特許第6596429号(P6596429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596429
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】基板搬送装置および搬送ベルト検査方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20191010BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B65G43/02 A
   H05K13/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-546262(P2016-546262)
(86)(22)【出願日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】JP2014073357
(87)【国際公開番号】WO2016035190
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年8月23日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(72)【発明者】
【氏名】児玉 俊宏
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−157962(JP,A)
【文献】 特表2009−531604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/02
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送路が外周面に設定された無端環状の搬送ベルトと、
該搬送路の所定の検出位置における該基板または通過物の有無を検出する基板センサと、
該搬送路が該基板を搬送していない際に、該搬送ベルトを回動させ、該基板センサが該通過物を検出した場合に、該搬送ベルトをさらに一回転させ、該基板センサが該通過物を再度検出した場合に、該基板センサの検出結果が該搬送ベルトの裂けの立ち上がりに起因する該搬送ベルトの異常であることを判別し、該基板センサが該通過物を再度検出しない場合に、該基板センサの検出結果が該搬送ベルトに載っていたゴミに起因する該搬送ベルトの異常であることを判別する制御装置と、
を備える基板搬送装置。
【請求項2】
前記制御装置の判別結果を表示する表示装置を備える請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記搬送路が前記基板を搬送しておらず、かつ該搬送路に対する基板搬入予定がない場合に、前記搬送ベルトの異常を判別する請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
無端環状の搬送ベルトの外周面に設定された搬送路が基板を搬送していない際に、該搬送ベルトを回動させ、基板センサの検出に基づいて、該搬送路の所定の検出位置における通過物の有無を検出する検出工程と、
該基板センサが該通過物を検出した場合に、該搬送ベルトをさらに一回転させ、該基板センサが該通過物を再度検出した場合に、該基板センサの検出結果が該搬送ベルトの裂けの立ち上がりに起因する該搬送ベルトの異常であることを判別し、該基板センサが該通過物を再度検出しない場合に、該基板センサの検出結果が該搬送ベルトに載っていたゴミに起因する該搬送ベルトの異常であることを判別する判別工程と、
を有する搬送ベルト検査方法。
【請求項5】
前記検出工程においては、前記搬送路が前記基板を搬送しておらず、かつ該搬送路に対する基板搬入予定がない場合に、前記通過物の有無を検出する請求項4に記載の搬送ベルト検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品実装機や印刷機などの基板搬送装置、および基板を搬送するための搬送ベルトを検査する搬送ベルト検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装機は、搬送ベルトと基板センサとを備えている。搬送ベルト上には、基板の搬送路が設定されている。基板センサは、搬送路の所定位置における基板の有無を検出している。具体的には、基板センサは、投光器と受光器とを備えている。投光器から受光器への光が遮断されたことを基に、基板センサは基板を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−14426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、搬送ベルトが劣化すると、搬送ベルトが部分的に断裂してしまう場合がある。この場合、当該断裂部分が、搬送ベルトの表面から立ち上がってしまう。このため、断裂部分が、基板センサの投光器の光を、遮断してしまう。したがって、基板センサが、断裂部分を、基板と間違えて検出してしまう。
【0005】
この点、特許文献1には、搬送ベルトの汚れや破損を検出可能な画像形成装置が開示されている。画像形成装置のキャリッジには、状態検知センサが配置されている。キャリッジは、搬送ベルトの上側を、搬送ベルトの延在方向に沿って、移動可能である。停止状態の搬送ベルトに対して、キャリッジつまり状態検知センサを走査させることにより、搬送ベルトの汚れや破損を検出することができる。
【0006】
しかしながら、同文献の画像形成装置の場合、停止中の搬送ベルトの上側で状態検知センサを走査させている。このため、搬送ベルトの上半分しか、一度に検査することができない。したがって、搬送ベルトの全長を検査する場合は、まず搬送ベルトの上半分に対して状態検知センサを走査させ、次に搬送ベルトを半回転させることにより、搬送ベルトの上半分と下半分とを入れ替え、再び搬送ベルトの上半分(旧下半分)に対して状態検知センサを走査させる必要がある。このような作業は煩雑である。そこで、本発明は、搬送ベルトの異常を簡単に検出可能な基板搬送装置、および搬送ベルト検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するため、本発明の基板搬送装置は、基板を搬送する搬送路が設定された無端環状の搬送ベルトと、該搬送路の所定の検出位置における該基板の有無を検出する基板センサと、該搬送路が該基板を搬送していない際に、該搬送ベルトを回動させ、該基板センサの検出結果を基に該搬送ベルトの異常を判別する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
搬送ベルトの異常箇所としては、例えばヒゲ(搬送ベルトの表層材や芯材が断裂したもの)や、うねり(搬送ベルトが部分的に湾曲したもの)や、コブ(搬送ベルトが部分的に隆起したもの)などが挙げられる。すなわち、異常箇所とは、搬送ベルトの少なくとも一部が径方向外側に突出している箇所、つまり基板センサにより検出可能な搬送ベルトの任意の箇所をいう。
【0009】
本発明の基板搬送装置によると、本来、基板検出のために用いられる基板センサを流用して、搬送ベルトの異常を検出することができる。また、搬送ベルトの検査時に、敢えて基板センサを動かす必要がない。このため、搬送ベルトの異常を、簡単に検出することができる。したがって、基板搬送時に、基板センサが、搬送ベルトの異常箇所と基板とを誤認するのを、抑制することができる。
【0010】
また、本発明の基板搬送装置によると、基板搬送の空き時間を利用して、搬送ベルトを検査することができる。このため、基板生産時に、搬送ベルトの検査に伴うダウンタイムが発生しにくい。
【0011】
(1−1)上記(1)の構成において、前記検出位置は、前記搬送路に一箇所だけ設定され、前記制御装置は、該搬送路が前記基板を搬送していない際に、前記搬送ベルトを少なくとも一回転させる構成とする方がよい。本構成によると、搬送ベルトの全長を、一箇所の検出位置、つまり単一の基板センサにより、検査することができる。このため、基板センサの配置数を少なくすることができる。
【0012】
(1−2)上記(1)の構成において、前記検出位置は、前記搬送路に複数箇所設定され、前記搬送ベルトの全長をL0、複数箇所の該検出位置のうち、搬送方向上流端の該検出位置と、搬送方向下流端の該検出位置と、の間の距離をL1として、前記制御装置は、該搬送路が該基板を搬送していない際に、該搬送ベルトを、L0−L1だけ回動させる構成とする方がよい。本構成によると、搬送ベルトの全長を、複数箇所の検出位置、つまり複数の基板センサにより、検査することができる。このため、搬送ベルトの検査に要する時間を短縮することができる。
【0013】
(1−3)上記(1)の構成において、前記搬送ベルトは、前記搬送路の延在方向に対して直交する方向に、一対並置され、前記基板センサは、一対の該搬送ベルトに共用される構成とする方がよい。本構成によると、一対の搬送ベルトの検査を、共用の基板センサにより、同時に実行することができる。このため、搬送ベルト個別に検査を実行する場合と比較して、搬送ベルトの検査に要する時間を短縮することができる。
【0014】
(2)上記(1)の構成において、前記制御装置の判別結果を表示する表示装置を備える構成とする方がよい。本構成によると、搬送ベルトの異常を、作業者が、視覚により認識することができる。
【0015】
(3)上記課題を解決するため、本発明の搬送ベルト検査方法は、無端環状の搬送ベルトに設定された搬送路が基板を搬送していない際に、該搬送ベルトを回動させ、該搬送路の所定の検出位置における通過物の有無を検出する検出工程と、検出結果を基に該搬送ベルトの異常を判別する判別工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
上記(1)に記載したように、本発明の搬送ベルト検査方法によると、搬送ベルトの異常を、簡単に検出することができる。また、基板搬送の空き時間を利用して、搬送ベルトを検査することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、搬送ベルトの異常を簡単に検出可能な基板搬送装置、および搬送ベルト検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態である電子部品実装機が配置された生産ラインのブロック図である。
図2図2は、図1の生産ラインのうち2台の電子部品実装機が連なる部分の上面図である。
図3図3は、電子部品実装機の後側の搬送ベルトの前面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態である搬送ベルト検査方法のフローチャートである。
図5図5は、同搬送ベルト検査方法における、電子部品実装機の後側の搬送ベルトの前面図である。
図6図6は、その他の実施形態の電子部品実装機の後側の搬送ベルトの前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の基板搬送装置および搬送ベルト検査方法の実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態においては、本発明の基板搬送装置を、電子部品実装機として具現化している。
【0020】
<生産ライン>
まず、本実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの構成について説明する。図1に、本実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインのブロック図を示す。図1に示すように、生産ライン9には、左側(上流側)から右側(下流側)に向かって、スクリーン印刷機91と、印刷検査機92と、2台の電子部品実装機1と、基板外観検査機93と、リフロー炉94と、が一列に並んで配置されている。右側の電子部品実装機1は、本発明の「基板搬送装置」の概念に含まれる。生産ライン9は、ホストコンピュータ90により、統括管理されている。
【0021】
スクリーン印刷機91は、基板(図略)の配線パターンのランド部にはんだを印刷する。印刷検査機92は、はんだの印刷状態を検査する。2台の電子部品実装機1は、各電子部品実装機1の割り当てに従って、段階的に基板に電子部品を装着する。基板外観検査機93は、電子部品の装着状態を検査する。リフロー炉94は、はんだにより、配線パターンのランド部に電子部品を固定する。
【0022】
<電子部品実装機>
次に、本実施形態の電子部品実装機の構成について説明する。図2に、図1の生産ラインのうち2台の電子部品実装機が連なる部分の上面図を示す。2台の電子部品実装機1の構成は同様である。図1図2に示すように、電子部品実装機1は、搬送コンベア2と、スライダ3と、部品供給装置4と、基台5と、制御装置6と、表示装置7と、を備えている。
【0023】
[スライダ3、部品供給装置4、基台5]
部品供給装置4は、基台5の前側に配置されている。スライダ3は、基台5の上側に配置されている。スライダ3は、基台5に対して、左右方向に移動可能である。スライダ3は、吸着ノズル30を備えている。吸着ノズル30は、スライダ3に対して、前後方向に移動可能である。スライダ3の左右方向の移動と、吸着ノズル30の前後方向の移動と、を適宜組み合わせることにより、吸着ノズル30は、前後左右方向に自在に移動することができる。このため、吸着ノズル30は、部品供給装置4から基板Bの所定の座標まで、電子部品を搬送することができる。
【0024】
[搬送コンベア2]
搬送コンベア2は、前後一対の支持部材20F、20Rと、前後一対の搬送ベルト21F、21Rと、搬送モータ21Mと、搬入センサ22と、搬出センサ23と、を備えている。搬出センサ23は、本発明の「基板センサ」の概念に含まれる。
【0025】
前後一対の支持部材20F、20Rは、各々、基台5の左右方向全長に亘って延在している。前後一対の搬送ベルト21F、21Rは、各々、基台5の左右方向全長に亘って延在している。前側の搬送ベルト21Fは、前側の支持部材20Fに配置されている。後側の搬送ベルト21Rは、後側の支持部材20Rに配置されている。搬送ベルト21F、21Rは、前後方向に対向している。搬送ベルト21F、21R間には、基板Bが架設されている。搬送ベルト21F、21Rは、搬送モータ21Mにより駆動される。
【0026】
図3に、電子部品実装機の後側の搬送ベルトの前面図を示す。図3に示すように、搬送ベルト21Rは、左右両端の2つのプーリ21P間に、巻装されている。搬送ベルト21Rは、左右方向に延在する長円状を呈している。搬送ベルト21Rの上面には、搬送路Aが設定されている。搬送ベルト21F、21Rが回転することにより、基板Bは、搬送路Aを、左側から右側に向かって搬送される。
【0027】
搬出センサ23は、搬送路Aの右端(下流端)に配置されている。すなわち、搬出センサ23の検出位置は、搬送路Aの右端に設定されている。搬出センサ23は、透過型の光電センサである。搬出センサ23は、投光器230と、受光器231と、を備えている。図3に点線で示すように、基板Bの右端が投光器230と受光器231との間(つまり検出位置)に到達すると、投光器230から受光器231に照射される光(図2参照)が、遮断される。当該遮光を基に、搬出センサ23は、「検出位置に基板Bが有ること」を検出している。
【0028】
搬入センサ22は、搬送路Aの左端(上流端)に配置されている。すなわち、搬入センサ22の検出位置は、搬送路Aの左端に設定されている。搬入センサ22の構成は、搬出センサ23の構成と同様である。
【0029】
なお、図1に示すスクリーン印刷機91、印刷検査機92、基板外観検査機93、リフロー炉94は、いずれも搬送コンベア2を備えている。各装置の搬送コンベア2が連なることにより、基板Bは、生産ライン9を、左側から右側に向かって搬送される。
【0030】
[制御装置6]
図1に示すように、制御装置6は、演算部60と、記憶部61と、入出力インターフェイス62と、を備えている。演算部は、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部61は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備えている。入出力インターフェイス62は、搬入センサ22、搬出センサ23、搬送モータ21M、表示装置7、ホストコンピュータ90、スクリーン印刷機91、印刷検査機92、もう1台の電子部品実装機1、基板外観検査機93、リフロー炉94に、電気的に接続されている。
【0031】
<搬送ベルト検査方法>
次に、本実施形態の搬送ベルト検査方法について説明する。搬送ベルト検査方法は、2台の電子部品実装機1のうち、右側の電子部品実装機1により実行される。また、搬送ベルト検査方法には、搬出センサ23が用いられる。また、搬送ベルト検査方法においては、制御装置6が、前後一対の搬送ベルト21F、21Rの検査を、同時に実行する。
【0032】
図3に示すように、搬送ベルト21F、21Rが劣化すると、搬送ベルト21F、21Rが部分的に裂けてしまう場合がある。すなわち、搬送ベルト21F、21Rから、ヒゲ(異常箇所)Wが立ち上がってしまう場合がある。この場合、搬出センサ23の投光器230の光を、ヒゲWが遮断してしまう。このため、搬出センサ23が、ヒゲWを、基板Bと間違えて検出してしまう。当該誤検出を防止するために、電子部品実装機1は、所定のサイクルで、搬送ベルト検査方法を実行している。
【0033】
搬送ベルト検査方法は、検出工程と、判別工程と、表示工程と、を有している。図4に、本実施形態の搬送ベルト検査方法のフローチャートを示す。図5に、同搬送ベルト検査方法における、電子部品実装機の後側の搬送ベルトの前面図を示す。
【0034】
[検出工程]
本工程においては、まず、図1に示す演算部60が、ベルト異常確認サイクルが到来したことを、確認する(図4のS1(ステップ1、以下同様))。次に、演算部60は、搬送モータ21Mの駆動状態を基に、図2に示す右側の電子部品実装機1(搬送ベルト検査方法実行中の電子部品実装機1)の搬送コンベア2が稼働中か否かを確認する(図4のS2)。つまり、右側の電子部品実装機1の搬送コンベア2の、現在における基板搬送の有無を確認する。並びに、演算部60は、図1図2に示す左側の電子部品実装機1の搬出センサ23の信号を基に、左側の電子部品実装機1から基板Bが搬出されるか否かを確認する。つまり、右側の電子部品実装機1の搬送コンベア2の、基板搬入予定の有無を確認する。
【0035】
図4のS2において、右側の電子部品実装機1が、現在、基板Bを搬送しておらず、かつ右側の電子部品実装機1に、近い将来、基板Bが搬入される予定が無い場合、演算部60は、搬送コンベア2を稼働する(図4のS3)。演算部60は、搬出センサ23の投光器230の光が遮断されるか否かを監視する(図4のS4)。
【0036】
一方、図4のS2において、右側の電子部品実装機1が、現在、基板Bを搬送している場合、演算部60は、次サイクルまで、搬送ベルト検査方法を実行しない(図4のS7)。また、右側の電子部品実装機1に、近い将来、基板Bが搬入される予定がある場合、演算部60は、次サイクルまで、搬送ベルト検査方法を実行しない(図4のS7)。
【0037】
[判別工程]
本工程においては、図4のS4における監視結果を基に、演算部60が、搬送ベルト21F、21Rの異常の有無を判別する。具体的には、図5に示すように、遮光があった場合、演算部60は、「搬送ベルト21F、21Rに異常有り」と判別する(図4のS8)。一方、搬送ベルト21F、21Rを一回転させる間に(図4のS5)、遮光がなかった場合、演算部60は、「搬送ベルト21F、21Rに異常無し」と判別する(図4のS6)。
【0038】
[表示工程]
本工程においては、演算部60が、判別結果(「搬送ベルト21F、21Rに異常有り」という判別結果)を、図1に示す表示装置7に表示する。具体的には、表示装置7の画面(図略)に、搬送ベルト21F、21Rに異常が有る旨を表示する。このようにして、制御装置6は、搬送ベルト検査方法を実行する。
【0039】
<作用効果>
次に、本実施形態の電子部品実装機1および搬送ベルト検査方法の作用効果について説明する。図1図4に示すように、本実施形態の電子部品実装機1および搬送ベルト検査方法によると、本来、基板Bの検出のために用いられる搬出センサ23を流用して、搬送ベルト21F、21Rの異常を検出することができる。また、搬送ベルト21F、21Rの検査時に、敢えて搬出センサ23を動かす必要がない。このため、搬送ベルト21F、21Rの異常を、簡単に検出することができる。したがって、基板B搬送時に、搬出センサ23が、搬送ベルト21F、21Rの異常箇所(ヒゲWなど)と、基板Bと、を誤認するのを、抑制することができる。また、搬出センサ23とは別に搬送ベルト21F、21R検査専用のセンサを配置する場合と比較して、センサの配置数を削減することができる。
【0040】
また、本実施形態の電子部品実装機1および搬送ベルト検査方法によると、基板B搬送の空き時間を利用して、搬送ベルト21F、21Rを検査することができる。このため、基板B生産時に、搬送ベルト21F、21Rの検査に伴うダウンタイムが発生しにくい。
【0041】
また、本実施形態の電子部品実装機1および搬送ベルト検査方法によると、検出位置(搬出センサ23の位置)は、搬送路Aに一箇所だけ設定されている。このため、搬送ベルト21F、21Rの全長を、一箇所の検出位置、つまり単一の搬出センサ23により、検査することができる。したがって、搬出センサ23の配置数を少なくすることができる。
【0042】
また、搬送ベルト21F、21R検査時における搬送ベルト21F、21Rの回転数は、1回だけである。このため、搬送ベルト21F、21Rの回転数が複数回の場合と比較して、搬送ベルト21F、21Rの検査に要する時間を短縮することができる。
【0043】
また、本実施形態の電子部品実装機1および搬送ベルト検査方法によると、搬出センサ23は、一対の搬送ベルト21F、21Rに共用されている。このため、一対の搬送ベルト21F、21Rの検査を、共用の搬出センサ23により、同時に実行することができる。したがって、搬送ベルト21F、21R個別に検査を実行する場合と比較して、搬送ベルト21F、21Rの検査に要する時間を短縮することができる。また、本実施形態の電子部品実装機1は表示装置7を備えている。このため、搬送ベルト21F、21Rの異常を、作業者が視覚により認識することができる。
【0044】
<その他>
以上、本発明の基板搬送装置および搬送ベルト検査方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0045】
図6に、その他の実施形態の電子部品実装機の後側の搬送ベルトの前面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。本実施形態においては、搬入センサ22、搬出センサ23は、共に本発明の「基板センサ」の概念に含まれる。
【0046】
搬送ベルト検査方法を実行する際、図1に示す制御装置6は、搬送路Aの左右両端の検出位置を利用して、搬送ベルト21F、21Rの検査を実行する。搬送ベルト21F、21R各々の全長をL0、搬送路Aの左右両端の検出位置間の距離(つまり搬送路Aの全長)をL1として、制御装置6は、図4のS5において、搬送ベルト21F、21RをL0−L1だけ回動させる。こうすると、搬送ベルト21F、21Rの全長L0を、2箇所の検出位置、つまり2つの基板センサ(搬入センサ22、搬出センサ23)により、検査することができる。例えば、図6に示すように、搬出センサ23の下流側隣りにヒゲWがある場合、搬送ベルト21F、21Rを一回転させなくても、搬入センサ22により、当該ヒゲWを検出することができる。このように、本実施形態の基板搬送装置によると、図4のS5における搬送ベルト21F、21Rの回動距離を短縮することができる。このため、搬送ベルト21F、21Rの検査に要する時間を短縮することができる。
【0047】
また、図4のS4において遮光があった場合、図1に示す制御装置6は、基板センサ(搬入センサ22、搬出センサ23)の検出位置に通過物があったことを認識することができる。しかしながら、通過物の正体を特定することはできない。そこで、図4のS4において遮光があった場合(通過物があった場合)、遮光を回転開始条件として、搬送ベルト21F、21Rを一回転させればよい。こうすると、搬送ベルト21F、21Rの通過物対象部位が、再度、検出位置を通過することになる。再度、遮光があった場合、合計2回の遮光の原因は搬送ベルト21F、21R自体にあると想定できる。この場合は、制御装置6が、搬送ベルト21F、21Rに異常有りと判別すればよい。一方、遮光がなかった場合、前回の遮光の原因は搬送ベルト21F、21Rにないと想定できる。例えば、搬送ベルト21F、21Rに載っていたゴミが、搬送ベルト21F、21Rの回動に伴って、自重により落下したと想定できる。この場合は、制御装置6が、搬送ベルト21F、21Rに異常無しと判別すればよい。このように、遮光を回転開始条件として搬送ベルト21F、21Rを一回転させることにより、制御装置6は、遮光が搬送ベルト21F、21Rに起因するか否かを判別することができる。
【0048】
また、図4のS4において遮光があった場合、図1に示す制御装置6が、搬送ベルト21F、21Rを停止してもよい。こうすると、作業者が、搬出センサ23付近を目視することにより、搬送ベルト21F、21Rの異常箇所を確認することができる。
【0049】
図4のS2において、図2に示す右側の電子部品実装機1(搬送ベルト検査方法実行中の電子部品実装機1)の搬送コンベア2の、近い将来における基板搬入予定の有無の判断方法は、特に限定しない。例えば、図2に示す左側の電子部品実装機1(搬送ベルト検査方法実行中の電子部品実装機1の上流側に隣接する電子部品実装機1)の搬出センサ23の信号に基づいて、近い将来における基板搬入予定の有無を判断してもよい。また、右側の電子部品実装機1が左側の電子部品実装機1と通信することにより、左側の電子部品実装機1における基板Bの有無を確認してもよい。そして、左側の電子部品実装機1に基板Bがある場合に、「近い将来、右側の電子部品実装機1の搬送コンベア2に、基板Bが搬入される予定がある。」と判断してもよい。
【0050】
図1図4のS8に示す表示装置7の「異常有り」の表示内容は、特に限定しない。文字、図形、記号などを用いたメッセージでもよい。また、表示を点滅、白黒反転させてもよい。また、表示装置7の代わりに、ランプ、サイレン、ブザーなどを配置してもよい。すなわち、「異常有り」という情報を発信可能な発信装置を、制御装置6に、電気的に接続すればよい。また、表示装置7は、「異常有り」という情報の代わりに、搬送ベルト21F、21Rの劣化や、搬送ベルト21F、21Rの交換促進に関する情報を、表示してもよい。
【0051】
基板センサ(搬入センサ22、搬出センサ23)の種類は特に限定しない。光電センサ、超音波センサなどであってもよい。投光器230の光源は特に限定しない。LED(Light−Emitting Diode)、半導体レーザダイオードなどであってもよい。受光器231の受光素子は特に限定しない。フォトダイオード、フォトトランジスタなどであってもよい。投光器230から照射される光の種類は特に限定しない。可視光、赤外線、レーザなどであってもよい。
【0052】
搬送ベルト検査方法の検出工程と、判別工程と、表示工程と、は同時に実行してもよい。すなわち、検出工程を実行しながら、搬出センサ23からの信号に応じて、判別工程と、表示工程と、を実行してもよい。また、検出工程が完了してから、判別工程と、表示工程と、を実行してもよい。
【0053】
上記実施形態においては、本発明の基板搬送装置として、右側の電子部品実装機1を用いた。しかしながら、図1に示すスクリーン印刷機91、印刷検査機92、左側の電子部品実装機1、基板外観検査機93、リフロー炉94を、基板搬送装置として用いてもよい。また、これらの機器間を連結するコンベアを、基板搬送装置として用いてもよい。
【0054】
搬送ベルト検査方法の検査対象である搬送ベルト21F、21Rを備える基板搬送装置の制御装置6以外の制御装置が、搬送ベルト検査方法を実行してもよい。例えば、右側の電子部品実装機1の搬送ベルト21F、21Rの検査を、図1に示すホストコンピュータ90の制御装置、スクリーン印刷機91の制御装置、印刷検査機92の制御装置、左側の電子部品実装機1の制御装置、基板外観検査機93の制御装置、リフロー炉94の制御装置、スマートフォンなどの携帯端末、パーソナルコンピュータなどが実行してもよい。
【0055】
また、図1に示すホストコンピュータ90の制御装置が、生産ライン9全長における基板Bの位置や分布などを基に、スクリーン印刷機91、印刷検査機92、左側の電子部品実装機1、右側の電子部品実装機1、基板外観検査機93、リフロー炉94の中から、検査を実行する基板搬送装置(単一でも複数でもよい)や、検査を実行するタイミングを決定してもよい。また、作業者が、検査を実行する基板搬送装置や、検査を実行するタイミングを決定してもよい。例えば、朝(基板Bの生産開始前)、昼(作業休憩時)、生産する基板Bの種類が変更される段取り替え時などに、検査を実行してもよい。
【0056】
また、基板センサ(搬入センサ22、搬出センサ23)の位置と、当該基板センサの検出位置と、は一致(または近接)していなくてもよい。例えば、検出位置から離間した位置に基板センサを配置してもよい。すなわち、当該基板センサにより、当該検出位置における通過物の有無を検出できればよい。また、搬送路Aにおける検出位置の位置、設定数は、特に限定しない。また、単一の基板センサにより、単一の搬送ベルト21F(または21R)を検査してもよい。また、検査時における搬送ベルト21F、21Rの回転方向は特に限定しない。例えば、回転方向は、基板Bの搬送方向と逆方向であってもよい。また、検査時における搬送ベルト21F、21Rの回転数は特に限定しない。回転数は一回未満でもよい。また、回転数は複数回でもよい。
【符号の説明】
【0057】
1:電子部品実装機(基板搬送装置)、2:搬送コンベア、20F:支持部材、20R:支持部材、21F:搬送ベルト、21M:搬送モータ、21P:プーリ、21R:搬送ベルト、22:搬入センサ(基板センサ)、23:搬出センサ(基板センサ)、230:投光器、231:受光器、3:スライダ、30:吸着ノズル、4:部品供給装置、5:基台、6:制御装置、60:演算部、61:記憶部、62:入出力インターフェイス、7:表示装置、9:生産ライン、90:ホストコンピュータ、91:スクリーン印刷機、92:印刷検査機、93:基板外観検査機、94:リフロー炉、A:搬送路、B:基板、W:ヒゲ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6