(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コンクリート構造体は、前記複数の鉄筋が水平方向に沿って所定間隔で埋設される下部コンクリート構造体と、前記下部コンクリート構造体の上部に配置される上部コンクリート構造体とを有し、前記第1ベースプレートと前記第2ベースプレートと前記複数の連結部材は、前記上部コンクリート構造体内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の機器設置用架台。
前記下部コンクリート構造体と前記上部コンクリート構造体とを鉛直方向に貫通する複数の貫通管が設けられ、前記下部コンクリート構造体と前記上部コンクリート構造体は、前記複数の貫通管内に配置されるアンカボルトにより締結されることを特徴とする請求項2に記載の機器設置用架台。
前記機器収容凹部は、所定間隔を空けて機器軸方向に隣接する第1機器収容凹部と第2機器収容凹部とを有し、前記第1ベースプレートは、平面部が前記第1機器収容凹部に露出し、前記第2ベースプレートは、平面部が前記第2機器収容凹部に露出し、前記第2ベースプレートに前記第2機器収容凹部側に突出する第2アンカが設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の機器設置用架台。
前記アンカブロックは、前記アンカが設けられる第1ベースプレートと、機器軸方向に対向して配置される第2ベースプレートとが複数の連結部材により連結されて形成されることを特徴とする請求項6に記載の機器設置用架台の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような蒸気タービン用架台を製造する場合、まず、骨組みとなる複数の鉄筋を組み、この複数の鉄筋を取り囲むように型枠を配置し、この型枠内にコンクリートを打設してコンクリート構造体を製造する。また、コンクリート打設前にコンクリート構造体における車室収容凹部の壁面にトランスバースアンカブロックを精度良く位置決めした上で固定する。最後に、コンクリート構造体上に台板を載置し、台板上にタービン車室を載置し、トランスバースアンカブロックにより位置決めすると共に、アンカボルトを用いて固定する。ところが、トランスバースアンカブロックは、タービン軸方向に直交する水平方向の荷重を受け止めることから、特許文献1のように、上下方向に沿った長い部材となり、コンクリート構造体に埋設されたコンクリート構造体の複数の鉄筋との干渉を避けながら精度良く位置決めして固定する必要があり、多くの手間と時間がかかっているのが現状である。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、製造コストの増加を抑制すると共に工期の短縮を図る機器設置用架台及びその製造方法、プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の機器設置用架台は、機器収容凹部が設けられると共に前記機器収容凹部の周囲に複数の鉄筋が埋設されるコンクリート構造体と、前記コンクリート構造体に埋設されて平面部が前記機器収容凹部に露出する第1ベースプレートと、前記第1ベースプレートに対して機器軸方向に対向するように前記コンクリート構造体に埋設される第2ベースプレートと、前記第1ベースプレートと前記第2ベースプレートとを連結する複数の連結部材と、前記第1ベースプレートから前記機器収容凹部側に突出する第1アンカと、前記コンクリート構造体における前記機器収容凹部の縁部に沿って固定される台板と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、第1アンカが設けられる第1ベースプレートと第2ベースプレートを機器軸方向に対向してコンクリート構造体に埋設し、複数の連結部材により連結するため、アンカブロックが鉛直方向の長尺物とはならず、鉄筋との干渉を避けて配置することが可能となり、アンカブロックを容易に設置することができ、製造コストの増加を抑制することができると共に、工期の短縮を図ることができる。
【0010】
本発明の機器設置用架台では、前記第1アンカは、トランスバースアンカであって、前記台板上に設置される機器における機器軸方向に交差する水平方向の位置決めを行うと共に、前記機器に作用する機器軸方向に交差する水平方向の荷重を受け止め可能であることを特徴としている。
【0011】
従って、トランスバースアンカにより台板上に設置される機器の機器軸方向に交差する水平方向の位置決めを容易に行うことができると共に、機器に作用する機器軸方向に交差する水平方向の荷重を効率良く受け止めることができる。
【0012】
本発明の機器設置用架台では、前記コンクリート構造体は、前記複数の鉄筋が水平方向に沿って所定間隔で埋設される下部コンクリート構造体と、前記下部コンクリート構造体の上部に配置される上部コンクリート構造体とを有し、前記第1ベースプレートと前記第2ベースプレートと前記複数の連結部材は、前記上部コンクリート構造体内に配置されることを特徴としている。
【0013】
従って、コンクリート構造体を下部コンクリート構造体と上部コンクリート構造体とにより構成し、第1、第2ベースプレートと連結部材をコンクリート構造体用の鉄筋が埋設されていない上部コンクリート構造体内に配置することで、アンカブロックを鉄筋との干渉を避けて容易に配置することができ、施工性を向上することができる。
【0014】
本発明の機器設置用架台では、前記下部コンクリート構造体と前記上部コンクリート構造体とを鉛直方向に貫通する複数の貫通管が設けられ、前記下部コンクリート構造体と前記上部コンクリート構造体は、前記複数の貫通管内に配置されるアンカボルトにより締結されることを特徴としている。
【0015】
従って、下部コンクリート構造体と上部コンクリート構造体とを貫通する貫通管内にアンカボルトを配置し、このアンカボルトにより下部コンクリート構造体と下部コンクリート構造体を締結することで、コンクリート構造体の強度を向上することができる。
【0016】
本発明の機器設置用架台では、前記コンクリート構造体における前記複数の連結部材の周囲に補強部材が埋設されることを特徴としている。
【0017】
従って、コンクリート構造体における連結部材の周囲に補強部材を埋設することで、アンカブロックの周辺の強度が高くなり、台板を安定して保持することができる。
【0018】
本発明の機器設置用架台では、前記機器収容凹部は、所定間隔を空けて機器軸方向に隣接する第1機器収容凹部と第2機器収容凹部とを有し、前記第1ベースプレートは、平面部が前記第1機器収容凹部に露出し、前記第2ベースプレートは、平面部が前記第2機器収容凹部に露出し、前記第2ベースプレートに前記第2機器収容凹部側に突出する第2アンカが設けられることを特徴としている。
【0019】
従って、第1アンカが設けられる第1ベースプレートと第2アンカが設けられる第2ベースプレートをコンクリート構造体に埋設して複数の連結部材により連結し、第1アンカと第2アンカが各収容凹部に露出するため、2個のアンカを容易に配置することができ、工期を短縮することができる。
【0020】
また、本発明の機器設置用架台の製造方法は、複数の鉄筋を組付けた状態でコンクリートを打設して機器収容凹部を有する下部コンクリート構造体を形成する工程と、アンカが前記機器収容凹部側に突出するように前記下部コンクリート構造体の上方にアンカブロックを配置する工程と、前記下部コンクリート構造体の上部にコンクリートを打設することで前記アンカブロックを埋設して上部コンクリート構造体を形成する工程と、前記上部コンクリート構造体における前記機器収容凹部の縁部に沿って台板を配置する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0021】
従って、アンカブロックが鉛直方向の長尺物とはならず、鉄筋との干渉を避けて配置することが可能となり、アンカブロックを容易に設置することができ、製造コストの増加を抑制することができると共に、工期の短縮を図ることができる。
【0022】
本発明の機器設置用架台の製造方法では、前記アンカブロックは、前記アンカが設けられる第1ベースプレートと、機器軸方向に対向して配置される第2ベースプレートとが複数の連結部材により連結されて形成されることを特徴としている。
【0023】
従って、第1ベースプレートと第2ベースプレートと複数の連結部材によりアンカブロックを構成することで、構造の簡素化を図ることができる。
【0024】
また、本発明のプラントは、前記機器設置用架台を備えることを特徴とするものである。
【0025】
従って、アンカブロックが鉛直方向の長尺物とはならず、鉄筋との干渉を避けて配置することが可能となり、機器設置用架台の設置時に、アンカブロックを容易に設置することができ、製造コストの増加を抑制することができると共に、工期の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の機器設置用架台、機器設置用架台の製造方法、プラントによれば、第1アンカが設けられる第1ベースプレートと第2ベースプレートが機器軸方向に対向してコンクリート構造体に埋設され、両者が複数の連結部材により連結されるので、製造コストの増加を抑制することができると共に、工期の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る機器設置用架台、機器設置用架台の製造方法、プラントの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0029】
[第1実施形態]
図4は、第1実施形態の蒸気タービンプラントを表す平面図、
図5は、第1実施形態のタービン架台を表す平面図、
図6は、タービン架台に対する車室の組付構造を表す概略図である。
【0030】
蒸気タービンプラントは、火力発電プラントや原子力発電プラントなどに適用され、発生した蒸気によりタービンを駆動回転することで、蒸気エネルギを回転運動に変換し、発生した回転力により発電機を駆動して発電を行うものである。
【0031】
図4に示すように、蒸気タービンプラント10は、タービン架台(機器設置用架台)11上に高圧タービン12、低圧タービン13,14、発電機15が一直線上に配置され、回転軸16により駆動連結されている。高圧タービン12と低圧タービン13,14は、それぞれタービン車室に被覆されると共に、回転軸が各車室に設けられた軸受部に回転自在に支持されている。
【0032】
図5に示すように、タービン架台11は、上面部21に機器収容凹部として、高圧タービン12を収容する収容凹部22と、低圧タービン13,14を収容する収容凹部23,24と、発電機15を収容する収容凹部25が設けられている。そして、各タービン12,13,14の収容凹部22,23,24は、その両側の縁部にそれぞれ台板31,32,33が敷設され、収容凹部22,23,24の間にそれぞれ台板34,35,36が敷設され、各台板31,32,33,34,35,36上に軸受部を有するタービン車室が設置される。
【0033】
例えば、
図6に示すように、例えば、低圧タービン14の収容凹部24に対して、その両側の縁部に台板33が固定され、その前後に台板35,36が固定されており、一対のタービン車室(下半部)37a,37bが各台板33,35,36上に設置されることで、収容凹部24に配置される。このタービン車室(下半部)37a,37bは、軸受部38a,38bが一体に設けられている。
【0034】
ところで、タービン架台11は、上面部21が支持面となり、台板31,32,33,34,35,36が固定されている。蒸気タービンプラント10が運転されると、各タービン22,23,24は、供給される蒸気により高温状態になり、各タービン車室が熱膨脹する。そのため、タービン車室は、熱膨脹の基点となる固定点を設定し、その他の部分で熱膨脹を許容するように据え付けられている。この基点は、回転軸16の軸方向における膨張を許容する第1固定点と、回転軸16の軸方向に直交する水平方向における膨張を許容する第2固定点とからなる。第1固定点は、各収容凹部22,23,24の両側に設けられ、第2固定点は、各収容凹部22,23,24の間に設けられている。
【0035】
即ち、タービン架台11は、各収容凹部22,23,24の両側に第1固定点となるアキシャルアンカブロックが固定され、アキシャルアンカブロックは、台板31,32,33を回転軸16の軸方向に位置決めすると共に、回転軸16の軸方向における膨張を許容する。また、タービン架台11は、各収容凹部22,23,24の間に第2固定点となるトランスバースアンカブロックが固定され、トランスバースアンカブロックは、タービン車室を回転軸16の軸方向に直交する水平方向に位置決めすると共に、水平方向における膨張を許容する。
【0036】
図1は、第1実施形態のタービン架台の要部を表す断面(
図2のI−I断面)図、
図2は、タービン架台の要部を表す平面図、
図3は、トランスバースアンカブロックを表す正面図である。なお、
図3は、
図2のトランスバースアンカブロックを左側から見た正面図である。
【0037】
ここで、まず、第1実施形態のタービン架台について詳細に説明する。なお、以下では、低圧タービン14が収容される収容凹部24の周辺部の構造について説明するが、低圧タービン13が収容される収容凹部23の周辺部の構造も同様であり、高圧タービン12が収容される収容凹部22の周辺部の構造に適用してもよい。
【0038】
第1実施形態のタービン架台11は、
図1から
図3に示すように、コンクリート構造体41と、アンカブロック42と、台板35とを備えている。
【0039】
コンクリート構造体41は、下部コンクリート構造体51と、上部コンクリート構造体52とから構成されている。下部コンクリート構造体51は、タービン建屋(図示略)における所定の階層のフロアに設置され、複数の鉄筋53がタービン軸方向、タービン軸方向に直交する水平方向、タービン軸方向に直交する鉛直方向に沿って所定間隔で埋設されている。上部コンクリート構造体52は、下部コンクリート構造体51の上部に配置されるものであり、鉄筋は埋設されていない。
【0040】
コンクリート構造体41は、収容凹部23,24(22)が設けられている。この場合、収容凹部23,24は、上部コンクリート構造体52の上方に開口し、底部が下部コンクリート構造体51の内部に位置している。また、下部コンクリート構造体51と上部コンクリート構造体52は、鉛直方向に貫通する複数の貫通管54が設けられている。複数のアンカボルト55は、この複数の貫通管54内に挿通され、端部が締結されることで、下部コンクリート構造体51と上部コンクリート構造体52は、この複数のアンカボルト55により一体に締結補強されている。
【0041】
アンカブロック42は、台板35上に設置されるタービン車室45を位置決めするものであり、第1ベースプレート61と、第2ベースプレート62と、複数のアンカボルト(連結部材)63と、アンカ(第1アンカ)64とから構成されている。
【0042】
第1ベースプレート61は、コンクリート構造体41(上部コンクリート構造体52)に埋設されており、一方の平面部が収容凹部24に露出している。第2ベースプレート62は、第1ベースプレート61に対してタービン軸方向に対向するようにコンクリート構造体41(上部コンクリート構造体52)に埋設されている。第1ベースプレート61と第2ベースプレート62は、鉛直方向に沿って設けられ、所定間隔を空けて平行をなすように配置されている。そして、第1ベースプレート61と第2ベースプレート62は、複数のアンカボルト63により連結されている。また、第1ベースプレート61は、平面部から収容凹部24側に突出するアンカ64が設けられている。このアンカ64は、長方形をなすブロック体の外面に鉛直方向に沿う溝部65が形成されて構成されている。
【0043】
台板35は、コンクリート構造体41における収容凹部24の縁部であって、各収容凹部23,24の間に配置されており、前述した複数のアンカボルト55により上部コンクリート構造体52の上面部に水平移動自在に固定されている。この台板35上に設置されるタービン車室45は、底部フード板46に支持部47に位置決め部48が設けられている。タービン車室45は、この位置決め部48がアンカブロック42のアンカ64の溝部65に係止した状態で台板35に固定される。
【0044】
アンカブロック42は、上部コンクリート構造物52に固定されることで、このアンカブロック42がタービン車室45をタービン軸方向に交差(直交)する水平方向に位置決めするトランスバースアンカブロックとして機能する。
【0045】
即ち、アンカブロック42は、コンクリート構造体41に固定されており、アンカ64の溝部65にタービン車室45の支持部47が係止することで、タービン車室45をコンクリート構造体41に対してタービン軸方向に交差する水平方向に位置決めすることができると共に、タービン車室45に作用するタービン軸方向に交差する水平方向の荷重を受け止めることができる。
【0046】
次に、第1実施形態のタービン架台の製造方法について説明する。第1実施形態のタービン架台の製造方法は、複数の鉄筋53を組付けた状態でコンクリートを打設して収容凹部24を有する下部コンクリート構造体52を形成する工程と、アンカ64が収容凹部24側に突出するように下部コンクリート構造体52の上方にアンカブロック42を配置する工程と、下部コンクリート構造体52の上部にコンクリートを打設することでアンカブロック42を埋設して上部コンクリート構造体52を形成する工程と、上部コンクリート構造体52における収容凹部24の縁部に台板35を配置する工程とを有している。
【0047】
この場合、アンカブロック42は、アンカ64が設けられる第1ベースプレート61と、タービン軸方向に対向して配置される第2ベースプレート62とが複数のアンカボルト63により連結されて形成される。
【0048】
具体的に説明すると、まず、タービン建屋のフロアに複数の鉄筋53を組み立てると共に、所定の位置に複数の貫通管54を配置し、鉄筋53と貫通管54の下部の周囲を型枠により取り囲む。そして、型枠内にコンクリートを打設し、固化させることで収容凹部24の一部を有する下部コンクリート構造体51を形成する。次に、第1ベースプレート61と第2ベースプレート62とを複数のアンカボルト63により連結し、第1ベースプレート61にアンカ64を固定したアンカブロック42を製作しておく。そして、このアンカブロック42を吊り上げて移動し、第1ベースプレート61が収容凹部24に露出し、アンカ64が収容凹部24側に突出する位置に位置決めする。
【0049】
続いて、アンカブロック42と複数の貫通管54の上部の周囲を型枠により取り囲む。そして、型枠内にコンクリートを打設し、固化させることで下部コンクリート構造体51の上部に上部コンクリート構造体52を形成する。最後に、コンクリート構造体41における収容凹部24の縁部の上面に台板35を配置して固定する。このようにタービン架台11が製造されると、台板31,32,33,34,35,36上にタービン車室が設置される。
【0050】
このとき、タービン車室45は、底部フード板46の位置決め部48がアンカブロック42におけるアンカ64の溝部65に係止することで、コンクリート構造体41に対して位置決めされ、図示しない締結ボルトにより台板35に水平方向に移動自在に固定される。そのため、蒸気タービンプラント10の運転が開始され、タービン車室45が加熱されて膨張すると、コンクリート構造物41に対してタービン軸方向に交差する水平方向の荷重が作用する。このタービン車室45は、アンカブロック42を基点(第2固定点)としてタービン軸方向に交差する水平方向へ所定量の移動が許容されることから、タービン架台11は、タービン車室45からのタービン軸方向に交差する水平方向の荷重(せん断力)を効率良く受け止めることができると共に、タービン車室45の熱伸びを適正に吸収することができる。また、地震発生時にも、同様に、タービン架台11は、タービン車室45からのタービン軸方向に交差する水平方向の荷重を受け止めることができる。
【0051】
このように第1実施形態の機器設置用架台にあっては、収容凹部22,23,24が設けられると共にその周囲に複数の鉄筋53が埋設されるコンクリート構造体41と、コンクリート構造体41に埋設されて平面部が収容凹部24に露出する第1ベースプレート61と、第1ベースプレート61に対してタービン軸方向に対向するようにコンクリート構造体41に埋設される第2ベースプレート62と、第1ベースプレート61と第2ベースプレート62とを連結する複数のアンカボルト63と、第1ベースプレート61から収容凹部24側に突出するアンカ64と、コンクリート構造体41における収容凹部22,23,24の縁部に固定される台板34,35,36とを設けている。
【0052】
従って、アンカ64が設けられる第1ベースプレート61と第2ベースプレート62をタービン軸方向に対向してコンクリート構造体41に埋設し、複数のアンカボルト63により連結している。そのため、アンカブロック42が鉛直方向の長尺物とはならず、鉄筋53との干渉を避けてコンクリート構造体41内に配置することが可能となり、アンカブロック42を容易に設置することができ、製造コストの増加を抑制することができると共に、工期の短縮を図ることができる。
【0053】
第1実施形態の機器設置用架台では、アンカブロック42をトランスバースアンカとし、アンカブロック42により台板33上に設置されるタービン車室45におけるタービン軸方向に交差する水平方向の位置決めを行うと共に、運転荷重や地震によってタービン車室45に作用する水平方向の荷重を受け止め可能としている。従って、アンカブロック42によりタービン車室45のタービン軸方向に交差する水平方向の位置決めを容易に行うことができると共に、タービン車室45に作用する水平方向の荷重を効率良く受け止めることができる。
【0054】
第1実施形態の機器設置用架台では、複数の鉄筋53が水平方向に沿って所定間隔で埋設される下部コンクリート構造体51と、下部コンクリート構造体51の上部に配置される上部コンクリート構造体52によりコンクリート構造体41を構成し、第1ベースプレート61と第2ベースプレート62と各アンカボルト63を上部コンクリート構造体52内に配置している。従って、段階的にコンクリート構造体41を形成することで、コンクリート構造体41の製造を容易に行うことができ、アンカブロック42をコンクリート構造体用の鉄筋が埋設されていない上部コンクリート構造体52内に配置することで、アンカブロック42を鉄筋53との干渉を避けて容易に配置することができ、施工性を向上することができる。
【0055】
第1実施形態の機器設置用架台では、下部コンクリート構造体51と上部コンクリート構造体52とを鉛直方向に貫通する複数の貫通管54を設け、各貫通管54内に配置されるアンカボルト55により上下のコンクリート構造体51,52を締結している。従って、コンクリート構造体41の強度を向上することができる。
【0056】
また、第1実施形態の機器設置用架台の製造方法にあっては、複数の鉄筋53を組付けた状態でコンクリートを打設して収容凹部24を有する下部コンクリート構造体41を形成する工程と、アンカ64が収容凹部24側に突出するように下部コンクリート構造体51の上方にアンカブロック42を配置する工程と、下部コンクリート構造体51の上部にコンクリートを打設することでアンカブロック42を埋設して上部コンクリート構造体52を形成する工程と、上部コンクリート構造体52における収容凹部24の縁部にて台板33を配置する工程とを設けている。従って、アンカブロック42が鉛直方向の長尺物とはならず、鉄筋53との干渉を避けてコンクリート構造体41内に配置することが可能となり、アンカブロック42を容易に設置することができ、製造コストの増加を抑制することができると共に、工期の短縮を図ることができる。
【0057】
第1実施形態の機器設置用架台の製造方法では、アンカ64が設けられる第1ベースプレート61と、タービン軸方向に対向して配置される第2ベースプレート62とを複数のアンカボルト63により連結してアンカブロック42を形成している。従って、アンカブロック42の構造の簡素化を図ることができる。
【0058】
また、第1実施形態のタービンプラントにあっては、タービン架台11と、タービン架台11上に配置される高圧タービン12と、タービン架台11上に高圧タービン12と同軸上に配置される低圧タービン13,14と、タービン架台11上に高圧タービン12及び低圧タービン13,14と同軸上に配置される発電機15とを設けている。従って、アンカブロック42が鉛直方向の長尺物とはならず、鉄筋53との干渉を避けてコンクリート構造体41内に配置することが可能となり、アンカブロック42を容易に設置することができ、製造コストの増加を抑制することができると共に、工期の短縮を図ることができる。
【0059】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態のタービン架台におけるトランスバースアンカブロックの正面図、
図8は、トランスバースアンカブロックの平面図である。なお、
図7は、
図8のトランスバースアンカブロックを下側から見た正面図である。また、本実施形態のタービン架台の基本的な構成は、上述した実施形態1とほぼ同様の構成であり、
図1を用いて説明すると共に、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
第2実施形態のタービン架台11は、
図1、
図7及び
図8に示すように、コンクリート構造体41と、アンカブロック71と、台板33と、補強鉄筋(補強部材)73,74,75を備えている。
【0061】
コンクリート構造体41は、下部コンクリート構造体51と、上部コンクリート構造体52とから構成されている。下部コンクリート構造体51は、複数の鉄筋53が埋設されている。上部コンクリート構造体52は、下部コンクリート構造体51の上部に配置されるものであり、補強鉄筋73,74,75が埋設されている。
【0062】
アンカブロック71は、第1ベースプレート61と、第2ベースプレート62と、複数のアンカボルト63と、アンカ(第1アンカ)72とから構成されている。第1ベースプレート61と第2ベースプレート62は、複数のアンカボルト63により連結されている。また、第1ベースプレート61は、平面部から収容凹部24側に突出するアンカ72が設けられており、このアンカ72は、長方形をなすブロック体により構成されている。補強鉄筋73,74は、アンカブロック71の複数のアンカボルト63の外側を取り囲むように枠状をなして連結され、補強鉄筋75は、補強鉄筋73,74に連結されて配置されている。
【0063】
台板35は、コンクリート構造体41における収容凹部24の縁部であって、各収容凹部23,24の間に配置されており、複数のアンカボルトにより上部コンクリート構造体52の上面部に固定されている。この台板35上に設置されるタービン車室45は、底部フード板46に位置決め部49が固定され、位置決め部49に鉛直方向に沿う溝部50が設けられている。タービン車室45は、この溝部50にアンカブロック42のアンカ72が係止した状態で台板35に固定される。そのため、タービン車室45は、アンカブロック42によりコンクリート構造体41に対してタービン軸方向に交差する水平方向に位置決めされると共に、タービン架台11は、タービン車室45からのタービン軸方向に交差する水平方向の荷重を受け止めることができる。
【0064】
なお、第2実施形態のタービン架台の製造方法にて、補強鉄筋73,74,75は、下部コンクリート構造体51を形成した後、アンカブロック42と共に下部コンクリート構造体51の上方に配置され、型枠内によりコンクリートを打設することで上部コンクリート構造体52に埋設される。
【0065】
このように第2実施形態の機器設置用架台にあっては、コンクリート構造体41におけるアンカブロック71を構成する複数のアンカボルト63の周囲に補強鉄筋73,74,75を埋設している。
【0066】
従って、コンクリート構造体41におけるアンカボルト63の周囲に補強鉄筋73,74,75を埋設することで、アンカブロック42の周辺の強度が高くなり、台板35を安定して保持することができる。
【0067】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態のタービン架台におけるトランスバースアンカブロックの平面図である。なお、本実施形態のタービン架台の基本的な構成は、上述した実施形態1とほぼ同様の構成であり、
図1を用いて説明すると共に、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
第3実施形態のタービン架台11は、
図1、
図9に示すように、コンクリート構造体41と、アンカブロック81と、台板35とを備えている。
【0069】
コンクリート構造体41は、下部コンクリート構造体51と、上部コンクリート構造体52とから構成され、上部に収容凹部23,24が設けられている。アンカブロック81は、第1ベースプレート82と、第2ベースプレート83と、複数のアンカボルト(連結部材)84と、第1アンカ85と、第2アンカ86とから構成されている。第1ベースプレート82と第2ベースプレート83は、複数のアンカボルト84により連結されている。また、第1ベースプレート82は、平面部から収容凹部24側に突出するアンカ85が設けられ、第2ベースプレート83は、平面部から収容凹部23側に突出するアンカ86が設けられている。このアンカ85,86は、長方形をなすブロック体により構成されている。
【0070】
台板35は、コンクリート構造体41における収容凹部23,24の間の縁部に配置されており、上部にタービン車室が設置されている。収容凹部24上のタービン車室は、位置決め部(図示略)にアンカブロック81のアンカ85が係止し、収容凹部23上のタービン車室は、位置決め部(図示略)にアンカブロック81のアンカ86が係止する。そのため、各タービン車室は、アンカブロック81によりコンクリート構造体41に対してタービン軸方向に交差する水平方向に位置決めされると共に、タービン架台11は、タービン車室からのタービン軸方向に交差する水平方向の荷重を受け止めることができる。
【0071】
このように第3実施形態の機器設置用架台にあっては、所定間隔を空けてタービン軸方向に隣接する収容凹部(第1機器収容凹部)24と収容凹部(第2機器収容凹部)23とを設け、第1ベースプレート82の平面部が収容凹部24に露出し、第2ベースプレート83の平面部が収容凹部23に露出し、第1ベースプレート82にアンカ85を固定し、第2ベースプレート83にアンカ86を固定している。
【0072】
従って、各ベースプレート82,83の平面部にそれぞれアンカ85,86を設け、アンカ85,86の隣接する収容凹部23,24に突出するように各ベースプレート82,83を配置するため、2個のアンカ85,86を有するアンカブロック81を容易に配置することができ、工期を短縮することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態では、収容凹部24の縁部に固定される台板35の位置決めについて説明したが、収容凹部22,23の縁部に固定される台板34,36の位置決めについても同様の構成となっている。
【0074】
また、上述した実施形態では、蒸気タービンプラント10をタービン架台11上に高圧タービン12と低圧タービン13,14と発電機15を設置して構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、中圧タービンを設けたり、低圧タービンの数を変更したり、タービン以外に発電機に設けたりしてもよい。また、本発明の機器設置用架台は、蒸気タービンプラント10に限るものではなく、ガスタービンプラントなどにも適用可能である。