特許第6596424号(P6596424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596424薬剤の使用に関する個人別推奨案をコンピュータの補助のもとでウエブ・ベースで提供する方法とシステムとコンピュータで読み取り可能な記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596424
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】薬剤の使用に関する個人別推奨案をコンピュータの補助のもとでウエブ・ベースで提供する方法とシステムとコンピュータで読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20191010BHJP
【FI】
   G16H20/10
【請求項の数】17
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-539087(P2016-539087)
(86)(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公表番号】特表2017-503258(P2017-503258A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】IB2014002715
(87)【国際公開番号】WO2015087140
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年11月15日
(31)【優先権主張番号】61/915,077
(32)【優先日】2013年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516170657
【氏名又は名称】アビ−バイオティクス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】プラツセバル ガルシア,ヨルディ
(72)【発明者】
【氏名】レドンド アマド,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ツソン セガッラ,ミクエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルチェス サエズ,シルビア
(72)【発明者】
【氏名】エスパダラー マッソ,ヨルディ
(72)【発明者】
【氏名】サラベルト ラロッサ,アリアナ
(72)【発明者】
【氏名】ボナチェラ シエラ,ミケル エンジェル
【審査官】 加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−502398(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0082867(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0094059(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の使用に関する個人別推奨案をコンピュータ補助のウエブ・ベースで提供する方法において、
(A)SNP(single nucleotide polymorphisms:単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得するステップと、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記ステップ(A)で得られた遺伝子情報を処理するステップと、
(C)前記生成された個別の薬理遺伝学情報から、前記患者用に、複数の薬剤に関する複数の個人別推奨案を生成しユーザのディスプレイ上に表示するステップと、
(D)前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案を視覚的にハイライトするステップと、
(E1)前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツから、ダイナミック・ウエブページを生成するステップと、
(E2)前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を提供するステップと、
(F)前記GUIの手段により、前記ステップ(C)とステップ(D)を実行するステップと、
(I)併用投薬(concomitant medication)又は前記患者から採取された試料に関する情報を獲得し、前記個人別推奨案の一部とそれらが表示される方法を修正するステップであって、併用投薬と前記試料による薬剤応答と、薬剤レベルと、副作用への影響のいずれか、或いは前記薬剤の併用投薬又は前記試料の応答と、前記投薬又は前記試料の代謝への影響のいずれか、或いは代謝又は医薬投与の副作用のいずれかに基づいて、行われるステップと、
(J)前記薬剤と、前記併用投薬又は前記試料と、前記遺伝子情報の内の3つの要素の間の相互作用のいずれかを解析することにより、前記併用投薬又は前記試料の影響を決定するステップであって、前記解析は、(K1)前記併用投薬又は前記試料が、前記薬剤に関し前記患者の代謝容量(metabolizer capacity)を如何に変化させるかをチェックするステップと
を前記コンピュータが実行し、
前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与(drug dosage)に関連せず、薬理効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連し、前記代謝無関連遺伝子情報は、薬理応効果と副作用に関連する遺伝子及び遺伝子変異体に関連し、前記所定の薬理遺伝学情報は記述情報を含み、前記記述情報は、前記複数の薬剤の各薬剤と特定の遺伝子変異体の存否とを関連付け、またリスクにも関連する
ことを特徴とする薬剤の使用に関する個人別推奨案をコンピュータ補助のウエブ・ベースで提供する方法。
【請求項2】
(G)前記記述情報の内の1つのみが、薬剤と前記遺伝子情報のそれぞれの遺伝子変異体とを関連付ける場合には、前記1つの記述情報のみを取り出し、前記薬剤に関する患者用の個人別推奨案を生成するステップと、
(H)前記記述情報の内の2つが、薬剤と前記遺伝子情報のそれぞれ複数の遺伝子変異体とを関連付ける場合には、前記複数の記述情報を取り出し、前記薬剤に関する患者用の個人別推奨案を生成するステップと、
を更に前記コンピュータが実行し、
前記ステップ(G)(H)は、前記取り出した複数の記述情報から、最高のリスクを有する記述情報を選択することにより、前記コンピュータにより行われる
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記薬剤は神経精神薬剤(neuropsychiatric drug)である
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
(K2)前記ステップ(C)で個人別推奨案を生成した後、前記ステップ(J)の前記相互作用の解析を実行するステップを更に前記コンピュータが実行し、
前記ステップ(I)は、既に生成された個人別推奨案に基づいて前記コンピュータが実行する
ことを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項5】
前記併用投薬または前記試料が少なくとも2つある場合には、前記薬剤に対する各併用投薬または前記試料の影響あるいはその逆の場合の影響に基づいて、
(L1)それぞれがリスクに関連する複数の修正された個別の仮の推奨案を生成するステップと、
(L2)複数の修正された個別の仮の推奨案の中から、最高リスクを有する仮の個人別推奨案を選択することにより、前記薬剤に関し前記患者に対し、修正された個別の最終推奨案を生成し表示するステップと、
を更に前記コンピュータが実行する
ことを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項6】
(M)前記相互作用の解析を、獲得した遺伝子情報と所定の薬理遺伝学情報の処理の一部として、実施するステップ
を更に前記コンピュータが実行し、
前記処理は、前記獲得した遺伝子情報と共に前記併用投薬または前記試料の一方と前記所定の薬理遺伝学情報の処理のいずれかを含み、前記ステップ(I)は、前記個人別推奨案の生成時において前記コンピュータにより行われ、前記個人別推奨案の一部を構成する
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
(N1)前記患者の更なる個人情報に関する情報を獲得するステップと、
前記更なる個人情報は、病理学と、健康に影響を及ぼす習慣と、人体計測データと、人種、年齢、性別の内の少なくとも1つを含む肉体的特徴のいずれかに関連し、
(N2)前記個人別推奨案の少なくとも一部とそれらが表示される方法を修正するステップと、
を更に前記コンピュータが実行し、
前記表示するステップ(N2)は、前記更なる個人情報が薬剤応答又はその副作用への影響に基づいて、視覚的にハイライト化するステップを含む
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記個人別推奨案は、カラーコードに従って表示され、
前記視覚的なハイライト化は、前記リスク基準に従って強調されるべき個人別推奨案に対し、顕著な色彩、目を奪う色、点滅する色の使用を含む
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記カラーコードの表示は、
赤:副作用のリスクが増加したことを表す個人別推奨案
琥珀:薬理効果の可能性が低くなったこと又は特定の薬剤の投与量をモニターする必要があることを表す個人別推奨案
緑:薬理効果の可能性が高くなったこと又は副作用のリスクは低くなったとを表す個人別推奨案
白:標準の薬理効果、標準の代謝、又は副作用の標準のリスクを表す個人別推奨案
に従って行われる
ことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(N2)は、
(N21)前記ディスプレイのスクリーン領域上に前記個人別推奨案を表示するグラフィック表示の色又は形状もしくはその両方を変化させるステップと、
(N22)前記ユーザのディスプレイに表示される仮想リンクをクリックするユーザに応じて又は直接的に、更なる推奨案情報を表示するステップと、
(N23)前記スクリーン領域に重ねてあるいはその近傍に、シンボルを表示するステップ
を含み、
前記シンボルは、前記併用投薬、試料、更なる個人情報が薬理作用効果、薬剤レベル、副作用に及ぼす影響に関連する複数のシンボルから選択され、
前記複数のシンボルは、前記薬剤に関し将来の影響に関連するシンボル、相互作用があること、禁忌があること、関連情報があること、薬剤の投与量の増減に関するシンボルを含む
ことを特徴とする請求項1又は7記載の方法。
【請求項11】
(O)複数のチャートを表示するステップ
を更に前記コンピュータが実行し、
前記各チャートは、同一又は類似の目的の薬剤の複数の識別子を含み、前記薬剤の識別子は、表示された個人別推奨案の1つに関連して表示される
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
(P)前記ユーザのディスプレイ上に交互に又は同時に、第1、第2,第3のスクリーン又はグラフィカル領域を表示するステップ
を更に前記コンピュータが実行し、
前記第1スクリーン又は第1グラフィカル領域は、複数のチャートを含み、前記各チャートは、同一又は類似の目的の薬剤の複数の識別子を含み、前記薬剤の識別子は、表示された個人別推奨案の1つに関連して表示され、
前記第2スクリーン又は第2グラフィカル領域は、ユーザにより入力されるべき複数のボックスを有し、前記複数のボックススは、病理学、健康に影響を及ぼす習慣、人体計測データ、人種、年齢、性別の内の少なくとも1つを含む肉体的特徴に関連し、
前記第3スクリーン又は第3グラフィカル領域は、複数のチャートを有し、前記チャートは、併用投薬と前記試料による薬剤応答、副作用への影響に基づいて、前記個人別推奨案の一部とそれらが表示される方法を修正することを含む
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
(Q1)ユーザへのオンラインと相互作用のサービスを前記ユーザに提供するステップと、
(Q2)ユーザによりクリックされるべき仮想リンクをユーザのディスプレイ上に提供するステップと、
を更に前記コンピュータが実行し、
前記ステップ(Q1)は、ユーザのディスプレイ上に前記複数のチャートを表示すること、前記空欄のボックスを埋めること、前記個人別推奨案をとその表示を修正することは、入力された情報に基づいて行うことを含み、
前記ステップ(Q2)は、コンピュータ入力手段に基づいて行われ、前記コンピュータ入力手段により、ユーザのディスプレイ上に表示すべき追加的な推奨案情報にアクセスする又はユーザによりダウンロードされる
ことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
(R)統計的情報から学習フィードバックプロセスを実行するステップ
を更に前記コンピュータが実行し、
前記統計的情報は、複数の薬理作用効果と、複数の患者と、患者と併用投薬との間の相互作用と、個人情報のいずれかに関連し、この個人情報は、病理学と、健康に影響を及ぼす習慣と、人体計測データと、人種、年齢、性別の内の少なくとも1つを含む肉体的特徴のいずれかに関連し、前記個人情報は前記学習フィードバックプロセスの結果に基づく
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
薬剤の使用に関する個人別推奨案を提供する方法をコンピュータが実行するプログラム・インストラクションを記憶するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体において、
前記コンピュータが、以下のステップを実行するインストラクションを実行し、
(A)SNP(single nucleotide polymorphisms)の患者に関する遺伝子情報を獲得するステップと、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記ステップ(A)で得られた遺伝子情報を処理するステップと、
(C)前記生成された個別の薬理遺伝学情報から、前記患者用に、複数の薬剤に関する複数の個人別推奨案を生成しユーザのディスプレイ上に表示するステップと、
(D)前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案を視覚的にハイライトするステップと、
(E1)前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツからダイナミック・ウエブページを生成するステップと、
(E2)前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を提供するステップと、
(F)前記GUIの手段により、前記ステップ(C)とステップ(D)を実行するステップと、
(I)併用投薬(concomitant medication)又は前記患者から採取された試料に関する情報を獲得し、前記個人別推奨案の一部とそれらが表示される方法を修正するステップであって、併用投薬と前記試料による薬剤応答と、薬剤レベルと、副作用への影響のいずれか、或いは前記薬剤の併用投薬又は前記試料の応答と、前記投薬又は前記試料の代謝への影響のいずれか、或いは代謝又は医薬投与の副作用のいずれかに基づいて、行われるステップと、
(J)前記薬剤と、前記併用投薬又は前記試料と、前記遺伝子情報の内の3つの要素の間の相互作用のいずれかを解析することにより、前記併用投薬又は前記試料の影響を決定するステップであって、前記解析は、(K1)前記併用投薬又は前記試料が、前記薬剤に関し前記患者の代謝容量(metabolizer capacity)を如何に変化させるかをチェックするステップ、
前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与に関連せず、薬理効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連し、前記代謝無関連遺伝子情報は、薬理効果と副作用に関連する遺伝子及び遺伝子変異体に関連し、前記所定の薬理遺伝学情報は記述情報を含み、前記記述情報は、前記複数の薬剤の各薬剤と特定の遺伝子変異体の存否とを関連付け、またリスクにも関連する
ことを特徴とする薬剤の使用に関する個人別推奨案を提供する方法をコンピュータが実行するプログラム・インストラクションを記憶するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項16】
ダイナミックなウエブ・ベースをコンピュータ補助で提供する方法において、
プロセッサとメモリを有する獲得手段で、
(A)SNP(single nucleotidepolymorphisms::単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得するステップと、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記獲得手段が、前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記ステップ(A)で得られた遺伝子情報を処理するステップと、
(C)前記生成された個別の薬理遺伝学情報から、前記患者用に、複数の薬剤に関する複数の個人別推奨案を生成しユーザのディスプレイ上に表示するステップと、
(D)前記プロセッサに接続されたウエブ・サーバー又は前記プロセッサ又はそれに含まれる処理手段により、
(D1)前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツからダイナミック・ウエブページを生成するサブステップと、
(D2)前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を前記記処理手段接続されたユーザのコンピュータ手段に提供するサブステップと、
を実行し、
(E)前記ユーザのコンピュータ手段のユーザのディスプレイ上に前記生成された個人別推奨案を表示し、前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、GUIにより、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案をユーザのディスプレイ上に視覚的にハイライトするステップと、
(I)併用投薬(concomitant medication)又は前記患者から採取された試料に関する情報を獲得し、前記個人別推奨案の一部とそれらが表示される方法を修正するステップであって、併用投薬と前記試料による薬剤応答と、薬剤レベルと、副作用への影響のいずれか、或いは前記薬剤の併用投薬又は前記試料の応答と、前記投薬又は前記試料の代謝への影響のいずれか、或いは代謝又は医薬投与の副作用のいずれかに基づいて、行われるステップと、
(J)前記薬剤と、前記併用投薬又は前記試料と、前記遺伝子情報の内の3つの要素の間の相互作用のいずれかを解析することにより、前記併用投薬又は前記試料の影響を決定するステップであって、前記解析は、(K1)前記併用投薬又は前記試料が、前記薬剤に関し前記患者の代謝容量(metabolizer capacity)を如何に変化させるかをチェックするステップと
を実行し、
前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与(drug dosage)に関連せず、薬理効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連し、前記代謝無関連遺伝子情報は、薬理効果と副作用に関連する遺伝子及び遺伝子変異体に関連し、前記所定の薬理遺伝学情報は記述情報を含み、前記記述情報は、前記複数の薬剤の各薬剤と特定の遺伝子変異体の存否とを関連付け、またリスクにも関連する
ことを特徴とするダイナミックなウエブ・ベースをコンピュータ補助で提供する方法。
【請求項17】
ダイナミックなウエブページを生成するウエブ−ベースの方法をコンピュータが実行するプログラム・インストラクションを記憶するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体において、前記プログラム・インストラクションは、
(A)SNP(single nucleotidepolymorphisms::単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得するステップと、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報と、前記個別の薬理遺伝学情報薬剤から複数の薬剤に関し複数の個人別推奨案を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記ステップ(A)で得られた遺伝子情報を処理するステップと、
(C)前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツからダイナミック・ウエブページを生成するステップと、
(D)前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を提供するステップと、
(E)前記患者用に前記複数の個人別推奨案を表示するステップと、
(F)前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案をユーザのディスプレイ上にGUIで視覚的にハイライトするステップと
(I)併用投薬(concomitant medication)又は前記患者から採取された試料に関する情報を獲得し、前記個人別推奨案の一部とそれらが表示される方法を修正するステップであって、併用投薬と前記試料による薬剤応答と、薬剤レベルと、副作用への影響のいずれか、或いは前記薬剤の併用投薬又は前記試料の応答と、前記投薬又は前記試料の代謝への影響のいずれか、或いは代謝又は医薬投与の副作用のいずれかに基づいて、行われるステップと、
(J)前記薬剤と、前記併用投薬又は前記試料と、前記遺伝子情報の内の3つの要素の間の相互作用のいずれかを解析することにより、前記併用投薬又は前記試料の影響を決定するステップであって、前記解析は、(K1)前記併用投薬又は前記試料が、前記薬剤に関し前記患者の代謝容量(metabolizer capacity)を如何に変化させるかをチェックするステップと
を前記コンピュータに実行させ、
前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与(drug dosage)に関連せず、薬理効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連し、前記代謝無関連遺伝子情報は、薬理効果と副作用に関連する遺伝子及び遺伝子変異体に関連し、前記所定の薬理遺伝学情報は記述情報を含み、前記記述情報は、前記複数の薬剤の各薬剤と特定の遺伝子変異体の存否とを関連付け、またリスクにも関連する
ことを特徴とするダイナミックなウエブページを生成するウエブ−ベースの方法をコンピュータが実行するプログラム・インストラクションを記憶するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の使用に関する個人別推奨案をコンピュータの補助のもとでウエブ・ベースで提供する方法とシステムに関する。この方法とシステムは、代謝(mtabolism)に関連する遺伝子(代謝関連遺伝子)と代謝には関連しない遺伝子(代謝無関連遺伝子)に関する薬理遺伝学情報(pharmacogenetic information)に基づいて、薬剤の使用に関する個人別推奨案(personalized recommendation)を提供する。更にこの方法とシステムは、ダイナミック・ウエブサイト/ページのGUI(Graphical User Interface)の手段により、最も高い副作用に関連するものをハイライトする個人別推奨案を生成し表示する。
【0002】
本発明は、薬剤の使用に関する個人別推奨案を記憶するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に関する。この記憶媒体は、好ましくは非揮発性であり、本発明の薬剤の使用に関する個人別推奨案を提供する方法をコンピュータが実行可能なプログラムインストラクションの形で記憶する。
【0003】
本発明は、薬剤の使用に関する個人別推奨案を。コンピュータの補助のもとでウエブ・ベースで提供する方法と、ダイナミック・ウエブサイト/ページを生成するシステムと、更にダイナミック・ウエブサイト/ページを生成する方法をコンピュータが実行可能なプログラムインストラクションを記憶するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体とを含む。
【背景技術】
【0004】
従来から、プリント可能なレポートの形態あるいはクライアントのディスプレイに表示可能な形態で、薬剤の使用に関する個人別推奨案を生成し提供する様々な方法とシステムが提案されている。この提案の中のあるものは、ウエブベース即ちウエブサービスを介して上記のレポートを生成し提供している。
【0005】
この様な提案を開示した特許文献を引用しその背景を簡単に説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,311,851号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/171697号公報
【0007】
特許文献1は、薬理遺伝学情報(pharmacogenetic information)と薬理学情報(pharmacological information)を配布するコンピュータを用いたツールと方法を開示する。このツールと方法は、予測アルゴリズムを用いて遺伝子データと薬理遺伝学データとを解釈し、これをGUIでワールド・ワイド・ウエブを含むネットワークを介してアクセス可能なレポートの形で提供している。このレポートは、所定の薬剤に対する薬剤−遺伝子の相互作用を含むタイプIのレポートと、薬剤−薬剤の相互作用を含むタイプIIのレポートとを含む。この薬剤は、現在の薬物療法/投薬に基づいてユーザにより選択され、患者の入力に応答して無線で生成され、複数のレベルの表示の双方向ウエブページの形態で提供されたものである。そのレベルの一例は、患者の薬剤の使用例、提案されている処方箋に特有な薬剤と薬草(drug or herbal)に関するランク別の警告、同一の治療クラスにおいて別種類の薬剤の推薦、医学文献にリンクした告知、追加された遺伝子テストの推奨案等を含む。
【0008】
複数の問題/課題に関する様々な相互作用が特許文献1に見られる。例えば薬剤−薬剤、薬剤−試料、薬剤−遺伝子、試料−遺伝子、薬剤−臨床ファクタ、試料−臨床ファクタ、複数の問題/課題に関する複雑な相互作用が含まれ、これらは薬剤の副作用に関連している。これらの対の相互作用の組み合わせは可能であると同文献では簡単に述べてはいるが、この様な対同士の組み合わせは又は如何なる組み合わせも特許文献1には開示されておらず、即ち、3つの課題の間の相互作用、例えば薬剤−薬剤−薬剤、試料−遺伝子−薬剤、薬剤−試料−医療ファクタ等の3つ課題の間の相互作用は開示されていない。
【0009】
特許文献1に開示されたアルゴリズムによる予測が可能なのは、薬剤即ち薬物動力学(pharmacokinetic:PK)のデータに対するクリアランス・バリアンス(clearance variance)に関する準大量な情報がある場合である。かくしてこの予測は、クリアランス予測(clearance predictioon)である。即ち薬力学(pharmacodynamics:PD)には関係しない。多くの薬剤においては、PK/PDの比率は線形ではない。実際に知るべき重要なことは、ある薬剤に対する所定のクリアランスは、薬力学作用を有する薬剤の投与量を調整しなければならないか否かである。言い換えると、特許文献1の方法とシステムにより与えられる予測では、遺伝子変異体がある場合何が起こるかと、薬剤−薬剤の相互作用がある場合何が起こるかを知ることはできる。しかし、両方が同時に起きた場合、即ち前記遺伝子変異体がありかつ前記薬剤−薬剤の相互作用がある場合、何が起こるかを知ることはできない。更に特許文献1は代謝に関連しない遺伝子データを使用することを開示していない。
【0010】
特許文献2は、個々の患者に対する薬剤投与法あるいは化合物の選択を目的とするコンピュータ補助の方法とアルゴリズムを開示する。これらの方法とアルゴリズムは、所望の化合物に対する酵素を代謝する(metabolizing enzymes)遺伝子エンコーディング・ドラッグ(genes encoding drug )の遺伝子タイプの情報を組み込んだ集団モデル(population models)に基づいている。一般的に目標とする薬剤投与は、薬剤の濃度プロファイルに基づいて行われる。薬剤の予測インデックスのランク付けされたリストは、患者特有の遺伝子ファクタ、非遺伝性の患者ファクタ、薬剤特有のファクタに基づいて計算され、それらがディスプレイ・ユニットに表示される。
【0011】
様々な薬物動力学的相互作用と薬力学的相互作用、例えば薬剤−薬剤の相互作用又は薬剤−病気の相互作用は評価されているが、それらは一対のもの(2つの要素からなる)である。即ち3つの要素間(薬剤、試料、遺伝子、臨床ファクタのいずれか3つの要素)の組み合わせの相互作用は、特許文献2には開示されていない。
【0012】
特許文献2は、リスク基準に従った個人別推奨案を生成するようなウエブベースの方法又はシステムを開示していない。
【0013】
個別(個人別)の健康薬剤用の製品を市販している会社もある。この製品は、患者の遺伝子データから構築された薬剤の使用に関する個人別推奨案に基づいて選択され、ユーザのディスプレイに表示できるドキュメントの形態で提供されている。
【0014】
この様な会社の1つはAssurex Health社である。この会社の製品GeneSight(登録商標)は、コンピュータツールであり、代謝に影響を及ぼす重要な遺伝子変異体と個々の患者の健康薬剤治療に対する応答を測定/解析し、患者に薬剤治療方法の決定前に、客観的な遺伝子に基づく患者情報を予め提供している。これは、個人別推奨案を含むレポート(文書)の手段で行われ、リスク基準に従って指定された色で表されている。
【0015】
この様なレポートはユーザのディスプレイに表示されるが、GeneSight(登録商標)は、この様なレポートを、静的又は動的を問わず、ウエブページにより提供されるGUIの手段を用いて行っておらず、ウエブベースの方法は、Assurex Health社の前記製品には適用されていない。
【0016】
本発明者らは以下の提案を知らない。使用されている薬剤に関する個人別推奨案を、代謝関連遺伝子と代謝無関連遺伝子の両方に関する遺伝子データから、ダイナミック・ウエブページでGUIの手段で提供するウエブベースの方法とシステムを提供する提案。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、従来技術に代わるものとして、従来技術よりも薬剤の使用に関するより精巧な個人別推奨案を提供する方法とシステムを提供することである。本発明の方法とシステムは、薬物動力学(PK)と薬力学(PD)を含み、大量の遺伝子情報(人間が処理するのは不可能な量であり、仮に人間が処理するとエラーが発生し、患者の健康のために重篤な結果をもたらす誤った推奨案を提供することがある)を処理し、個人別推奨案を要求するユーザに対し、より高品質の個人別推奨案を生成し、より使い易い方法とシステムを提供することである。
【0018】
本発明は、以下に記述する様々な態様により、従来技術で使用されていたコンピュータによる動作機能を改良する、特に、ダイナミック・ウエブサイト/ページを介しダイナミックな方法でハイライトされた個人別推奨案を提供する。このプロセスは、ハードウエア・レベル(様々なハードウエア要素をリンクするネットワークを含む)とソフトウエア・レベル(それ自身が構造的な限界を構成するような特別に適用されたプログラム・インストラクションをコンピュータに提供する)で、仕事量/負荷を分散して行う。この様に修正されたコンピュータにより、リアルタイムで、医者又は患者により入力された様々な入力データに従って、薬物動力学に関するデータを含む推奨案をダイナミックに更新/再計算できる。
【0019】
本発明により、薬剤の使用に関する個人別推奨案を自動的に生成することに関する技術的改良が達成できる。これにより、薬物動力学情報を含む個人別推奨案の自動生成が可能となり、それらの一部をハイライト化し、従来技術よりも大量かつ高度の分散処理が可能となる。これにより、結果をリアルタイムで得ることができる。この様な結果は、従来技術で得られた結果を大幅に改善し、人間の介在を無くし、不正確な結果を修正する、即ち間違った推奨案を表示ことが回避できる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
ダイナミック・ウエブサイト/ページの生成を改善することは、本発明により行うことができる。本発明は、その第1態様では、薬剤の使用に関する個人別推奨案をコンピュータ補助のウエブ・ベースで提供する方法に関する。この本発明の方法は、
(A)SNP(single nucleotidepolymorphisms::単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得するステップと、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記ステップ(A)で得られた遺伝子情報を処理するステップと、
(C)前記生成された個別の薬理遺伝学情報から、前記患者用に、複数の薬剤に関する複数の個人別推奨案を生成しユーザのディスプレイ上に表示するステップと、
(D)前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案を視覚的にハイライトするステップと、
(E1)前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツからダイナミック・ウエブページを生成するステップと、
(E2)前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を提供するステップと、
(F)前記GUIの手段により、前記ステップ(C)とステップ(D)を実行するステップと、
を含み、前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与(drug dosage)に関連せず、薬理応答/効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連する。
【0021】
一実施例においては、前記の獲得ステップ(A)と処理ステップ(B)は、1つあるいは複数の処理手段により実行される。この処理手段はプロセッサとメモリとを有する。ダイナミック・ウエブサイト/ページとGUIはそれぞれ前記処理手段に接続されたウエブサーバーにより生成/提供される。ウエブサーバーは、処理手段の一部を含むあるいは処理手段に含まれるものである。ユーザディスプレイは、ウエブサーバーに接続されたユーザコンピュータ装置に接続されたものあるいはその一部であり、GUIを受領する。本発明のシステムは、クライアント/サーバーシステムを構築し、ユーザのコンピュータ装置は、前記ウエブサーバー又は前記処理手段のシン・クライアントあるいはシック・クライアントである。
【0022】
処理手段とウエブサーバーとユーザのコンピュータ装置は、それぞれアルゴリズムを、プロセッサが実行可能な形態でメモリに記憶されたプログラム・インストラクションの形態で有する。これは上記の機能を自動的に実行する。
【0023】
更なる実施例においては、前記所定の薬理遺伝学情報は記述情報を含み、前記記述情報は、前記複数の薬剤の各薬剤と特定の遺伝子変異体の存否とを関連付け、またリスクにも関連し、本発明の方法は、
(G)前記記述情報の内の1つのみが、薬剤と前記遺伝子情報のそれぞれの遺伝子変異体とを関連付ける場合には、前記1つの記述情報のみを取り出し、前記薬剤に関する患者用の個人別推奨案を生成するステップと、
(H)前記記述情報の内の2つが、薬剤と前記遺伝子情報のそれぞれ複数の遺伝子変異体とを関連付ける場合には、前記複数の記述情報を取り出し、前記薬剤に関する患者用の個人別推奨案を生成するステップと、
を更に有し、
前記ステップ(G)(H)は、前記取り出した複数の記述情報から、最高のリスクを有する記述情報を選択することにより、行う。
【0024】
前記記述情報は、例えば特定の遺伝子変異体の存否が薬理作用効果/効果と薬剤が代謝又は副作用に如何に影響を及ぼすかを記述するフレーズで与えられる。これらのフレーズを複数含む詳細な実施例を以下説明する。
【0025】
前記薬剤は神経精神薬剤(neuropsychiatric drug)である。神経精神薬剤とは中枢神経系(central nervous system)に作用する薬剤である。神経精神薬剤の一例は、抗精神病薬、抗うつ剤、精神安定剤、興奮剤、不安緩和剤、鎮静剤、催眠薬、麻薬常用阻止剤、抗パーキンソン病剤、抗痴呆剤、抗痙攣剤、てんかん治療剤等がある。
【0026】
薬理作用効果(drug response)は、遺伝子ファクタと併用投薬治療の両方に依存する。この事実の重要性は、他の薬剤の消費/投与が、ある種の(所定の)フェノタイプ(phenotype:遺伝子により発現された型質の型)に対する応答を強めるということである。例えば、患者が、SNPのキャリアであるため、前記薬剤を代謝/消化する(metabolize)する酵素の活性度が低いために、即ち所定の薬剤に対し弱い代謝機能の患者の場合には、この効果は、患者が、別の神経精神薬剤或いは酵素の阻止剤である非神経精神薬剤(スタチン等)の併用投薬を受けると、更に強化されることがある。通常精神科医は、精神薬剤の相互作用を知ってはいるが、他の病気用の薬剤については知らないかも知れない。そのため、医者が手作業で全ての情報を統合することは問題があり、治療過誤につながる。
【0027】
同一の抗鬱剤の投与の方法と投与量に対する患者の応答の性質が変動するが故に、医者は今のところ試行錯誤で抗鬱剤を投与している。
【0028】
上記に問題を解決するために、本発明の方法は、本発明の一実施例によれば、(I)併用投薬(concomitant medication)又は前記患者から採取された試料に関する情報を獲得し、前記個人別推奨案の一部とそれらが表示される方法を修正するステップを更に有する。前記ステップ(I)は、併用投薬と前記試料による、薬剤応答と、薬剤レベルと、副作用への影響のいずれか、或いは前記薬剤の併用投薬/前記試料の応答と、前記投薬/前記試料の代謝への影響のいずれか、或いは併用投薬/前記試料の代謝、又は医薬投与の副作用のいずれかに基づいて、行われる。
【0029】
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、(J)前記薬剤と前記併用投薬又は前記試料と前記遺伝子情報の内の3つの要素の間の相互作用のいずれかを解析することにより、前記併用投薬又は前記試料の影響を決定するステップを更に有し、前記解析は、前記併用投薬又は前記試料が、前記薬剤に関し、患者の代謝容量をどのように変えるかをチェックすることにより、行われる。
【0030】
前記相互作用の解析は、前記個別の薬理遺伝学の推奨案を生成した後、実施例毎に行われる。前記個人別推奨案の少なくとも一部の修正は、既に生成された個人別推奨案に対し行われる。
【0031】
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、前記相互作用の解析を、取得した遺伝子情報と所定の個人別推奨案の処理の一部として実行する。前記処理は、取得した遺伝子情報と共に前記併用投薬または前記試料に関し獲得した情報と、前記所定の薬理遺伝学情報の処理を含む。前記個人別推奨案の少なくとも一部は、個人別推奨案の生成時に、行われ、その一部を形成する。
【0032】
前記併用投薬または前記試料が少なくとも2つある場合には、本発明の方法は、前記薬剤に対する各併用投薬または前記試料の影響あるいはその逆の場合の影響に基づいて、(L1)それぞれがリスクに関連する複数の修正された個別の仮の推奨案を生成し、(L2)複数の修正された個別の仮の推奨案の中から、最高リスクを有する仮の個人別推奨案を選択することにより、前記薬剤に関し前記患者に対し修正された個別の最終推奨案を生成し表示する。
【0033】
本発明の方法は、(N1)前記患者の更なる個人情報に関する情報を獲得するステップと、(N2)前記個人別推奨案の少なくとも一部とそれらが表示される方法を修正するステップとを有する。前記更なる個人情報は、病理学と、健康に影響を及ぼす習慣と、人体計測データと、人種、年齢、性別の内の少なくとも1つを含む肉体的特徴のいずれかに関連し、前記ステップ(N2)は、前記更なる個人情報が薬剤応答又はその副作用への影響に基づいて、視覚的にハイライト化する。
【0034】
上記の実施例は、上記の併用投薬あるいは試料の使用と情報の獲得に関する実施例と組み合わせて行われる。後者(即ち、組み合わせた場合)は、併用投薬/試料と更なる個人情報の両方の影響に基づいて、個人別推奨案の修正を提供する。
【0035】
個人別推奨案が本発明の方法により如何に表示されるかに関しては、個人別推奨案は、明らかな差別化が可能な手段により表示される、例えば異なるアイコンを用いて表示される。一実施例においては、前記個人別推奨案は、カラーコードに従って表示され、前記視覚的なハイライト化は、前記リスク基準に従って強調されるべき個人別推奨案に対し、顕著な色彩、目を奪う色、点滅する色の使用を含む。
【0036】
本発明の方法の特殊な実施例においては、前記カラーコードの表示は、以下に従って行われる。
赤:副作用のリスクが増加したことを表す個人別推奨案
琥珀:薬理応答/効果の可能性が低くなったこと又は特定の薬剤の投与量をモニターする必要があることを表す個人別推奨案
緑:薬理応答/効果の可能性が高くなったこと又は副作用のリスクは低くなったとを表す個人別推奨案
白:標準の薬理応答/効果、標準の代謝、又は副作用の標準のリスクを表す個人別推奨案。
【0037】
個別の推奨案の表示の修正に関して、本発明の方法は、
(N21)前記ディスプレイのスクリーン領域上に前記個人別推奨案を表示するグラフィック表示の色又は形状もしくはその両方を変化させるステップと、
(N22)前記ユーザのディスプレイに表示される仮想リンクをクリックするユーザに応じて又は直接的に、更なる推奨案情報を表示するステップと、
(N23)前記スクリーン領域に重ねてあるいはその近傍に、シンボルを表示するステップ
を含み、前記シンボルは、前記併用投薬、試料、更なる個人情報が薬理作用効果、薬剤レベル、副作用に及ぼす影響に関連する複数のシンボルから選択される。
【0038】
前記複数のシンボルは、前記薬剤に関し将来の影響に関連するシンボル、相互作用があること、禁忌があること、関連情報があること、薬剤の投与量の増減に関するシンボルを含む。
【0039】
本発明の方法の一実施例においては、(O)複数のチャートを表示するステップを含む。前記各チャートは、同一又は類似の目的の薬剤の複数の識別子を含み、前記薬剤の識別子は、表示された個人別推奨案の1つに関連して表示される。
【0040】
本発明の方法の特殊な実施例においては、本発明の方法は、
(P)前記ユーザのディスプレイ上に交互に又は同時に、第1、第2,第3のスクリーン又はグラフィカル領域を表示するステップを有する。
前記第1スクリーン又は第1グラフィカル領域は、複数のチャートを含み、前記各チャートは、同一又は類似の目的の薬剤の複数の識別子を含み、前記薬剤の識別子は、表示された個人別推奨案の1つに関連して表示され、
前記第2スクリーン又は第2グラフィカル領域は、ユーザにより入力されるべき複数のボックスを有し、前記複数のボックススは、病理学、健康に影響を及ぼす習慣、人体計測データ、人種、年齢、性別の内の少なくとも1つを含む肉体的特徴に関連し、
前記第3スクリーン又は第3グラフィカル領域は、複数のチャートを有し、前記チャートは、併用投薬と前記試料による薬剤応答、副作用への影響に基づいて、前記個人別推奨案の一部とそれらが表示される方法を修正することを含む。
【0041】
本発明の方法の一実施例においては、本発明の方法は、
(Q1)ユーザへのオンラインと相互作用のサービスを前記ユーザに提供するステップと、
(Q2)ユーザによりクリックされるべき仮想リンクをユーザのディスプレイ上に提供するステップと、
を含み、
前記ステップ(Q1)は、ユーザのディスプレイ上に前記複数のチャートを表示すること、前記空欄のボックスを埋めること、前記個人別推奨案をとその表示を修正することは、入力された情報に基づいて行うこと、
前記ステップ(Q2)は、コンピュータ入力手段に基づいて行われ、前記コンピュータ入力手段により、ユーザのディスプレイ上に表示すべき追加的な推奨案情報にアクセスする又はユーザによりダウンロードされる。
【0042】
生成された個人別推奨案を改善する目的で、本発明の方法は、一実施例において、個人別推奨案を本発明の方法により統計情報から得られた学習フィードバックプロセスの出力に基づいて個人別推奨案を生成する。この統計情報は複数の薬剤の作用、複数の患者、薬剤と併用投薬の間の相互作用、薬剤と患者の個人情報との間の相互作用、健康に及ぼす習慣、人類学、体格、年齢、性別の内の少なくとも1つを含む肉体的特徴に関する情報である。
【0043】
本発明の第2の態様においては、薬剤の使用に関する個人別推奨案を提供するウエブ・ベースのシステムに関し、以下の手段又は装置を含む。
(A)SNP(single nucleotidepolymorphisms::単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得する手段と、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記手段(A)で得られた遺伝子情報を処理し、前記生成された個別の薬理遺伝学情報から、前記患者用に、複数の薬剤に関する複数の個人別推奨案を生成する処理手段と、
(C)ユーザのディスプレイ手段に関連するユーザのコンピュータ手段と、
前記コンピュータ手段は、前記生成された個人別推奨案をユーザのディスプレイ手段に表示し、前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案を視覚的にハイライト化し、
(D)ウエブサーバーと、
を有し、
前記ウエブサーバーは、前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツへのアクセス手段を有し、前記コンテンツからダイナミック・ウエブページを生成し、前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を提供し、
前記ウエブサーバーは、前記ユーザのコンピュータ手段に接続され、前記GUIを前記ユーザのコンピュータ手段に提供し、
前記ユーザのコンピュータ手段と関連するディスプレイ手段は、前記GUIにより、個人別推奨案を表示し、視覚的にハイライト化し、
前記個人別推奨案は、薬剤の投与には関連せず、薬剤の応答又は副作用のいずれかあるいはその両方に関連する。
【0044】
本発明の一実施例においては、本発明のダイナミックなウエブページを生成するウエブ−ベースのシステムにおいて、前記情報獲得手段と処理手段はプロセッサとメモリを有し、前記メモリは、前記情報獲得手段と処理手段が動作可能なように、プロセッサにより実行可能なプログラム・インストラクションを記憶し、前記ウエブ・サーバーは、前記処理手段に接続されるか、前記処理手段の一部を含むか或いは含まれるか、そして前記ユーザのコンピュータに接続され、前記複数の個別の薬理遺伝学情報に関するコンテンツにアクセスし、前記ユーザのコンピュータは、プロセッサとメモリを有し、前記メモリは、前記プロセッサにより実行可能なプログラム・インストラクションを記憶し、前記ユーザのコンピュータとユーザのディスプレイは、GUIで、前記ユーザのコンピュータ手段のユーザのディスプレイ上に前記生成された個人別推奨案を表示し、前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案をユーザのディスプレイ上にGUIで視覚的にハイライトする。
【0045】
前記情報獲得手段と処理手段は、同一のコンピュータ・エンティティ又は、互いの接続された別個のコンピュータ・エンティティにより、実現される。
【0046】
前記処理手段と前記ウエブ・サーバーと前記ユーザのコンピュータとは、プログラム・インストラクションは1つ或いは複数のアルゴリズムを有し、前記アルゴリズムは、前記プロセッサにより実行可能なメモリに記憶された形態であり、これは、上記の機能を自動的に実行する。
【0047】
前記ユーザのコンピュータは、上記の機能を実行し、通信機能を有し、ディスプレイに接続されている又はそれを有する。前記ユーザのコンピュータの一例は、パソコン、ラップトップパソコン、PDA,タブレット、インテリジェント・ウオッチ、セット・ボックス、スマートTV,プログラム可能な電子機器、ネットワークPC、マイクロ・コンピュータ、メインレーム・コンピュータ・システム、ロボット、クラウド・コンピュータ等が挙げられる。
【0048】
前記情報獲得手段と処理手段とウエブ・サーバは、通信機能或いは他の資源(メモリ、バス等)を有する1つのコンピューティング・ユニット、関連する機器(ゲートウエイ、通信リンク、インターフェース、周辺機器)、作業負荷に応じ上記の機能を実行できる機器で実現可能である。
【0049】
特にウエブ・サーバの一例は、アッパチHTTPサーバ、IISウエブ・ホステイング・サーバ,SUN Java システム・ウエブ・サーバ、Jigsawサーバ等が挙げられる。
【0050】
ユーザのコンピュータとウエブ・サーバとの間に、あらゆる種類のクライアント−サーバ・アーキテクチャとコンピュータ環境(ローカル・コンピュータ環境、リモート・コンピュータ環境、クラウド・コンピュータ環境)を実現できる。様々なコンピューティング・エンティティを繋ぐ通信ネットワークも利用できる。
【0051】
本発明の一実施例においては、本発明のシステムはデータベースを更に有する。前記データベースは、前記複数の薬剤と前記遺伝子情報とを関連付ける前記所定の薬理遺伝学情報と、それに関連して予め蓄積されている複数の推奨案を記憶し、前記処理手段は、前記データベースにアクセスし、前記記憶されている所定の薬理遺伝学情報内の予め組み込まれている遺伝子情報を調べ上げて、前記個人別推奨案を生成し、そこから、予め組み込まれた遺伝子情報を生成する。
【0052】
本発明の一実施例においては、本発明のシステムはデータベースを更に有する。前記データベースは所定の薬理遺伝学情報を含み、前記所定の薬理遺伝学情報は記述情報を含み、前記記述情報は前記複数の薬剤の各薬剤と特定の遺伝子変異体の存否とを関連付け、またリスクにも関連し、前記処理手段は、前記データベースにアクセスし、前記個人別推奨案を以下のステップ
(G)前記記述情報の内の1つのみが、薬剤と前記遺伝子情報のそれぞれの遺伝子変異体とを関連付ける場合には、前記1つの記述情報のみを取り出し、前記薬剤に関する患者用の個人別推奨案を生成するステップと、
(H)前記記述情報の内の2つが、薬剤と前記遺伝子情報のそれぞれ複数の遺伝子変異体とを関連付ける場合には、前記複数の記述情報を取り出し、前記薬剤に関する患者用の個人別推奨案を生成するステップと、
を実行することにより、個人別推奨案を生成し、前記ステップ(H)は、前記取り出した複数の記述情報から、最高のリスクを有する記述情報を選択することにより、行う。
【0053】
本発明の第3の態様においては、本発明は薬剤の使用に関する個人別推奨案を提供する方法をコンピュータが実行するプログラム・インストラクションを記憶するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に関し、この記憶媒体は、コンピュータが、以下のステップ
(A)SNP(single nucleotidepolymorphisms::単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得するステップと、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記ステップ(A)で得られた遺伝子情報を処理するステップと、
(C)前記生成された個別の薬理遺伝学情報から、前記患者用に、複数の薬剤に関する複数の個人別推奨案を生成しユーザのディスプレイ上に表示するステップと、
(D)前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案を視覚的にハイライトするステップと、
(E1)前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツからダイナミック・ウエブページを生成するステップと、
(E2)前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を提供するステップと、
(F)前記GUIの手段により、前記ステップ(C)とステップ(D)を実行するステップと、
を実行し、前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与(drug dosage)に関連せず、薬理応答/効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連する。
【0054】
本発明のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、本発明の上記機能の全ての動作が実行可能なプログラム・インストラクションを記憶する。本発明の一実施例においては、前記記憶媒体は非揮発性である。本発明の他の実施例においては、前記記憶媒体は揮発性である。
【0055】
実施例によっては、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、上記の機能を実行可能な複数のコンピュータ・ユニットの間に分散配置される記憶媒体で実現できる。その一例は、前記処理手段と前記ウエブ・サーバーと前記ユーザのコンピュータからなる本発明のシステムの機能を実行できるコンピュータ・ユニットである。
【0056】
本発明の第4の態様は、ダイナミックなウエブ・ベースをコンピュータ補助で提供する方法に関し、この方法は、
(A)プロセッサとメモリを有する獲得手段で、SNP(single nucleotidepolymorphisms::単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得するステップと、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記獲得手段が、前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記ステップ(A)で得られた遺伝子情報を処理するステップと、
(C)前記生成された個別の薬理遺伝学情報から、前記患者用に、複数の薬剤に関する複数の個人別推奨案を生成しユーザのディスプレイ上に表示するステップと、
(D)前記プロセッサに接続されたウエブ・サーバー又は前記プロセッサ又はそれに含まれる処理手段により、
(D1)前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツからダイナミック・ウエブページを生成するステップと、
(D2)前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を前記記処理手段接続されたユーザのコンピュータ手段に提供するステップと、
(E)前記ユーザのコンピュータ手段のユーザのディスプレイ上に前記生成された個人別推奨案を表示し、前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、GUIにより薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案をユーザのディスプレイ上に視覚的にハイライトするステップと、
を有し、
前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与(drug dosage)に関連せず、薬理応答/効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連する。
【0057】
本発明の第1の態様の方法に関する実施例は第4の態様の方法でも有効である。
本発明の第5の態様は、ダイナミックなウエブ・ベースのシステムに関し、このシステムは、
(A)プロセッサとメモリを有する獲得手段と、前記獲得手段は、SNP(single nucleotidepolymorphisms::単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得し、前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)プロセッサとメモリを有する処理手段と、前記処理手段は、複数の薬剤に関し前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報を生成するために、前記プロセッサによりメモリに記憶されたプログラム・インストラクションにより、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記獲得手段で得られた遺伝子情報を処理し、
(C)ユーザのディスプレイに接続されたユーザのコンピュータと、
(D)ウエブ・サーバーと、前記ウエブ・サーバーは、前記処理手段に接続されるか、前記処理手段の一部を含むか或いは含まれるか、そして前記ユーザのコンピュータに接続され、前記複数の個別の薬理遺伝学情報に関するコンテンツにアクセスし、
を有し、
(D1)前記コンテンツから、ダイナミックなウエブページを生成し、
(D2)前記ダイナミックなウエブページから、前記ユーザのコンピュータにGUIを提供し、
前記ユーザのコンピュータとユーザのディスプレイは、GUIで、前記ユーザのコンピュータ手段のユーザのディスプレイ上に前記生成された個人別推奨案を表示し、前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案をユーザのディスプレイ上にGUIで視覚的にハイライトし、
前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与(drug dosage)に関連せず、薬理応答/効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連する。
【0058】
本発明の第2の態様の方法に関する実施例は第5の態様のシステムにも有効である。本発明の第6の態様は、ダイナミックなウエブページを生成するウエブ−ベースの方法をコンピュータが実行するプログラム・インストラクションを記憶するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に関し、前記プログラム・インストラクションは、
(A)SNP(single nucleotidepolymorphisms::単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得するステップと、
前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含み、
(B)前記患者に対し個別の薬理遺伝学情報と、前記個別の薬理遺伝学情報薬剤から複数の薬剤に関し複数の個人別推奨案を生成するために、前記複数の薬剤に関し所定の薬理遺伝学情報と共に前記ステップ(A)で得られた遺伝子情報を処理するステップと、
(C)前記複数の個人別推奨案に関するコンテンツからダイナミック・ウエブページを生成するステップと、
(D)前記ダイナミック・ウエブページからGUI(graphical user interface)を提供するステップと、
(E)前記患者用に前記複数の個人別推奨案を表示するステップと、
(F)前記複数の表示された個人別推奨案の中から、リスク基準に従って、薬剤の副作用のリスクに関連する推奨案をユーザのディスプレイ上にGUIで視覚的にハイライトするステップと
を実行し、前記個人別推奨案の少なくとも一部は、薬剤投与(drug dosage)に関連せず、薬理応答/効果又は副作用のいずれか又はもしくはその両方に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の一実施例の方法のステップのフローチャートと本発明のシステムの様々な要素を表す図。
図2】本発明の第1実施例の方法により生成され適用されるダイナミック・ウエブサイト/ページのGUIの第1スクリーンのスクリーンショットを表す図であり、これは神経精神薬剤の使用に関する個人別推奨案を含み、この第1スクリーンは、「遺伝子の検査結果」のタブをクリックすることにより又はデフォルトのスクリーンとして表示される。
図3図2の第1実施例の第1スクリーンの一部を表す図であり、ユーザが下線の薬剤の名前、即ちCitalopramにマウスポインタを置いた時に、追加的な推奨案情報を有するバルーンが現れた状態を示す。
図4】本発明の方法の第1実施例に関し、図2の第1スクリーンの一部を示す図。追加的な情報のポップアップウインドウは、特定の遺伝子及び遺伝子変異体を含み、ユーザが図3の下線の薬剤の名前、即ちCitalopramをクリックした時に、現れた状態を示す。
図5】本発明の第2実施例の方法のダイナミック・ウエブサイト/ページのGUIの第2スクリーンのスクリーンショットを表す図。前記第2スクリーンは、現在の治療の患者に関連する情報を入力するために、ユーザにより入力されべき複数の空欄のボックスを含む。このボックスは、併用投薬(この場合Terbinafineが選択されている)と、精神薬剤(この場合Amitryptilineが選択されている)と、環境ファクタ(この場合何も選択されていない)とを含む。前記第2スクリーンは、「患者情報(Patient Information)」のタブがクリックされると、表示される。
図6】本発明の第2実施例に関し、図2の第1スクリーンに対応する本発明の方法のダイナミック・ウエブサイト/ページのGUIの第3スクリーンのスクリーンショットを表す図。表示された推奨案情報は、図5の第2スクリーンでユーザにより入力された情報に対応して修正されたものである。
図7a図2の第2スクリーンの一部を表す図。即ち推奨案は、第2スクリーンで入力された情報に基づいて修正されていない状態を表し、下線を引いた薬剤の名前即ちAmitryptilineにマウスポインタをユーザが置いた時に、現れる追加的推奨案情報のバルーンを含む。
図7b】本発明の第2実施例に関し、図6の第1スクリーンの一部を示す図。即ち推奨案は、第2スクリーンで入力された情報に基づいて既に修正された状態を表し、下線を引いた薬剤の名前即ちAmitryptilineにマウスポインタをユーザが置いた時に、現れる追加された推奨案情報のバルーンを含む。前記追加された推奨案情報は、図7aに示されたものとは入力された情報の影響の結果として異なっている。
図8a】別の薬剤即ちHaloperidolに対し図7aに対応する図。
図8b】別の薬剤即ちHaloperidolに対し図7bに対応する図。図8bののバルーンに表示された薬剤に対する追加された推奨案情報は、図8aのバルーンに示されたものに対し修正されており、これは第2スクリーンで入力された情報の影響結果である。
図9図5と同様に、本発明の第3実施例の方法のダイナミック・ウエブサイト/ページGUIの第2スクリーンのスクリーンショットを示す図。併用投薬と精神薬剤は選択されておらず、環境ファクタは選択されており、特に、"Kidney disease"と"Severe renal insufficientcy" が選択されたボックスが示されている。
図10】本発明の第3実施例の方法のダイナミック・ウエブサイト/ページGUIの第3スクリーンのスクリーンショットを表す図。これは図2の第1スクリーンに対応する。表示された推奨案情報は、図9の第2スクリーンでユーザにより入力された情報の応答した結果修正されている。
図11a】本発明の第3実施例の方法の"Lithium"を表すダイナミック・ウエブサイト/ページGUIの第3スクリーンのスクリーンショットを表す、図7aに類似する図。
図11b】本発明の第3実施例の方法の"Lithium"を表すダイナミック・ウエブサイト/ページGUIの第3スクリーンのスクリーンショットを表す、図7bに類似する図。図11bののバルーンに表示された前記薬剤に対する追加された推奨案情報は、図11aのバルーンに示されたものに対し修正されており、これは図9の第2スクリーンで入力された情報の影響の結果である。
図12】本発明の一実施例のシステムを表す図。
図13】本発明の一実施例の方法のステップのフローチャートと本発明のシステムの様々な要素を表す図。図1のそれとは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、本発明の薬剤の使用に関する個人別推奨案を提供するウエブべースのシステムを示す。これは、本発明の方法を実行する際行われるアクションに関連する機能ブロックでしめされている。
【0061】
図1のシステムは、SNP(single nucleotide polymorphisms:単一ヌクレオチド多型症状)を含む患者に関する遺伝子情報を獲得する手段を含む。前記遺伝子情報は、代謝(metabolism)に関連する遺伝子(gene)及び遺伝子変異体(genetic variant)に関する代謝関連遺伝子情報と、代謝に関連しない遺伝子及び遺伝子変異体に関する代謝無関連遺伝子情報とを含む。前記手段は3つのブロック1,2,3で示されている。ブロック3は、患者の遺伝子サンプルから、XLSファイルの形態で、遺伝子データを生成する遺伝子解析プラットホームである。ブロック1は、それぞれのプラットホームで実行される、研究所情報管理プログラム(LIMS:Laboratory Information Management System)である。ブロック2は、情報パケット(JSON)の形態で、遺伝子データ(例えばサンプル番号、サンプルタイプ等)を生成する外部プラットホームである。各プラットホーム1,2,3は、プロセッサ、メモリ、バス等を具備したコンピュータ・ユニットを含む。
【0062】
図1によれば、PGI−Dと称するエンティティ内で、本発明のシステムの処理手段は、ボックス4でXLSファイルの形態のマクロを生成する。このマクロは、ブロック1,2,3から受領した遺伝子の調査結果と、遺伝子サンプルに関する遺伝子データの両方を含む。
【0063】
前記の生成されたマクロ内に含まれる情報とデータベース5に記憶されている情報とを処理することにより、処理手段は、ボックス6で、Microsoft Word(登録商標)DOCXのドキュメントのようなテキストドキュメントの形態で、調査結果のレポートを生成する。このドキュメントは容易に理解できる形態で取り出した情報の全てを含む。ボックス7で、オンラインでコンサルトされた調査結果のレポートを生成する。これは、最終結果を得るために作用すべきベースとなる。
前記マクロは、複数の薬剤に関する薬理遺伝学情報を含む。例えば各薬剤と特定の遺伝子変異体の存否とを関連付けるフレーズと推奨案とを含む。
【0064】
ボックス6で生成されたテキストレポートは、ボックス8でPDFファイルとして記憶され、PGI−Dのメモリ手段に記憶される。かくしてユーザは、自身のコンピュータ装置に、ウエブを介してダウンロードすることができる。
【0065】
ボックス7で生成されたオンライン結果レポートは、患者用に複数の薬剤に関する複数の個人別推奨案を含む。その一部は、副作用に関連する場合には、リスク基準に従って視覚的にハイライト化される。本発明のシステムのウエブサーバーの手段により生成されたダイナミック・ウエブサイト/ページにより提供されるGUIの手段により表示されると、ユーザのコンピュータ装置に接続されているウエブサーバー(図1ではPGI−Dエンティティの一部又は全てを含むものとする)は、前記GUIを提供し、ユーザのコンピュータ装置とそのディスプレイ手段が、ウエブアドレスへアクセスすることにより、前記GUIの手段による個人別推奨案を表示し、視覚的にハイライトする。
【0066】
ユーザは、自身のコンピュータのディスプレイ手段(図2の第1スクリーン)に表示されたオンライン・レポート7を参照する。あるいはブロック9で示されたように、現在患者が受けている併用投薬と共に患者情報を入力する(図5に示す第2スクリーンで)。
【0067】
PGI−Dは、オンライン・レポート7に含まれる情報と、患者データ+現在進行中の治療を示すブロック9で入力された情報と、データベース10(例えば、薬剤と、併用投薬又は環境ファクタとの間の相互作用に関するフレーズ)に記憶されているデータとを組み合わせることにより、ブロック11(図6に示す第3スクリーン)の結果レポートの新たなオンラインバージョンを、生成する。
【0068】
図13図1の実施例とは異なる実施例を示し、図1の機能ブロック一部特にブロック4,6が無い。図13の実施例のウエブシステムの動作は、図1のそれに類似するが、図1の実施例に対しブロック4,6の機能がない。
図13による本発明のシステムの動作は以下の通りである。
【0069】
PDF内にレポートを生成するために、本発明のシステム特に遺伝子情報を獲得する手段は、一方で、遺伝子解析プラットフォーム3により生成されたエクセルファイル(XLS)から遺伝子データを獲得し、他方で、外部プラットフォーム2と管理プログラムLIMS1により生成されたパケット(JSON)から遺伝子データ(例えばサンプル数、サンプル・タイプ等)を獲得する。
【0070】
PGI−Dのデータベース5内に記憶されているデータ(例えばフレーズ、推奨案)と前記のデータから、本発明のシステムは、一方で、ブロック8で結果レポートを生成する。これは理解しやすい形態で全ての情報を含むメモリ内に記憶しているPDFファイルである。その結果ユーザは、ブロック7で、オンライン上で得られる別の結果レポート(オンラインレポート)をダウンロードできる。これは、最終結果を得るための作業ベースとなる。
【0071】
オンラインレポートが既に生成されている場合には、ユーザは、ウエブに自身のコンピュータUでアクセスし、オンラインレポートを見ることができる。ユーザは、ブロック9で、患者の情報を現在行われている治療に関する情報と共に入力するオプションを有する。PGI−Dは、第1の結果レポートに基づいて、即ちブロック7で生成されたオンラインレポートと、ブロック9でユーザにより入力された情報と、データベース10で得られたデータとに基づいて、ブロック11で、これらの情報の全てを組み合わせたオンライン結果レポートの新たなバージョンを生成する。
【0072】
PGI−Dは、本発明のシステムのメイン・エンティティであり、データベース5と10と上記の処理手段を含む。これらは図1図13ではそれらが実行する機能タスクの手段としてのみ示されている、即ち図1ではブロック4,6と、図1,13では、ブロック7,8,9,11で示され、これらはハードウエアのレベルで様々な方法で実現可能である。例えばローカルなHWポーション(ユーザのコンピュータ装置Uを含む)、又はリモートのHWポーション(ウエブサーバSを含む)で、ローカルあるいはリモートの処理手段により、あるいは中央環境あるいは分散環境(例えばクラウド型コンピュータ環境)の手段により、前記機能タスクを特定のメモリに記憶されたプログラムのインストラクションに基づいて、実行する。
【0073】
図12に本発明のシステムのブロック図を示す。同図において、ユーザのコンピュータはUとして、対応するディスプレイ手段はDとして、ウエブサーバーはSとして、インターネットネットワークはWWWとして示す。図1,13におけるプラットホーム1,2,3は、1個にまとめたブロック1,2,3で示す。
【0074】
図12の実施例において、図1,13のPGI−Dエンティティに含まれるブロックは、ウエブサーバSに含まれる。ユーザコンピュータUは、前記サーバSにインターネットを介して双方向で接続され、ブリック7,11で生成されたオンライン・レポートを受領し、それらをコンピュータスクリーンD上でGUIの形態で表示し、ユーザにより必要によってはブロック8のPDFレポートをダウンロードし、ウエブサーバSにアクセスして、ブロック9で患者情報をGUIの双方向スクリーンを介して、入力する。
【0075】
図1,13には、コンピュータUとスクリーンDと、ブロック7,8,11から出てコンピュータUに向かう矢印とが示され、コンピュータUに上記のレポートを提供する。同時にコンピュータUからブロック9に向かう矢印で、スクリーンDの双方向スクリーンを介して、ユーザの手段により患者情報の入力することができる。これは周辺入力装置(マウス、タッチスクリーン、キーボード等)の手段で行われる。
【0076】
図2−11は、本発明の方法により生成され提供されるダイナミック・ウエブサイト/ページのGUIの様々なスクリーンに対応するスクリーンショットを示す。これらは実施例1,2,3として以下説明する。
【0077】
実施例1(図2−4)
図2に、Genetic resultsとして名前を付したタブに対応するダイナミック・ウエブサイト/ページのGUIの第1スクリーンが示されている。この第1スクリーンは4個のチャートを含む。各チャートは、同一又は類似の目的を有するそれぞれの薬剤の複数の識別子(特に薬剤名)を含む。特にこの4個のチャートは、抗精神病薬、抗うつ剤、精神安定剤、抗痙攣剤として機能する薬剤である。
【0078】
各薬剤の識別子は、特定の患者用に生成された表示された個人別推奨案の1つに関連する。これらは4種類の個人別推奨案を有し、それらは図1に示されている。この4種類の個人別推奨案は以下の通りである。
【0079】
1.白い四角で示されたもの(スタンダード)は、標準の薬理作用効果と、標準の代謝と、副作用の標準のリスクに関連する個人別推奨案に対応する。即ち、患者の遺伝子のデータ内には、対応する薬剤で治療することに関連する遺伝子変異体は見出せない。
【0080】
2.斜線の入った灰色の四角で示されたもの(好ましくはグリーンの四角)は、薬理作用効果の可能性が増したこと又は副作用のリスクが低いことに関連する個人別推奨案に対応する。
【0081】
3.灰色の四角(好ましくは琥珀の四角)は、薬理作用効果の可能性(posibility)が低いこと、特定の投与量のモニタリングの必要であることに関連する個人別推奨案に対応する。即ち薬理作用効果の見込み(likehood)が増加したこと又は副作用のリスクが低いことに関連する個人別推奨案に対応する。
【0082】
4.灰色の四角で垂直線の入ったもの(好ましくは赤の四角)で示されたもの:この四角は、リスク基準により最もハイライトすべき個人別推奨案を示す。例えばこれらは副作用のリスクが上がったことに関連する個人別推奨案に対応する。
【0083】
図2に示すように、このケースは、抗鬱薬のサイタロプラム(antidepressant drug Citalopram)の薬理遺伝学解析をハイライトしている。即ちこれは、収集し解析された患者の遺伝子情報に従って、患者の副作用のリスクに起因して最もハイライトすべき個人別推奨案(ユーザがもっと注意を払うべき推奨案)に関連する薬剤である。
【0084】
図3に示すように、ユーザが下線を引いた薬剤即ちCitalopram上にマウスポインタを置くと、追加的な推奨情報をもったバルーンが現れる。この追加的な推奨情報は、Citalopramに対する解析結果を示す。この解析結果は、リスク基準に従って分類され特定された遺伝子変異体を含む。この場合、これは、図2で使用された薬剤の個人別推奨案に用いられた同一のグラフィカルコードとフレーズ(文章)の形態の記述情報と共に示される(カラーコードは、最高リスクが特定された遺伝子変異体をハイライトする赤色を含む)。
【0085】
前記バルーンに示されたように、この実施例においては、2つの遺伝子変異体が特定されている。第1の遺伝子変異体(GRIK4)は、Citalopramに対する作用の高い可能性に関連し(これは黒い斜線の入った灰色の四角好ましくは緑色の四角で表示される)、第2の遺伝子変異体(LOC729622)は、副作用のリスクが増したことに関連して治療の医学的調査を行う更に必要がある(垂直ラインの入った灰色の四角で又は赤の四角で表すのが好ましい)。
【0086】
これら2つの情報を統合したものが、図2に示す第1スクリーンのドラッグチャートに示されている。垂直線の入った灰色の四角の1つの個人別推奨案は、所定のリスク基準この場合Citalopramに対するリスク基準に従ったものである。言い換えると、グラフィカルコード(垂直線の入った灰色の四角)は、(LOC729622)の副作用のリスクが増加したことに関連する遺伝子変異体の推奨案情報のバルーンに表示されるが、これはCitalopramに対する1個の個人別推奨案を表す図2に示されるものと同一である。
【0087】
図4に示すように、ユーザがCitalopramの名前をクリックすると、ポップアップウインドウが現れる。これは、図3のバルーンに既に示された情報とは別に、薬剤に対し解析された遺伝子及び遺伝子変異体に関連する追加的情報を含む。これは、特定の遺伝子変異体の存否が薬剤の作用あるいは副作用に如何に影響するかを記述する上記の記述情報の形態で行われる。
【0088】
図2の第1スクリーンの右上コーナーに、"Download report" と書いた仮想アイコンがある。ユーザが、この仮想アイコンをクリックすると、図1のブロック8で生成された上記のPDFファイルをダウンロードできる。
【0089】
図2に、別の仮想アイコンがある。この場合"Display as list"と書いた符号が近くに示されている。ユーザが、この仮想アイコンをクリックすると、図2のチャートに含まれる情報が、リストの形で表示される。
【0090】
実施例2(図5−8)
このケースは、治療の選択肢の選択(selection of a treatment of choice )と、併用投薬の選択(selection of concomitant medication)と、前記併用投薬の影響が表示された薬剤チャートと最終の個別的推奨案にいかに影響を及ぼすかをハイライトする。薬理遺伝学解析結果は実施例1と同じである。即ち図2に示したものと同じである。
【0091】
図5に、"Patient Information" のタブのラベルに対応するダイナミック・ウエブサイト/ページのGUIの第2スクリーンが表示されている。この第2スクリーンは、ユーザが患者に関する情報を入力する複数のボックスを有する。前記複数のボックススは、併用投薬又は試料、病理学、健康に影響を及ぼす習慣、人体計測データ、人種、年齢、性別の内の少なくとも1つを含む肉体的特徴を含む。
【0092】
前記患者情報は、環境アクターでグループ分けされ、第1フィールドと第2フィールドとを含む。第1フィールドは、"Smoker Status" と"Hypericum, St Jon's wort"と "heart diseases"と"Grapefruit joice"とを含む。これら全ては、患者がそれらを見たときにマークだけすればよいボックスの隣に配置されている。第2フィールドは、"Kidney disease"と"Liver disease"を含み、これらは、ユーザがクリックした時に、複数のオプションを有するドロップダウンリストを示すボックスの隣に配置されている。
【0093】
"Current treatment"の名の下に2つのフィールドがある。第1のフィールドは、"Psychiatric drugs" と称し、ユーザがクリックすると、神経薬剤或いは薬剤リストを選択する為に、図2に示す薬剤を含むドロップダウンリストを示すボックスの隣に配置されている。第2のフィールドは、"Concomitant medication" と称し、ユーザがクリックすると、複数の選択可能な非神経薬剤を含むドロップダウンリストを示すボックスの隣に配置されている。
【0094】
前記フィールドの下に、上記実施例で選択された精神薬剤と併用投薬が入る四角の領域がある。この場合医者は、Amitryptiline を選択治療として選択する。これは薬理遺伝学解析の結果に従って、この患者に対し、"Standard" として示され(図2)る。またTerbinafine を併用投薬として選択する。
【0095】
精神病治療薬剤と併用投薬が選択されると、ユーザが"Apply data"のボタンをクリックして選択を採用する。あるいは選択的事項として"save history"のボタンに行って、ヒストリ・ファイルに選択オプションを追加する。
【0096】
この情報は、薬理遺伝学データと共に処理され、得られた結合された情報と特定の推奨案が、図6にダイナミック・ウエブサイト/ページのGUIの第3スクリーン(Final resultのタブ)に表示される。
【0097】
図6図2に示すのと同じチャートと薬剤を示す。但し第2スクリーンで入力された情報に基づいて個人別推奨案は修正されている。中でも特に薬剤Haloperidolに対する個人別推奨案は、白色四角(図2)から垂直線の入った灰色の四角(図6)に変化し、薬剤Amitriptylineが白色四角から灰色四角に変化する。
【0098】
丸で囲まれた感嘆符のアイコンが、複数の個人別推奨案の一つに追加される。このことは、それらが参照される薬剤はある条件で検討される相互作用を有することを意味する。ある条件とは、マウスポインタをバルーンの形態の薬剤の名前にドラッグする場合、あるいはポップアップウインドウの形態をクリックする場合である。かくして報告された可能性にある相互作用は、図6に以下のカテゴリを表す仮想アイコンと共に示される。"Contraindication"(禁忌), "Not recommended combination"(推奨できない組み合わせ), "Warning/Information",(警報/情報) "Modify regimen and/or monitor parameters",(摂生の修正とパラメータの修正)"Incrrease dose and/or monitor parameters" (薬剤投与量の増加とパラメータの監視)"Reduce dose and/or monitor parameters"(薬剤投与量の減少とパラメータの監視)。
【0099】
実施例1の図7aと実施例2の図7bとを比較すると、Amitriptylineに関連するバルーン内の情報が変わり、図7bのバルーンの報告は、Terbinafineの併用投薬は、「肝臓内のCYP2D6酵素によりAmitriptylineの代謝の潜在的な阻止剤として機能する」である。
【0100】
この薬剤−併用投薬の相互作用は、灰色の四角(好ましくは、琥珀色でハイライトされるべきであるが)で、図6,7bに示すダイナミック・ウエブサイト/ページの第3スクリーン内に表示される。
【0101】
従って、Amitriptylineに対する特定の個人別推奨案は、"Use as directed"から"Risk of an increase in Amitriptyline plasmatic levels. Monitor Amitriptyline plasmatic levels and reduce the does if required"に代わる。これは、"Modify regimen and/or monitor parameters"のカテゴリに分類される。
【0102】
Terbinafineは、Haloperidol の肝臓での代謝の強い阻止剤として機能する。この場合上記したように、Terbinafineの併用投薬として選択すると、Haloperidol に対する薬理遺伝学の解析結果を、Haloperidolの血漿レベルでのリスクの増大の個人別推奨案に変更することになる。それ故に、不整脈のリスクとQTインターバルの長期化のリスクが高くなる。これは図8bのバルーンに示されている。
【0103】
実施例3(図9−11)
このケースは、患者内に存在するcomorbid patholgy (コモービド治療)の選択と、この治療の影響が表示された薬剤のチャートと最終個人別推奨案を如何に修正するかを示す。この薬理遺伝学解析結果のレポートは、実施例1(即ち:図2に示すもの)と同一である。
【0104】
ダイナミック・ウエブサイト/ページの第2スクリーン(タブ)のこの実施例においては、医者は、図9に示すように、"Kidney disease"内の"Severe renal insufficiency"を選択する。
【0105】
図10に示すように、このアクションは、図2に最初に示すチャートと個人別推奨案を変更する。例えば、図2に示すLithiumは、斜線入りの灰色の四角(好ましくは緑で表示される)に関連するが、この表示は図10に示す垂直線入りの灰色の四角(好ましくは赤の四角)に変化する。これは、Lithiumが患者の中で重篤な腎臓の損傷となることを表している。この警告の詳細な情報は、医者がマウスポインタを薬剤の名前に置いた時にバルーン内に示される、あるいは薬剤の名前(図11bに示す)をクリックした時にポップアップウインドウ内に表れる。
【0106】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0107】
1:管理プログラム
2:外部プラットフォーム
3:遺伝子解析プラットフォーム
4:マクロ生成
5:データベース
6:レポート結果生成
7:オンライン・レポート
8:PDFレポート
9:患者データ+現在進行中の治療
10:データベース
11:オンライン・ダイナミック・レポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13