けられその中央部に前記貫通孔が設けられた第2底面部とを備え、前記ストッパ部材は、前記受け部材の前記貫通孔に挿通される本体部と、前記貫通孔より大径であって前記第2底面部の最大径よりも小径で前記本体部の一端に形成されたフランジ部と、を有し、前記フランジ部は、前記下部空間における前記第2底面部の上部領域に位置し、前記下部空間側から前記受け部材に当接するように配置されており、前記作動ガスが前記圧力作動室に封入された後、前記カシメ固定型パワーエレメントが膨張弁に組み付けられる前において、前記ダイアフラムは前記ストッパ部材に当接して支持される
ことを特徴とする。
【0012】
本発明のカシメ固定型パワーエレメントにおいて、前記上蓋部材は、前記作動ガスを封入するための封入孔と、前記封入孔を封止するための封止栓と、をさらに備えてもよい。
【0013】
本発明のカシメ固定型パワーエレメントは、高圧の冷媒が導入される入口ポートと、該入口ポートに連通する弁室と、該弁室に開口する弁孔と、該弁孔の入口に形成される弁座と、前記弁孔を通過した冷媒が送り出される出口ポートとを有する弁本体と、前記弁座に対向して配設される弁部材と、を備えた膨張弁に対して、前記弁本体の上端にカシメ部を介して取り付けることにより適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカシメ固定型パワーエレメントは、以上の手段を備えることにより、作動ガスを封入した後のダイアフラムの過剰な変形を抑制するとともに、搬送あるいは保管時にダイアフラムの破損を防止できる。
また、弁本体にカシメ固定する際にダイアフラムが破損することを防止することができるとともに、ストッパ部材の受け部に弁棒を取り付ける動作で位置決めが可能となるため、組み立て工程における位置決め動作を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるカシメ固定型パワーエレメントの一実施例の構成を示す縦断面図であり、図1(a)は作動ガス封止前の状態を示し、図1(b)は作動ガス封止後の状態を示す。
図2】本発明によるカシメ固定型パワーエレメントの一実施例を適用した場合の膨張弁の一例の縦断面図である。
図3】従来のカシメ固定型パワーエレメントの構成を示す縦断面図であり、図3(a)は作動ガス封止前の状態を示し、図3(b)は作動ガス封止後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明によるカシメ固定型パワーエレメントの一実施例の構成を示す縦断面図であり、図1(a)は作動ガス封止前の状態を示し、図1(b)は作動ガス封止後の状態を示す。
図1(a)に示すように、カシメ固定型パワーエレメント100は、上蓋部材110と、中央部に貫通孔121を備えた受け部材120と、上蓋部材110と受け部材120の間に挟み込まれるダイアフラム130と、受け部材120の貫通孔121から挿通されたストッパ部材140と、により構成される。
【0017】
上蓋部材110とダイアフラム130との間には、内部に圧力作動室112が形成されている。そして、当該圧力作動室112内には、例えば不活性ガス等の作動ガスが封入される。
ここで、上蓋部材110の中央部には、上記作動ガスを封入するための封入孔113が形成されており、図1(b)に示すように、作動ガスの封入後、封入孔113は封止栓114で封止される。
【0018】
本発明の一実施例によるカシメ固定型パワーエレメント100において、受け部材120は2段の段差を有する底面部を備え、その中央部に貫通孔121を有している。すなわち、受け部材120は、環状の外周部125と、その内側に1段下がって設けられた第1底面部126と、第1底面部126からさらに内側に1段下がって設けられた第2底面部(フランジ受け面)127と、を備えており、第2底面部127の中央部に貫通孔121が形成されている。また、受け部材120とダイアフラム130との間には、下部空間122が形成されている。
そして、受け部材120の貫通孔121には、ストッパ部材140が挿通されている。
【0019】
ストッパ部材140は、受け部材120の貫通孔121とほぼ同径かあるいは小径の本体部145と、本体部145の上面側に上記貫通孔121より大径に形成された鍔状のフランジ部141と、本体部145の下面からその内部上方に向けて穴状に形成された受け部142と、を有している。また、受け部142には、後述する弁棒が挿入される。
ストッパ部材140は、フランジ部141を含む上面でダイアフラム130を受け止めるとともに、本体部145が受け部材120の貫通孔121に挿通され、フランジ部141の下面が受け部材120の第2底面部127に下部空間122側から当接するように配置される。
【0020】
次に、本発明の一実施例によるカシメ固定型パワーエレメント100を組み立てる手順を説明する。
まず初めに、図1(a)に示すような位置関係となるように、上蓋部材110、ダイアフラム130、ストッパ部材140及び受け部材120を配置する。
次に、上蓋部材110とダイアフラム130と受け部材120との外周部を重ね合わせた状態で、当該外周部を例えばTIG溶接やレーザ溶接、プラズマ溶接等により周溶接して溶接部Wを形成し一体化する。
【0021】
続いて、図1(b)に示すように、上蓋部材110に形成された封入孔113から圧力作動室112内に作動ガスを封入した後、当該封入孔113に対して封止栓114を用いて、例えばプロジェクション溶接等により封止する。
このとき、圧力作動室112に封入された作動ガスにより、ダイアフラム130は受け部材120側に張り出す形で圧力を受けるため、下部空間122に配置されて受け部材120の第2底面部127で支持されるストッパ部材140の上面と当接して安定的に支持される。
【0022】
このような構成を採用することにより、本発明によるカシメ固定型パワーエレメント100は、圧力作動室112に作動ガスを封入した後に、ダイアフラム130がストッパ部材140の上面に当接することにより過剰な変形が抑制されるため、作動ガスの内圧を大きくしたとしてもダイアフラム130が弾性変形の許容応力を超えて変形することを抑制できる。
また、搬送用の袋や箱等に複数のカシメ固定型パワーエレメント100を整列させることなく無造作に投入したとしても、ダイアフラム130が受け部材120で保護されるため、ダイアフラム130に傷が付いたり破損するのを防止できる。
【0023】
図2は、本発明の一実施例によるカシメ固定型パワーエレメントを適用した場合の膨張弁の縦断面図である。
図2に示すように、本発明によるカシメ固定型パワーエレメントを適用した膨張弁の弁本体10は、例えばアルミ合金からなる部材に機械加工を施して生産されるもので、高圧の冷媒が導入される入口ポート20を有する。
入口ポート20は、小径穴20aを介して弁室24に連通している。また弁室24は、弁棒60と同軸状に形成される弁孔26を介して冷媒の出口ポート28に連通している。
【0024】
弁室24と弁孔26との間には弁座25が形成され、弁室24内に配設される球状の弁部材40が弁座25に対向している。また弁部材40は、支持部材42により支持されており、支持部材42は、コイルスプリング44を介して弁室24の開口部を封鎖するプラグ50で支持される。
プラグ50は、弁本体10の弁室24の開口部10aに螺合されており、当該プラグ50のねじ込み量を調整することにより、弁部材40を支持するコイルスプリング44のばね力を調整することができる。
また、プラグ50の外周部にはシール部材54が設けられ、これによって弁室24がシールされている。
【0025】
出口ポート28から送り出された冷媒は蒸発器へ送られ、蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒は、弁本体10に設けられた戻り通路30に図中の左側から入り、これを通過する。
弁本体10の頂部には、本発明の一実施例によるカシメ固定型パワーエレメント100が弁本体10の頂部に形成された円筒部12にカシメ部12aを介して取り付けられる。また、カシメ固定型パワーエレメント100と弁本体10の間にはOリング等のシール部材64が配設される。
このとき、弁本体10の頂部に形成される戻り通路30との連通路31の内径は、カシメ固定型パワーエレメント100のストッパ部材140の外径よりも大きく設定されている。
【0026】
上記のとおり、本発明によるカシメ固定型パワーエレメント100のストッパ部材140の上面は、ダイアフラム130を当接支持するように配置されており、ストッパ部材140の受け部142には弁棒60の上端部が当接するように挿入されて接続されている。
このような配置とすることにより、カシメ固定型パワーエレメント100の圧力作動室112の内圧の変動に応じたダイアフラム130の変形を受けてストッパ部材140が上下動し、当該ストッパ部材140の移動が弁棒60を介して弁部材40に伝達される。
【0027】
図2に示す構成の膨張弁を組み立てる際には、カシメ固定型パワーエレメント100のストッパ部材140の受け部142に弁棒60を挿入した状態で、弁本体10の頂部に形成された戻り通路30との連通路31にストッパ部材140が進入する態様で、弁本体10の頂部にカシメ固定型パワーエレメント100の受け部材120を着座させる。
そして、カシメ固定型パワーエレメント100の上蓋部材110に当接するように弁本体10の円筒部12の先端を変形させることにより、カシメ固定型パワーエレメント100を弁本体10にカシメ固定する。
【0028】
このような取り付け手順を実施することにより、従来のカシメ固定型パワーエレメントを用いた場合と比較して、本発明のカシメ固定型パワーエレメントはダイアフラムが外部に露出せず、また弁本体への取り付け時にストッパ部材から圧力を受けることもない。
したがって、本発明のカシメ固定型パワーエレメントによれば、当該パワーエレメントの搬送時や膨張弁への取り付け時にダイアフラムが破損することを防止することができる。
また、本発明のカシメ固定型パワーエレメントの取り付け時に、ストッパ部材の受け部に弁棒を取り付ける動作で位置決めが可能となるため、組み立て工程における位置決め動作を簡略化できる。
【符号の説明】
【0029】
10 弁本体
12 円筒部
12a カシメ部
20 入口ポート
24 弁室
25 弁座
26 弁孔
28 出口ポート
30 戻り通路
40 弁部材
42 支持部材
44 コイルスプリング
50 プラグ
54 シール部材
60 弁棒
64 シール部材
100 カシメ固定型パワーエレメント
110 上蓋部材
112 圧力作動室
113 封入孔
114 封止栓
120 受け部材
121 貫通孔
125 (環状の)外周部
126 第1底面部
127 第2底面部
130 ダイアフラム
140 ストッパ部材
141 フランジ部
142 受け部
145 本体部
150 スペーサ部材
図1
図2
図3