(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気を圧縮する圧縮機と、燃料として少なくとも燃料ガスが供給され前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器に供給される前記燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱器と、前記燃焼器で生じた燃焼ガスにより回転するタービンと、前記圧縮機から抽気される前記圧縮空気を冷却して前記タービンに供給する空気冷却器と、を有するガスタービンと、
前記ガスタービンから排出される排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラにおいて前記排ガスの熱を回収する第1熱媒体が流通する給水ラインと、
前記空気冷却器と前記燃料ガス加熱器との間を循環し、前記空気冷却器において前記圧縮空気の熱を回収し前記燃料ガス加熱器において前記燃料ガスに対して前記熱を供給する第2熱媒体が流通する循環ラインと、
前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記給水ラインの前記第1熱媒体を前記循環ラインに供給する供給ラインと、
前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記循環ラインの前記第2熱媒体を前記給水ラインに供給する戻りラインと、を備え、
前記戻りラインは、前記循環ラインのうち前記第2熱媒体の流通方向において前記空気冷却器の下流側かつ前記燃料ガス加熱器の上流側の部分に接続される
プラント設備。
空気を圧縮する圧縮機と、燃料として少なくとも燃料ガスが供給され前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器に供給される前記燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱器と、前記燃焼器で生じた燃焼ガスにより回転するタービンと、前記圧縮機から抽気される前記圧縮空気を冷却して前記タービンに供給する空気冷却器と、を有するガスタービンと、
前記ガスタービンから排出される排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラにおいて前記排ガスの熱を回収する第1熱媒体が流通する給水ラインと、
前記空気冷却器と前記燃料ガス加熱器との間を循環して設けられ、前記空気冷却器において前記圧縮空気の熱を回収し前記燃料ガス加熱器において前記燃料ガスに対して前記熱を供給する第2熱媒体が流通する循環ラインと、
前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記給水ラインの前記第1熱媒体を前記循環ラインに供給する供給ラインと、
前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記循環ラインの前記第2熱媒体を前記給水ラインに供給する戻りラインと、を備え、
前記戻りラインは、前記循環ラインのうち前記第2熱媒体の流通方向において前記空気冷却器の下流側かつ前記燃料ガス加熱器の上流側の部分に接続されるプラント設備の運転方法であって、
前記循環ラインにおいて前記第2熱媒体を流通させ、前記供給ライン及び前記戻りラインを閉じた状態として前記ガスタービンを運転させる第1運転ステップと、
前記給水ラインにおいて前記第1熱媒体を流通させ、前記循環ラインにおいて前記第2熱媒体を流通させ、前記供給ライン及び前記戻りラインを開いた状態として、前記ガスタービン及び前記排熱回収ボイラを運転させる第2運転ステップと、
前記第1運転ステップと前記第2運転ステップとを切り替える切替ステップと、を含むプラント設備の運転方法。
空気を圧縮する圧縮機と、燃料として少なくとも燃料ガスが供給され前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器に供給される前記燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱器と、前記燃焼器で生じた燃焼ガスにより回転するタービンと、前記圧縮機から抽気される前記圧縮空気を冷却して前記タービンに供給する空気冷却器と、を有するガスタービンと、
前記ガスタービンから排出される排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラにおいて前記排ガスの熱を回収する第1熱媒体が流通する給水ラインと、
前記空気冷却器と前記燃料ガス加熱器との間を循環して設けられ、前記空気冷却器において前記圧縮空気の熱を回収し前記燃料ガス加熱器において前記燃料ガスに対して前記熱を供給する第2熱媒体が流通する循環ラインと、
前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記給水ラインの前記第1熱媒体を前記循環ラインに供給する供給ラインと、
前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記循環ラインの前記第2熱媒体を前記給水ラインに供給する戻りラインと、を備え、
前記戻りラインは、前記循環ラインのうち前記第2熱媒体の流通方向において前記空気冷却器の下流側かつ前記燃料ガス加熱器の上流側の部分に接続されるプラント設備の制御装置であって、
前記循環ラインにおいて前記第2熱媒体を流通させ、前記供給ライン及び前記戻りラインを閉じた状態として前記ガスタービンを運転させる第1運転と、
前記給水ラインにおいて前記第1熱媒体を流通させ、前記循環ラインにおいて前記第2熱媒体を流通させ、前記供給ライン及び前記戻りラインを開いた状態として、前記ガスタービン及び前記排熱回収ボイラを運転させる第2運転と、
前記第1運転と前記第2運転とを切り替える切替動作と、を行わせるプラント設備の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のプラント設備は、燃焼器の燃料として例えばガス状の燃料(燃料ガス)が供給される構成であり、燃焼器における燃料消費量を削減するため燃料ガスを加熱してから燃焼器に供給する燃料ガス加熱器を備えている。また、このプラント設備は、ガスタービンのタービンロータを冷却するため、圧縮機から抽気される圧縮空気を冷却してタービンに供給する空気冷却器を備えている。そして、このプラント設備は、燃料ガス加熱器と空気冷却器との間で熱交換を行う、つまり、圧縮空気の熱を回収して燃料ガスを加熱することにより、プラント効率の向上を図る構成となっている。
【0006】
GTCC発電プラントのようなプラント設備は、プラント効率を向上させることが求められており、例えば特許文献1に記載のようなプラント設備においても、更なるプラント効率の向上が求められている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、プラント効率の向上を図ることが可能なプラント設備、プラント設備の運転方法及びプラント設備の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプラント設備は、空気を圧縮する圧縮機と、燃料として少なくとも燃料ガスが供給され前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器に供給される前記燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱器と、前記燃焼器で生じた燃焼ガスにより回転するタービンと、前記圧縮機から抽気される前記圧縮空気を冷却して前記タービンに供給する空気冷却器と、を有するガスタービンと、前記ガスタービンから排出される排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラにおいて前記排ガスの熱を回収する第1熱媒体が流通する給水ラインと、前記空気冷却器と前記燃料ガス加熱器との間を循環し、前記空気冷却器において前記圧縮空気の熱を回収し前記燃料ガス加熱器において前記燃料ガスに対して前記熱を供給する第2熱媒体が流通する循環ラインと、前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記給水ラインの前記第1熱媒体を前記循環ラインに供給する供給ラインと、前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記循環ラインの前記第2熱媒体を前記給水ラインに供給する戻りラインと、を備える。
【0009】
本発明によれば、給水ラインから循環ラインに第1熱媒体が供給され、循環ラインから給水ラインに第2熱媒体が戻されるため、例えば循環ラインの熱を回収した状態の第2熱媒体が給水ラインに戻されることで、循環ラインの熱を給水ラインで利用することができる。これにより、プラント全体で熱を有効に利用することができるため、プラント効率の向上を図ることができる。
【0010】
また、前記戻りラインは、前記圧縮空気の熱を回収した状態の前記第2熱媒体を前記給水ラインに供給する。
【0011】
従って、圧縮空気の熱を給水ラインで利用することができる。これにより、プラント全体で熱を有効に利用することができるため、プラント効率の向上を図ることができる。
【0012】
また、前記供給ラインは、前記循環ラインのうち前記第2熱媒体の流通方向において前記空気冷却器の上流側かつ前記燃料ガス加熱器の下流側の部分に接続され、前記戻りラインは、前記循環ラインのうち前記第2熱媒体の流通方向において前記空気冷却器の下流側かつ前記燃料ガス加熱器の上流側の部分に接続される。
【0013】
従って、供給ラインから循環ラインに供給された第1熱媒体が空気冷却器において圧縮空気の熱を回収し、当該熱を回収した状態で戻りラインから給水ラインに戻されるため、圧縮空気の熱を給水ラインにおいて有効に利用することができる。
【0014】
また、前記給水ラインには、前記第1熱媒体を加熱する熱交換器が設けられ、前記供給ラインは、前記給水ラインのうち前記第1熱媒体の流通方向において前記熱交換器の上流側の部分に接続され、前記戻りラインは、前記給水ラインのうち前記第1熱媒体の流通方向において前記熱交換器の下流側の部分に接続される。
【0015】
従って、給水ラインでは、供給ラインから循環ラインに供給された第1熱媒体が圧縮空気の熱を回収した状態で熱交換器の下流側に戻されるため、排熱回収ボイラで消費される熱の分配特性を改善することができる。これにより、プラント効率の向上を図ることができる。
【0016】
また、前記給水ラインは、所定圧力の前記第1熱媒体が流通する低圧側流通部と、前記所定圧力よりも高圧の前記第1熱媒体が流通する高圧側流通部とを有し、前記供給ライン及び前記戻りラインは、前記給水ラインのうち前記高圧側流通部に接続される。
【0017】
従って、高圧側流通部を流れる第1熱媒体において、熱を有効に利用することができる。
【0018】
また、前記循環ラインは、前記第2熱媒体を冷却する予備冷却器を有する。
【0019】
従って、燃料ガス加熱器の動作が停止する場合であっても、第2熱媒体を確実に冷却することができる。
【0020】
また、前記予備冷却器は、前記循環ラインのうち前記第2熱媒体の流通方向において前記燃料ガス加熱器の下流側かつ前記空気冷却器の上流側の部分に配置される。
【0021】
従って、空気冷却器に供給される第1熱媒体を確実に冷却した状態にすることができる。
【0022】
また、前記供給ラインは、前記循環ラインのうち前記第2熱媒体の流通方向において前記予備冷却器の上流側に接続される。
【0023】
従って、供給ラインから循環ラインに供給される第1熱媒体が予備冷却器で冷却可能となるため、空気冷却器に供給される第2熱媒体の温度を適切に維持することができる。
【0024】
また、前記循環ラインは、前記燃料ガス加熱器を迂回するように前記第2熱媒体の流通方向において前記燃料ガス加熱器の上流側と下流側とを接続するバイパスラインを有し、前記燃料ガスが前記燃焼器に供給されるときには前記バイパスラインに前記第2熱媒体が流通することを制限した状態とし、前記燃料ガスが前記燃焼器に供給されないときには前記バイパスラインを開放した状態とする流通制御部を備える。
【0025】
従って、例えば液体燃料など、燃料ガスとは異なる燃料が用いられる場合においても、給水ライン及び循環ラインにおいて熱を有効に利用することができる。
【0026】
本発明に係るプラント設備の運転方法は、空気を圧縮する圧縮機と、燃料として少なくとも燃料ガスが供給され前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器に供給される前記燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱器と、前記燃焼器で生じた燃焼ガスにより回転するタービンと、前記圧縮機から抽気される前記圧縮空気を冷却して前記タービンに供給する空気冷却器と、を有するガスタービンと、前記ガスタービンから排出される排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラにおいて前記排ガスの熱を回収する第1熱媒体が流通する給水ラインと、前記空気冷却器と前記燃料ガス加熱器との間を循環して設けられ、前記空気冷却器において前記圧縮空気の熱を回収し前記燃料ガス加熱器において前記燃料ガスに対して前記熱を供給する第2熱媒体が流通する循環ラインと、前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記給水ラインの前記第1熱媒体を前記循環ラインに供給する供給ラインと、前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記循環ラインの前記第2熱媒体を前記給水ラインに供給する戻りラインと、を備えるプラント設備の運転方法であって、前記循環ラインにおいて前記第2熱媒体を流通させ、前記供給ライン及び前記戻りラインを閉じた状態として前記ガスタービンを運転させる第1運転ステップと、前記給水ラインにおいて前記第1熱媒体を流通させ、前記循環ラインにおいて前記第2熱媒体を流通させ、前記供給ライン及び前記戻りラインを開いた状態として、前記ガスタービン及び前記排熱回収ボイラを運転させる第2運転ステップと、前記第1運転ステップと前記第2運転ステップとを切り替える切替ステップと、を含む。
【0027】
従って、給水ラインと循環ラインとの間で第1熱媒体及び第2熱媒体を供給し合うことができるため、例えば給水ラインの熱を循環ラインで利用することができ、また循環ラインの熱を給水ラインで利用することができる。これにより、給水ライン及び循環ラインにおいて熱を有効に利用することができるため、プラント効率の向上を図ることができる。また、ガスタービンの運転を止めることなく、第1運転ステップと第2運転ステップとを切り替えることができる。これにより、ガスタービンの運用性及びプラント効率の向上を図ることができる。
【0028】
また、前記循環ラインは、前記第2熱媒体を冷却する予備冷却器を有し、前記切替ステップにおいて、前記予備冷却器を作動させる。または、前記予備冷却器が作動可能なように待機させた状態で前記切替ステップを行う。
【0029】
従って、第1運転ステップと第2運転ステップとを切り替える場合に、循環ラインにおいて第2熱媒体を確実に冷却することができる。これにより、プラント設備を安定的に運転することができる。
【0030】
本発明に係るプラント設備の制御装置は、空気を圧縮する圧縮機と、燃料として少なくとも燃料ガスが供給され前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器に供給される前記燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱器と、前記燃焼器で生じた燃焼ガスにより回転するタービンと、前記圧縮機から抽気される前記圧縮空気を冷却して前記タービンに供給する空気冷却器と、を有するガスタービンと、前記ガスタービンから排出される排ガスの熱を回収する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラにおいて前記排ガスの熱を回収する第1熱媒体が流通する給水ラインと、前記空気冷却器と前記燃料ガス加熱器との間を循環して設けられ、前記空気冷却器において前記圧縮空気の熱を回収し前記燃料ガス加熱器において前記燃料ガスに対して前記熱を供給する第2熱媒体が流通する循環ラインと、前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記給水ラインの前記第1熱媒体を前記循環ラインに供給する供給ラインと、前記給水ラインと前記循環ラインとを接続し、前記循環ラインの前記第2熱媒体を前記給水ラインに供給する戻りラインと、を備えるプラント設備の制御装置であって、前記循環ラインにおいて前記第2熱媒体を流通させ、前記供給ライン及び前記戻りラインを閉じた状態として前記ガスタービンを運転させる第1運転と、前記給水ラインにおいて前記第1熱媒体を流通させ、前記循環ラインにおいて前記第2熱媒体を流通させ、前記供給ライン及び前記戻りラインを開いた状態として、前記ガスタービン及び前記排熱回収ボイラを運転させる第2運転と、前記第1運転と前記第2運転とを切り替える切替動作と、を行わせる。
【0031】
従って、給水ラインと循環ラインとの間で第1熱媒体及び第2熱媒体を供給し合うことができるため、例えば給水ラインの熱を循環ラインで利用することができ、また循環ラインの熱を給水ラインで利用することができる。これにより、給水ライン及び循環ラインにおいて熱を有効に利用することができるため、プラント効率の向上を図ることができる。また、ガスタービンの運転を止めることなく、第1運転と第2運転とを切り替えることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、プラント効率の向上を図ることが可能なプラント設備、プラント設備の運転方法及びプラント設備の制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係るプラント設備の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0035】
図1は、本実施形態に係るプラント設備100の一例を示す図である。
図1に示すように、プラント設備100は、ガスタービン10と、排熱回収ボイラ20と、給水ライン30と、循環ライン40と、供給ライン50と、戻りライン60と、制御装置70とを備えている。プラント設備100は、例えばガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電プラントである。
【0036】
ガスタービン10は、圧縮機11と、燃焼器12と、タービン13とを有している。圧縮機11は、空気導入ラインLaから空気を取り込んで圧縮し、高温高圧の圧縮空気とする。
【0037】
燃焼器12は、圧縮機11から圧縮空気供給ラインLbを経由して供給される圧縮空気に対して燃料ガスを供給して燃焼させる。燃料ガス供給ラインLdは、燃焼器12に接続されている。燃料ガス供給ラインLdは、燃焼器12に燃料ガスを供給する。燃料ガス供給ラインLdには、燃料ガス加熱器16が設けられている。燃料ガス加熱器16は、燃料ガス供給ラインLdを流れる燃料ガスを加熱する。
【0038】
タービン13は、燃焼器12から燃料ガス供給ラインLcを経由して供給される高温高圧の燃焼ガスによって回転する。タービン13は、ロータ14及び駆動軸15に連結されている。ロータ14及び駆動軸15は、タービン13の回転によって回転する。駆動軸15は、発電機Gに接続されている。発電機Gは、駆動軸15の回転エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。発電機Gは、出力値(負荷)を制御装置70に送信する。また、タービン13は、回転に用いた燃焼ガス(排ガス)を排ガスラインLfに排出する。
【0039】
また、ガスタービン10には、空気冷却器17が設けられている。空気冷却器17は、圧縮機11から抽気されて空気冷却ラインLeを流れる圧縮空気を冷却し、タービン13に供給する。
【0040】
排熱回収ボイラ20は、排ガスラインLfに設置され、排ガスラインLfを流れる排ガスと熱交換を行い、排ガスの熱を回収して蒸気を生成する。排熱回収ボイラ20は、当該熱交換を行うための蒸発器として、例えば低圧蒸発器21、中圧蒸発器22及び高圧蒸発器23を有している。各蒸発器で生成される蒸気は、例えば蒸気タービン24に送られて回転エネルギーに変換される。蒸気タービン24から排出された蒸気は、例えば復水器25によって水に戻され、後述の給水ライン30の配管31に供給される。
【0041】
図2は、プラント設備100のうち熱媒体の流路(給水ライン30と、循環ライン40と、供給ライン50と、戻りライン60)の構成を模式的に示す図である。
図2に示すように、給水ライン30は、排熱回収ボイラ20において排ガスの熱を回収する第1熱媒体M1が流通する。第1熱媒体M1としては、例えば水を用いることができる。給水ライン30は、配管31、32、33及び34と、節炭器(熱交換器)35、36及び37と、高中圧給水ポンプ38とを有している。
【0042】
配管31は、低圧ドラムLDに接続されている。配管31では、ポンプ39等により、第1熱媒体M1が低圧ドラムLD側に流通する。したがって、低圧ドラムLDは、配管31のうち第1熱媒体M1の流通方向の下流側端部に接続されている。低圧ドラムLDは、排熱回収ボイラ20の低圧蒸発器21に接続されている。
【0043】
配管32は、低圧ドラムLDと高中圧給水ポンプ38とを接続する。配管32では、低圧ドラムLDから高中圧給水ポンプ38に第1熱媒体M1が流通する。配管33は、高中圧給水ポンプ38と中圧ドラムIDとを接続する。配管33では、高中圧給水ポンプ38から中圧ドラムIDに第1熱媒体M1が流通する。中圧ドラムIDは、排熱回収ボイラ20の中圧蒸発器22に接続されている。
【0044】
配管34は、高中圧給水ポンプ38と高圧ドラムHDとを接続する。配管34では、高中圧給水ポンプ38から高圧ドラムHDに第1熱媒体M1が流通する。高圧ドラムHDは、排熱回収ボイラ20の高圧蒸発器23に接続されている。
【0045】
節炭器35は、配管31に設けられ、当該配管31を流れる第1熱媒体M1との間で熱交換を行う。節炭器36は、配管33に設けられ、当該配管33を流れる第1熱媒体M1との間で熱交換を行う。節炭器37は、配管34に設けられ、当該配管34を流れる第1熱媒体M1との間で熱交換を行う。高中圧給水ポンプ38は、第1熱媒体M1を配管33及び配管34に圧送する。高中圧給水ポンプ38は、配管31を流れる第1熱媒体M1の圧力(所定の圧力:低圧)よりも高い圧力である中圧の第1熱媒体M1を配管33に供給する。また、高中圧給水ポンプ38は、配管33を流れる第1熱媒体M1の圧力(中圧)よりも高い圧力である高圧の第1熱媒体M1を配管34に供給する。なお、高中圧給水ポンプ38の動作は、制御装置70のポンプ制御部74によって制御可能である。
【0046】
循環ライン40は、燃料ガス加熱器16と空気冷却器17との間を循環して設けられている。循環ライン40は、燃料ガス加熱器16において圧縮空気の熱を回収し、空気冷却器17において燃料ガスに対して熱を供給する第2熱媒体が流通する。第2熱媒体M2としては、例えば水を用いることができる。循環ライン40は、配管41と、ポンプ42と、予備冷却器43とを有している。
【0047】
配管41は、無端状に形成され、燃料ガス加熱器16と、予備冷却器43と、空気冷却器17とを通過するように配置されている。配管41は、ポンプ42により、第2熱媒体M2が
図2の時計回りの方向に流通する。したがって、循環ライン40において、例えばポンプ42を起点とすると、第2熱媒体M2は、空気冷却器17と、燃料ガス加熱器16と、予備冷却器43とを順に経由してポンプ42に戻るように流れる。なお、ポンプ42の動作は、制御装置70のポンプ制御部74によって制御可能である。以下、配管41の任意の位置を基準位置とした場合、当該基準位置に対して第2熱媒体M2の流れる方向の先側を配管41の下流側と表記し、元側を配管41の上流側と表記する。
【0048】
配管41には、バルブ44及び45が設けられている。バルブ44は、配管41のうち空気冷却器17の下流側に配置されており、後述の制御装置70のバルブ制御部73によって開閉可能に設けられる。バルブ44が開状態である場合、第2熱媒体M2が当該空気冷却器17の下流側に流れる。バルブ44が閉状態である場合、第2熱媒体M2は、当該空気冷却器17の下流側には流れない。
【0049】
バルブ45は、配管41のうちバルブ44の下流側かつ燃料ガス加熱器16の上流側に配置されており、後述のバルブ制御部73によって開閉可能に設けられる。バルブ45が開状態である場合、第2熱媒体M2が燃料ガス加熱器16に流れる。バルブ45が閉状態である場合、第2熱媒体M2は燃料ガス加熱器16には流れない。
【0050】
予備冷却器43は、循環ライン40を流通する第2熱媒体M2を冷却する。予備冷却器43は、予備冷却ライン90を有している。予備冷却ライン90は、第2熱媒体M2との間で熱交換を行う第3熱媒体M3が流通する。第3熱媒体M3としては、例えば水を用いることができる。
【0051】
予備冷却ライン90は、配管91及び92と、三方バルブ93と、放熱部94と、ポンプ95とを有している。配管91は、無端状に形成され、予備冷却器43と放熱部94とを通過するように配置されている。配管91は、ポンプ95により、第3熱媒体M3が図中の時計回りに流通する。ポンプ95の動作は、制御装置70のポンプ制御部74によって制御可能である。以下、配管91の任意の位置を基準位置とした場合、当該基準位置に対して第3熱媒体M3の流れる方向の先側を配管91の下流側と表記し、元側を配管91の上流側と表記する。
【0052】
配管92は、配管91に対して、予備冷却器43を迂回するように設けられている。配管92は、配管91のうち予備冷却器43の上流側と下流側とを接続する。三方バルブ93は、配管91と配管92との合流部のうち、予備冷却器43の上流側に設けられている。三方バルブ93は、放熱部94の下流側の接続先を、予備冷却器43と配管92とで切り替え可能となっている。三方バルブ93の動作は、制御装置70のバルブ制御部73によって制御可能である。なお、放熱部94の下流側の接続先を予備冷却器43と配管92とで切り替え可能な構成としては、三方バルブ93に限定するものではない。例えば予備冷却器43側の配管91の開閉を切り替える制御弁と、配管92の開閉を切り替える制御弁とをそれぞれ設け、この2つの制御弁の開閉を切り替えることで、放熱部94の下流側の接続先を予備冷却器43と配管92とで切り替えるようにしてもよい。放熱部94は、第3熱媒体M3の熱を放出して当該第3熱媒体M3を冷却する。放熱部94は、例えば大気冷却により第3熱媒体M3を冷却する構成であってもよいし、外部の冷却水等を用いて第3熱媒体M3を冷却する構成であってもよい。また、第3熱媒体M3を冷却する冷却媒体については、上記の大気や外部の冷却水等に限定するものではなく、他の冷却媒体であってもよい。放熱部94は、例えば予備冷却器43から離れた位置に設けることが可能であるため、予備冷却ライン90の配置等の設計を柔軟に行うことができる。
【0053】
供給ライン50は、給水ライン30と循環ライン40とを接続し、給水ライン30の第1熱媒体M1を循環ライン40に供給する。循環ライン40に供給された第1熱媒体M1は、循環ライン40を流通する。なお、第1熱媒体M1及び第2熱媒体M2として共に水が用いられる場合、循環ライン40に供給された第1熱媒体M1は、第2熱媒体M2の一部となって循環ライン40を流通する。
【0054】
供給ライン50は、配管51を有する。配管51は、給水ライン30のうち配管34の第1部分34aと、循環ライン40のうち配管41の第1部分41aとを接続する。第1部分34aは、配管34のうち、高中圧給水ポンプ38の下流側かつ節炭器37の上流側に配置される。また、第1部分41aは、配管41のうち、空気冷却器17の上流側かつ燃料ガス加熱器16の下流側に配置される。本実施形態では、第1部分41aは、予備冷却器43の上流側に配置されているが、これに限定するものではなく、予備冷却器43の下流側に配置されてもよい。
【0055】
配管51には、バルブ52が設けられている。バルブ52は、後述のバルブ制御部73によって開閉可能に設けられる。バルブ52が開状態である場合、第1熱媒体M1が第1部分34aから配管51を介して第1部分41aに流れる。バルブ52が閉状態である場合、第1熱媒体M1は配管51には流れない。
【0056】
戻りライン60は、給水ライン30と循環ライン40とを接続し、循環ライン40の第2熱媒体M2を給水ライン30に供給する。給水ライン30に供給された第2熱媒体M2は、給水ライン30を流通する。なお、第1熱媒体M1及び第2熱媒体M2として共に水が用いられる場合、給水ライン30に供給された第2熱媒体M2は、第1熱媒体M1の一部となって給水ライン30を流通する。
【0057】
戻りライン60は、配管61を有する。配管61は、循環ライン40のうち配管41の第2部分41bと、給水ライン30のうち配管34の第2部分34bとを接続する。第2部分41bは、配管41のうち、空気冷却器17の下流側かつ燃料ガス加熱器16の上流側に配置される。本実施形態では、第2部分41bは、バルブ44の上流側に配置される。また、第2部分34bは、配管34のうち、節炭器37の下流側に配置される。
【0058】
配管61には、バルブ62が設けられている。バルブ62は、後述のバルブ制御部73によって開閉可能に設けられる。バルブ62が開状態である場合、第2熱媒体M2が第2部分41bから配管61を介して第2部分34bに流れる。バルブ62が閉状態である場合、第2熱媒体M2は配管61には流れない。
【0059】
また、上記の循環ライン40には、バイパスライン80が設けられている。バイパスライン80は、循環ライン40に対して、燃料ガス加熱器16を迂回するように設けられている。バイパスライン80は、循環ライン40のうち燃料ガス加熱器16の上流側と下流側とを接続する。バイパスライン80は、配管81を有している。配管81は、配管41のうち、燃料ガス加熱器16の上流側の第3部分41cと下流側の第4部分41dとを接続する。第3部分41cは、配管41のうちバルブ44の下流側かつバルブ45の上流側に配置される。また、第4部分41dは、例えば配管41のうち第1部分41aの上流側に配置することができるが、これに限定するものではなく、第1部分41aの下流側に配置されてもよい。
【0060】
配管81には、バルブ82が設けられている。バルブ82は、後述のバルブ制御部73によって開閉可能に設けられる。バルブ82が開状態である場合、第2熱媒体M2が第3部分41cから配管81を介して第4部分41dに流れる。バルブ82が閉状態である場合、第2熱媒体M2は配管81には流れない。
【0061】
図3は、制御装置70の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置70は、ガスタービン制御部71と、ボイラ制御部72と、バルブ制御部73と、ポンプ制御部74とを有している。ガスタービン制御部71は、ガスタービン10の動作を制御する。ボイラ制御部72は、排熱回収ボイラ20の動作を制御する。
【0062】
バルブ制御部73は、循環ライン40のバルブ44及び45と、供給ライン50のバルブ52と、戻りライン60のバルブ62と、バイパスライン80のバルブ82と、について、それぞれ開閉動作を制御する。また、バルブ制御部73は、予備冷却ライン90の三方バルブ93の接続を制御する。ポンプ制御部74は、プラント設備100に設けられる、高中圧給水ポンプ38、ポンプ42、及びポンプ95等の各ポンプを制御する。
【0063】
次に、
図5及び
図6を参照して、上記のように構成されたプラント設備100の動作を説明する。
図5及び
図6は、プラント設備100の運転動作の一形態を示す図である。プラント設備100は、制御装置70により、例えば以下に説明する第1運転と第2運転とを切り替えて行うことが可能となっている。
【0064】
まず、第1運転について説明する。第1運転は、排熱回収ボイラ20を停止させた状態で、給水ライン30において第1熱媒体M1の流通を停止させ、循環ライン40において第2熱媒体M2を流通させ、供給ライン50及び戻りライン60を閉じた状態として、ガスタービン10を運転させるものである(シンプルサイクル運転)。
【0065】
第1運転において、ポンプ制御部74は、給水ライン30のポンプ39及び高中圧給水ポンプ38を作動させることなく、循環ライン40のポンプ42を作動させて第2熱媒体M2を流通させる。また、ポンプ制御部74は、予備冷却ライン90のポンプ95を作動させて第3熱媒体M3を流通させる。
【0066】
また、バルブ制御部73は、循環ライン40のバルブ44及び45を開状態とし、供給ライン50のバルブ52及び戻りライン60のバルブ62を閉状態とする。また、バルブ制御部73は、三方バルブ93を制御し、予備冷却ライン90において放熱部94の下流側の接続先が予備冷却器43となるようにする。
【0067】
この動作により、
図5に示すように、循環ライン40においては、第2熱媒体M2が配管41を図中の時計回りに流通する。この第2熱媒体M2は、空気冷却器17の内部を流通する際、圧縮空気の熱を回収する。一方、空気冷却ラインLeにおいては、圧縮空気が空気冷却器17の内部を流通する際、第2熱媒体M2に熱を奪われて温度が低下する。そして、当該温度が低下した状態の圧縮空気がタービン13に送られる。
【0068】
また、循環ライン40においては、圧縮空気の熱を回収した状態の第2熱媒体M2がバルブ44及びバルブ45を通過して燃料ガス加熱器16に流れる。この第2熱媒体M2は、燃料ガス加熱器16の内部を流通する際、燃料ガスに対して熱を供給する。一方、燃料ガス供給ラインLdにおいては、燃料ガスが燃料ガス加熱器16の内部を流通する際、第2熱媒体M2から熱を回収する。このため、燃料ガスの温度が上昇する。そして、温度が上昇した状態の燃料ガスが燃焼器12に送られる。
【0069】
また、循環ライン40においては、燃料ガスに熱を供給した状態の第2熱媒体M2が予備冷却器43に送られる。この第2熱媒体M2は、予備冷却器43の内部を流通する際、第3熱媒体M3に熱を供給する。そして、第3熱媒体M3に熱を供給した状態の第2熱媒体M2が空気冷却器17に送られる。一方、予備冷却ライン90においては、第3熱媒体M3が予備冷却器43の内部を流通する際、第2熱媒体M2から熱を回収する。そして、第2熱媒体M2の熱を回収した状態の第3熱媒体M3は、放熱部94に送られて熱を放出し、再度予備冷却器43に供給され、第2熱媒体M2の熱を回収する。
【0070】
続いて、第2運転について説明する。第2運転は、給水ライン30において第1熱媒体M1を流通させ、循環ライン40において第2熱媒体M2を流通させ、供給ライン50及び戻りライン60を開いた状態として、ガスタービン10及び排熱回収ボイラ20を運転させるものである。
【0071】
第2運転においては、ポンプ制御部74は、給水ライン30のポンプ39及び高中圧給水ポンプ38を作動させて第1熱媒体M1を流通させる。また、ポンプ制御部74は、循環ライン40のポンプ42を作動させて第2熱媒体M2を流通させる。また、ポンプ制御部74は、予備冷却ライン90のポンプ95を作動させて第3熱媒体M3を流通させる。
【0072】
バルブ制御部73は、循環ライン40のバルブ44及び45と、供給ライン50のバルブ52と、戻りライン60のバルブ62とを開状態とする。また、バルブ制御部73は、三方バルブ93を制御し、予備冷却ライン90において放熱部94の下流側の接続先が配管92となるようにする。
【0073】
この動作により、
図6に示すように、給水ライン30においては、第1熱媒体M1が配管31を流通し、節炭器35で熱交換が行われた後、低圧ドラムLDに供給される。また、低圧ドラムLDに供給された第1熱媒体M1は、配管32を流通し、高中圧給水ポンプ38によって配管33及び配管34に供給される。配管33に供給された第1熱媒体M1は、節炭器36で加熱され、中圧ドラムIDに供給される。配管34に供給された第1熱媒体M1は、節炭器37で加熱され、高圧ドラムHDに供給される。
【0074】
また、供給ライン50のバルブ52が開状態となっているため、配管34に供給された第1熱媒体M1は、第1部分34aから供給ライン50の配管51にも供給される。配管51に供給された第1熱媒体M1は、循環ライン40の配管41の第1部分41aに供給され、第2熱媒体M2として配管41を流通する。
【0075】
循環ライン40において、第2熱媒体M2は、空気冷却器17の内部を流通する際、圧縮空気の熱を回収して温度が上昇する。このとき、第2熱媒体M2は、例えば配管34において節炭器37で加熱される第1熱媒体M1とほぼ等しい温度に加熱される。なお、第2熱媒体M2の温度は、節炭器37で加熱される第1熱媒体M1とほぼ等しい温度に限定するものではなく、当該第1熱媒体M1よりも高い温度であってもよいし、低い温度であってもよい。
【0076】
また、戻りライン60のバルブ62が開状態となっているため、圧縮空気の熱を回収した第2熱媒体M2は、配管41の第2部分41bから戻りライン60の配管61にも供給される。配管61に供給された第2熱媒体M2は、給水ライン30の配管34の第2部分34bに供給され、第1熱媒体M1として配管34を流通する。第2部分34bでは、圧力がほぼ同一の第1熱媒体M1と第2熱媒体M2とが合流する。
【0077】
このように、第2運転では、空気冷却器17で圧縮空気の熱を回収した第2熱媒体M2が戻りライン60から給水ライン30に供給される。このため、循環ライン40で回収された圧縮空気の熱が給水ライン30で用いられる。第1運転においては、当該圧縮空気の熱の一部は、予備冷却ライン90によって外部に放出される。これに対して、第2運転においては、循環ライン40で回収される熱の一部が、高圧の配管34を流通する第1熱媒体M1の加熱に用いられることになる。したがって、第1運転において予備冷却器43及び放熱部94を介して外部に放出されていた熱の少なくとも一部が、第2運転では第1熱媒体M1の加熱に用いられることになる。これにより、プラント設備100内の熱が有効に利用される。
【0078】
次に、プラント設備100の運転方法を説明する。
図4は、プラント設備100の運転方法の一例を示すフローチャートである。プラント設備100の各部は、制御装置70の指示に基づいて各部の制御を行う。
図4に示すように、まず制御装置70は、ガスタービン10を起動させる(ステップS10)。ステップS10において、ガスタービン10は、圧縮機11が空気を圧縮し、燃焼器12において圧縮空気と燃料とが燃焼され、燃焼ガスによってタービン13が回転する。発電機Gは、タービン13の回転によって発電を開始する。
【0079】
ガスタービン10を起動した場合、制御装置70は、まずプラント設備100に第1運転を行わせる(ステップS20)。第1運転では、上記のように排熱回収ボイラ20、給水ライン30、供給ライン50及び戻りライン60の動作を停止させ、ガスタービン10及び循環ライン40を運転させる。
【0080】
この状態において、制御装置70は、プラント設備100の運転を第1運転から第2運転に切り替えるか否かの判断を行う(ステップS30)。制御装置70は、予め設定された運転切替のタイミングが到達した場合や、プラント設備100のオペレータにより運転切り替えの指令が入力された場合等、所定の場合にプラント設備100の運転の切替動作行う(ステップS30のYES)。
【0081】
制御装置70は、ガスタービン10の運転を維持した状態で切替動作を行わせる。まず、ポンプ制御部74は、給水ライン30のポンプ39及び高中圧給水ポンプ38を駆動させ、排熱回収ボイラ20を作動させる。この動作により、給水ライン30に第1熱媒体M1が流通する。そして、バルブ制御部73は、供給ライン50のバルブ52及び戻りライン60のバルブ62を開状態とする。この動作により、第1熱媒体M1が配管34の第1部分34aから供給ライン50の配管51を経由して循環ライン40の配管41に供給される。また、第2熱媒体M2が配管41の第2部分41bから戻りライン60の配管61を経由して給水ライン30の配管31に供給される。以上の切替動作を行った後、バルブ制御部73は、予備冷却ライン90の三方バルブ93を制御し、予備冷却ライン90において放熱部94の下流側の接続先が配管92となるようにする。この動作により、予備冷却器43において第2熱媒体M2の冷却が行われない状態となる。以上の切替動作により、プラント設備100は、第2運転に切り替わる(ステップS40)。この切替動作を行う間、プラント設備100は、予備冷却器43において第2熱媒体M2の冷却が行われるため、安定的な運転となる。
【0082】
その後、制御装置70は、プラント設備100の運転を終了させるか否かの判断を行い(ステップS50)、運転を終了させる判断を行うまで、例えば第2運転を継続して行わせる(ステップS50のNo)。制御装置70は、運転を終了させると判断した場合には、ガスタービン10、排熱回収ボイラ20、給水ライン30、循環ライン40、供給ライン50及び戻りライン60の各部の動作を所定の手順で停止させる(ステップS50のYes)。
【0083】
なお、制御装置70は、プラント設備100に第2運転を行わせている場合に、第2運転から第1運転に切り替える切替動作を行わせてもよい。この場合、まず、バルブ制御部73は、予備冷却ライン90の三方バルブ93を制御し、予備冷却ライン90において放熱部94の下流側の接続先が予備冷却器43となるようにする。この動作により、予備冷却器43において第2熱媒体M2が冷却される。
【0084】
その後、バルブ制御部73は、供給ライン50のバルブ52及び戻りライン60のバルブ62を閉状態とする。そして、ポンプ制御部74は、給水ライン30のポンプ39及び高中圧給水ポンプ38を停止させ、排熱回収ボイラ20を停止させる。この動作により、給水ライン30において第1熱媒体M1の流通が停止する。以上の動作により、プラント設備100は、第1運転に切り替わる。したがって、第2運転から第1運転への切替動作を行う間についても、プラント設備100は、予備冷却器43において第2熱媒体M2の冷却が行われるため、安定的な運転となる。
【0085】
また、予備冷却器43は第2熱媒体M2の冷却量を調整する機能を有する。一例として挙げると、予備冷却ライン90の三方バルブ93を制御することによって、予備冷却器43の内部へ流通する第3熱媒体M3の流通量が調整される。したがって、第2運転から第1運転へ、及び、第1運転から第2運転への切替動作を行う間に、予備冷却器43において第2熱媒体M2の冷却量を調整し、必要な量の冷却を行うことができるので、安定的で効率の良い運転をすることができる。また、第1運転の間、及び、第2運転の間においても、予備冷却器43において第2熱媒体M2の冷却量を調整することができる。
【0086】
以上のように、本実施形態に係るプラント設備100は、給水ライン30から循環ライン40に第1熱媒体M1が供給され、循環ライン40から給水ライン30に第2熱媒体M2が戻されるため、例えば循環ライン40の熱を回収した状態の第2熱媒体M2が給水ライン30に戻されることで、循環ライン40の熱を給水ライン30で利用することができる。これにより、プラント設備100全体で熱を有効に利用することができるため、プラント効率の向上を図ることができる。
【0087】
また、本実施形態に係るプラント設備100は、供給ライン50から循環ライン40に供給された第1熱媒体M1が空気冷却器17において圧縮空気の熱を回収し、当該熱を回収した状態で戻りライン60から給水ライン30に戻されるため、圧縮空気の熱を給水ライン30において有効に利用することができる。
【0088】
また、本実施形態に係るプラント設備100は、給水ライン30では、供給ライン50から循環ライン40に供給された第1熱媒体M1が圧縮空気の熱を回収した状態で節炭器37の下流側に戻されるため、高圧蒸発器23で所定の蒸発量を確保するための熱の消費量を低減することができる。これにより、プラント効率の向上を図ることができる。
【0089】
また、本実施形態に係るプラント設備100は、ガスタービン10の運転を止めることなく、第1運転と第2運転とを切り替えることができる。これにより、ガスタービン10の運転効率が向上するため、プラント設備100全体としての効率向上を図ることができる。また、ガスタービン10が単体で設けられた状態から供給ライン50及び戻りライン60等を取り付けてプラント設備100を製造する場合においては、ガスタービン10が運転している状態であっても、当該ガスタービン10の運転を止めることなく供給ライン50及び戻りライン60の取り付け工事を行うことができる。
【0090】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、ガスタービン10の燃焼器12で用いられる燃料として、燃料ガスを例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、燃料ガスと、液体燃料とが切り替えて用いられる構成であってもよい。
【0091】
燃焼器12において液体燃料が用いられる場合、燃料ガス加熱器16を用いる必要が無い。そこで、制御装置70は、循環ライン40のバイパスライン80を開放し、第2熱媒体M2がバイパスライン80を流通するようにしてもよい。
【0092】
図7は、プラント設備100の運転動作の一形態を示す図である。
図7では、プラント設備100が第2運転を行う場合の動作例を示している。
図7に示すように、第2熱媒体M2をバイパスライン80に流通させる場合、バルブ制御部73は、バルブ82を開状態とする。また、バルブ制御部73は、バルブ45を閉状態又は全開状態に対して開度を低下させた状態とする。このように、バルブ制御部73は、バイパスライン80の配管81を開放した状態とし、配管41の第3部分41cの下流側への第2熱媒体M2の流通を制限した状態とする。これにより、第3部分41cにおいて第2熱媒体M2の少なくとも一部が配管81側に供給される。そして、配管81に供給された第2熱媒体M2は、第4部分41dに供給され、配管41を予備冷却器43側に流通する。
【0093】
ここで、バイパスライン80を流れる第2熱媒体M2は、燃料ガス加熱器16を通過しない。このため、空気冷却器17において熱を回収した状態となっている。このため、第2熱媒体M2をバイパスライン80に流通させる場合、バルブ制御部73は、予備冷却ライン90の三方バルブ93を制御し、予備冷却ライン90において放熱部94の下流側の接続先が予備冷却器43となるようにする。この動作により、予備冷却器43において第2熱媒体M2が冷却される。これにより、プラント設備100を安定的に運転することができる。
【0094】
また、
図7に示す運転状態において、燃焼器12で用いられる燃料が燃料ガスに切り替わる場合、制御装置70は、第2熱媒体M2が燃料ガス加熱器16を通過するように切り替える。この場合、バルブ制御部73は、バルブ45を開状態とし、バルブ82を閉状態とする。これにより、配管41の第3部分41cの下流側が開放され、バイパスライン80の配管81が閉塞される。このため、第3部分41cにおいて第2熱媒体M2が燃料ガス加熱器16側に供給される。そして、第2熱媒体M2の流れが切り替わった後、バルブ制御部73は、三方バルブ93を制御し、予備冷却ライン90において放熱部94の下流側の接続先が配管92となるようにする。この場合においても、第2熱媒体M2の流れを切り替える間、プラント設備100は、予備冷却器43において第2熱媒体M2の冷却が行われるため、安定的な運転となる。
【0095】
なお、プラント設備100が第1運転を行っているときに燃焼器12の燃料が液体燃料に切り替わった場合には、バルブ制御部73は、放熱部94の下流側の接続先を予備冷却器43としたまま変更せず、バルブ45及びバルブ82の開閉制御を行えばよい。
【0096】
また、上記実施形態では、供給ライン50の下流側の接続先が循環ライン40のうち予備冷却器43の上流側である構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、供給ライン50の下流側の接続先が予備冷却器43の下流側であってもよい。
【0097】
また、上記実施形態のプラント設備100は、排熱回収ボイラ20が低圧蒸発器、中圧蒸発器及び高圧蒸発器を有し、給水ライン30が低圧ドラムLD、中圧ドラムID及び高圧ドラムHDを有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、プラント設備100が、低圧蒸発器及び低圧ドラムLDと、高圧蒸発器及び高圧ドラムHDとを有し、中圧蒸発器及び中圧ドラムIDが省略された構成であってもよい。この場合、供給ライン50の上流側端部及び戻りライン60の下流側端部は、それぞれ高圧ドラムHDに第1熱媒体M1を供給する配管に接続される。