特許第6596387号(P6596387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 水ing株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000002
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000003
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000004
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000005
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000006
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000007
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000008
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000009
  • 特許6596387-汚泥掻き寄せ機 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596387
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】汚泥掻き寄せ機
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/18 20060101AFI20191010BHJP
   B01D 21/22 20060101ALI20191010BHJP
   B01D 21/30 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B01D21/18 G
   B01D21/22
   B01D21/30
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-122834(P2016-122834)
(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公開番号】特開2017-225920(P2017-225920A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 悟
(72)【発明者】
【氏名】岸 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】土田 達也
(72)【発明者】
【氏名】板山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】山口 博義
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−159061(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第2003−0012210(KR,A)
【文献】 実開昭56−031807(JP,U)
【文献】 実開昭55−043565(JP,U)
【文献】 実開昭59−086209(JP,U)
【文献】 韓国登録特許第10−1615922(KR,B1)
【文献】 米国特許第04657131(US,A)
【文献】 特開2011−072951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00−34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ホイールと、
第1従動ホイールおよび第2従動ホイールと、
前記駆動ホイール、前記第1従動ホイール、および前記第2従動ホイールに掛け渡されたチェーンと、
前記駆動ホイールを回転させる駆動装置と、
前記駆動装置の動作を制御する動作制御部と、
前記チェーンに取り付けられた、汚泥を掻き寄せるための複数のフライト板と、
前記チェーンを検知する第1チェーン検知器および第2チェーン検知器とを備え、
前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、前記第1従動ホイールと前記第2従動ホイールとの間に位置する、前記チェーンのカテナリー部の下方に配置されており、
前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、前記カテナリー部から離れて配置されており、前記カテナリー部が前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器に接触したときに、チェーン検知信号を発するように構成されており、
前記第1チェーン検知器と前記カテナリー部との距離は、前記第2チェーン検知器と前記カテナリー部との距離よりも短く、
前記動作制御部は、前記第1チェーン検知器からチェーン検知信号を受けた場合は警報を発し、前記第2チェーン検知器からチェーン検知信号を受けた場合は前記駆動装置を停止させるように構成されていることを特徴とする汚泥掻き寄せ機。
【請求項2】
前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、異なる高さに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の汚泥掻き寄せ機。
【請求項3】
前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、前記チェーンとの接触によって動く可動部を有する接触タイプのチェーン検知器であることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥掻き寄せ機。
【請求項4】
前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、前記チェーンに接触することなく該チェーンを検知することができる非接触タイプのチェーン検知器であることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥掻き寄せ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿池内に設置され、沈殿池の底部に堆積した汚泥を掻き寄せる汚泥掻き寄せ機に関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンの走行に伴って沈殿池の内部をフライト板が循環し、フライト板が沈殿池の池底を走行するときに池底に堆積する汚泥を掻き寄せるとともに、フライト板が沈殿池の水面を走行するときに水面に浮遊するスカムを掻き寄せる汚泥掻き寄せ機が知られている。この汚泥掻き寄せ機においては、駆動ホイールと従動ホイールとに掛け渡されたチェーンの走行に伴って沈殿池の内部をフライト板がガイドレールに沿って走行しつつ、上述したように、汚泥やスカムの掻き寄せが行われる。
【0003】
チェーンの一部には、カテナリー部と呼ばれるチェーンの弛みが存在する。このカテナリー部は、チェーンに過度なテンションが加わらないようにするため、およびチェーンの自重によってチェーンに適度なテンションが加わるようにするために設けられている。通常、カテナリー部の一端は、沈殿池の水面近くに位置し、カテナリー部の他端は沈殿池の底部近くに位置している。
【0004】
汚泥掻き寄せ機は、フライト板で汚泥をかき寄せることでチェーンに引張応力がかかるため、汚泥掻き寄せ機の運転時間とともにチェーンは徐々に伸びてくる。チェーンが過度に伸びると、駆動ホイールの歯飛びが起こることがあり、その結果、最悪の場合には、チェーンが破断されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−147161号公報
【特許文献2】特開2011−72951号公報
【特許文献3】特開2009−241022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カテナリー部の長さを一定とするために、特許文献1乃至3に示すような、チェーンにテンションを与えてチェーンの伸びを解消する技術が開発されている。しかしながら、チェーンにテンションを与えると、チェーンに加わる負荷が増加する。結果として、チェーンの寿命が短くなり、さらにはチェーンの伸びが助長されてしまう。チェーンにテンションを掛けずに、汚泥掻き寄せ機の安全な運転を確保するためには、定期的にチェーンのカテナリー部の長さを調べることが必要とされる。しかしながら、カテナリー部の長さを測定するためには、沈殿池から水を抜く必要があり、その間、汚泥掻き寄せ機の運転を停止させる必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、沈殿池から水を抜くことなく、チェーンのカテナリー部の長さの変化を検出することができる汚泥掻き寄せ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、駆動ホイールと、第1従動ホイールおよび第2従動ホイールと、前記駆動ホイール、前記第1従動ホイール、および前記第2従動ホイールに掛け渡されたチェーンと、前記駆動ホイールを回転させる駆動装置と、前記駆動装置の動作を制御する動作制御部と、前記チェーンに取り付けられた、汚泥を掻き寄せるための複数のフライト板と、前記チェーンを検知する第1チェーン検知器および第2チェーン検知器とを備え、前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、前記第1従動ホイールと前記第2従動ホイールとの間に位置する、前記チェーンのカテナリー部の下方に配置されており、前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、前記カテナリー部から離れて配置されており、前記カテナリー部が前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器に接触したときに、チェーン検知信号を発するように構成されており、前記第1チェーン検知器と前記カテナリー部との距離は、前記第2チェーン検知器と前記カテナリー部との距離よりも短く、前記動作制御部は、前記第1チェーン検知器からチェーン検知信号を受けた場合は警報を発し、前記第2チェーン検知器からチェーン検知信号を受けた場合は前記駆動装置を停止させるように構成されていることを特徴とする汚泥掻き寄せ機である。
【0009】
実施形態では、前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、異なる高さに配置されていることを特徴とする。
【0010】
一実施形態では、前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、前記チェーンとの接触によって動く可動部を有する接触タイプのチェーン検知器であることを特徴とする。
一実施形態では、前記第1チェーン検知器および前記第2チェーン検知器は、前記チェーンに接触することなく該チェーンを検知することができる非接触タイプのチェーン検知器であることを特徴とする。
本発明の一参考例は、駆動ホイールと、第1従動ホイールおよび第2従動ホイールと、前記駆動ホイール、前記第1従動ホイール、および前記第2従動ホイールに掛け渡されたチェーンと、前記駆動ホイールを回転させる駆動装置と、前記チェーンに取り付けられた、水中の汚泥を掻き寄せるための複数のフライト板と、前記チェーンを検知するチェーン検知器とを備え、前記チェーン検知器は、前記第1従動ホイールと前記第2従動ホイールとの間に位置する、前記チェーンのカテナリー部の下方に配置されており、前記チェーン検知器は、前記カテナリー部の下方に配置された棒と、前記棒を回転可能に支持する支持軸と、前記棒の端部に接続された紐と、前記紐の先端に取り付けられた浮きと、前記紐を支持する支持部材とを備えており、前記浮きは、水面に浮かんでおり、前記棒は、前記カテナリー部から離れて配置されており、前記チェーンの伸びに起因して前記カテナリー部が下降すると、前記カテナリー部は、前記棒の端部に接触し、前記棒を前記支持軸を中心として回転させ、前記棒の回転が前記紐を引き下げることで前記浮きが水中に没するように構成されていることを特徴とする汚泥掻き寄せ機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、チェーン検知器は、チェーンにテンションを加えることなく、かつ沈殿池から水を排出することなく、チェーンの伸び、すなわちカテナリー部の長さが許容範囲を超えたことを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】汚泥掻き寄せ機の一実施形態を示す図である。
図2】カテナリー部を示す拡大図である。
図3】カテナリー部がチェーン検知器に接触した状態を示す図である。
図4】汚泥掻き寄せ機の他の実施形態を示す図である。
図5】第1チェーン検知器および第2チェーン検知器を異なる高さに配置した実施形態を示す図である。
図6】汚泥掻き寄せ機のさらに他の実施形態を示す図である。
図7】伸びたチェーンのカテナリー部によってチェーン検知器が動作する様子を示す図である。
図8】汚泥掻き寄せ機のさらに他の実施形態を示す図である。
図9】伸びたチェーンのカテナリー部によってチェーン検知器が動作する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、汚泥掻き寄せ機の一実施形態を示す図である。この汚泥掻き寄せ機は、沈殿池1に設置される。汚泥掻き寄せ機は、駆動装置2と、沈殿池1の内部に配置された駆動ホイール3、第1従動ホイール4、第2従動ホイール5、第3従動ホイール6と、これらの各ホイール3,4,5,6に掛け渡された一対の無端状のチェーン7と、このチェーン7に所定の間隔で取り付けられた複数のフライト板8とを備えている。本実施形態では、チェーン7は、ポリアセタールなどの樹脂から形成されている。樹脂製のチェーン7は、金属製のチェーンに比べて軽量であり、成形しやすいといった利点がある。一実施形態では、チェーン7は、金属製のチェーンであってもよい。
【0014】
駆動ホイール3は、駆動チェーン2aを介して駆動装置2に連結されている。一対のチェーン7は、沈殿池1内に並列に配置されている。駆動装置2が駆動ホイール3を回転させると、沈殿池1内に配置されたチェーン7が図1の矢印で示す方向に循環し、チェーン7の循環に伴って従動ホイール4,5,6が回転する。さらに、このチェーン7の循環に伴ってフライト板8が沈殿池1の内部を走行するようになっている。
【0015】
フライト板8が沈殿池1の池底側を走行する時には、図1に示すように、フライト板8は池底に溜まった汚泥をピット1aに掻き寄せ、また水面側を走行する時には、フライト板8は水面に浮遊するスカムをスカムスキマ9に掻き寄せるようになっている。フライト板8の走行をガイドするため、沈殿池1の側壁に水面ガイドレール27および水中ガイドレール11が固定されている。更に池底には、フライト板8の走行をガイドする池底ガイドレール12が敷設されている。
【0016】
スカムスキマ9には、溢流堰が開閉自在に取り付けられており、沈殿池1の液面に浮遊しているスカムをフライト板8により、水と共にトラフ9a内に流入させるように構成されている。スカムスキマ9は、切欠き部のあるパイプを回転させるパイプスキマでも良い。沈殿池1には、越流堰14が設けられている。沈殿池1内の水は、この越流堰14を越えて排出される。
【0017】
駆動ホイール3および第1従動ホイール4は、沈殿池1の水面付近に配置され、第2従動ホイール5および第3従動ホイール6は、沈殿池1の底部付近に配置されている。第1従動ホイール4と第2従動ホイール5との間には、チェーン7の弛みが意図的に設けられている。このチェーン7の弛みは、カテナリー部7aである。カテナリー部7aは、チェーン7に過度なテンションが加わらないようにするため、およびチェーン7の自重によってチェーン7に適度なテンションが加わるようにするために設けられている。カテナリー部7aの一端は、第1従動ホイール4に支持され、カテナリー部7aの他端は水中ガイドレール11に支持されている。
【0018】
図2は、カテナリー部7aを示す拡大図である。カテナリー部7aは、第1従動ホイール4から、チェーン7と水中ガイドレール11との接点まで延びるチェーン7の一部である。カテナリー部7aの長さLは、第1従動ホイール4の中心軸から、チェーン7と水中ガイドレール11との接点までの水平方向の距離である。このカテナリー部7aの長さLには、最適な値がある。チェーン7は、汚泥掻き寄せ機の運転に伴い、徐々に伸びてくる。特に、樹脂製のチェーン7は、金属製のチェーンに比べて伸びやすい。チェーン7が伸びると、カテナリー部7aが下降し、カテナリー部7aの一部が水中ガイドレール11に接触する。結果として、カテナリー部7aの長さLが許容範囲から逸脱することがある。
【0019】
そこで、本実施形態に係る汚泥掻き寄せ機は、伸びたチェーン7を検知することができるチェーン検知器30を備えている。このチェーン検知器30はカテナリー部7aの下方に配置されている。チェーン検知器30は、一対のチェーン7のうちのいずれか一方のカテナリー部7aの下方に設けてもよいし、一対のチェーン7の両方のカテナリー部7aの下方にそれぞれ設けてもよい。本実施形態では、チェーン検知器30は水中ガイドレール11に固定されているが、沈殿池1の側壁に固定されてもよい。本実施形態では、チェーン検知器30は、チェーン7との接触によって動く可動部31を有する接触タイプのチェーン検知器である。
【0020】
図3は、カテナリー部7aがチェーン検知器30に接触した状態を示す図である。図3に示すように、チェーン7の伸びに起因してカテナリー部7aが下降し、カテナリー部7aがチェーン検知器30の可動部31に接触すると、可動部31が動き、チェーン検知器30はチェーン7を検知したことを示すチェーン検知信号を発する。本実施形態によれば、チェーン検知器30は、チェーン7にテンションを加えることなく、かつ沈殿池1から水を排出することなく、チェーン7の伸び、すなわちカテナリー部7aの長さが許容範囲を超えたことを検知することができる。
【0021】
図1に示すように、駆動装置2およびチェーン検知器30は、駆動装置2の動作を制御する動作制御部35に接続されている。チェーン検知器30がチェーン7を検知すると、チェーン検知器30はチェーン検知信号を動作制御部35に送信する。動作制御部35は、このチェーン検知信号をチェーン検知器30から受けた場合は、駆動装置2を停止させるように構成されている。本実施形態によれば、チェーン7の伸びに起因してカテナリー部7aがチェーン検知器30によって検知されると、駆動装置2の運転、すなわちチェーン7の循環が停止される。カテナリー部7aの長さが許容範囲を逸脱する前に、チェーン7の循環が停止されるので、チェーン7の伸びに起因した駆動ホイール3の歯飛びや、チェーン7の破断を未然に防止することができる。
【0022】
チェーン検知器30は沈殿池1の水中に配置されているため、チェーン検知器30は防水性を有している。このような防水性を有した接触タイプのチェーン検知器30としては、市販の検知センサを使用することができる。一実施形態では、チェーン検知器30は、チェーン7に接触することなく該チェーン7を検知することができる非接触タイプのチェーン検知器であってもよい。非接触タイプのチェーン検知器としては、渦電流センサ、距離センサなどの、防水性を有した市販の非接触タイプのセンサを使用することができる。渦電流センサを用いる場合、樹脂製のチェーン7には、所定の間隔で複数のセンサターゲットが固定される。
【0023】
図4は、汚泥掻き寄せ機の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図3を参照して説明した上述の実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の汚泥掻き寄せ機は、チェーン7に沿って配列された2つのチェーン検知器、すなわち第1チェーン検知器30Aおよび第2チェーン検知器30Bを備えている。
【0024】
第1チェーン検知器30Aおよび第2チェーン検知器30Bは、どちらも水中ガイドレール11に固定されており、同じ高さに配置されている。第1チェーン検知器30Aは、第2チェーン検知器30Bよりも第2従動ホイール5により近い位置に配置されている。第1チェーン検知器30Aおよび第2チェーン検知器30Bは、同じ構成を有しており、両方とも、図1に示す動作制御部35に接続されている。第1チェーン検知器30Aおよび第2チェーン検知器30Bは、図2および図3に示したチェーン検知器30と同じ構造を持つ接触タイプのチェーン検知器である。一実施形態では、第1チェーン検知器30Aおよび第2チェーン検知器30Bは、非接触タイプのチェーン検知器であってもよい。
【0025】
チェーン7の伸びに起因してカテナリー部7aが下降すると、チェーン7は、まず第1チェーン検知器30Aによって検知される。動作制御部35は、チェーン検知信号を第1チェーン検知器30Aから受けた場合は、警報を発するように構成されている。チェーン7がさらに伸びてカテナリー部7aがさらに下降すると、チェーン7は、第2チェーン検知器30Bによって検知される。動作制御部35は、チェーン検知信号を第2チェーン検知器30Bから受けた場合は、駆動装置2の運転、すなわちチェーン7の循環を停止するように構成されている。
【0026】
図5に示すように、第1チェーン検知器30Aおよび第2チェーン検知器30Bを異なる高さに配置してもよい。図示しないが、3つ以上のチェーン検知器をカテナリー部7aに沿って、同じ高さまたは異なる高さに配置してもよい。
【0027】
図6は、汚泥掻き寄せ機のさらに他の実施形態を示す図である。この実施形態では、チェーン検知器30は、チェーン7との接触によって動く可動部としてリンク機構を備えている。より具体的には、リンク機構は、カテナリー部7aの下方に配置された第1リンク41と、第1リンク41の両端の間に位置し、第1リンク41を回転可能に支持する支持軸42と、第1リンク41の端部にジョイント44により連結された第2リンク46とを備えている。第2リンク46は支持部材48によって上下動可能に支持されている。本実施形態では、支持軸42および支持部材48は、沈殿池1の側壁に固定されている。支持軸42は水中ガイドレール11に固定されてもよい。
【0028】
第2リンク46は、第1リンク41の端部から上方に延び、第2リンク46の上端は沈殿池1の水面よりも上方に位置している。第2リンク46は沈殿池1内の水よりも比重の高い材料から構成され、水中に沈みうる構造を有している。第2リンク46には目印49が設けられている。この目印49は、通常の状態では、水中に没している。
【0029】
図7に示すように、チェーン7の伸びに起因してカテナリー部7aが下降すると、チェーン7のカテナリー部7aは、第1リンク41の端部に接触し、第1リンク41を支持軸42を中心として回転させる。この第1リンク41の回転は、第2リンク46を上方に押し上げる。その結果、第2リンク46の目印49が水面から現れる。作業員は、目印49を目視することにより、カテナリー部7aの長さが許容範囲を逸脱したことを知ることができる。
【0030】
図8は、汚泥掻き寄せ機のさらに他の実施形態を示す図である。この実施形態では、チェーン検知器30は、チェーン7との接触によって動く可動部として、支持軸52に支持された棒51を備えている。より具体的には、チェーン検知器30は、カテナリー部7aの下方に配置された棒51と、棒51を回転可能に支持する支持軸52と、棒51の端部に接続された紐54と、紐54の先端に取り付けられた浮き57と、紐54を支持する支持部材58とを備えている。浮き57は、通常の状態では、水面に浮かんでいる。本実施形態では、支持軸52および支持部材58は、沈殿池1の側壁に固定されている。支持軸52および支持部材58は水中ガイドレール11に固定されてもよい。
【0031】
図9に示すように、チェーン7の伸びに起因してカテナリー部7aが下降すると、チェーン7のカテナリー部7aは、棒51の端部に接触し、棒51を支持軸52を中心として回転させる。この棒51の回転は、紐54を引き下げる。その結果、浮き57が水中に没する。作業員は、浮き57が水面から消えたことを目視することにより、カテナリー部7aの長さが許容範囲を逸脱したことを知ることができる。
【0032】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0033】
1a ピット
1 沈殿池
2 駆動装置
3 駆動ホイール
4 第1従動ホイール
5 第2従動ホイール
6 第3従動ホイール
7 チェーン
7a カテナリー部
8 フライト板
9 スカムスキマ
11 水中ガイドレール
12 池底ガイドレール
27 水面ガイドレール
30,30A,30B チェーン検知器
31 可動部
35 動作制御部
41 第1リンク
42 支持軸
44 ジョイント
46 第2リンク
48 支持部材
49 目印
51 棒
52 支持軸
54 紐
57 浮き
58 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9