特許第6596324号(P6596324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナータス メディカル インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000002
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000003
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000004
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000005
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000006
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000007
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000008
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000009
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000010
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000011
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000012
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000013
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000014
  • 特許6596324-フィルタデバイス 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596324
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】フィルタデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/12 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   A61B5/12
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-249056(P2015-249056)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2016-135237(P2016-135237A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2018年8月17日
(31)【優先権主張番号】PA201470838
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】DK
(31)【優先権主張番号】14200629.5
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】14/590,459
(32)【優先日】2015年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518108195
【氏名又は名称】ナータス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Natus Medical Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゲールツェン
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−345903(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0014548(US,A1)
【文献】 特表2007−522774(JP,A)
【文献】 特開平01−269398(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/117958(WO,A2)
【文献】 米国特許第06671381(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0191004(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/12
A61B 10/00
H04R 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴力検査プローブのためのフィルタデバイスであって、
前記フィルタデバイスは、第1方向において、中心軸に沿って第1端から第2端に向けて延びており、
第1フィルタ構造を有する第1部分と、
第2フィルタ構造を有する第2部分と、
前記中心軸に沿って延びる第1チャネルと、を備えており、
前記第1部分と前記第2部分は互いに接合されており、
前記第1フィルタ構造と前記第2フィルタ構造は、前記第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を画定しており、
前記第1フィルタ構造は、遠位端を有する第1主突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は第1主開口を備えており、
前記第1主突出部材は、前記第1主開口の内側で前記中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、前記フィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成しており、
前記第1主突出部材は、第1支持点を含む1つ以上の支持点を備えており、
前記第1支持点は、前記第2フィルタ構造内の前記第1主開口の第1内部側壁と接触している、フィルタデバイス。
【請求項2】
聴力検査プローブのためのフィルタデバイスであって、
前記フィルタデバイスは、第1方向において、中心軸に沿って第1端から第2端に向けて延びており、
第1フィルタ構造を有する第1部分と、
第2フィルタ構造を有する第2部分と、
前記中心軸に沿って延びる第1チャネルと、を備えており、
前記第1部分と前記第2部分は互いに接合されており、
前記第1フィルタ構造と前記第2フィルタ構造は、前記第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を画定しており、
前記第1フィルタ構造は、遠位端を有する第1主突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は第1主開口を備えており、
前記第1主突出部材は、前記第1主開口の内側で前記中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、前記フィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成しており、
前記第1フィルタ構造は、第1補助突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は、第1補助開口を備えており、
前記第1補助突出部材は、前記第1補助開口の内側で前記中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、前記フィルタ開口群の第1セットの補助第1フィルタ開口を形成している、フィルタデバイス。
【請求項3】
聴力検査プローブのためのフィルタデバイスであって、
前記フィルタデバイスは、第1方向において、中心軸に沿って第1端から第2端に向けて延びており、
第1フィルタ構造を有する第1部分と、
第2フィルタ構造を有する第2部分と、
前記中心軸に沿って延びる第1チャネルと、を備えており、
前記第1部分と前記第2部分は互いに接合されており、
前記第1フィルタ構造と前記第2フィルタ構造は、前記第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を画定しており、
前記第1フィルタ構造は、遠位端を有する第1主突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は第1主開口を備えており、
前記第1主突出部材は、前記第1主開口の内側で前記中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、前記フィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成しており、
前記第1主突出部材の断面積が、遠位端に向かって減少している、フィルタデバイス。
【請求項4】
前記第1主突出部材は、円形、楕円形、長円形、三角形または長方形の断面を有している、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
【請求項5】
前記第2部分は、前記第1チャネルをプローブチャネルに結合するための第1結合部分を備えており、
前記第1結合部分は、前記第1方向に延びているとともに前記第1主開口を囲んでいる結合リッジを備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
【請求項6】
前記フィルタデバイスは、前記中心軸に沿って延びている第2チャネルを備えており、
前記フィルタ要素は、前記第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セットを有している、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
【請求項7】
前記第1部分は、空洞を有する管部分を備えており、
前記第2部分は、前記空洞の内側で前記中心軸に沿って延び、前記第1チャネルおよび前記第2チャネルを形成しているチャネル分離部を備えている、請求項に記載のフィルタデバイス。
【請求項8】
前記第1フィルタ構造は、第2主突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は、第2主開口を備えており、
前記第2主突出部材は、前記第2主開口の内側で前記中心軸に沿って延び、前記フィルタ開口の第2セットの主第2フィルタ開口を形成している、請求項6または7に記載のフィルタデバイス。
【請求項9】
聴力検査プローブのためのフィルタデバイスであって、
前記フィルタデバイスは、第1方向において、中心軸に沿って第1端から第2端に向けて延びており、
第1フィルタ構造を有する第1部分と、
第2フィルタ構造を有する第2部分と、
前記中心軸に沿って延びる第1チャネルと、を備えており、
前記第1部分と前記第2部分は互いに接合されており、
前記第1フィルタ構造と前記第2フィルタ構造は、前記第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を画定しており、
前記フィルタデバイスは、前記中心軸に沿って延びている第2チャネルを備えており、
前記フィルタ要素は、前記第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セットを有しており、
前記第1部分は、空洞を有する管部分を備えており、
前記第2部分は、前記空洞の内側で前記中心軸に沿って延び、前記第1チャネルおよび前記第2チャネルを形成しているチャネル分離部を備えている、フィルタデバイス。
【請求項10】
聴力検査プローブのためのフィルタデバイスであって、
前記フィルタデバイスは、第1方向において、中心軸に沿って第1端から第2端に向けて延びており、
第1フィルタ構造を有する第1部分と、
第2フィルタ構造を有する第2部分と、
前記中心軸に沿って延びる第1チャネルと、を備えており、
前記第1部分と前記第2部分は互いに接合されており、
前記第1フィルタ構造と前記第2フィルタ構造は、前記第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を画定しており、
前記フィルタデバイスは、前記中心軸に沿って延びている第2チャネルを備えており、
前記フィルタ要素は、前記第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セットを有しており、
前記第1フィルタ構造は、第2主突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は、第2主開口を備えており、
前記第2主突出部材は、前記第2主開口の内側で前記中心軸に沿って延び、前記フィルタ開口の第2セットの主第2フィルタ開口を形成している、フィルタデバイス。
【請求項11】
前記第1フィルタ構造は、遠位端を有する第1主突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は第1主開口を備えており、
前記第1主突出部材は、前記第1主開口の内側で前記中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、前記フィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成している、請求項9または10に記載のフィルタデバイス。
【請求項12】
前記第1主突出部材は、円形、楕円形、長円形、三角形または長方形の断面を有している、請求項11に記載のフィルタデバイス。
【請求項13】
前記第2部分は、前記第1チャネルをプローブチャネルに結合するための第1結合部分を備えており、
前記第1結合部分は、前記第1方向に延びているとともに前記第1主開口を囲んでいる結合リッジを備えている、請求項11または12に記載のフィルタデバイス。
【請求項14】
前記第1部分および/または前記第2部分は、少なくとも部分的に疎水性物質によってコーティングされている、請求項1から13のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のフィルタデバイスを備える聴力検査プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロホンおよび/またはスピーカなどの精密機器を備える区画に一般に耳あか(earwax)として知られる耳垢(cerumen)が入るのを防止するための、たとえば聴覚検査機器用のフィルタデバイスに関する。この区画は、鼓膜聴力検査および/または耳音響放射検査などの聴覚検査を実行するために使用される聴力検査プローブ(hearing test probe)の区画であってよい。
【背景技術】
【0002】
聴覚検査を実行するために、プローブが検査対象者の外耳道に挿入されることが必要である。プローブは、マイクロホンおよび/または1つ以上のスピーカなどのオーディオデバイスを保持し得る。これらの構成要素は、人間の耳からの耳垢によって損傷または変化することがある。したがって、プローブの構成要素と外耳道に挿入されるプローブの遠位端との間で、フィルタデバイスがプローブに加えられることがある。
【0003】
聴覚検査を実行するために、フィルタデバイスが、音および空気が通過できるようにすることが必要である。同時に、フィルタは、耳垢がプローブに入ってプローブの構成要素が損傷することを潜在的に防ぐことが必要である。
【0004】
従来のフィルタデバイスは、耳垢がプローブ区画に入るのを防止するために、使用者の耳からの耳垢を捕獲する。しかしながら、耳垢がフィルタに捕獲されている場合、プローブの音響的性質が変化し、それによりプローブが機能低下に至ることがある。
【0005】
フィルタデバイスでは、非常に小さい寸法の開口が望ましい。しかしながら、小寸法の面に望ましい穴をくり抜くまたは貫通させることは困難であり、フィルタデバイスの製造コストが高額になる。
【発明の概要】
【0006】
知られている解決策があるにもかかわらず、耳垢がプローブ区画に入るのを効果的に防止するフィルタデバイスと、容易かつ安価に製造できるフィルタデバイスが依然として必要とされている。
【0007】
したがって、フィルタデバイスが提供される。フィルタデバイスは、第1方向において、中心軸に沿って第1端から第2端に向けて延びている。フィルタデバイスは、第1フィルタ構造を有する第1部分と、第2フィルタ構造を有する第2部分と、中心軸に沿って延びる第1チャネルを備えている。第1部分と第2部分は、互いに接合されている。第1フィルタ構造と第2フィルタ構造は、第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を画定している。
【0008】
第1チャネルを有するフィルタデバイスなどを提供および/または製造するための方法も開示される。その方法は、第1フィルタ構造を有する第1部分を取得する工程と、第2フィルタ構造を有する第2部分を取得する工程と、第1部分と第2部分を接合する工程を備えている。第1部分と第2部分を接合する工程は、第1フィルタ構造を第2フィルタ構造に少なくとも部分的に挿入し、第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を形成する。
【0009】
フィルタデバイスのための第1部分および/または第2部分がさらに開示される。さらに、上記したようなフィルタデバイスを備える聴力検査プローブが提供される。
【0010】
本開示の利点は、プラスチック成形などの単純なプロセスによって安価に製造され得るフィルタデバイスが提供されることである。製造コストを減少させるフィルタデバイスは、1回使用した後および/または数回使用した後に交換され得るフィルタデバイスを提供し、それによって、使いやすさと、信頼性が高く一貫した測定を実現し得る。
【0011】
聴力検査プローブのためのフィルタデバイスは、第1端と第2端を有し、中心軸に沿って第1方向に第1端から第2端に延びており、第1フィルタ構造を有する第1部分と、第2フィルタ構造を有する第2部分と、中心軸に沿って延びる第1チャネルを含み、第1部分と第2部分は互いに接合されており、第1フィルタ構造と第2フィルタ構造は第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を画定する。
【0012】
任意で、第1フィルタ構造は、遠位端を有する第1主突出部材を備えており、第2フィルタ構造は第1主開口を備えている。第1主突出部材は、第1主開口の内側で中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、フィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成している。
【0013】
任意で、第1主突出部材は、円形、楕円形、長円形、三角形または長方形の断面を有している。
【0014】
任意で、第1主突出部材は、第1支持点を含む1つ以上の支持点を備えている。第1支持点は、第2フィルタ構造内の第1主開口の第1内部側壁と接触している。
【0015】
任意で、第1フィルタ構造は第1補助突出部材を備えており、第2フィルタ構造は第1補助開口を備えている。第1補助突出部材は、第1補助開口の内側で中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、フィルタ開口群の第1セットの補助第1フィルタ開口を形成している。
【0016】
任意で、第2部分は、第1チャネルをプローブチャネルに結合するための第1結合部分を備えている。第1結合部分は、第1方向に延びているとともに第1主開口を囲んでいる結合リッジを備えている。
【0017】
任意で、第1主突出部材の断面積が、第1主突出部材の遠位端に向かって減少している。
【0018】
任意で、フィルタデバイスは、さらに、中心軸に沿って延びている第2チャネルを備えている。フィルタ要素は、第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セットを有している。
【0019】
任意で、第1部分は、空洞を有する管部分を備えている。第2部分は、空洞の内側で中心軸に沿って延び、第1チャネルおよび第2チャネルを形成しているチャネル分離部を備えている。
【0020】
任意で、第1フィルタ構造は、第1主突出部材と第2主突出部材を備えている。第2フィルタ構造は、第1主開口と第2主開口を備えている。第1主突出部材は、少なくとも部分的に第1主開口の内側で中心軸に沿って延び、フィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成している。第2主突出部材は、少なくとも部分的に第2主開口の内側で中心軸に沿って延び、フィルタ開口群の第2セットの主第2フィルタ開口を形成している。
【0021】
任意で、第1部分および/または第2部分は、少なくとも部分的に疎水性物質によってコーティングされている。
【0022】
聴力検査プローブは、本明細書の実施形態のいずれかに開示されているフィルタデバイスを備えている。
【0023】
第1チャネルを有するフィルタデバイスを製造する方法であって、第1フィルタ構造を有する第1部分を取得する工程と、第2フィルタ構造を有する第2部分を取得する工程と、第1部分と第2部分を接合する工程を備えている。第1部分と第2部分を接合する工程は、第1フィルタ構造を第2フィルタ構造に少なくとも部分的に挿入し、第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を形成する。
【0024】
任意で、第1フィルタ構造を有する第1部分を取得する工程が、第1部分をプラスチック成形する工程を含む。
【0025】
任意で、接合する工程は、第1部分および第2部分を超音波溶接する工程を含む。
【0026】
他の特徴、実施形態、および利点について、以下の詳細な説明で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明によって当業者に容易にあきらかとなるであろう。
図1】例示的なフィルタデバイスを示す。
図2】例示的なフィルタデバイスの第1部分および第2部分を示す。
図3】例示的なフィルタデバイスの断面を示す。
図4a】例示的なフィルタデバイスの側面図である。
図4b】例示的なフィルタデバイスの第1部分の側面図である。
図4c】例示的なフィルタデバイスの第2部分の側面図である。
図5a】例示的なフィルタデバイスの端面図である。
図5b】例示的なフィルタデバイスの第1部分の端面図である。
図5c】例示的なフィルタデバイスの第2部分の端面図である。
図6a】例示的なフィルタデバイスの端面図である。
図6b】例示的なフィルタデバイスの第1部分の端面図である。
図6c】例示的なフィルタデバイスの第2部分の端面図である。
図7】結合部分を有する例示的なフィルタデバイスを示す。
図8】フィルタデバイスの例示的な製造方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
種々の実施形態について、以下で図を参照しながら説明する。全体を通して、同じ参照番号は同じ要素を指す。したがって、同じ要素については、各図の説明に関して詳細に説明しない。図は、実施形態の説明を容易にすることを意図したものにすぎないことにも留意されたい。図は、特許請求の範囲に記載した発明の網羅的な説明として、または特許請求の範囲に記載した発明の範囲に対する制限として意図されるものではない。さらに、図示の実施形態は、示されるすべての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態に関連して説明する態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、そのように図示しない場合であっても、またはそのように明示的に説明しない場合であっても、他の任意の実施形態で実施可能である。
【0029】
フィルタデバイスは、中心軸に沿って延びる第1チャネルを備える。フィルタ要素は、第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有する。追加または代替として、フィルタデバイスは、中心軸に沿って延びる第2チャネルを備え得る。フィルタ要素は、第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セットを有し得る。フィルタ開口群の第1セットは、第1チャネルと周囲との間で流体の連通を提供し得る。フィルタ開口群の第2セットは、第2チャネルと周囲との間で流体の連通を提供し得る。
【0030】
フィルタデバイスは、中心軸に沿って延びる、第1チャネル、第2チャネル、および/または第3チャネルを含む複数のチャネルを備え得る。このチャネルは、少なくとも部分的に、第1部分および/または第2部分によって形成され得る。
【0031】
フィルタデバイスは、フィルタデバイスまたはフィルタデバイスの一部が人間の耳に挿入され得るような寸法を有してよい。フィルタデバイスは、中心軸に沿ったある長さ、たとえば、0.5cmから10cmの間、1cmから5cmの間、1.5cmから3cmの間など、15cm未満の長さを有していてよい。
【0032】
フィルタ要素は、複数のチャネルのためのフィルタ開口群の複数のセットを有し得る。複数のチャネルのためのフィルタ開口群の複数のセットは、第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットと、第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セットとを含み得る。フィルタ要素は、第3チャネルのためのフィルタ開口群の第3セットを含み得る。フィルタ要素は、第4チャネルのためのフィルタ開口群の第4セットを含み得る。フィルタ開口群の1つのセットは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれよりも多くのフィルタ開口、たとえば1から10までの範囲内のフィルタ開口を備えていてよい。
【0033】
フィルタ開口群の1つのセットのうちの1つのフィルタ開口などは、中心軸に垂直な平面内に断面形状を有し得る。この断面形状は、円形、長方形、または楕円形などの幾何学的形状の外周または外周の一部に類似したようなスリットであってよい。このスリットは、0.35mm未満、0.2mm未満、0.15mm未満、0.1mm未満など、0.5mm未満の幅を有してよい。このスリットは、一定の幅および/または変化する幅を有してよい。
【0034】
フィルタデバイスのたとえば第1部分は、空洞を有する管部分を備え得る。この管部分は、1つまたは複数のチャネルの外壁部分を形成し得る。この管部分は、チャネルを少なくとも部分的に囲み得る。この管部分は、中心軸に沿って延び得る。この管部分は、0.1cmから7cmの間、0.5cmから5cmの間、1cmから3cmの間など、10cm未満の長さを有してよい。この管部分は円形の断面を有することがあり、および/または、この管部分は楕円形の断面を有することがあり、および/または、この管部分は多角形の横断面を有することがあり、および/または、この管部分は長方形の断面を有することがある。この管部分は、ある断面寸法、たとえば、直径および/または幅などの、中心軸に対して平行な法線を有する平面内の断面寸法を有してよい。この断面寸法は、管部分が人間の外耳道に挿入され得るように選択されてよい。この断面寸法は、0.1cmから1.5cmの間、0.2cmから1cmの間、0.3cmから0.8cmの間、0.5cmなど、2cm未満であってよい。
【0035】
フィルタデバイスのたとえば第2部分は、空洞の内側で中心軸に沿って延びて第1チャネルおよび第2チャネルなどの複数のチャネルを形成するチャネル分離部を備え得る。このチャネル分離部は、管部分の長さと実質的に同様の長さを有していてよい。このチャネル分離部は、管部分の長さよりも0.1cm短いなど、管部分の長さよりも短い長さを有していてもよい。このチャネル分離部は、0.1cmから7cmの間、0.5cmから5cmの間、1cmから3cmの間など、10cm未満の長さを有していてよい。
【0036】
このチャネル分離部は、第1内壁および/または第2内壁を含む、1つまたは複数の内壁を形成し得る。この1つまたは複数の内壁は、交点、たとえば中心軸に沿って延びる交点から径方向に延び得る。チャネル分離部は、中心軸に沿って延びる4つの内壁の交点から径方向に延びる4つの内壁を形成し得る。
【0037】
第1内壁および/または第2内壁などの、チャネル分離部の1つまたは複数の内壁は、中心軸に垂直な方向に幅を有してよい。この幅は、1つまたは複数の内壁が管部分の空洞の内側まで径方向に延びるように選択されてよい。1つまたは複数の内壁の幅は、1mmから8mmの間、2mmから6mmの間、3mmなど、10mm未満であってよい。
【0038】
第1フィルタ構造は、1つおよび/または複数の突出部材を備え得る。第1フィルタ構造は、第1主突出部材、第1補助突出部材、第2主突出部材、および/または第2補助突出部材などの突出部材を備え得る。この突出部材は、中心軸に沿って延び得る。
【0039】
第1主突出部材、第1補助突出部材、第2主突出部材、および/または第2補助突出部材など、1つおよび/または複数の突出部材は、遠位端を有し得る。
【0040】
第1主突出部材、第1補助突出部材、第2主突出部材、および/または第2補助突出部材などの、1つの突出部材および/または複数の突出部材は、0.5mmから8mmの間、1mm、3mmまたは5mmなど、0.1mmから10mmの間の中心軸と平行な長さを有していてよい。
【0041】
第2フィルタ構造は、第1開口および第2開口などの、1つおよび/または複数の開口を備え得る。第1開口は、たとえば、第1主開口および/または第1補助開口を含む。第2開口は、たとえば、第2主開口および/または第2補助開口を含む。第2フィルタ構造は、第3開口と第4開口を備え得る。第3開口は、たとえば、第3の主開口および/または第3の補助開口を含む。第4開口は、たとえば、第4の主開口および/または第4の補助開口を含む。
【0042】
突出部材は、第2フィルタ構造の開口の内側で(たとえば、中心軸に沿って少なくとも0.5mmの重複を有して)またはこれを通って中心軸に沿って少なくとも部分的に延びて、フィルタ開口群の1つのセットのうちのあるフィルタ開口を形成し得る。たとえば、第1主突出部材は、第1主開口の内側でまたはこれを通って、たとえば少なくとも0.5mmの重複を有して、中心軸に沿って少なくとも部分的に延びて、フィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成し得る。代替または追加として、第1補助突出部材は、第1補助開口の内側でまたはこれを通って、たとえば少なくとも0.5mmの重複を有して、中心軸に沿って少なくとも部分的に延びて、フィルタ開口群の第1セットの補助第1フィルタ開口を形成し得る。代替または追加として、第2主突出部材は、第2主開口の内側でまたはこれを通って中心軸に沿って少なくとも部分的に延びて、フィルタ開口群の第2セットの主第2フィルタ開口を形成し得る。代替または追加として、第2補助突出部材は、第2補助開口の内側でまたはこれを通って中心軸に沿って少なくとも部分的に延びて、フィルタ開口群の第2セットの補助第2フィルタ開口を形成し得る。第3突出部材は、第2フィルタ要素の第3開口の内側でまたはこれを通って中心軸に沿って少なくとも部分的に延びて、フィルタ開口群の第3セットの第3フィルタ開口を形成し得る。第4突出部材は、第2フィルタ要素の第4開口の内側でまたはこれを通って中心軸に沿って少なくとも部分的に延びて、フィルタ開口群の第4セットの第4フィルタ開口を形成し得る。複数の突出部材は、同じフィルタ開口の中に延びてもよいし、同じフィルタ開口を共有してもよい。
【0043】
第1主突出部材、第1補助突出部材、第2主突出部材、および/または第2補助突出部材などの、1つおよび/または複数の突出部材は、円形の断面、楕円形の断面、長円形(oblong)の断面、三角形の断面または長方形の断面を有し得る。サイズ要件および音響的性質により、長円形の断面を有する1つまたは複数の突出部材が好ましいことがある。
【0044】
1つの突出部材および/または複数の突出部材の断面積は、突出部材の遠位端に向かって減少していてもよい。たとえば、第1主突出部材の断面積は、第1主突出部材の遠位端に向かって減少していてもよい。このことによって、フィルタ構造の成形が容易になり、および/または成形工具が単純化され得る。
【0045】
1つの突出部材および/または複数の突出部材の断面は、中心軸に対して平行な法線を有する平面内にあってよい。
【0046】
第1主開口、第1補助開口、第2主開口、および/または第2補助開口などの、1つの開口および/または複数の開口は、円形の断面、楕円形の断面、長円形の断面、三角形の断面または長方形の断面を有し得る。サイズ要件および音響的性質により、長円形の断面または楕円形の断面を有する1つまたは複数の開口が好ましいことがある。
【0047】
1つの開口および/または複数の開口の断面は、中心軸に対して平行な法線を有する平面内にあってよい。
【0048】
第1主開口、第1補助開口、第2主開口、および/または第2補助開口など、複数の開口のうちのある開口は、断面積を有し得る。開口の断面積は、1つまたは複数の突出部材が開口の内側で延びることを可能にするように選択され得る。たとえば、開口の断面積は、1mmから20mmの間、2mmから15mmの間など、30mmよりも小さくてよい。
【0049】
第1主突出部材、第1補助突出部材、第2主突出部材、および/または第2補助突出部材などの、1つの突出部材および/または複数の突出部材は、第1支持点および/または第2支持点などの、1つまたは複数の支持点を備え得る。1つまたは複数の支持点は、組み立てられると、第2フィルタ構造内の開口の内部側壁と接触し得る。たとえば、第1主突出部材の第1支持点は、フィルタデバイスを組み立てると、第2フィルタ構造内の第1主開口の第1内部側壁と接触し得る。
【0050】
支持点を設けることによって、フィルタ開口サイズの精度の向上が実現され、音響的性質の変動が低減され得る。そのうえ、支持点があることにより、たとえば超音波溶接によって、第1部分と第2部分を後で結合することが可能になり得る。
【0051】
第2部分は、第1チャネルおよび/または第2チャネルなどのチャネルをプローブチャネルに結合するための、第1結合部分および/または第2結合部分などの1つおよび/または複数の結合部分を備え得る。1つおよび/または複数の結合部分は、結合リッジ(coupling ridge)を備え得る。結合リッジは、第1方向に延びており、第1主開口、第1補助開口、第2主開口および/または第2補助開口などの1つの開口および/または複数の開口を囲んでいる。たとえば、第1結合部分は、第1方向に延びており、第1主開口および/または第1補助開口を囲む結合リッジを備え得る。代替および/または追加として、第2結合部分は、第1方向に延びており、第2主開口および/または第2補助開口を囲む結合リッジを備え得る。
【0052】
第1部分および/または第2部分は、疎水性物質で少なくとも部分的にコーティングされていてよい。たとえば、第1フィルタ構造および/または第2フィルタ構造は、疎水性物質で少なくとも部分的にコーティングされていてよい。たとえば、フィルタ開口の内面は疎水性物質でコーティングされていてよい。たとえば、1つのおよび/または複数の突出部材、および/または、1つおよび/または複数の開口は、疎水性物質で少なくとも部分的にコーティングされていてよい。
【0053】
疎水性物質で表面をコーティングすることによって、その表面に耳垢が引き寄せられ、したがって、耳垢がフィルタ開口の内側に少なくとも部分的に捕獲され、耳垢がフィルタ開口を通って外へ移動することが防止、または少なくともそのリスクが低減される。
【0054】
第1部分および/または第2部分は、親水性物質で少なくとも部分的にコーティングされていてよい。たとえば、第1フィルタ構造および/または第2フィルタ構造は、親水性物質で少なくとも部分的にコーティングされていてよい。たとえば、第2端は親水性物質でコーティングされていてよく、たとえば、1つおよび/または複数の突出部材、および/または、1つおよび/または複数の開口は、親水性物質で少なくとも部分的にコーティングされていてよい。親水性物質で表面をコーティングすることによって、その表面から耳垢がはね返され、したがって、耳垢がフィルタ開口に入ることが少なくとも部分的に防止される。
【0055】
フィルタ開口の長さおよび幅は、第1フィルタ構造および第2フィルタ構造のレイアウト、たとえば、第1フィルタ構造の1つおよび/または複数の突出部材のサイズ、および/または、第2フィルタ構造の1つおよび/または複数の開口のサイズを変化させることによって変化され得る。
【0056】
たとえば、フィルタ開口の長さは、たとえば、1つおよび/または複数の突出部材の長さを増加させることによって、および/または、1つおよび/または複数の開口の長さを増加させることによって増加され、それによって、耳垢がフィルタ開口を通過することがさらに防止され得る。
【0057】
代替または追加として、フィルタ開口の幅は、たとえば、1つおよび/または複数の突出部材の幅を増加させることによって、および/または、1つおよび/または複数の開口の幅を減少させることによって減少され、それによって、耳垢がフィルタ開口に入ることがさらに防止され得る。
【0058】
代替または追加として、フィルタ開口の幅および長さを変化させて、フィルタデバイスの所望の音響的性質を達成することもでき得る。
【0059】
第1部分および/または第2部分は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンブレンド(PC−ABS)および/またはポリオキシメチレン(POM)などのプラスチックから作製され得る。第1フィルタ構造を有する第1部分および/または第2フィルタ構造を有する第2部分の取得は、それぞれ第1部分および/または第2部分のプラスチック成形を含み得る。
【0060】
第1部分と第2部分の接合は、第1部分および第2部分の超音波溶接を含み得る。第1部分および/または第2部分は、第1部分および第2部分の超音波溶接のためのエネルギーディレクタ(energy director)を備えていてよい。エネルギーディレクタは、円錐形の突出部など、表面の小さな突出部であってよい。
【0061】
フィルタデバイスは、複数のフィルタデバイスを有するシステムの第1フィルタデバイスおよび/または第2フィルタデバイスであってよい。複数のフィルタデバイスを有するシステムは、たとえば第1フィルタデバイスと第2フィルタデバイスとを含む、複数のフィルタデバイスを備えていてよい。第1フィルタデバイスと第2フィルタデバイスの間に、中間スペースを設けてもよい。中間スペースは、第1フィルタデバイスと第2フィルタデバイスの間に耳垢を捕獲するために設けられていてよい。
【0062】
全体を通して、同じ参照番号は、同一の部分または対応する部分に使用される。
【0063】
図1は、聴力検査プローブ(図示せず)のための例示的なフィルタデバイス2を示す。フィルタデバイス2は、中心軸100に沿って第1方向に第1端4から第2端6に延びる。フィルタデバイス2は、第1部分8と第2部分12を備える。フィルタデバイス2は、中心軸100に沿って延びる第1チャネルを備える。第1部分8は、第1チャネルが延びている管部分50を備える。
【0064】
第1部分8は第1フィルタ構造を有し、第2部分12は第2フィルタ構造を有する。第1部分8と第2部分12は互いに接合され、第1フィルタ構造と第2フィルタ構造は、第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セット20を備えるフィルタ要素18を画定している。フィルタ開口群の第1セット20は、複数の第1フィルタ開口を備える。フィルタ開口群の第1セット20は、主第1フィルタ開口28と補助第1フィルタ開口36を備える。
【0065】
フィルタ要素18は、第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セット40をさらに備える。フィルタ開口群の第2セット40は、複数の第2フィルタ開口を備える。フィルタ開口群の第2セット40は、主第2フィルタ開口48を備える。第2チャネルは、管部分50の内側に延びている。
【0066】
フィルタ要素18は、複数のチャネルのためのフィルタ開口群の複数のセットを備え得る。図示のフィルタ要素18は、4つのチャネルのためのフィルタ開口群の4つのセットを備える。複数のチャネルのためのフィルタ開口群の複数のセットは、さまざまな目的でフィルタ開口群のセットおよびチャネルを提供し得る。たとえば、フィルタ開口群の第1セット20は、音を出すためのものであってよく、たとえばスピーカに接続されてよく、フィルタ開口群の第2セット40は、音を受け取るためのものであってよく、たとえばマイクロホンに接続されてよく、フィルタ開口群の第3セットは、加圧するためのものであってよく、たとえばポンプに接続されてよい。
【0067】
例示的なフィルタデバイス(図示せず)では、第2部分12は、チャネルをプローブチャネルに結合するための1つまたは複数の結合部分を備え得る。たとえば、第2部分12は、第1チャネルをプローブチャネルに結合するための第1結合部分を備え得る。および/または、第2部分12は、第2チャネルをプローブチャネルに結合するための第2結合部分を備え得る。第1結合部分は、フィルタ開口群の第1セット20を囲むなど、第1方向に延びており、主第1フィルタ開口28および/または補助第1フィルタ開口36を囲む結合リッジを備え得る。第2結合部分は、フィルタ開口群の第2セット40を囲むなど、第1方向に延びており、主第2フィルタ開口48を囲む結合リッジを備え得る。
【0068】
図2は、第1部分8と第2部分12を接合して図1に示されるようなフィルタデバイス2を形成する前の例示的なフィルタデバイス2を示す。フィルタデバイス2は、第1フィルタ構造10を有する第1部分8と、第2フィルタ構造14を有する第2部分12を備えている。
【0069】
第1部分8は空洞を有する管部分50を備え、第2部分12は空洞の内側で中心軸100に沿って延びる4つの内壁を有するチャネル分離部54を備える。空洞の内側で延びるチャネル分離部54の内壁は、第1チャネルと第2チャネルを含む4つのチャネルを形成する。
【0070】
第1フィルタ構造10は、遠位端24を有する第1主突出部材22を備える。第2フィルタ構造14は、第1主開口26を備えている。第1部分8と第2部分12を接合した後、第1主突出部材22は、中心軸に沿って少なくとも一部が第1主開口26の内側に、または、第1主開口26を通過して延びて、図1に示されるような第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成している。
【0071】
第1フィルタ構造10は複数の突出部材を備え、第2フィルタ構造14は複数の開口を備えている。
【0072】
第1フィルタ構造10は、遠位端32を有する第1補助突出部材30を備えている。第2フィルタ構造は、第1補助開口34を備えている。第1部分8と第2部分12を接合した後、第1補助突出部材30は、中心軸に沿って少なくとも一部が第1補助開口34の内側に、または、第1補助開口34を通過して延び、図1に示されるような第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットの補助第1フィルタ開口を形成する。
【0073】
第1フィルタ構造10は、遠位端44を有する第2主突出部材42を備えている。第2フィルタ構造14は、第2主開口46を備えている。第1部分8と第2部分12を接合した後、第2主突出部材42は、中心軸に沿って少なくとも一部が第2主開口46の内側に、または、第2主開口46を通過して延び、図1に示されるような第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セットの主第2フィルタ開口を形成する。
【0074】
第1部分8と第2部分12を接合した後、第1主突出部材22、第1補助突出部材30および/または第2主突出部材42などの第1フィルタ構造10の突出部材は、第1主開口26、第1補助開口34および/または第2主開口46などの第2フィルタ構造のそれぞれの開口と、中心軸に沿って重複するように構成される。
【0075】
例示的なフィルタデバイス(図示せず)では、第2部分12は、チャネルをプローブチャネルに結合するための1つまたは複数の結合部分を備え得る。たとえば、第2部分12は、第1チャネルをプローブチャネルに結合するための第1結合部分を備え得る。および/または、第2部分12は、第2チャネルをプローブチャネルに結合するための第2結合部分を備え得る。第1結合部分は、第1方向に延びている第1主開口26および/または第1補助開口34を囲む結合リッジを備え得る。第2結合部分は、第1方向に延びている第2主開口46を囲む結合リッジを備え得る。
【0076】
図3は、例示的なフィルタデバイス2の断面を示す。フィルタデバイス2は、第1チャネル16と第2チャネル38を備えている。さらに、図3は、空洞52を有する管部分50を備える第1部分8と、空洞52の内側で中心軸100に沿って延びるチャネル分離部54を備える第2部分12を示す。空洞52の内側で延びるチャネル分離部54は、第1チャネル16および第2チャネル38を形成している。第1部分8と第2部分12は互いに接合され、複数のフィルタ開口を備えるフィルタ要素18を形成している。フィルタ要素18は、第1チャネル16のための主第1フィルタ開口28を備えている。主第1フィルタ開口28は、図1に関連して説明したように、第1チャネル16のためのフィルタ開口群の第1セットの一部であってよい。
【0077】
図4aから図4cは、それぞれ、例示的なフィルタデバイス2、例示的な第1部分8および例示的な第2部分12の側面図である。図4aは、フィルタデバイス2を示す。図4bは、フィルタデバイス2の第1部分8を示す。第1部分8は、第1フィルタ構造10を有する。図4cは、フィルタデバイス2の第2部分12を示す。第2部分は、第2フィルタ構造14を有する。図4aは、第1部分8と第2部分12が互いに接合されているフィルタデバイス2を示す。したがって、第1フィルタ構造10と第2フィルタ構造14は、フィルタデバイス2のフィルタ要素18を画定する。
【0078】
第1部分8が管部分50を備え、第2部分12がチャネル分離部54を備えることも図4aから図4cに示されている。第1部分8と第2部分12を接合した後、チャネル分離部54は、管部分50の空洞の内側で中心軸100に沿って延び、第1チャネルおよび第2チャネルを形成する。任意で、チャネル分離部54は、複数のチャネルを形成する複数の分離壁を備えていてもよく、たとえば、チャネル分離部54は、第1チャネル、第2チャネル、第3のチャネルおよび第4のチャネルを形成する4つの分離壁を備えていてもよい。
【0079】
図5aから図5cは、それぞれ、第2端6(図1)から見た、例示的なフィルタデバイス2、例示的な第1部分8、および例示的な第2部分12の側面図である。
【0080】
図5aは、フィルタ要素18が第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セット20と第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セット40を備えるフィルタデバイス2を示す。フィルタ開口群の第1セット20は、主第1フィルタ開口28と、補助第1フィルタ開口36を備える。フィルタ開口群の第2セット40は、主第2フィルタ開口48を備える。
【0081】
図5bは、フィルタデバイス2の第1部分8を示す。第1部分8は、第1フィルタ構造10を有する。第1フィルタ構造10は、第1主突出部材22と第1補助突出部材30と第2主突出部材42を含む、複数の突出部材を備える。第1部分8の管部分の空洞52も示されている。図5bに示されるように、第1主突出部材22、第1補助突出部材30および/または第2主突出部材42などの突出部材は、楕円形の断面または長円形の断面を有し得る。あるいは、第1主突出部材22、第1補助突出部材30および/または第2主突出部材42などの突出部材は、円形の断面、三角形の断面および/または長方形の断面であってよい。
【0082】
図5cは、フィルタデバイス2の第2部分12を示す。第2部分は、第2フィルタ構造14を有する。第2フィルタ構造14は、第1主開口26と第1補助開口34と第2主開口46を含む、複数の開口を備える。
【0083】
第1主開口26、第1補助開口34および/または第2主開口46などの第2フィルタ構造14の開口は、第1主突出部材22、第1補助突出部材30および/または第2主突出部材42などの第1フィルタ構造10のそれぞれの突出部材よりもわずかに大きく、たとえば、開口26、34、46は、それぞれの突出部材22、30、42よりもわずかに大きい断面積を有する。
【0084】
いくつかの例示的なフィルタデバイス(図示せず)では、第1主突出部材22、第1補助突出部材30および/または第2主突出部材42などの第1フィルタ構造10の突出部材は、第1支持点を含む1つまたは複数の支持点を備え得る。第1部分8と第2部分12を接合した後、第1支持点は、第1主開口26、第1補助開口34および/または第2主開口46などの、第2フィルタ構造14の開口の第1内部側壁と接触し得る。
【0085】
第1部分8と第2部分12を接合した後、図5aに示されるように、第1フィルタ構造10と第2フィルタ構造14はフィルタ要素18を画定する。第1部分8と第2部分12を接合した後、第1主突出部材22は、少なくとも一部が第1主開口26の内側に、または、第1主開口26を通過して延びて、主第1フィルタ開口28を形成する。第1部分8と第2部分12を接合した後、第1補助突出部材30は、少なくとも一部が第1補助開口34の内側に、または、第1補助開口34を通過して延びて、補助第1フィルタ開口36を形成する。第1部分8と第2部分12を接合した後、第2主突出部材42は、少なくとも一部が第2主開口46の内側に、または、第2主開口46を通過して延びて、主第2フィルタ開口48を形成する。
【0086】
図6aから図6cは、それぞれ、第1端4(図1)から見た、例示的なフィルタデバイス2、例示的な第1部分8および例示的な第2部分12を示している。
【0087】
図6aは、第1チャネル16と第2チャネル38を備えるフィルタデバイス2を示す。図6bは、フィルタデバイス2の第1部分8を示す。第1部分8は、空洞52を有する管部分50を備える。図6cは、フィルタデバイス2の第2部分12を示す。第2部分12は、チャネル分離部54を備える。第1部分8と第2部分12を接合した後、フィルタデバイス2は、図6aに示されるように、第1チャネル16と第2チャネル38とを含む複数のチャネルを備える。第1チャネル16と第2チャネル38は、管部分50の空洞52の内側で延びるチャネル分離部54によって分離される。
【0088】
図7は、第2部分12が第1結合部分62を含む1つ以上の結合部分を備える例示的なフィルタデバイス2を示す。第2部分12は、チャネルおよびフィルタ開口のそれぞれを各プローブ/プローブチャネルに結合するための第1結合部分62、第2結合部分64、第3結合部分66および第4結合部分68を含む、複数の結合部分を備える。フィルタデバイスは、結合部分を含む結合部材を備え得る。この結合部材は、たとえば第1部分および第2部分と異なる材料で作製された別個の部材であってよい。第1結合部分は、第1チャネルをプローブチャネルに結合するように、および/または、フィルタデバイス2をプローブに結合するために構成される。複数の結合部分は、フィルタデバイスの複数のチャネルをプローブの複数のチャネルに結合するために構成され得る。結合部分は、第1方向に延びる結合リッジを備え得る。第1結合部分62は、第1方向に延びる第1結合リッジ70を備える。
【0089】
図8は、第1チャネルを有するフィルタデバイスを製造する例示的な方法200のフロー図である。方法200は、第1フィルタ構造を有する第1部分の取得202と、第2フィルタ構造を有する第2部分の取得204と、第1部分と第2部分の接合206を含む。
【0090】
第1部分と第2部分の接合206は、第1フィルタ構造を少なくとも部分的に第2フィルタ構造に挿入し、第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を形成することを含む。
【0091】
第1部分の取得202は、第1部分のプラスチック成形を含み、および/または、第2部分の取得204は、第2部分のプラスチック成形を含み得る。
【0092】
第1部分と第2部分の接合206は、第1部分および第2部分の超音波溶接を含み得る。たとえば、第1部分と第2部分の接合206は、第1フィルタ構造を第2フィルタ構造に挿入し、その後、第1部分および第2部分を超音波溶接することを含み得る。
【0093】
さらに、以下の項目のいずれかに示されるフィルタデバイス、聴力検査プローブおよびその製造方法が開示される。
(項目1)
聴力検査プローブのためのフィルタデバイスであって、
前記フィルタデバイスは、第1方向において、中心軸に沿って第1端から第2端に向けて延びており、
第1フィルタ構造を有する第1部分と、
第2フィルタ構造を有する第2部分と、
前記中心軸に沿って延びる第1チャネルと、を備えており、
前記第1部分と前記第2部分は互いに接合されており、
前記第1フィルタ構造と前記第2フィルタ構造は、前記第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を画定している、フィルタデバイス。
(項目2)
前記第1フィルタ構造は、遠位端を有する第1主突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は第1主開口を備えており、
前記第1主突出部材は、前記第1主開口の内側で前記中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、前記フィルタ開口群の第1セットの主第1フィルタ開口を形成している、項目1に記載のフィルタデバイス。
(項目3)
前記第1主突出部材は、円形、楕円形、長円形、三角形または長方形の断面を有している、項目2に記載のフィルタデバイス。
(項目4)
前記第1主突出部材は、第1支持点を含む1つ以上の支持点を備えており、
前記第1支持点は、前記第2フィルタ構造内の前記第1主開口の第1内部側壁と接触している、項目2または3に記載のフィルタデバイス。
(項目5)
前記第1フィルタ構造は、第1補助突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は、第1補助開口を備えており、
前記第1補助突出部材は、前記第1補助開口の内側で前記中心軸に沿って少なくとも部分的に延び、前記フィルタ開口群の第1セットの補助第1フィルタ開口を形成している、項目2から4のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
(項目6)
前記第2部分は、前記第1チャネルをプローブチャネルに結合するための第1結合部分を備えており、
前記第1結合部分は、前記第1方向に延びているとともに前記第1主開口を囲んでいる結合リッジを備えている、項目2から5のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
(項目7)
前記第1主突出部材の断面積が、遠位端に向かって減少している、項目2から6のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
(項目8)
前記フィルタデバイスは、前記中心軸に沿って延びている第2チャネルを備えており、
前記フィルタ要素は、前記第2チャネルのためのフィルタ開口群の第2セットを有している、項目1から7のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
(項目9)
前記第1部分は、空洞を有する管部分を備えており、
前記第2部分は、前記空洞の内側で前記中心軸に沿って延び、前記第1チャネルおよび前記第2チャネルを形成しているチャネル分離部を備えている、項目8に記載のフィルタデバイス。
(項目10)
前記第1フィルタ構造は、第2主突出部材を備えており、
前記第2フィルタ構造は、第2主開口を備えており、
前記第2主突出部材は、前記第2主開口の内側で前記中心軸に沿って延び、前記フィルタ開口の第2セットの主第2フィルタ開口を形成している、項目8または9に記載のフィルタデバイス。
(項目11)
前記第1部分および/または前記第2部分は、少なくとも部分的に疎水性物質によってコーティングされている、項目1から10のいずれか一項に記載のフィルタデバイス。
(項目12)
項目1から11のいずれか一項に記載のフィルタデバイスを備える聴力検査プローブ。
(項目13)
第1チャネルを有するフィルタデバイスを製造する方法であって、
第1フィルタ構造を有する第1部分を取得する工程と、
第2フィルタ構造を有する第2部分を取得する工程と、
前記第1部分と前記第2部分を接合する工程であって、前記第1フィルタ構造を前記第2フィルタ構造に少なくとも部分的に挿入し、前記第1チャネルのためのフィルタ開口群の第1セットを有するフィルタ要素を形成する工程と、
を備えている方法。
(項目14)
第1フィルタ構造を有する第1部分を取得する工程が、第1部分のプラスチック成形を含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記接合する工程は、前記第1部分および前記第2部分の超音波溶接を含む、項目13または14に記載の方法。
【0094】
具体的な特徴を示し、それらについて説明したが、それらは特許請求の範囲に記載された発明を限定するためのものではないことを理解されたい。また、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨および範囲を逸脱することなく様々な変更および修正を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的なものではなく例示的なものとして見なすべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替形態、修正形態、および均等形態をカバーすることが意図されている。
【符号の説明】
【0095】
2:フィルタデバイス
4:第1端
6:第2端
8:第1部分
10:第1フィルタ構造
12:第2部分
14:第2フィルタ構造
16:第1チャネル
18:フィルタ要素
20:フィルタ開口の第1セット
22:第1主突出部材
24:遠位端
26:第1主開口
28:主第1フィルタ開口
30:第1補助突出部材
32:遠位端
34:第1補助開口
36:補助第1フィルタ開口
38:第2チャネル
40:フィルタ開口の第2セット
42:第2主突出部材
44:遠位端
46:第2主開口
48:主第2フィルタ開口
50:管部分
52:空洞
54:チャネル分離部
62:第1結合部分
64:第2結合部分
66:第3結合部分
68:第4結合部分
70:結合リッジ
100:中心軸
200:フィルタデバイスを製造する方法
202:第1部分の取得
204:第2部分の取得
206:第1部分と第2部分の接合
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7
図8