(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596327
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】蓄冷機能付きエバポレータ
(51)【国際特許分類】
F28F 17/00 20060101AFI20191010BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20191010BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20191010BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20191010BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20191010BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20191010BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
F28F17/00 501B
F28D20/00 Z
F28F1/02 B
F28D1/053 A
B60H1/32 613C
B60H1/32 613K
F24F13/22 222
F25B39/02 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-250928(P2015-250928)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-116166(P2017-116166A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025676
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】東山 直久
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−126307(JP,A)
【文献】
特開2015−111039(JP,A)
【文献】
特開2011−012947(JP,A)
【文献】
特開2014−020758(JP,A)
【文献】
特開2013−061136(JP,A)
【文献】
特開2014−020761(JP,A)
【文献】
特開2012−237474(JP,A)
【文献】
特開2015−090249(JP,A)
【文献】
特開2015−045471(JP,A)
【文献】
特開2015−148404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 17/00
F25B 39/02
F28D 20/00−20/02
B60H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平状冷媒流通管、蓄冷材封入部が設けられるとともに蓄冷材封入部内に蓄冷材が封入された蓄冷材容器およびフィンを有する熱交換コア部を備えており、熱交換コア部において、通風方向に間隔をおいて配置された複数の冷媒流通管が左右方向に間隔をおいて複数配置されることにより、左右方向に隣り合う冷媒流通管どうしの間に間隙が形成され、蓄冷材容器が、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた扁平状であるとともに、前記全間隙のうちの一部でかつ複数の第1間隙に冷媒流通管に接するように配置され、フィンが、前記全間隙の残りの複数の第2間隙に冷媒流通管に接するように配置され、蓄冷材容器の蓄冷材封入部における熱交換コア部の通風方向の範囲内に位置する部分の左右両側壁のうち少なくともいずれか一方の側壁外面に、上下方向に一定の流路長さを有するとともに上下両端が開口し、かつ凝縮水を上方から下方に流して下端開口から排水する複数の凝縮水排水溝が通風方向に間隔をおいて形成され、各凝縮水排水溝が、蓄冷材容器の蓄冷材封入部の前記側壁に通風方向に間隔をおいて設けられて外方に膨出し、かつ膨出端が同一垂直面上に位置している2つの排水溝用凸部間に形成され、全排水溝用凸部の膨出端の少なくとも一部が冷媒流通管に接しており、全凝縮水排水溝のうち少なくともいずれか1つの凝縮水排水溝の下端が下方に開口している蓄冷機能付きエバポレータであって、
下端が下方に開口している凝縮水排水溝の下部に、溝深さが、凝縮水排水溝の下端に向かって徐々に深くなった排水促進部が設けられている蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項2】
前記排水促進部において、凝縮水排水溝の底面に、当該凝縮水排水溝の下端に向かって蓄冷材容器の厚み方向の中央部側に傾斜した傾斜部が設けられている請求項1記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項3】
蓄冷材容器が、一定幅を有する周縁の帯状部どうしが互いに接合された2枚の金属製容器構成板からなり、両容器構成板における互いに接合された帯状部を除いた部分に外方膨出部が設けられ、両容器構成板の外方膨出部によって蓄冷材容器に膨出状の蓄冷材封入部が設けられ、両容器構成板における蓄冷材封入部の少なくともいずれか一方の側壁となる部分に、凝縮水排水溝および排水溝用凸部が設けられており、下端が下方に開口している凝縮水排水溝の底面の前記排水促進部の下端が、容器構成板の下縁の帯状部に連なっている請求項1または2記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項4】
蓄冷材容器の蓄冷材封入部に、上端が上方に向かって開口するともに、下端が蓄冷材容器の通風方向の風上側および風下側のうちのいずれか一方の第1側に開口した第1凝縮水排水溝と、上端が蓄冷材容器の通風方向の風上側および風下側のうちのいずれか他方の第2側に向かって開口するとともに、下端が蓄冷材容器の通風方向の前記第1側に向かって開口した第2凝縮水排水溝と、上端が蓄冷材容器の通風方向の前記第2側に向かって開口するとともに下端が下方に向かって開口した第3凝縮水排水溝とが形成されており、第3凝縮水排水溝の下部に前記排水促進部が設けられている請求項1〜3のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項5】
熱交換コア部において、通風方向に間隔をおいて配置された2つの冷媒流通管からなる管組が左右方向に間隔をおいて複数配置されることにより、左右方向に隣り合う管組どうしの間に間隙が形成され、蓄冷材容器が、前記第1間隙に管組の2つの冷媒流通管に跨るように配置され、フィンが、前記第2間隙に管組の2つの冷媒流通管に跨るように配置され、風下側に配置された冷媒流通管の下側に風下側下ヘッダ部が配置されるとともに、風下側冷媒流通管が風下側下ヘッダ部に通じさせられ、風上側に配置された冷媒流通管の下側に風上側下ヘッダ部が配置されるとともに、風上側冷媒流通管が風上側下ヘッダ部に通じさせられ、両下ヘッダ部間に上方に開口した排水部が形成されている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は蓄冷機能付きエバポレータに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、
図1〜
図3に矢印Xで示す通風方向の下流側から見た上下、左右(
図1の上下、左右)を上下、左右というものとする。
【背景技術】
【0003】
たとえば、環境保護や自動車の燃費向上などを目的として、信号待ちなどの停車時にエンジンを自動的に停止させる自動車が提案されている。
【0004】
しかしながら、通常のカーエアコンにおいては、エンジンを停止させると、エンジンを駆動源とする圧縮機が停止するので、エバポレータに冷媒(冷熱を輸送する媒体)が供給されなくなり、冷房能力が急激に低下するという問題がある。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、エバポレータに蓄冷機能を付与し、エンジンが停止して圧縮機が停止した際に、エバポレータに蓄えられた冷熱を放冷して車室内を冷却することが考えられている。
【0006】
この種の蓄冷機能付きエバポレータとして、本出願人は、先に、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平状冷媒流通管、蓄冷材封入部が設けられるとともに蓄冷材封入部内に蓄冷材が封入された蓄冷材容器およびフィンを有する熱交換コア部を備えており、熱交換コア部において、通風方向に間隔をおいて配置された複数の冷媒流通管が左右方向に間隔をおいて複数配置されることにより、左右方向に隣り合う冷媒流通管どうしの間に間隙が形成され、蓄冷材容器が、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた扁平状であるとともに、前記全間隙のうちの一部でかつ複数の第1間隙に冷媒流通管に接するように配置され、フィンが、前記全間隙の残りの複数の第2間隙に冷媒流通管に接するように配置され、蓄冷材容器の蓄冷材封入部における熱交換コア部の通風方向の範囲内に位置する部分の左右両側壁外面に、上下方向に一定の流路長さを有するとともに上下両端が開口し、かつ凝縮水を上方から下方に流して下端開口から排水する複数の凝縮水排水溝が通風方向に間隔をおいて形成され、各凝縮水排水溝が、蓄冷材容器の蓄冷材封入部の前記両側壁に通風方向に間隔をおいて設けられて外方に膨出し、かつ膨出端が同一垂直面上に位置している2つの排水溝用凸部間に形成され、全排水溝用凸部の膨出端の少なくとも一部が冷媒流通管に接しており、全凝縮水排水溝のうち少なくともいずれか1つの凝縮水排水溝の下端が下方に開口し、蓄冷材容器の蓄冷材封入部の各側壁外面に形成された全凝縮水排水溝の深さが全長にわたって等しくなっている蓄冷機能付きエバポレータを提案した(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1記載の蓄冷機能付きエバポレータによれば、圧縮機が作動している通常の冷房時には、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱が、排水溝用凸部を介して蓄冷材容器内の蓄冷材に伝わって蓄冷材に蓄えられ、圧縮機が停止した際には、蓄冷材容器内の蓄冷材に蓄えられた冷熱が、排水溝用凸部および冷媒流通管を介して通風間隙に配置されたフィンに伝えられ、フィンから当該通風間隙を流れる空気に放冷されるようになっており、エンジンが停止して圧縮機が停止した際に、エバポレータに蓄えられた冷熱を利用して車室内を冷却することが可能になり、エンジンが停止した際の冷房能力の急激な低下が抑制されている。
【0008】
また、圧縮機の作動時には、蓄冷材容器外面に発生した凝縮水が凍結するおそれがあるので、当該凝縮水を排水する必要があるが、特許文献1記載の蓄冷機能付きエバポレータによれば、蓄冷材容器の外表面に発生した凝縮水が、表面張力によって2つの排水溝用凸部に沿うようにして凝縮水排水溝内に溜まった場合、溜まった凝縮水の量が多くなると、溜まった凝縮水に作用する重力が表面張力よりも大きくなり、凝縮水排水溝内を一挙に流下して排水されるようになっているので、凝縮水が凝縮水排水溝内に留まる時間が短くなり、蓄冷材容器の外面に発生した凝縮水をスムーズに排水することができる。
【0009】
しかしながら、蓄冷材容器の外面に発生した凝縮水を一層スムーズに排水することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−126307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、上記実情に鑑み、蓄冷材容器の外面に発生した凝縮水を一層スムーズに排水しうる蓄冷機能付きエバポレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0013】
1)長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平状冷媒流通管、蓄冷材封入部が設けられるとともに蓄冷材封入部内に蓄冷材が封入された蓄冷材容器およびフィンを有する熱交換コア部を備えており、熱交換コア部において、通風方向に間隔をおいて配置された複数の冷媒流通管が左右方向に間隔をおいて複数配置されることにより、左右方向に隣り合う冷媒流通管どうしの間に間隙が形成され、蓄冷材容器が、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた扁平状であるとともに、前記全間隙のうちの一部でかつ複数の第1間隙に冷媒流通管に接するように配置され、フィンが、前記全間隙の残りの複数の第2間隙に冷媒流通管に接するように配置され、蓄冷材容器の蓄冷材封入部における熱交換コア部の通風方向の範囲内に位置する部分の左右両側壁のうち少なくともいずれか一方の側壁外面に、上下方向に一定の流路長さを有するとともに上下両端が開口し、かつ凝縮水を上方から下方に流して下端開口から排水する複数の凝縮水排水溝が通風方向に間隔をおいて形成され、各凝縮水排水溝が、蓄冷材容器の蓄冷材封入部の前記側壁に通風方向に間隔をおいて設けられて外方に膨出し、かつ膨出端が同一垂直面上に位置している2つの排水溝用凸部間に形成され、全排水溝用凸部の膨出端の少なくとも一部が冷媒流通管に接しており、全凝縮水排水溝のうち少なくともいずれか1つの凝縮水排水溝の下端が下方に開口している蓄冷機能付きエバポレータであって、
下端が下方に開口している凝縮水排水溝の下部に、溝深さが、凝縮水排水溝の下端に向かって徐々に深くなった排水促進部が設けられている蓄冷機能付きエバポレータ。
【0014】
2)前記排水促進部において、凝縮水排水溝の底面に、当該凝縮水排水溝の下端に向かって蓄冷材容器の厚み方向の中央部側に傾斜した傾斜部が設けられている上記1)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0015】
3)蓄冷材容器が、一定幅を有する周縁の帯状部どうしが互いに接合された2枚の金属製容器構成板からなり、両容器構成板における互いに接合された帯状部を除いた部分に外方膨出部が設けられ、両容器構成板の外方膨出部によって蓄冷材容器に膨出状の蓄冷材封入部が設けられ、両容器構成板における蓄冷材封入部の少なくともいずれか一方の側壁となる部分に、凝縮水排水溝および排水溝用凸部が設けられており、下端が下方に開口している凝縮水排水溝の底面の前記排水促進部の下端が、容器構成板の下縁の帯状部に連なっている上記1)または2)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0016】
4)蓄冷材容器の蓄冷材封入部に、上端が上方に向かって開口するともに、下端が蓄冷材容器の通風方向の風上側および風下側のうちのいずれか一方の第1側に開口した第1凝縮水排水溝と、上端が蓄冷材容器の通風方向の風上側および風下側のうちのいずれか他方の第2側に向かって開口するとともに、下端が蓄冷材容器の通風方向の前記第1側に向かって開口した第2凝縮水排水溝と、上端が蓄冷材容器の通風方向の前記第2側に向かって開口するとともに下端が下方に向かって開口した第3凝縮水排水溝とが形成されており、第3凝縮水排水溝の下部に前記排水促進部が設けられている上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0017】
5)熱交換コア部において、通風方向に間隔をおいて配置された2つの冷媒流通管からなる管組が左右方向に間隔をおいて複数配置されることにより、左右方向に隣り合う管組どうしの間に間隙が形成され、蓄冷材容器が、前記第1間隙に管組の2つの冷媒流通管に跨るように配置され、フィンが、前記第2間隙に管組の2つの冷媒流通管に跨るように配置され、風下側に配置された冷媒流通管の下側に風下側下ヘッダ部が配置されるとともに、風下側冷媒流通管が風下側下ヘッダ部に通じさせられ、風上側に配置された冷媒流通管の下側に風上側下ヘッダ部が配置されるとともに、風上側冷媒流通管が風上側下ヘッダ部に通じさせられ、両下ヘッダ部間に上方に開口した排水部が形成されている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【発明の効果】
【0018】
上記1)〜5)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、下端が下方に開口している凝縮水排水溝の下部に、溝深さが、凝縮水排水溝の下端に向かって徐々に深くなった排水促進部が設けられているので、蓄冷材容器の外表面に発生しかつ凝縮水排水溝内に入った凝縮水は、凝縮水排水溝の排水促進部には表面張力によりとどまりにくくなる。したがって、蓄冷材容器の外面に発生しかつ凝縮水排水溝内に入った凝縮水を一層スムーズに排水することができる。特に、低風量時などの凝縮水発生量が少ない状態において、蓄冷材容器下部の排水性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明による蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図2】
図1の蓄冷機能付きエバポレータに用いられる蓄冷材容器を示す左側面図である。
【
図3】
図1の蓄冷機能付きエバポレータに用いられる蓄冷材容器を示す右側面図である。
【
図5】蓄冷材容器下部の通風方向に異なった部分の構成をインナーフィンを省略して示し、左半部は
図2のB−B線拡大断面図に相当し、右半部は同図のC−C線拡大断面図に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
さらに、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0022】
図1はこの発明による蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示し、
図2〜
図5はその要部の構成を示す。
【0023】
図1において、蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、長手方向を左右方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製上ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製下ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0024】
上ヘッダタンク(2)は、風下側に位置する風下側上ヘッダ部(5)と、風上側に位置しかつ風下側上ヘッダ部(5)に一体化された風上側上ヘッダ部(6)とを備えている。風下側上ヘッダ部(5)の左端部に冷媒入口(7)が設けられ、風上側上ヘッダ部(6)の左端部に冷媒出口(8)が設けられている。下ヘッダタンク(3)は、風下側に位置する風下側下ヘッダ部(9)と、風上側に位置しかつ風下側下ヘッダ部(9)に一体化された風上側下ヘッダ部(11)とを備えている。下ヘッダタンク(3)の両下ヘッダ部(9)(11)間には上方に開口しかつ左右方向にのびる溝状の排水部(12)が設けられている(
図2および
図3参照)。図示は省略したが、下ヘッダタンク(3)における両下ヘッダ部(9)(11)間の排水部(12)の底壁となる部分には、左右方向に間隔をおいて複数の排水穴が形成されている。
【0025】
熱交換コア部(4)には、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で通風方向に間隔をおいて配置された複数、ここでは2つのアルミニウム製扁平状冷媒流通管(13)からなる複数の管組(14)が左右方向に間隔をおいて配置されており、これにより通風方向に並んだ2つの冷媒流通管(13)よりなる管組(14)の隣り合うものどうしの間に間隙(15A)(15B)が形成されている。風下側に並んだ冷媒流通管(13)の上端部は風下側上ヘッダ部(5)に接続されるとともに、同下端部は風下側下ヘッダ部(9)に接続されている。また、風上側に並んだ冷媒流通管(13)の上端部は風上側上ヘッダ部(6)に接続されるとともに、同下端部は風上側下ヘッダ部(11)に接続されている。
【0026】
熱交換コア部(4)における全間隙(15A)(15B)のうち一部でかつ複数の第1間隙(15A)に、蓄冷材が封入されたアルミニウム製蓄冷材容器(16)が、各管組(14)を構成する2つの冷媒流通管(13)に跨るように配置されて両冷媒流通管(13)にろう付されている。熱交換コア部(4)における全間隙(15A)(15B)のうち残りの複数の第2間隙(15B)に、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなり、かつ通風方向にのびる波頂部、通風方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状のアウターフィン(17)が、各管組(14)を構成する2つの冷媒流通管(13)に跨るように配置されて両冷媒流通管(13)にろう付されている。左右方向に隣り合う2つの第1間隙(15A)どうしの間には複数、ここでは2つの第2間隙(15B)が存在している。左右方向に隣り合う2つの第1間隙(15A)どうしの間の第2間隙(15B)の数は3以上でもよく、その上限は7であることが好ましい。また、左右両端の管組(14)の外側にも、アウターフィン(17)が、管組(14)を構成する2つの冷媒流通管(13)に跨るように配置されて両冷媒流通管(13)にろう付され、さらに左右両端のアウターフィン(17)の外側にアルミニウム製サイドプレート(18)が配置されてアウターフィン(17)にろう付されている。
【0027】
アウターフィン(17)の風上側端部は風上側冷媒流通管(13)の風上側端部と通風方向の同一位置にあり、アウターフィン(17)の風下側端部は風下側冷媒流通管(13)の風下側端部に対して若干、たとえば1mm程度風下側に突出した位置にある(
図4参照)。アウターフィン(17)の通風方向の幅を、熱交換コア部(4)の通風方向の全幅というものとする。
【0028】
この実施形態のエバポレータ(1)の場合、冷媒は、冷媒入口(7)を通ってエバポレータ(1)の風下側上ヘッダ部(5)内に入り、全冷媒流通管(13)を通って風上側上ヘッダ部(6)の冷媒出口(8)から流出する。
【0029】
図2〜
図5に示すように、蓄冷材容器(16)は、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた略縦長方形の扁平中空状であり、熱交換コア部(4)の通風方向の全幅の範囲内に位置し、かつ各管組(14)の2つの冷媒流通管(13)にろう付された容器本体部(19)と、容器本体部(19)の風下側縁部の一部分、ここでは上部のみに連なるとともにアウターフィン(17)の風下側端部よりも風下側に張り出すように設けられた外方張り出し部(21)とよりなる。外方張り出し部(21)は蓄冷材容器(16)の上端から若干下がった部分から一定の長さにわたって設けられている。
【0030】
蓄冷材容器(16)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工が施されることにより形成され、かつ一定幅を有する周縁の帯状部(22a)(23a)どうしが互いにろう付された2枚の略縦長方形状のアルミニウム製容器構成板(22)(23)よりなる。蓄冷材容器(16)には、両容器構成板(22)(23)の帯状部(22a)(23a)を除いた部分を外方に膨出させることによって、中空状の蓄冷材封入部(24)が、容器本体部(19)から外方張り出し部(21)にかけて形成され、蓄冷材封入部(24)内に蓄冷材が入れられている。蓄冷材封入部(24)は、蓄冷材容器(16)における容器本体部(19)のみが設けられている部分(
図2の鎖線Yよりも下方の部分)に存在する第1封入部(24a)と、第1封入部(24a)の上方に連なり、かつ蓄冷材容器(16)における容器本体部(19)および外方張り出し部(21)が設けられている部分(
図2の鎖線Yよりも上方の部分)において容器本体部(19)および外方張り出し部(21)に跨って存在する第2封入部(24b)とを有する。蓄冷材封入部(24)の第1封入部(24a)および第2封入部(24b)における容器本体部(19)に存在する部分の左右方向の厚みは、等しくなっている。なお、第2封入部(24b)の上方に連なって、上下方向の高さがかなり低く、かつ通風方向の幅が第1封入部(24a)よりも狭くなった部分が存在している。
【0031】
蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の風上側縁部は垂直状であるとともに、上下両縁部は水平状であり、蓄冷材封入部(24)の風上側縁部の上下両端と、上下両縁部の風上側端部とは円弧状部を介して連なっている。また、蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の第1封入部(24a)の風下側縁部は垂直状であり、第1封入部(24a)の風下側縁部の下端と、蓄冷材封入部(24)の下縁部の風下側端部とは円弧状部を介して連なっている。
【0032】
蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の容器本体部(19)に存在する部分の左右両側壁(25)外面に、それぞれ上下方向に一定の流路長さを有するとともに上下両端が開口し、かつ凝縮水を上方から下方に流して下端開口から排水する複数の凝縮水排水溝(26)(27)(28)が通風方向に間隔をおいて形成されている。凝縮水排水溝(26)(27)(28)の少なくとも下部に、下方に向かって通風方向の風上側および風下側のうちのいずれか一方の第1側、ここでは風上側に傾斜した傾斜部(26a)(27a)(28a)が設けられている。各凝縮水排水溝(26)(27)(28)は、蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の左右両側壁(25)における容器本体部(19)に存在する部分に設けられて外方に膨出した2つの排水溝用凸部(29)の間に形成されており、1つの凝縮水排水溝(26)(27)(28)を形成する2つの排水溝用凸部(29)のうち少なくともいずれか一方の排水溝用凸部(29)の長さは、蓄冷材容器(16)の容器本体部(19)の通風方向の幅よりも長くなっている。各蓄冷材容器(16)の左右両側壁(25)のすべての排水溝用凸部(29)の膨出高さは等しくなっているとともに、後述する膨張部用凸部(34)の膨出高さ以下となっており、すべての排水溝用凸部(29)の膨出端は同一垂直面上に位置している。また、排水溝用凸部(29)の膨出端の少なくとも一部が、第1間隙(15A)を形成する左右両側の管組(14)を構成する2つの冷媒流通管(13)にろう付されている。なお、隣り合う2つの凝縮水排水溝(26)(27)(28)は、両凝縮水排水溝(26)(27)(28)間に位置する排水溝用凸部(29)を共有している。左側壁(25)の凝縮水排水溝(26)(27)(28)および排水溝用凸部(29)と、右側壁(25)の凝縮水排水溝(26)(27)(28)および排水溝用凸部(29)とは、全体に重複しないように、同一水平面内において通風方向にずれて設けられている。なお、凝縮水排水溝(26)(27)(28)内を微量の空気も流れる。
【0033】
全凝縮水排水溝(26)(27)(28)中には、上端が上方に向かって開口するともに下端が蓄冷材容器(16)の通風方向の風上側および風下側のうちのいずれか一方の第1側、ここでは風上側に向かって開口した第1凝縮水排水溝(26)と、上端が蓄冷材容器(16)の通風方向の風上側および風下側のうちのいずれか他方の第2側、ここでは風下側に向かって開口するとともに下端が蓄冷材容器(16)の風上側に向かって開口した第2凝縮水排水溝(27)と、上端が蓄冷材容器(16)の風下側に向かって開口するとともに下端が下方に向かって開口した第3凝縮水排水溝(28)とがある。
【0034】
第1凝縮水排水溝(26)には、上端が蓄冷材封入部(24)の上縁部に位置するとともに下端が蓄冷材封入部(24)の風上側縁部に位置するものと、上端が蓄冷材封入部(24)の上縁部よりも若干下方に位置するとともに下端が蓄冷材封入部(24)の風上側縁部に位置するものとがある。
【0035】
第2凝縮水排水溝(27)には、上端が蓄冷材封入部(24)の第1封入部(24a)の風下側縁部に位置するとともに下端が蓄冷材封入部(24)の第1封入部(24a)の風上側縁部に位置するものと、上端が蓄冷材封入部(24)の第2封入部(24b)における第1封入部(24a)の風下側縁部の上方延長線上に位置するとともに下端が蓄冷材封入部(24)の第1封入部(24a)の風上側縁部に位置するものと、上端が第1封入部(24a)の風下側縁部と前記上方延長線上とに跨って位置するとともに下端が蓄冷材封入部(24)の第1封入部(24a)の風上側縁部に位置するものとがある。
【0036】
第3凝縮水排水溝(28)は、上端が蓄冷材封入部(24)の第1封入部(24a)の風下側縁部に位置するとともに下端が蓄冷材封入部(24)の下側縁部に位置している。
【0037】
第3凝縮水排水溝(28)の下部に、溝深さが、第3凝縮水排水溝(28)の下端に向かって徐々に深くなった排水促進部(31)が設けられている。排水促進部(31)においては、第3凝縮水排水溝(28)の底面に、下端に向かって蓄冷材容器(16)の厚み方向の中央部(O)側に傾斜した傾斜部(32)が設けられている。傾斜部(32)は、蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の容器本体部(19)に存在する部分の左右両側壁(25)における第3凝縮水排水溝(28)を構成する2つの排水溝用凸部(29)間の部分を下端に向かって蓄冷材容器(16)の厚み方向の中央部(O)側に曲げることにより形成されている。
【0038】
蓄冷材容器(16)の容器本体部(19)内には、オフセット状のアルミニウム製インナーフィン(33)が、上下方向のほぼ全体にわたって配置されている。インナーフィン(33)は、上下方向にのびる波頂部、上下方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部からなる波状帯板が、上下方向に複数並べられるとともに相互に一体に連結されることにより形成され、上下方向に隣り合う2つの波状帯板の波頂部どうしおよび波底部どうしが通風方向に位置ずれしているものである。
【0039】
蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(21)は、容器本体部(19)の風下側縁部の上端よりも若干下方の部分から一定の長さにわたって設けられており、外方張り出し部(21)の上下方向の長さは容器本体部(19)の上下方向の長さよりも短くなっている。外方張り出し部(21)の上下方向の長さは、蓄冷材容器(16)の上下方向の長さの30%以下であることが好ましい。蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の左右両側壁(25)における外方張り出し部(21)に存在する部分に、左右両方向に膨らみ、かつ左右方向の寸法が蓄冷材封入部(24)の左右方向の寸法以上となっている膨張部(21a)が設けられており、膨張部(21a)がアウターフィン(17)の通風方向下流側端部よりも通風方向外側(通風方向下流側)に位置している。膨張部(21a)は、蓄冷材封入部(24)の左右両側壁(25)に設けられて外方に膨出した膨張部用凸部(34)からなる。
【0040】
蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(21)の上端部には蓄冷材注入部材(35)が固定されており、蓄冷材は、蓄冷材注入部材(35)を通して蓄冷材封入部(24)内に注入され、蓄冷材注入部材(35)は、蓄熱材封入部(24)内への蓄冷材の注入後に封止されている。
【0041】
上述した蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、車両のエンジンを駆動源とする圧縮機、圧縮機から吐出された冷媒を冷却するコンデンサ(冷媒冷却器)、コンデンサを通過した冷媒を減圧する膨張弁(減圧器)とともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両、たとえば自動車に搭載される。圧縮機が作動している場合には、圧縮機で圧縮されてコンデンサおよび膨張弁を通過した低圧の気液混相の2相冷媒が、冷媒入口(7)を通って蓄冷機能付きエバポレータ(1)の風下側上ヘッダ部(5)内に入り、全冷媒流通管(13)を通って風上側上ヘッダ部(6)の冷媒出口(8)から流出する。そして、冷媒が冷媒流通管(13)内を流れる間に第2間隙(15B)を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
【0042】
圧縮機の作動時には、冷媒流通管(13)内を流れる冷媒の有する冷熱が、蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の左右両側壁(25)における容器本体部(19)に存在する部分に設けられた排水溝用凸部(29)の膨出頂壁を経て直接蓄冷材容器(16)内の蓄冷材に伝わるとともに、排水溝用凸部(29)の膨出頂壁から左右両側壁(25)における冷媒流通管(13)にろう付されていない部分およびインナーフィン(33)を経て蓄冷材容器(16)内の蓄冷材の全体に伝わって蓄冷材に冷熱が蓄えられる。
【0043】
また、圧縮機の作動時には、蓄冷材容器(16)表面に凝縮水が発生し、当該凝縮水は第1〜第3凝縮水排水溝(26)(27)(28)内に入り、表面張力により第1〜第3凝縮水排水溝(26)(27)(28)の両側の排水溝用凸部(29)に沿うようにして第1〜第3凝縮水排水溝(26)(27)(28)内に溜まる。溜まった凝縮水が多くなると、溜まった凝縮水に作用する重力が表面張力よりも大きくなって、第1〜第3凝縮水排水溝(26)(27)(28)内を流下し、下方に排水される。このとき、特に第3凝縮水排水溝(28)においては、凝縮水が表面張力により凝縮水排水溝の排水促進部(31)にとどまることが効果的に防止される。したがって、蓄冷材容器(16)の外面に発生しかつ第1〜第3凝縮水排水溝(26)(27)(28)内に入った凝縮水を一層スムーズに排水することができる。
【0044】
圧縮機の停止時には、蓄冷材容器(16)内の蓄冷材に蓄えられた冷熱が、蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の左右両側壁(25)における容器本体部(19)に存在する部分に設けられた排水溝用凸部(29)の膨出頂壁を経て直接冷媒流通管(13)に伝わるとともに、インナーフィン(33)から左右両側壁(25)における冷媒流通管(13)にろう付されていない部分および排水溝用凸部(29)の膨出頂壁を経て冷媒流通管(13)に伝わり、さらに冷媒流通管(13)を通過して当該冷媒流通管(13)における蓄冷材容器(16)とは反対側にろう付されているアウターフィン(17)に伝わる。アウターフィン(17)に伝わった冷熱は、蓄冷材容器(16)が配置されている第1間隙(15A)の両隣の第2間隙(15B)を通過する空気に伝えられる。アウターフィン(17)に伝わった冷熱は、蓄冷材容器(16)が配置されている第1間隙(15A)の両隣の第2間隙(15B)を通過する空気に伝えられる。したがって、エバポレータ(1)を通過した風の温度が上昇したとしても、当該風は冷却されるので、冷房能力の急激な低下が防止される。
【0045】
上述した実施形態においては、蓄冷材容器(16)の蓄冷材封入部(24)の容器本体部(19)に存在する部分の左右両側壁(25)外面に、凝縮水排水溝(26)(27)(28)および排水溝用凸部(29)が設けられているが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の側壁に凝縮水排水溝(26)(27)(28)および排水溝用凸部(29)が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明による蓄冷機能付きエバポレータは、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンを構成する冷凍サイクルに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0047】
(1):蓄冷機能付きエバポレータ
(4):熱交換コア部
(9):風下側下ヘッダ部
(11):風上側下ヘッダ部
(12):排水部
(13):冷媒流通管
(14):管組
(15A)(15B):間隙
(16):蓄冷材容器
(17):アウターフィン
(19):容器本体部
(21):外方張り出し部
(22)(23):容器構成板
(22a)(23a):帯状部
(24):蓄冷材封入部
(25):側壁
(26):第1凝縮水排水溝
(27):第2凝縮水排水溝
(28):第3凝縮水排水溝
(29):排水溝用凸部
(31):排水促進部
(32):傾斜部