(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記線状部材が合成樹脂製又は金属製のものから成り、前記作動部は電動モーターの駆動軸に連結した作動杆を回転又は往復動させることにより前記線状部材が左右に移動できることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両検知器用異物除去装置。
前記車両検知器に異物が付着したことを判定する判定手段を更に付加し、当該判定手段によって、前記車両検知器の前記センサー部の表面に異物が付着したことを判定し、かかる判定情報を有線又は無線により遠隔監視所に送信することにより、当該遠隔監視所において前記異物除去装置に作動指令を有線又は無線により送信し、この作動指令に基づき前記作動部が作動開始することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両検知器用異物除去装置。
前記センサー部が、多数の発光部又は受光部が縦に列設したものからなり、前記判定手段が、前記発光部又は受光部の少なくとも1つが所定時間遮光されることにより故障と判定し、この故障判定に基づき前記異物除去装置に作動指令が送信されることを特徴とする請求項4に記載の車両検知器用異物除去装置。
【背景技術】
【0002】
現在、いわゆる無人スマートインターチェンジと呼ばれるインターチェンジが存在しているが、かかるインターチェンジは、山間部に位置しており、周りを森や川に囲まれ、蛾等の昆虫類が比較的多く生息している。
これらの昆虫類は、夜間に飛翔行動を行い、車両検知器のセンサー部から発せられる赤外線等の光に誘引され、センサー部表面のレンズ面に頻繁に付着する。
【0003】
このように、車両検知器のセンサー部のレンズ表面に蛾等の昆虫類が付着すると、高速道路等の自動料金課金システム、例えば、ETCシステムの機能停止を起こし、レーンの閉鎖を生じてしまうこととなるのである。
レーンの閉鎖が生じると、レーンの運用再開には、付着した異物を人の手により除去して車両検知器の機能を復旧させる必要があった。
【0004】
近年、上記のようなスマートインターチェンジが増え、かかるインターチェンジは無人化されており、上記のような異物除去作業を行うには、保守要員を緊急に呼び出して除去作業に当たるため、レーン閉鎖解除までの時間は、1時間を超えてしまい、通行車両の対応等に苦慮していたのが現状である。
また、従来このような異物を除去できる装置の存在はなかったのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明においては、有料道路等のETCシステム等で利用されている車両検知器のセンサー部(赤外線等の発光部又は受光部等)の表面に付着した異物を自動的に除去できる装置の提供をその課題とするものである。
また、この装置の作動について遠隔監視所を介して行うことができるようにすることも本発明の課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、車両通行路の両側に配置された一対の柱状の車両検知器の縦方向に配列されたセンサー部の前面に配設される異物除去装置であって、この異物除去装置は、前記センサー部の前面で縦方向に配設された線状部材と、この線状部材の上端部又は下端部に配設された前記線状部材の作動部と、前記線状部材の他端部に配設された支持部とから成り、前記作動部の作動により、前記線状部材は、前記センサー部の表面に沿って左右に移動することができ、この線状部材の左右移動に追従して前記支持部も左右に移動することができ、これにより、前記センサー部の表面に付着した異物を除去することができることを特徴とする車両検知器用異物除去装置である。
【0007】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記異物除去装置を取り付けた車両検知器が有料道路等の自動料金課金施設に配設されたものであることを特徴とする車両検知器用異物除去装置である。
【0008】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記線状部材が合成樹脂製又は金属製のものから成り、前記作動部は電動モーターの駆動軸に連結した作動杆を回転又は往復動させることにより前記線状部材が左右に移動できることを特徴とする車両検知器用異物除去装置である。
【0009】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の何れかの発明において、前記車両検知器に異物が付着したことを判定する判定手段を更に付加し、当該判定手段によって、前記車両検知器の前記センサー部の表面に異物が付着したことを判定し、かかる判定情報を有線により遠隔監視所に送信することにより、当該遠隔監視所において前記異物除去装置に作動指令を有線により送信し、この作動指令に基づき前記作動部が作動開始することを特徴とする車両検知器用異物除去装置である。
【0010】
本発明の第5のものは、上記第4の発明において、前記センサー部が、多数の発光部又は受光部が縦に列設したものからなり、前記判定手段が、前記発光部又は受光部の少なくとも1つが所定時間遮光されることにより故障と判定し、この故障判定に基づき前記異物除去装置に作動指令が送信されることを特徴とする車両検知器用異物除去装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1のものにおいては、車両通行路の両側に配置された一対の柱状の車両検知器において、この検知器の道路側には相対向するように縦方向に発光部又は受光部等の信号発信部又は信号受信部から成るセンサー部が設けられており、この縦方向に配列されたセンサー部の前面には蛾等の害虫が特に夜間には付着する可能性があり、この害虫等の異物を除去するための異物除去装置である。
【0012】
この異物除去装置は、前記センサー部の前面で縦方向に配設された線状部材と、この線状部材の上端部又は下端部に配設された前記線状部材の作動部と、前記線状部材の他端部に配設された支持部とから成り、前記作動部の作動により、前記線状部材は、前記センサー部の表面に沿って左右に移動することができ、この線状部材の左右移動に追従して前記支持部も左右に移動することができる。
これにより、前記センサー部の表面に付着した異物を簡単に除去することができることとなるのである。
【0013】
本発明の第2のものにおいては、前記異物除去装置を取り付けた車両検知器が有料道路等の自動料金課金施設に配設されたものであることを特定したものである。
【0014】
本発明の第3のものにおいては、前記異物除去装置の線状部材や作動部をより具体的に限定したものであり、即ち、前記線状部材が合成樹脂製又は金属製のものから成り、前記作動部は電動モーターの駆動軸に連結した作動杆を回転又は往復動させることにより前記線状部材が左右に移動できることを特定したものである。
【0015】
本発明の第4のものにおいては、前記車両検知器に異物が付着したことを判定する判定手段を更に付加し、当該判定手段によって、前記車両検知器の前記センサー部の表面に異物が付着したことを判定し、かかる判定情報を有線又は無線により遠隔監視所に送信することにより、当該遠隔監視所が前記異物除去装置に作動指令を有線又は無線により送信し、この作動指令に基づき前記作動部が作動開始することを特定したものであり、前記異物除去装置を遠隔監視所の指令に基づき、作業員等の動員を要することなく、自動的に異物除去を行うことができるように構成したものである。
【0016】
本発明の第5のものは、上記第4の発明において、上記判定手段をより具体化したものであり、即ち、この判定手段は、車両検知器のセンサー部に列設された多数の発光部又は受光部の少なくとも1つが所定時間遮光されることにより故障と判定し、この故障判定に基づき上記異物除去装置に作動指令が送信されることを特徴とするものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、一般的な自動料金課金施設の一例を示す概念図である。
この自動料金課金施設(入口部)においては、道路Rの路側の両側に一対の車両検知器10、10が設置され、この一対の車両検知器10、10が、この入口部に複数設けられている。この図示例では4組設けられている。
【0019】
これらの車両検知器10、10においては、それぞれの位置に応じて、車両の進入検知、車軸数や台数検知、車両の入退出検知、路側表示部31への表示内容の切り替え、前後進検知、通信の開始・終了通知、料金収受の確認、車両通行制御装置(開閉バー)30への開閉指令、等々車両が当該自動料金課金施設を適正に通過することができるようなシステムが構築されている。
【0020】
本発明に係る車両検知器用異物除去装置は、上記車両検知器10の路側の縦方向に設けられているセンサー部12の表面に設置されるものである。
一対の車両検知器10、10は、後に詳説するが、縦長の柱状のものから成り、その道路側の略中央縦方向にセンサー部12が対面するように配置されているものである。
【0021】
図2は、本発明の車両検知器に設けられた異物除去装置の一実施形態に係る概念図であって、その(A)が正面図、その(B)が左側面図、その(C)が右側面図である。
車両検知器10は、縦長の柱状の外形形状を有し、その正面側(道路側)の略中央縦方向にセンサー部12が設けられている。
【0022】
この車両検知器10の一対のものが車両通行路の両側に設置され、それぞれの車両検知器10の対面する正面側(道路側)に前記センサー部12が配置されているのである。
【0023】
この実施形態では、このセンサー部12は、赤外線の発光部又は受光部から成り、一方の車両検知器10のセンサー部12である赤外線発光部が常時対面する他方の車両検知器10の正面側(道路側)の略中央縦方向に一列に設けられているセンサー部である赤外線受光部に向かって投光され、常時受光状態を感知している。
この実施形態においては、上記センサー部12の上下方向に52個の発光部とそれに対向する52個の受光部とから形成されている。
【0024】
この受光状態が遮断されることによって、車両の通過を検知することができることとなるのである。
そこで、この車両検知器10の道路側に設けられているセンサー部12の表面に蛾等が取り付き、付着すると、上記赤外線発光部と受光部との感知(受光)状態が遮断され、車両検知の誤作動が生じ、トラブル発生の原因となるのである。
【0025】
本発明に係る異物除去装置は、上記蛾等の異物を除去すべく、車両検知器10のセンサー部12の表面側に配置された線状部材20と、この線状部材20の上端部が連結する作動杆22と、この作動杆22を動作させる作動部としての電動モーター24と、前記線状部材20の下端部に設けられた支持部26、27とから構成されている。
【0026】
線状部材20の上端部に設けた電動モーター24と作動杆22は、つまり、これらの作動部は、線状部材20の下端部に設けて実施することもできる。
線状部材20の下端部に設けた支持部26、27も、同様に、線状部材20の上端部に設けることもできる。
【0027】
支持部26、27は、線状部材20の下端部に連結された左右の弾性部材、例えばコイルスプリングから形成することができる。
これら左右の弾性部材の中央側端部を前記線状部材20の下端部に連結し、他方端部をそれぞれ車両検知器10の下端部の左右の端部部分に固定すればよいのである。
【0028】
電動モーター24の回転駆動軸の先端部に棒状の作動杆22の一端を連結し、この作動杆22を略45度の範囲内で往復回動させることにより、線状部材20は、センサー部12の表面で、左右方向に往復移動を行うことができ、それによってセンサー部12の表面に付着した異物を除去することができるのである。
【0029】
図3は、前記線状部材の動作を示す説明図であって、その(A)が線状部材が左端位置にある状態を、その(B)が線状部材が右端位置にある状態を、その(C)が線状部材の左右の移動状態を示す図である。
この
図3によって、線状部材20の動きを明瞭に見て取ることができる。
【0030】
図3(A)において、この状態が静止状態を示し、この状態で線状部材20は、正面から見て、センサー部12の左側に位置している。
この状態から、電動モーター24に通電されることにより、電動モーター24の回転駆動軸にその一端が連結された作動杆22が略45度回動して、
図3(B)の状態となる。
【0031】
作動杆22が略45度回動することのより、線状部材20は上方に引き寄せられるとともに、正面から見て、右側に略平行移動を行う。
線状部材20の下端部には、コイルスプリングからなる左右の支持部26、27が連結されて、左の支持部26の基端部26kは、車両検知器の下端部の左側に固定され、他方の右の支持部27の基端部27kは、車両検知器の下端部の右側に固定されているために、線状部材20の下端部もその上端部の左右往復移動に伴って左右往復移動を行うことができるのである。
【0032】
この実施形態では、上記の作動杆22は、略45度の範囲で往復回動するように設定しているが、この作動杆22が360度回転を行うものであってもよい。
というのも、この作動杆22を回転させることによっても、線状部材20を左右に略平行移動させることができるからである。
【0033】
この電動モーター24と作動杆22の構成は自由に設計変更することができ、要するに、線状部材20が左右に略平行移動し、センサー部12の表面に沿って左右往復移動可能であれば、他の構成を採用してもよいものである。
【0034】
図3(C)は、上記線状部材20の動作を示しており、この図に示した通り、本発明に係る電動モーター24に連結された作動杆22の回動運動により、当該線状部材20は、図に示した通り、左右に略平行移動を行い、センサー部12の表面に付着した異物を除去することができることとなるのである。
【0035】
図4は、上記実施形態に係る作動部と線状部材の部分の拡大説明図である。
この図からよく解る通り、電動モーター24の回転駆動軸24sには作動杆22の基端部が連結し、作動杆22の先端部には線状部材20が連結している。
【0036】
電動モーター24の回転駆動軸24sが往復動回転することにより、作動杆22の先端部が矢印Dに示した通り往復回動動作を行い、これに伴って線状部材20が左右に略往復移動を行う。
【0037】
これによって、図示はしていないが、車両検知器のセンサー部の表面に付着した異物を除去することができることとなるのである。
この実施形態では、上記線状部材20の左右往復移動距離は、約30mmから50mm程度の範囲内に設定している。
【0038】
以上、本発明に係る異物除去装置の構成について説明したが、以下、その作動に関して説明をする。
【0039】
(1) 異物除去装置を自動運転する方法
先ず、車両検知器に蛾等の異物が車両検知器のセンサー部に付着したことを判定する判定手段を当該車両検知器に設けて置く。判定手段については後に説明する。
当該判定手段が異物を検知した際に、異物除去装置の電動モーターの電源が投入される設定とし、所定時間電動モーターが作動するように設定する。
【0040】
或いは、電動モーターの作動が開始したのち、異物が除去された状態を上記判定手段の正常状態への復帰により判定して、電動モーターの通電を停止する方法を採用することもできる。
【0041】
(2) 遠隔監視所において異物除去装置の動作指令を送信する方法
有料道路等の自動料金課金システムを管理できる遠隔監視所において、上記異物除去装置を動作させるようにすることも可能である。
図5は、本発明に係る上記異物除去装置の無線による遠隔操作を行うネットワークの一例を示す概念図である。
【0042】
この概念図に示したように、上記(1)の手順において、異物がセンサー部に付着したことを判定する判定手段の判定情報を遠隔監視所に無線により送信し、遠隔監視所から異物除去装置の電動モーターへの通電指令を無線を介して送信し、作動させればよいこととなる。
【0043】
異物除去装置の電動モーターへの通電停止指令は、除去判定手段からの異物除去判定に基づき行うこともできるし、先の電動モーターへの通電指令によって電動モーターの作動時間を予め一定時間に設定しておき停止させる方法を採用することもできる。
【0044】
図6は、異物が車両検知器のセンサー部に付着したことを判定する判定手段を説明するためのブロック図である。
このブロック図において、判定手段Kが故障診断部となる。
図7は、判定手段の流れ図である。
【0045】
判定手段Kは、車両検知器のセンサー部に蛾等の異物が付着することにより、常時作動している車両検知器のセンサー部に設けられている赤外線発光部又は受光部の何れかの発光又は受光が遮断され、その遮断時間が所定時間、例えば5分と設定した場合には、5分以上遮光された状態により、故障診断部が故障と認定し、この故障情報を遠隔監視所に警告報知として通報する。
【0046】
この通報に基づき遠隔監視所において作業員が本発明に係る異物除去装置に作動指令を行う、つまり、装置への電源投入指令を送るのである。
このように判定手段Kにおいては、所定時間のセンサー部の受光遮断を感知して故障診断部で故障と認定し、その情報を遠隔監視所に送るシステムである。
この所定時間は、上記実施形態では5分と設定しているが、この時間は適宜変更することができる。
【0047】
また、遮光されたセンサー部の数も、上記した52個の発光部と受光部の何れかの2個以上とか、5個以上とか適宜必要に応じて設定することも可能である。
また、
図5の通り無線を介して情報を送受信できるように設定すれば、遠隔監視所は、当該インターチェンジ内に設けずに、中央の管理センター等で遠隔操作管理することも可能である。
【0048】
以上のように、本発明に係る異物除去装置の作動に関しては、車両検知器に備える異物付着を判定する判定手段を設け、この判定手段の異物付着判定に基づき異物除去装置の作動部を自動的に開始できればよく、これを装置内で自動的に行うことも、遠隔監視所(当該インターチェンジ内又は別の管理センター)を通じて行うこともできるものである。
【0049】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更することができる。
作動部となる電動モーターは、車両検知器の上端部に設けたが、これを車両検知器の下端部に設けることもできる。
【0050】
同様に、支持部は、上記実施形態では、車両検知器の下端部に設けたが、これをその上端部に設けて実施することもできる。
線状部材としては、例えば合成樹脂製の釣り糸を用いることができるが、これによれば既製品を利用することができるが、釣り糸でなくともよく、極細の金属製ワイヤーを適宜利用することができる。
【0051】
極細の線状部材を使用するのは、車両検知器のセンサー部の光検知動作に支障を来たさないためである。
線状部材の一方の端部に設けた支持部としてもコイルスプリング等の弾性部材を使用したが、これらの端部は強力磁石を用いて、車両検知器の下端部の両側面部に磁着させて簡単に取り付けることもできる。
【0052】
同様に、作動部に関しても強力磁石を利用して磁着できるようにすれば、容易に車両検知器に着脱式に取り付け、取り外しすることができることとなる。
【0053】
車両検知器に設けた異物の付着を判定する判定手段に関しても、この判定手段の判定結果に基づき作動部である電動モーターの通電を開とする回路を設けておけば、自動的に所定時間異物除去動作を実行させることもできる。
遠隔監視所との無線通信手段にしても、従来のものをそのまま利用することができ、勿論有線であってもよい。
【0054】
以上、本発明は、簡易な構成からなる異物除去装置を車両検知器に取り付けて実施することができ、この異物除去装置の作動を自動的に、或いは、遠隔操作により自動的に行えるように構成し、車両検知器のセンサー部に付着した異物を簡単に除去することができる車両検知器用異物除去装置を提供することができたものである。