特許第6596265号(P6596265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596265
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】座具の緩衝体
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/18 20060101AFI20191010BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   A47C7/18
   A47C27/14 B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-167414(P2015-167414)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-42385(P2017-42385A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138875
【氏名又は名称】株式会社ライオン事務器
(73)【特許権者】
【識別番号】000114385
【氏名又は名称】株式会社クオリ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 利治
(72)【発明者】
【氏名】石川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】東 翔介
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0096534(US,A1)
【文献】 特表平10−509604(JP,A)
【文献】 米国特許第05352023(US,A)
【文献】 特許第4102117(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0187791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/00−16/04
A47C 27/00−27/22
A47C 31/00−31/12
B68G 1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と背もたれ部とを備える座具の座部に用いられる緩衝体であって、
座部に座る者の坐骨と膝との間に位置させて、左右に延びる滑り止め部が設けられ、
前記緩衝体は、
発泡材を内蔵する1つの材料で成形され、
下面に開口し、上方が閉塞された、座る者が座ったときの沈み込み量を調整するための調整穴が前記滑り止め部を除く他の部分に複数設けられており、
前記滑り止め部は、前記調整穴が設けられていないことにより、前記座部の他の部分よりも座る者が座ったときの前記沈み込み量が小さくなるように形成されたことを特徴とする座具の緩衝体。
【請求項2】
請求項1記載の座具の緩衝体であって、
前記滑り止め部は、その中央が最も前方に位置し、左右両端が最も後方に位置するように構成されていることを特徴とする座具の緩衝体。
【請求項3】
請求項2に記載の座具の緩衝体であって、
前記滑り止め部は、帯状であり、且つ、V字形状又はU字形状であることを特徴とする座具の緩衝体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部と背もたれ部とを備える座具の座部に用いられる緩衝体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部と背もたれ部とを備える座具の座部に用いられる緩衝体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のものでは、緩衝体本体の下面に調整穴が設けられている。調整穴のうち、座部に座る者の坐骨に対応する位置の調整穴は大径に、仙骨と大腿部に対応する位置の調整穴は大径よりも小さい中径に、仙骨と坐骨の周囲に位置する調整穴は中径よりも小さい小径に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4102117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の緩衝体は、座る者が座部に正常に座っている場合に効果を発揮するが、座具が背もたれ部を備えている場合、座る者が背もたれ部によりかかった結果、座る者の座部と接触する位置が次第にずれてしまうことがある。
【0006】
座る者が座部に正常に座っていない場合、緩衝体の効果が薄れてしまう。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、座る者が背もたれ部によりかかっても座る者が快適に座部に座ることができる座具の緩衝体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記目的を達成するため、本発明は、
座部と背もたれ部とを備える座具の座部に用いられる緩衝体であって、
座部に座る者の坐骨と膝との間に位置させて、左右に延びる滑り止め部が設けられ、
前記緩衝体は、
発泡材を内蔵する1つの材料で成形され、
下面に開口し、上方が閉塞された、座る者が座ったときの沈み込み量を調整するための調整穴が前記滑り止め部を除く他の部分に複数設けられており、
前記滑り止め部は、前記調整穴が設けられていないことにより、前記座部の他の部分よりも座る者が座ったときの前記沈み込み量が小さくなるように形成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、座る者が背もたれ部に寄り掛かって座る者の座部と接触する位置がずれようとしても、座る者の坐骨及びその周辺が滑り止め部で阻止される。この結果、座る者が座部の緩衝体と適切な位置で接触し続けることができ、座る者が快適に座具に座ることができる。
また、本発明は、発泡材が内蔵する1つの材料で成形され、下面に開口し、上方が閉塞された、座る者が座ったときの沈み込み量を調整するための調整穴が滑り止め部を除く他の部分に複数設けられている。
かかる構成によれば、調整穴が上面に開口していないため、座る者が座部に座っても調整穴の存在を認識し難く、快適に座ることができる。また、調整穴が緩衝体の下面に開口しているため、上下面が両方閉塞されている場合と比較して調整穴の形成が容易である。
【0010】
[2]また、本発明の滑り止め部は、その中央が最も前方に位置し、左右両端が最も後方に位置するように構成されていることが好ましい。
【0011】
このように構成することにより、座具に座る者の足の付け根のラインと、滑り止め部の形状を対応させることができ、座る者が背もたれ部に寄り掛かって座部の適切な位置からずれようとしたとき、滑り止め部が比較的広い範囲で座る者の坐骨及びその周辺を受け止めることができる。これにより、座る者が感じる滑り止め部への接触する感覚を局所的なものではなく、比較的分散させることができ、座る者が感じる虞のある滑り止め部の不快感を緩和させることができる。
【0012】
[3]また、本発明においては、滑り止め部を帯状に形成し、且つ、V字形状又はU字形状に形成することができる。
【0013】
このように滑り止め部が構成されていることにより、座具に座る者の足の付け根のライン(腰と足の付け根の境界線)と、滑り止め部のV字形状又はU字形状を対応させることができ、座る者が背もたれ部に寄り掛かって座部の適切な位置からずれようとしたとき、滑り止め部が比較的広い範囲で座る者の坐骨及びその周辺を受け止めることができる。
【0014】
そして、座る者が感じる滑り止め部への接触する感覚を、局所的なものではなく比較的分散させることができ、座る者が感じる虞のある滑り止め部の不快感を緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態の緩衝体を座部に用いた座具を側面から示す一部断面図。
図2】本実施形態の緩衝体を上方から示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態の座具1は、略矩形状の座部2と、座部2の後方から上方に向かって起立する背もたれ部3と、座部2の底面から下方に向かって延び、座部2を支える脚部4とを備える。なお、図1では、背もたれ部3の上方部分と、脚部4の下方部分とが省略されている。
【0020】
座部2は、その上面に発泡材を内蔵した1つの材料であるウレタンで成形された緩衝体5を備えている。緩衝体5は、マットレス、またはクッションとも呼ばれるものである。
【0021】
図2に斜線で示すように、緩衝体5には、中央部が最も前方に位置するように湾曲しながら左右方向にV字形状又はU字形状に延びる滑り止め部6が設けられている。緩衝体5には、その下面に開口し、上方が閉塞された複数の調整穴7が設けられている。
【0022】
調整穴7は、滑り止め部6には設けられておらず、滑り止め部6を避けて配置されている。即ち、調整穴7を設けないことによって、他の部分よりも沈み込み量が小さくなる滑り止め部6が形成されている。本実施形態においては、滑り止め部6は前後方向幅を50mmに設定している。また、調整穴7は、穴の深さが深くて大径の大径調整穴7Hと、大径調整穴7Hよりも穴の深さが浅くて小径の小径調整穴7Lとで構成されている。
【0023】
また、調整穴7は、図1に断面で示した緩衝体5から明らかなように穴が奥(上方)に向かうに従って次第に小径になるように滑らかに湾曲した波型の穴形状となっている。
【0024】
また、図1に示すように、滑り止め部6は、座具1に座る者Aの坐骨Xと膝Yとの間に位置させて左右に延びるように配置されている。これにより、座る者Aの臀部が滑り止め部6を支点として緩衝体5に深く沈み込み、座る者Aが適切な位置で座部2に座ることができる。
【0025】
更に、発明者は、実験により、座部2に圧力センサを設置し、本実施形態の滑り止め部6がある座具1と、比較例として滑り止め部がない座具との圧力の分布を比較した。その結果、本実施形態の滑り止め部6を設けた座具1の方が、比較例の滑り止め部が無い座具よりも、座る者の坐骨及びその周辺に対応する座部の部分の圧力が高く検出されることを確認した。このことからも、本実施形態の座具1によれば、座る者Aの臀部が緩衝体5に深く沈み込んでいることがわかる。
【0026】
また、図2に示すように、滑り止め部6の前方には、前方に向かって小径調整穴7L、大径調整穴7Hの順に配置している。これにより、座る者Aが座部2の前縁部で大腿部に緩衝体5から不快な圧迫を感じることを防止することができる。
【0027】
本実施形態の座具1の緩衝体5によれば、座る者Aが背もたれ部3に寄り掛かって座る者Aの座部2と接触する位置がずれようとしても、座る者Aの坐骨X及びその周辺が滑り止め部6で阻止される。この結果、座る者Aが座部2の緩衝体5と適切な位置で接触し続けることができ、座る者Aが快適に座具1に座ることができる。
【0028】
また、本実施形態の滑り止め部6は、その中央が最も前方に位置し、左右両端が最も後方に位置するように構成されている。このように滑り止め部6が構成されていることにより、座具1に座る者Aの足の付け根のライン(腰と足の付け根の境界線)と、滑り止め部6のV字形状を対応させることができ、座る者Aが背もたれ部3に寄り掛かって座部2の適切な位置からずれようとしたとき、滑り止め部6が比較的広い範囲で座る者Aの坐骨X及びその周辺を受け止めることができる。これにより、座る者Aが感じる滑り止め部6への接触する感覚を、局所的なものではなく比較的分散させることができ、座る者Aが感じる虞のある滑り止め部6の不快感を緩和させることができる。
【0029】
また、本実施形態の緩衝体5は、発泡材を内蔵する1つの材料で成形され、下面に開口し、上方が閉塞された、沈み込み量を調整するための調整穴が前記滑り止め部を除く他の部分に複数設けられている。
【0030】
かかる構成により、調整穴7が上面に開口していないため、座る者Aが座部2に座っても調整穴7の存在を認識し難く、快適に座部2に座ることができる。また、調整穴7が緩衝体5の下面に開口しているため、上下面が両方閉塞されている場合と比較して調整穴7の形成が容易である。
【0031】
なお、脚部4はなくてもよく、座部2を直接床に配置するタイプの座具にも本発明の緩衝体を用いることができる。
【0032】
また、滑り止め部は、必ずしも全て連続している必要はなく、例えば、中央で分割されて、分割された滑り止め部が左右一対設けられていてもよい。
【0034】
また、本実施形態においては、発泡材を内蔵した材料で成形した緩衝体を用いて説明したが、本発明の緩衝体はこれに限らず他のもので構成してもよい。
【0035】
また、本発明の滑り止め部は、V字形状に限らず、例えば、U字形状であっても左右に真直ぐに延びる直線形状であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 座具
2 座部
3 背もたれ部
4 脚部
5 緩衝体
6 滑り止め部
7 調整穴
図1
図2