特許第6596392号(P6596392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596392
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】微粒化装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 19/06 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   B02C19/06 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-143081(P2016-143081)
(22)【出願日】2016年7月21日
(65)【公開番号】特開2018-12063(P2018-12063A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】澤▲崎▼ 良二
(72)【発明者】
【氏名】森岡 勇樹
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−000448(JP,A)
【文献】 特開平04−341305(JP,A)
【文献】 特開2001−070825(JP,A)
【文献】 特開2007−083133(JP,A)
【文献】 特開2011−056456(JP,A)
【文献】 特開2010−036120(JP,A)
【文献】 特開2016−117048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00−25/00
B01F 1/00−5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射して微粒化する微粒化チャンバーと、この微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから衝突室内に支承された硬質体に噴射させて衝突させる背圧ユニットとからなる微粒化装置であって、
前記背圧ユニットは、前記微細化チャンバーの排出口に直列接続可能であり、
前記背圧ノズルが、微粒化ノズルのノズル径より大きいノズル径を有し、噴流が散るオリフィス形状であり、
前記硬質体は、前記背圧ノズルの噴射流体の軸線から中心が偏心して配された球体であることを特徴とする微粒化装置
【請求項2】
前記硬質体の球体は、前記衝突室内で回転可能に支承されており、
前記硬質体の球体の中心が、高速噴流の上方となるように偏心されていることを特徴とする請求項1に記載の微粒化装置
【請求項3】
前記背圧ノズル径が、前記微粒化ノズル径に対して、1.6〜2.4倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒化装置
【請求項4】
前記背圧ユニットの排出口に1つ以上の別の背圧ユニットが更に直列接続設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の微粒化装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば微粒化装置の微粒化チャンバーの排出口に取付けられチャンバーの背圧を有効利用する背圧ユニットを備えた微粒化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、噴射ノズルから衝突対象までの空間の内径、長さを最適化することによって、高速噴流の減衰を抑えると共に良好なキャビテーション効果を同時に得て、常に高い衝突エネルギーで充分な微粒化性能が発揮できる微粒化装置(特許文献1参照)を提案している。
【0003】
このような、高圧噴射する湿式微粒化装置では、微粒化の促進として、高圧噴射したオリフィスの直後に2段目、更には、3段目、4段目の背圧をかけることが有効とされている。即ち、背圧をかけることにより、微粒化要素の一つであるキャビテーション衝撃を操作するものであり、具体的には、圧力、流量から導かれる適切な背圧をかけることで、キャビテーション気泡の破裂・崩壊を促進し、衝撃力を上げることができる。
【0004】
更には、背圧を調整することにより、キャビテーションを抑制(気泡を発生させない)することもでき、微粒化に疎外となる気泡を混入させない効果を得ることもできる。より具体的な背圧をかける方式としては、一般的にはバルブ方式の弁と弁シートからなる狭い隙間を作って圧力をかける形態がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−36120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この方式だと、消耗の激しい弁と弁シートに対して、材料の選定が硬質体であってもセラミック、超硬合金しかなく、それらにおいても、硬質粒子(金属、セラミック粒子)の微粒化では弁と弁シートの摩耗に耐えらえなかった。これにより、背圧をかける対象は液滴状のエマルションに限られていた。つまり、背圧機構はエマルションの乳化促進用途にのみ限られていた。またその一方で、摩擦面で生じる摩耗粉は想定しているものではない物質の混入であり、コンタミネーションとして、液体の乳化であっても医薬品などでは敬遠されていた。
【0007】
本発明は、これらを鑑み、金属粒子、セラミック粒子、CNT(カーボンナノチューブ)等の硬質粒子の粒子径を小さくすることができ、医薬品の乳化においても対応可能な微粒化装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明に係る微粒化装置は、加圧された原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射して微粒化する微粒化チャンバーと、この微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから衝突室内に支承された硬質体に噴射させて衝突させる背圧ユニットとからなる微粒化装置であって、
前記背圧ユニットは、前記微細化チャンバーの排出口に直列接続可能であり、
前記背圧ノズルが、微粒化ノズルのノズル径より大きいノズル径を有し、噴流が散るオリフィス形状であり、
前記硬質体は、前記背圧ノズルの噴射流体の軸線から中心が偏心して配された球体であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載された発明に係る微粒化装置は、請求項1に記載の硬質体の球体は、前記衝突室内で回転可能に支承されており、
前記硬質体の球体の中心が、高速噴流の上方となるように偏心されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明に係る微粒化装置は、請求項1又は2に記載の背圧ノズル径が、前記微粒化ノズル径に対して、1.6〜2.4倍であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載された発明に係る微粒化装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の背圧ユニットの排出口に1つ以上の別の背圧ユニットが更に直列接続設されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、微粒化装置のキャビテーション気泡の破裂・崩壊を促進して衝撃力を上げたり、装着された微粒化装置の金属粒子、セラミック粒子、CNT(カーボンナノチューブ)等の硬質粒子の粒子径を小さくすることができる。更には、キャビテーションを抑制することで微粒化の疎外となる気泡を混入させないことができ、医薬品の乳化においても対応可能なるという効果を奏することができる。
【0013】
より具体的には、硬質粒子である炭酸カルシウム粒子やCNTの粒子径を小さくすることが可能となり、更には、流動パラフィンの乳化性能も向上することができる。また、複数(3段等)つなげることで、噴射圧から最終出口圧まで徐々に減圧し、気泡の発生の抑制と耐摩耗を得ることができる。更に、Oリングシールを用いなくてもよいため、医薬品対応装置に使用しやすく、121℃の蒸気滅菌対応も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の微粒化装置用硬質粒子対応背圧ユニットの一実施例を備えた微粒化装置の構成を示す説明図である。
図2図1の要部の構成を示す説明図である。
図3】3段の背圧ユニットとした別の要部の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明においては、加圧された原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射して微粒化する微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから衝突室内に支承された硬質体に噴射させて衝突させる背圧ユニットであって、背圧ユニットは微細化チャンバーの排出口に直列接続可能であり、背圧ノズルが微粒化ノズルのノズル径より大きいノズル径を有するものである。
【0016】
これにより、金属粒子、セラミック粒子、CNT(カーボンナノチューブ)等の硬質粒子の粒子径を小さくすることができ、医薬品の乳化においても対応可能な微粒化装置用背圧ユニットを得ることができる。
【0017】
本発明の背圧ユニットは、微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから衝突室内に支承された硬質体に噴射させて衝突させるものであり、微細化チャンバーの排出口に直列接続可能であり、背圧ノズルが微粒化ノズルのノズル径より大きいノズル径を有するものである。
【0018】
本発明では、好ましくは背圧をかける手段を、硬質微粒子に耐えられるように、弁、弁シートの構造ではなく、オリフィスで背圧抵抗をつけ、さらにそこから噴流状に吐出されるスラリーをセラミックボールで受け、そのときの衝撃で微粒化をさらに促進する。尚、更に好ましくはオリフィスをダイヤモンドオリフィスを用いて、背圧部の耐摩耗(コンタミ対策)と粒子の微粒化の促進の両方の役割を持たせることもできる。
【0019】
本発明の微粒化装置としては、加圧された原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射して微粒化する微粒化チャンバーを備えるものであればよい。より具体的には、原料を加圧する増圧機と、この増圧機で加圧された原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射して微粒化する微粒化チャンバーと、原料を投入するための原料供給口から増圧機の供給口へ原料を供給する増圧機供給流路とを備えればよい。
【0020】
尚、本発明では、1段以上の背圧ユニットを備えるため、増圧機のハウジング内部から前記微粒化ノズルまで加圧された原料を供給する微粒化ノズル供給流路とを備えた微粒化装置の微粒化チャンバーの噴射後の原料の背圧状態を維持させて背圧ノズルまで原料を供給する背圧ノズル供給流路と、背圧ユニットの硬質体に衝突された原料の背圧状態を維持させて下流に供給する背圧ユニット後続流路とを更に備えればよい。
【0021】
本発明の微粒化チャンバーとしては、原料の高圧噴流を微粒化ノズルから100〜245MPaの噴射圧で噴射することにより微粒化される。微粒化を効率的に行うために、内部に微粒化硬質体等を支承し、この微粒化硬質体に衝突させて微粒化を促進してもよい。この際、微粒化チャンバーの排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから内部に支承された硬質体に高圧噴射させて衝突させる少なくとも一つの背圧ユニットを備えるため、原料の微粒化がより促進される。
【0022】
本発明の背圧ユニットの硬質体としては、好ましくは、背圧ノズルの噴射流体の軸線から中心が偏心して前記衝突室内で回転可能に支承される球体である。これにより、高速噴流の衝突によって常に回転することとなり、集中的な損傷が軽減され、耐久性が向上する利点が得られる。尚、偏心方向としては、好ましくは球の中心が高速噴流の上方となるように偏心する。これにより、背圧硬質体が高速噴流によって上方に浮かびながら回転するため、より集中的な損傷が軽減され、耐久性が向上する。
【0023】
本発明の背圧ノズル径は、微粒化チャンバーの微粒化ノズル径に対して、1.6〜2.4倍とする。これにより、100〜245MPaの噴射圧で内部に支承された微粒化硬質体に衝突させる微粒化チャンバーの微粒化ノズルに対して、背圧ノズルでは8〜20MPaの噴射圧となる。この背圧によって、微粒化がより促進され、硬質粒子の粒子径を小さくすることができる。
【0024】
本発明の背圧ユニットは、好ましくは、背圧ユニットの排出口に1つ以上の別の背圧ユニットが更に直列接続設されて、複数段連設されてもよい。本発明の背圧ユニットは1段以上、2段、3段と連設されることにより、微粒化がより促進される。即ち、キャビテーション気泡を抑制するために、微粒化ノズルのオリフィス(好ましくはダイヤモンドオリフィス)の抵抗と、衝突用セラミックボールの組み合わせを複数段(3段等)つなげることで、噴射圧から最終出口圧まで徐々に減圧し、気泡の発生の抑制と耐摩耗を得ることができる。
【0025】
更に、本発明の微粒化チャンバーと背圧ユニットとの違いとしては、(1) 背圧ノズルの直径が微粒化ノズルの直径よりも大きいことが挙げられる。微粒化ノズルの噴射圧P1、背圧ノズルの噴射圧P2、微粒化ノズル直径d1、背圧ノズル直径d2とすると、次式が成り立つ。
(d2/d1)=P1/P2
P2の実情は、おおよそ、P2=8〜20MPa、P1=150〜245MPaなので、P1/P2=7〜30、現実的には10〜24となる。つまり、d2/d1=1.6〜2.4、現実的には1.7〜2.2となり、例えば、d1=0.17、d2=0.3より、d2/d1=1.76となる。
【0026】
他の相違点としては、(2) ノズルと硬質体との距離の相違が挙げられる。微粒化チャンバーでは、微粒化衝撃力を期待してのボールヘの衝突を考える。つまり、距離が近ければ近いほど有効となる。一方、背圧ユニットでは、単なる噴流のキャッチャーなので、摩耗しない程度の距離を保つことが優先となる。
【0027】
更に他の相違点としては、(3) オリフィスの形状の相違である。基本的に同じ形状のものを使用してもよいが、違いを出すとすれば、微粒化ノズルは、微粒化衝撃力が必要なため、なるべく噴流速度が落ちないように噴流をストレートに噴射する形状となる。一方、背圧ノズルは、噴流流れ形状は関係ないので、どのような形状でもよい。むしろボールに衝撃を与えないよう、噴流が散るオリフィス形状が良い。
【0028】
他の相違点としては、(4) 硬質体の選択がある。背圧ユニットの硬質体は、微粒化チャンバーよりも衝撃力が小さいので、小さくすることができ、材質も衝撃に弱い者を選択することもでき、微粒化チャンバーと同じ材質としてもよい。また、(5) 背圧ユニットは、P1/P2=7〜30、現実に近くは10〜24と低いので、耐圧・摩耗対策構造を単純化することができる。
【実施例】
【0029】
1.硬質粒子対応背圧ユニットを備えた微粒化装置の構成
図1は本発明の微粒化装置用硬質粒子対応背圧ユニットの一実施例を備えた微粒化装置の構成を示す説明図である。図2図1の要部の構成を示す説明図である。図3は3段の背圧ユニットとした別の要部の構成を示す説明図である。
【0030】
図1に示す通り、本実施例の微粒化装置用硬質粒子対応背圧ユニットを備えた微粒化装置10は、主な機器として、原料を加圧する2基の増圧機12と、この増圧機12で加圧された原料の高圧噴流を100〜245MPaの噴射圧で噴射させて微粒化する微粒化チャンバー20と、この微粒化チャンバー20の排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから衝突室31に支承された硬質体に高圧噴流を衝突させる少なくとも一つの背圧ユニット30と、背圧ユニット30を経た原料の熱を回収する熱交換器19とを備える。
【0031】
個々の機器は、流路で連通されている。具体的には、原料を投入するための原料供給口11から増圧機12の供給口へ原料を供給する増圧機供給流路15と、増圧機12のハウジング内部から微粒化チャンバー20内部の微粒化ノズルまで加圧された原料を供給する微粒化ノズル供給流路16と、微粒化チャンバー20の微粒化ノズルから噴射された原料の背圧状態を維持させて前記背圧ユニット30の背圧ノズルまで原料を供給する背圧ノズル供給流路17と、背圧ユニット30内部の硬質体に衝突された原料の背圧状態を維持させて下流に供給する背圧ユニット後続流路18とを備える。
【0032】
図2に示す通り、微粒化チャンバー20は、内部の衝突室21内に微粒化硬質体23が支承され、この硬質体23に、増圧機12で加圧された原料を微粒化ノズル22で高圧の噴射圧で噴射させて衝突させる。具体的には、微粒化ノズル22のノズル直径は0.1〜0.5mmであり、100〜245MPaの噴射圧で噴射させる。
【0033】
尚、増圧機12は2基の増圧機12のシリンダ内を摺動するプランジャを半周期ずらして駆動することにより、2組のチェック弁13,14によって、常に微粒化ノズル供給流路16に高圧力で原料が加圧される。また、微粒化チャンバー20の直前の微粒化ノズル供給流路16には高圧用の圧力センサー24が装着され、背圧ユニット30の直前の背圧ノズル供給流路17には背圧用の圧力センサー34が装着されている。
【0034】
本実施例の微粒化装置10では、原料を微粒化する場合には、増圧機12のプランジャをシリンダ内を摺動可能に設置する。2基の増圧機12のシリンダ内を摺動するプランジャを半周期ずらして駆動することにより、チェック弁13,14の開閉によって、原料が原料供給口11から供給され、増圧機12にてMAX245MPaに加圧され、微粒化チャンバー20にて微粒化される。その後、背圧ユニット30にて微粒化が促進され、熱交換器19を通りより排出される。
【0035】
背圧ユニット30は、微粒化チャンバー20と同様に、内部の衝突室31内にセラミックボール製の背圧硬質体33が支承され、この背圧硬質体33に微粒化チャンバー20の排出口から排出される原料の背圧で背圧ノズルから噴射させて衝突させる。具体的には、背圧ノズル32のノズル直径は0.16〜1.2mmであり、おおよそ8〜20MPaの噴射圧で噴射させる。背圧ユニット30は、1段だけでなく、2段、3段と連設されてもよい。図3に示す通り、別の実施例では、背圧ユニット30を3段連設している。
【0036】
2.乳化、粉砕、分散試験を実施
図2及び図3に示した硬質粒子対応背圧ユニットを備えた微粒化装置を用いて、3種類原料の乳化、粉砕、分散試験を実施した。背圧をかける形態を、従来のバルブタイプ、ダイヤモンドオリフィス+セラミックボールタイプの硬質粒子対応背圧ユニットで比較した。評価は、それぞれの原料の粒度分布のメジアン径で行った。尚、粒度分布計は、LA−910Wレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製)を用いた。
【0037】
2-1.流動パラフィンの乳化について
原料は、流動パラフィン(分散剤ドデシル硫酸ナトリウムSDS3wt%)であり、溶媒はイオン交換水とした。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示す通り、本実施例の硬質粒子対応背圧ユニットを用いることで、従来バルブ方式よりも乳化性能が良くなった(液滴径低下)。背圧後のセラミックボール衝突衝撃が効果として現れた。硬質粒子対応背圧ユニットの1段よりも3段の方が乳化性能が良く、3段背圧により、乳化に悪い影響を及ぼす気泡発生に対して、その抑制に効果があることが示された。
【0040】
2-2.炭酸カルシウム粒子の粉砕について
用いた原料は、炭酸カルシウム 5w%であり、溶媒はイオン交換水とした。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
表2に示す通り、炭酸カルシウムには従来の背圧用バルブは使えなかったが、本機構の硬質粒子対応背圧ユニット1段を用いることで、背圧無と比較して粒子径が小さくなった。また、炭酸カルシウムは硬質粒子のために従来の背圧用バルブは使えなかった。本機構の硬質粒子対応背圧ユニット1段を用いることで、従来の背圧無と比較して粒子径が小さくなった。
【0043】
2-3.カーボンナノチューブ繊維の分散について
用いた原料は、カーボンナノチューブ(CNT)1w%(分散剤添加)であり、溶媒はイオン交換水とした。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3に示す通り、CNTは繊維状のため、従来の背圧用バルブは使えなかったが、本機構の硬質粒子対応背圧ユニット1段を用いることで、背圧無と比較して粒子径が小さくなった。また、硬質粒子対応背圧ユニットの1段と3段では1段の方が粒子径が小さくなった。3段にすると、噴流の速度が抑制されるため、剪断力と衝突力が小さくなるためと考えられた。
【0046】
尚、本発明における微粒化装置では、Oリングシールを用いる必要がないため、液体が溶剤の場合や、医薬品対応装置に使用しやすく、121℃の蒸気滅菌対応も可能となる利点も奏する。
【符号の説明】
【0047】
10…微粒化装置、
11…原料供給口、
12…増圧機、
13…チェック弁、
14…チェック弁、
15…増圧機供給流路、
16…微粒化ノズル供給流路、
17…背圧ノズル供給流路、
18…背圧ユニット後続流路、
19…熱交換器、
20…微粒化チャンバー、
21…衝突室、
22…微粒化ノズル、
23…微粒化硬質体、
24…高圧用の圧力センサー、
30…背圧ユニット、
31…衝突室、
32…背圧ノズル、
33…背圧硬質体、
34…背圧用の圧力センサー、
図1
図2
図3