特許第6596242号(P6596242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596242
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   F24H4/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-119879(P2015-119879)
(22)【出願日】2015年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-3233(P2017-3233A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】北村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】島崎 幸治
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−064602(JP,A)
【文献】 特開2007−107783(JP,A)
【文献】 特開2006−029706(JP,A)
【文献】 特開2003−254618(JP,A)
【文献】 特開2003−254606(JP,A)
【文献】 特開平05−215401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の沸上運転を行うヒートポンプと、
該ヒートポンプで沸上げられた液体を蓄えるタンクと、
該タンク内の液体温度を計測する温度センサと、
使用者の操作によって前記ヒートポンプを所定期間休止設定できる制御部と、を備えたヒートポンプ式給湯機において、
前記休止設定が解除された後の沸上運転で用いる沸上目標温度を、当該沸上運転前に前記温度センサが計測したタンク内の液体温度に所定温度を加算した温度としたことを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項2】
液体の沸上運転を行うヒートポンプと、
該ヒートポンプで沸上げられた液体を蓄えるタンクと、
該タンク内の液体温度を計測する温度センサと、
使用者の操作によって前記ヒートポンプを所定期間休止設定できる制御部と、を備えたヒートポンプ式給湯機において、
前記休止設定が解除された後の沸上運転で用いる沸上目標温度を、当該沸上運転前に前記温度センサが計測したタンク内の液体温度からの沸上効率が最大となる温度と、使用者が休止設定をした際に記憶した最新の沸上目標温度とを比較し、両者のうち温度の高い方としたことを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【請求項3】
液体の沸上運転を行うヒートポンプと、
該ヒートポンプで沸上げられた液体を蓄えるタンクと、
該タンク内の液体温度を計測する温度センサと、
使用者の操作によって前記ヒートポンプを所定期間休止設定できる制御部と、を備えたヒートポンプ式給湯機において、
前記休止設定が解除された後の沸上運転で用いる沸上目標温度を、当該沸上運転前に前記温度センサが計測したタンク内の液体温度に所定温度を加算した温度と、使用者が休止設定をした際に記憶した最新の沸上目標温度とを比較し、両者のうち温度の高い方としたことを特徴とするヒートポンプ式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを備えたヒートポンプ式の給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ式給湯機として、ヒートポンプサイクルを使用し、低温水を所望の温度の湯に沸上げ、貯湯タンクに貯えるものが知られている。より具体的には、貯湯タンクの下部に貯留される低温の湯水を、ヒートポンプサイクルを用いた熱源ユニットで加熱し、高温の湯水にして貯湯タンクの上部に戻すことで貯湯タンク内の湯水を沸上げるようになっている。
【0003】
貯湯タンクの水を沸上げたお湯を家庭内等での給湯に用いるが、一般的なヒートポンプ式給湯機は加熱能力が小さく沸上運転終了までに時間を要するため、深夜に沸上運転を行い、貯湯したお湯を翌朝以降の給湯に使用するシステムとなっている。
【0004】
また、ユーザーの給湯使用量に応じて沸上運転時の温度を変更し(例えば65℃〜90℃)、貯湯タンク内の蓄熱量を調節する機能を有している。ヒートポンプ式給湯機では前述の通り、深夜に沸上運転を実施するため、ユーザーが旅行等で不在となり給湯の使用が発生しない日の対応として、沸上運転を行わない休止を設定できるようにしており、省エネ性を高めている。
【0005】
休止設定をユーザーが行った場合、沸上運転は行わないが、休止設定前の沸上運転によりできたお湯や、設定直前までの給湯使用に対して残った残湯が貯湯タンク内に残ることになる。この残湯は給湯にも使用されないため、貯湯タンクからの放熱により温度が低下していき、設定直前での貯湯タンクの残湯温度が例えば80℃であった場合、放熱による温度低下によって設定解除時には例えば50℃〜60℃まで低下してしまう。
【0006】
このため、休止設定解除後の沸上運転では、貯湯タンク内の残湯の影響により沸上運転開始から短時間のうちに沸上運転が終了してしまい、給湯時に湯切れが発生したり、沸上運転時のヒートポンプユニットへの入水温度が高い(例えば30℃〜60℃)ため、ヒートポンプユニットでの加熱運転の効率が低下し、省エネ性が損なわれたりするといった問題があった。この様な問題を解消するために休止設定解除後の沸上運転時は、沸上目標温度を最高貯湯温度として運転を行う提案がなされている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3840988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に示す技術の場合、休止解除後の沸上目標温度を最高貯湯温度とするため、湯切れの問題は解消するが、ヒートポンプユニットの効率が悪くなる最高貯湯温度での運転となるため、省エネ性が損なわれてしまう。また、休止設定前の給湯使用量が少ない場合、蓄熱量を減らす運転として沸上目標温度を低く設定しており、休止解除後に最高貯湯温度で沸上運転を行うと、次の日の給湯使用量が少ない場合には、貯湯タンク内に大量の残湯が発生してしまう問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、使用者がヒートポンプ式給湯機の休止設定を解除した場合であっても、省エネ性を損なわず、適正な沸上げ熱量での運転を行えるヒートポンプ式給湯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用者によりヒートポンプユニットによる加熱運転を休止させる休止設定が解除された時に、省エネ性を損なわず、適正な沸上げ熱量での運転を行えるヒートポンプ式給湯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るヒートポンプ式給湯機の構成図。
図2】実施例1の休止設定時の動作フローチャート。
図3】ヒートポンプユニットへの入水温度が50℃時の沸上げ温度とヒートポンプユニット運転効率の関係に関する模式図。
図4】実施例2の休止設定時の動作フローチャート。
図5】実施例3の休止設定時の動作フローチャート。
図6】実施例4の休止設定時の動作フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1のヒートポンプ式給湯機の構成図である。この給湯機は、貯湯ユニット1とヒートポンプユニット2から構成されており、ヒートポンプ入水接続配管9とヒートポンプ出湯接続配管10によって接続されている。
【0015】
貯湯ユニット1内には、ヒートポンプユニット2で沸上げた湯を貯湯する貯湯タンク3を設けており、給水配管4から給水接続配管5を介して貯湯タンク3の下部へ水が供給される。なお、貯湯タンク2の表面には、タンク内の各々の高さの湯温を把握するために、11a〜11eからなる貯湯タンク温度センサ11が設けられている。
【0016】
一方、ヒートポンプユニット2には、貯湯タンク3内の水を温水へと沸上げるための冷凍サイクルと、水−冷媒熱交換器が収められている。貯湯タンク3内の水の沸上げは、ヒートポンプユニット2を用いて行う。貯湯タンク3の下部に接続したヒートポンプ入水接続配管9によりヒートポンプユニット2へ水が供給される。ヒートポンプ2に備えている冷凍サイクル内の圧縮機から吐出される高温・高圧の冷媒と、供給された水を、水−冷媒熱交換器において熱交換することで湯へと沸上げる。ヒートポンプユニット2で沸上げた湯は、貯湯タンク3の上部に接続したヒートポンプ出湯接続配管10により貯湯タンク3の上部へ戻される。冷凍サイクルの冷媒には、二酸化炭素冷媒を使用している。ただし、冷媒にはフロン系冷媒であるR410AやR32、自然系冷媒であるプロパンなどを使用しても良い。
【0017】
貯湯タンク3に蓄えた湯は上部に設けられた給湯接続配管6と、混合弁7、給湯配管8を介して使用者が湯を使用する給湯設備(図示せず)へ給湯される。この時、混合弁7において貯湯タンク2内の湯と、給水接続配管5からの分岐管から供給される水を混合して、使用者の所望する湯温に混合して給湯することが可能である。混合弁7の制御には給湯温度センサ12で検出する温度が、使用者が所望する目標温度となる様に制御を行う。
【0018】
貯湯ユニット1には、ヒートポンプ式給湯機全体の動作を制御するための貯湯ユニット制御部13が設けられており、貯湯ユニット制御部13は、CPU、ROM、RAM、各種インターフェース、電子回路等を含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、本実施例の給湯機を総合的に制御するようになっている。
【0019】
また、貯湯ユニット制御部13には、貯湯タンク温度センサ11、給湯温度センサ12、ヒートポンプ制御部(図示せず)、リモコン14、給湯流量センサ15が接続されている。リモコン14は、使用者の宅内に設置され、使用者のインターフェースとしての機能を果たす。
【0020】
リモコン14には、使用者が旅行等の理由により不在となり、ヒートポンプ式給湯機を使用しないときに、ヒートポンプユニット2による沸上げ動作を所望の日数の間停止する休止設定機能が設けられており、休止設定がなされた場合、その情報がリモコン14から貯湯ユニット制御部13へと伝送され、貯湯ユニット13は設定された日数の間、ヒートポンプユニット2による沸上運転を休止する。
【0021】
さらに、貯湯ユニット制御部13は、貯湯タンク温度センサ11と給湯流量センサ15から得られる情報から、ヒートポンプ式給湯機の使用者による給湯使用量を日々学習し、貯湯タンク3に蓄える貯湯量を推定して、ヒートポンプユニット2による貯湯タンク3の沸上目標温度を決定している。また、ヒートポンプ式給湯機におけるヒートポンプユニット2による貯湯タンク3の沸上運転は、電力の使用量が少ない深夜に行うのが一般的であるため、貯湯ユニット制御部13は貯湯タンク温度センサ11から得られる貯湯タンク3内の残湯量、沸上運転前に決定した沸上目標温度、ならびにヒートポンプユニット2の加熱能力から、深夜時間内における沸上運転開始時刻を計算し、沸上運転後の貯湯タンク3からの放熱によるロスを低減する制御を行う。
【0022】
次に、本実施例の給湯機の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0023】
使用者がリモコン14を操作し、例えば休止日数n日の休止設定にすると、貯湯ユニット制御部13は、設定されたn日が経過するまでは休止設定を維持し、ヒートポンプユニット2による貯湯タンク3内の水の沸上運転を停止する(ステップS1)。
【0024】
n日が経過し休止設定が解除されると、貯湯ユニット制御部13は、温度センサ11を用いて貯湯タンク3内の湯の温度を計測する(ステップS2)。そして、温度センサ11a〜11eで計測した温度のうち、最高温度(例えば50℃)をタンク内湯温と決定し、同湯温に応じて変化する沸上目標温度をセットすることで沸上効率(COP)の向上を図っている。本実施例では測定したタンク内湯温から最高の沸上効率で沸き上げできる温度を沸上目標温度としてセットする(ステップS3)。
【0025】
ここで、図3を用いて、タンク内湯温50℃の場合の沸上目標温度、沸上効率の関係を説明する。タンク内湯温50℃の場合、沸上目標温度を例えば90℃のように高く設定すると、沸上温度の上昇に伴い沸上効率が悪化するため、沸上目標温度はある程度抑制されるのが望ましい。一方、沸上目標温度を例えば65℃のように低くすると、ヒートポンプユニット2の入口、出口の温度差が減少し沸上効率が悪化するという問題が発生するため、沸上目標温度をある程度高める必要もある。従って、両方の悪影響を最小化できる適切な沸上目標温度を設定することで、最高効率での沸き上げを実現できる。タンク内湯温毎に最高効率の沸上目標温度を設定できれば、休止設定が解除されたときのタンク内湯温に拘わらず、最高効率を実現する沸上目標温度を選択できる。なお、各タンク内湯温に対応した沸上目標温度は実験で求め貯湯ユニット制御部13に予め記憶させておいても良いし、数式化した特性を貯湯ユニット制御部13に記憶しておき必要に応じて最高効率を実現する沸上目標温度を演算させても良い。
【0026】
ステップS3で沸上目標温度をセットした後、ステップS2で計測した貯湯タンク3内の残湯量と沸上目標温度より、ヒートポンプユニット2による沸上運転の開始時刻をセットし、開始時刻を経過した後、ヒートポンプユニット2による貯湯タンク内の湯の沸上運転を開始する(ステップS4)。この時、沸上運転開始時刻を経過していない場合は、ステップS2とS3を繰り返し、タンク内湯温の計測と、沸上目標温度の設定を行うことにより、運転開始時刻経過までの待機時間に、タンクからの放熱や使用者によるお湯の使用等により発生する恐れがある貯湯タンク3内の湯温の変化についても追従することができ、ヒートポンプユニット2による沸上運転をさらに効率的に行うことが可能となる。タンク沸上運転開始後は、沸上運転を終了させる条件が成立するまで運転を継続し、条件成立後にヒートポンプユニット2によるタンク沸上運転を終了する(ステップS5)。
【0027】
以上のような実施例1のヒートポンプ式給湯機によれば、使用者によりヒートポンプユニットによる加熱運転を休止させる休止設定が解除された後に、沸き上げ開始時点でのタンク内湯温に最適の沸上目標温度を設定して沸き上げを行うので、省エネ性を損なわず、適正な沸上げ熱量での運転を行える作用効果を奏することができる。
【実施例2】
【0028】
次に、図4を用いて、実施例2のヒートポンプ式給湯機の休止設定時の動作フローチャートを説明する。なお、実施例1と共通するステップS7迄は説明を省略する。
【0029】
実施例1のステップS3ではタンク内湯温に対応した最高効率となる沸上目標温度を設定することとしたが、実施例2のステップS8では、タンク内湯温(例えば50℃)を決定した後、計測したタンク内湯温に対してα℃(例えば25℃)を加算したタンク沸上目標温度(例えば75℃)を次回沸上運転における沸上げ目標値としてセットする(ステップS8)。
【0030】
沸上目標温度をセットした後、ステップS7で計測した貯湯タンク3内の残湯量と沸上目標温度より、ヒートポンプユニット2による沸上運転の開始時刻をセットし、開始時刻を経過した後、ヒートポンプユニット2による貯湯タンク内の湯の沸上運転を開始する(ステップS9)。この時、沸上運転開始時刻を経過していない場合は、ステップS7とS8を繰り返し、タンク内湯温の計測と、沸上目標温度の設定を行うことにより、運転開始時刻経過までの待機時間に、タンクからの放熱や使用者によるお湯の使用等により発生する恐れがある貯湯タンク3内の湯温の変化についても追従することが可能となる。タンク沸上運転開始後は、沸上運転を終了させる条件が成立するまで運転を継続し、条件成立後にヒートポンプユニット2によるタンク沸上運転を終了する(ステップS10)。
【0031】
以上のような実施例2のヒートポンプ式給湯機によれば、使用者によりヒートポンプユニットによる加熱運転を休止させる休止設定が解除された時に、休止解除後の沸上目標温度を不用意に高くする、または、貯湯タンク3内の残湯温に対して低い沸上目標温度による沸上運転の効率低下を回避できるため、省エネ性を損なわず、適正な沸上げ熱量での運転を行える作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0032】
次に、図5を用いて、実施例3のヒートポンプ式給湯機の休止設定時の動作フローチャートを説明する。なお、実施例1または実施例2と共通する点は説明を省略する。
【0033】
使用者により、リモコン14によって休止の設定(休止日数をn日とする)がなされた時(ステップS11)、設定された時点におけるヒートポンプユニット2による貯湯タンク3の沸上目標温度の最新の値を記憶する(ステップS12)。
【0034】
貯湯ユニット制御部13は設定されたn日が経過するまでヒートポンプユニット2による貯湯タンク3内の水の沸上運転を停止し、n日経過後に休止の設定を解除する(ステップS13)。休止設定解除後に、貯湯ユニット制御部13は、貯湯タンク3内の湯の温度を温度センサ11を用いて計測する(ステップS14)。この時計測した温度センサ11a〜11eの温度のうち、最も高温となった温度(例えば50℃)をタンク内湯温として決定する。タンク内湯温(例えば50℃)を決定した後、タンク内湯温を沸上げた場合、ヒートポンプユニット2での沸上運転の効率が最大となる沸上目標温度を最高効率沸上目標温度としてセットする(ステップS15)。最高効率沸上目標温度は、実施例1の説明において詳述した通り実験より測定し、得られた効率が最大となる温度を数値化した目標値として貯湯ユニット制御部13に記憶させても良いし、特性を数式化して貯湯ユニット制御部13により算出させても良い。
【0035】
最高効率沸上目標温度をセットした後、休止の設定がなされた時に記憶した最新の沸上目標温度(ステップS11)の値と最高効率沸上目標温度の値を比較し、高い値となる目標温度をタンク沸上目標温度とセットする(ステップS16)。タンク沸上目標温度をセットした後、ステップS14で計測した貯湯タンク3内の残湯量とタンク沸上目標温度より、ヒートポンプユニット2による沸上運転の開始時刻をセットし、開始時刻を経過した後、ヒートポンプユニット2による貯湯タンク内湯の沸上運転を開始する(ステップS17)。
【0036】
この時、沸上運転開始時刻を経過していない場合は、ステップS14からS16を繰り返し、タンク内湯温の計測と、タンク沸上目標温度の設定を行うことにより、運転開始時刻経過までの待機時間に、タンクからの放熱や使用者によるお湯の使用等により発生する恐れがある貯湯タンク3内の湯温の変化についても追従することができ、ヒートポンプユニット2による沸上運転をさらに効率的に行うことが可能となる。タンク沸上運転開始後は、沸上運転を終了させる条件が成立するまで運転を継続し、条件成立後にヒートポンプユニット2によるタンク沸上運転を終了する(ステップS18)。
【0037】
以上のような実施例3のヒートポンプ式給湯機によれば、使用者によりヒートポンプユニットによる加熱運転を休止させる休止設定が解除された時に、省エネ性を損なわず、また使用者の日々の給湯使用量も考慮した適正な沸上げ熱量での運転を行える作用効果を奏することができる。
【実施例4】
【0038】
次に、図6を用いて、実施例4のヒートポンプ式給湯機の休止設定時の動作フローチャートを説明する。なお、実施例1乃至実施例3と共通する点は説明を省略する。
【0039】
ヒートポンプ式給湯機の使用者により、リモコン14によって休止の設定(休止日数をn日とする)がなされた時(ステップS19)、設定された時点におけるヒートポンプユニット2による貯湯タンク3の沸上目標温度の最新の値を記憶する(ステップS20)。貯湯ユニット制御部13は設定されたn日が経過するまでヒートポンプユニット2による貯湯タンク3内の水の沸上運転を停止し、n日経過後に休止の設定を解除する(ステップS21)。休止設定解除後に、貯湯ユニット制御部13は、貯湯タンク3内の湯の温度を温度センサ11を用いて計測する(ステップS22)。この時計測した温度センサ11a〜11eの温度のうち、最も高温となった温度(例えば50℃)をタンク内湯温として決定する。タンク内湯温(例えば50℃)を決定した後、計測したタンク内湯温に対してα℃(例えば25℃)を加算したタンク沸上目標温度(例えば75℃)を加算式沸上目標値としてセットする(ステップS23)。加算式沸上目標温度をセットした後、休止の設定がなされた時に記憶した最新の沸上目標温度(ステップS20)の値と加算式沸上目標温度の値を比較し、高い値となる目標温度をタンク沸上目標温度とセットする(ステップS24)。タンク沸上目標温度をセットした後、ステップS22で計測した貯湯タンク3内の残湯量とタンク沸上目標温度より、ヒートポンプユニット2による沸上運転の開始時刻をセットし、開始時刻を経過した後、ヒートポンプユニット2による貯湯タンク内湯の沸上運転を開始する(ステップS25)。この時、沸上運転開始時刻を経過していない場合は、ステップS22からS24を繰り返し、タンク内湯温の計測と、タンク沸上目標温度の設定を行うことにより、運転開始時刻経過までの待機時間に、タンクからの放熱や使用者によるお湯の使用等により発生する恐れがある貯湯タンク3内の湯温の変化についても追従することができ、ヒートポンプユニット2による沸上運転をさらに効率的に行うことが可能となる。タンク沸上運転開始後は、沸上運転を終了させる条件が成立するまで運転を継続し、条件成立後にヒートポンプユニット2によるタンク沸上運転を終了する(ステップS26)。
【0040】
以上のような実施例4のヒートポンプ式給湯機によれば、使用者によりヒートポンプユニットによる加熱運転を休止させる休止設定が解除された時に、休止解除後の沸上目標温度を不用意に高くする、または、貯湯タンク3内の残湯温に対して低い沸上げ目標温度による沸上運転の効率低下を回避できるため、省エネ性を損なわず、また使用者の日々の給湯使用量も考慮した適正な沸上げ熱量での運転を行える作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 貯湯ユニット、2 ヒートポンプユニット、3 貯湯タンク、4 給水配管、
5 給水接続配管、6 給湯接続配管、7 混合弁、8 給湯配管、
9 ヒートポンプ入水接続配管、10 ヒートポンプ出湯接続配管、
11 貯湯タンク温度センサ、11a 貯湯タンク温度センサ−1、
11b 貯湯タンク温度センサ−2、11c 貯湯タンク温度センサ−3、
11d 貯湯タンク温度センサ−4、11e 貯湯タンク温度センサ−5、
12 給湯温度センサ、13 貯湯ユニット制御部、14 リモコン
15 給湯流量センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6