(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半導体デバイスおよび前記半導体デバイスが電気的に接続される回路基板、または半導体チップおよび前記半導体チップが電気的に接続される回路基板を含む電子デバイスであって、それぞれ前記半導体デバイスと前記回路基板との間または前記半導体チップと前記回路基板との間のアンダーフィル封止材として請求項1に記載の硬化性組成物を使用して組み立てられ、前記組成物の反応生成物は、前記組成物を硬化させるのに使用される温度条件を超える温度条件への曝露下で、接着性を軟化および喪失することができる、電子デバイス。
キャリア基板上に実装される半導体チップを含む半導体デバイスと前記半導体デバイスが電気的に接続される回路基板との間、または半導体チップと前記半導体チップが電気的に接続される回路基板との間のアンダーフィルを封止する方法であって、前記方法の工程が、
(a)前記半導体デバイスと前記回路基板との間、または前記半導体チップと前記回路基板との間のアンダーフィル内へ、請求項1に記載の組成物を分注することと、
(b)前記分注された組成物を、100℃〜150℃の範囲の温度に、約10分間〜約1時間曝露して、前記組成物に反応生成物を形成させることと
を含む、方法。
前記硬化性樹脂成分が、エポキシ、エピスルフィド、オキセタン、チオキセタン、オキサジン、マレイミド、イタコンアミド、ナドイミド、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項1または4に記載の組成物。
前記硬化剤が、イミダゾール、ジシアンジミド、カルボン酸、無水物、フェノール性ハードナー、アミン、チオール、アルコール、およびアルカリから選択される、請求項1または4に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の通り、本発明の組成物は、硬化性樹脂成分および硬化剤、ならびに一態様において、少なくとも2つのカルボン酸基で官能化されたジエン/ジエノフィル対、および別の態様において、硬化性樹脂成分と反応性の少なくとも2つの基(そのうち少なくとも1つはカルボン酸基ではない)で官能化されたジエン/ジエノフィル対を提供する。
【0015】
ジエン/ジエノフィル対は、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−マレイミド、シクロペンタジエン−マレエート、シクロペンタジエン−フマレート、シクロペンタジエン−(メタ)アクリレート、シクロペンタジエン−クロトネート、シクロペンタジエン−シンナメート、シクロペンタジエン−(メタ)アクリルアミドから選択してもよく、フラン−マレイミドを選択してもよい。
【0016】
ジエン/ジエノフィル対のジエンは、非環状1,3−ジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、フルベン、ピロール、ナフタレンおよびアントラセンから選択してもよい。
【0017】
ジエン/ジエノフィル対のジエノフィルは、シクロペンタジエン、マレイミド、イソマレイミド、シトラコンイミド、イタコンイミド、マレエート、クロトネート、シンナメート、フマレート、(メタ)アクリレート、シアノアクリレート、ベンゾキノン、ベンゾキノンオキシム、ベンゾキノンイミン、ナフタキノン、アルキリデンマロネート、(メタ)アクリルアミド、および電子求引基を含むアルキンから選択してもよい。特に、シクロペンタジエンは、ジエンおよびジエノフィルの両方であると考えてもよい。
【0018】
ジエン/ジエノフィル対は、構造Iの範囲内の化合物:
【0019】
【化1】
(式中、XはCH
2、C=CH
2、C=O、C=SまたはC=NRであり、このRはH、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;YはO、SまたはNRであり、このRはH、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;Aはアルキレンであり;ZはH、(メタ)アクリロイル、グリシジル、または重合性官能基、例えばエポキシ(グリシジル以外)、エピスルフィド、(メタ)アクリレート((メタ)アクリロイル以外)、(メタ)アクリルアミド、マレイミド、マレエート、フマレート、シンナメート、クロトネート、オキセタン、チオキセタン、アリル、スチレン類、オキサジン(例えばベンズオキサジン)、オキサゾリン、N−ビニルアミドおよびビニルエーテルなどを含む基であり;nは0または1であり;mは2〜4である)に包含されてもよい。
【0020】
ジエン/ジエノフィル対は、構造IIの範囲内の化合物:
【0021】
【化2】
(式中、X
1およびX
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立してCH
2、C=CH
2、C=O、C=SまたはC=NRから選択され、このRはH、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;Y
1およびY
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立してO、SまたはNRから選択され、このRはH、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;A
1およびA
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立してアルキレンであり;Z
1およびZ
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立してH、(メタ)アクリロイル、グリシジル、または重合性官能基、例えばエポキシ(グリシジル以外)、エピスルフィド、(メタ)アクリレート((メタ)アクリロイル以外)、(メタ)アクリルアミド、マレイミド、マレエート、フマレート、シンナメート、クロトネート、オキセタン、チオキセタン、アリル、スチレン類、オキサジン(例えばベンズオキサジン)、オキサゾリン、N−ビニルアミドおよびビニルエーテルなどを含む基のうちの1つもしくは複数から選択され;n
1およびn
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立して0または1である)に包含されてもよい。
【0022】
構造Iの範囲内の化合物としては、以下の構造IA〜IFを有するジシクロペンタジエニル(「DCPD」)のジカルボン酸の異性体が挙げられ、この場合、XはC=Oであり、YはOであり、ZはHであり、nは0である。
【0024】
構造Iの範囲内の化合物の代表例(式中、XはC=Oであり、YはOであり、Zは重合性官能基を含む基であり、nは0である)としては、以下の構造A〜Eで表される化合物が挙げられる(便宜上、化合物A〜Eは、単一の構造を使用して示されるが、IA〜IFに示されるものと同様の他の異性体も、化合物A〜Eについて可能である)。
【0026】
更に別の実施形態において、本発明は、DCPDジカルボン酸と二官能エポキシまたは多官能エポキシ樹脂との制御された方法での反応を通じて;またはジカルボン酸とDCPDジエポキシド(構造A)との反応により、鎖延長された構造Iの範囲内の化合物を提供する。
【0027】
構造Iの範囲内の化合物の鎖延長されたものの代表例(式中、XはC=Oであり、YはOであり、かつZは重合性官能基を含む基である)としては、以下の構造F〜Hが挙げられる。
【0028】
【化5】
(式中、R
1およびR
2は、同じであってもまたは異なっていてもよく、それぞれ独立して二官能エポキシ樹脂または多官能エポキシ樹脂の骨格から選択され、nは1〜10である);
【0029】
【化6】
(式中、構造Gにおいて、R
3はジカルボン酸骨格であり;構造GおよびHにおいて、nは1〜10である)。これらの鎖延長された構造F〜Hは、構造の範囲内で、DCPD単位の頭−頭、頭−尾、または尾−頭配列を有し得る。
【0030】
構造Iの範囲内の化合物の代表例(式中、XはCH
2であり、YはOであり、AはCH
2であり、nは1であり、ZはH、(メタ)アクリロイルまたはグリシジル官能基である)としては、以下の構造J〜Lがそれぞれ挙げられる。
ZがHである場合、
【0031】
【化7】
Zが(メタクリロイル)である場合、
【0032】
【化8】
Zがグリシジルである場合、
【0034】
更に別の実施形態において、DCPDのジカルボン酸から作られ、異なる官能基を有するように誘導体化された化合物を形成するために反応させた化合物が提供される。
【0035】
構造IIの範囲内の化合物の代表例(式中、X
1およびX
2はそれぞれC=Oであり、Y
1およびY
2はそれぞれOであり、n
1およびn
2はそれぞれ0であり、Z
1はグリシジルであり、Z
2は(メタ)アクリレートである)としては、以下の構造Mが挙げられる。
【0037】
当然ながら、構造IおよびIIの範囲内のDCPD誘導体を、硬化性樹脂成分および硬化剤と一緒に使用して、熱硬化性樹脂組成物を形成してもよい。
【0038】
例えば、別の態様において、熱硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂成分ならびに以下の構造Iの範囲内の化合物:
【0039】
【化11】
(式中、XはCH
2、C=CH
2、C=O、C=SまたはC=NRであり、このRはH、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;YはO、SまたはNRであり、このRはH、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;Aはアルキレンであり;ZはH、(メタ)アクリロイル、グリシジル、または重合性官能基、例えばエポキシ(グリシジル以外)、エピスルフィド、(メタ)アクリレート((メタ)アクリロイル以外)、(メタ)アクリルアミド、マレイミド、マレエート、フマレート、シンナメート、クロトネート、オキセタン、チオキセタン、アリル、スチレン類、オキサジン、オキサゾリン、N−ビニルアミドおよびビニルエーテルなどを含む基であり;nは0または1であり;mは2〜4である);
ならびに/または
構造IIの範囲内の化合物:
【0040】
【化12】
(式中、X
1およびX
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立してCH
2、C=CH
2、C=O、C=SまたはC=NRから選択され、このRはH、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;Y
1およびY
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立してO、SまたはNRから選択され、このRはH、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;A
1およびA
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立してアルキレンであり;Z
1およびZ
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立してH、(メタ)アクリロイル、グリシジル、または重合性官能基、例えばエポキシ(グリシジル以外)、エピスルフィド、(メタ)アクリレート((メタ)アクリロイル以外)、(メタ)アクリルアミド、マレイミド、マレエート、フマレート、シンナメート、クロトネート、オキセタン、チオキセタン、アリル、スチレン類、オキサジン(例えばベンズオキサジン)、オキサゾリン、N−ビニルアミドおよびビニルエーテルなどを含む基のうちの1つもしくは複数から選択され;n
1およびn
2は、同じでありまたは異なり、それぞれ独立して0または1である)を広く含む。
【0041】
構造Iの範囲内の化合物は、特にZが水素である場合、硬化剤またはフラクシング剤として使用できる。Z(ならびに/またはZ
1および/もしくはZ
2)が重合性官能基を含む基である場合、構造Iおよび/またはIIの範囲内の化合物は、硬化性樹脂成分の共反応物として有用である。
【0042】
加えて、組成物は、ゴム強化剤、接着促進剤、湿潤剤、着色剤、消泡剤、および流動性改質剤のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0043】
硬化性樹脂成分は、ビスフェノールA、ビスフェノールFもしくはビスフェノールSエポキシ樹脂などのビスフェノール系エポキシ樹脂、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。加えて、同じ樹脂の種類内(例えばA、FまたはS)の2つ以上の異なるビスフェノールエポキシ樹脂を使用してもよい。
【0044】
本明細書での使用に望ましい、市販されているビスフェノールエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬、日本のRE−404−S、ならびに大日本インキ化学工業株式会社のEPICLON 830(RE1801)、830S(RE1815)、830A(RE1826)および830W、ならびにResolutionのRSL 1738およびYL−983U)、ならびにビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、ResolutionのYL−979および980)が挙げられる。
【0045】
大日本インキ化学工業株式会社から市販されている上記のビスフェノールエポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂に基づく従来のエポキシ樹脂よりも大幅に低い粘度を有する液体の非希釈エピクロロヒドリン−ビスフェノールFエポキシ樹脂として宣伝されており、液体のビスフェノールAエポキシ樹脂と同様の物理的特性を有する。ビスフェノールFエポキシ樹脂は、ビスフェノールAエポキシ樹脂よりも低い粘度を有し、他は全て2種類のエポキシ樹脂の間で同じであるため、より低い粘度と、これによる流れの速いアンダーフィル封止材料が可能となる。
【0046】
Resolutionから市販されている上記のビスフェノールエポキシ樹脂は、塩化物含有量の少ない液体エポキシ樹脂として宣伝されている。ビスフェノールAエポキシ樹脂は、EEW(g/eq)が180〜195の間であり、25℃での粘度が100〜250cpsの間である。YL−979の全塩化物含有量は500〜700ppmの間と報告されており、YL−980の全塩化物含有量は、100〜300ppmの間と報告されている。RSL−1738の全塩化物含有量は500〜700ppmの間と報告されており、YL−983Uの全塩化物含有量は、150〜350ppmの間と報告されている。
【0047】
ビスフェノールエポキシ樹脂に加えて、他のエポキシ化合物が、硬化性樹脂成分内に含まれる。例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボネートなどの脂環式エポキシ樹脂を使用してもよい。粘度を調節するため、および/またはTgを低下させるために、単官能、二官能または多官能の反応性希釈剤を使用してもよく、この例としては、ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルまたはポリプロピレングリコールグリシジルエーテルが挙げられる。
【0048】
本明細書での使用に適するエポキシ樹脂としては、フェノール化合物のポリグリシジル誘導体も挙げられ、例えば商品名EPONとして、例えばEPON 828、EPON 1001、EPON 1009およびEPON 1031として、Resolutionから市販されているもの;DER 331、DER 332、DER 334およびDER 542として、Dow Chemical Co.から市販されているもの;ならびにBREN−Sとして、日本化薬から市販されているものがある。他の適切なエポキシ樹脂としては、ポリオールおよびこれに類するものから調製されるポリエポキシド、ならびにフェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体が挙げられ、後者は例えば、Dow ChemicalのDEN 431、DEN 438およびDEN 439などである。クレゾール類似体は、商品名ARALDITEとして、例えばARALDITE ECN 1235、ARALDITE ECN 1273およびARALDITE ECN 1299として、Ciba Specialty Chemicals Corporationからも市販されている。SU−8は、Resolutionから入手可能なビスフェノールA型エポキシノボラックである。アミン、アミノアルコールおよびポリカルボン酸のポリグリシジル付加物もこの発明において有用であり、市販されている樹脂としては、F.I.C.CorporationのGLYAMINE 135、GLYAMINE 125、およびGLYAMINE 115;Ciba Specialty ChemicalsのARALDITE MY−720、ARALDITE 0500、およびARALDITE 0510、ならびにSherwin−Williams Co.のPGA−XおよびPGA−Cが挙げられる。
【0049】
本明細書での使用に適する単官能エポキシ共反応希釈剤としては、エポキシ樹脂成分よりも低い、通常、約250cps未満の粘度を有するものが挙げられる。
【0050】
単官能エポキシ共反応希釈剤は、約6〜約28個の炭素原子のアルキル基のあるエポキシ基を有するべきであり、この例としては、C
6〜28アルキルグリシジルエーテル、C
6〜28脂肪酸グリシジルエステルおよびC
6〜28アルキルフェノールグリシジルエーテルが挙げられる。
【0051】
このような単官能エポキシ共反応希釈剤が含まれる場合には、共反応希釈剤は、組成物の合計重量に対して、最大で約5重量パーセント〜約15重量パーセントの量で、例えば約8重量パーセント〜約12重量パーセントの量で、用いられるべきである。
【0052】
エポキシ官能性を有する化合物および樹脂に加えて、エピスルフィド、オキセタン、チオキセタン、オキサジン(例えばベンズオキサジン)、オキサゾリン、マレイミド、イタコンアミド、ナドイミド、シアン酸エステル、(メタ)アクリレート、およびこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数の官能基を有する化合物および樹脂を使用してもよい。
【0053】
エピスルフィド官能性を有する化合物および樹脂は、エポキシ樹脂のいずれかを硫化したものであってもよい。オキセタンは、エポキシ樹脂のいずれかを四員酸素含有環にしたものであってもよく、チオキセタンは、オキセタンを硫化したものであってもよい。
【0054】
ベンズオキサジンなどのオキサジンは、
【0055】
【化13】
(式中、oは1〜4であり、Xは、直接結合(oが2の場合)、アルキル(oが1の場合)、アルキレン(oが2〜4の場合)、カルボニル(oが2の場合)、チオール(oが1の場合)、チオエーテル(oが2の場合)、スルホキシド(oが2の場合)、もしくはスルホン(oが2の場合)から選択され、R
1はアリールである)、または、
【0056】
【化14】
(式中、pは2であり、Yは、ビフェニル(pが2の場合)、ジフェニルメタン(pが2の場合)、ジフェニルイソプロパン(pが2の場合)、ジフェニルスルフィド(pが2の場合)、ジフェニルスルホキシド(pが2の場合)、ジフェニルスルホン(pが2の場合)、またはジフェニルケトン(pが2の場合)から選択され、R
4は水素、ハロゲン、アルキルまたはアルケニルから選択される)に包含され得る。
【0057】
シアン酸エステルは、それぞれの分子に少なくとも1つのシアン酸エステル基を有するアリール化合物から選択してもよく、一般に式Ar(OCN)
m(式中、mは2〜5の整数であり、Arは芳香族ラジカルである)で表すことができる。芳香族ラジカルArは、少なくとも6個の炭素原子を含み、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、ピレンまたはこれに類するものなどの芳香族炭化水素から誘導され得る。芳香族ラジカルArは、少なくとも2つの芳香環が橋かけ基により互いに結合した、多核芳香族炭化水素からも誘導され得る。ノボラック型フェノール樹脂から誘導される芳香族ラジカル、すなわち、これらのフェノール樹脂のシアン酸エステルも含まれる。芳香族ラジカルArは更に、環に結合した非反応性の置換基を含んでもよい。
【0058】
このようなシアン酸エステルの例としては、例えば、1,3−ジシアナトベンゼン;1,4−ジシアナトベンゼン;1,3,5−トリシアナトベンゼン;1,3−、1,4−、1,6−、1,8−、2,6−または2,7−ジシアナトナフタレン;1,3,6−トリシアナトナフタレン;4,4’−ジシアナト−ビフェニル;ビス(4−シアナトフェニル)メタンおよび3,3’,5,5’−テトラメチルビス(4−シアナトフェニル)メタン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−シアナトフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ジシアナトフェニル)プロパン;ビス(4−シアナトフェニル)エーテル;ビス(4−シアナトフェニル)スルフィド;2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン;トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト;トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート;ビス(3−クロロ−4−シアナトフェニル)メタン;シアネート化ノボラック;1,3−ビス[4−シアナトフェニル−1−(メチルエチリデン)]ベンゼンおよびシアネート化ビスフェノール末端ポリカーボネートまたは他の熱可塑性オリゴマーが挙げられる。
【0059】
(メタ)アクリレート官能性を有する化合物および樹脂は、多くの材料から選択してもよく、例えば、H
2C=CGCO
2R
1(式中、Gは、水素、ハロゲン、または1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基であってもよく、R
1は、1〜約16個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択してもよく、これらはいずれも、任意選択で、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カルボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンおよびこれに類するもので、任意で置換されるかまたは分断されてもよい)で表されるものがある。
【0060】
本明細書での使用に適する追加の(メタ)アクリレートとしては、多官能(メタ)アクリレートモノマー、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのような二−または三−官能(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(「HPMA」)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(「TMPTMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジ−(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレンジグリコールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートならびにビスフェノールAモノおよびジ(メタ)アクリレート、例えばエトキシル化ビスフェノールA(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)、ならびにビスフェノールFモノおよびジ(メタ)アクリレート、例えばエトキシル化ビスフェノールF(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0061】
加えて、(メタ)アクリレート官能性を有するポリアクリレートを使用してもよい。特に望ましいものは、単一電子移動リビングラジカル重合技術などの制御還元重合技術を通じて調製されるものである。米国特許第5,807,937号(Matyjaszawski)、米国特許出願公開第2010/0331493号(Percec)、および米国特許出願公開第2011/0060157号(Glaser)を参照。
【0062】
本明細書で使用してもよい更に他の(メタ)アクリレートとしては、シリコーン(メタ)アクリレート部分(「SiMA」)、例えば、米国特許第5,605,999号(Chu)により教示され、特許請求されるものが挙げられ、この開示は、ここで明確に参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
当然ながら、これらの(メタ)アクリレートの組み合わせを使用してもよい。
【0064】
硬化性樹脂成分は、約10重量パーセント〜約95重量パーセント、望ましくは約20重量パーセント〜約80重量パーセント、例えば約40重量パーセント〜約65重量パーセントの範囲の量で、組成物中に存在するべきである。
【0065】
エポキシ樹脂用硬化剤として、イミダゾール、ジシアンジミド、カルボン酸、無水物、フェノール性ハードナー、アミン、チオール、アルコールおよびアルカリを使用してもよい。
【0066】
イミダゾールとしては、イミダゾールおよびその誘導体が挙げられ、例えば、イソイミダゾール、イミダゾール、アルキル置換されたイミダゾール、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、ブチルイミダゾール、2−ヘプタデセニル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデセニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプタデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−グアナミノエチル−2−メチルイミダゾールならびにイミダゾールであるメチルイミダゾールの付加生成物およびイミダゾールとトリメリト酸との付加生成物、2−n−ヘプタデシル−4−メチルイミダゾールならびにこれに類するものであって、一般に、それぞれのアルキル置換基は、最大約17個の炭素原子、望ましくは最大約6個の炭素原子を含むもの;アリール置換されたイミダゾール、例えば、フェニルイミダゾール、ベンジルイミダゾール、2−メチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,3,5−トリフェニルイミダゾール、2−スチリルイミダゾール、1−(ドデシルベンジル)−2−メチルイミダゾール、2−(2−ヒドロキシル−4−t−ブチルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(2−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(3−ヒドロキシフェニル)−4−,5−ジフェニルイミダゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、ジ(4,5−ジフェニル−2−イミダゾール)−ベンゼン−1,4,2−ナフチル−4,5−ジフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−p−メトキシスチリルイミダゾール、ならびにこれに類するものであって、一般に、それぞれのアリール置換基は、最大約10個の炭素原子、望ましくは最大約8個の炭素原子を含むものが挙げられる。
【0067】
フリーラジカル硬化系用の硬化剤として、ペルオキシドは適切な選択である。例えばヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシド(「CHP」)、パラ−メンタンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド(「TBH」)およびt−ブチルペルベンゾエートを使用してもよい。他の有用なペルオキシドとしては、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジアセチルペルオキシド、ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチル−ペルオキシヘキサ−3−イン、4−メチル−2,2−ジ−t−ブチルペルオキシペンタンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
硬化剤は、全組成物の約0.05重量パーセント〜約10重量パーセント、望ましくは約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントの範囲、例えば約1重量パーセントの量で存在するべきである。
【0069】
無機フィラー成分を使用してもよく、無機フィラー成分としては、補強性シリカ、例えば溶融シリカが挙げられ、これは未処理でもよく、または表面の化学的性質を変更するために、処理されていてもよい。しかし、無機フィラー成分は、平均粒子径分布が1〜1,000ナノメートル(「nm」)の範囲である粒子を含む。このようなフィラー粒子の市販されている例は、商品名NANOPOX、例えばNANOPOX XP 22として、Hans Chemie、Germanyから販売されている。NANOPOXフィラーは、最大約50重量パーセント程度の、エポキシ樹脂中の単分散シリカフィラー分散体である。NANOPOXフィラーは、通常、粒子径が約5nm〜約80nmであると考えられる。また、NANOPOX XP 22は、ビスフェノールFエポキシ樹脂のジグリシジルエーテル中に、粒子径が約15nmのシリカ粒子を40重量パーセント含むと報告されている。
【0070】
Hans Chemieは、NANOPOX Eの取引表示でも材料を生産している。例えば、Hans Chemieは、NANOPOX Eブランド製品が、他の方法での封止が難しい電子部品の完全な含浸を可能とし、広い範囲の機械的および熱的特性、例えば収縮および熱膨張の減少、破壊靭性、ならびに弾性率を提供すると報告している。以下の表Aにおいて、Hans Chemieは、記載された4つのNANOPOX E製品について、情報を提供している。
【0072】
Hans Chemieは、エポキシ配合物において、NANOPOX Eブランド製品の使用により、重要な特性を著しく改善できると報告している。例えば、
・従来の強化フィラーと比較して低い配合物の粘度
・沈降しない
・破壊靭性、耐衝撃性および弾性率の増加
・耐擦傷性および耐摩耗性の改善
・収縮および熱膨張の減少
・多数の所望の特性、例えば熱的安定性、耐薬品性、ガラス転移温度、耐候性、誘電特性において、改善または少なくとも悪影響がない
【0073】
NANOPOX Eと従来のフィラー、例えば石英との組み合わせにより、配合物中の樹脂含有量の減少が可能になり、これは、これまで達成していないレベルまで全フィラー含有量を増加できることを意味する。
【0074】
加工性は、それぞれのベース樹脂と比較して、本質的に変化していないままである。
【0075】
NANOPOX Eは、粘度の過剰の増加(ヒュームドシリカで知られている)により加工性を損なうことなく、上記の特性の改善が所望されるかまたは必要である用途で使用される。用途の例は、カプセル化材料およびコーティングである。NANOPOX Eの優れた含浸特性を強調することが重要であり、これは、粒子径が小さいことおよび凝集物がないことによる。これは、他の方法での封止が難しい電子部品の完全な含浸も可能にする。
【0076】
製造業者によると、NANOPOX Eブランド製品は、エポキシ樹脂マトリックス中のコロイダルシリカゾルである。分散相は、表面が改質された球形SiO
2ナノ粒子から構成され、これは、直径が50nm未満であり、極めて狭い粒子径分布を有する。これらの球は、サイズがわずか数ナノメートルであり、樹脂マトリックス中に凝集物のない状態で分布している。これにより、SiO
2含有量が最大40重量パーセントの非常に低い粘度の分散体が生成される。ナノ粒子は、ケイ酸ナトリウム水溶液から化学的に合成される。
【0077】
無機フィラー成分として使用するための他の望ましい材料としては、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、シリカコーティングした窒化アルミニウム、窒化ホウ素およびこれらの組み合わせから構成されるか、またはこれらを含むものが挙げられるが、これには当然ながら、平均粒子径分布を1〜1,000nmの範囲に有する粒子であるという条件が付く。
【0078】
無機フィラー成分は、組成物の約10〜約80重量パーセント、例えば約12〜約60重量パーセントの量で、望ましくは約15〜約35重量パーセントの範囲内の量で、使用されるべきである。
【0079】
加えて、接着促進剤、例えば、シラン、グリシジルトリメトキシシラン(OSIから取引表示A−187として市販されている)またはガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン(OSIから取引表示A−1100として市販されている)を使用してもよい。
【0080】
組成物、硬化反応生成物、またはその両方について、ある一定の所望の物理的特性を達成するために、従来の添加剤も本発明の組成物中で使用してよい。
【0081】
熱硬化性樹脂組成物は、回路基板と半導体デバイスとの間の空間内へと浸透でき、この方法で、アンダーフィル封止材として機能する。本発明のこれらの組成物は、少なくとも高温条件下で、減少した粘度も示すので、上記空間内へと浸透できる。25℃での粘度が5,000mPa・s以下、例えば300〜2,000mPa・sに達するように、様々な成分の種類および割合を選択することにより、熱硬化性樹脂組成物を調製することが望ましく、これにより、回路基板と半導体デバイスとの間の空間(例えば10〜500μm)内へのその浸透性が改善される。
【0082】
図1を参照すると、CSPなどのサブコンポーネントの例を示されており、ここでは本発明の熱硬化性樹脂組成物が使用されている。
【0083】
半導体デバイス4は、半導体チップ2をキャリア基板1に接続し、これらの間の空間を適宜、樹脂3で封止することにより形成される。この半導体デバイスは、回路基板5の所定の位置に実装され、はんだなどの適切な接続手段により、電極8および9が電気的に接続される。信頼性を改善するために、キャリア基板1と回路基板5との間の空間は、熱硬化性樹脂組成物の硬化生成物10で封止される。熱硬化性樹脂組成物の硬化生成物10は、キャリア基板1と回路基板5との間の空間を完全に満たす必要はないが、熱サイクルにより引き起こされる応力を緩和する程度に空間を満たしてもよい。
【0084】
キャリア基板は、Al
2O
3、SiN
3およびムライト(Al
2O
3−SiO
2)で作られるセラミック基板;ポリイミドなどの耐熱樹脂から作られる基板またはテープ;ガラス強化エポキシ、ABS、およびフェノール基板であって、回路基板としても一般に使用されるもの;ならびにこれに類するものから構成してもよい。
【0085】
フリップチップアセンブリに関して、
図2を参照すると、半導体チップが回路基板に実装されたフリップチップアセンブリが示されており、アンダーフィルは熱硬化性樹脂組成物で封止されている。
【0086】
フリップチップアセンブリ24は、半導体チップ22を回路基板21に接続し、これらの間の空間を適宜、熱硬化性樹脂組成物23で封止することにより形成される。この半導体デバイスは、回路基板21上で所定の位置に実装され、はんだなどの適切な電気的接続手段27および28により、電極25および26が電気的に接続される。信頼性を改善するために、半導体チップ22と回路基板21との間の空間は、熱硬化性樹脂組成物23で封止され、その後硬化される。熱硬化性樹脂組成物の硬化生成物は、この空間を完全に満たすべきである。
【0087】
半導体チップをキャリア基板に電気的に接続する手段は特に限定されず、高融点はんだまたは導電性(もしくは異方導電性)接着剤による接続、ワイヤボンディングおよびこれに類するものを用いることができる。接続を容易にするために、電極をバンプとして形成してもよい。更に、接続の信頼性および耐久性を改善するために、半導体チップとキャリア基板との間の空間を適切な樹脂で封止してもよい。本発明で使用できる半導体デバイスとしては、CSP、BGAおよびLGAが挙げられる。
【0088】
回路基板は、ガラス強化エポキシ、ABS、ベンズオキサジンおよびフェノール樹脂などの一般的な材料から構成してもよい。
【0089】
次に、実装プロセスにおいて、回路基板の必要な位置にクリームはんだを印刷し、適宜乾燥して溶媒を除去する。その後、回路基板上のパターンに従って、半導体デバイスを実装する。この回路基板をリフロー炉に通過させて、はんだを溶融することにより、半導体デバイスをはんだ付けする。半導体デバイスと回路基板との間の電気的接続はクリームはんだの使用に限定されず、はんだボールの使用により形成してもよい。あるいは、この接続は、導電性接着剤または異方導電性接着剤により形成してもよい。更に、クリームはんだまたはこれに類するものは、回路基板または半導体デバイスのどちらの上に塗布または形成してもよい。続く修繕を容易にするために、使用されるはんだ、導電性または異方導電性接着剤は、その融点、接合強度、およびこれに類するものを念頭において選択されるべきである。
【0090】
この方法で半導体デバイスが回路基板に電気的に接続された後、結果として生じる構造について、通常、導通テストまたはこれに類するものを実施するべきである。このようなテストに合格した後、半導体デバイスを樹脂組成物でそこへ固定してもよい。この方法において、不良の場合には、樹脂組成物で固定する前に半導体デバイスを取り外すことが更に簡単である。
【0091】
その後、熱硬化性樹脂組成物を半導体デバイスの周囲に塗布してもよい。この組成物が半導体デバイスに塗布される際、組成物は毛管作用によって、回路基板と半導体デバイスのキャリア基板との間の空間内へと浸透する。
【0092】
熱硬化性樹脂組成物は、加熱により硬化される。この加熱の早い段階で、熱硬化性樹脂組成物は、著しい粘度の減少と、これによる流動性の増加を示すので、より容易に回路基板と半導体デバイスとの間の空間内へと浸透する。更に、回路基板に適切な通気孔を設けることにより、熱硬化性樹脂組成物が完全に、回路基板と半導体デバイスとの間の空間全体に浸透できる。
【0093】
塗布される熱硬化性樹脂組成物の量は、回路基板と半導体デバイスとの間の空間を、ほとんど完全に満たすように調節されるべきである。
【0094】
熱硬化性樹脂組成物は通常、温度約100℃〜約150℃で約5〜約60分間、例えば約110℃〜約130℃で約15〜約45分間加熱することにより、硬化させるべきである。したがって、非常に良好な生産性を達成するために、比較的低温かつ短時間の硬化条件を用いてもよい。
図1に示されるサブコンポーネントは、この方法で作製され得る。この目的のために使用される通常のエポキシ系組成物、例えば、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂のみをベースとするものは、同じ分解経路を通らず、代わりに約300℃で崩壊し始めるに過ぎない。
【0095】
半導体デバイスがこのように回路基板上に実装された後、結果として生じるサブコンポーネントについて、作動性をテストしてもよい。不良が見付かった場合には、下記の方法で修繕できる。
【0096】
不良のある半導体デバイス付近のエリアを、温度約170℃〜約240℃で、約10秒〜約60秒の範囲の時間、例えば温度約220℃で約30秒間、局所的に加熱する。
【0097】
はんだが溶融し、樹脂が軟化して接合強度が低下するとすぐに、半導体デバイスを引き離す。
【0098】
半導体デバイスが取り外された後、熱硬化性樹脂組成物の硬化反応生成物の残留物、およびはんだの残留物は、回路基板上に残される。熱硬化性樹脂組成物の硬化反応生成物の残留物は、例えば、単純にデバイスを研磨力の低い布で拭くことにより、取り除くことができる(
図3参照)。従来は、残留物を所定温度に加熱すること、残留物を溶媒で膨潤させること、または残留物を所定温度に加熱しながら溶媒で膨潤させることにより、残留物を軟化させた後、加工された反応生成物を削り取る必要があった(
図3参照)。
【0099】
最後に、きれいにした回路基板上で、これまでに記載した方法と同じ方法により、新しい半導体デバイスを再度実装してもよい。このように、不良部位の修繕が完了する。
【0100】
不良が回路基板に見付かった場合には、所望により、半導体デバイスの底部に残された熱硬化性樹脂組成物の硬化反応生成物の残留物、およびはんだの残留物を、上記と同じ方法で取り除くことにより、半導体デバイスを再使用できる。
【0101】
本発明の組成物は、主にアンダーフィル封止材として有用であると説明したが、本発明の組成物は、液体圧縮成形用途において、構造用接着剤として、例えばスマートフォンおよびタブレットのような携帯式ディスプレイデバイス、半導体パッケージング用フィルム、受動電子部品用の短期/長期カプセル材、およびコーティングの作製においても、使用できると考えられる。
【0102】
本発明を、下記の非限定例により更に例証する。
【実施例】
【0103】
合成
【0104】
例1
【0105】
【化15】
【0106】
メカニカルスターラおよび滴下漏斗を取り付けた1Lの四ツ口フラスコに、DCPDのジカルボン酸(「DCPD二酸」)(50g、227mmol)をDMSO(300mL)と共に入れた。30mLの水に溶解したKOH(26.8g)を、5分間かけてゆっくりと添加し、更に15分間連続的に撹拌した。その後、油浴を使用して、反応混合物を温度50℃で加熱した。25mLのDMSO中のエピブロモヒドリン(124.4g、908mmol)を、2時間かけて滴下し、更に6時間連続的に撹拌した。
【0107】
反応混合物を600mLの酢酸エチルで抽出し、NaHCO
3水溶液で洗浄し、水で数回洗浄した後、無水MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させて、褐色の液体を得た後、これを50mLのトルエンで希釈し、蒸留して、DCPD二酸のジグリシジルエステル(「DCPDエポキシ」)(60g、収率80%)を得た。
【0108】
例2
【0109】
【化16】
【0110】
窒素導入口およびメカニカルスターラを取り付けた1Lの四ツ口フラスコに、THF(450mL)中で、DCPD二酸(15.2g、69mmol)およびレソルシノールジグリシジルエーテル(30.7g、138mmol)を入れた。30分間撹拌した後、触媒量のテトラブチルアンモニウムヨージド(1.27g、3.44mmol)を添加し、混合物を加熱して36時間還流させた。赤外(「IR」)分光分析を行うと、その結果は、DCPD二酸とは性質の異なる1707cm
−1に、カルボニルバンドの存在を示した。
【0111】
反応混合物を室温に冷却した後、THFを蒸発させ、残留物に600mLの酢酸エチルを添加した。有機層を水で数回洗浄し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した後、再度水で洗浄した。無水MgSO
4で乾燥させた後、溶媒を蒸発させて、上記のDCPDの鎖延長されたエポキシを暗褐色の粘性液体(35g、収率78%)として得た。
【0112】
DCPDの鎖延長されたエポキシのIR分光分析は、1707cm
−1にカルボニルバンドを示した。
【0113】
例3
【0114】
【化17】
【0115】
DCPDエポキシ(2.06g、6.2mmol)、メタクリル酸(0.54g、6.2mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージド(100mg)およびt−ブチルカテコール(30mg)を、THF(20mL)と共に丸底フラスコに入れ、5時間還流させて混合した。反応混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルを添加して有機層を飽和NaHCO
3水溶液で2回洗浄し、K
2CO
3水溶液で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥させた。その後、溶媒を蒸発させ、DCPDハイブリッドエポキシ−メタクリレートを暗褐色の粘性液体(1.82g、収率70%)として得た。
【0116】
例4
【0117】
【化18】
【0118】
窒素導入口を取り付けた500mLの四ツ口フラスコに、THF(300mL)中で、DCPD二酸(35.7g、162mmol)を入れた。混合物を氷塩浴で冷却し、オキサリルクロリド(61.7g、486mmol)を5分間かけて滴下した。反応混合物を室温に到達させ、更に4時間撹拌した。溶媒および過剰のオキサリルクロリドを蒸発させ、残留物を窒素雰囲気下でTHF(200mL)に溶解させて、溶液を氷で冷却した。トリエチルアミン(41g、405mmol)を撹拌しながら添加した後、HEMA(42.2g、324mmol)を30分間かけて添加し、t−ブチルカテコール(140mg)を撹拌しながら添加した。約4時間後、THFを蒸発させて、反応混合物を酢酸エチル(400mL)で抽出し、水で4回洗浄して、無水MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、DCPDジメタクリレートを暗褐色の液体(57g、収率73%)を得て、これをカラムクロマトグラフィで精製した。
【0119】
例5
【0120】
【化19】
【0121】
DCPD二酸(29g、132mmol)をDMF中に溶解させ、K
2CO
3(36g、263mmol)を添加して30分間撹拌した。その後、臭化アリル(42g、347mmol)を少しずつ、10分間かけて添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を酢酸エチル(500mL)で抽出し、水で4回洗浄して、無水MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、DCPD二酸のジアリルエステル(31g、収率78%)を得た。
【0122】
例6
【0123】
【化20】
【0124】
磁気撹拌子を備える250mLのフラスコに、DCPD二酸(4.5g、20.4mmol)、DMSO(100mL)、およびK
2CO
3(3.39g、24.5mmol)を入れて15分間撹拌した。4−ビニルベンジルクロリド(7.2g、47.2mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。
【0125】
IR分光分析は、エステルとして1709cm
−1にカルボニルバンドを示した。
【0126】
反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水で数回洗浄して、無水MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、反応混合物をカラムクロマトグラフィで精製して、DCPD二酸のジスチレン誘導体を黄色オイル(5.3g、収率58%)として得た。
【0127】
例7
【0128】
【化21】
【0129】
窒素導入口および磁気撹拌子を取り付けた250mLの三ツ口フラスコに、THF(50mL)中で、2MのシクロペンタジエニリドナトリウムのTHF溶液(30ml、60mmol)を入れた。懸濁液を約30分間氷で冷却した後、(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(14.34g、60mmol)の溶液を約30分間かけて滴下した。同じ温度で混合物を約2時間撹拌した後、室温で一晩撹拌した。THFを蒸発させて、生成物を酢酸エチル(200mL)で抽出し、水で洗浄して、無水MgSO
4で乾燥させた。溶媒を蒸発させて、2−ヒドロキシエチルシクロペンタジエンの中間粗製物のシリル誘導体を得た後、温度約110℃で約1.5時間加熱することにより二量化し、中間体のDCPDジエタノールのシリル誘導体を得た。
【0130】
この粗生成物のTHF(50mL)中の溶液に、1MのTBAFのTHF溶液(60mL、60mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。THFを蒸発させて、生成物を酢酸エチル(200mL)で抽出し、水で洗浄して、無水MgSO
4で乾燥させた。溶媒の蒸発により、DCPDジエタノールを褐色オイルとして得た(8.1g、収率61%)。
【0131】
例8
【0132】
【化22】
【0133】
窒素導入口および磁気撹拌子を取り付けた100mLの三ツ口フラスコに、CH
2Cl
2(25mL)中で、ビスヒドロキシエチルDCPD(1.05g、4.8mmol)を入れた。トリエチルアミン(2.41g、23.8mmol)および触媒量のDMAP(50mg)を添加した。結果として生じる混合物を氷で冷却し、メタクリル酸無水物(2.94g、19.1mmol)を滴下した。同じ温度で約30分間撹拌した後、室温で更に3時間撹拌し、その後、NaHCO
3水溶液(30mL)を添加した。その後、CH
2Cl
2を蒸発させて、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥させた。t−ブチルカテコール(200ppm)を添加し、溶媒を蒸発させて、DCPDジエタノールのジメタクリレートエステル(1.4g、収率82%)を得た。
【0134】
例9
【0135】
【化23】
【0136】
窒素導入口および磁気撹拌子を取り付けた100mLの三ツ口フラスコに、乾燥DMF(25mL)中で、NaH(2.18g、60%油中分散体、54.4mmol)を添加した。溶液を氷浴で冷却し、ビスヒドロキシエチルDCPD(3g、13.6mmol)の乾燥DMF(25mL)溶液を、約15分間かけてゆっくりと添加した。更に約30分間撹拌した後、エピブロモヒドリン(7.47g、54.4mmol)をゆっくりと滴下した。混合物を室温に温め、一晩撹拌した後、イソプロパノールを添加し、その後トルエン(200ml)を添加した。有機層を水で数回洗浄し、溶媒を蒸発させる前に、無水MgSO
4で乾燥させた。反応の粗生成物をカラムクロマトグラフィにより精製して、ジグリシジルエーテル(2.3g、収率51%)を単離した。
【0137】
熱硬化性樹脂組成物
熱硬化性樹脂組成物は、以下の表1に記載される成分から調製してもよく、それぞれのサンプルは、1重量パーセント未満の脱泡剤、およびシラン接着促進剤を含む。
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
【表5】
【0142】
Henkel Electronic Materials,LLC、Irvine、Californiaから市販されているHYSOL UF 3808およびHYSOL UF 3800を比較の目的のために使用し、これらを単純に製品名で呼ぶ。
【0143】
物理的特性
未硬化の状態において、サンプルのそれぞれをシリンジまたはジェットディスペンサから、6×6mmのウエハレベルCSP(「WL−CSP」:wafer−level CSP)の傍らで、分注温度約25℃で分注した。サンプルは毛管作用により30秒未満で、WL−CSPと、サンプルが取り付けられた回路基板との間のアンダーフィル空間内へ流れた。
【0144】
約100℃〜約150℃の範囲の高温条件に、約10〜約60分の間曝露することにより、サンプルを硬化させた。
【0145】
以下の表5〜表7を参照すると、硬化組成物、サンプルA〜Kの動的機械分析(「DMA」)データが示されている。
【0146】
【表6】
【0147】
図4は、表5に示されるサンプルのそれぞれについて、温度に対する弾性率を示す。
【0148】
【表7】
【0149】
図5は、表6に示されるサンプルのそれぞれについて、温度に対する弾性率を示す。
【0150】
【表8】
【0151】
図10は、表7に示されるサンプルのそれぞれについて、温度に対するタンデルタを示す。
【0152】
熱サイクルテスト
以下の表8を参照すると、動的機械分析の熱サイクルの結果からの弾性率の値が記載されており、これは、3℃/分の勾配速度で、−85℃から250℃にした後−85℃にするサイクルを4サイクルしたものである。
【0153】
【表9】
【0154】
図6〜
図8を参照すると、表8に示したサンプルが示されており、
図9は、HYSOL UF 3808について、温度に対する弾性率のトレースを示す。
【0155】
サンプルについて、サイクル1とサイクル4との間でのtanδのピーク(ガラス転移温度またはTg)の差であるΔtanδを計算した。サンプルについて、サイクル1とサイクル4との間での25℃での弾性率の差も計算した。サンプルK、LおよびMについて、それぞれのTgの低下が観測され;その反対の結果がHYSOL UF 3800およびHYSOL UF 3808について観測された。観測された弾性率の減少は、サンプルK、LおよびMの方が、HYSOL UF 3800およびHYSOL UF 3808よりも著しかった。
【0156】
以下の表9を参照すると、市販製品HYSOL UF 3800およびHYSOL UF 3808と比較した、2つのサンプルについての追加の熱サイクル評価が示されている。1つの熱サイクル条件(熱サイクル1)は、温度−40℃〜85℃で、1サイクル当たり30分で行い;別の熱サイクル(熱サイクル2)は、温度−55℃〜125℃で、1サイクル当たり30分で行った。使用される構成要素は、6×6mmのWL−CSPとした。
【0157】
【表10】
【0158】
補修
熱風発生器を使用して、サンプルで回路基板に固定されたWL−CSP付近のエリアを、温度285℃の熱風を30秒間当てることにより加熱した。その後、WL−CSPを真空吸着により取り外し、WL−CSPを適切なノズルで持ち上げた。表面を拭くことにより、残っていた硬化反応生成物の残留物の全てを基板から取り除いた。
図3を参照すると、プロセスのフロー図が示されている。