(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
めっき装置には、シード層やレジストパターンの形成処理等、様々な処理が行われた基板が搬送される。このような様々な処理が行われた基板は、様々な原因で反りが発生することがある。例えば、スパッタリング等でシード層が基板に形成されると、基板に応力が加わり、基板が反ることがある。また、基板が比較的薄いプリント基板等である場合には、プリント基板に予め成膜すること等によりプリント基板が反るだけなく、プリント基板自体に形状を維持するのに十分な強度が無いことがある。
【0007】
特許文献1に開示されるような基板ホルダでは、基板の端面をシールすること及び基板の表面に電気接点を接触させることにより基板を保持している。しかしながら、このような基板ホルダで反った基板を保持しようとする場合、シール又は電気接点が基板に接触することで基板を移動させ、基板載置面上の所望の位置から基板がずれる虞がある。
【0008】
また、従来の基板ホルダでは、基板ホルダの基板載置面上の所望の位置に基板を配置するために、基板をガイドする複数のガイドピンが基板載置面の周囲に沿って配置されている。基板を基板載置面に配置するとき、このガイドピンが基板の端部に接触することによって基板が基板載置面の所望の位置にガイドされる。しかしながら、基板が反っている場合、基板載置面に水平には基板が存在しないので、基板がガイドピンによってガイドされて基板載置面に配置されても、所望の位置からずれる虞がある。
【0009】
さらに、プリント基板のような比較的強度が低い基板では、反りが発生していなくても、ガイドピンとプリント基板が接触したときにプリント基板が変形し、プリント基板が所
望の位置にガイドされない虞がある。加えて、基板ホルダがプリント基板を保持するときに、シール又は電気接点がプリント基板に接触することで基板を変形させ、基板載置面上の所望の位置から基板がずれる虞もある。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものである。その目的は、基板の位置決めを容易に行うことができる基板ホルダ及びめっき装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態によれば、基板ホルダが提供される。この基板ホルダは、基板を保持する基板保持体と、前記基板保持体を挟み込んで保持する第1保持部材及び第2保持部材と、を有し、前記第1保持部材は、前記基板の被めっき面を露出させる開口部と、前記基板の被めっき面と接触するように構成される給電部材と、を有する。
【0012】
この一形態によれば、基板が基板保持体によって保持されたときに、基板の反りなどの変形が矯正され、また基板の強度が不十分であったとしてもその形状を保つことができる。このため、第1保持部材にある給電部材やシール部と基板との位置決めを容易にすることができる。
【0013】
本発明の一形態において、前記基板保持体は、前記基板の周縁部を支持する基板支持体と、前記基板支持体に支持された基板を前記基板支持体に固定する固定部材と、を有する。
【0014】
この一形態によれば、基板保持体は、基板の周縁部を支持した状態で固定することができる。
【0015】
本発明の一形態において、前記基板支持体は、前記基板の周縁部を支持する支持面と、前記基板の被めっき面を露出させる開口と、を有し、前記固定部材は、前記基板の周縁部を前記支持面に固定する固定部と、前記固定部を前記支持面に沿って移動させる移動部と、を有する。
【0016】
この一形態によれば、固定部が支持面に沿って移動するように構成される。言い換えれば、固定部は、支持された基板の面内方向に移動するように構成される。したがって、クランプのように基板の厚さ方向に固定部が移動して基板を支持面に固定する場合に比べて、基板保持体の基板厚さ方向の厚みを小さくすることができる。ひいては、基板ホルダの厚さ方向の大きさをコンパクトにすることができる。
【0017】
本発明の一形態において、前記第1保持部材は、前記第1保持部材に対する前記基板保持体の位置をガイドするガイド部材を有する。
【0018】
この一形態によれば、第1保持部材と第2保持部材とで基板保持体を挟み込むときに、基板保持体の位置がガイド部材によってガイドされるので、基板保持体の第1保持部材に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0019】
本発明の一形態において、前記第2保持部材は、前記基板保持体と対向する面に突起部を有し、前記基板保持体は、前記突起部を挿入するための穴を有する。
【0020】
この一形態によれば、第2保持部材の突起部を基板保持体の穴に挿入することで、第2保持部材と基板保持体との位置関係を容易に決めることができる。このように第2保持部材と基板保持体との位置関係が決まった状態で、第1保持部材と第2保持部材とを組み立てることで、第1保持部材に対する基板保持体の位置、即ち基板の位置を容易に決定する
ことができる。これにより、第1保持部材が有する給電部材を基板上の所望の位置に容易に接触させることができる。
【0021】
本発明の一形態において、前記第1保持部材は、外部の電源と電気的に接続されるように構成される外部接点部を有し、前記給電部材は、前記外部接点部と電気的に接続される。
【0022】
この一形態によれば、第1保持部材が給電部材と外部接点部とを有する。これに対して、外部接点部が第2保持部材に設けられる場合、第2保持部材の外部接点部と第1保持部材の給電部材とを電気的に接続するために、第1保持部材の給電部材と電気的に接続する中継接点部を第2保持部材に設ける必要がある。この場合に比べて、この一形態では、第2保持部材に中継接点部を設ける必要が無いので、外部接点部と給電部材とを接続する配線の引き回しを簡素化することができる。また、この一形態によれば、第2保持部材が中継接点部を有さないので、第2保持部材が基板保持体を第1保持部材に押し付けることができれば、第1保持部材と第2保持部材とを精度よく位置決めする必要がない。即ち、第1保持部材の給電部材に対する基板保持体の位置決めを行うだけでよいので、基板保持体の位置決めを容易に行うことができる。
【0023】
本発明の一形態において、前記第2保持部材は、外部の電源と電気的に接続されるように構成される外部接点部と、前記外部接点部と電気的に接続され、前記第1保持部材の前記給電部材と接触するように構成される中継接点部と、を有する。
【0024】
本発明の一形態において、前記基板保持体は、多角形基板を保持可能に構成される。
【0025】
この一形態によれば、プリント基板等の多角形の基板を保持することができる。
【0026】
本発明の一形態において、前記開口部は、前記多角形基板に対応する多角形状を有し、前記基板ホルダが鉛直方向に吊り下げられたときに角部が鉛直下方に位置するように、前記第1保持部材に形成される。
【0027】
めっき液等の処理液は、多角形基板が露出される開口部の縁に溜まりやすい。この一形態によれば、基板ホルダが処理槽から引き上げられたときに、基板等に付着した処理液が多角形の開口部の縁に沿って下方に移動し、開口部の下方の角部から処理液を速やかに液切りすることができる。したがって、基板ホルダを処理槽から引き上げて次工程に搬出する際には、処理槽上で速やかにめっき液を液切りできるので、液だれ等の問題が生じることを防止しつつ、速やかに搬送することができる。
【0028】
本発明の一形態において、基板ホルダは、前記基板保持体に保持された前記基板の被めっき面と第1保持部材との間をシールする第1シール部材と、前記第1保持部材と前記第2保持部材との間をシールする第2シール部材と、を有し、前記給電部材は、少なくとも前記第1シール部材及び前記第2シール部材により形成される密閉空間内で前記基板の被めっき面と接触するように構成される。
【0029】
この一形態によれば、基板ホルダ内部にめっき液等の処理液が入り込むことを防止することができ、ひいては処理液が給電部材と接触することを防止することができる。
【0030】
本発明の一形態によれば、上記基板ホルダを使用してめっき処理を行うめっき装置が提供される。このめっき装置は、前記基板保持体に前記基板を搬送する基板搬送装置と、前記基板を保持した前記基板保持体の前記第1保持部材及び前記第2保持部材への脱着を行う基板保持体脱着部と、を有する。
【0031】
この一形態によれば、基板保持体への基板の搬送、及び基板を保持した基板保持体の第1保持部材及び第2保持部材への脱着を行うことができる。
【0032】
本発明の一形態において、めっき装置は、前記基板保持体を収容する第1ストッカと、前記第1保持部材及び前記第2保持部材を収容する第2ストッカと、を有する。
【0033】
この一形態によれば、第1ストッカと第2ストッカとが別のストッカであるので、第1ストッカからの基板保持体の出し入れと、第2ストッカからの第1保持部材及び第2保持部材の出し入れを同時に行うことができる。このため、例えば、第1ストッカから基板保持体脱着部に基板保持体を移動させると同時に第2ストッカから基板保持体脱着部に第1保持部材及び第2保持部材を移動させることができる。これにより、基板保持体と第1保持部材及び第2保持部材のそれぞれの搬送待ち時間を低減することができ、めっき装置のスループットを向上させることができる。
【0034】
本発明の一形態において、前記基板保持体脱着部は、前記基板保持体を前記第1保持部材及び前記第2保持部材に保持させる基板保持体装着部と、前記基板保持体を前記第1保持部材及び前記第2保持部材から取り出す基板保持体取出部と、を含む。
【0035】
この一形態によれば、基板保持体装着部と基板保持体取出部とを有するので、基板保持体装着部において基板保持体を第1保持部材及び第2保持部材に保持させると同時に、基板保持体取出部において他の基板保持体を他の第1保持部材及び第2保持部材から取り出すことができる。これにより、基板保持体の着脱の待ち時間を低減することができ、めっき装置のスループットを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、第1実施形態に係る基板ホルダの正面側分解斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る基板ホルダの背面側分解斜視図である。なお、本明細書において、正面側とは、基板の被めっき面が向く側をいい、背面側とはその反対側をいう。
【0038】
図1及び
図2に示すように、基板ホルダ50は、基板W1を保持する基板保持枠80(基板保持体の一例に相当する)と、基板保持枠80を挟み込んで保持する第1保持部材60及び第2保持部材90とを有する。第1保持部材60は、基板W1の被めっき面を露出させるための開口部61を有するベース部65と、後述するめっき装置のめっき槽等の処理槽に基板ホルダ50を吊下げるための略L字型の一対の懸架部62とを有する。懸架部62は、ベース部65の上端に連結される。第1保持部材60の懸架部62が各槽の開口部の縁に支持されることにより、基板W1を槽内に収納することができる。第1保持部材60は、一対の懸架部62の間に、懸架部62を接続するアーム部63を有する。懸架部62又はアーム部63は、後述する基板ホルダ搬送装置により把持され、これにより基板ホルダ50はめっき装置内で搬送される。
【0039】
基板保持枠80に保持された基板W1の被めっき面は第1保持部材60側を向く。第2保持部材90は、基板保持枠80に保持された基板W1の被めっき面と逆側の面と対向する。本実施形態の例では、基板W1はプリント基板等の多角形基板(図では四角形基板)である。このため、開口部61は、多角形基板の形状に対応する多角形状を有する。本実施形態では、基板保持枠80は多角形基板を保持するように構成されているが、これに限らず、半導体ウェハ等の円形基板を保持するように構成されていてもよい。その場合、第1保持部材の開口部61、基板保持枠80、及び第2保持部材90の形状を、円形基板を保持するのに適した形状にすることができる。
【0040】
図3は、基板ホルダ50の正面図である。また、
図4は、基板ホルダ50の背面図である。
図3に示すように、第1保持部材60のベース部65の正面側は、略平坦に形成される。これにより、基板ホルダ50が処理槽から取り出されたときに、処理液の液切りを効
率よく行うことができる。一層液切りを効率よく行うためには、ベース部65の正面がフッ素樹脂から構成されるか、又はベース部材65の正面がフッ素樹脂で被覆されることが好ましい。また、ベース部65の正面側が略平坦に形成されることにより、基板ホルダ50の搬送中に基板W1の上面から垂れてくる処理液を少なくすることができるので、搬送中に基板W1表面を汚染するリスクを低減することができる。また、基板W1のめっき処理時にベース部65の凹凸による電場への影響を少なくすることができる。
【0041】
図3に示すように、基板ホルダ50には、鉛直方向に吊り下げられたときに開口部61の角部が鉛直下方に位置するように、開口部61が形成される。言い換えれば、
図1及び
図2に示した基板保持枠80は、基板ホルダ50が鉛直方向に吊下げられたときに多角形の基板W1の角部が鉛直下方に位置するように、第1保持部材60及び第2保持部材90に保持される。これにより、基板ホルダ50が処理槽から引き上げられたときに、基板W1等に付着した処理液が開口部61の縁に沿って下方に移動し、開口部61の下方の角部から処理液を速やかに液切りすることができる。したがって、基板ホルダ50を処理槽から引き上げて次工程に搬出する際には、処理槽上で速やかにめっき液を液切りできるので、液だれ等の問題が生じることを防止しつつ、速やかに搬送することができる。
【0042】
図3及び
図4に示すように、一対の懸架部62の一方には、外部の電源と電気的に接続されるように構成される外部接点部64が設けられる。外部接点部64は、基板W1の被めっき面と接触する後述する給電部材と電気的に接続される。これにより、外部接点部64を介して外部の電源から基板W1の被めっき面に電流を印加することができる。
【0043】
図4に示すように、第1保持部材60は、第2保持部材90の周囲に沿って略L字状(後述する
図5参照)の複数のクランパ66を有する。第2保持部材90は、クランパ66と対向する面に沿って摺動可能なスライダ91と、スライダ91に固定された複数の突条部92とを有する。第2保持部材90が基板保持枠80(
図1及び
図2参照)を第1保持部材60に押さえつけた状態で、スライダ91を動かすことで、スライダ91の各々が、クランパ66に入り込む。これにより、第2保持部材90がクランパ66により保持されて、基板保持枠80が第1保持部材60と第2保持部材90に挟み込まれて固定される。
【0044】
次に、第1保持部材60、基板保持枠80、及び第2保持部材90の詳細の構造について説明する。
図5は、第1保持部材60のベース部65の背面側の拡大斜視図である。
図5に示すように、第1保持部材60のベース部65の背面側には、第1シール部材67と、複数の給電部材68と、複数のガイド部材69と、第2シール部材70とが設けられる。
【0045】
第1シール部材67は、開口部61の周囲に沿って延在し、基板保持枠80に保持された基板W1の被めっき面と第1保持部材60との間をシールするように構成される。具体的には、基板W1を保持した基板保持枠80が第2保持部材90により第1保持部材60に押し付けられたとき、第1シール部材67が基板W1の周縁部に接触して、基板W1の被めっき面と第1保持部材60との間をシールする。なお、本実施形態では、第1シール部材67が第1保持部材60に設けられるが、これに限らず、基板保持枠80又は第2保持部材90に設けられてもよい。
【0046】
給電部材68は、第1シール部材67の外周側に位置し、基板W1の被めっき面と接触するように構成される。
図5に示すように、給電部材68は、多角形の開口部61の辺に沿って配置され、多角形の基板W1の辺に沿って基板W1と接触する。給電部材68は、
図3及び
図4に示した外部接点部64と電気的に接続され、基板W1の被めっき面に形成された導電層に電流を流すように構成される。このように、本実施形態では、第1保持部材60が給電部材68と外部接点部64とを有する。これに対して、後述する
図24から
図26に示すように、外部接点部64が第2保持部材90に設けられる場合、第2保持部材90の外部接点部64と第1保持部材60の給電部材68とを電気的に接続するために、第1保持部材60の給電部材68と電気的に接続する中継接点部を第2保持部材90に設ける必要がある。この場合に比べて、本実施形態では、第2保持部材90に中継接点部を設ける必要が無いので、外部接点部64と給電部材68とを接続する配線の引き回しを簡素化することができる。また、本実施形態では、第2保持部材90が中継接点部を有さないので、第2保持部材90が基板保持枠80を第1保持部材60に押し付けることができれば、第1保持部材60と第2保持部材90とを精度よく位置決めする必要がない。即ち、第1保持部材60の給電部材68に対する基板保持枠80の位置決めを行うだけでよいので、基板保持枠80の位置決めを容易に行うことができる。
【0047】
ガイド部材69は、給電部材68と第2シール部材70との間に配置される部材であり、第1保持部材60に対する基板保持枠80の位置をガイドする機能を有する。
図5の例では、ガイド部材69は略板状であり、4つのガイド部材69の内周面が基板保持枠80の外形をかたどるように第1保持部材60に設けられる。第2保持部材90が基板保持枠80を第1保持部材60に対して押し付けるとき、4つのガイド部材69の内側に基板保持枠80を位置させることで、基板保持枠80を第1保持部材60の所望の位置に容易に位置決めすることができる。なお、ガイド部材69の数及び形状は任意であり、第1保持部材60に対する基板保持枠80の位置をガイドすることができればよい。例えば、第1保持部材60は、基板保持枠80の外形をかたどる形状の1つのガイド部材69を有していてもよい。また、3つのガイド部材69が、基板保持枠80の外形をかたどるように保持部材60に設けられてもよい。
【0048】
第2シール部材70は、ガイド部材69の外周側に位置し、開口部61の周辺に渡って延在する。この第2シール部材70は、第1保持部材60と第2保持部材90との間をシールするように構成される。具体的には、第2保持部材90が基板保持枠80を第1保持部材60に押し付けられたとき、第2シール部材70が第2保持部材90の外周部に接触して、第1保持部材60と第2保持部材90との間をシールする。なお、本実施形態では、第2シール部材70は第1保持部材60に設けられるが、これに限らず、基板保持枠80又は第2保持部材90に設けられてもよい。第1保持部材60と第2保持部材90とが基板保持枠80を挟んで固定すると、第1シール部材67が基板W1と第1保持部材60との間をシールし、第2シール部材70が第1保持部材60と第2保持部材90との間をシールする。このとき、基板W1、第1シール部材67、第2シール部材70、第1保持部材60、及び第2保持部材90により密閉空間が形成され、この密閉空間内に給電部材68が配置される。これにより、めっき液等の処理液が密閉空間内に入り込まず、給電部材68に処理液が接触することを抑制することができる。
【0049】
図6は、基板保持枠80の正面図である。
図7は、基板保持枠80の背面図である。また、
図8は、基板保持枠80の部分拡大斜視図である。
図6から
図8に示すように、基板保持枠80は、基板W1の少なくとも周縁部を支持するための基板支持体81と、基板支持体81に支持された基板W1を基板支持体81に固定する固定部材82と、を有する。基板支持体81は、全体的に枠型であり、基板W1の周縁部を支持する支持面84と、基板W1の被めっき面を露出させる開口85と、第2保持部材90の後述する突起部を挿入するための穴83を有する。
【0050】
図7及び
図8に示すように、固定部材82は、基板支持体81の開口85の周囲に沿って複数設けられる。
図8に示すように、固定部材82は、基板W1の周縁部を支持面84に固定するための棒部材82aと、棒部材82aの外周に巻きつけられたリング状の弾性体82bと、棒部材82a及び弾性体82bを支持面84に沿って移動させるスライド部材82c(移動部材の一例に相当する)と、複数のスライド部材82cの端部を連結する
連結部材82dとを有する。スライド部材82cは、基板支持体81に形成された貫通孔81b内を摺動可能に構成される。固定部材82は、図示しないバネ等の付勢部材によって、開口85の方向に付勢される。このため、固定部材82は、通常時には開口85の中央側に位置する。基板W1を基板保持枠80で保持するときは、基板支持体81に形成された切欠部81aと連結部材82dとの間に爪等の解除機構を差し入れて、基板支持体81の外側に引っ張る。これにより、固定部材82の棒部材82a及び弾性体82bが、基板支持体81の内周側に形成された切欠領域81cに収納され、基板W1を支持面84に載置することができる。
【0051】
本実施形態では、固定部材82の棒部材82a及び弾性体82bが支持面84に沿って移動するので、基板保持枠80の基板W1の厚さ方向の厚みを小さくすることができる。ひいては、基板ホルダ50の厚さ方向の大きさをコンパクトにすることができる。
【0052】
図9は、基板W1を保持した状態の基板保持枠80を示す斜視図である。
図10及び
図11は、
図9に示す矢視10−10における基板保持枠80の断面図であり、
図10は基板W1を保持した状態を示し、
図11は基板W1の保持を解除した状態を示す。なお、
図9から
図11においては、
図7及び
図8に示した穴83及び切欠部81aは図示省略されている。
【0053】
図9に示すように、基板W1は、その周縁部が固定部材82によって基板支持体81に固定される。また、
図10に示すように、基板W1が基板保持枠80に保持されているとき、棒部材82aの外周に設けられた弾性体82bによって、基板W1が支持面84に押し付けられて固定される。即ち、棒部材82aと弾性体82bは、基板W1の周縁部を支持面84に固定する固定部として機能する。しかしながら、この固定部は、本実施形態の棒部材82aと弾性体82bから構成される場合に限らず、例えば、カム機構で保持するなど、任意の構造を有することができる。基板W1の保持が解除されたときは、
図11に示すように、棒部材82aと弾性体82bが基板支持体81の切欠領域81cに収納される。なお、本実施形態では、固定部材82は、基板W1の端部から、例えば、約5mm範囲内に接触するように構成される。なお、この基板を保持する寸法は、要求に応じて適切な値を採用することができる。
【0054】
図6から
図11に示した基板保持枠80は、基板W1の被めっき面を露出させる開口85を有するものとして説明したが、基板保持枠80の構造はこれに限られない。
図12は、別の形態の基板保持枠80の背面図である。また、
図13は、別の形態の基板保持枠80の正面図である。
図12及び
図13に示すように、この基板保持枠80は、
図6から
図11に示した開口85を有さず、支持面84が基板支持体81の全面に渡って存在している。この場合、支持面84は、基板W1の被めっき面とは逆側の面の全体を支持するように構成され、固定部材82は、基板W1の被めっき面側の周縁部と接触して基板W1を支持面84に固定する。
図12及び
図13に示す基板保持枠80において、固定部材82の基板W1の被めっき面と接触する部分を導電部材で構成して、この導電部材を外部電源と電気的に接続するように構成することもできる。これにより、固定部材82が基板W1の被めっき面に形成された導電層に電流を流すことができ、第1保持部材60に給電部材68を設ける必要がなくなる。
【0055】
図14は、第2保持部材90の正面図である。
図15は第2保持部材90の背面図である。また、
図16は、第2保持部材90の正面側部分斜視図である。
図14及び
図16に示すように、第2保持部材90は、基板保持枠80を収容するための凹部93を正面側に有する。また、凹部93内には、基板保持枠80の穴83に挿入するための突起部95を有する。第2保持部材90の突起部95を基板保持枠80の穴83に挿入することで、第2保持部材90と基板保持枠80との位置関係を容易に決めることができる。なお、これ
とは逆に、第2保持部材90に穴を設け、基板保持枠80にこの穴に挿入される突起部を設けてもよい。この場合であっても、基板保持枠80に設けられた突起部を第2保持部材90に設けられた穴に挿入することで、互いの位置関係を容易に決めることができる。このように第2保持部材90と基板保持枠80との位置関係が決まった状態で、第1保持部材60と第2保持部材90とを組み立てることで、第1保持部材60に対する基板保持枠80の位置、即ち基板W1の位置を容易に決定することができる。これにより、第1保持部材60が有する給電部材68を基板W1上の所望の位置に容易に接触させることができる。
【0056】
また、凹部93内には、基板W1を背面側から支持するための凸部94を有する。基板W1がプリント基板等の形状を維持するのに十分な強度が無い基板の場合には、基板ホルダ50を処理液に浸漬したときに、処理液の圧力により基板W1が撓む可能性がある。凸部94によって基板W1を背面から支持することにより、このような場合でも基板W1が撓むことを防止することができる。
【0057】
以上で説明したように、本実施形態では、基板W1は基板保持枠80によって保持され、保持された基板W1に給電部材68が接触するように、第1保持部材60と第2保持部材90によって基板保持枠80が保持される。したがって、この基板ホルダ50は、基板W1を保持した後に給電部材68と接触させるので、反った基板W1や強度が低い基板W1であっても、基板W1を適切に保持して形状を維持した状態で、基板W1の給電部材68に対する位置決めを容易に行うことができる。また、この基板ホルダ50では、第1保持部材60と基板W1との間のシールが、基板W1が保持された後に行われるので、反った基板W1や強度が低い基板W1であっても、基板W1を適切に保持して形状を維持した状態で、基板W1の第1シール部材67に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0058】
次に、
図1から
図16で説明した基板ホルダ50を使用してめっき処理を行うめっき装置を説明する。
図17は、第1実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。
図17に示すように、このめっき装置100は、基板ホルダ50に基板W1をロードし、又は基板ホルダ50から基板W1をアンロードするロード/アンロード部110と、基板W1を処理する処理部120とに大きく分けられる。処理部120は、さらに、基板W1の前処理及び後処理を行う前処理・後処理部120Aと、基板W1にめっき処理を行うめっき処理部120Bとを含む。
【0059】
ロード/アンロード部110は、2台のカセットテーブル25と、めっき処理後の基板W1を洗浄して乾燥させる基板洗浄装置26とを有する。カセットテーブル25は、半導体ウェハやプリント基板等の基板W1を収納したカセット25aを搭載する。基板洗浄装置26の近くには、基板W1を保持した基板保持枠80の第1保持部材60及び第2保持部材90への脱着を行う基板保持枠脱着機構29(基板保持体脱着部の一例に相当する)を有する。また、基板保持枠脱着機構29の近傍(例えば下方)には基板保持枠80を収容するための第1ストッカ30が設けられる。これらのユニット25,26,29,30の中央には、これらのユニット間で基板を搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置27が配置されている。基板搬送装置27は、走行機構28により走行可能に構成される。なお、基板洗浄装置26は、本実施形態のようにめっき装置100に備えられていてもよいし、めっき装置100とは別に独立した装置として準備されてもよい。
【0060】
前処理・後処理部120Aは、第1保持部材60及び第2保持部材90を収容する第2ストッカ31と、プリウェット槽32と、プリソーク槽33と、プリリンス槽34と、ブロー槽35と、リンス槽36と、を有する。第2ストッカ31では、第1保持部材60及び第2保持部材90の保管及び一時仮置きが行われる。プリウェット槽32では、基板W1が純水に浸漬される。プリソーク槽33では、基板W1の表面に形成したシード層等の
導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。プリリンス槽34では、プリソーク後の基板W1が基板ホルダ50と共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽35では、洗浄後の基板W1の液切りが行われる。リンス槽36では、めっき後の基板W1が基板ホルダ50と共に洗浄液で洗浄される。第2ストッカ31、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36は、この順に配置されている。
【0061】
めっき処理部120Bは、オーバーフロー槽38を備えた複数のめっき槽39を有する。各めっき槽39は、内部に一つの基板W1を収納し、内部に保持しためっき液中に基板W1を浸漬させて基板W1表面に銅めっき等のめっきを行う。ここで、めっき液の種類は、特に限られることはなく、用途に応じて様々なめっき液が用いられる。
【0062】
めっき装置100は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ50を基板W1とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置37を有する。この基板ホルダ搬送装置37は、基板保持枠脱着機構29、第2ストッカ31、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、及びめっき槽39との間で基板ホルダ50を搬送するように構成される。
【0063】
図17に示しためっき装置では、基板保持枠80を収容する第1ストッカ30と、第1保持部材60と第2保持部材90とを収容する第2ストッカ31とを有する。即ち、第1ストッカ30と第2ストッカ31とが別のストッカであるので、第1ストッカ30からの基板保持枠80の出し入れと、第2ストッカ31からの第1保持部材60及び第2保持部材90の出し入れを同時に行うことができる。このため、例えば、基板保持枠脱着機構29が第1ストッカ30から基板保持枠80を取り出すと同時に基板ホルダ搬送装置37が第2ストッカ31から基板保持枠脱着機構29に第1保持部材60及び第2保持部材90を移動させることができる。これにより、基板保持枠80と第1保持部材60及び第2保持部材90のそれぞれの搬送待ち時間を低減することができ、めっき装置100のスループットを向上させることができる。しかしながら、これに限らず、基板保持枠80、第1保持部材60、及び第2保持部材90を共通のストッカに収容するようにしてもよい。
【0064】
次に、
図17に示しためっき装置100において、基板ホルダ50に基板W1を保持させるプロセスについて説明する。
図18Aから
図18Dは、基板ホルダ50に基板W1を保持させるプロセスを示す概略図である。
図18Aに示すように、まず、基板保持枠脱着機構29は、第1ストッカ30から基板保持枠80を取り出す。基板搬送装置27又は基板搬送装置27から基板W1を受け取った基板保持枠脱着機構29が、基板W1の被めっき面が上方を向くようにして、基板W1を水平に配置された基板保持枠80に搬送する。基板保持枠脱着機構29は、基板保持枠80に基板W1を保持させた後、基板保持枠80を鉛直に配置する。
【0065】
続いて、基板保持枠脱着機構29は、基板ホルダ搬送装置37から第1保持部材60と第2保持部材90を受け取り、
図18Bに示すように、第1保持部材60と第2保持部材90との間に、基板W1の被めっき面が第1保持部材60と対向するように基板保持枠80を位置させる。
図18Cに示すように、基板保持枠脱着機構29は、基板保持枠80を第2保持部材90に押し付けて、第2保持部材90の突起部95を基板保持枠80の穴83(
図6から
図9参照)に挿入する。これにより、基板保持枠80と第2保持部材90との位置関係が決定されるとともに、基板保持枠80と第2保持部材90とを一体部品として取り扱うことができる。
【0066】
続いて、
図18Dに示すように、基板保持枠脱着機構29は、基板保持枠80と第2保持部材90とを第1保持部材60に向けて押しつける。このとき、基板保持枠80は、第
1保持部材60が有するガイド部材69(
図5参照)によって所望の位置にガイドされる。これにより、基板保持枠80に保持された基板W1の被めっき面に、第1保持部材60の給電部材68が適切に接触する。また、これと同時に第1保持部材60と基板W1との間が第1シール部材67(
図5参照)によってシールされ、且つ第1保持部材60と第2保持部材90との間が第2シール部材70(
図5参照)によってシールされる。
【0067】
基板保持枠80を第1保持部材60と第2保持部材90とで挟み込んで固定したとき、
図4等に示した第2保持部材90の突条部92をクランパ66に滑り込ませ、第1保持部材60に対して第2保持部材90を固定する。以上のようにして組み立てられた基板ホルダ50は、基板ホルダ搬送装置37によって後段の処理槽へ搬送される。
【0068】
図19Aから
図19Dは、基板ホルダ50に基板W1を保持させる他のプロセスを示す概略図である。このプロセスでは、
図18Aから
図18Dに示したプロセスと比べて、水平に配置された基板保持枠80に、基板W1の被めっき面が下方を向くようにして基板W1が搬送される点が異なる。即ち、
図19Aに示すように、基板保持枠脱着機構29は、基板保持枠80に基板W1の被めっき面が下方を向いた状態で保持させた後、基板保持枠80を鉛直に配置する。
【0069】
続いて、基板保持枠脱着機構29は、基板ホルダ搬送装置37から第1保持部材60と第2保持部材90を受け取り、
図19Bに示すように、第1保持部材60と第2保持部材90との間に、基板W1の被めっき面が第1保持部材60と対向するように基板保持枠80を位置させる。
図19Cに示すように、基板保持枠脱着機構29は、基板保持枠80を第2保持部材90に押し付けて、第2保持部材90の突起部95を基板保持枠80の穴83(
図6から
図9参照)に挿入する。
【0070】
続いて、
図19Dに示すように、基板保持枠脱着機構29は、基板保持枠80と第2保持部材90とを第1保持部材60に向けて押しつける。これにより、基板保持枠80に保持された基板W1の被めっき面に、第1保持部材60の給電部材68及び第1シール部材67(
図5参照)が適切に接触する。また、第1保持部材60と第2保持部材90との間が第2シール部材70(
図5参照)によってシールされる。
【0071】
図20Aから
図20Eは、基板ホルダ50に基板W1を保持させる他のプロセスを示す概略図である。このプロセスでは、
図19Aから
図19Dに示したプロセスと比べて、第1保持部材60及び第2保持部材90を水平に配置した状態で、基板保持枠80を保持する点が異なる。
図20Aに示すように、まず、基板保持枠脱着機構29は、第1ストッカ30から基板保持枠80を取り出し、水平に配置された第1保持部材60と第2保持部材90との間に位置させる。基板搬送装置27又は基板搬送装置27から基板W1を受け取った基板保持枠脱着機構29が、基板W1の被めっき面が下方を向くようにして、基板W1を水平に配置された基板保持枠80に搬送する。
【0072】
続いて、
図20Bに示すように、基板保持枠脱着機構29は基板保持枠80に基板W1を保持させる。基板保持枠脱着機構29は、
図20Cに示すように、基板保持枠80を第1保持部材60に向けて押しつける。このとき、基板保持枠80は、第1保持部材60が有するガイド部材69(
図5参照)によって所望の位置にガイドされる。これにより、基板保持枠80に保持された基板W1の被めっき面に、第1保持部材60の給電部材68が適切に接触する。
【0073】
図20Dに示すように、基板保持枠脱着機構29は、第2保持部材90を第1保持部材60に押し付ける。このとき、第2保持部材90の突起部95を基板保持枠80の穴83(
図6から
図9参照)に挿入する。これにより、基板保持枠80と第2保持部材90との
位置関係が決定される。また、第2保持部材90を第1保持部材60に押し付けることで、第1保持部材60と基板W1との間が第1シール部材67(
図5参照)によってシールされ、且つ第1保持部材60と第2保持部材90との間が第2シール部材70(
図5参照)によってシールされる。
【0074】
基板保持枠80を第1保持部材60と第2保持部材90とで挟み込んで固定したとき、
図4等に示した第2保持部材90の突条部92をクランパ66に滑り込ませ、第1保持部材60に対して第2保持部材90を固定する。以上のようにして組み立てられた基板ホルダ50は、
図20Eに示すように、基板保持枠脱着機構29によって鉛直に配置される。鉛直に配置された基板ホルダ50は、基板ホルダ搬送装置37によって後段の処理槽へ搬送される。
【0075】
図21Aから
図21Eは、基板ホルダ50に基板W1を保持させる他のプロセスを示す概略図である。このプロセスでは、
図20Aから
図20Dに示したプロセスと比べて、水平に配置された基板保持枠80に、基板W1の被めっき面が上方を向くようにして基板W1が搬送される点が異なる。即ち、
図21Aに示すように、まず、基板保持枠脱着機構29は、第1ストッカ30から基板保持枠80を取り出し、水平に配置された第1保持部材60と第2保持部材90との間に位置させる。基板搬送装置27又は基板搬送装置27から基板W1を受け取った基板保持枠脱着機構29が、基板W1の被めっき面が上方を向くようにして、基板W1を水平に配置された基板保持枠80に搬送する。
【0076】
続いて、
図21Bに示すように、基板保持枠脱着機構29は基板保持枠80に基板W1を保持させる。基板保持枠脱着機構29は、
図21Cに示すように、基板保持枠80を第2保持部材90に押し付けて、第2保持部材90の突起部95を基板保持枠80の穴83(
図6から
図9参照)に挿入する。これにより、基板保持枠80と第2保持部材90との位置関係が決定されるとともに、基板保持枠80と第2保持部材90とを一体部品として取り扱うことができる。
【0077】
続いて、
図21Dに示すように、基板保持枠脱着機構29は、基板保持枠80と第2保持部材90とを第1保持部材60に向けて押しつける。基板保持枠80を第1保持部材60と第2保持部材90とで挟み込んで固定したとき、
図4等に示した第2保持部材90の突条部92をクランパ66に滑り込ませ、第1保持部材60に対して第2保持部材90を固定する。以上のようにして組み立てられた基板ホルダ50は、
図21Eに示すように、基板保持枠脱着機構29によって鉛直に配置される。鉛直に配置された基板ホルダ50は、基板ホルダ搬送装置37によって後段の処理槽へ搬送される。
【0078】
以上で説明したように、
図17に示しためっき装置によれば、基板保持枠80への基板W1の搬送、及び基板W1を保持した基板保持枠80の第1保持部材60及び第2保持部材90への脱着を行うことができる。また、この脱着のプロセスとしては、例えば
図18から
図21に示したような様々なプロセスを採用することができる。
【0079】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るめっき装置について説明する。
図22は、第2実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。第2実施形態のめっき装置は、第1実施形態と同様の基板ホルダ50を使用することができる。第2実施形態のめっき装置200は、
図22に示すように、基板ホルダ50に基板W1をロードするロード部210と、基板W1を処理する処理部220と、基板ホルダ50から基板W1をアンロードするアンロード部230と、に大きく分けられる。処理部220は、さらに、基板W1の前処理を行う前処理部220Aと、基板W1にめっき処理を行うめっき処理部220Bと、基板W1の後処理を行う後処理部220Cと、を含む。
【0080】
ロード部210には、2台のカセットテーブル25と、基板保持枠脱着機構29a(基板保持体装着部の一例に相当する)と、第1ストッカ30と、基板搬送装置27aと、基板搬送装置27aの走行機構28aと、が配置されている。ロード部210の基板保持枠脱着機構29aは、基板保持枠80を第1保持部材60及び第2保持部材90に保持させる。
【0081】
ロード部210の後段側には、前処理部220Aが配置される。前処理部220Aは、第2ストッカ31と、プリウェット槽32と、プリソーク槽33と、プリリンス槽34とを有する。第2ストッカ31、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34は、この順に配置されている。
【0082】
前処理部220Aの後段側には、めっき処理部220Bが配置される。めっき処理部220Bは、オーバーフロー槽38を備えた複数のめっき槽39を有する。めっき処理部220Bの後段側には、後処理部220Cが配置される。後処理部220Cは、リンス槽36と、ブロー槽35と、を有する。リンス槽36、ブロー槽35は、後段側に向かってこの順に配置されている。
【0083】
後処理部220Cの後段側には、アンロード部230が配置される。アンロード部230は、2台のカセットテーブル25と、基板洗浄装置26と、基板保持枠脱着機構29b(基板保持体取出部の一例に相当する)と、基板搬送装置27bと、基板搬送装置27bの走行機構28bと、が配置されている。ロード部210の基板保持枠脱着機構29bは、基板保持枠80を第1保持部材60及び第2保持部材90から取り出す。
【0084】
めっき装置200は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ50を基板W1とともに搬送する基板ホルダ搬送装置37a,37b(搬送機の一例に相当する)を有する。基板ホルダ搬送装置37a,37bは、基板保持枠脱着機構29a,29b、第2ストッカ31、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、及びめっき槽39との間で基板ホルダ50を搬送するように構成される。
図22に示すように2つの基板ホルダ搬送装置37a,37bを設けた場合は、めっき処理前の基板W1を保持した基板ホルダ50のみを一方の基板ホルダ搬送装置が搬送し、めっき処理後の基板W1を保持した基板ホルダ50のみを他方の基板ホルダ搬送装置が搬送するようにすることで、基板ホルダ50の受け渡しの待機時間が発生することを抑制している。なお、基板ホルダ搬送装置37a,37bは、いずれか一方のみめっき装置200に設けられてもよい。この場合は、めっき装置のフットプリントを削減することができる。
【0085】
このめっき装置200では、基板保持枠脱着機構29aにおいて、基板保持枠80が第1保持部材60及び第2保持部材90に保持されて、基板ホルダ50が組み立てられる。その後、基板W1を保持した基板ホルダ50は、前処理部220A、めっき処理部220B、及び後処理部220Cにおいて処理され、アンロード部230に搬送される。アンロード部230において、基板ホルダ50の基板保持枠80から処理後の基板W1が取り出され、基板洗浄装置26において洗浄される。洗浄された基板W1は、基板搬送装置27bによりアンロード部230のカセットテーブル25に収納される。基板ホルダ50から基板W1が取り出されたと、基板保持枠80、並びに第1保持部材60及び第2保持部材90は、基板ホルダ搬送装置37a、37bによって各処理槽の上方を通過して、それぞれ第1ストッカ30及び第2ストッカ31に搬送されて、収納される。
【0086】
以上で説明したように、第2実施形態のめっき装置200は、めっき装置200は、基板保持枠80を第1保持部材60及び第2保持部材90に保持させる基板保持枠脱着機構
29aと、基板保持枠80を第1保持部材60及び第2保持部材90から取り出す基板保持枠脱着機構29bとを有する。したがって、基板保持枠脱着機構29aが基板保持枠80を第1保持部材60及び第2保持部材90に保持させると同時に、基板保持枠脱着機構29bが他の基板保持枠80を他の第1保持部材60及び第2保持部材90から取り出すことができる。これにより、基板保持枠80の着脱の待ち時間を低減することができ、めっき装置200のスループットを向上させることができる。
【0087】
また、めっき装置200では、ロード部210とアンロード部230とが処理部220を挟むように配置される。言い換えれば、基板保持枠脱着機構29aと基板保持枠脱着機構29bとが処理部220を挟むように配置される。これにより、前処理、めっき処理、及び後処理を基板W1に行った後、基板W1を比較的長い距離搬送してめっき装置200の前段側に戻すことなく、基板保持枠脱着機構29bで基板W1を基板ホルダ50から取り出し、カセットテーブル25に収納することができる。したがって、前処理槽の上方を処理された基板Wが搬送されることがなく、搬送距離を短くすることができるため、処理された基板W1の搬送時間を低減することができる。これにより、基板W1の搬送中に基板W1の表面にパーティクル等が付着することを抑制することができる。
【0088】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る基板ホルダについて説明する。
図23は、第3施形態に係る基板ホルダ50を示す分解斜視図である。
図23に示すように、第3実施形態に係る基板ホルダ50は、
図1から
図16に示した基板ホルダ50と比べて、第1保持部材60の形状が異なる。具体的には、第3実施形態に係る基板ホルダ50には、鉛直方向に吊り下げられたときに多角形の開口部61の辺が鉛直下方に位置するように、開口部61が形成される。このため、基板保持枠80及び第2保持部材90の第1保持部材60への取り付け角度が第1実施形態と異なる。このような基板ホルダ50であっても、第1実施形態及び第2実施形態で説明しためっき装置100,200で使用することができる。
【0089】
<第4実施形態>
次に、第3実施形態に係る基板ホルダについて説明する。
図24は、第4実施形態に係る基板ホルダ50を示す分解斜視図である。また、
図25は、第4実施形態に係る基板ホルダ50の斜視図である。
図24及び
図25に示すように、この基板ホルダ50では、第1保持部材60は、懸架部62、アーム部63、及び外部接点部64を有していない。代わりに、第2保持部材90が、懸架部62、アーム部63、及び外部接点部64を有する。
【0090】
図26は、
図25に示した矢視24−24における基板ホルダ50の断面図である。
図26に示すように、第2保持部材90は、外部接点部64と電気的に接続される中継接点部96を有する。中継接点部96は、基板ホルダ50が組み立てられた状態で、第1保持部材60の給電部材68と接触するように構成される。これにより、外部接点部64及び中継接点部96を介して、外部の電源から給電部材68に電流が供給され、基板W1の被めっき面に電流を流すことができる。このような基板ホルダ50であっても、第1実施形態及び第2実施形態で説明しためっき装置100,200で使用することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。