特許第6596403号(P6596403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596403
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】振動装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/40 20060101AFI20191010BHJP
   B65D 88/66 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B65G65/40 B
   B65D88/66 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-183450(P2016-183450)
(22)【出願日】2016年9月20日
(65)【公開番号】特開2018-47978(P2018-47978A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2018年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165273
【氏名又は名称】月島機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修二
(72)【発明者】
【氏名】中込 真人
(72)【発明者】
【氏名】新田 博文
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−226941(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0240671(US,A1)
【文献】 特公昭37−017912(JP,B1)
【文献】 実開昭47−003474(JP,U)
【文献】 特開2010−137182(JP,A)
【文献】 特開2013−095523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30−65/48
B65G 47/64,47/68−47/78
B65D 88/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を収容するコンテナに対して振動を印加する振動装置であって、
前記コンテナの外面に対して着脱可能な着脱手段を有し、前記コンテナに振動を印加する振動機と、前記振動機が前記コンテナの外面に接した稼働位置、および前記振動機が前記コンテナの外面から離間した待機位置との間で、前記振動機を搬送する搬送機と、を備え、
前記着脱手段は、減圧吸着機または電磁吸着機であり、
前記搬送機は、前記振動機を着脱可能に保持する係合部を有し、
前記係合部は、前記振動機の動作時には前記搬送機と前記振動機との係合が解除されていることを特徴とする振動装置。
【請求項2】
一端が前記振動機を支持する振動装置取付部に係止され、他端が前記振動機に係止され、前記振動機を吊下する吊下部材を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記コンテナは、筒部と、前記粉粒体を排出する排出口と、前記筒部から前記排出口に向かって漸次縮径される錐部と、を有し、
前記振動機は、前記コンテナの前記錐部に接して振動を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の振動装置。
【請求項4】
前記搬送機は、前記振動機を前記待機位置から前記稼働位置に移動させる際には、斜め上方に向けて移動させ、前記稼働位置から前記待機位置に移動させる際には、斜め下方に向けて移動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナに収容された粉粒体を円滑に排出させるために、コンテナに対して振動を印加する振動装置、および振動印加方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広い産業分野において、粉体、粒状体等(以下、「粉粒体」という)を収容、移送するためのコンテナ(ホッパー)が知られている。こうした粉粒体用のコンテナは、一般的に、上部が円筒形や四角筒形であり、下部が漏斗状に窄まった形状を成し、底面に開閉弁が設けられている。(例えば、特許文献1、2を参照)。こうしたコンテナに収容された粉粒体を排出させる際には、底面に設けられた開閉弁を開放させることによって、粉粒体の自然流下により排出させるようになっている。
【0003】
しかしながら、粒径が小さい微粉末や粒径にバラつきが大きい粉粒体など、塊ができやすかったり、滑らかに流動しない粉粒体の場合、コンテナの底面から排出させる際に、こうした粉粒体が排出口の付近で詰まったり、コンテナの内面に多量に付着したままになるなど、粉粒体がコンテナからスムーズに排出されにくいという課題があった。
【0004】
このため、例えば、コンテナを載置する架台にバイブレータ(振動装置)を設け、粉粒体の排出時にコンテナに対して振動を印加することにより、コンテナから粉粒体をスムーズに排出させる移送装置も知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−272679号公報
【特許文献2】特開2003−054758号公報
【特許文献3】特開平09−226941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載された移送装置は、バイブレータを支持する架台に固定された状態で、駆動手段により振動部分がコンテナに接してコンテナを振動させる構造である。このため、バイブレータの振動が駆動手段やバイブレータを支持する架台に直接伝搬し、駆動手段やバイブレータを支持する架台を結合するネジが振動によって緩んだり、駆動手段や架台の構成部材どうしの接合部分が振動によって摩耗するなど、駆動手段やバイブレータを支持する架台がバイブレータの振動によって劣化、あるいは破損しやすいという課題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであって、粉粒体向けのコンテナに対し振動を印加する振動機を支持する架台が、振動によって劣化や破損することを防止できる振動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の振動装置は、以下の構成を有する。
粉粒体を収容するコンテナに対して振動を印加する振動装置であって、前記コンテナの外面に対して着脱可能な着脱手段を有し、前記コンテナに振動を印加する振動機と、前記振動機が前記コンテナの外面に接した稼働位置、および前記振動機が前記コンテナの外面から離間した待機位置との間で、前記振動機を搬送する搬送機と、を備え、前記着脱手段は、減圧吸着機または電磁吸着機であり、前記搬送機は、前記振動機を着脱可能に保持する係合部を有し、前記係合部は、前記振動機の動作時には前記搬送機と前記振動機との係合が解除されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の振動装置によれば、振動機によってコンテナに振動を印加することで、例えば、粒径が小さい微粉末や粒径にバラつきが大きい粉粒体などであっても、コンテナ内で振動によって塊が解され、コンテナ内に堆積することなく滑らかに粉粒体を排出することができる。
【0010】
そして、搬送機は、振動機をコンテナに向けて搬送した後、振動機と搬送機との係合を解除することができる。これにより、振動機の振動中に振動機と搬送機との係合が断たれ、振動機で生じた振動が搬送機を介して振動機を支持する架台に伝搬することを抑えることが可能になる。これにより、搬送機や振動機を支持する架台を構成する部材どうしのネジ止め部分に振動が伝搬してネジが振動によって緩んだり、接合部分が振動によって摩耗するなど、搬送機や振動機を支持する架台の振動による劣化や破損を防止することが可能になる。
【0012】
本発明においては、一端が前記振動機を支持する振動装置取付部に係止され、他端が前記振動機に係止され、前記振動機を吊下する吊下部材を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
前記コンテナは、筒部と、前記粉粒体を排出する排出口と、前記筒部から前記排出口に向かって漸次縮径される錐部と、を有し、前記振動機は、前記コンテナの前記錐部に接して振動を印加することを特徴とする。
【0014】
前記搬送機は、前記振動機を前記待機位置から前記稼働位置に移動させる際には、斜め上方に向けて移動させ、前記稼働位置から前記待機位置に移動させる際には、斜め下方に向けて移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、粉粒体向けのコンテナに対し振動を印加する振動機を支持する架台や振動機を移送する搬送機が、振動によって劣化や破損することを防止できる振動装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る振動装置を備えたコンテナ排出装置を示す断面図である。
図2】本発明の振動装置とその周辺を示す要部拡大立面図である。
図3】搬送機と係合して稼働位置にある振動機の状態を示す斜視図である。
図4】待機位置にある振動機の状態を示す斜視図である。
図5】搬送機と係合が解除され稼働位置にある振動機の状態を示す斜視図である。
図6】本発明の振動印加方法を段階的に示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した一実施形態である振動装置、振動印加方法について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0021】
(振動装置)
図1は本発明の一実施形態に係る振動装置を備えたコンテナ排出装置を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態のコンテナ排出装置10は、粉粒体を収容するコンテナ20内の粉粒体Mをシュート13を介して連続的に容器(図示省略)に供給する製造工程に採用されている。
【0022】
コンテナ排出装置10は、粉粒体Mを収容するコンテナ20と、このコンテナ20を載置する架台11と、コンテナ20に振動を印加する振動装置12と、を備えて概略構成されている。
【0023】
コンテナ20は、筒部21と、この筒部21からコンテナ20の平面視中央に配置される排出口23に向かって漸次縮径される漏斗状の錐部22と、筒部21の上方を覆う天板24とを有している。また、コンテナ20の筒部21と錐部22との接続部分の四隅には、上方が膨らんだコンテナ20を安定して載置させる脚部29が形成されている。そして、コンテナ20の底部の排出口23には、開閉自在なコーンバルブ(開閉弁)25が設けられている。
【0024】
コンテナ20の筒部21は、本実施形態では四角筒状(図3参照)を成している。また、錐部22は、四角筒を成す筒部21の各面から排出口21に向けて傾斜する4面からなる四角錐状を成している。なお、コンテナ20の筒部21および錐部22は、本実施形態のように四角筒、四角錐以外にも、それぞれ円筒状、円錐状に形成することもできる。また、多角筒状、多角錐状に形成することもでき、コンテナ20の外形形状は限定されるものでは無い。
【0025】
排出口23は、例えば円形の開口であり、下外側に適宜な接続手段によりシュート13が連結される構成となっている。
天板24には、コンテナ20の内部に粉粒体Mを供給するための投入口26と、コーンバルブ25に接続する長尺の軸部材(バルブ操作部材)28(後述)を上下方向に移動可能に支持するベアリング等からなる軸支部27とが設けられている。
【0026】
コーンバルブ(開閉弁)25は、頂部を上方に位置させた円錐形状をなし、下外周縁部25eがコンテナ20の排出口23に液密な状態で嵌合することが可能となっている。コーンバルブ25には、その上端に固定され上方に向けて延びる長尺な軸部材(バルブ操作部材)28がコンテナ20の中心軸線O上に設けられている。
【0027】
軸部材28は、コンテナ20の天面部24の軸支部27によって上下方向に移動可能に挿通された状態で支持されている。コーンバルブ25は、中心軸線Oに沿って排出口23に向けて降下させることで排出口23を閉塞し、反対に中心軸線Oに沿って上昇させることで排出口23が開放されるようになっている。
【0028】
架台11は、例えば、鋼材などからなるフレームを結合してなり、上部でコンテナ20を支持する。この架台11の一部には、振動機31を支持する架台である振動装置取付部14が形成されている。なお、振動装置取付部14は架台11と一体ではなく、架台11とは別の架台等であっても良い。この振動装置取付部14は、後述する搬送機32を傾斜して保持する。また、振動装置取付部14の一部は、搬送機32の上部まで延びてコンテナ20に向けて屈折しており、この屈折部分の先端に、後述する吊下部材33の一端が係合する。
【0029】
図2は、本発明の振動装置とその周辺を示す要部拡大立面図である。
振動装置12は、振動機31と、搬送機32と、吊下部材33とを備えている。
振動機31は、振動部41と、着脱手段42と、係合端部43とを有する。振動部41は、例えば、圧縮空気の入力によって振動子などを駆動して振動を生じさせるエアーバイブレータを用いることができる。振動部41は、こうしたエアーバイブレータの本体部41aと、この本体部41aに圧縮空気を入力および排出させる給気口41b、排気口41cとを備えている。
なお、振動部41は、エアーバイブレータ以外にも、モータの回動などによって振動を生じさせる電気式バイブレータなど、各種方式のバイブレータを適用することができる。
【0030】
着脱手段42は、例えば、1つまたは複数の吸盤45と、この吸盤45に接続される吸気管(図示略)とを備えた減圧吸着機である。着脱手段42は、後述する稼働位置において、振動機31をコンテナ20の錐部22の外面に吸着(接着)させる。吸盤45は、吸気管を介して凹部の内側(吸着面)を減圧することによって、振動機31を吸着させる。吸気管には、例えば、空気エジェクタ、真空ポンプ(図示略)などの減圧手段が接続されていればよい。
【0031】
なお、着脱手段42は、吸盤など減圧による減圧吸着機以外にも、例えば、コンテナ20が、磁石が吸着可能な鋼材等から形成されていれば、電磁石などを用いた電磁吸着機を採用することもできる。
【0032】
搬送機32は、伸縮部51と、係合部52と、を備えている。
伸縮部51は、例えば、エアーの注入および排出によって伸縮するエアーシリンダーからなる。こうした伸縮部51は、例えば、架台11に載置されたコンテナ20の錐部22の一面に対して略直角な方向に沿って伸縮するように、振動装置取付部14に対して傾斜して固着されている。
【0033】
なお、伸縮部51は、エアーシリンダー以外にも、例えば、油圧により伸縮する油圧シリンダー、あるいは、モータおよびギアなど、電気的な機構で伸縮させるものであってもよい。
【0034】
係合部52は、互いに平行に配された2枚の平板52a,52b(図3参照)と、これらの平板の一端どうしを連結する連結板52c(図3参照)とからなる略コ字状の部材であり、連結板52cの中央で伸縮部51の先端に接合されている。こうした係合部52は、2枚の平板52a,52bの先端部分で振動機31の係合端部43に着脱自在に係合し、振動機31を支持する。
【0035】
吊下部材33は、例えば、金属製のワイヤーとその一端、他端に形成された係止具などから構成される。こうした吊下部材33は、その一端33aが、振動装置取付部14のうち、搬送機32の上部まで延びる屈折した部材の先端部分に係着される。また、他端33bが振動機31に係着される。これによって、振動機31は、吊下部材33を介して、振動装置取付部14に揺動自在に吊下される。
【0036】
こうした吊下部材33は、その一端33aが、鉛直方向に沿ってコンテナ20の筒部21の下部よりも下方に位置し、かつ、コンテナ20の錐部22と対面する位置範囲のうち上方に位置するように形成することが好ましい。
【0037】
なお、吊下部材33は、金属製のワイヤー以外にも、例えば、金属製のチェーン、合成繊維製のロープ、端部を回動自在に固定された金属棒など、振動機31を揺動自在に吊下可能であり、かつ振動機31の落下を防止できるものであれば、特に限定されない。
【0038】
図3図4図5は、振動装置12の状態を示す斜視図である。
以上のような構成の本発明の振動装置12において、振動機31は、着脱手段42によってコンテナ20の錐部22の外面に吸着した稼働位置(図3参照)と、搬送機32によって支持され、コンテナ20から離間した待機位置(図4参照)との間で移動することができる。
振動機31は、待機位置から稼働位置に移動する際には、斜め上方に向けて移動し、稼働位置から待機位置に移動する際には、斜め下方に向けて移動する。
【0039】
また、搬送機32は、エアーシリンダーが突出した伸長位置(図3参照)と、エアーシリンダーが退縮した退縮位置との間で移動する。このうち、伸長位置は、振動機31の着脱手段42がコンテナ20の外面に接する位置まで伸縮部51が伸長した位置である。また、退縮位置においては、係合部52に振動機31が係合している場合(図4参照)と、振動機31はコンテナ20に吸着し、振動機31と搬送機32との係合が解除されて、搬送機32だけが退縮位置に移動した場合(図5参照)とがある。
【0040】
(振動印加方法)
以上のような構成の本発明の振動装置の作用、および本発明の振動装置を用いたコンテナへの振動印加方法を説明する。
図6は、本発明の振動印加方法を段階的に示したフローチャートである。
コンテナ排出装置10の架台11に載置されシュート13に接続されたコンテナ20に収容された粉粒体Mを所定量排出させる際には、振動装置12を動作させる。まず、待機位置にある振動機31を支持した、退縮位置にある搬送機32(図4参照)の伸縮部51を伸長させる(第1移動工程S1)。
【0041】
第1移動工程S1によって、図3に示すように、搬送機32の伸縮部51が伸長位置に移動する。伸縮部51が伸長位置に移動すると、振動機31の着脱手段42である1つまたは複数の吸盤45がコンテナ20の錐部22の外面に押し付けられる。同時に吸気管を介して吸盤45の凹部の内側が減圧され、これにより、振動機31がコンテナ20の錐部22の外面に吸着(接着)される(吸着工程S2)。
【0042】
次に、図5に示すように、振動機31がコンテナ20に吸着された状態で、振動機31の係合端部43と搬送機32の係合部52との係合が解除され、伸縮部51が退縮位置に移動する(係合解除工程S3)。
【0043】
そして、振動機31を構成するエアーバイブレータからなる振動部41にエアーが供給されて振動機31が振動する。これにより、着脱手段42を介してコンテナ20に振動が印加(伝搬)される(振動工程S4)。
同時に、コンテナ20の天面部24の軸支部27に支持された軸部材28が上方に引き上げられ、コーンバルブ25が上方に移動する。これによって、コンテナ20の底部の排出口23が開放され、コンテナ20の内部に収容されている粉粒体Mがシュート13を介して外部に排出される(排出工程S5)。
【0044】
こうした排出工程S5において、振動機31によってコンテナ20に振動を印加する振動工程S4を行うことによって、例えば、粒径が小さい微粉末や粒径にバラつきが大きい粉粒体などであっても、コンテナ20内で振動によって塊が解され、コンテナ20の錐部22に堆積することなく滑らかに排出口23に誘導される。よって、コンテナ20に収容された粉粒体Mを速やかに所定量排出することができる。
【0045】
一方、搬送機32は、第1移動工程S1で振動機31をコンテナ20に向けて搬送した後、係合解除工程S3において、振動機31と搬送機32との係合を解除して退縮位置に移動する。これにより、振動工程S4においては、振動機31と搬送機32との係合が断たれているので、振動機31で生じた振動が搬送機32を介して振動装置取付部14に伝搬することを抑えることが可能になる。これにより、振動機31を支持する架台である振動装置取付部14、および搬送機32を構成する部材どうしのネジ止め部分に振動が伝搬してネジが振動によって緩んだり、接合部分が振動によって摩耗するなど、振動装置取付部14や搬送機32の振動による劣化や破損を防止することが可能になる。
【0046】
なお、振動機31は、振動工程S4においても吊下部材33を介して架台11を成す振動装置取付部14に接続されているが、こうした吊下部材33は、金属製のワイヤーなど、柔軟性を有するもので形成されているので、振動機31から吊下部材33を介して架台11に伝搬する振動は僅かであり、架台11の接合部分に影響を与えるほどの振動は伝搬しない。
【0047】
次に、コンテナ20に収容されていた粉粒体Mが排出口23から所定量排出されたら、軸部材28を降下させてコーンバルブ25を下方に移動させてコンテナ20の排出口23を閉塞する。
そして、図3に示すように、退縮位置にある搬送機32の伸縮部51を伸長位置に移動させ、振動機31の係合端部43と搬送機32の係合部52とを再び係合させる(係合工程S6)。
【0048】
次に、振動機31の着脱手段42である複数の吸盤45の凹部の内側の減圧を停止し、コンテナ20に対する振動機31の吸着(接着)を解除する(吸着解除工程S7)。
そして、図4に示すように、振動機31を支持した搬送機32の伸縮部51を退縮位置に移動させる。これによって、振動機31は、コンテナ20の外面から離間した待機位置に移動する(第2移動工程S7)。
以上の工程を経て、1つのコンテナ20に収容された粉粒体Mの所定量を短時間で円滑に排出させることができる。
【0049】
以上説明したように、本発明の振動装置、振動印加方法によれば、粉粒体Mの排出を円滑に行うために、振動機31によってコンテナ20に振動を加える際に、振動機31から搬送機32を切り離すことにより、振動装置取付部14、搬送機32に振動が伝搬することを抑えることが可能になり、振動による振動装置取付部14、搬送機32の劣化や破損を防止することが可能になる。
【0050】
また、振動装置12を構成する振動機31にエアーバイブレータを用い、また、振動機31を稼働位置と待機位置との間で移動させる搬送機32としてエアーシリンダーを用いれば、振動装置12を圧縮空気だけで駆動することができる。これにより、工場設備として一般的なコンプレッサー以外に、電気や油圧など他の動力源を別途引き込む必要が無く、低コストに振動装置12を設置できる。
【0051】
また、振動機31を吊下部材33によって振動装置取付部14に吊下することにより、搬送機32との係合が解除された振動機31の動作中に、何らかの原因でコンテナ20から振動機31が離脱しても、振動機31が床面まで落下することが無く、振動機31の破損を防止することができる。
【0052】
また、振動機31と搬送機32とを脱着自在にすることにより、振動機31は、コンテナ20の外面に対して回動可能になり、これにより、振動機31を吸着可能なコンテナ20の外面の傾斜角度範囲が広くなる。即ち、収容する粉粒体Mの種類に応じて外面(錐部)の傾斜角度が異なる複数種のコンテナ20に対して、振動機31を確実に密着させることが可能になる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、振動工程S4は、排出工程S5の開始と同時に行い、排出工程S5の完了に伴い終わらせている例を示したが、振動工程S4の開始、終了のタイミングはこれに限定されるものでは無い。
例えば、排出工程S5の開始後、粉粒体Mがコンテナ20からある程度排出された時点で振動工程S4を開始したり、粉粒体Mをコンテナ20から自然流下させる排出工程S5の完了後に振動工程S4を開始して、コンテナ20の内部に付着、堆積している粉粒体Mを排出させることもできる。また、排出工程S5の開始に先立って、振動工程S4を開始させることもできる。
【0054】
なお、本発明の振動印加方法においては、各工程での振動機31、搬送機32、コーンバルブ25の動作を、制御部でプログラムに従って動作させることにより、コンテナ20の架台11への載置、コーンバルブ25の開放、振動装置12の動作、コーンバルブ25の閉塞、コンテナ20の移動までの一連の動作を自動化することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、こうした実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
10 コンテナ排出装置
11 架台
14 振動装置取付部
20 コンテナ
31 振動機
32 搬送機
33 吊下部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6