(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1による基板処理方法の概略を説明するための模式図の一例。
【
図2】マイクロ波の進行方向に対して、磁場と電場の振幅方向を示すための模式図の一例。
【
図3】
図1に示す製造方法による効果を模式的に示す図の一例。
【
図4】実施形態1による基板処理方法の比較例を説明するための模式図の一例。
【
図5】シリコン基板の表面に垂直な方向からマイクロ波を照射する場合を示す模式図の一例。
【
図6】
図5に示すマイクロ波照射の問題点を説明するための模式図の一例。
【
図7】実施形態1による基板処理方法の効果を説明するためのグラフの一例。
【
図8】
図1に示す製造方法によりシリコン基板に照射するマイクロ波の磁場を模式的に示す図の一例。
【
図9】導体または半導体に対する磁場の効果を説明するための模式図の一例。
【
図10】ダングリングボンドに対する磁場の変動の効果を説明するための模式図の一例。
【
図11】シリコン原子の結合に必要な対になる電子を説明するための模式図の一例。
【
図12】ゼーマン効果により分裂した軌道エネルギーとマイクロ波帯のエネルギーとの対応関係を示す模式図の一例。
【
図13】実施形態2による基板処理方法における処理対象層の一例を説明する模式図の一例。
【
図14】実施形態2による基板処理方法の概略を説明するための模式図の一例。
【
図15】実施形態2による基板処理方法の効果を説明するためのグラフの一例。
【
図16】電気双極子に対する電場の変動の効果を説明するための模式図の一例。
【
図17】
図14に示す製造方法によりシリコン基板に照射するマイクロ波の電場を模式的に示す図の一例。
【
図18】一実施形態によるマイクロ波照射装置の概略構成を示す断面図の一例。
【
図19】実施例1によるマイクロ波照射装置の概略構成を示す平面図の一例。
【
図20】実施例2によるマイクロ波照射装置の概略構成を示す平面図の一例。
【
図21】実施例3によるマイクロ波照射装置の概略構成を示す平面図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態のいくつかについて図面を参照しながら説明する。図面において、同一の部分には同一の参照番号を付し、その重複説明は適宜省略する。また、添付の図面は、それぞれ発明の説明とその理解を促すためのものであり、各図における形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所がある点に留意されたい。
【0009】
本願明細書において、説明中の上下等の方向を示す用語は、後述するアモルファスシリコン層などの処理対象層側を上とした場合の相対的な方向を指し示す。そのため、重力加速度方向を基準とした現実の方向と異なる場合がある。
【0010】
(A)基板処理方法
マイクロ波を用いたアニール処理の例を取り上げて説明する。
【0011】
(1)実施形態1
図1は、実施形態1による基板処理方法の概略を説明するための模式図の一例である。
【0012】
まず、処理対象層が上面に形成された半導体基板を準備する。本実施形態において、半導体基板として不純物、例えばGe(ゲルマニウム)イオンが注入されたシリコン基板Sを準備し、処理対象層としてシリコン基板S上に形成されたアモルファスシリコン層2を取り挙げる。半導体基板としては、このようなシリコン基板Sに限るものでは決してなく、不純物イオンが注入されていないシリコン基板の他、例えばインジウムガリウム(InGa)、ガリウムヒ素(GaAs)などを含む化合物半導体基板にも適用可能である。
【0013】
次に、図示しないマイクロ波照射源(
図18乃至21の符号60参照)とシリコン基板Sとの間に金属スリット8を設置する。その際、本実施形態では、金属スリット8の空隙SLの長手方向がシリコン基板Sの表面に水平かつマイクロ波の照射方向と異なる方向AR2となるように金属スリット8を設置する。本実施形態において、金属スリット8は例えば偏波板(偏波機構)に対応する。
【0014】
次いで、シリコン基板Sの表面に水平な方向AR1で図示しないマイクロ波照射源からシリコン基板Sへマイクロ波3を照射する。金属スリット8の空隙SLの方向AR2とマイクロ波3の入射方向AR1とは、本実施形態では互いに直交するが、これに限ることなく、互いに交差していればよい。
【0015】
このように、空隙SLの長手方向がシリコン基板Sの表面に水平な方向AR2となるようにシリコン基板Sとマイクロ波照射源との間に金属スリット8を配置してシリコン基板Sの表面に水平な方向AR1からマイクロ波を照射することにより、電場4の振幅方向が様々な方向を有するマイクロ波のうち、電場4の振幅方向が金属スリット8空隙SLの長手方向AR2に等しいマイクロ波が金属スリット8を通過する。
図2に示すように、電磁線における磁場3の振幅方向は、電場4の振幅方向に対して90°の角度を有するので、金属スリット8を通過したマイクロ波3の磁場5の振幅方向はシリコン基板Sの表面に垂直な方向AR3となる。
【0016】
これにより、
図3に示すように、シリコン基板Sをその表面に垂直な方向AR3が磁場の振幅方向となるので、シリコン基板Sに印加されるパワーと同一のパワーがアモルファスシリコン層2にも与えられる。この結果、高い効率で固相エピタキシャル成長の反応が進行する。
【0017】
なお、
図2においては、磁場5と電場4とを容易に区別するため、磁場5を実線で表し、電場4を破線で表した。この点は、
図8および
図17においても同様である。
【0018】
比較例1として、金属スリット8をその空隙SLの長手方向がシリコン基板Sの表面に垂直な方向AR3になるように配置した例を
図4に示す。
図4に示す比較例1によれば、磁場5の振幅方向がシリコン基板Sの表面に水平な方向AR2であるマイクロ波3のみが基板Sに照射されるので、
図5に模式的に示す、シリコン基板Sの上方からマイクロ波を照射した場合と同様となる。これにより、
図6に示すように、ほぼ全てのマイクロ波のパワーがシリコン基板Sに与えられてシリコン基板Sを加熱することに使用されることになり、アモルファスシリコン層2の固相エピタキシャル成長に使用されるマイクロ波のパワーはほとんど無い。その結果、反応をさせたいアモルファスシリコン層2における固相エピタキシャル成長速度は、炉アニールの場合と同程度にしかならない。
【0019】
図7は、本実施形態を含むいくつかのアニール方法について反応温度と固相エピタキシャル成長速度とを測定してグラフにプロットしたものである。
【0020】
比較例1のように、磁場5の振幅方向がシリコン基板Sの表面に水平であるマイクロ波がシリコン基板Sに照射するように金属スリット8を設置した場合は、
図7に示すように、シリコン基板Sの上方からマイクロ波を照射した場合と同様の成長速度しか得られず、金属スリット8を設置することなく単に横方向(シリコン基板Sの表面に水平な方向)からマイクロ波を照射した場合よりも固相エピタキシャル成長速度が劣る。
【0021】
これに対して本実施形態のように、磁場5の振幅方向がシリコン基板Sの表面に垂直であるマイクロ波3がシリコン基板Sに照射するように金属スリット8を設置した場合は、シリコン基板Sに与えられるパワーと同一のパワーがアモルファスシリコン層2にも与えられる(
図3参照)。その結果、金属スリット8を設置することなく単に横方向(シリコン基板Sの表面に水平な方向)からマイクロ波を照射した場合よりも速い固相エピタキシャル成長速度が得られる。
【0022】
また、
図7からは、横方向(シリコン基板Sの表面に水平な方向)からのマイクロ波照射は約550℃よりも高い温度で固相エピタキシャル成長速度の伸びが減少しているのに対し、本実施形態のように、その空隙SLの長手方向がシリコン基板Sの表面に水平な方向AR2になるように金属スリット8を設置した場合は、500℃より高い温度でも速い固相エピタキシャル成長速度が得られていることが分かる。なお、アモルファスシリコン層2の成長速度については、エリプソメータなどを使用して測定することができる。
【0023】
金属スリット8のサイズは、設置される位置により望ましい値が異なり、シリコン基板Sの近傍に設置する場合は大きなサイズが要求されるが、例えばチャンバの壁面に設けられた、マイクロ波3の導入口(
図18の符号40参照)の近傍に設置される場合は、導入口のサイズより大きければよい。
【0024】
金属スリット8の空隙SLの幅(
図1の符号WD参照)は、振幅方向が空隙SLの長手方向AR2である電場が通過できるサイズであればよく、例えばマイクロ波3の周波数が5.8GHで導入口(
図18の符号40参照)のサイズが例えば20mm×40mmである場合、約1mm〜約3mmの範囲であればよい。
【0025】
金属スリット8は、電場の振幅を所望の方向に制御できれば良く、その点で偏波板の役割を果たす。従って、金属スリットに限ることなく、マイクロ波に対して偏波作用をするものであれば、例えば、石英のようなマイクロ波に対して透明な性質を有する板状の材料に、金属で複数の平行線を描画したような他の偏波機構を用いてもよい。
【0026】
シリコン基板1を磁場5が透過する際の影響について、
図8乃至
図11を用いて説明する。
【0027】
磁場5が導体や半導体を透過する際、磁場5の進行方向に対して右回りの方向に誘導電流が流れる。したがって、例えば
図8に示すように磁場5が振幅する場合は、
図9に示すように、振幅の方向に垂直な面で導体10内に渦電流11が発生することになる。半導体回路の製造に使用される不純物、例えばホウ素、ヒ素、リンなどの不純物がシリコン基板Sに含まれている場合、シリコン基板Sの温度が上昇するほど、不純物がキャリアとして作用するため、シリコン基板S中を流れる渦電流11が大きくなる。この渦電流11により、ジュール熱が発生するため、シリコン基板Sが加熱される。
【0028】
この一方、アモルファスシリコンは規則的な結合が形成されず、ダングリングボンドと呼ばれる未結合手が存在する。例えば
図10に示すように、シリコン原子12の未結合手は、結合に必要な対になる電子(
図11の符号14参照)が存在しない。このため、電子13がスピンを持っている。スピンを持つ電子13に直流の磁場5を印加すると、磁場5が無い場合に縮退していた軌道エネルギーが、磁場5の印加によって分裂する(ゼーマン効果(Zeeman effect))。この場合に分裂した準位のエネルギーはGHz相当であり、
図12に模式的に示すように、ちょうどマイクロ波帯のエネルギーに対応する。
【0029】
図8のように振幅する磁場5がダングリングボンドに照射されると、磁場5の周期に合わせて、ゼーマン効果が起こることになり、ダングリングボンドを構成する、スピンを持つ不対電子13がマイクロ波3を吸収して活性な状態になり、これにより、固相エピタキシャル成長が促進すると考えられる。
【0030】
なお、ダングリングボンドはゲート絶縁膜中にも存在するため、固相エピタキシャル成長だけでなく、界面のダングリングボンドを酸素などで架橋して終端させることも磁場の変動により起こると考えられる。このため、本実施形態と同様の方法でゲート絶縁膜にマイクロ波を照射すると、界面改質効果も得られることになる。
【0031】
(2)実施形態2
次いで、実施形態2による基板処理方法について
図13乃至
図17を参照しながら説明する。
【0032】
まず、本実施形態の処理対象層が上面に形成された半導体基板の一例を
図13の略示断面図に示す。
図13に示す処理対象層は、シリコン基板S上に、炭素(C)を含む塗布膜16を成膜し、その塗布膜16中に水分子17を含有させたものである。水分子17の含有は、例えば、塗布膜16を水蒸気に晒すことにより、または塗布膜16を水溶液に浸すことにより可能である。
【0033】
図14は、本実施形態による基板処理方法の概略を説明するための模式図の一例である。
図1との対比により明らかなように、本実施形態では、
図4の比較例1と同様に、金属スリット8をその空隙SLの長手方向がシリコン基板Sの表面に垂直でマイクロ波の照射方向と異なる方向AR3になるように配置し、シリコン基板Sの表面に水平な方向AR1で、図示しないマイクロ波照射源(
図18の符号60参照)からシリコン基板Sへマイクロ波3を照射する。これにより、振幅方向がシリコン基板Sの表面に垂直な方向AR3の電場4と、振幅方向がシリコン基板Sの表面に水平な方向AR2の磁場5を持つマイクロ波3のみが金属スリット8を通過する。その結果、シリコン基板Sの表面に垂直な方向AR3の振幅を持つ電場4によって塗布膜16中の水分子17が回転する。水分子17の回転で塗布膜16の酸化効果が生じ、これにより塗布膜16中の残留炭素濃度が低減する。
【0034】
このような塗布膜16の酸化効果を確認するため、450℃で10分のマイクロ波アニールを行った。
【0035】
比較例2として、炉アニールにより、450℃で10分のアニールを行った。そして、比較例3として、
図1に示した実施形態1のように、金属スリット8の空隙SLの長手方向がシリコン基板Sの表面に水平な方向AR2となるように金属スリット8を設置した上でシリコン基板Sの表面に水平な方向AR1でマイクロ波照射源からシリコン基板Sへマイクロ波3を照射した。そして、アニール後の塗布膜16中の残留炭素濃度をSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)にて検査した。
【0036】
このような検査結果の一例を
図15のグラフに示す。
図15から、空隙SLの長手方向がシリコン基板Sの表面に水平になるように金属スリット8を設置した比較例3では、炉アニールによる比較例2よりもわずかだけ残留炭素濃度が低減しているのに対し、空隙SLの長手方向がシリコン基板Sの表面に垂直な方向AR3になるように金属スリット8を設置した本実施形態による濃度は、比較例3よりも1桁近く残留炭素濃度が低減したことが分かる。
【0037】
図16に模式的に示すように、水分子のような極性を持つ電気双極子18に対しては、電場が変動する(
図17参照)ことにより、極性を持つ電気双極子18が電場4の変動に追随しようとして回転運動を起こす。この回転運動で電気双極子18が塗布膜16を構成する原子と衝突し、これにより、酸化反応が促進されるものと考えられる。塗布膜16中には炭素(C)があり、活性な水分子によって、CHxなどの化合物になって塗布膜16から揮発する。その結果、塗布膜16中の残留炭素濃度が低減するものと考えられる。なお、十分な水分子があれば、CH
Xだけでなく、COやCO
2となって塗布膜16から除去される炭素もある。
【0038】
本実施形態では、シリコン基板Sの表面に水平な方向AR3の振幅を持つ磁場5がシリコン基板Sに照射するため、塗布膜16よりもシリコン基板Sの方が温度上昇しやすくなるが、水分子17の回転により塗布膜16の局所的な酸化効果が得られる。
【0039】
上述の各実施形態では、マイクロ波3をシリコン基板Sの表面に水平な方向から照射させる態様について説明したが、マイクロ波3の入射方向は必ずしもシリコン基板Sの表面に水平な方向に限るものではなく、マイクロ波3の導入口とシリコン基板Sとの間に偏波板が設置されるのであれば、シリコン基板Sの表面と鋭角をなす方向、望ましくは、水平方向から±45度の範囲内の角度をなす方向であれば、シリコン基板Sのみの過加熱を回避することができる。
【0040】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の基板処理方法によれば、磁場または電場の振幅方向が半導体基板の表面に垂直であるマイクロ波を半導体基板に照射してアニールすることを備えるので、熱アニールよりも低温でかつ効率良く反応を促進することができ、良好な特性の半導体装置を製造することができる。
【0041】
(B)マイクロ波照射装置
(1)一実施形態
図18は、一実施形態によるマイクロ波照射装置の概略構成を示す断面図の一例である。本実施形態のマイクロ波照射装置は、上述した実施形態による基板処理方法を実現するためのマイクロ波アニール装置である。
【0042】
図18に示すように、マイクロ波アニール装置50は、シリコン基板Sを収容可能なチャンバ19と、偏波板27とを含む。チャンバ19の壁面には、外部から照射されるマイクロ波をチャンバ19内へ導入するための導入口40が設けられる。偏波板27は、導入口40と半導体基板Sとの間に設置される。
【0043】
マイクロ波アニール装置50は、サセプタ20と、ガス導入管22と、排気口21とをさらに含む。
サセプタ20は、シリコン基板Sを保持し、図示しない回転駆動機構に連結されてシリコン基板Sをその表面に水平な面内で回転させる。ガス導入管22は、アニール用の処理ガスをチャンバ19内に導入する。導入された処理ガスは、排気口21から排気される。
【0044】
マイクロ波アニール装置50はまた、導入口40に連結され、マイクロ波を生成してチャンバ19内のシリコン基板Sへ向けて照射するマイクロ波照射部60を含む。
【0045】
マイクロ波照射部60は、マグネトロン23、ランチャ24、アイソレータ25、および導波管26を含む。マグネトロン23は、マイクロ波3を生成し、ランチャ24は、生成したマイクロ波3に指向性を持たせて放射する。放射したマイクロ波3は、アイソレータ25を通過し、導波管26を介してチャンバ19内へ導入される。アイソレータ24は、図示しないダミー配管に連結され、サセプタ20の回転などに起因してチャンバ19内から到達する反射波をダミー配管に吸収させることによりマグネトロン23を保護する。
【0046】
偏波板27は、例えば
図1に示す金属スリット8のように、照射されるマイクロ波に対し、偏波方向を調整できる機構を有する。偏波板27は、導入口40の中央を通りマイクロ波の入射方向に水平な方向を中心軸として少なくとも90°毎に回転可能な態様で設置される。これにより、磁場の振幅方向がシリコン基板Sの表面に垂直な方向が望ましいアニールプロセスと、電場の振幅方向がシリコン基板Sの表面に垂直な方向が望ましいアニールプロセスのそれぞれに応じて、偏波板27の向きを調整すること可能である。
【0047】
なお、偏波板27は、導入口40と半導体基板Sとの間であればどの位置に設置されてもよいが、導入口40のサイズよりも大きなサイズが必要となるため、コスト低減のためには、シリコン基板Sの近傍に設置するよりも導入口40の近傍に設置することが望ましい。
【0048】
本実施形態では、シリコン基板Sに対して水平方向からマイクロ波3が照射するように構成された形態について説明したが、これに限ることなく、製造方法の実施形態で説明した通り、シリコン基板Sの表面と鋭角をなす方向、望ましくは、水平方向から±45度の範囲内の角度をなす方向であれば、偏波板27を用いることで、シリコン基板Sのみの過加熱を回避することができる。
【0049】
次に、
図18に示したマイクロ波アニール装置50の実施例のいくつかについて
図19乃至
図21を参照して説明する。
【0050】
(2)実施例
図19は、実施例1によるマイクロ波アニール装置の概略構成を示す平面図の一例である。
図19に示すマイクロ波アニール装置51は、矩形の平面形状を有するチャンバ191を有し、3つの導入口41(41A−41C)のそれぞれに連結されたマイクロ波照射部60を含む。
【0051】
図19から分かるように、3つの導入口41のうち、対向する導入口41Aおよび41Cは同一のマイクロ波導入方向上ではなく、互いに真正面からマイクロ波導入方向に直交する方向にずれるように配置される。このように、チャンバ19の平面形状がnが偶数であるn角形である場合は、互いに対向する導入口は真正面から少しずらすようにして配設される。これは、互いに真正面に導入口があると、対面からのマイクロ波が反射波としてモニタされてしまい、パワーの制御が困難になるからである。従って、ずらす方向は、シリコン基板Sの表面に水平な方向だけでなくシリコン基板Sの表面に垂直な方向にも可能である。
実施例2および3のマイクロ波アニール装置を
図20および
図21にそれぞれ示す。これらのマイクロ波アニール装置52,53のように、nが奇数であるn角形の平面形状を有するチャンバ192,193を含む場合は、各マイクロ波照射部60が連結される導入口42,43は、対向面からマイクロ波が入射することがないので、チャンバ192,193の壁面のうち、基板Sに対向する壁面であれば、各壁面内のどの位置に導入口42,43を設けてもよい。
なお、実施例1乃至3のいずれのマイクロ波アニール装置51〜43についても、大気との遮断、または、搬送室(図示せず)との接続のため、ゲートバルブ28が設けられる。
【0052】
マイクロ波3の周波数は1GHzから50GHzの間であれば、いずれも使用可能であるが、ISM(Industry−Science−Medical)バンドである、2.45GHz、5.80GHz、24.125GHzなどを用いると、導波管26を含め、各種の部品が既に製品として準備されているため、コストを下げることができる。
【0053】
以上述べた少なくとも一つの実施形態のマイクロ波照射装置によれば、半導体基板の表面に水平な方向または前記半導体基板の表面と鋭角をなす方向から前記半導体基板に照射されるマイクロ波を導入する導入口が設けられたチャンバと、該導入口と上記半導体基板との間に設置された偏波板とを含むので、熱アニールよりも低温でかつ効率良く反応を促進することができ、良好な特性の半導体装置を製造することができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。