(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596326
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20191010BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20191010BHJP
H04N 5/243 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
H04M9/00 D
H04N7/18 H
H04N5/243
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-250289(P2015-250289)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-118260(P2017-118260A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】太田 稔
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 毅仙
(72)【発明者】
【氏名】大橋 照夫
【審査官】
山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−182641(JP,A)
【文献】
特開平10−023396(JP,A)
【文献】
特開2006−325132(JP,A)
【文献】
特開2013−098726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 9/00 −9/10
H04N 5/222−5/257
7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者を呼び出して通話する機能及び来訪者を撮像するためのカメラを備えた玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに応答する機能及び前記カメラの撮像映像を表示する表示部を備えた居室親機とを有するインターホンシステムであって、
前記玄関子機が、逆光補正及び暗視補正を実施する映像補正部と、
前記逆光補正制御のオン/オフ設定状態及び前記暗視補正制御のオン/オフ設定状態を記憶する設定記憶部と、
前記設定記憶部の情報に基づいて前記映像補正部を補正動作させる補正制御部とを有する一方、
前記居室親機が、逆光補正制御のオン/オフを切り替える逆光補正ボタン、及び暗視補正制御のオン/オフを切り替える暗視補正ボタンを有し、
前記補正制御部は、前記逆光補正ボタンの操作を受けて前記設定記憶部が記憶している逆光補正のオン/オフ状態を書き換えると共に、前記暗視補正ボタンの操作を受けて前記設定記憶部が記憶している暗視補正のオン/オフ状態を書き換えることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記玄関子機は、前記カメラの撮像映像の明るさから昼間/夜間を判定する明るさ判定部を有し、
前記映像補正部は、前記明るさ判定部が夜間と判断したら、前記設定記憶部が記憶する暗視補正の設定状態のみを受けて映像補正制御を実施する一方、
前記明るさ判定部が昼間であると判断したら、前記設定記憶部が記憶する逆光補正の設定のみを受けて映像補正制御を実施することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
居住者を呼び出して通話する機能及び来訪者を撮像するためのカメラを備えた玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに応答する機能及び前記カメラの撮像映像を表示する表示部を備えた居室親機とを有するインターホンシステムであって、
前記玄関子機が、逆光補正及び暗視補正を実施する映像補正部と、
前記逆光補正制御のオン/オフ設定状態及び前記暗視補正制御のオン/オフ設定状態を記憶する設定記憶部と、
前記カメラの撮像映像の明るさから昼間/夜間を判定する明るさ判定部と、
前記設定記憶部の情報に基づいて前記映像補正部を補正動作させる補正制御部とを有する一方、
前記居室親機が、逆光補正制御のオン/オフ及び暗視補正制御のオン/オフを同時に切り替える1つの映像補正ボタンを有し、
前記補正制御部は、前記映像補正ボタンの操作を受けて、前記設定記憶部が記憶する前記逆光補正のオン/オフ設定及び前記暗視補正のオン/オフ設定の書き換えを同時に実施し、
更に前記明るさ判定部が夜間と判定し、且つ暗視補正がオン設定であれば暗視補正制御を実施する一方、前記明るさ判定部が昼間と判定し、且つ前記逆光補正がオン設定であれば逆光補正制御を実施することを特徴とするインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来訪者が居住者を呼び出して通話を実施できるインターホンシステムに関し、特に来訪者を撮像するためのカメラを備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
玄関子機にカメラを設けて来訪者映像を居室親機のモニタに表示させ、呼出時に或いは通話時に居住者が来訪者を映像で確認できるインターホンシステムが普及している。カメラを備えたこのようなシステムでは、逆光時や夜間でも来訪者を確認できるように逆光補正や暗視補正してモニタに表示する機能が設けられたものがある。例えば、特許文献1では居室親機の操作で逆光補正や暗視補正のオン/オフ操作ができるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−182841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のインターホンシステムは、1つの補正ボタンの操作で逆光補正及び暗視補正のオン/オフを設定でき、少ない部材で映像補正を実施できた。しかしながら、オン設定しても通話が終了して待受状態に移行すると設定が解除されてしまい、次回の通話時にも同様の設定操作を行う必要があった。また、オン操作しても夜間は暗視補正機能のみが能動となり、昼間は逆光補正機能のみが能動となるため、双方の補正を同時に実施すべき状況が発生しても一方の補正しか実施できなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、映像補正の設定を保持して次回の映像表示においても前回設定された映像補正の機能を能動とし、更に逆光補正と暗視補正の双方の補正を同時に実施できるインターホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、居住者を呼び出して通話する機能及び来訪者を撮像するためのカメラを備えた玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応答する機能及びカメラの撮像映像を表示する表示部を備えた居室親機とを有するインターホンシステムであって、玄関子機が、逆光補正及び暗視補正を実施する映像補正部と、逆光補正制御のオン/オフ設定状態及び暗視補正制御のオン/オフ設定状態を記憶する設定記憶部と、設定記憶部の情報に基づいて映像補正部を補正動作させる補正制御部とを有する一方、居室親機が、逆光補正制御のオン/オフを切り替える逆光補正ボタン、及び暗視補正制御のオン/オフを切り替える暗視補正ボタンを有し、補正制御部は、逆光補正ボタンの操作を受けて設定記憶部が記憶している逆光補正のオン/オフ
状態を書き換えると共に、暗視補正ボタンの操作を受けて設定記憶部が記憶している暗視補正のオン/オフ
状態を書き換えることを特徴とする。
この構成によれば、逆光補正や暗視補正のオン/オフを一度設定すれば、設定を解除するまで、設定状態が維持されるため、呼び出しが発生してカメラの撮像映像が表示される度に映像補正の操作をする煩わしさが無く、利便性が良い。また、逆光補正オンと暗視補正オンを独立に設定できるため、双方をオン設定にすれば双方の映像補正を実施できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、
玄関子機は、カメラの撮像映像の明るさから昼間/夜間を判定する明るさ判定部を有し、映像補正部は、明るさ判定部が夜間と判断したら、設定記憶部が記憶する暗視補正の設定状態のみを受けて映像補正制御を実施する一方、明るさ判定部が昼間であると判断したら、設定記憶部が記憶する逆光補正の設定のみを受けて映像補正制御を実施することを特徴とする。
この構成によれば、暗視補正オン状態であっても昼間であれば逆光補正のみ実施するため、過剰な補正映像が表示されて不自然な映像が表示されるようなことがない。
【0008】
請求項3の発明は、居住者を呼び出して通話する機能及び来訪者を撮像するためのカメラを備えた玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに応答する機能及びカメラの撮像映像を表示する表示部を備えた居室親機とを有するインターホンシステムであって、玄関子機が、逆光補正及び暗視補正を実施する映像補正部と、逆光補正制御のオン/オフ設定状態及び暗視補正制御のオン/オフ設定状態を記憶する設定記憶部と、カメラの撮像映像の明るさから昼間/夜間を判定する明るさ判定部と、設定記憶部の情報に基づいて映像補正部を補正動作させる補正制御部とを有する一方、居室親機が、逆光補正制御のオン/オフ及び暗視補正制御のオン/オフを
同時に切り替える1つの映像補正ボタンを有し、補正制御部は、
映像補正ボタンの操作を受けて、設定記憶部が記憶する逆光補正のオン/オフ設定及び暗視補正のオン/オフ設定の書き換えを同時に実施し、更に明るさ判定部が夜間と判定し、且つ暗視補正がオン設定であれば暗視補正制御を実施する一方、明るさ判定部が昼間と判定し、且つ逆光補正がオン設定であれば逆光補正制御を実施することを特徴とする。
この構成によれば、逆光補正や暗視補正のオン/オフを一度設定すれば、設定を解除するまで、設定状態が維持されるため、呼び出しが発生してカメラの撮像映像が表示される度に映像補正の操作をする煩わしさが無く、利便性が良い。更に、映像を見易くしたい場合に操作するボタンが1つであっても、明るさに応じて逆光補正と暗視補正の一方が選択されて切替制御されるため、簡易な操作で玄関の明るさに応じて見易い映像を表示させることができ、便利である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、逆光補正や暗視補正のオン/オフを一度設定すれば、設定を解除するまで、設定が維持されるため、呼び出しが発生してカメラの撮像映像が表示される度に映像補正の操作をする煩わしさが無く、利便性が良い。また、逆光補正オンと暗視補正オンを独立に設定できるため、双方をオン設定にすれば双方の映像補正を玄関の明るさに応じて実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す回路ブロック図であり、1は居住者を呼び出して通話するための玄関子機、2は玄関子機1からの呼び出しに応答するための居室親機であり、両者は伝送線L1により接続されている。
【0012】
玄関子機1は、来訪者を撮像するためのカメラ11、カメラ11の撮像映像の補正等を行って居室親機2へ伝送する映像信号を生成する映像信号生成部12、伝送線L1を介して居室親機2へ映像信号を伝送するために変調処理等を行う子機映像処理部13、居住者を呼び出す呼出ボタン14、マイク15a及びスピーカ15b、通話音声を制御する子機音響部15、映像補正の設定状態を記憶する設定記憶部16、玄関子機1を制御する子機CPU17、居室親機2と通信するための子機インターフェース(子機IF)18等を備えている。
【0013】
居室親機2は、カメラ11の撮像映像を表示するモニタ21、伝送された映像信号を復調する親機映像処理部22、逆光補正ボタン23aや暗視補正ボタン23bを有する操作部23、応答操作する通話ボタン24、通話するためのマイク25a及びスピーカ25b、音声を制御する親機音響部25、居室親機2を制御する親機CPU26、玄関子機1と通信するための親機インターフェース(親機IF)27等を備えている。尚、逆光補正ボタン23a及び暗視補正ボタン24aはモニタ21に一体に構成されたタッチパネルに設けられ、映像の表示に合わせてモニタ21に表示される。
【0014】
上記の如く構成されたインターホンシステムの動作は以下の様である。ただし、呼出操作、それに伴うカメラ11の撮像映像の表示、居室親機2による応答操作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは、映像補正動作を中心に説明する。
先ず、逆光補正及び暗視補正が共にオフ設定の状態にある、即ち設定記憶部16が逆光補正オフ及び暗視補正オフを記憶しているとして説明する。来訪者により呼出ボタン14が押下されると、子機CPU17の制御により呼出信号が居室親機2に伝送される。同時にカメラ11が起動して撮像映像が出力される。
【0015】
このとき、暗視補正も逆光補正もオフ設定情報が設定記憶部16に記憶されているため、子機CPU17は映像信号生成部12に対して映像補正を実施させず、カメラ11が出力した映像信号は加工されることなく映像信号生成部12から出力される。この映像は、子機映像処理部13、子機IF18を介して居室親機2へ伝送され、居室親機2のモニタ21に表示される。
【0016】
この表示映像を見た居住者が、操作部23の逆光補正ボタン23aを操作すると、親機CPU26が逆光補正切替信号を生成して玄関子機1に伝送する。この逆光補正切替信号を受信した玄関子機1では、子機CPU17の制御により設定記憶部16の記憶が書き換えられる。このとき、逆光補正オフの情報が記憶されていたため、切替信号を受けて逆光補正オンに書き換えられる。そして、逆光補正オンと変更されたため、映像信号生成部12は逆光補正制御を開始する。
こうして、映像信号生成部12は、逆光補正を実施した映像信号を出力し、居室親機1のモニタ21には、逆光補正された映像が表示される。
【0017】
また、居住者が暗視補正ボタン23bを操作したら、親機CPU26の制御により暗視補正切替信号が玄関子機1に伝送される。この暗視補正切替信号を受信した玄関子機1では、子機CPU17の制御により設定記憶部16の記憶が書き換えられる。このとき、暗視補正オフの情報が記憶されていたため、切替信号を受けて暗視補正オンに書き換えられる。そして、暗視補正オンと変更されたため、映像信号生成部12は暗視補正制御を開始し、映像信号生成部12は、暗視補正を実施した映像信号を出力し、居室親機1のモニタ21には、暗視補正された映像が表示される。
このように子機CPU17は、設定記憶部16が記憶する設定状態に従って、次回のカメラ11の撮像映像に対して映像信号生成部12に補正を実施させる。
【0018】
但し、子機CPU17は、カメラ11が撮像を開始した時点で、カメラ11から撮像した映像の明るさ情報(輝度情報)を入手して昼間であるか夜間であるか判断する。そして、昼間であると判断したら暗視補正の設定状態を無視して実施せず、逆光補正の設定内容に従い映像信号生成部12に補正制御させる。また、夜間であると判断した場合は、逆光補正の設定状態を無視して実施せず、設定記憶部16が記憶している暗視補正の設定に従って補正を実施する。
【0019】
このように、逆光補正や暗視補正を一度設定すれば、設定を解除するまで、設定が維持されるため、呼び出しが発生してカメラ11の撮像映像が表示される度に映像補正の操作をする煩わしさが無く、利便性が良い。
また、昼間であると判断したら、逆光補正オンであれば逆光補正を実施するが、暗視補正オン状態であっても暗視補正を実施することがないため、過剰な補正映像が表示されて不自然な映像が表示されるようなことがない。
更に、逆光補正及び暗視補正の双方がオン設定の場合は、夜間は暗視補正を実施するし、門灯の点灯等で昼間であると判断した場合は、暗視補正の設定状態を無視して逆光補正を実施するため、訪問者を確認し易い映像となる。
【0020】
尚、上記実施形態では、居室親機2から玄関子機1に伝送される映像補正のオン/オフ信号を同一の切替信号としたが、逆光補正ボタン及び暗視補正ボタンの双方をオンボタンとオフボタンの2つのボタンで構成し、オン信号或いはオフ信号を玄関子機1に伝送しても良い。
【0021】
次に、本発明に係るインターホンシステムの他の形態を説明する。上記実施形態では、映像補正ボタンとして逆光補正ボタン23aと暗視補正ボタン23bの2つの補正ボタンを設けたが、1つの映像補正ボタン(図示せず)として構成しても良い。
この場合、逆光補正と暗視補正が同時にオン/オフ操作されて設定が記憶されることになるが、上述したように子機CPU17が、カメラ11が撮像を開始した時点でカメラ11から撮像した映像の明るさ情報(輝度情報)を入手して昼間であるか夜間であるか判断することで、昼間であると判断した場合は暗視補正の設定状態を無視して実施せず、逆光補正の設定内容に従い映像信号生成部12が補正制御するし、夜間であると判断した場合は逆光補正の設定状態を無視して実施せず、設定記憶部16が記憶している暗視補正の設定に従って補正を実施するため見易い映像の表示が可能となる。
このように、映像補正ボタンを1つにして逆光補正操作と暗視補正操作を同時操作する構成としても、設定状態を維持することで呼び出しが発生してカメラ11の撮像映像が表示される度に映像補正の操作をする煩わしさが無いのは基より、映像を見易くしたい場合に1つの映像補正ボタンを操作すれば、明るさに応じて逆光補正と暗視補正の一方が選択されて切替制御されるため、簡易な操作で玄関の明るさに応じて見易い映像を表示させることができ、便利である。
【符号の説明】
【0022】
1・・玄関子機、2・・居室親機、11・・カメラ、12・・映像信号生成部(映像補正部)、16・・設定記憶部、17・・子機CPU(補正制御部、明るさ判定部)、21・・モニタ、23a・・逆光補正ボタン、23b・・暗視補正ボタン、26・・親機CPU。