(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インプラントが、その長さの一部に沿って延在する長手溝を備え、前記長手溝は、前記インプラントが前記髄内釘に対する所望の位置にあるときに、前記ロック部材の突起部に位置合わせされる、請求項1に記載の装置。
前記第1の構成要素および前記第2の構成要素が、互いに長手方向にかつ回転可能に結合され、前記第1の構成要素は、前記髄内釘のチャネル内の対応するねじ山に係合するための、その一部の周りのねじ山を備える、請求項5に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、同様の要素が同じ符号で参照される以下の説明および添付の図面を参照しながらさらに理解することができる。本発明は、長骨の骨折を治療するための装置に関し、特に、内部固定装置に関する。本発明の例示的な実施形態は、大腿骨の骨折の治療について以下に説明されているが、本発明は、例えば、上腕骨、脛骨などの他の骨折の治療に用いることもできるため、本発明の適用を大腿骨の骨折に限定することは意図されていないことに留意されたい。また、本明細書で使用される遠位および近位という用語は、装置の使用者に向かう方向(近位)および使用者から離れる方向(遠位)を指すことにも留意されたい。上記のように、長骨の骨折、特に、破損が転子頭部と骨の骨幹との間に生じている骨折は、骨の骨幹の軸に沿って(すなわち、髄管内に)髄内装置を挿入することによって治療することができる。よって、インプラントは、髄内装置を貫通させて骨に横方向に転子頭部内まで挿入することができる。本発明に係る装置は、寛骨臼に向かう転子頭部内へのインプラントのさらなる移動(すなわち、内側移動)を最小に抑えながら、骨への挿入位置に向かう所望の程度のインプラントの移動(すなわち、外側移動)が可能になるように設計されている。
【0008】
図1〜
図11に示すように、本発明の例示的な実施形態に係る装置100は、インプラント102と、内側移動を防止しながらもインプラント102の釘104内における外側への限定された移動を可能にするロック機構106(例えば、ラチェット機構)を備えた髄内釘104とを備える。
図1に示すように、斜めの開口部108は、釘104の長手軸に対してほぼ垂直な平面において釘104を貫通している。開口部108は、インプラント102を内部に受容するように寸法決めされている。長手軸に沿って釘104の一部を貫通するチャネル110は、開口部108に向かって開放され、かつロック機構106を収納している。図示の実施形態では、インプラント102が斜めの開口部108に挿入されるとロック機構106がインプラント102の遠位側に係合するように、チャネル110およびロック機構106は開口部108の遠位に延在している。当業者であれば、チャネル110およびロック機構106が代わりにインプラント102の近位側に位置し得ることを理解するであろう。ロック機構106は、つめ部材105に係合してつめ部材105を付勢してインプラント102に接触させる付勢部材140(例えば、ばね)を備える。
【0009】
図2に示すように、所望の構成に組立てられるとチャネル110に重なり合うインプラント102のロック係合部分の遠位接面は、つめ部材105の対応する構造に係合する特徴部を備える。具体的には、インプラント102は、近位端114から、ブレードまたは他の骨係合構造(図示せず)の近位端に結合される遠位端(図示せず)まで延在するシャフト112を備える。当業者によって理解されるように、骨係合構造は、シャフト112の遠位端から遠位に延在するヘリカルブレードとして形成されていてもよい。ただし、骨係合構造は、例えば、ラグスクリューなどの任意の他の固定手段であってもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0010】
シャフト112のロック係合部分は、シャフト112の長さの一部に沿って、互いに離間した複数の当接構造116を備える。当接構造116はそれぞれ、そのすぐ遠位にある当接構造116の半径方向内端に隣接する位置から延在しかつ当接面119まで外側に徐々に角度をなす傾斜面117を備える。当業者によって理解されるように、当接構造116の当接面119は、インプラント102の長手軸に対してほぼ垂直に延在していてもよい。
【0011】
図3aに示すように、つめ部材105は、開口部108の角度にほぼ位置合わせされるように角度付けされたインプラント係合面130を備える。近位に面する当接面127を備えたつめ126は、動作位置にある場合、つめ126の当接面127がインプラント102の当接構造116のうちの1つの当接面119に係合するように表面130から延在している。従って、つめ126とシャフト112の当接構造116との係合によって、釘104に対するインプラント102の内側移動が防止される。ただし、つめ126の角度を有する遠位面および当接構造116の角度を有する表面117によって、シャフト112がつめ部材105上を外側に摺動できるため、インプラント102を、外側に摺動させることができる。インプラント102の開口部108への挿入時に、インプラント102が骨の中の所望の位置に前進するまで、シャフト112と突起部128との接触によって、シャフト112のロック係合部分をつめ126に接触させずに移動させるように傾斜面134を備えた突起部128は、つめ126よりも長い距離だけインプラント係合面130から外側に延在している。インプラント102は、所望の位置にあると、突起部128がシャフト112内に形成された溝118に位置合わせされかつそこに挿入されるロック位置までその長手軸の周りを回転する。この時点で、シャフト112の当接構造116とつめ126が互いに対して位置合わせされるため、突起部128の溝118への挿入により、インプラント102がつめ部材105の方向に移動すると、つめ126は、インプラント102の所望の最中間位置に対応する当接構造116のうちの1つに係合する。上述のように、つめ126の当接面127と当接構造116の当接面119との係合により、インプラント102のさらなる内側移動が防止される。つめ部材126と対応する当接構造116とのこの接触は、つめ部材105をシャフト112に向けて付勢する付勢部材140によって常に維持される。
【0012】
ロック機構106が第1および第2の構成を越えて移動しないように、ロック機構106は、ロック機構106を髄内釘104に固定するピン(図示せず)を受容するために、肩122の遠位に、ロック機構106を横方向に貫通する細長い穴124を備えていてもよい。従って、髄内釘104も、穴136の位置が細長い穴124の位置に対応するように、斜めの開口部108の遠位に、横方向にそこを貫通する穴136を備える。ロック機構106が長手軸に沿って髄内釘104に対して移動する間、髄内釘104が静止した状態を維持するように、穴136は、ほぼ円形であってもよい。ロック機構106および髄内釘104は、互いに対して回転しないが、髄内釘104の長手軸に沿って、第1の構成と第2の構成との間を移動できるように、穴124、136に挿入されたピンによってロック機構106が髄内釘104に固定されることは当業者によって理解されるであろう。
【0013】
他の実施形態では、
図3b〜
図3cに示すように、ロック機構106’は、髄内釘104’内にロック機構106’を固定するために細長い穴ではなく凹部124’と共に形成されたつめ部材105’を備えていてもよい。凹部124’は、髄内釘104’および凹部124’に挿入されるピン137’によって、髄内釘104’内に固定されていてもよい。ロック機構106’は、ロック機構106にほぼ類似しており、ほぼ同じ方法で装置100に使用することができる。凹部124’は、つめ部材105’の外面125’に形成されていてもよく、第1の部分142’、第2の部分144’および第3の部分146’を備えてもいてよい。第1の部分142’は、つめ部材105’のエッジ156’から第1の部分142’の近位端148’まで外面125’の一部に沿って長手方向に延在している。第2の部分144’は、第1の部分142’の近位端148’から対向端150’まで外面125’の一部に沿ってほぼ水平に延在している。第3の部分146’は、遠位方向に外面140’に沿って、端部150’から長手方向に延在している。第1の部分142’、第2の部分144’および146’は、それらが単一の連続凹部124’を形成するように結合されている。
【0014】
髄内釘104’は、穴136’の位置づけが凹部124’の位置に対応するように、斜めの開口部108’の遠位に、髄内釘104’の片側を横方向に貫通する穴136’を備える。穴136’は、その中にピン137’を受容するように適合および構成されている。ピン137’の長さは、髄内釘104’の厚さよりも僅かに大きくてもよい。髄内釘104’の厚さは、髄内釘104’の外面109’から、長手方向にそこを貫通する髄内釘104’のチャネル110’までの距離によって決定される。従って、ピン137’の近位端152’が外面109’と同一表面にあるようにピン137’が穴136’に挿入されると、ピン137’の遠位端154’は、凹部124’に係合するようにチャネル110’の中に延在する。ロック機構106’が長手軸に沿って髄内釘104’に対して移動する間、髄内釘104をほぼ静止した状態に維持するように、穴136’は、ほぼ円形であってもよい。
【0015】
ロック機構106’を髄内釘104’内に固定するために、付勢部材140’によってつめ部材105’を、開口部108’に挿入されるインプラント(図示せず)との接触位置の方に付勢するように、ロック機構106’の付勢部材140’が、つめ部材105’と共にチャネル110’に挿入されていてもよい。つめ部材105’は、穴136’に挿入されるピン137’の遠位端154’が第1の部分142’のエッジ156’を通って凹部124’の第1の部分142’に係合するまで、チャネル110’内に遠位に挿入される。つめ部材105’は、第1の部分142’の近位端148’がピン137に接触するまで、第1の部分142’がピン137’に沿って摺動するように、付勢部材140’の付勢に抗してさらに遠位に押圧される。次いで、ピン137’が第2の部分144’の対向端150’に接触するまで第2の部分144’がピン137’に沿って摺動するように、つめ部材105’を、その長手軸の周りに回転させてもよい。対向端150’に到達するとすぐに、つめ部材105’を解放し、ピン137’が第3の部分146’の遠位端158’に係合するまで、第3の部分146’をピン137’に沿って摺動させるように、付勢部材140’によってつめ部材105’を近位方向に付勢してもよい。従って、装置100に関して記載したように、一旦ロック機構106’が髄内釘104’内に固定されると、ロック機構106’は、インプラントに係合するように長手軸に沿って移動可能であることが当業者によって理解されるであろう。ロック機構106’の長手方向移動によって、第3の部分146’がピン137’の遠位端154’に沿って長手方向に摺動される。
【0016】
図4〜
図5に示す第1の構成では、インプラント102が開口部108内に存在していない場合、インプラント係合面130は、斜めの開口部108の壁に位置合わせされ、つめ126および突起部128が斜めの開口部108の中に延在している。そして、インプラント102が開口部108に挿入されると、
図6および
図7に示す第2の構成まで突起部128をチャネル110内に移動させる第2の構成まで、インプラント102と傾斜面134との接触によってつめ部材105をチャネル110内に圧入して、インプラント102が開口部108内を内側に前進できるようにする。つめ部材105は、髄内釘104の開口部136を貫通しかつ、つめ部材105の細長い開口部124を貫通するピン135によって、所望以上に(すなわち、所望の第1の構成を越えて)開口部108内にさらに移動しないように拘束されている。上述のように、インプラント102が骨の中の所望の位置に挿入されると、溝118が突起部128と位置合わせされるまで、インプラント102はその軸の周りを回転する。この時点で、付勢部材140は、突起部128がスロット118内に受容されかつ、つめ126がインプラント102の当接構造116のうちの1つに係合した状態であって、インプラント102の骨の中への所望の最大挿入に対応する第1の構成まで、つめ部材105を逆に移動させる。その後、力がインプラント102に加えられるにつれて(例えば、重みが骨にかかるにつれて)、傾斜面117がつめ126上を摺動するため、インプラント102を外側に移動させることができる。当接面119は、つめ126に係合して、どんなさらなる内側移動も防止する。さらに、各当接面119がつめ126を越えて外側に移動すると、インプラント102の新しい最中間位置が画定される。
【0017】
髄内釘104は、斜めの開口部108の下に配置されたチャネル110内に肩138をさらに備えていてもよい。縮径したシャフト120は、つめ部材105の端部からつめ部材105の上部の端部にある肩122まで延在している。付勢部材140は、つめ部材105を開口部108の方に付勢するために、肩122とチャネル110の肩138との間に受容されている。肩138よりも開口部108に近いチャネル110の一部の直径は、開口部108から遠ざかり肩138を過ぎて延在するチャネル110の一部の直径よりも大きい。チャネル110のこれらの部分の直径は、つめ部材105の近位端118とシャフト120の直径にそれぞれ対応することは当業者によって理解されるであろう。
【0018】
使用時、髄内釘104は、斜めの開口部108の中心軸が大腿骨頸部の中心軸にほぼ位置合わせされた状態で、(例えば、大腿骨の)髄内管に挿入される。髄内釘104は、任意の許容される挿入法を用いて骨に挿入され得ることが当業者によって理解されるであろう。例えば、ガイドワイヤが、長手骨幹の髄管およびそれに沿って摺動する髄内釘104に挿入されていてもよい。従って、髄内釘104およびその中に収納されるロック機構106もその長手軸に沿ってガイドワイヤ用管腔を備え得ることが当業者によって理解されるであろう。一旦髄内釘104が適切に配置されると、インプラント102は、骨を通して斜めの開口部108の中を所望の位置まで挿入され、かつ、インプラント102は、第1の構成までロック機構106を戻すように回転し、上記のようなさらなる内側移動を防止する。
【0019】
ただし、いかなる理由にせよ、インプラント102を取り出さなければならなくなった場合は、
図11に示すように、インプラント102を、斜めの開口部108の中心軸の周りに回転させて、突起部128を溝118の外に移動させ、かつ、つめ部材105を第1の構成に押し戻してもよい。この時点で、ロック機構106は、インプラント102の当接構造116から解放され、かつ、突起部128が溝118の遠位端を越えて遠位に位置づけられた後であっても、インプラント102を開口部108の外に完全に摺動させることができる。インプラント102の骨係合構造がヘリカルブレードとして形成されている場合、当業者であれば、ロック機構106とインプラント102の当接構造116との係合が維持されるように、この構造をインプラント102のシャフト112に回転可能に結合し得ることを理解するであろう。従って、挿入時のヘリカルブレードのどのような回転もシャフト112の対応する回転を必要としない。ただし、インプラント102の骨係合構造は、髄内釘104の係合によって大腿骨頭および大腿骨頸部をシャフトに固定することでできる任意の公知の構造であってもよいことが当業者によって理解されるであろう。
【0020】
図12〜
図18に示すように、本発明の別の実施形態に係る装置200は、インプラント202と、その中に収納されるロック機構206を有する髄内釘204とを備える。装置200は、
図12に示すように、上に記載した装置100にほぼ類似しており、ロック機構206を、釘204の長手軸に沿って釘204のチャネル210内に移動させる付勢部材240(例えば、ばね)を備える。ロック機構206も、インプラント202の当接構造216に嵌脱するために、つめ226を開口部208の中および外に位置づける第1および第2の構成間を移動する。
【0021】
ただし、ロック機構206のつめ部材205は、インプラント202に係合しかつ、つめ部材205を移動させるための突起部128に類似した突起部を備えていない。インプラント202は、溝118に類似した溝が設けられていないこと以外は、インプラント102にほぼ類似していてもよい。むしろ、インプラント202のシャフト212は、その長さの一部に沿って長手方向に延在しかつ、つめ部材205のインプラント係合面230から延在する翼228に係合する一対の切欠きの分離に対応する距離だけシャフト212の外周の周りで互いに分離した複数の切欠き218を備えていてもよい。従って、翼228の第1の1つは、切欠き218の対応する1つに受容される。翼228が切欠き218内に受容されると、インプラント202の当接構造216は、つめ部材205のつめ226と位置合わせされる。翼228と切欠き218との係合によって、シャフト212が開口部208内で回転するのを防止する。
図14に示すように、ロック機構206は、ロック機構106にほぼ類似していてもよく、画定された最中間位置を越えるインプラント202の内側移動を防止するために、インプラント係合面230から延在し、かつ当接構造216に係合するつめ226を有する。
【0022】
ロック機構206は、つめ部材205に係合しかつ
図15〜
図16に示す第1の構成から
図17〜
図18に示す第2の構成まで手動で移動させるためのツールをその中に挿入し得るように、開口部208の外側端に隣接する対応する開口部250に位置合わせされている外側に面した穴246を備える。穴246は、ピン252が穴250を通して穴246の中に挿入されると、ピン252が傾斜面248に摺動可能に係合して、つめ部材205をチャネル210の中にさらに押圧して当接構造216からロック機構206を解放させ、インプラント202の開口部208から第2の構成への挿入および/またはそこからの引き出しを可能にするための傾斜面248を備えていてもよい。つめ部材205が第1の構成を越えて開口部208の中に移動するのを防止するために、装置100のピン135と同じように穴248がピン(図示せず)に係合するロック機構206の細長い穴224の中に延在する必要がないように、傾斜面248によって穴246の大きさを最小にできることが当業者によって理解されるであろう。
【0023】
装置200は、上記のような装置100とほぼ同じ方法で用いることができる。ただし、釘204にインプラント202を挿入する場合、ロック機構206を第2の構成まで移動させるために、ピン252が、穴250を通してロック機構206の穴246の中に挿入される。よって、インプラント202は、上記とほぼ同じ方法で所望の位置に挿入され、ピン252は、ロック機構206を当接構造216にロックしてインプラント202のさらなる内側移動を防止するための付勢部材240の付勢によって、つめ部材205を第1の構成に戻すことができるように取り外される。装置100と同様に、当接構造216の形状によって、インプラント202を、つめ226上で外側に移動させることができる。
【0024】
図19〜
図27に示すように、本発明の別の実施形態に係る装置300は、インプラント302と、その中に収納されるロック機構306を有する髄内釘304とを備える。装置300は、
図19〜
図20に示すように、以下に具体的に示すこと以外は、上記装置100、200にほぼ類似している。インプラント302もインプラント102にほぼ類似しており、複数の当接構造316および長手溝318を有するシャフト312を備える。髄内釘104と同様に、髄内釘304は、インプラント302を受容するための斜めの開口部308を備える。ただし、ロック機構306が収納される髄内釘304のチャネル310は、斜めの開口部308から髄内釘304の近位端の方に向かって近位に延在している。
【0025】
図21〜
図22に示すように、ロック機構306のつめ部材305はさらに、第1の要素318および第2の要素320からなっている。第1の要素318および第2の要素320が長手軸に沿ってかつそれらの周りで互いに対して移動可能であるように、第1の要素318が第2の要素320に結合していてもよい。
図23〜
図24に示すように、第1の要素318は、頭部360と、シャフト362と、それに応じて成形された第2の要素320の凹部に係合するように構成されたシャフト362の遠位端366において球372とを備える。球372の直径は、シャフト部分362の直径よりも大きくてもよい。
【0026】
頭部360は、シャフト362の近位端364から近位に延在し、かつ、その外面の周りにねじ山368を備える。頭部360は、その近位端370に、駆動ツールを受容するように構成された駆動構造376をさらに備える。例えば、駆動構造376は、駆動ツールの六角形の先端部分を受容するように構成された六角形の凹部であってもよい。ただし、駆動構造376は、第2の要素320および髄内釘304に対して第1の要素318を回転させることができるツールを受容するように構成されている限り、任意の様々な形状および大きさを有し得ることが当業者によって理解されるであろう。頭部360の遠位端374にある遠位に面する表面に形成された環状溝322は、付勢部材340(例えば、ばね)の近位端344を受容する。付勢部材340は、第1の要素318のシャフト362の周りに延在していてもよい。第1の要素318は、リーマロッドまたはガイドワイヤなどの器具を収容するために、そこを長手方向に貫通する内腔378を備えていてもよい。
【0027】
図25〜
図26に示すように、第2の要素320は、近位端380から遠位端382まで延在し、かつ、玉継手を形成するために、第1の要素318の球372を収容するように寸法決めおよび成形された空間346をその中心部に備える。近位端380は、球372が空間346に受容される際に、シャフト部分362を収容するための、空間346の中に延在する穴384を備える。第2の要素320は、球372が開口部348を通って空間346内にスナップ止めされ得るように、第2の要素320の外面386の一部に沿って開口部348をさらに備えていてもよい。開口部348は、球372の直径よりも小さくしなければならないため、第2の要素320は、その中に球372をスナップ止めするために僅かに変形させなければならず、球372は、そこから容易に抜け出ることはできない。
【0028】
遠位端382は、当接構造316に係合するための第1の突起部326と、長手溝318に係合するための第2の突起部328とを備える。第1の突起部326の角度を有する表面325は、当接構造316の突起部326上での近位摺動に対する抵抗を最小にするように、当接構造316のそれぞれの傾斜面317の角度にほぼ平行して形成されていてもよい。従来の実施形態と同様に、突起部326の当接面327と当接構造316のいずれかの当接面319との接触によって、インプラント302が最初に設定された最中間位置を越えて内側に移動するのを防止する。第2の突起部328は、長手溝318がそれに沿って摺動し得るように、長手溝318内に受容されるように寸法決めおよび成形されている。第1の突起部326と複数の切欠き316との係合および第2の突起部328と長手溝318との係合によって開口部308の長手軸の周りにおけるインプラント302のシャフト312の回転を防止するように、第1および第2の突起部326、328は、インプラント302の長手軸に対して互いの対向側に配置されていてもよい。また、第2の要素320の近位端380は、付勢部材340が第2の要素320を付勢してインプラント302に接触させるように、付勢部材340の遠位端342を受容するための、開口部384を取り囲む溝338を備えていてもよい。
【0029】
第2の要素320は、第2の要素320の長さの少なくとも一部に沿って外面386から延在する長手要素388をさらに備える。
図27に示すように、長手要素388は、第2の要素320および髄内釘304が、長手軸に沿って互いに対して移動可能であるが、長手軸の周りを互いに対して回転不可能なように、髄内釘304のチャネル310内の長手スロット390内を摺動可能であるように構成されていてもよい。
【0030】
インプラント302は、インプラント302が釘304および骨に対して所望の位置に到達するまで、髄内釘304の斜めの開口部308に挿入されてもよい。所望の位置に到達したら、ロック機構306が釘304内を長手方向に摺動し得るように、長手要素388を長手スロット390に位置合わせすることによって、組立てられたロック機構306が髄内釘304のチャネル310に挿入されてもよい。次いで、当業者によって理解されるように、駆動ツールを駆動手段376に挿入して、第1の要素318を第2の要素320に対して回転させることによって、ロック機構306を所望の距離だけチャネル310内に移動させてもよい。従って、チャネル310は、第1の要素318およびチャネル310が互いに係合し得るように、第1の要素318のねじ山366に対応するねじ山(図示せず)を備えていてもよい。第1の要素318が長手軸の周りを回転すると、第1の要素318は、第2の要素320をチャネル310内にさらに押圧する。ロック機構306は、第2の要素320の遠位端382がインプラント302のシャフト312に接触するまで、チャネル310内に移動させてもよい。
【0031】
インプラント302は、ロック機構306がシャフト312に接触するとすぐに、第1の突起部326が、インプラント302の所望の最中間位置に対応する当接構造316のうちの1つに係合し、第2の突起部328が長手溝318に係合するように配置されていなければならない。先に説明した実施形態と同様に、インプラント302がロック機構306に係合した後、インプラント302は、開口部308に対して外側に移動し得るが、突起部326と対応する当接構造316との必要とされる接触を維持するように動作する付勢部材340による突起部326の当接面327と、インプラントの対応する当接構造316の当接面319との接触によって、内側移動が防止される。
【0032】
図28〜
図34に示すように、本発明のさらなる実施形態に係る装置400は、装置300にほぼ類似していてもよいが、インプラント402および髄内釘404からなるだけでなく、そのラチェット機構は、インプラント402の互いの対向側に第1および第2の部分406および492をそれぞれ備える。
図28に示すように、インプラント402は、シャフト412の長さの一部に沿って分配された複数の当接構造416を備えたシャフト412を備える。インプラント102、202および302と同様に、当接構造416はそれぞれ、インプラント402の外側移動を可能にしながらも、インプラント402の最初の位置が設定された後(例えば、埋め込み後すぐに)、第1の構成において、インプラント402の内側移動を防止するようにロック機構の第2の部分492のつめに係合する遠位に面する当接面419を有するシャフト412の近位端414に向かって角度付けされている。
【0033】
髄内釘404は、チャネル410が、開口部408の近位にある近位端494から斜めの開口部408の遠位にある遠位端496まで斜めの開口部408を跨いで延在すること以外は、髄内釘304にほぼ類似していてもよい。ロック機構の第1の部分406は、斜めの開口部408の近位に延在するチャネル410の一部に収容され、第2の部分492は、斜めの開口部408の遠位にあるチャネル410の一部に収容されている。
【0034】
ロック機構306と同様に、第1の部分406は、第1の要素418の溝422および第2の要素の溝438の中にその間で保持される付勢部材440によって第2の要素420に結合可能な第1の要素418を備える。
図33に示すように、第1の要素418および第2の要素420は、第2の要素420の空間446に挿入可能な第1の要素418の球472を介して互いに結合していてもよい。ただし、第2の要素420は、開口部408の外周の外側で第2の要素420の外面486の遠位端482から半径方向に延在する細長い突起部428を備える。細長い突起部428は、斜めの開口部408の直径よりも長いため、ロック機構306が、第1の構成から第2の構成まで、チャネル410内を長手方向に移動すると、細長い突起部428は、開口部408と交わって、ロック機構の第2の部分492を作動させ、第2の部分492を回動させる。具体的には、遠位端482は、常に開口部408の近位に維持されているが、突起部428は、第2の部分492に到達するために開口部408に沿って、かつ、その外側に延在する。第1の構成では、
図29〜
図30に示すように、ロック機構の第1の部分406は、細長い突起部428が第2の部分492から分離された状態でチャネル410内に配置されている。
図31および
図32に示すように、第2の構成まで移動すると、ロック機構の第1の部分406は、第2の部分492のインプラントに面する表面430から突出するつめ426がインプラント402の所望の最中間位置に対応する当接構造416に係合するように、チャネル410内を通って遠位に移動し、細長い突起部428を斜めの開口部408を越えて遠位に移動させ、第2の部分492を回動させる。
【0035】
図34に示すように、第2の部分492は、開口部408の遠位に延在するチャネル410の一部内に嵌合するように寸法決めおよび成形されている。その近位表面430は、第1の構成に位置づけられた場合、斜めの開口部408の表面にほぼ位置合わせされるように角度付けされていてもよい。第2の部分492は、チャネル410内に回転可能に取り付けられており、例えば、髄内釘404の対応する穴436を通して挿入されるピン(図示せず)を受容するための穴424を備える。第2の部分492は、突起部428に接触するとピンの周りを回転し、つめ426が開口部408の中に回動してインプラント402の当接構造に係合する。つめ426が斜めの開口部408の外側にとどまる第1の構成の方に第2の部分492を付勢するために、装置400は、髄内釘405内に付勢部材内腔498と、付勢部材500とをさらに備える。付勢部材500は、付勢部材500の近位端502が第2の部分492の遠位端431に当接し、付勢部材500の遠位端504が内腔498の遠位端506に当接するように、内腔498内に収容されていてもよい。従って、細長い突起部428が第2の部分492のインプラントに面する表面430を第2の構成に向けて押圧する場合を除き、第2の部分492は、常に第1の構成の方に付勢されている。
【0036】
装置400は、装置100、200および300とほぼ同じ方法で使用することができる。髄内釘404を大腿骨骨幹内に配置するとすぐに、ロック機構の第1および第2の部分406、492がそれぞれ第1の構成に位置づけられた状態、すなわち、細長い突起部428もつめ426も開口部408の中に延在していない状態で、インプラント402が髄内釘の斜めの開口部408に挿入されてもよい。インプラント402が、開口部408を通して骨の中の所望の位置まで挿入された後、装置300について上に記載した方法と同じ方法で、第1の部分406を第2の構成まで移動させ、細長い突起部428を、それが第2の部分492のインプラントに面する表面430を押圧するまで遠位に移動させ、それにより、第2の部分492を回動させ、かつ、つめ426を、斜めの開口部408の中に移動させて、インプラント402の所望の位置に対応しかつインプラント402の最中間位置を画定する当接構造416に係合させる。上述のように、当接構造416の形状は、インプラント402の開口部408内での外側移動を可能にするように選択される。
【0037】
図35〜
図41に示すように、本発明のさらに別の実施形態に係る装置600は、以下に具体的に記載されていること以外は、装置300にほぼ類似していてもよい。
図35に示すように、装置600は、インプラント602と、髄内釘604と、ロック機構606とを備える。
図36に示すように、インプラント602は、インプラント302に関して上に記載したような複数の当接面とは対照的に、1つの窪んだテーパ状の表面616を有するシャフト612を備える。テーパ状の表面616は、近位端614における壁614’の長さが遠位端615における壁615’の長さよりも短くなるように、表面618のテーパが近位端614から遠位端615に向かって増加する状態で、近位端614から遠位端615まで延在している。テーパ状の表面616は、ロック機構606の一部を受容するように適合および構成されている。髄内釘604は、髄内釘304にほぼ類似していてもよく、インプラント602を受容するための斜めの開口部608と、髄内釘604の近位端に向かって斜めの開口部608の近位に、ロック機構606をその中に収納するためのチャネル310とを備える。
【0038】
図37〜
図38に示すように、ロック機構606は、装置300のロック機構306にほぼ類似していてもよい。同様に、ロック機構606は、その間に保持される付勢部材640(例えば、ばね)によって、第2の要素620に結合可能な第1の要素618を備える。付勢部材640だけでなくロック機構606は、付勢部材640の遠位端642と第2の要素620の近位端680との間に保持された傾斜したプレート692をさらに備え、第2の要素620の第1の要素618に向かう移動を選択的に防止する。具体的には、傾斜したプレート692は、プレートを貫通しかつ大きさおよび形状が第1の要素618のシャフト662の外面に厳密に適合する開口部698を備えるため、傾斜したプレート692がシャフト662の長手軸に対してほぼ垂直な平面から角度付けされている場合、開口部698の周辺部とシャフト6662の外面との摩擦係合によって、第1の要素618と第2の要素620との相対的な移動が防止される。第1の要素618は、第1の要素318にほぼ類似しており、シャフト662の近位端において頭部660と、第2の要素620内にそれに応じて成形された凹部に係合するように構成されたその遠位端666において結合要素672とを備える。頭部660のねじ山は、上に記載した方法と同じ方法で、髄内釘604の内面に係合させてもよい。
【0039】
第2の要素620は、第2の要素320にほぼ類似していてもよく、近位端680から遠位端682まで延在し、かつ、髄内釘604の長手軸に沿ったその間での相対的な移動を可能にするための第1の要素618の結合要素672を摺動可能に収容するために、その中心部に空間646を備える。先の実施形態の第1および第2の突起部の代わりに、第2の要素620は、インプラント602のテーパ状の表面616に係合する1つの細長い突起部626を備える。細長い突起部626は、第2の要素620の外面686の遠位端682から延在し、かつ、その遠位先端部626に向かって厚さが減少するまでテーパ状になっている。インプラント602が釘604内を遠位に前進するにつれて、テーパ状の表面616の増加する深部によって、突起部626の厚さが漸増するより近位な部分がテーパ状の表面616に係合し始めることを可能にしながら、テーパ状の表面616のより薄い遠位端615に細い遠位先端部626が受容されるように、細長い突起部626のテーパを選択してもよい。テーパ状の表面616は、インプラント602が釘604内を所望の距離だけ前進した場合に、突起部626が、インプラントの近位端614に隣接するテーパ状の表面616に対して完全に受容されて、インプラント602を最遠位許容位置にロックするように形成されていてもよい。具体的には、付勢部材640が第2の要素620を遠位に移動させて、突起部626をさらに付勢してテーパ状の表面616に係合させると、傾斜したプレート692は、第2の要素620が第1の要素618に向かって近位に逆に移動することを防止するロックとして機能する。これにより、突起部626のより厚い近位部分とテーパ状の表面616との係合を維持し、突起部626の近位部分の厚さがテーパ状の表面616のより遠位な部分の深さを上回ると、インプラント602の釘604に対する遠位移動が防止される。インプラント602のテーパ状の表面616の全幅が細長い突起部626の接触表面625に係合され得るように、細長い突起部626の長さは、斜めの開口部608の直径とほぼ等しいかそれよりも大きい。
【0040】
インプラント602は、開口部608を通して骨の中の所望の位置に挿入されてもよい。インプラント602の挿入の間、ロック機構606は、髄内釘604内において、細長い突起部626が開口部608の中に延在していない第1の位置に位置づけられる。一旦インプラント602が開口部608を通して所望の位置まで挿入されると、ロック機構606は、細長い突起部626がインプラント602に接触し、かつ接触表面625が窪んだテーパ部分616に当接する第2の位置までチャネル610内を遠位に移動する。従って、インプラント602のテーパ状の表面616は、骨の中の所望の深さに埋め込まれると、髄内釘604の開口部608全体に延在することが当業者によって理解されるであろう。
【0041】
具体的には、ロック機構606が第2の位置にある場合、装置600は、接触表面625の遠位部分がテーパ状の表面616に当接している状態で、
図39に示すように、最初の埋め込み位置に位置づけられる。
図40に示すように、シャフト612に沿って遠位に増加するテーパ状の表面616のテーパおよびロック機構606の第2の要素620を付勢して髄内釘604の長手軸に沿って第1の要素618から遠ざける付勢部材640によって、インプラント602は、最終的な最近位位置に向けて、接触表面625とテーパ状の表面616との接触を維持しながら、開口部608内を近位に移動させることができる。テーパ状の表面616の遠位端615の幅が接触表面625に接触するまでインプラント602が開口部608内を外側に移動した後に、最終位置に到達する。インプラント602が開口部608内を外側に移動すると、付勢部材640がロック機構の第2の部分620を遠位に押圧するため、細長い突起部626とテーパ状の表面616との持続的な接触が維持される。
【0042】
インプラント602が最終的な埋め込み位置に到達するまで、および到達後に、ロック機構606をロックして第2の部分620が髄内釘604内に固定された第1の要素618の方に向かってチャネル610内を近位に移動するのを防止する傾斜したプレート692によって、インプラント602は常に、開口部608内での内側移動が防止されている。
図41に示すように、傾斜したプレート692は、互いに対して角度を有し、互いに対してほぼ垂直な第1の部分694および第2の部分696を備える。上述のように、第2の部分696は、傾斜したプレート692の近位表面が付勢部材640の遠位端642に係合した状態で、プレートを貫通する開口部698を備え、第1の部分694の遠位端700は、第1の要素618のシャフト662が開口部696内に受容され、第2の部分696の表面が付勢部材640の遠位端642に当接した状態で、第2の要素620の近位表面680に係合し、第1の部分694のエッジ700は、第2の部分620の近位端680に当接している。開口部698は、シャフト662の周辺部よりも僅かにのみ大きいため、インプラント602が斜めの開口部608内で内側に移動しようとすると、インプラント602が、第2の部分620を方向Pに押圧し、第2の部分696をシャフト662に対して曲げ、かつ開口部698の内面702をシャフト662の外面704に接触させて、シャフト662がその中を摺動するのを防止し、かつ第2の部分620が方向Pに移動しないように防止する。
【0043】
装置600は、装置300に関して上に記載した方法とほぼ同じ方法で使用することができる。一旦髄内釘604が骨の髄内管内に配置されると、インプラント602は、骨の中の所望の位置に到達するまで、斜めの開口部608内を内側に挿入することができる。インプラント602が開口部608に挿入されている間、ロック機構606は、開口部608の上で近位に保持された細長い突起部626によって、第1の位置に維持されており、その中へのインプラント602の挿入のために経路を空けた状態にしている。テーパ状の表面616が髄内釘604の開口部608全体に延在する状態で、インプラント602が骨の中の所望の最遠位位置に到達した後、細長い突起部626が、第2の位置において接触表面625がインプラント602のテーパ状の表面616に係合した状態で開口部608の中に延在するまで、ロック機構606を、髄内釘604内に遠位に移動させる。インプラント602が最初の埋め込み位置において開口部608内に位置づけられた後でさえ、釘604に対する遠位移動をほぼ防止しながら、インプラント602は、開口部608内を近位に移動する。ただし、一旦インプラント602が最終的な埋め込み位置に到達すると、インプラント602は、上記のように釘604に対する近位および遠位へのさらなる移動が防止される。
【0044】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の構造および手順における様々な修正および変形が可能であることは当業者には明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に含まれている限り、本発明の修正および変形を包含することが意図されている。