(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光コンバータは、前記光学構造内に複数の量子ドットを有し、前記光学構造は前記プラズモン構造を有し、前記プラズモン構造は不規則なプラズモン構造である、請求項1に記載の照明デバイス。
前記光コンバータは、前記光学構造内に複数の量子ドットを有し、前記光学構造は前記プラズモン構造を有し、前記プラズモン構造は規則的なプラズモン構造である、請求項1に記載の照明デバイス。
前記量子ドットのルミネセントコアは、前記光学構造が有する金属構造に対して、少なくとも5nmの最短距離を持つ、請求項1乃至4の何れか一項に記載の照明デバイス。
複数の光学構造領域を有し、前記光学構造領域は、1つ以上の量子ドットの近傍の該1つ以上の量子ドットの前記第1の周波数と共鳴するフォトン状態密度を増大させるように構成される、請求項7に記載の照明デバイス。
前記量子ドットは、少なくとも90%の量子効率を持ち、前記量子ドットは、前記光コンバータ内で、4ns以下の放射減衰時間を持つ、請求項1乃至8の何れか一項に記載の照明デバイス。
【発明の概要】
【0012】
量子ドット(qドット若しくはQD又はQDナノ結晶)は現在、ソリッドステートライティング(SSL)用途(LED)における蛍光体として研究されている。それらは、例えば調節可能(チューナブル)な発光及び狭い発光バンドなど、特には高CRIであるLEDベースのランプの有効性を有意に高める助けとなり得る幾つかの利点を有する。狭い発光バンド(25−30nm)及び高いQE(100℃で>90%)は、それらを特に赤色(およそ610nm)において優れた蛍光体とする。他の無機及び有機の蛍光体は、遥かに広い発光バンドを示す。一般照明用途でQDをLEDの赤色蛍光体として使用することができる場合、全体として20%に至る効率向上が期待される。バックライト用途では、緑色及び赤色の双方のLEDの狭バンド発光をLCDのバンドパスフィルタと合致させることができるので、効率の増大がいっそう大きくなり得る。全般的に見て、QDは、今後のLED応用のための重要な緑色蛍光体及び/又は赤色蛍光体であると予想される。
【0013】
量子ドットは、半導体ナノ粒子であり、ナノ粒子のサイズを変えることによって調節可能な蛍光発光を呈する。これは、量子閉じ込め効果による、粒子サイズを小さくすることに関するバンドギャップの増大の結果である。QDにおける蛍光発光は、例えば青色フォトン又はUVフォトンによる電子−正孔対の励起を介して起こる。束縛された電子−正孔対は励起子(エキシトン)とも呼ばれている。励起後、電子及び正孔は典型的に、格子との相互作用(フォノン結合)によって、バンド端状態に熱的に緩和する(又は、冷える)。励起子は、その後、放射再結合することができ、そのQDのバンドギャップに略等価なエネルギーを持つフォトンを放つ。また、励起子はそれに代えて、例えば、電子若しくは正孔がトラップされる(そして非放射経路を介して再結合する)ために、あるいはエネルギーが付近の別の振動双極子(例えば、別のQDや金属など)に伝達されるために、非放射的に再結合することができる。故に、QDの全体的な量子効率(QE)は:
QE=Γ
rad/(Γ
rad+Γ
nonrad) (式1)
として定義され得る。ここで、Γ
radは放射(radiative)減衰速度であり、Γ
nonradは非放射(non-radiative)減衰速度である。非放射減衰速度が放射減衰速度よりも遥かに速い場合、QEは低くなる。換言すれば、QDが例えば90%といった非常に高いQEを示す場合、それは、非放射減衰速度が放射減衰速度よりも〜10倍遅いことを意味する(集合体の中の全てのQDが同じ場合である;別の可能性は、10個のQDのうちの1つが、非常に速い非放射性減衰経路を有するために“死んでいる”というものである)。
【0014】
QDが高強度で励起されるとき、QD当たり1つよりも多い励起子を生成することが可能である。QDの放射速度は典型的に20nsであり、第1の励起後20ns以内に第2の励起が起こる場合、1つのQDが2つの励起子を持ち得る。最近の文献が示すことには、2つの励起子の場合、又は1つの励起子と単一の電子若しくは正孔(“トリオン”)の場合、オージェ過程が起こりやすい。オージェ過程はこの場合、第1の励起子がそのエネルギーを第2の励起子(又は電子若しくは正孔)に伝えることによって非放射的に再結合することを意味する。これは、(第2の励起子の)正孔若しくは電子の何れかの、バンド的にいっそう高い励起を生じさせる。ここでは、これを“ホットエレクトロン”又は“ホットホール”と呼ぶことにする。ホットエレクトロン又はホットホールは、その後再びバンド端状態に熱的に緩和し、正味1個の励起子がもたらされる。この残った励起子は、フォトンを放出することによって放射再結合することができる。故に、全体として、2つのフォトンが2つの励起子を励起するのに使用されたが、結局のところ1つの放出フォトンをもたらしているので、QEがQDのイニシャルQEの50%に低下されている。オージェ過程は或る一定の速度(Γ
Auger)を持ち、これが放射再結合と競合する。換言すれば、オージェ過程は、それが高速である場合にQEを低下させ得る非放射減衰経路の一例である。残念ながら、QDにおけるオージェ過程は、放射減衰時間(20ns)と比較して非常に高速であり(何百ピコ秒から1−2nsまでの寿命)。従って、二重の励起子は、たいがい、50%低下されたQEを持つ。
【0015】
上述の過程に加えて、双励起子(バイエキシトン)の場合に起こり得る所謂オージェイオン化過程も存在する。ホットエレクトロン又はホットホールは、QDの外に(又は表面に)“イジェクト”され得るほどの高いエネルギー(バンド端より2eV上)を示し得る。その結果は、帯電されたQDであるが、帯電されたQDは、QDの所謂ブリンキング(点滅)挙動の原因となると一般的に考えられており、帯電されたQDが励起されると、得られる“トリオン”も、帯電されたQDを再び生じさせるオージェ再結合を経ることになる。従って、帯電されたQDは、光を放出せず、所謂“オフ状態”にある。QDが再び中性になると(どのようにしてなるかは文献に記載されていない)、QDは“オン状態”になる。“オン”状態と“オフ”状態との間の切り替わりは、一般的に単一QD分光法にて観察され、ブリンキングと呼ばれている。要するに、オージェイオン化は、ブリンキングが起こる(すなわち、QDが帯電される)原因となるメカニズムであり得る。ブリンキングは、msの時間スケールで発生し、QEを実効的に低下させる。
【0016】
ここで提案することは、ブリンキングに加えて、オージェイオン化過程はまた、QD劣化の原因にもなり得るということである。イジェクトされた正孔又は電子は、QDを取り囲む物質と更に反応しがちであり、それにより、中性に戻ることを不可能にし得る(すなわち、永続的なオフ状態にし得る)。その代わりに、イジェクトされた電子又は正孔が更なる劣化メカニズムを含むことがある。
【0017】
双励起子の形成は、QE低下をもたらすオージェ再結合を生じさせ得るものであり、ブリンキングをもたらすオージェイオン化を生じさせ得るものであり、且つQD劣化の原因となり得るオージェイオン化を生じさせ得るものであるので、望ましくない。
【0018】
本発明の重要な一観点は、LED応用に関連のある青色強度においてQDの飽和が起こるということである。以下を与えた場合の手短な計算を以下に示す:
− 吸収断面積(σ)は、どれほど良好にQDが光を吸収するかの指標であり、cm
2単位で与えられる。QDのσは、その(コア/シェル)構造及びサイズに依存する。文献には、600nm付近に発光を持つCdSe/CdSコア/シェルQDに関して4E
−15cm
2のσが記載されている。しかし、これらのQDはサイズが4.8nmであり、コア−シェルQDは典型的に7.5nmである(又はこれよりも大きく、最大で20nmである)。CdSがCdSeと略同じσを持つと仮定し、サイズに関して補正すると、直径7.5nmの典型的なコア/シェルQDは1.5E
−14cm
2のσを持つと計算される。
− QDの放射減衰時間τは典型的に20nsである(放射減衰時間τは、上述の放射減衰速度Γ
radの逆数である)。
− フォトンフラックス(光子束)F(cm
−2s
−1)は、1秒当たりに一定の面積を通るフォトンの量である。450nmの波長(4.4E
−19Jのフォトンエネルギー)、及び10W/cm
2の青色フラックス密度において、フォトンフラックスF=2.3E
19(光子/s/cm
2)である。
− 励起状態の割合(U)が:
U=F・τ・σ (式2)
として定義され、これは、単一のQDが或る一定のフラックス密度において励起状態にある時間の割合であるが、QDの集合体のうち所与の時間的瞬間において励起状態にあるQDの割合として見ることもできる(これは、無単位数である)。
【0019】
上の式2を用いて、10W/cm
2のフラックス密度においてQDが励起状態にある時間の割合は、σ〜1.5E
−14cm
2且つτ=20nsを持つQDに関して、〜0.007であると計算され得る。これは、このフラックス密度においてQDがその時間の大まかに1%だけ励起状態にあること(又は、所与の時間的瞬間においてQDのうちのほぼ1%が励起状態にあること)を意味する。式2から明らかなことには、励起状態の割合とフラックス密度との間には線形関係が存在する。
【0020】
理解され得るように、100W/cm
2では、QDのうちの7%が励起状態にある(又は、QDはその時間のうちの7%だけ励起状態にある)。留意すべき重要な事実は、450nmにおけるQDの吸収断面積は、それが励起状態にある場合にも変化しないということである。従って、100W/cm
2において、フォトンを吸収するときにQDが励起状態にある(双励起子をもたらす)可能性は7%である。オージェ過程に従って、この双励起子は1つのみの放出フォトンをもたらす。従って、この例ではQEが7%だけ低下される。より高いフラックス密度でのこのQE低下は、飽和クエンチングとして参照される。
【0021】
強調しておくに、QDの吸収断面積は、所謂巨大QDではもっと大きくなり、それは、より良好な安定性のためには好ましいものである。しかしながら、断面積の増大は、いっそう低いフラックスで飽和クエンチングが始まることを意味する。例えば、巨大QDは、7.5nmに代えて15nmほどの大きさであり得る。これは、吸収断面積における8倍の増大を意味する(吸収断面積は、QD体積とともに線形に増減する)。断面積が8倍に増大されると、QEは、10W/cm
2で〜6%(0.7%であったのに対して)、100W/cm
2では60%クエンチされる(7.5nmQDで7%であったのに対して)。
【0022】
先述のように、オージェ過程は、クエンチングにつながるだけでなく、QDの劣化の原因にもなり得る。0.01(1%)という比較的低いレベルのUであっても、これはQEの安定性に実質的な影響を及ぼし得る。
【0023】
UV−LEDが使用される場合、例えば450nmから365nmまで行くとき、QDの吸収断面積が急増する(5−10倍大きくなり得る)ので、飽和の問題はいっそう大きくなる。
【0024】
QDの飽和(すなわち、双励起子)は、例えば、中出力LEDを用いること、青色光を先ず黄色に変換すること(黄色でのQDの断面積は2−5倍小さくなる)、又は青色フラックスが“拡げられる”近接構成又は遠隔構成でQDを配置すること、などの実際的な取り組みによって回避され得る。他の例では、QDのシェル組成が、それがより少ない光を吸収するようにされる。しかしながら、これは単一QDが励起される確率を低下させることになるので、同じ変換量を達成するには、より多数のQDが必要とされることになり、また典型的に、良好な安定性のために厚いシェルが必要とされる。故に、高出力LED用途、超高輝度光源、又はさらにはレーザでのQDの使用を可能にするため、この問題に対するいっそう体系的な解決策が必要である。
【0025】
従って、本発明の一観点は、高い量子効率を持つ量子ドットに使用されることができる代替的な量子ドット系システムを提供することであり、それは好ましくは更に、上述の欠点のうちの1つ以上を少なくとも部分的に取り除き、特に、効率(有効性)の損失が実質的に低減されるものである。特に、本発明の一観点は、量子ドットに基づく代わりの光コンバータ、及び/又はそのような光コンバータを有する代わりの照明デバイスを提供することである。
【0026】
ここで提案することは、(量子ドットにおける)フォトン状態密度(photon density of states;PDOS)を局所的に増大させることによって、QDの放射減衰時間(τ)を短縮することで、双励起子の形成を回避することである。フェルミの黄金律によれば、放射減衰時間は:
T
i→f=2π/h・M
2・ρ (式3)
と、PDOSに線形依存する。ここで、T
i→fは(τに関係する)遷移確率であり、hはプランク定数であり、Mは、光学遷移(励起状態と基底状態との間の相互作用)を取り扱う行列要素であり、ρは最終状態の密度(すなわち、PDOS)である。
【0027】
真空において、PDOSは、波長の関数であり、生来的に与えられる。しかし、近年の材料開発によって可能にされた、光学状態の密度を局所的に増大させる手段が存在する。これは、フォトニック結晶及び/又は(周期的)プラズモン構造によって達成されることができる。
【0028】
フォトニック結晶の場合、PDOSは、例えば、高屈折率材料と低屈折率材料との周期構造によって変化され得る。可視光のPDOSを実現するためには、構造の周期性は、(可視)光の波長の範囲内、すなわち、350−750nmの範囲内にされるべきである。フォトニック結晶は、例えば、透明な高屈折率粒子(例えばTiO
x、ZrO
2、Al
2O
3などであり、TiO
x中のxは例えば(約)2である)を、空気又は低屈折率材料(例えば、シリコーン)の母材によって取り囲まれた規則的な周期構造に配置することによって作製され得るが、例えば、技術的に記述されているような量子ドットを含んだ基板から作製される空気孔の格子など、その他の選択肢も可能である。規則的な構造は、例えば、六方充填での粒子の自己組織化によって達成され得る。それに代えて、このような周期構造はナノインプリント技術によって作製されてもよい。
【0029】
プラズモン構造の場合、電場の強い局所エンハンスメント(増大)が存在する。例は、可視域の光の電場に対して強い共鳴を示すプラズモン構造を作り出す元素の例として、アルミニウム、銀、又は金のナノ粒子である。この共鳴は、特定の周波数(波長)域において局所電場の強いエンハンスメントを生じさせるが、これは事実上、局所PDOSにおける増加である。増大係数は何桁もの大きさになり得る。これは、放射減衰速度が何桁もの大きさで増大され得ることを意味し、従って、双励起子の形成が回避され又は少なくとも強く抑制される。プラズモン材料はまた、技術的に述べられているように、特定の方向に局所的な場のエンハンスメントを向けるように構造化され得る。プラズモン構造は、規則的であってもよいし、不規則であってもよい。後者において、所望の周波数を生み出す規則的構成要素を有する領域群が存在し得るが、これらの領域は相互に異なる方位である。ここでは、例えば、フォトニック光学構造の場合の透明な高屈折率粒子、又は例えば、プラズモン光学構造の場合の金属元素も要素として指し示される。これらの要素が、フォトニック光学構造又はプラズモン光学構造を構成し得る。
【0030】
双励起子の形成を抑制する他の手法として、フォトニック結晶を用いて青色フラックスを局所的に低減することができる。フォトニック結晶が、例えばおよそ450nmの光学バンドギャップを持つように構築される場合、それらのモードはフォトニック結晶内で“禁制”されることになる。換言すれば、青色(又はUV)LED光源との周波数共鳴の局所PDOSが低減され、それが、低減された青色フラックスにつながることになる。この場合、青色光から黄色/赤色光への十分な変換をなおも得るために、実効的にいっそう多くのQDが必要とされる。
【0031】
QDで観測される飽和クエンチングは、かなりQDに固有なものであり、飽和を受けて一般的に自己誘導透過(励起状態になった後の励起波長での強く抑制された吸収)を示すものである染料又は希土類蛍光体には発生しない。
【0032】
従って、第1の態様において、本発明は照明デバイス(“装置”)を提供し、当該照明デバイスは、
a) 受光面を有する光コンバータ(又は“波長コンバータ”)と、
b) 上記受光面において、少なくとも20W/cm
2のように、より特には50W/cm
2のように、少なくとも10W/cm
2のフォトンフラックスを持つ光源光を生成するように構成されたソリッドステート光源とを有し、光コンバータは、光源光の少なくとも一部を、第1の周波数を持つ光コンバータ光へと変換するように構成され、光コンバータは、特にフォトニック結晶構造及びプラズモン構造から選択される光学構造内に半導体量子ドット(“量子ドット”)を有し、量子ドットは、例えば少なくとも85%など少なくとも80%、より特には、少なくとも95%のように少なくとも90%の量子効率を持つ。
【0033】
特に、光学構造は、第1の周波数と共鳴する光コンバータ内のフォトン状態密度(PDOS)を増大させるように構成される。特に、光学構造は、飽和クエンチングを抑制するよう、第1の周波数と共鳴する量子ドットの近傍のフォトン状態密度(PDOS)を局所的に増大させるように構成される。“光学構造は、第1の周波数と共鳴する光コンバータ内のフォトン状態密度(PDOS)を増大させるように構成される”という言い回しは特に、光学構造が、特に(局所的に)量子ドットの位置で状態のPDOSを増大させることを指し示す。このような状態を持つ光学構造は、量子ドットの放出光の周波数と共鳴する固有周波数を持つ。
【0034】
従って、ここでは、QDの放射減衰速度をエンハンスして飽和クエンチングを防止するフォトニック材料及びプラズモン材料の能力が使用される。驚くべきことに、このような光学構造を用いると、量子ドットの効率が維持され得るとともに、照明デバイスの有効性が高くなり得ると思われる。従来技術のシステムにおいては、高度に効率的な量子ドットが、実質的に低下された効率を示してしまい得るが、この光学構造においては、例えば、少なくとも20W/cm
2のように、より特には50W/cm
2のように、少なくとも10W/cm
2などの、かなりの照明条件の下であっても、効率が高いままとなり得る。従って、例えば従来の一般照明用途と匹敵するなどの高強度照明の下で、従来技術システムでは効率が低いが、本発明では効率(又は有効性)が非常に高くなり得る。さらに、例えば20−400W/cm
2の範囲内などの大きい強度範囲を超えて、光コンバータ上での光源光のパワーを増大させると、光コンバータの加熱に基づいて予期されるもの以外に有効性の実質的な低下が存在しないようにし得る。
【0035】
更なる一態様において、本発明はまた、光コンバータそれ自体、すなわち、光源からの光源光を受けるように構成された受光面を有する光コンバータを提供し、当該光コンバータは、光源光の少なくとも一部を、第1の周波数を持つ光コンバータ光へと変換するように構成され、当該光コンバータは、フォトニック結晶構造及びプラズモン構造から選択される光学構造内に半導体量子ドットを有する。特に、光学構造は、第1の周波数と共鳴する光コンバータ内のフォトン状態密度(PDOS)を増大させるように構成される。特に、光学構造は、飽和クエンチングを抑制するよう、第1の周波数と共鳴する量子ドット位置のフォトン状態密度(PDOS)を局所的に増大させるように構成される。また、特に、量子ドットは、例えば少なくとも85%など少なくとも80%、より特には、少なくとも95%のように少なくとも90%の量子効率を持つ。
【0036】
故に、本発明はまた、フォトニック結晶構造及びプラズモン構造から選択される光学構造内に半導体量子ドットを有する光コンバータの使用を提供し、光学構造は、飽和クエンチングを抑制するよう、第1の周波数と共鳴する量子ドット近傍のフォトン状態密度を増大させるように構成され、前記量子ドットは、例えば少なくとも85%など少なくとも80%、より特には、例えば少なくとも95%など少なくとも90%の量子効率を持ち、量子ドットの飽和クエンチングを防止する。
【0037】
光コンバータは光学構造を有する。用語“光学構造”はまた、複数の同じ又は複数の異なる光学構造に関係し得る。光コンバータは特に、フォトニック結晶構造及びプラズモン構造のうちの1つ以上を含み得る。従って、これら(2つ)の構造の組み合わせも、単一の組み合わせ構造及び/又は光コンバータ内の別々の構造(又は領域)の何れかで適用され得る。
【0038】
フォトニック結晶又は構造は、イオン格子が固体内の電子に影響を及ぼすのとほぼ同じようにしてフォトンの動きに影響を及ぼす周期的な光学ナノ構造である。プラズモン構造は、金属−誘電体材料との光の相互作用から生み出されるものである表面プラズモンを生成することができる。特定の条件下で、入射光が表面プラズモンと結合して、表面プラズモンポラリトン(SPP)として知られる自立的な伝播電磁波を作り出す。どちらの構造も、メタマテリアルと考えることができる。どちらの材料も、これらの材料が同調されることが可能な特定の周波数(又は波長)にある光と相互作用することができる。これらの材料をどのように作製するかは、当業者に知られたことである。従って、これらのメタマテリアルは、光学構造に含められた量子ドットの発光周波数に同調されて、PDOSを局所的に増大させることができる。
【0039】
光コンバータ光は少なくとも、光源光による励起を受けてルミネセンスを提供するものである量子ドットによって生成される。量子ドット及び光源についての更なる情報は、以下にて見出すことができる。従って、光コンバータ光は少なくとも、量子ドットによって生成される光を含む。しかしながら、光コンバータはまた、(光学構造が有する)量子ドット以外にも、1つ以上のルミネセント材料を含んでいてもよい。従って、光コンバータ光はまた、光学構造が有する量子ドット以外のルミネセント材料からのルミネセンスを含み得る。
【0040】
光学構造の周波数(又は波長)は特に、(光コンバータ光の)第1の周波数の周波数(又は波長)と共鳴するように設計される。一般に、光コンバータ光のこの第1の周波数は、光源光の周波数に等しくないものとなる。特に、この周波数は、より低いものとなる(下方変換原理)(すなわち、波長は、より長いものとなる)。
【0041】
光コンバータは、本質的に光学構造で構成されるが、オプションで、例えばルミネセント材料層、光学レンズ、光フィルタなどのうちの1ついじょうなど、その他の機構をも含み得る。また、光コンバータは、単一の規則的な光学構造又は複数の規則的な光学構造を有し得る。該複数の光学構造は、実質的に同じもの、特に、第1の周波数と共鳴するものとし得る。
【0042】
しかしながら、光コンバータはまた、複数の(異なる)第1の周波数と共鳴する複数の(異なる)光学構造を有していてもよい。斯くして、量子ドットの発光の帯域幅の中の相異なる発光周波数/波長が、光学構造の複数の周波数/波長と共鳴になり得る。それに代えて、あるいは加えて、(複数の)量子ドットは、例えば青、緑、黄、橙、及び赤のうちの2つ以上など、異なる色を提供し得る。波長コンバータはまた、可視スペクトル内の異なる波長での発光を提供する異なる量子ドットの異なる周波数と共鳴する光学構造を有して構成され得る。故に、波長コンバータは、単一の光学構造又は複数の光学構造を有し得る。これら複数の光学構造は、異なる周期性を持つ1つの(拡張された)光学構造の中で利用可能であり得るが、それに代えて、あるいは加えて、異なる領域、又は更には光コンバータ内の異なる粒子の中に設けられてもよい。従って、一実施形態において、光コンバータは、光源光の少なくとも一部を、第1の周波数の分布を持つ光コンバータ光へと変換するように構成された複数の(相互に)異なる半導体量子ドットを有する。
【0043】
特定の一実施形態において、光コンバータは、光学構造内に複数の量子ドットを有することができ、光学構造はプラズモン構造を有し、該プラズモン構造は不規則なプラズモン構造である。不規則なプラズモン構造の1つの利点は、光コンバータ光が複数の異なる方向に出て行き得ることである。しかしながら、それに代えて、あるいは加えて、光学構造はまた、規則的なプラズモン構造を有していてもよい。
【0044】
それに代えて、あるいは加えて、光コンバータは、複数の量子ドットを有した多結晶フォトニック結晶構造を有し得る。上述のように、波長コンバータは、フォトニック結晶の場合に単結晶フォトニック結晶であるかそれを含むとし得る単一の光学構造を有し得る。しかしながら、光コンバータはまた、多結晶フォトニック結晶構造を含み得る。これは、異なる方位の結晶領域を有する(不規則)系のようなものとし得るが、これはまた、光コンバータに埋め込まれた結晶フォトニック粒子を含むものであってもよい。
【0045】
従って、一実施形態において、光コンバータは、複数の光学構造領域を有し、これらの光学構造領域は、1つ以上の量子ドットの位置の該1つ以上の量子ドットの第1の周波数と共鳴するフォトン状態密度を増大させるように構成される。これらの領域は超構造を形成してもよいし形成しなくてもよい。しかしながら、隣接し合う領域は異なる方位及び/又は異なる光周波数(QD発光周波数と共鳴する)を持つとし得る。これらの異なる領域は、一実施形態において、それ自体として成長又は生成され得る。しかし、他の一実施形態において、規則的な光学構造を有する材料が粒子へと処理されてもよい。このような粒子は、例えば、母材に埋め込まれ得る。斯くして、光コンバータは、一種の多結晶光学構造を備え得る。
【0046】
特にプラズモン構造に関して、プラズモン構造を構成するプラズモン素子から非ゼロの距離に量子ドットコアを有することが望ましいことがある。特に、コアと例えば金属(プラズモン)要素などのプラズモン素子との間の最短距離は、例えば少なくとも10nmなど、少なくとも5nmとし得る。これは例えば、例えばコア−シェル量子ドットの場合などにおいて、コア上のコーティングによって達成され得る。ベアのコア、すなわち、ベア量子ドットも適用され得るが、特には斯くして、プラズモン素子から少なくとも5nmの最短距離で配置される。このようなコーティング又はシェルは、例えばシリカコーティング又はシリカシェルとし得るが、量子ドットはまた、例えばシリカ構造などの、もっと大きい構造の一部であってもよい。これらのようにして、量子ドットコアとプラズモン素子との間の距離を容易に調節することができる。それにより、コアと光学構造の素子との間の最適な距離も調節され得る。さらに、量子ドット上のコーティングは、特に安定性及び効率に関して、更なる有利な効果を提供し得ると思われる。従って、一実施形態において、量子ドットはシリカコーティングを有する。アルミナ、チタニア、又は2つ以上のコーティングの組み合わせのような、シリカ以外のコーティングも可能であり得る。なお、ここに記載される量子ドットはまた、コア−シェル量子ドット又はQDロッド(これもコア−シェル型のものであってもよい)を含み得る(以下も参照)。このようなコーティングされた量子ドットが、光学構造に含められ得る。それに代えて、コーティングは光学構造の一部を形成してもよい。例えば、量子ドットの周りに光学構造を成長させ、それによって光学構造を設けるとともに、それとなくコーティングを設け得る。従って、更なる一実施形態において、光学構造がシリカコーティングを有する。
【0047】
特定の一実施形態において、量子ドットは、光学構造が有する金属構造に対して、少なくとも5nm、特には少なくとも10nm、更に特には少なくとも15nmの最短距離を持つ。特にプラズモン構造の場合、金属素子が使用され得る。従って、そのような光コンバータにおいては、特に、量子ドットが、少なくとも5nm、特には少なくとも10nm、更に特には少なくとも15nmの距離に配置され得る。これは効率を(更に)高めると思われる。小さ過ぎる距離は、非放射減衰経路を提供してしまい得る。特に、ここに示される距離は、最短距離を表し、更に特には、数値平均された最短距離を表す。また、上述のように、この距離は特に、QDコアと(金属)プラズモン素子との間の最短距離である。これまた上述したように、このような極小の距離を得るために、例えば、ベアQDの周りの(シェルのような)コーティング又は構造物が適用され得る。それに代えて、あるいは加えて、巨大量子ドットが適用されてもよい。
【0048】
従って、一実施形態において、光学構造は、フォトニック結晶構造及びプラズモン光学構造のうちの1つ以上を有し、例えばプラズモン構造などの光学構造は、量子ドットを有したシリカ構造を有する。これはまた、(孔などのような)フォトニック構造素子及び/又はプラズモン光学構造を提供し得る例えば金属構造などのプラズモン素子を有するシリカ構造を含み得る。特に、量子ドット(より正確には量子ドットコア)は、(このような構造において)光学構造(30)が有する金属構造(若しくはその他のプラズモン構造)及び/又はフォトニック結晶構造素子に対して、少なくとも5nmの最短距離を持つ。
【0049】
特定の一実施形態において、量子ドットは、少なくとも90%、更に特には少なくとも95%の量子効率を持つ。その場合にも、ここに提供されるソリューションでは、光コンバータ及び/又は照明デバイスの効率(又は有効性)が非常に高くなり得る。量子ドットは、光コンバータ内で、例えば2ns以下又は更には1ns以下など、4ns以下の放射減衰時間を持ち得る。光コンバータの外で、より特には光学構造の外で、発光の放射減衰は、例えば少なくとも20nsのように少なくとも15nsなど、少なくとも10nsの範囲内、例えば20−40nsなど15−50nsの範囲内であり得る。しかし、ここに記載される光学構造の中では、放射ライフタイムが、例えば元々の放射減衰時間の1/5以下、又は更には1/10以下の範囲内など、実質的に短縮され得る。我々が知っている限りでは、これらフォトニック構造又はプラズモン構造によるQD飽和の抑制の例は知られていない。
【0050】
本発明は、例えば、LEDランプ、スポットライト、屋外照明、自動車照明、及び/又はレーザ用途といった高フラックス密度における効率的な(QD変換式)LED光源を可能にする。
【0051】
用語“量子ドット”又は“ルミネセント量子ドット”はまた、異なるタイプの量子ドットの組み合わせ、すなわち、異なるスペクトル特性を持つ量子ドットの組み合わせをも表し得る。QDは、ここではまた、“波長コンバータナノ粒子”としても指し示される。用語“量子ドット”は、特に、(例えばUV放射線などの好適な放射線での励起を受けて)UV、可視、及びIRのうちの一つ以上で発光する量子ドットを表す。
【0052】
ここでは波長コンバータナノ粒子として指し示される量子ドット又はルミネセントナノ粒子は、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、 HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTe(からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット)からなる群から選択されるII−VI族化合物半導体量子ドットを有し得る。他の一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えば、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InGaP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、及びInAlPAs(からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット)からなる群から選択されるIII−V族化合物半導体量子ドットとし得る。より更なる一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えば、CuInS
2、CuInSe
2、CuGaS
2、CuGaSe
2、AgInS
2、AgInSe
2、AgGaS
2、及びAgGaSe
2(からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット)からなる群から選択されるI−III−VI2黄銅鉱型半導体量子ドットとし得る。より更なる一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えば、LiAsSe
2、NaAsSe
2、及びKAsSe
2(からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット)からなる群から選択されるものなどの、I−V−VI2半導体量子ドット(からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット)とし得る。より更なる一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、あとエバSbTeなどのIV−VI族化合物半導体ナノ粒子(からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット)とし得る。具体的な一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、InP、CuInS
2、CuInSe
2、CdTe、CdSe、CdSeTe、AgInS
2、及びAgInSe
2(からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット)からなる群から選択される。より更なる一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えば、ZnSe:Mn、ZnS:Mnなど、内部にドーパントを有する上述の材料から選択されるII−VI、III−V、I−III−V、及びIV−VI族化合物半導体ナノ結晶(からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット)の群のうちの1つとし得る。ドーパント元素は、Mn、Ag、Zn、Eu、S、P、Cu、Ce、Tb、Au、Pb、Tb、Sb、Sn、及びTlから選択され得る。ここで、ルミネセントナノ粒子ベースのルミネセント材料はまた、例えばCdSeとZnSeなど、複数の異なるタイプのQDを有していてもよい。
【0053】
II−VI族量子ドットを使用することが特に有利であると思われる。従って、一実施形態において、半導体ベースのルミネセント量子ドットは、特に、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTeからなる群から選択されるII−VI族量子ドット、より特にはCdS、CdSe、CdSe/CdS、及びCdSe/CdS/ZnSからなる群から選択されるII−VI族量子ドットを有する。
【0054】
ルミネセントナノ粒子(コーティングなし)は、例えば、2−20nm、特には2−10nm、より特には2−5nmなどの、約2−50nmの範囲内の寸法を有することができ、特に、これらのナノ粒子のうちの少なくとも90%がそれぞれ、指し示した範囲内の寸法を有する(すなわち、これらのナノ粒子のうちの少なくとも90%が、2−50nmの範囲内の寸法を有し、特には、これらのナノ粒子のうちの少なくとも90%が、2−5nmの範囲内の寸法を有する)。用語“寸法”は、特に、ナノ粒子の形状に応じて、長さ、幅、及び直径のうちの1つ以上に関係する。
【0055】
実施形態において、波長コンバータナノ粒子は、約1から約1000ナノメートル(nm)の範囲内の、そして好ましくは、約1から約100nmの範囲内の平均粒子サイズを有する。一実施形態において、ナノ粒子は、約1から約20nmの範囲内の平均粒子サイズを有する。一実施形態において、ナノ粒子は、約1から約10nmの範囲内の平均粒子サイズを有する。
【0056】
典型的なドットは、例えばセレン化カドミウム、硫化カドミウム、インジウム砒素、及びインジウム燐などの二元合金からなる。しかしながら、ドットはまた、例えば硫化カドミウムセレンなどの三元合金からなってもよい。これらの量子ドットは、10乃至50原子の直径で、量子ドット体積の中に僅か100乃至100,000原子を含有し得る。これは、約2−10ナノメートルに相当する。例えば、約3nmの直径を持つ例えばCdSe、InP、又はCuInSe
2などの球状粒子が提供され得る。ルミネセントナノ粒子(コーティングなし)は、1つの次元で10nm未満のサイズで、球状、立方体、ロッド、ワイヤ、ディスク、マルチパッドなどの形状を有し得る。例えば、20nmの長さと4nmの直径とを持つCdSeのナノロッドが提供され得る。従って、一実施形態において、半導体ベースのルミネセント量子ドットは、コア−シェル型量子ドットを有する。更なる他の一実施形態において、半導体ベースのルミネセント量子ドットは、ドット・イン・ロッド型ナノ粒子を有する。異なるタイプの粒子の組み合わせも適用され得る。ここで、用語“異なるタイプ”は、異なる種類の半導体ルミネセント材料だけでなく、異なる幾何学構成にも関係し得る。従って、(上述の)量子ドット又はルミネセントナノ粒子のうちの2つ以上の組み合わせも適用され得る。
【0057】
例えば国際公開第2011/031871号から導出されるものなど、半導体ナノ結晶を製造する方法の一例は、コロイド成長プロセスである。コロイド成長は、熱い配位性溶媒にMドナー及びXドナーを注入することによって起こる。単分散半導体ナノ結晶を調合する好適方法の一例は、熱い配位性溶媒に注入された例えばジメチルカドミウムなどの有機金属試薬の熱分解を有する。これは、離散的な核生成を可能にし、巨視的な量の半導体ナノ結晶の制御された成長をもたらす。この注入は、半導体ナノ結晶を形成するように制御下で成長され得る核を作り出す。反応混合物を穏やかに加熱することで、半導体ナノ結晶を成長させ且つアニールすることができる。サンプル内の半導体ナノ結晶の平均サイズ及びサイズ分布はどちらも、成長温度に依存する。安定した成長を維持するのに必要な成長温度は、平均結晶サイズの増大させるにつれて高くなる。半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶の集団のうちの一メンバーである。離散的な核生成及び制御された成長の結果として、得ることができる半導体ナノ結晶の集団は、狭いサイズ分布の直径を持つ。直径のこの小さいサイズ分布は、サイズとしても参照され得る。好ましくは、粒子の単分散集団は、集団内の粒子のうちの少なくとも約60%が指定の粒子サイズ範囲に入る粒子集団を含む。
【0058】
一実施形態において、ナノ粒子は、第1の半導体材料を有するコアと、コアの表面の少なくとも一部を覆って配設された、第2の半導体材料を有するシェルと、を含む半導体ナノ結晶を有し得る。コアとシェルとを含む半導体ナノ結晶はまた、“コア/シェル”半導体ナノ結晶として参照される。特に、コアとして、上述の材料のうちの何れかが使用され得る。故に、“からなる群からコアが選択されるコア−シェル型量子ドット”なる言い回しは、上で挙げた量子ドット材料のうちの一部にて適用される。用語“コア−シェル”はまた、勾配合金シェルやドット・イン・ロッドなどを含め、“コア−シェル−シェル”などをも表し得る。
【0059】
例えば、半導体ナノ結晶は、式MXを持つコアを含むことができ、ただし、Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、又はこれらの混合物とすることができ、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、砒素、アンチモン、又はこれらの混合物とすることができる。半導体ナノ結晶コアとしての使用に適した材料の例は、以下に限られないが、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、以上のうちの何れかを含む合金、及び/又は以上のうちの何れかを含む混合物を、三元及び四元の混合物若しくは合金を含めて、含む。
【0060】
シェルは、コアの組成と同じ又は異なる組成を持つ半導体材料とし得る。シェルは、コアの表面上の半導体材料のオーバーコート(上塗り)を有し、半導体ナノ結晶は、IV族元素、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、II−IV−V族化合物、以上のうちの何れかを含む合金、及び/又は以上のうちの何れかを含む混合物を、三元及び四元の混合物若しくは合金を含めて、含むことができる。例は、以下に限られないが、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、以上のうちの何れかを含む合金、及び/又は以上のうちの何れかを含む混合物を含む。例えば、CdSe又はCdTeの半導体ナノ結晶上に、ZnS、ZnSe、又はCdSのオーバーコーティングを成長させることができる。オーバーコーティングプロセスは、例えば、米国特許6322901号に記載されている。オーバーコーティング中に反応混合物の温度を調節し、且つコアの吸収スペクトルをモニタリングすることにより、高い量子発光効率及び狭いサイズ分布を有するオーバーコートされた材料を得ることができる。オーバーコーティングは、1つ以上の層を有し得る。オーバーコーティングは、コアの組成と同じ又は異なる少なくとも1つの半導体材料を有する。好ましくは、オーバーコーティングは、約1モノレイヤから約10モノレイヤまでの厚さを有する。オーバーコーティングはまた、10モノレイヤよりも大きい厚さを有していてもよい。一実施形態において、2つ以上のオーバーコーティングがコア上に含められ得る。
【0061】
一実施形態において、周囲の“シェル”材料は、コア材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し得る。他の特定の実施形態において、周囲のシェル材料は、コア材料のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有し得る。
【0062】
一実施形態において、シェルは、“コア”基材の原子間隔に近い原子間隔を有するように選択され得る。他の特定の実施形態において、シェル材料とコア材料とが同じ結晶構造を有し得る。
【0063】
半導体ナノ結晶(コア)シェル材料の例は、限定することなく、赤色(例えば、(CdSe)ZnS(コア)シェル)、緑色(例えば、(CdZnSe)CdZnS(コア)シェルなど)、及び青色(例えば、(CdS)CdZnS(コア)シェル)を含む(半導体に基づく具体的な波長コンバータナノ粒子の例に関して上述の更に参照)。
【0064】
一実施形態において、半導体ナノ結晶は好ましくは、例えば国際公開第2011/031871号に記載されているように、それに付着されたリガンドを有する。一実施形態において、リガンドは、成長プロセスにおいて使用される配位性溶媒に由来し得る。一実施形態において、過剰な競合配位基への繰り返し露出によって表面が修飾されて、オーバーレイヤが形成され得る。
【0065】
例えば、キャッピングされた半導体ナノ結晶の分散液が、例えばピリジンなどの配位性有機化合物で処理されて、ピリジン、メタノール、及び芳香族化合物の中では容易に分散するが脂肪族溶媒中ではもはや分散しない結晶子が生成され得る。このような表面交換プロセスは、半導体ナノ結晶の外表面に配位する又はそれに化学結合することが可能な何らかの化合物(例えば、カルボン酸、ホスフィン、チオール、アミン、及びリン酸塩を含む)を用いて行われ得る。半導体ナノ結晶は、その表面に対して親和性を示し且つ半導体ナノ結晶が懸濁あるいは分散されている液体媒体に対して親和性を持つ部分内で終端する短鎖ポリマーに晒され得る。このような親和性は、懸濁液の安定性を向上させるとともに、半導体ナノ結晶の凝集を妨げる。
【0066】
より具体的には、配位リガンドは式:
(Y−)
k−n−(X)−(−L)
n
を有し得る。ここで、kは、2、3、4、又は5であり、nは、k−nがゼロより小さくならないように、1、2、3、4、又は5であり、Xは、O、OS、O−Se、O−N、O−P、O−As、S、S=O、SO
2、Se、Se=O、N、N=O、P、P=O、C=O、As、又はAs=Oであり、Y及びLは各々独立に、H、OH、アリール、ヘテロアリール、又は、場合により、少なくとも1つの二重結合、少なくとも1つの三重結合、若しくは少なくとも1つの二重結合及び1つの三重結合を含んだ、直鎖若しくは分岐鎖のC2−18炭化水素鎖である。この炭化水素鎖は、場合により、1つ以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3−5シクロアルキル、3−5員ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニル、又はホルミルで置き換えられ得る。この炭化水素鎖はまた、場合により、−O−、−S−、−N(Ra)−、−N(Ra)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(Ra)−、−N(Ra)−C(O)−N(Rb)−、−O−C(O)−O−、−P(Ra)−、又は−P(O)(Ra)−によって中断され得る。Ra及びRbの各々は独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、又はハロアルキルである。アリール基は、置換又は非置換の環状芳香族基である。例は、フェニル、ベンジル、ナフチル、トリル、アントラシル、ニトロフェニル、又はハロフェニルを含む。ヘテロアリール基は、例えばフリル、ピリジル、ピロリル、フェナントリルなど、リング内に1つ以上のヘテロ原子を有するアリール基である。
【0067】
更なるリガンドは、特に、オレイン酸、トリオクチルホスフィン、トリオクチルホスフィンオキシドのうちの1つ以上とし得る。従って、リガンドは、特に、酸、アミン、ホスフィン、酸化ホスフィン、及びチオールから選択され得る。
【0068】
好適な配位リガンドは、商業的に購入することができ、あるいは、例えばJ.March、Advanced Organic Chemistryに記載されているような通常の合成有機技術によって調合することができる。その他のリガンドが、2003年8月15日に出願され2007年1月9日に米国特許第7160613号として発行された米国特許出願第10/641292号に記載されており、その全体をここに援用する。リガンドのその他の例は、ベンジルホスホン酸、ベンジル基のリング上に少なくとも1つの置換基を含むベンジルホスホン酸、このような酸の共役塩基、及び以上のうちの1つ以上を含む混合物を含む。一実施形態において、リガンドは、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸、この酸の共役塩基、又はこれらの混合物を有する。一実施形態において、リガンドは、3,5−ジ−テリ−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホン酸、この酸の共役塩基、又はこれらの混合物を有する。本発明で有用であり得るリガンドの更なる例が、2008年9月12日に出願されたBreenなどの国際出願第PCT/US2008/010651号“Functionalized Nanoparticles And Method”及び2009年7月28日に出願されたBreenなどの国際出願第PCT/US2009/004345号“Nanoparticle Including Multi− Functional Ligand and Method”に記載されており、これらの各々をここに援用する。
【0069】
上述の有機リガンドは、例えば有機溶媒内で、それとともにQDが開始し得るリガンドであり、交換プロセスで無機リガンドに交換され得るものである。
【0070】
波長コンバータ又は波長コンバータ素子(又は、より正確には、波長コンバータナノ粒子)は、放射線的に光源(又は、上述のように、複数の光源)に結合される。用語“放射線的に結合される”は、特に、光源と波長コンバータとが、光源によって放たれた放射線の少なくとも一部が波長コンバータによって受け取られる(及び少なくとも部分的にルミネセンスへと変換される)ように互いに関連付けられることを意味する。用語“ルミネセンス”は、光源の光源光による励起を受けて波長コンバータナノ粒子が放つ発光を表す。このルミネセンスは、ここではまた、コンバータ光(少なくとも可視光を含む。以下も参照)としても指し示される。
【0071】
波長コンバータはまた、一般に、光源の下流に配置される。用語“上流”及び“下流”は、光生成手段(ここでは特には光源)からの光の伝播に対するアイテム又は機構の配置に関係し、光生成手段からの光ビーム内の第1の位置に対して、光生成手段にいっそう近い光ビーム内の第2の位置が“上流”であり、光生成手段から更に離れた光ビーム内の第3の位置が“下流”である。
【0072】
このデバイスは、特に、デバイス光を生成するように構成され、デバイス光は、少なくともコンバータ光を有するが、場合により、(残存する)光源光をも有し得る。例えば、波長コンバータは、光源光を部分的にのみ変換するように構成され得る。そのような例において、デバイス光は、コンバータ光と光源光とを有し得る。しかしながら、他の一実施形態において、波長コンバータは、全ての光源光を変換するようにも構成され得る。
【0073】
従って、具体的な一実施形態において、照明デバイスは、光源光とコンバータ光との双方を有する照明デバイス光を提供するように構成され、例えば、前者は青色光であり、後者は、黄色光、又は黄色及び赤色光、又は緑色及び赤色光、又は緑色、黄色及び赤色光を有する。具体的な更なる他の一実施形態において、照明デバイスは、コンバータ光のみを有する照明デバイス光のみを提供するように構成される。これは、例えば、(特に、透過モードにおいて、)波長コンバータを照射する光源光が、波長コンバータの下流側を、変換された光としてのみ立ち去る(すなわち、波長コンバータに侵入する全ての光源光が波長コンバータによって吸収される)ときに起こり得る。
【0074】
用語“波長コンバータ”(又は“光コンバータ”)はまた、複数の波長コンバータに関係し得る。これらは、互いの下流に配置され得るが、互いの隣に(場合により更には、直に隣接し合う波長コンバータとして物理的に接触して)配置されてもよい。それら複数の波長コンバータは、一実施形態において、異なる光学特性を持つ2つ以上のサブセットを有し得る。例えば、1つ以上のサブセットが、緑色光のような、第1のスペクトル光分布を持つ波長コンバータ光を生成するように構成され得るとともに、1つ以上のサブセットが、赤色光のような、第2のスペクトル光分布を持つ波長コンバータ光を生成するように構成され得る。3つ以上のサブセットが適用されてもよい。異なる光学特性を持つ異なるサブセットを適用するとき、例えば、白色光が提供され、且つ/或いは、デバイス光(すなわち、コンバータ光と、場合により残存する光源光)の色が波長コンバータの下流に残る。特に、複数の光源が適用され、それらのうちの2つ以上のサブセットが個別に制御され、それらが、異なる光学特性を持つ2つ以上の波長コンバータサブセットと放射線的に結合されるとき、デバイス光の色は調整可能とし得る。白色光を作るためのその他のオプションも可能である(以下も参照)。
【0075】
照明デバイスは、例えば、オフィス照明システム、家庭応用システム、店舗照明システム、家庭照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバ応用システム、投影システム、自発光ディスプレイシステム、ピクセル化ディスプレイシステム、セグメント化ディスプレイシステム、警告標識システム、医療照明応用システム、インジケータ標識システム、装飾照明システム、可搬式システム、自動車応用、グリーン家庭照明システム、園芸照明、又はLCDバックライトの一部であるか、それに適用されるかし得る。
【0076】
上述のように、照明ユニットは、LCD表示装置内のバックライトユニットとして使用され得る。従って、本発明はまた、バックライトユニットとして構成されたここに規定の照明ユニットを有するLCD表示装置を提供する。本発明はまた、更なる一態様において、ここに規定される照明デバイスを1つ以上含んだバックライトユニットを有する液晶ディスプレイ装置を提供する。
【0077】
好ましくは、光源は、動作中に少なくとも、200−490nmの範囲から選択された波長の光(光源光)を放つ光源であり、特には、動作中に少なくとも、400−490nmの範囲、より特には、440−490nmの範囲、から選択された波長の光を放つ光源である。この光が部分的に波長コンバータナノ粒子によって使用され得る(更に以下も参照)。従って、具体的な一実施形態において、光源は青色光を生成するように構成される。
【0078】
具体的な一実施形態において、光源は、ソリッドステートLED光源(例えば、LED又はレーザダイオードなど)を有する。
【0079】
用語“光源”はまた、例えば2−20個の(ソリッドステート)LED光源など、複数の光源にも関係し得る。従って、用語LEDも複数のLEDを表し得る。
【0080】
例えば“実質的に全ての光”又は“実質的に構成される”などにおける、ここでの用語“実質的に”は、当業者によって理解されるものである。用語“実質的に”はまた、“全体的に”、“完全に”、“全て”などを持つ実施形態をも含み得る。従って、実施形態において、実質的にという形容詞は除去されてもよいことがある。適用可能な場合、用語“実質的に”はまた、90%以上に関係し、例えば、95%以上、特には99%以上、より特には、100%を含め、99.5%以上などに関係し得る。用語“有する”は、用語“有する”が“からなる”を意味する実施形態をも含む。用語“及び/又は”は、特に、“及び/又は”の前後に述べられるアイテムのうちの1つ以上に関係する。例えば、“アイテム1及び/又はアイテム2”なる言い回し及び同様の言い回しは、アイテム1とアイテム2との一方又は双方に関係し得る。用語“有している”は、一実施形態において、“からなっている”を表し得るが、他の一実施形態においてはまた、“規定される種を少なくとも含んでいるとともにオプションで1つ以上のその他の種を含んでいる”をも表し得る。
【0081】
さらに、本明細書中及び請求項中の第1、第2、第3などの用語は、同様の要素同士の間で区別するために使用されており、必ずしも順次的又は時間的な順番を記述するものではない。理解されるべきことには、そのように使用される用語は、適当な状況下で相互に交換可能であり、ここに記載される本発明の実施形態は、ここに記載あるいは図示されるもの以外の順序での操作が可能である。
【0082】
ここでのデバイスは、とりわけ、動作において記述されている。当業者に明らかなように、本発明は、動作の方法又は動作中のデバイスに限定されない。
【0083】
なお、上述の実施形態は、本発明を限定ではなく例示するものであり、当業者は、添付の請求項の範囲を逸脱することなく、数多くの他の実施形態を設計することができるであろう。請求項において、括弧内に置かれた何れの参照符号も、請求項を限定するものとして解されるべきでない。動詞“有する”及びその活用形の使用は、請求項中に述べられるもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素を前置する冠詞“a”又は“an”は、複数のそれら要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、また、好適にプログラムされたコンピュータによって実装され得る。幾つかの手段を列挙するデバイスクレームにおいて、それらの手段のうちの幾つかが、同一のハードウェアアイテムによって具現化されてもよい。特定の複数の手段が相互に異なる従属項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組合せが有利に使用され得ないということを指し示すものではない。
【0084】
本発明は更に、本明細書に記載され且つ/或いは添付の図面に示された特徴的フィーチャのうちの1つ以上を有するデバイスに当てはまる。本発明は更に、本明細書に記載され且つ/或いは添付の図面に示された特徴的フィーチャのうちの1つ以上を有する方法又はプロセスに関する。
【0085】
更なる利点を提供するために、本開示にて説明される様々な態様が組み合わされ得る。また、これらのフィーチャのうちの一部は、1つ以上の分割出願の基礎を形成し得る。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1a−1cは、照明ユニットの幾つかの実施形態を模式的に示している。照明ユニットが参照符号1で指し示され、光源が参照符号10で、そして光コンバータが参照符号100で指し示されている。光源は、例えば、そこから光源光が発するダイ(図示せず)を有するLEDとし得る。光源10によって生成された光源光が参照符号11で指し示されている。光コンバータ100と光源との間に非ゼロの距離が存在し得る。この距離は参照符号d1で指し示されており、0.1mm−10cmの範囲内とし得る。しかしながら、この距離はまた、
図1bに模式的に示されるように、ゼロであってもよい。
【0088】
光コンバータは、光源10に向けられる受光面110と、(一般に受光面110の反対側の)出光面120とを含み得る。この面から、光コンバータ光101が発し得る。しかしながら、この光が、受光面を含め、1つ以上のその他の面から出て行き得ることも排除されない。しかし、特には、受光面は光源に向けられ、出光面は照明デバイスの外に向けられ得る。受光面110は出光面120の上流に構成され、これら双方が光源10の下流に構成される。変換器をその下流側から出て行く光、すなわち、出光面120から出て行く光は、少なくとも、量子ドット(図示せず;以下参照)からの発光を含む光コンバータ光101を含み得るが、オプションで、変換されていない光源光11をも含み得る。これは特に、光源光11が青色光のような可視光を含むときに関係し得る。光源光と光コンバータ光との組み合わせが参照符号2で指し示されている。
図1cは、ドーム60内に波長コンバータを含んでいる。あるいは、ドーム60が光コンバータ100であってもよい。ドームは、ポリマー材料、シリコーン材料、又はエポキシ材料などを含み得る。
図1b及び1cは、光コンバータと光源との間に実質的にゼロの距離を有する実施形態を模式的に示したものである。
【0089】
なお、
図1a−1cの構成において、原理的にはまた、2つ以上の光源10が適用されてもよい。光源なる用語は、上述のように、複数の光源にも関係し得る。更なる光学素子及び/又はルミネセント材料が適用されてもよいが、これらの模式図には明瞭さのために示されていない。
【0090】
図2a−2bは、QD(小さい点)と光学構造30とを含んだ、頂部に蛍光体がディスペンスされたLEDパッケージを模式的に示しており、光学構造30の例として、
図2aにおいて、例えば高屈折率の球体などの(規則的な)フォトニック構造31(周期性は、〜可視光の波長λである)で構成されたフォトニック結晶を有しており、
図2bにおいては、例えば金又は銀の金属ナノピラー又は粒子といった要素132で構成されたプラズモン構造32を有している。プラズモンナノ構造32は、周期構造にあり得るが、ランダムな向きも可能である。ここでは、例として、光源10は特に、ボード7上に構成されたLEDである。これらの実施形態において、さらに、例として、光コンバータ100はカップ8の中に配置されている。関連する構造を更に詳細に指し示すために拡大図が示されている。なお、量子ドット20は規則的に配置される必要はないとし得るが、実施形態において、それらは規則的に配置されてもよい。フォトニック結晶は参照符号31で指し示され、プラズモン構造は参照符号32で指し示されている。指し示されたλは、プラズモン構造又はフォトニック結晶である光学構造を構成する要素間の距離を示しており。この距離又は周期は、周波数とともに増減する。故に、ここでは、周波数なる用語も用いられる。光学構造の周波数は、QDの発光に同調される。ここでは、これらの図は、規則的な構造、又は規則的な構造を有する領域を模式的に示している。しかしながら、これらの光学構造はまた、規則的に配置された要素を有する領域群が存在するがそれらの領域が方位及び/又は周波数において互いに異なるという意味において、不規則性を含んでいてもよい。従って、
図2a−2bは、どのようにQDが、(例えば、母材媒体としてシリコーンを用いて)LEDの頂部に直接的に適用(ディスペンス)されて、フォトニック結晶媒体(
図2a)又はプラズモン構造の中に分散されるかの模式図である。
【0091】
図3a−3cは、以上の説明に記載されるようなLED−QD−プラズモン(又はフォトニック)アーキテクチャの様々な他の実施形態を模式的に示している。
図3aでは、プラズモン構造32が光コンバータに含められている。プラズモン構造は、透明又は半透明な特にガラス又はその他の透光材料とし得る基板220上に配置されている。また、オプションで、2つ以上のルミネセント材料が利用可能とし得る。第1のルミネセント材料200が、例えば黄色発光を提供し、光学構造30が、第2のルミネセント材料230として、赤色発光を提供し得る。従って、
図3aは、その上にフォトニック/プラズモン構造が(QDとともに)設けられたガラス(又はその他の材料)コンポーネントを模式的に示し得る。
【0092】
図3bでは、光学構造が光コンバータ100の中に配置されている。従って、
図3bは、ボード上でLEDの隣に設けられた(QDを含む)プラズモン/フォトニック構造を模式的に示し得る。
【0093】
図3cは、光学構造が直接的にLEDダイの上にある一実施形態を模式的に示している。従って、
図3cは、プラズモン構造又はフォトニック構造がLEDエピタキシ上に直接的に設けられた一実施形態を模式的に示し得る。
【0094】
他の実施形態は、代わりに、あるいは加えて、例えば、QD自体が現実として規則的なフォトニック又はプラズモン構造の部分である構造を含んでいてもよい。例えば、QDの非常に規則的なアレイ又は超格子それ自体が、プラズモン構造又はフォトニクス構造であり得る。この効果はまた、QDが早期に再び発光する機会を得るので、時間当たりの光出力を増大させるために使用され得る。故に、この方法はまた、飽和に伴う問題に遭遇することなく、或る一定レベルの変換を達成するのに必要な材料の量を削減するために使用され得る。
【0095】
図4a−4cは、光コンバータの幾つかの更なる実施形態を模式的に示している。
図4aは、光学構造30の例として、規則的なプラズモン構造又はフォトニック結晶を模式的に示している。
図4bは、多結晶のフォトニック結晶構造又は不規則なプラズモン構造(ここでは、特に、不規則なプラズモン構造)を模式的に示している。参照符号35は、それらのうちの2つ以上が互いに異なっている様々な領域を指し示している。
図4cは、多結晶のフォトニック結晶構造又は不規則なプラズモン構造(ここでは、特に、不規則なプラズモン構造)の他の一実施形態を模式的に示しており、参照符号35で指し示された異なる領域又はドメインの方位が異なっている。
【0096】
図5は、非限定的な複数の量子ドットを模式的に示しており、左から右に、量子ドット(ベアコア又はベアドット)、コア−シェル量子ドット(巨大QDを含む)、量子ドット、及びロッド量子ドット内の量子ドットである。全てが量子ドット20で指し示されており、参照符号21がコアを指し示している。コア21がルミネセンスを提供し、周囲材料は、技術的に知られた保護材料及び/又は効率増大材料とし得る。