特許第6596437号(P6596437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596437
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】注入および混合装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20191010BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20191010BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20191010BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20191010BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20191010BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20191010BHJP
   B01F 5/06 20060101ALI20191010BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20191010BHJP
   B01D 53/86 20060101ALN20191010BHJP
   B01D 53/90 20060101ALN20191010BHJP
【FI】
   F01N3/24 NZAB
   F01N3/24 P
   F01N3/36 C
   F01N3/08 B
   F01N3/08 A
   F01N3/025 101
   B01F3/04 Z
   B01F5/00 G
   B01F5/06
   B01F15/02 A
   !B01D53/86 222
   !B01D53/90
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-549303(P2016-549303)
(86)(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公表番号】特表2017-511856(P2017-511856A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】US2015013860
(87)【国際公開番号】WO2015116979
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2018年1月29日
(31)【優先権主張番号】61/980,441
(32)【優先日】2014年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/934,489
(32)【優先日】2014年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/069,579
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】ブランドル, マーク, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ホッペンステット, ブルース, ベルナルド
(72)【発明者】
【氏名】シラー, スティーブン, ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトゥン, マシュー, エス.
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−245677(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/037924(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0113759(US,A1)
【文献】 特開2013−133775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00− 3/38
F01N 9/00−11/00
B01D 53/86
B01D 53/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を画定する排気管と、
前記排気管内に配置され、上流端から下流端まで前記中心軸に沿って延びる混合管と、
前記混合管の前記上流端に配置された、反応物を分散させるための分散装置と、
排気ガスが前記混合管の前記上流端を迂回して、前記分散装置より下流の前記混合管に流入するのを可能にするバイパスと、
を含む注入および混合装置であって、
前記混合管の内部には、前記分散装置の上流面と長手方向に整列する構造物がなく、
前記分散装置は、第1の領域と、前記第1の領域よりも制限性が低い第2の領域とを含み、前記第1の領域は、前記混合管の前記上流端にまたがって広がり、前記第2の領域は、前記パイパスへの進入を少なくとも部分的に制限する、注入および混合装置。
【請求項2】
前記分散装置はメッシュを含む、請求項1に記載の注入および混合装置。
【請求項3】
前記混合管は、前記分散装置より下流の位置で、前記混合管を貫通する複数の開孔を画定し、前記開孔は、排気ガスが、前記混合管の前記上流端を迂回するのを可能にするように構成される、請求項1に記載の注入および混合装置。
【請求項4】
前記複数の開孔には、前記混合管に沿った第1の軸方向位置にある第1の開孔セットが含まれ、
前記第1の開孔セットは、前記混合管の底部において、前記反応物の滴を前記混合管の内面から離れる方向に搬送するために、少なくとも一部の排気ガスを前記バイパスから前記混合管に送る、請求項3に記載の注入および混合装置。
【請求項5】
中心軸を画定する排気管と、
前記排気管内に配置され、上流端から下流端まで前記中心軸に沿って延びる混合管と、
前記混合管の前記上流端に配置された、反応物を分散させるための分散装置と、
排気ガスが前記混合管の前記上流端を迂回して、前記分散装置より下流の前記混合管に流入するのを可能にするバイパスと、
を含む注入および混合装置であって、
前記混合管の内部には、前記分散装置の上流面と長手方向に整列する構造物がなく、
前記混合管は、前記分散装置より下流の位置で、前記バイパスを形成するために前記混合管を貫通する複数の開孔を画定し、前記開孔は、排気ガスが、前記混合管の前記上流端を迂回するのを可能にするように構成され、
前記複数の開孔には、前記混合管に沿った第1の軸方向位置にある第1の開孔セットと、前記第1の軸方向位置より下流の第2の軸方向位置にある第2の開孔セットが含まれ、
前記第1の開孔セットは、前記混合管の周長未満にわたって広がり、前記第2の開孔セットは、前記混合管の円周にわたって広がる、注入および混合装置。
【請求項6】
第1の複数のルーバが、前記第1の開孔セットに配置され、第2の複数のルーバが、前記第2の開孔セットに配置され、前記第2の複数のルーバは、前記第1の複数のルーバとは異なる周方向成分を有する、請求項5に記載の注入および混合装置。
【請求項7】
前記第2の領域は、前記第1の領域の円周と前記排気管の内面との間に広がる環状開口に少なくとも部分的にまたがって広がり、
前記第2の領域は、前記バイパスへの進入を全面で制限する、請求項に記載の注入および混合装置。
【請求項8】
前記第1の領域は、第1のメッシュを含み、前記第2の領域は、第2のメッシュを含み、前記第2のメッシュは、前記第1のメッシュよりも流れに対する制限性が低く、前記第2のメッシュは、前記第1の領域の円周と、前記排気管の内面との間に広がる環状開口に少なくとも部分的にまたがって広がる、請求項に記載の注入および混合装置。
【請求項9】
前記第2のメッシュは、前記第1の領域にまたがり、かつ前記環状開口に完全にまたがって広がる、請求項に記載の注入および混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、PCT国際特許出願として2015年1月30日に出願されており、2014年1月31日に出願された米国仮特許出願第61/934,489号、2014年4月16日に出願された米国仮特許出願第61/980,441号、および2014年10月28日に出願された米国仮特許出願第62/069,579号に対する優先権を主張するものであり、これらの特許の内容は、参照により、その全体を援用される。
【背景技術】
【0002】
内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)を装備した車両は、通常、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)などの望ましくないガスの量を減らすために、選択的触媒還元(SCR)触媒装置、リーンNOx触媒装置、またはNOx吸蔵触媒装置などの後処理構成要素を有する排気システムを含む。インジェクタは、これらのタイプの後処理装置を適切に機能させるために、反応物(例えば、尿素、アンモニア、または炭化水素などの還元剤)を排気ガス中に噴射する。排気ガスおよび反応物が後処理装置を流れると、排気ガスおよび反応物は、NOxなどの望ましくないガスを窒素および酸素などのより許容できるガスに変換する。しかし、後処理装置の効率は、反応物がどれほどよく蒸発するか、および反応物が排気ガスとどれほど均一に混合されるかによって決まる。したがって、排気ガスおよび反応物を蒸発させ、混合する流動装置が望ましい。
【0003】
SCR排気ガス処理装置は、窒素酸化物の削減に重点を置いている。SCRシステムでは、還元剤(例えば、尿素水溶液)が排気ガス流に注入される。還元剤は、SCR触媒を通過しながら、窒素酸化物と反応して、窒素酸化物を窒素と水とに還元する。尿素水が還元剤として使用される場合、尿素水は、アンモニアに変わり、次に、アンモニアは窒素酸化物と反応して、窒素酸化物を窒素と酸素とに変える。尿素水溶液の注入、混合、および蒸発は、尿素と、尿素からアンモニアへの反応による副生成物とが、後処理装置の面に堆積物を形成することがあるために問題になることがある。そのような堆積物は、時間とともに蓄積し、後処理装置を通る効果的な排気ガス流を部分的に遮る、あるいは妨害することがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様は、中心軸を画定する排気管と、排気管内に配置され、上流端から下流端まで中心軸に沿って延びる混合管と、混合管の上流端に配置された、反応物を分散させるための分散装置と、気ガスが混合管の上流端を迂回して、分散装置より下流で混合管に流入するのを可能にするバイパスとを含む注入および混合装置に関する。混合管の内部には、混合管の上流面と長手方向に整列する構造物がない。
【0005】
一部の実施形態では、分散装置は、1つまたは複数のワイヤからなるメッシュを含む。なお、「ワイヤ」という用語の使用は、金属ワイヤの特定の最小横幅寸法(例えば、厚さ、または直径)を示唆することを意図されていない。特定の例では、メッシュは、0.01インチ以下の直径を有する1つまたは複数のワイヤを含む。特定の例では、メッシュは、0.008インチ以下の直径を有する1つまたは複数のワイヤを含む。特定の例では、メッシュは、0.006インチ以下の直径を有する1つまたは複数のワイヤを含む。様々な実施形態では、メッシュのワイヤは、混合管の上流端の直径の1/100、1/1000、1/10000、または1/100000以下という直径を有する。
【0006】
一部の実施形態では、バイパスは、混合管と排気管との間に画定される。一例では、バイパスは環状路を含む。
【0007】
一部の実施形態では、混合管は、環状バイパスから混合管に流れ込む排気ガスを回転させる構造体を含む。特定の例では、構造体には、混合管から突出するルーバが含まれる。
【0008】
一部の実施形態では、混合管は、分散装置より下流の位置に、混合管を貫通する複数の開孔を画定する。開孔は、排気ガスが、混合管の上流端を迂回するのを可能にするように構成される。特定の例では、開孔には、混合管に沿った第1の軸方向位置にある第1の開孔セットが含まれる。一例では、第1の開孔セットは、混合管の底部において、反応物の滴を混合管の内面から離れる方向に搬送するために、少なくとも一部の排気ガスをバイパスから混合管に送る。特定の例では、開孔には、第1の軸方向位置より下流の第2の軸方向位置にある第2の開孔セットも含まれる。一例では、第1の開孔セットは、混合管の周長未満にわたって広がり、第2の開孔セットは、混合管の円周にわたって広がる。
【0009】
一部の実施形態では、分散装置は、第1の領域と、第1の領域よりも薄い第2の領域とを含む。第1の領域は、混合管の上流端にまたがって広がり、第2の領域はバイパスへの進入を制限する。
【0010】
特定の例では、第2の領域は、第1の領域の円周と排気管の内面との間に広がる開口に少なくとも部分的にまたがって広がる。一例では、第2の領域は、バイパスへの進入を全面で制限する。一例では、第2の領域は、開口を通るバイパスへの進入を制限しないように、開口の一部分のみにわたって広がる。一例では、少なくとも1つの開口は、第1の領域の円周と、第2の領域の少なくとも1つの縁部と、排気管の内面との間に画定される。特定の例では、分散装置は、バイパスへの進入を制限しない複数の開口を画定する。特定の例では、第2の領域は、第1の領域に少なくとも部分的にまたがって広がり、第1の領域の円周と排気管の内面との間に広がる開口に少なくとも部分的にまたがって広がる第2のメッシュを含む。一例では、第2のメッシュ材は、第1の領域に完全にまたがり、開口に完全にまたがって広がる。特定の例では、第2の領域は有孔プレートを含む。
【0011】
特定の例では、混合管の上流端によって画定される平面は、排気管の長手軸に対して垂直ではない。特定の例では、分散装置の上流面によって画定される平面は、排気管の長手軸に対して垂直ではない。
【0012】
本開示の他の態様は、中心軸を画定する排気管と、中心軸と同軸または平行であるように排気管内に配置された混合管と、排気管に連結され、反応物を分散装置に向かって、排気管に送出するように構成されたインジェクタと、混合管の上流端に配置された分散装置とを含む注入および混合装置に関する。混合管のどの部分も、混合管の上流面によって画定される円周を越えて内側に延びることはない。混合管は、上流端に近い縮小直径部分と、下流端に近い拡大直径部分とを含む。縮小直径部分は、排気管から半径方向内側に離間した側壁を有する。拡大直径部分は、排気ガスが混合管に流入するのを可能にする排気ガス進入領域を形成する開孔を画定する。拡大直径部分の一部分は、排気管に接触する。
【0013】
特定の実施形態では、ルーバが開孔に設けられる。
【0014】
特定の実施形態では、縮小直径部分は、別の排気ガス進入領域を形成する複数の開孔を画定する。排気ガス進入領域は、互いから軸方向に離間する。
【0015】
特定の実施形態では、拡大直径部分の開孔は、縮小直径部分の開孔よりも、混合管の長い円周部分にわたって広がる。
【0016】
本開示の他の態様は、中心軸を画定する排気管と、還元剤を噴射するために、排気管に取り付けられたインジェクタと、中心軸に対して角度をなし、インジェクタの方を少なくとも部分的に向いた上流面を有するメッシュと、排気管内に配置された混合管と、排気ガスが、混合管の上流端を迂回するのを可能にするように、混合管と排気管との間に画定される環状バイパスとを含む排気ガス処理システムに関する。混合管の上流端は、排気管の中心軸に対して角度をなす。混合管は、小径部から大径部まで外側に傾斜する円錐台部分を含む。大径部は、混合管の下流端を画定し、排気管の内面に配置される。混合管はまた、混合管の上流端から円錐台部分の小径部まで延びる縮小直径部分を含む。メッシュは、混合管の上流端で混合管内に取り付けられる。混合管の縮小直径部分は、メッシュの下流面より下に配置された第1のルーバセットを画定し、円錐台部分は、第2のルーバセットを画定する。混合管の上流端を迂回した排気ガスの一部分は、上向きに、第1のルーバセットから混合管に旋回しながら進み、混合管の上流端を迂回した排気ガスの残りの部分は、第2のルーバセットから混合管に旋回しながら進む。
【0017】
一部の実施形態では、メッシュは、排気管の断面領域に完全にまたがって広がる。一例では、メッシュは、バイパスへの進入を制限しない少なくとも1つの開口を画定する。一例では、メッシュは、バイパスへの進入を制限しない複数の開口を画定する。
【0018】
一部の実施形態では、第2のメッシュ材は、分散メッシュより上流の位置で、排気管の断面領域に完全にまたがって広がる。
【0019】
本開示の他の態様は、排気ガスが貫流できる排気管と、排気管に連結され、反応物を排気管に送出して、排気ガスによって搬送されるようにする構成とされたインジェクタと、インジェクタより下流で排気管内に配置された分散装置と、排気ガスの第2の部分が、分散装置の第1の部分を迂回して、分散装置の第1の部分より下流で、排気管を流れ続けるのを可能にするバイパス路とを含む注入および混合装置に関する。分散装置は、第1の領域を含み、第1の領域は、排気ガスの第1の部分が第1の領域を流れるときに、反応物の滴を細分するように構成される。分散装置はまた、第1の領域から外側に広がり、第1の領域よりも薄い第2の領域を有する。分散装置の第2の領域は、バイパス路を少なくとも部分的に覆い、バイパス路への進入を制限する。
【0020】
一部の実施形態では、混合装置は、分散装置より下流を流れる排気ガスの第1および第2の部分を回転させる。特定の例では、混合装置は、分散装置より下流で排気管内に配置された混合管を含む。混合管は、排気ガスの第1の部分を受け入れる軸方向の入り口を画定し、混合管は、排気ガスの第2の部分を受け入れる少なくとも1つの半径方向の入り口を画定する。
【0021】
特定の例では、分散装置の上流面は、排気管の中心軸に対して垂直でない角度に向けられる。特定の例では、分散装置は、排気管の内部断面領域に完全にまたがって広がる。特定の例では、分散装置はメッシュを含む。特定の例では、分散装置はまた、メッシュの代わりに、またはメッシュに加えて、第2の、制限が緩いメッシュ材を含む。
【0022】
様々な付加的態様が、下記の説明で示される。これらの態様は、個々の特徴および特徴の組み合わせに当てはまり得る。当然のことながら、前述の概略的な説明、および以下の詳細な説明は共に、単に例示および説明するためのものであり、本明細書に開示した実施形態が基本とする広い概念を制限するものではない。
【0023】
説明に組み込まれ、説明の一部を構成する添付図面は、本開示のいくつかの態様を示している。図面の簡単な説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の原理に従った例示的な注入および混合ユニットを含む後処理システムの概略図である。
図2】混合管より上流で、エルボ継手に取り付けられたインジェクタを有する排気管内に配置された混合管の概略図である。
図3】本開示の原理に従った別の例示的な注入および混合ユニットを含む後処理システムの部分概略図である。
図4】本開示の原理に従った混合管および分散装置を含む図3の注入および混合ユニットの斜視図である。
図5図3の注入および混合ユニットの長手方向断面図である。
図6図3の注入および混合ユニットを貫通する流路を示している。
図7図4の混合管および分散装置の第1の斜視図である。
図8図4の混合管および分散装置の第2の斜視図である。
図9】本開示の態様によるバイパスを有する別の例示的な注入および混合ユニットの概略図である。
図10】共同して排気管に完全にまたがって広がる第1の領域および第2の領域を含む例示的な分散装置を示している。
図11】共同して排気管に完全にまたがって広がる第1の領域および第2の領域を含む例示的な分散装置を示している。
図12】共同して排気管に完全にまたがって広がる第1の領域および第2の領域を含む例示的な分散装置を示している。
図13】混合管内部への進入を可能にする第1の領域と、バイパスへの進入を制限する第2の領域と、パイパスへの進入を制限しない開口とを含む例示的な分散装置を示している。
図14】混合管内部への進入を可能にする第1の領域と、バイパスへの進入を制限する第2の領域と、パイパスへの進入を制限しない開口とを含む例示的な分散装置を示している。
図15】混合管内部への進入を可能にする第1の領域と、バイパスへの進入を制限する第2の領域と、パイパスへの進入を制限しない開口とを含む例示的な分散装置を示している。
図16】混合管内部への進入を可能にする第1の領域と、バイパスへの進入を制限する第2の領域と、パイパスへの進入を制限しない複数の開口とを含む例示的な分散装置を示している。
図17】混合管内部への進入を可能にする第1の領域と、バイパスへの進入を制限する第2の領域と、パイパスへの進入を制限しない複数の開口とを含む例示的な分散装置を示している。
図18】混合管内部への進入を可能にする第1の領域と、バイパスへの進入を制限する第2の領域と、パイパスへの進入を制限しない複数の開口とを含む例示的な分散装置を示している。
図19】第1の領域にある分散メッシュと、第1の領域およびバイパスへの進入を制限する第2のメッシュとを含む例示的な分散装置を示している。
図20】第1の領域にある分散メッシュと、第1の領域およびバイパスへの進入を制限する第2のメッシュとを含む例示的な分散装置を示している。
図21】第1の領域にある分散メッシュと、第1の領域およびバイパスへの進入を制限する第2のメッシュとを含む例示的な分散装置を示している。
図22】第1の領域にある分散メッシュと、バイパスへの進入を制限する第2のメッシュとを含む例示的な分散装置を示している。
図23】本開示の原理に従った別の混合管および分散装置の斜視図である。
図24】本開示の原理に従ったさらに別の混合管および分散装置の斜視図である。
図25図24の混合管の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面に示した本開示の例示的な態様についての言及が、以下に詳細になされる。同じ、または同様の構造を示すために、図面全体にわたって、可能な限り同じ参照番号が使用される。
【0026】
図1は、本開示の原理に従った例示的な排気ガス後処理システム10の例示的な注入および混合ユニット11の概略図である。排気ガス後処理システム10はエンジン15を含み、排気ガスは、エンジン15から注入および混合ユニット11に送られる。一例では、整流装置、フォーカスノズル(focus nozzle)、または旋回装置が、エンジン15と注入および混合ユニット11との間に配置される。所定量の反応物は、注入および混合ユニット11で、排気ガスに混合される。排気ガス後処理システム10はまた、注入および混合された排気ガスが送られる処理基材20を含むことができる。
【0027】
例えば、反応物を搬送する排気ガスは、選択的触媒還元(SCR)触媒装置、リーンNOx触媒、またはNOx吸蔵触媒に送ることができる。一部の例では、反応物は、NOx還元で使用される尿素またはアンモニアなどの還元剤とすることができる。一例では、反応物には尿素水があり得る。一例では、反応物には、ディーゼル排出流体(DEF)があり得る。他の用途では、処理基材20には、ディーゼル酸化触媒(DOC)基材、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)基材、SCR基材、および/またはフィルタ付きSCR(SCRF)があり得る。そのような例では、反応物として、炭化水素を挙げることができ、再生を行うために、炭化水素を燃焼させて、排気ガス温度を上げることができる(例えば、煤燃焼)。上記の基材の組み合わせを使用することもできる。
【0028】
注入および混合ユニット11は、排気管13内に配置された混合管30を含む。混合管30は、上流端31および下流端32を有する。一部の実施形態では、混合管30は、上流端31に分散装置(例えば、メッシュ、スポンジ、および/または蛇行路バッフル装置)40を含む。少なくとも一部の排気ガス流F1は、分散装置40を通って混合管30に流入する。特定の例では、排気ガス流F1は、上流端31を通って混合管30に流入する。一例では、排気ガス流F1は、混合管30に流入するときに旋回しながら進む。分散装置40は、インジェクタ50(図2)から噴霧された反応物の滴を細分して、反応物と混合管30を流れる排気ガスとの混合を容易にする。
【0029】
特定の実施形態では、分散装置40の上流面41は、排気管13の中心軸に沿って中心に置かれる。そのような実施形態では、中心軸は直線である必要はなく、排気管13の輪郭に従うことができる。一部の実施形態では、分散装置40の上流面41は、円形でない輪郭を有する。一例では、分散装置40の上流面41は、長円形の輪郭を有する。特定の例では、分散装置40の上流面41によって画定される平面は、排気管13の中心軸に対して直角でない角度に向けられる。
【0030】
分散装置40は、1つまたは複数の金属ワイヤのニット、織物、またはジャンブル(jumbling)から形成される。各ワイヤは、ワイヤの加熱を容易にするために、十分に細くなっている。一例では、分散装置40は、金属ワイヤの連続織りから形成される。一例では、分散装置40は、ステンレス鋼から形成される。特定の例では、分散装置40は、TiOで被覆される。分散装置40は、混合管30の上流端31を通って混合管30に流入する排気ガスの流量を減らす。本開示の一部の態様によれば、分散装置40の上流面41に角度が付いていることで、背圧がある程度軽減される。本開示の一部の態様によれば、バイパスBは、背圧をある程度軽減する。
【0031】
バイパスBは、他の排気ガス流F2が、背圧を軽減するために、混合管30の上流端31を越えて流れるのを可能にする。特定の例では、バイパスBは、排気ガス流F2が分散装置40のまわりを流れるのを可能にする。バイパスBは、混合管30への1つまたは複数の下流進入口35につながっている。他の排気ガス流F2は、バイパスBに沿って流れ、下流進入口35を通って混合管30に入る。一例では、環状バイパスBは、混合管30と排気管13との間の円周ギャップに設けられる。別の例では、複数のバイパスが、混合管30の外側に沿って下流進入口35に入り込む。
【0032】
混合管30を通過する排気ガスは、エンジン15で加熱される。加熱により、排気ガス流内の反応物の蒸発が容易になる。分散装置40は、排気ガス流F1が分散装置40を通過するときに、一部の反応物に熱を付与して、蒸発プロセスに寄与することができる。一部の実施形態では、バイパスBに沿って流れる排気ガスは、混合管30を排気管13から(少なくとも部分的に)断熱する。例えば、バイパスBに沿って流れる排気ガスは、混合管30の上流端31を断熱することができる。一例では、バイパスBに沿って流れる排気ガスは、分散装置40を断熱する。混合管30の上流端31および/または分散装置40を断熱することで、これらの領域での熱損失が軽減される。したがって、バイパスBは、混合管30の上流端31および/または分散装置40を、これらの領域が排気管13と接触した場合よりも高い温度に保つことで、反応物の蒸発を容易にする。
【0033】
混合管30は、混合管30を通過する排気ガスを旋回させるように構成されている。例えば、下流の進入口35で混合管30に流入した排気ガス流F2は、分散装置40を通って混合管30に軸方向に流入した排気ガス流F1を旋回させることができる。特定の例では、排気ガスは、第1の端部31と第2の端部32との間に延びる長手軸のまわりに旋回する。他の実施形態では、排気ガスは、他の向きのまわりに旋回することができる。一例として、排気ガスは、混合管30内を流れるときに旋回し、混合管30より下流を流れるときも旋回し続ける。
【0034】
図1に示す例では、混合管30は、プレート33または他の取付構造体によって、排気管13内に保持された略円筒形の本体を含む。開口37は、下流進入口35を形成するために、混合管30の側壁に画定される。特定の例では、ルーバ38または他の構造体は、下流進入口35を通って、混合管30に半径方向に流入する排気ガスを回転させるように、開口37に配置され、それにより、混合管30内に旋回流を発生させる。
【0035】
一部の実施形態では、混合管30は、混合管30の内部に、分散装置40と長手方向に整列する流れ障害物がないように構築される。例えば、混合管30は全体として中空であり、それにより、排気ガスが、混合管30の内側貫通路面以外の任意の面に衝突することなく、分散装置40より下流で、混合管30を流れるのを可能にする。
【0036】
図2に示すように、インジェクタ50は、排気管13を流れる排気ガス中に反応物を噴霧するために、混合管30より上流に配置されている。インジェクタ50は、反応物を混合管30に向かって流れる排気ガス中に噴霧する。特定の実施形態では、インジェクタ50は、反応物を混合管30に向かって噴霧するように構成される。一例では、ノズル50の噴霧面は、混合管30の長手軸と整列する。別の例では、ノズル50の噴霧面は、分散装置40の上流面41と整列する。他の実施例では、ノズル50の噴霧面は、分散装置40から離れる方向を向く。
【0037】
一部の実施形態では、ノズル50は、ノズル50の噴霧軸が、分散装置40の上流面41と交差しないほど、分散装置40より十分上流に配置される。そのような実施形態は、分散装置40への反応物の堆積を少なくすることができる。他の実施形態では、ノズル50は、ノズル50の噴霧軸が、分散装置40の上流面41に交差するように配置される。そのような実施形態は、反応物の滴を細分する機会を増やすことができる。一例では、噴霧軸は、上流面41の中心に向けられる。別の例では、噴霧軸は、上流面41の底部に向けられる。
【0038】
図3は、本開示の原理に従った別の例示的な注入および混合ユニット110を含む排気ガス後処理システム100を示している。排気ガス後処理システム100はエンジン101を含み、排気ガスは、エンジン101から注入および混合ユニット110に送られる。一例では、整流装置、フォーカスノズル、または旋回装置が、エンジン101と注入および混合ユニット110との間に配置される。所定量の反応物は、注入および混合ユニット110で排気ガスに混合される。排気ガス後処理システム100はまた、注入および混合された排気ガスが送られる処理基材120を含むことができる。
【0039】
例えば、反応物を搬送する排気ガスは、選択的触媒還元(SCR)触媒装置、リーンNOx触媒、またはNOx吸蔵触媒に送ることができる。一部の例では、反応物は、NOx還元で使用される尿素またはアンモニアなどの還元剤とすることができる。他の用途では、処理基材20には、ディーゼル酸化触媒(DOC)基材、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)基材、および/またはフィルタ付きSCR(SCRF)があり得る。そのような例では、反応物として、炭化水素を挙げることができ、再生を行うために、炭化水素を燃焼させて、排気ガス温度を上げることができる(例えば、煤燃焼)。上記の基材の組み合わせを使用することもできる。
【0040】
注入および混合ユニット110は、第1の端部114および第2の端部116を有するハウジング115を含む。ハウジング115は、入り口111および出口119を有する排気管113を囲んでいる。特定の例では、入り口111は、入り口パイプ112につながり、出口119は出口パイプ118につながっている(図2を参照のこと)。一部の実施形態では、入り口111は、出口119と一列に整列する。特定の例では、入り口111および出口119は、中心軸C(図1)を軸として整列して、直線状の注入および混合ユニット110を形成する。曲がった構成も考えられる。特定の実施形態では、ハウジング115は、排気管113を断熱する。
【0041】
別の例示的な混合管130は、排気管113内に配置される(図4)。混合管130は、上流端131および下流端132を有する。特定の例では、混合管130の中心軸C2(図7)は、注入および混合ユニット110の中心軸C(図3)と合致する。他の例では、混合管130の中心軸C2は、排気管113の中心軸Cからずれることができる。混合管130は、混合管130を半径方向に通過する排気ガスを旋回させるように構成されている。排気ガスは、混合管130内を流れるときに旋回し、混合管130より下流を流れるときも旋回し続ける。特定の例では、排気ガスは、第1の端部131と第2の端部132との間に延びる長手軸のまわりに旋回する。他の実施形態では、排気ガスは、他の向きのまわりに旋回することができる。
【0042】
一部の実施形態では、インジェクタ150は、排気管113に配置され、反応物(例えば、尿素(例えば、尿素水)、アンモニア、炭化水素)を混合管130に向かって流れる排気ガスに噴霧する、または別の方法で出力するように向けられる(図5を参照のこと)。例えば、インジェクタ150は、反応物を混合管130の上流端131に向かって噴霧するように向きを合わせることができる。しかし、他の例では、インジェクタ150は、反応物を混合管130から離れる方向に噴霧することができる。特定の実施形態では、排気管113は、インジェクタ150の取付けを容易にするように構成される。
【0043】
図3および図5に示すように、インジェクタ150は、排気管113の開口にまたがって広がるインジェクタ取付部117に配置することができる。特定の例では、インジェクタ取付部117は、排気管113の円周壁に配置される。一例では、インジェクタ取付部117は、ハウジング115の第1の端部114の近くに配置される。インジェクタ150は、反応物をインジェクタ150の供給端から、排気管113の開口を通り、排気管113に入るように噴霧する。一部の実施形態では、インジェクタ取付部117は、排気管の113の中心軸Cに対して角度θでインジェクタ150を取り付けるように構成される。他の実施形態では、インジェクタ150は、中心軸Cと一列に整列して取り付けることができる。
【0044】
一部の実施形態では、混合管130はまた、分散装置140を含み、少なくとも一部の排気ガス流は、分散装置140から混合管130に流入する。特定の実施形態では、インジェクタ150は、反応物を分散装置140に向かって噴霧するように向けられる。分散装置140は、インジェクタ150から噴霧された反応物の滴を細分して、反応物と混合管130を流れる排気ガスとの混合を容易にするように構成されている。特定の実施形態では、分散装置140は、混合管130の上流端131に配置される。特定の例では、分散装置140を通過する流れは、混合管130に軸方向に流入する。一例では、分散装置140を通過する流れは、(例えば、注入および混合ユニット110より上流に配置された旋回装置から)旋回しながら進む。
【0045】
様々な実施形態では、分散装置140には、メッシュ、スポンジ(例えば、発泡体または金属)、および/または蛇行路バッフル装置が含まれる。特定の実施形態では、分散装置140は、1つまたは複数の金属ワイヤのニット、織物、またはジャンブルから形成されたメッシュである。各ワイヤは、ワイヤの加熱を容易にするために細くなっている。一例では、金属ワイヤは、丸い横断面を有する。他の例では、金属ワイヤの横断面は、任意の所望する形状(例えば、長円形、長方形、正方形など)を有することができる。
【0046】
特定の実施形態では、メッシュは、混合管の上流端の1/100の大きさの直径を有するワイヤを含む。特定の実施形態では、メッシュは、混合管の上流端の1/1000の大きさの直径を有するワイヤを含む。特定の実施形態では、メッシュは、混合管の上流端の1/10000の大きさの直径を有するワイヤを含む。特定の実施形態では、メッシュは、混合管の上流端の1/100000の大きさの直径を有するワイヤを含む。一部の実施形態では、金属ワイヤの横幅寸法は0.01インチ以下である。特定の例では、金属ワイヤの横幅寸法は0.008インチ以下である。特定の例では、金属ワイヤの横幅寸法は0.007インチ以下である。特定の例では、金属ワイヤの横幅寸法は0.006インチ以下である。
【0047】
分散装置140は、排気ガスが分散装置140を通過するときに、一部の反応物に熱を付与して、蒸発プロセスに寄与することができる。一例では、分散装置140は、金属ワイヤの連続織りから形成される。一例では、分散装置140は、金属ワイヤの連続ニットから形成される。一例では、分散装置140は、ステンレス鋼から形成される。特定の例では、分散装置140は、TiO2で被覆される。
【0048】
分散装置140は、混合管130の外を向いた上流面141と、混合管130の方を向いた下流面142とを有する。特定の実施形態では、上流面141は、排気管113の中心軸Cに沿って中心に置かれる。他の実施形態では、上流面141は、排気管113の中心軸Cから外れる。一部の実施形態では、分散装置140の上流面141は、円形でない輪郭を有する。一例では、分散装置140の上流面141は、長円形の輪郭を有する。
【0049】
特定の例では、分散装置140の上流面141によって画定される面積は、混合管130の上流端131の横断面積とは異なる。一部の実施形態では、分散装置140は、排気管113の横寸法(例えば、直径)よりも小さい横寸法(例えば、直径)を有する。したがって、分散装置140の外周と排気管113の内面との間に円周ギャップGが広がる。特定の例では、分散装置140は、混合管130の上流端131の横断面積よりも広い面積を有する。
【0050】
特定の実施形態では、分散装置140の上流面141によって画定される平面は、排気管113の中心軸Cに対して垂直でない角度θに向けられる(図5を参照のこと)。上流面141を傾けることで、上流面141の表面積が大きくなる。表面積の増加により、上流面141での背圧を小さくすることができる。傾けることで、反応物の重い方の滴と軽い方の滴との間の分離も可能になる。特定の実施形態では、上流面141は、約0°〜約90°の範囲の角度θに向きを合わされる。特定の実施形態では、上流面141は、約20°〜約70°の範囲の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、少なくとも約10°の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、少なくとも約20°の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、少なくとも約30°の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、少なくとも約40°の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、約90°以下の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、約80°以下の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、約70°以下の角度θ2に向きを合わされる。例では、上流面141は、約45°の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、約40°の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、約50°の角度θに向きを合わされる。例では、上流面141は、約60°の角度θに向きを合わされる。
【0051】
特定の実施形態では、分散装置140の上流面141には、インジェクタ150の噴霧方向Sが交差する(例えば、図5を参照のこと)。一部の例では、インジェクタ150は、分散装置140の上流面141の中心に向かって反応物を噴霧するように取り付けられる。他の実施形態では、インジェクタ150は、分散装置140の上流面141の底部に向かって反応物を噴霧するように取り付けられる。インジェクタ150を底部に向けることで、排気管113を通る高流量の排気ガス流が、分散装置140の上流面141全体にわたって反応物を搬送する。特定の実施形態では、インジェクタ150は、分散装置140より上流に噴霧するように取り付けられ、その結果、分散装置140をより十分に利用することができる。例えば、インジェクタ150は、インジェクタ150の噴霧が、上流面141を横切らないように、十分離れた上流に取り付けることができる。別の例では、インジェクタ150は、上流方向に噴霧するように向けることができる。
【0052】
本開示のいくつかの態様によれば、バイパスBは、混合管130の一部分と排気管113との間に設けられる。バイパスBは、排気ガスが、混合管130の上流端を越えて流れるのを可能にするために、混合管130の全長の一部分に沿って円周ギャップGに広がる。特定の例では、バイパスBは、排気ガスが、分散装置140を越えて流れるのを可能にする。特定の実施形態では、バイパスBは環状路を形成し、排気ガスは、この環状路を通って、分散装置140より下流で混合管130に流入することができる。
【0053】
分散装置140は、混合管130の上流端131を通って混合管130に流入する排気ガスの流量を減らす。特定の例では、分散装置140の上流面141を傾けることで、背圧がある程度軽減される。特定の例では、バイパスBは、排気ガスが、分散装置40を通り抜ける代わりに、分散装置140のまわりを流れるのを可能にすることで背圧を軽減する(例えば、図4および図6を参照のこと)。他の例では、バイパスBは、排気ガスが、散装置140全体ではないが、分散装置140の一部分(例えば、厚い方の部分)のまわりを流れるのを可能にする。
【0054】
バイパスBに沿って流れる排気ガスは、混合管130を排気管113から(少なくとも部分的に)断熱する。例えば、バイパスBに沿って流れる加熱排気ガスは、混合管130の上流端131を排気管113のより低温の内壁から断熱することができる。一例では、バイパスBに沿って流れる排気ガスは、分散装置140を断熱する。混合管130の上流端131および/または分散装置140を断熱することで、これらの領域での熱損失が軽減される。したがって、バイパスBは、混合管130の上流端131および/または分散装置140を、これらの領域が排気管113と接触した場合よりも高い温度に保つことで、反応物の蒸発を容易にする。
【0055】
バイパスBは、混合管130への1つまたは複数の下流進入口につながっている。分散装置140を通って混合管130に流入しない排気ガスの少なくとも一部は、その代わりとして、下流進入口から混合管130に流入することができる。例えば、一部の実施形態では、混合管130の側壁は、第1の半径方向流進入領域135を形成し、排気ガスは、この第1の半径方向流進入領域135で、バイパスBから混合管130の内部に流れ込むことができる。排気ガスが、混合管130に流れ込むのを可能にするために、1つまたは複数の開孔137が、第1の半径方向流進入領域135に設けられる。特定の例では、第1の半径方向流進入領域135を通過する流れを回転させる(例えば、旋回させる)ために、構造体(例えば、1つまたは複数のルーバ138またはバッフル)を第1の半径方向流進入領域135に設けることができる。
【0056】
第1の半径方向流進入領域135は、第1の半径方向流進入領域135を通って混合管130に流入した排気ガスが、混合管130の下側内面への反応物の堆積を阻止するように、分散装置140を通過した反応物を連行するように配置される(例えば、図4および図6を参照のこと)。特定の例では、第1の半径方向流進入領域135は、インジェクタ150の噴霧方向Sに沿って配置される。第1の半径方向流進入領域135は、第1の半径方向流進入口135を通って混合管130に流入した排気ガスが、反応物を混合管130の底部から離れる上側方向に搬送するように、混合管130の底部に設けることができる。
【0057】
第1の半径方向流進入領域135は、混合管130の上流端131から離間した位置に(例えば、中心軸Cに沿って)配置される。特定の例では、第1の半径方向流進入領域135は、分散装置140の位置に、または分散装置140のすぐ下流に配置される。特定の例では、第1の半径方向流進入領域135が、排気管113の中心軸Cに沿って広がる中で、第1の半径方向流進入領域135の少なくとも一部分は、分散装置140の少なくとも一部と重なる。特定の例では、第1の半径方向流進入領域135が、排気管113の中心軸Cに沿って広がる中で、第1の半径方向流進入領域135の大部分は、分散装置140の少なくとも一部分と重なる。一例では、第1の半径方向流進入領域135が、排気管113の中心軸Cに沿って広がる中で、第1の半径方向流進入領域135の大部分は、分散装置140の大部分と重なる。分散装置140の下流面142は、排気管113の中心軸Cに沿って距離M(図5)だけ広がっている。特定の例では、第1の流れ進入領域135の各開孔137が、距離Mの大部分にわたって広がる(例えば、図5を参照のこと)。
【0058】
一部の実施形態では、第1の半径方向流進入領域135より下流の離間した位置で、混合管130の側壁に、第2の半径方向流進入領域136を設けることができる(例えば、図4および図6を参照のこと)。排気ガスが、混合管130に流れ込むのを可能にするために、1つまたは複数の開孔137が、第2の半径方向流進入領域136に設けられる。特定の例では、第2の半径方向流進入領域136に1つまたは複数のルーバまたはバッフル138を設けることができる。ルーバまたはバッフル138は、排気ガスが開孔137を通って混合管130に流入するときに、排気ガスを回転させることができる。例えば、ルーバまたはバッフル138は、排気ガスを分散装置140を通って流入した軸方向流の排気ガスと共に旋回させる、またはそれ以外に混合することができる。一例では、第2の半径方向流進入領域136は、混合管130の全周に広がる。一例では、第2の半径方向流進入領域136は、混合管130の下流端に、または下流端の近くに配置される。他の実施形態では、混合管130は、第2の半径方向流進入領域136だけを含む。
【0059】
一部の実施形態では、第2の半径方向流進入領域136のルーバ138は、第1の半径方向流進入領域135のルーバ138よりも小さい。他の実施形態では、第2の半径方向流進入領域136のルーバ138は、第1の半径方向流進入領域135のルーバ138と同じ大きさである。さらに別の実施形態では、第2の半径方向流進入領域136のルーバ138は、第1の半径方向流進入領域135のルーバ138よりも大きい。
【0060】
図6は、排気ガスが排気管113の入り口111から排気管113の出口119まで流れるときに、排気ガスがたどることができる様々な可能流路FM、FB1、FB2を示している。第1の流路FMは、分散装置140を通って混合管130の上流端131から混合管130に入り、混合管130を通り、混合管130の下流端132から混合管130を出る。
【0061】
第1のバイパス流路FB1は、分散装置140を越えて延び、混合管130の第1の半径方向流進入領域135に達するまで、混合管130の外側でバイパスBを通る。第1のバイパス流路FB1は、第1の半径方向流進入領域135で混合管130に入り、混合管130を通り、混合管130の下流端132から混合管130を出る。特定の例では、第2のバイパス流路FB2は、分散装置140を越えて延び、第2の半径方向流進入領域136に達するまで、混合管130の外側でバイパスBを通る。第2のバイパス流路FB2は、第2のバイパス領域136で混合管130に入り、混合管130を通り、混合管130の下流端132から混合管130を出る。一例では、第2のバイパス流路FB2は、第2の半径方向流進入領域136に達する前に、第1の半径方向流進入領域135を越えて延びる。
【0062】
一部の実施形態では、第1のバイパス流路FB1は、分散装置140を通過した反応物が、混合管130の内面(例えば、底部内面)に付着するのを阻止する。特定の実施形態では、第1のバイパス流路FB1は、分散装置140を通過した反応物が、混合管130の内面に接触するのを阻止する。例えば、第1の半径方向流進入領域135がない場合、反応物の滴は、分散装置140を通過した後、重力で混合管130の底面の方に引かれることがある。第1の半径方向流進入領域135を流れる(すなわち、第1のバイパス流路FB1に沿った)排気ガスは、反応物を連行し、底面から離れる方向に、かつ混合管130の下流端132向かって反応物を搬送する。
【0063】
一部の実施形態では、第1の半径方向流進入領域135および/または第2の半径方向流進入領域136は、旋回または他の指向性移動を混合管130に流入する排気ガスに付与する構造体を含む。特定の実施形態では、第1の半径方向流進入領域135からの旋回排気ガスは、第1の流路FMに沿って混合管130に流入した排気ガスを連行する。特定の実施形態では、第2の半径方向流進入領域136からの旋回排気ガスは、第1の流路FMに沿って混合管130に流入した排気ガスを連行する。特定の実施形態では、第1の半径方向流進入領域135および第2の半径方向流進入領域136の両方からの旋回排気ガスは、第1の流路FMに沿って混合管130に流入した排気ガスを連行する。一例では、流路FM、FB1、FB2は通常合流して、流れ進入領域135、136より下流で旋回流路FSになる(例えば、図6を参照のこと)。特定の実施形態では、排気ガスの一部は、他の排気ガスとは異なる速度で旋回する。
【0064】
図7および図8は、上記の混合および注入ユニット111で使用するのに適した1つの例示的な混合管130を示している。混合管130は、上流端131から下流端132まで延び、中空の内部を画定する。混合管130は、上流端131に近い第1の部分133と、下流端132に近い第2の部分134とを含む。第1の部分133は、排気管113の内面に接触することなく、排気管113内に収まる大きさとされる。第2の部分134は、混合管130を排気管113内で固定位置に保持するために、排気管113に連結されるように構成されている。第2の部分134の少なくとも一部分は、排気管113の内面に接触する大きさとされる。
【0065】
第1の部分133は、排気ガスが、分散装置140を迂回するのを可能にするために、混合管130と排気管113との間にバイパスBを形成するような大きさとされる。特定の例では、第1の部分133は、第1の半径方向流進入領域135を画定することができる。特定の例では、第2の部分134は、第2の半径方向流進入領域136を画定し、排気ガスの少なくとも一部は、この第2の半径方向流進入領域136を通って混合管130に流入することができる。分散装置140を越えて流れる排気ガスは、バイパスBをたどって、流れ進入領域135、136の1つに進む。
【0066】
一部の実施形態では、混合管130の第2の部分134は、小幅寸法(例えば、直径)から大幅寸法(例えば、直径)まで外側に傾斜した円錐台部分を含む。大幅寸法は、混合管130の下流端132を画定する。下流端132は、排気管113の内面に配置される。一部の実施形態では、第1の部分133は、混合管130の上流端131から円錐台部分134の小幅寸法まで延びる円筒部分を含む。
【0067】
混合管130の流れ進入領域135、136の一方、または両方は、混合管130の外側と混合管130の内側との間をつなぐ1つまたは複数の開孔137を画定する。開孔137は、排気ガスが、混合管130の外側のバイパスBから混合管130の内側に入るのを可能にする。特定の実施形態では、開孔137は、概ね、混合管130の第1の端部131と第2の端部132との間に延びる方向に細長い。特定の例では、開孔137は、第1の流れ進入領域135において、混合管130の円周の半分以下にわたって広がる。特定の例では、開孔137は、第2の流れ進入領域136において、混合管130の円周全体にわたって広がる。
【0068】
特定の実施形態では、混合管130はまた、流れを誘導して開孔137に通す助けとするために、開孔137の少なくとも一部に隣接して配置されたルーバ138または他のバッフルを含む。特定の実施形態では、ルーバ138は、開孔137を流れる排気ガスを回転させる。特定の例では、ルーバ138は、流れを混合管130内の旋回流路に誘導する。一部の実施形態では、ルーバ138は、混合管130から外側に突出する。特定の実施形態では、ルーバ138は、混合管130から半径方向に離間する。他の実施形態では、ルーバ138は、混合管130から内側に突出する。
【0069】
示した例では、各開孔137は、対応するルーバ138を有する。他の実施形態では、開孔137の一部だけが、対応するルーバ138を有する。特定の例では、ルーバ138は、第1の流れ進入領域135に設けられる。特定の例では、2個〜15個のルーバが、第1の流れ進入領域135に設けられる。特定の例では、6個〜12個のルーバが、第1の流れ進入領域135に設けられる。一例では、約10個のルーバが、第1の流れ進入領域135に設けられる。特定の例では、ルーバ138は、第2の流れ進入領域136に設けられる。一部の例では、第1の流れ進入領域135のルーバ138は、第2の流れ進入領域136のルーバ138と同じ方向を向く(例えば、図7を参照のこと)。他の例では、第1の流れ進入領域135のルーバ138は、第2の流れ進入領域136のルーバ138と異なる方向を向く(例えば、図23を参照のこと)。
【0070】
一部の実施形態では、第1の流れ進入領域135および第2の流れ進入領域136のルーバ138は、混合管130の側面に対してほぼ同じ角度に向けられる。他の実施形態では、第1の流れ進入領域135のルーバ138は、第2の流れ進入領域136のルーバ138よりも大きい鋭角を有する。さらに別の実施形態では、第1の流れ進入領域135のルーバ138は、第2の流れ進入領域136のルーバ138よりも小さい鋭角を有する。特定の実施形態では、第1の流れ進入領域135内のルーバ138は、様々な角度に向くことができる。特定の実施形態では、第2の流れ進入領域136内のルーバ138は、様々な角度に向くことができる。
【0071】
特定の例では、第1の流れ進入領域135の開孔137は、第1の部分133の周長未満にわたって広がる。特定の例では、第1の流れ進入領域135の開孔137は、第1の部分133の円周の半分未満にわたって広がる。特定の例では、第1の流れ進入領域135の開孔137は、第1の部分133の円周の1/3未満にわたって広がる。特定の例では、第1の流れ進入領域135の開孔137は、混合管130の中心軸C2に平行に向けられる。
【0072】
特定の例では、第2の流れ進入領域136の各開孔137は、第2の部分134の全長L(図3)の大部分にわたって延びる。特定の例では、第2の流れ進入領域136は、第2の部分134の円周全体にわたって広がる。他の例では、第2の流れ進入領域136は、第2の部分134の円周全体未満にわたって広がることができる。特定の例では、第2の流れ進入領域136の開孔137は、混合管130の中心軸C2に平行に向けられない。むしろ、開孔137は、円錐台の円周面によって画定される。特定の例では、第2の流れ進入領域136は、混合管130の下流端132よりも第1の部分133に接近して配置される。
【0073】
特定の例では、混合管130の上流端131は、排気管113の中心軸Cに垂直な平面に位置しない。例えば、混合管130の第1の部分133は、斜め継ぎされる上流端131を画定することができる。特定の例では、第1の部分133は、第1の円周位置に第1の長さD1を有し、第2の円周位置に第2の長さD2を有する。第2の長さD2は、第1の長さD1よりも長いので、上流端131にまたがって広がる基準面は、排気管113の中心軸Cに対して垂直でない角度に向けられる。一例では、第2の長さD2は、第1の長さD1の少なくとも2倍である。一例では、第2の長さD2は、第1の長さD1の少なくとも3倍である。特定の例では、上流端131によって画定される領域は長円形である。特定の例では、第1の流れ進入領域135の各開孔137は、第1の部分133の第2の長さD2の大部分にわたって延びる(例えば、図3を参照のこと)。
【0074】
分散装置140は、混合管130の上流端131に取り付けられている。一部の実施形態では、分散装置140は、混合管130の上流端131に直接取り付けられる。他の実施形態では、分散装置140は、混合管130の上流端131に取り付くように構成された分散装置取付部品139によって保持される。例えば、分散装置取付部品139は、上流端131で混合管130内に部分的に延びることができる。示した例では、分散装置取付部品139は、分散装置140を混合管130の外に配置している(例えば、下流面142は、混合管130の外に配置されている)。他の例では、分散装置140の少なくとも一部分は、混合管130内に配置することができる。他の実施形態では、分散装置140は、(例えば、混合管130の第1の部分133で)混合管130内に完全に配置される。
【0075】
一部の実施形態では、混合管130は、混合管130の内部に、分散装置140と長手方向に整列する流れ障害物がなく、それにより、排気ガスが、分散装置140より下流で、混合管130の内側貫通路面以外の任意の面に衝突することなく、混合管130を流れるのを可能にするように構築される。例えば、特定の実施形態では、混合管130は、全体として中空である。特定の例では、ルーバ138は、混合管130の内部へではなく、混合管130から外側に突出する。特定の例では、混合管130の幅寸法(例えば、直径)は、分散装置140より下流で小さくならない。示した例では、混合管130の幅寸法は、混合管130が、分散装置140より下流に延びるにつれて大きくなる。他の例では、混合管130の幅寸法は、分散装置140より下流で一定のままとすることができる。
【0076】
図23は、上記の混合および注入ユニット111で使用するのに適した別の例示的な混合管130’を示している。混合管130’は、第1の流れ進入領域135’のルーバ138が、第2の流れ進入領域136’のルーバ138と異なる方向を向いていることを除いて、混合管130と概ね同じである。混合管130’の第1の流れ進入領域135’のルーバ138は、第1の周方向成分を有する第1の方向を向き、混合管130’の第2の流れ進入領域136’のルーバ138は、第2の周方向成分を有する第2の方向を向いている。一例では、第2の周方向成分は、第1の周方向成分と反対である。ルーバ138の周方向成分が異なることで、(例えば、混合管内のバルク乱流(bulk turbulence)を増やすことによって)混合管130’内の混合を強化することができ、かつ/または還元剤の蒸発に寄与することができる。
【0077】
図9は、本開示の態様による、バイパスBを有する別の例示的な注入および混合ユニット200の概略図である。注入および混合ユニット200は、排気管213を含み、排気ガスEFは、エンジンから排気管213を流れる。インジェクタ250は、排気管213に沿った位置に配置されている。排気ガスEFの少なくとも一部RFは、排気管213を流れ続けてインジェクタ250に至る。インジェクタ250は、排気管213を流れる排気ガスRF中に反応物を噴霧する、または別の方法で分散させるように構成されている。排気ガスRFの少なくとも一部は反応物を連行し、排気管213を通って下流に反応物を搬送する。
【0078】
分散装置240は、インジェクタ250より下流で排気管213内に配置されている。反応物を搬送する排気ガスの少なくとも一部は、分散装置240に衝突し、分散装置は、反応物の滴を細分する。分散装置240はまた、一部の反応物に熱を付与して、蒸発プロセスに寄与することができる。一部の実施形態では、分散装置240は、排気管213の全断面未満にわたって広がる。他の実施形態では、分散装置240は、排気管213の内側断面全体にわたって広がる。一例では、分散装置240は、排気管213の長手軸に対して垂直でない角度をなして広がる。
【0079】
様々な実施形態では、分散装置240には、メッシュ、スポンジ(例えば、発泡体または金属)、および/または蛇行路バッフル装置が含まれる。特定の実施形態では、分散装置240は、1つまたは複数の金属ワイヤのニット、織物、またはジャンブルから形成されたメッシュである。各ワイヤは、ワイヤの加熱を容易にするために細くなっている。一例では、分散装置240は、金属ワイヤの連続織りから形成される。一例では、分散装置240は、ステンレス鋼から形成される。特定の例では、分散装置240は、TiOで被覆される。
【0080】
排気ガスEFの少なくとも一部BFが、分散装置240を迂回するのを可能にするバイパス路260が設けられている。排気ガスBFは、インジェクタ250より上流でバイパス路に流入し、分散装置240より下流でバイパス路260を出る。バイパスをたどって進む排気ガスBFは、皆無かそれに近い反応物しか含んでいない。したがって、反応物が流路260内に蓄積する可能性は低い。一部の実施形態では、バイパス路260は、排気管に連結された別のパイプで形成される。他の実施形態では、バイパス路260は、排気管213の分岐部分を含む。
【0081】
一部の実施形態では、混合器230は、分散装置240より下流に配置される。混合器230は、旋回排気ガス流SFを形成するために、分散装置240を流れた排気ガスRFをバイパス路260から流れてきた排気ガスBFと混合させる。一部の実施形態では、混合器230は、上記の混合管の1つなどの混合管を含む。他の実施形態では、混合器230は、1つまたは複数の開孔、およびオプションでルーバ、スコップ、パイプ、または流れを旋回パターンに誘導する他の構造体を有する流動装置を含む。さらに別の実施形態では、バイパス路260の出口は、排気ガスBFがバイパス路260を出るときに、排気ガス流BFの旋回、または他の回転を引き起こすように、排気管213に対して角度をなす。
【0082】
図10〜21は、分散装置用の様々な代替実施形態340A〜340Dを示している。各例示的な分散装置340A〜340Dは、1つまたは複数の流れ進入領域を含むことができる混合管(例えば、図4〜8の導管130)の上流端に配置されるように構成されている。便宜上、例示的な混合管330および例示的な排気管313が概略的に示されている。しかし、当然のことながら、任意の分散装置340A〜340Dを上記の混合管30、130、230の任意のものと、または別の混合管と併用することができる。示すように、各分散装置340A〜340Cは、排気管313の中心長手軸に対して角度をなすように向けることができる。
【0083】
一部の実施形態では、混合管330は、混合管330の内部に、分散装置340A〜340Dと長手方向に整列する流れ障害物がなく、それにより、排気ガスが、分散装置340A〜340Dより下流で、混合管330の内側貫通路面以外の任意の面に衝突することなく、混合管330を流れるのを可能にするように構築される。例えば、特定の実施形態では、混合管330は、全体として中空である。特定の例では、混合管330の幅寸法(例えば、直径)は、分散装置340A〜340Dより下流で小さくならない。
【0084】
一部の実施形態では、注入および混合ユニット(例えば、注入および混合ユニット110)は、混合管330を通過する排気ガスによって搬送される還元剤が、分散装置340A〜340Dより下流に少なくとも約1インチ以内の距離で、任意の構造体に衝突しないように構築される。特定の実施形態では、注入および混合ユニットは、還元剤が、分散装置340A〜340Dより下流に少なくとも約6インチ以内の距離で、任意の構造体に衝突しないように構築される。特定の実施形態では、注入および混合ユニットは、還元剤が、分散装置340A〜340Dより下流に少なくとも約1フィート以内の距離で、任意の構造体に衝突しないように構築される。特定の実施形態では、注入および混合ユニットは、還元剤が、分散装置340A〜340Dより下流に少なくとも約2フィート以内の距離で、任意の構造体に衝突しないように構築される。特定の実施形態では、注入および混合ユニットは、還元剤が、分散装置340A〜340Dより下流に少なくとも約30インチ以内の距離で、任意の構造体に衝突しないように構築される。特定の実施形態では、注入および混合ユニットは、還元剤が、分散装置340A〜340Dより下流に少なくとも約3フィート以内の距離で、任意の構造体に衝突しないように構築される。他の実施形態では、混合構造体、分散構造体、および/または他の衝突構造体を分散装置より下流に設けることができる。
【0085】
例示的な分散装置340A〜340Dは第1の領域343を含み、第1の領域343は、混合管330に長手方向に流入する排気ガスが、第1の領域343を通過するように、混合管330の上流端331にまたがって広がっている。例示的な分散装置340A〜340Dはまた、混合管330の外側と排気管313の内面との間に広がるバイパスへの移動を制限する1つまたは複数の部分を含む。バイパスへの移動、という用語が本明細書で使用される場合に、バイパスへの移動は、排気ガスが、バイパスに入るために分散装置340A〜340Dの一部分を通過するときに制限される。一部の例示的な分散装置340B、340Cはまた、バイパスへの制限のない移動を規定し、排気ガスは、バイパスに入るために、分散装置340B、340Cの周囲を流れることができる。
【0086】
図10〜22は、第1の領域343および第2の領域344A〜344Eを含む例示的な分散装置340A、340B、340C、340D、340Eを示している。一部の実施形態では、第1の領域343は、混合管330と合致し、第2の領域は、混合管330と排気管313との間に広がる(例えば、第2の領域344A〜344C、344Eを参照のこと)。他の例では、第2の領域344Dは、第1の領域343を覆って広がっている。第2の領域344A〜344Eは、混合管330と排気管313との間に画定されたバイパスBへの進入を制限する。第2の領域344A〜344Eは、第1の領域343よりも空気流に対する抵抗が小さい。例えば、第2の領域344A〜344Eは、それぞれの第1の領域343よりも軸方向に薄い、密度が低い、小孔が多いなどとすることができる。したがって、排気ガスは、第1の領域343よりも分散装置340Aの第2の領域344の方を容易に通過することができる。
【0087】
一部の実施形態では、分散装置340A、340D、340Eの第1の領域343および第2の領域344A、344D、344Eは、共同して排気管313の断面領域に完全にまたがって広がっている(分散装置340A、340D、340Eを参照のこと)。例えば、一部の実施形態では、分散装置340A、340Eの第2の領域344A、344Eは、第1の領域343を囲むリングを形成することができる(図10〜12および図22を参照のこと)。他の実施形態では、分散装置340Dの第2の領域344Dは、第1の領域343を覆い、第1の領域から外側に広がることができる(図19〜21を参照のこと)。したがって、排気ガスは、分散装置340A、340D、340Eの一部分を通過することなしに、分散装置340A、340D、340Eより下流を流れることができない。使用時、主流路Mは、分散装置340A、340D、340Eの第1の領域343を通って、混合管330の上流端331に入る。制限されたバイパス流路BRは、分散装置340A、340D、340Eの第2の領域344A、344D、344Eを通ってバイパスBに延びる。
【0088】
他の実施形態では、分散装置340B、340Cの第1の領域343および第2の領域344B、344Cは、排気管313の断面領域に完全にまたがっては広がっていない(図12〜18を参照のこと)。正しくは、妨げるもののない流路が、分散装置340B、340Cより上流の排気管313から、分散装置340B、340Cより下流のバイパスBまで設けられている。例えば、1つまたは複数の開口346を第1の領域343と、第2の領域344B、344Cの縁部345と、排気管313の内面との間に画定することができる。他の例では、1つまたは複数の開口346を第2の領域344B、344Cに画定することができる。そのような例では、主流路Mは、分散装置340B、340Cの第1の領域343によって画定され、制限されたバイパス流路BRは、分散装置340B、340Cの第2の領域344B、344Cによって画定され、制限のないバイパス流路BUは、1つまたは複数の開口346によって画定される。
【0089】
特定の実施形態では、分散装置340B、340Cの第1の領域343は、排気管313の中心部分に配置され、第1の領域343を囲むリング形状の開口346を残し、分散装置340B、340Cの第2の領域344B、344Cは、リング形状の開口346の1つまたは複数の部分にまたがって広がっている。特定の例では、第2の領域344B、344Cは、第1の領域343と共同して、排気管313の幅にわたって広がることができる。一例として、第2の領域344B、344Cは、第1の領域343と共同して、排気管313の直径にわたって広がることができる。
【0090】
一部の例では、分散装置340Bの第2の領域344Bは、リング形状の開口346の一部分にまたがって広がる分散材の単一部分を含む。図13〜15に示す例では、第2の領域344Bは、単一部分で、リング形状の開口346の上側部分にまたがって広がっている。したがって、上記に示した混合管130と共に使用する場合に、制限のないバイパス流路BUは、第1の流れ進入領域135に通じる。制限のないバイパス流路BUおよび制限されたバイパス流路BRの両方は、第2の流れ進入領域136に通じる。示した例では、単一部分は、リング形状の開口346の約半分に広がることができる。他の例では、単一部分は、リング形状の開口346のより広い部分またはより狭い部分(例えば、1/4、1/3、3/4、2/3など)に広がることができる。
【0091】
他の例では、分散装置340Cの第2の領域344Cは、リング形状の開口346の1つまたは複数の部分にまたがって広がる分散材の2つ以上の部分を含む、図16〜18に示す例では、第1および第2の部分は、第1の領域343の外周(または混合管330の外側)から排気管313の内面まで広がっている。示した例では、第2の領域344Cの第1および第2の部分は、第2の領域344Cが、第1の領域343と共同して、排気管313の幅にわたって広がるように一列に整列することができる。他の実施形態では、第1および第2の部分は、それ以外に、リング形状の開口346に沿って配置することができる。さらに別の実施形態では、さらなる部分をリング形状の開口346に配置することができる。
【0092】
一部の実施形態では、分散装置340A〜340Cの第1の領域343および第2の領域344A〜344Cは、同じメッシュ材で形成されるが、第1の領域343は、第2の領域344A〜344Cよりも多くの材料層を有する(例えば、分散装置340A〜340Cを参照のこと)。相応して、分散装置340A〜340Cの第1の領域343は、第1の厚さT1を有し、第2の領域344A〜344Cは、第1の厚さT1よりも薄い第2の厚さT2を有する。
【0093】
他の実施形態では、分散装置340D、340Eの第2の領域344D、344Eは、第1の領域343とは異なる材料で形成され、かつ/または異なる構造を有する。例えば、第1の領域343は、第1のメッシュ材を含むことができ、第2の領域344D、344Eは、第2のメッシュ材を含むことができ(図19〜22を参照のこと)、第2のメッシュ材は、第1の領域343の第1のメッシュ材よりも大きい開口を有する。特定の例では、第2のメッシュ材には、十字形交差ワイヤが含まれる。特定の例では、十字形交差ワイヤ同士を織り合わす、または溶接することができる。特定の例では、第2の領域344D、344Eは、第2の厚さT2よりも薄くすることができる第3の厚さT3を有する(例えば、図21を参照のこと)。他の実施形態では、第2の領域344D、344Eは、排気管313に部分的に、または完全にまたがって広がる有孔プレートから形成することができる。
【0094】
上記の任意の実施形態において、分散装置40、140、240、340A〜340Eは、1つまたは複数の金属ワイヤのニット、織物、またはジャンブルから形成された第1のメッシュ材を含む。なお、「ワイヤ」という用語の使用は、金属ワイヤの特定の最小横幅寸法(例えば、厚さ、または直径)を示唆することを意図されていない。各ワイヤは、ワイヤの加熱を容易にするために、十分に薄くなっている。一部の実施形態では、ワイヤが薄いことで、ワイヤに衝突する注入材料の蒸発が促進される。一例では、金属ワイヤは、丸い横断面を有する。他の例では、金属ワイヤの横断面は、任意の所望する形状(例えば、長円形、長方形、正方形、三角形など)を有することができる。
【0095】
特定の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eの第1のメッシュ材には、混合管の上流端の1/100の大きさの直径を有するワイヤが含まれる。特定の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eのメッシュには、混合管の上流端の1/1000の大きさの直径を有するワイヤが含まれる。特定の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eのメッシュには、混合管の上流端の1/10000の大きさの直径を有するワイヤが含まれる。特定の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eのメッシュには、混合管の上流端の1/100000の大きさの直径を有するワイヤが含まれる。
【0096】
一部の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eの金属ワイヤの横幅寸法は0.011インチ以下である。特定の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eの金属ワイヤの横幅寸法は0.01インチ以下である。特定の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eの金属ワイヤの横幅寸法は0.008インチ以下である。特定の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eの金属ワイヤの横幅寸法は0.007インチ以下である。特定の実施形態では、任意の分散装置40、140、240、340A〜340Eの金属ワイヤの横幅寸法は0.006インチ以下である。
【0097】
図24および図25は、上記の混合および注入ユニット111で使用するのに適した別の例示的な混合管430を示している。混合管430は、上流端431から下流端432まで延び、中空の内部を画定する(図25)。第2の端部432は、混合管430を排気管113内で固定位置に保持するために、排気管113に連結されるように構成されている。混合管430の残りの部分は、排気管113の内面に接触することなく、排気管113内に収まる大きさとされている。混合管430は、混合管430を通過する排気ガスを混合するように構成されている。
【0098】
一部の実施形態では、混合管430の上流端431は、分散装置(例えば、上記の分散装置140)に連結されるように構成され、少なくとも一部の排気ガス流は、分散装置を通って、混合管430の中空内部に流入する。本開示のいくつかの態様によれば、バイパスは、混合管430の一部分と排気管113との間に設けられる。バイパスは、排気ガスが、混合管430の上流端を越えて流れるのを可能にするように、混合管430の全長の一部分に沿った円周ギャップに広がる。特定の例では、バイパスは、排気ガスが、分散装置を越えて流れるのを可能にする。特定の実施形態では、バイパスは環状路を形成し、排気ガスは、この環状路を通って、分散装置140より下流の混合管430に流入することができる。
【0099】
バイパスは、混合管430への1つまたは複数の下流進入口につながっている。分散装置を通って混合管430に流入しない排気ガスの少なくとも一部は、その代わりとして、下流進入口から混合管430に流入することができる。例えば、一部の実施形態では、混合管430の側壁は、第1の半径方向流進入領域435を画定し、排気ガスは、この第1の半径方向流進入領域435で、バイパスから混合管430の内部に流れ込むことができる。
【0100】
第1の半径方向流進入領域435は、混合管430の上流端431から離間した位置に(例えば、中心軸C3に沿って)配置されている。特定の例では、第1の半径方向流進入領域435は、分散装置の位置に、または分散装置のすぐ下流に配置される。特定の例では、第1の半径方向流進入領域435の少なくとも一部分は、分散装置の少なくとも一部分と重なる。一部の実施形態では、第1の半径方向流進入領域435は、第1の半径方向流進入領域435を通って混合管430に流入した排気ガスが、混合管430の下側内面への反応物の堆積を阻止するように、分散装置を通過した反応物を連行するように配置される。特定の例では、第1の半径方向流進入領域435は、第1の半径方向流進入口435を通って混合管430に流入した排気ガスが、反応物を上方に、混合管430の底部から離れる方向に搬送するように、混合管430の底部に設けることができる。
【0101】
排気ガスが、混合管430に流れ込むのを可能にするために、周方向に細長い開孔437が、第1の半径方向流進入領域435に設けられている。開孔437は、混合管430の側壁で周方向に細長くなっている。一例では、開孔437は、側壁の円周の約半分にわたって延びる。他の例では、開孔437は、側壁の約1/3、側壁の1/4、または側壁の1/5にわたって延びることができる。混合管430の中心軸C3に沿った開孔437の寸法(軸方向の幅)は、側壁の円周に沿った開孔437の寸法(周方向の長さ)よりも大幅に短い。
【0102】
特定の例では、第1の半径方向流進入領域435を通過する流れを回転させる、または乱流にするために、構造体(例えば、ルーバ438またはバッフル)を第1の半径方向流進入領域435に設けることができる。開孔437の位置にあるルーバ438は、混合管430から半径方向外側に、かつ混合管430の上流端431に向かって前方に突出している。
【0103】
一部の実施形態では、第1の半径方向流進入領域435より下流の離間した位置で、混合管430の側壁に第2の半径方向流進入領域436を設けることができる(例えば、図25を参照のこと)。排気ガスが、混合管430に流れ込むのを可能にするために、周方向に細長い開孔437が、第2の半径方向流進入領域436に設けられている。一例では、第2の半径方向流進入領域436の開孔437は、側壁の円周の約半分にわたって延びる。他の例では、第2の半径方向流進入領域436の開孔437は、側壁の約1/3、側壁の1/4、または側壁の1/5にわたって延びることができる。第2の半径方向流進入領域436の開孔437の、混合管430の中心軸C3に沿った寸法(軸方向の幅)は、側壁の円周に沿った開孔437の寸法(周方向の長さ)よりも大幅に短い。特定の例では、第2の半径方向流進入領域436の開孔437は、第1の半径方向流進入領域435の開孔437と重ならない。
【0104】
特定の例では、第2の半径方向流進入領域436に1つまたは複数のルーバまたはバッフル438を設けることができる。ルーバまたはバッフル438は、排気ガスが、第2の半径方向流進入領域436の開孔437を通って混合管430に流入するときに、排気ガスを回転させる、または乱流にすることができる。例えば、ルーバまたはバッフル438は、排気ガスを、分散装置を通って流入した軸方向流の排気ガスと共に混合させることができる。一例では、第2の半径方向流進入領域436は、混合管430の一部の円周に広がる。
【0105】
第2の半径方向流進入領域436のルーバ438は、混合管430から半径方向外側に、かつ混合管430の上流端431に向かって前方に突出している。例として、第2の半径方向流進入領域436のルーバまたはバッフル438は、第1の半径方向流進入領域435のルーバまたはバッフル438と重ならない。第2の半径方向流進入領域436のルーバ438は、第1の半径方向流進入領域435のルーバまたはバッフル438から軸方向に離間している。
【0106】
一部の実施形態では、混合管430は、混合管430の内部に、分散装置と長手方向に整列する流れ障害物がなく、それにより、排気ガスが、混合管430の内側貫通路面以外の任意の面に衝突することなく、分散装置より下流で混合管430を流れるのを可能にするように構築される。例えば、特定の実施形態では、混合管430は、全体として中空である。特定の例では、ルーバ438は、混合管430の内部へではなく、混合管430から外側に突出する。特定の例では、混合管430の幅寸法(例えば、直径)は、分散装置より下流で小さくならない。示した例では、混合管430の横寸法は、混合管430が、分散装置より下流に延びるにつれて大きくなる。
【0107】
本開示の範囲および趣旨から逸脱することのない本開示の様々な修正および変更が当業者に明らかになるであろうし、当然のことながら、本開示の範囲が、本明細書で説明した例示的な実施形態に極度に限定されることはない。
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