(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像の前記少なくとも1つの品質指標が、ヒストグラムから抽出された少なくとも1つのガウス関数Gに対して、前記ガウス関数に関連付けられ、そのガウス関数の平均と標準偏差との間の比として定義されるインデックスI3(G)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の推定方法。
ヒストグラムを正規化するステップ(E20)であって、ガウス関数が抽出ステップの間に正規化されたヒストグラムから抽出される、正規化するステップ(E20)をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の推定方法。
ガウス関数を特徴付けるパラメータを正規化するステップ(E40)をさらに含み、画像の前記少なくとも1つの品質指標が、正規化されたガウス関数を特徴付けるパラメータから推定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の推定方法。
【背景技術】
【0003】
現在、コンピュータ断層撮影によって取得された3D画像を使用することにより複合材料部品の非破壊検査を、特にそのような部品の材料の健全性(すなわち、欠陥がないこと)を検査するために行うことが知られている。
【0004】
コンピュータ断層撮影は、グレースケールで符号化された部品の3次元画像を再構成するために、複合材料部品から得られた一連の写真を利用する画像技術である。3D画像内のボクセルのグレースケールレベルは、そのボクセル内の部品の材料の密度に比例する。適切な画像解析技術を使用することにより、3D画像は、検査された材料部品に影響を与える欠陥を、もしあれば自動的に検出することを可能にする。
【0005】
とはいえ、特定の画像分析方法は、対象とする3D断層画像の品質に大きく依存する。
【0006】
現行技術では、断層画像の品質を測定するための方法を記述する規格が存在する。例として、そのような規格には以下のものがある:
【0007】
・ 非破壊検査および断層撮影品質メトリクスのためのコンピュータ断層撮影の使用を定義している「Standard guide for computed tomography imaging」と題された文書に記載されている、米国材料試験協会(ASTM)のE1441−00RT規格。
【0008】
・ 「Essais non destructifs − Methodes par rayonnements − Tomographie informatisee Partie 3: Fonctionnement et interpretation」[Non−destructive testing − radiation methods − computed tomography − part 3: operation and interpretation]と題された文書にさらに詳細に記載されている、同等の欧州規格NF EN 16016−3。
【0009】
それらの規格は、具体的に以下の品質メトリクスまたは指標を提案している:
【0010】
・ アーチファクトによって変形されない3D画像の一様なゾーンにわたって測定されたノイズの標準偏差。
【0011】
・ 考察中の材料部品の平均グレースケールレベルをノイズの標準偏差で除算した比として定義される信号対雑音比。
【0012】
・ 検査中の部品の平均グレースケールレベルと3D画像の背景の平均グレースケールレベルとの差の絶対値をノイズの標準偏差で除算した比として定義されるコントラスト−ノイズ比。
【0013】
とはいえ、これらのメトリックは、単一の材料で作られた部品、典型的には金属部品のために設計されている。
【0014】
不都合なことに、複合材料では、繊維および樹脂が複合材料の構造によって密接に混ざり合っているので、3D画像において、十分に代表的である(すなわち、統計上実用的であるほど十分に大きい)単一相の材料でできている均質なゾーンを見つけることは不可能である。
【0015】
したがって、複合材料部品の3D画像の品質を推定するためにそのようなメトリックを使用することが望まれる場合、そのようなメトリックを評価できるようにするために3D画像を取得する一方で、考察中の設定においてそれ自体が単一の材料で作られた基準バーを追加する必要がある。
【0016】
そのような制約が満たされたとしても、得られるメトリックはなお、材料の1つの相(および場合によってはまた、考察中のメトリックに応じて3D画像の背景)しか含まないものにとどまり、したがって複合材料で作られた部品の3D画像の品質を特徴付けるためには不完全である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は特に、複合材料部品の3D画像の品質が自動的かつ客観的な方法で推定されることを可能とする方法を提案することによって、それらの欠点を軽減することに役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0019】
より具体的には、本発明は、複合材料部品のグレースケール符号化された3次元画像の少なくとも1つの品質指標を推定するための推定方法を提案し、推定方法は以下を含む:
・ それぞれ少なくとも1つのグレースケールレベルを含む複数の階級のそれぞれの階級に対して、その階級に属するグレースケールレベルを有する画像のボクセルの数を表すヒストグラムを、画像から取得するための、取得ステップ。
【0020】
・ ヒストグラム内に存在する所定の数のガウス関数を抽出するための、抽出ステップ。
【0021】
・ ヒストグラムから抽出されたガウス関数を特徴付けるパラメータから画像の少なくとも1つの品質指標を推定するための、推定ステップ。
【0022】
相応して、本発明は、複合材料部品のグレースケール符号化された3次元画像の少なくとも1つの品質指標を推定するための推定装置も提供し、推定装置は以下を含む:
・ それぞれ少なくとも1つのグレースケールレベルを含む複数の階級のそれぞれの階級に対して、その階級に属するグレースケールレベルを有する画像のボクセルの数を表すヒストグラムを、画像から取得するための、モジュール。
・ ヒストグラム内に存在する所定の数のガウス関数を抽出するための、モジュール。
・ ヒストグラムから抽出されたガウス関数を特徴付けるパラメータから画像の少なくとも1つの品質指標を推定するための、モジュール。
【0023】
3D画像のソースに関連する制約はない。それはコンピュータ断層撮影または任意の他の手段により再構成された3D画像であってもよい。
【0024】
本発明は、複合材料部品のグレースケール符号化された3D画像の品質を測定するための客観的なツールを提供する、ロバスト性があり、高速で(画像ごとに数秒しか必要なく)かつ繰返し可能な方法を提案する。本方法は、どのような基準画像またはバーも必要とせず、また品質指標を推定できるようにするためにどのような特別な設備も必要としないので、それを実行することを特に簡単にする。
【0025】
本発明は、第1に、3D画像の品質は本質的に画像取得システムに関連するランダムノイズによって影響を受け、かつ(おそらく画像に存在する低周波アーチファクトを除去するための3D画像の事前処理の後に)実質的にガウス分布であり、第2に、複合材料の様々な相は同一の材料密度を有しておらずそのために3D画像内において「可視である」(すなわち、それらが区別できる)(具体的にはそれらが異なるグレースケールレベルに対応する)、という事実に有利には依拠する。これらの所見からの帰結として、複合材料(例えば、樹脂、ストランド、繊維など)の様々な相に対応する3D画像のグレースケールレベルがガウス分布を有する。したがって、本発明者らは、3D画像のヒストグラムをガウス関数に(または、ヒストグラムが正規化されるならば等価な方法でガウス分布に)デコンボリューションすることを提案し、次に3D画像の品質指標を得るためにこのデコンボリューションによって抽出されたガウス関数を特徴付けるパラメータを利用する。
【0026】
具体的には、完璧な2D画像取得システム(すなわちノイズ無し)に対して、複合材料の様々な相は3D画像のヒストグラムにおいて、様々な相に関連する材料密度にそれぞれ対応するグレースケールレベルに完全に分離されて配置される、ディラック関数型の表示を生じさせるはずである。ランダムガウスノイズの存在は、これらのディラック関数をガウス関数に変換する効果を有する。言い換えれば、3D画像のヒストグラムはガウス関数の混合(和)によって構成される。
【0027】
本発明者らは、3D画像の品質指標を得るために、これらのガウス関数を特徴付けるパラメータを有利に利用するという考えを持った。そして特にそれらの平均および/もしくは標準偏差(もしくはそれらの分散の同等の方法)、ならびに/または実際には3D画像のヒストグラムによって表されるガウス関数の混合内のそれぞれのガウス関数の比率、を利用した。具体的には、ガウス関数がより単離しお互いに間隔を置いているほど、3D画像はより良好な品質であると考えられ得る。逆に、ガウス関数がより一緒に近接し重なり合うほど、3D画像はより悪い品質であると考えられ得る。
【0028】
ヒストグラムから抽出されるガウス関数の数は、考察中の複合材料に依存し、好ましくは、考察中の複合材料に存在する別個の相の数に対応する。その数は好ましくは、2または3となるように選択される。
【0029】
本発明によって提案される方法は、ガウス関数の数以外の外部パラメータに依存しないことに留意すべきである。したがって、それは実施することが比較的に容易である。
【0030】
例として、ガウス関数を(またはガウス関数をデコンボリューションするのと同等の方法で)抽出するステップは、期待値最大化(EM)アルゴリズムを使用することによって実行されてもよい。このアルゴリズムは、Journal of the Royal Statistical Society、Series B39 (1): 1−38のA.P. Dempsterらによる「Maximum likelihood from incomplete data with the EM algorithm」と題された文書に詳細に記載されている。
【0031】
これは、3D画像のヒストグラムにおいて混在するガウス関数を特徴付ける様々なパラメータを自動的かつ正確に推定することを可能にする。
【0032】
さらにそれは、複合材料の異なる相の間にわずかな密度差しか存在しない場合でも使用することができる。具体的には、複合材料が樹脂および樹脂含浸繊維で作られているため、複合材料の相間の3D画像には低いコントラストが観察されることがある。さらに、そのような成分は、非常に異なる比率で複合材料中に存在する可能性がある。EMアルゴリズムは、複合材料のこれらの特性に起因する困難を回避することを可能にし、3D画像のヒストグラムにおいて混在するガウス関数(およびそれらのパラメータ)を容易かつ自動的に抽出することを可能にする。
【0033】
1つの変形では、ヒストグラムからガウス関数を抽出し、それらのパラメータを決定するために、例えばマルコフ連鎖に基づくモンテカルロ法、モーメント一致法、スペクトルもしくはグラフィカル法、または実際のシミュレーションなどの、他の方法が使用されてもよい。
【0034】
特定の実施態様では、画像の前記少なくとも1つの品質指標は、ヒストグラムからから抽出された連続するガウス関数のそれぞれの対(G
i、G
i+1)について、前記対(G
i,G
i+1)と関連し、
I1(i)=f(m
i−m
i+1+ω・(σ
i+σ
i+1))
を使用して推定される品質指標I1(i)を平均することによって得られる指標I1を含み、
ただし:
・ m
iおよびm
i+1はガウス関数G
iおよびG
i+1のそれぞれの平均を示し、ここでm
i < m
i+1であり、
・ σ
iおよびσ
i+1はガウス関数G
iおよびG
i+1のそれぞれの標準偏差を示し、
・ ωは所定の定数を示し、
・ fは0から1の範囲の値を有する有界関数を示す。
【0035】
例として、関数fは、シグモイド関数または双曲線正接関数から定義される関数である。これは好ましくは、ガウス関数が十分に分離されているときには品質指標I1が1に向かい、一致しているときまたは重ね合わされている(3D画像内の材料の異なる相を分離できない)ときに0に向かうように選択される。
【0036】
別の実施態様では、画像の前記少なくとも1つの品質指標は、ヒストグラムから抽出されたガウス関数間のオーバーラップを定量化する指標I2を含む。
【0037】
ガウス関数が重ね合わされる程度が大きいほど、オーバーラップゾーンが大きくなり、3D画像の品質がより疑わしくなる。
【0038】
さらに別の実施態様では、画像の前記少なくとも1つの品質指標は、ヒストグラムから抽出された少なくとも1つのガウス関数Gに対して、前記ガウス関数に関連付けられ、そのガウス関数の平均と標準偏差との間の比として定義されるインデックスI3(G)を含む。
【0039】
言い換えれば、この実施態様では、信号対雑音比は、各ガウス関数について他と独立して評価される。
【0040】
信号対雑音比を計算することは、画像の品質を推定するための現行技術において広く使用されることに留意すべきである。とはいえ、上述したように、複合材料で作られた部品では、ノイズの標準偏差を測定するために完全に均質な材料の領域を見つけることは非常に困難であり、不可能でさえある。
【0041】
3D画像のヒストグラムからガウス関数を抽出するステップによって、本発明は、抽出されたガウス関数のそれぞれに対して正確な信号対雑音比を計算することを非常に容易にし、そしてそれは、このような計算を可能にする均質なゾーンを構成する。さらに、当業者に知られているローズ規準は、5より大きい信号対雑音比に対して画像の特性を100%の信頼性で区別することが可能であると示している。
【0042】
当然、3D画像のヒストグラムから抽出されたガウス関数のパラメータに基づいて、他の品質指標を考慮し、推定することができる。
【0043】
上述の指標は、3D画像の品質に応じて必ずしも同様には変化しないことに留意すべきである。上記で指定された指標の一つのおよび/もしくは別の指標、またはその指標のうちのいくつかの指標の選択は、意図される用途に依存する。例として、これらの指標は、相互に異なる取得システム(例えば、複数の断層撮影機器)から来る3D画像を比較するため、取得システムの欠陥(例えば、製造ライン上の断層撮影機器のX線管内または検出器内でのドリフト)を検出するため、などに、断層撮影3D画像の取得パラメータおよび再構成パラメータを最適化するために有利には使用され得る。言い換えれば、本発明は、機器の一部の調査および(例えば、品質管理のための)生産ライン上での使用、の両方に適用可能である。
【0044】
別の特定の実施態様では、推定方法は、ヒストグラムを正規化するステップをさらに含み、ガウス関数は、抽出ステップの間に正規化されたヒストグラムから抽出される(ガウス関数はしたがって、本来のガウス分布である)。
【0045】
この正規化は、考察中の3D画像のサイズ(すなわち、ボクセルの数)によって影響されないようにすることを可能にする。異なる3D画像に対して得られた品質指標は、画像が異なるサイズのものであっても、お互いに容易に比較することができる。
【0046】
別の実施態様では、推定方法は、ガウス関数を特徴付けるパラメータを正規化するステップをさらに含み、画像の前記少なくとも1つの品質指標は、ガウス関数を特徴付ける正規化されたパラメータから推定される。
【0047】
これにより、0から1の範囲にある品質指標が生成され、それは解釈が容易である。
【0048】
特定の実施態様では、推定方法の様々なステップは、コンピュータプログラム命令によって決定される。
【0049】
結果として、本発明はまた、データ媒体上のコンピュータプログラムを提供し、そのプログラムは推定装置において、またはより一般的にはコンピュータにおいて実行されるのに適しており、プログラムは上記の推定方法のステップを実行するように構成された命令を含む。
【0050】
プログラムは、任意のプログラミング言語を使用することができ、ソースコード、オブジェクトコード、もしくは部分的にコンパイルされた形式などの、ソースコードとオブジェクトコードとの間の中間コードの形式、または任意のその他の望ましい形式であってもよい。
【0051】
本発明はまた、上記のようなコンピュータプログラムの命令を含むコンピュータ可読データ媒体を提供する。
【0052】
データ媒体は、プログラムを格納することができる任意のエンティティまたは装置であってもよい。例えば、媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、例えばコンパクトディスク(CD)ROMもしくはマイクロ電子回路ROM、または実際には磁気記録手段、例えばフロッピーディスクもしくはハードディスク、などの記憶手段を含むことができる。
【0053】
さらに、データ媒体は、電気もしくは光ケーブルを介して、無線によって、または他の手段によって搬送されるのに適している、電気または光信号などの伝送可能媒体であってもよい。本発明のプログラムは、特に、インターネットタイプのネットワークからダウンロードされてもよい。
【0054】
あるいは、データ媒体は、回路が、問題の方法を実行するかまたは実行に使用されるように構成された、プログラムが組み込まれた集積回路であってもよい。
【0055】
他の実施態様では、本発明の推定方法および装置が、上記の特性のすべてまたは一部を組み合わせて存在することを想定することもできる。
【0056】
本発明の他の特徴および利点は、限定するものではない実施態様を示す添付の図面を参照してなされる以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、その環境において、複合材料部品2の3次元画像im3Dの少なくとも1つの品質指標を推定するための、本発明の特定の実施形態を構成する推定装置1を示す図である。
【0059】
本明細書に記載の部品は、炭素マトリックス(樹脂)で充満された炭素繊維によって構成されている複合材料で作られた航空機のファンブレードである。
【0060】
とはいえ、この例は純粋に説明のために与えられるものであり、考察中の部品のタイプまたはその部品が作られる複合材料であっても何ら制限に関連付けられるものではない。したがって本発明はあらゆるタイプの織った、編んだまたは実際に縫製された繊維強化材の複合材料に適用可能であり、特に、排他的ではないが航空産業および航空機部品の組立ての分野に多数の応用が見出される。さらに、考察中の3D画像は、部品2を全体として、または単にそのサンプルとして同等に表してもよい。
【0061】
本明細書に記載の例において、画像im3Dはコンピュータ断層撮影によって取得されたグレースケール符号化された3D画像である。上述のように、コンピュータ断層撮影は、3次元空間の異なる平面での部品の一連の「写真」または放射線写真を得るように部品を通り抜けるビームを放射するためにX線発生器を使用することに本質が存する、知られているデジタル撮像技術である。中間画像または実際は投影とも呼ばれるこれらの写真または放射線写真は、グレースケール符号化された3D画像の形式の部品の3次元のボリュームを再構築するために引き続き処理され結合される。
【0062】
画像im3Dのボクセルのグレースケールレベルは、そのボクセルにおける複合材料部品2の材料の密度に比例する。部品2の複合材料を構成する樹脂および炭素繊維は同じ密度ではないので、そのためそれらは理論的に画像im3D内で異なるグレースケールレベルで現れるはずである。
【0063】
一般に、所定の数K個の材料相は、Kが2以上の整数である場合に、3次元画像im3Dにおいて区別され得ると仮定される。本明細書に記載の例において、簡単化の目的でK=2が仮定される。
【0064】
X線断層撮影技術を使用する場合、いわゆる「低周波」アーチファクトが再構築後に取得された3D画像に存在することがあり、これらのアーチファクトは同一の材料(例えば、樹脂または繊維)を表すグレースケールレベルにおいてドリフトを生じさせるので画像の解析を妨げ得る、ということに留意すべきである。したがって、例として樹脂のグレースケールレベルの平均値は、そのようなアーチファクトが存在するので画像全体にわたって一定である必要はない。
【0065】
これらのアーチファクトの影響を制限するために、3D画像に対して様々な種類の処理が適用され得る。
【0066】
第1のアプローチは、サイズが小さくかつこれらのアーチファクトが影響を与えない部品2の場所に位置する3D画像のサンプルを選択することであり得る。
【0067】
第2のアプローチは、所与の材料に対するグレースケールレベルでのドリフトを検出し、かつ従来の修正技術を使用してそれを修正することであり得る。その結果得られる修正された画像において、次に任意のサイズおよび場所の部品2のサンプルが選択されてもよい。
【0068】
以下の記載では、画像im3Dは、部品2の3D画像であるかまたは、上述の低周波アーチファクトの影響が、おそらく例えば上記で提案された一方または他方のアプローチを使用して3D画像への処置を適用した結果として無視できると考えられ得る、その部品2の適切に選択されたサンプルである。結果として、考察中の画像im3Dの品質は本質的に、実質的にガウス分布であるランダムノイズによって影響を受ける。
【0069】
1つの変形では、複合材料部品2のグレースケール符号化3D画像を取得するために他の技術、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)の技術を使用することを考えることが可能である。
【0070】
本明細書に記載の実施形態において、推定装置1は、特にプロセッサ3、メモリ4から6(例えば、ROMおよび/またはハードディスク4、ランダムアクセスメモリ(RAM)5、および不揮発性メモリ6)、ならびに通信手段7を含むハードウェアアーキテクチャのコンピュータである。通信手段7は、推定装置1が具体的に3次元画像im3Dを取得することを可能とする、入力/出力手段(例えば、マウス、キーボード、スクリーンなど)および1つまたは複数の様々な種類の通信インタフェース(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、ネットワークカードなど)を特に含む。
【0071】
ROMおよび/またはハードディスク4は、プロセッサ3によって読出し可能で、かつ3次元画像の少なくとも1つの品質指標を推定するための本発明の方法のステップを実行するための命令を含み、その方法のステップが
図2を参照して特定の実施態様で以下に記述されている本発明によるコンピュータプログラムを格納しているデータ媒体を構成する。
【0072】
同等の方法で、コンピュータプログラムは、3D画像からヒストグラムを取得するためのモジュール、ヒストグラムからガウス分布を抽出するためのモジュール、および抽出されたガウス分布を特徴付けるパラメータから品質指標を推定するためのモジュールなどの、推定装置1の機能モジュール(この例ではソフトウェアモジュール)を定義する。これらのモジュールの機能は推定方法のステップを参照してより詳細に記述される。
【0073】
図2を参照して、
図1に示す推定装置1によって実行される特定の実施態様での本発明の推定方法の主要ステップの記述が以下に続く。
【0074】
本明細書に記載の実施形態において、推定装置1は3次元画像im3Dに対する複数の品質指標I1、I2およびI3を推定する。画像はその通信手段7を介して供給される(ステップE10)。
【0075】
1つの変形で、本発明は画像im3Dの一部分だけに適用されてもよい。以下に記述されるすべてのステップは、次に画像im3Dのその部分だけに実行される。
【0076】
画像im3Dを受信すると、推定装置1は画像im3DのヒストグラムHISTを計算する(ステップE20)。
【0077】
ヒストグラムHISTは、複数の(ヒストグラムの横座標軸に沿ってプロットされる)グレースケール階級のそれぞれの階級に対して、(ヒストグラムの縦座標軸上にプロットされる)その階級内にあるグレースケールレベルを有する画像im3Dのボクセル数を与える図式表示である。それは、画像のボクセルの空間的な構成について悩まずに、画像im3Dに含まれる情報を一緒にグループ化するために有利に役立つ。
【0078】
それぞれのグレースケール階級は、1つまたは複数のグレースケールレベルを含む。本明細書に記載の実施態様において、ヒストグラムHISTを構成するために使用される階級の数および階級ごとのグレースケールレベルの数は、画像im3DのダイナミックレンジDYNに依存する。
【0079】
より正確には、この例では、ビットで測って16ビット以下のダイナミックレンジDYNに対して、階級ごとに1つのグレースケールレベルが使用され、言い換えればDYNビットのダイナミックレンジに対しては2
DYN個のグレースケールレベルが使用される。16ビットを超えるダイナミックレンジまたは浮動小数点のダイナミックレンジを有する画像に対しては、ヒストグラムHISTに表される階級の数は2
16=65536階級に制限される。
【0080】
そのため、例として、DYN=32ビットのダイナミックレンジを有する画像に対しては、ヒストグラムHISTはそれぞれ2
16個のグレースケールレベルを有する2
16個の階級を有する。
【0081】
同様に、浮動小数点ダイナミックレンジを有する3D画像に対しては、階級の最大数は2
16に設定され、それぞれの階級に含まれるグレースケールレベルの数は、画像に存在するであろうグレースケールレベルの最小値および最大値を考慮に入れながら自動的に計算される。
【0082】
当然ながら、特に複雑さおよびヒストグラムによって再作成される情報に対して望まれる正確さの間の妥協に応じて、ヒストグラムHISTを構成するために、階級の数および階級ごとのグレースケールレベルの数に関わる他の仮定が考えられてもよい。
【0083】
例として、
図3Aは16ビットのダイナミックレンジを有する複合材料部品の3D断層撮影画像のヒストグラムを示す。
【0084】
本明細書に記載の実施形態において、推定装置1はステップE30において、ステップE20で取得されたヒストグラムHISTを1に正規化する。この(オプションの)正規化は、画像im3D内のボクセルの数に依存しないヒストグラムHISTを作成することを追求するものである。
【0085】
この正規化は、推定装置1により、それぞれのグレースケール階級に対して、ヒストグラムHIST上でマークされているその階級に属するボクセルの数を3D画像内のボクセルの合計数で除算することによって実行される。正規化の後に得られるヒストグラムの縦座標軸は、その結果、確率密度と一致したものとなる。
【0086】
図3Bは
図3Aに示すヒストグラムHISTを正規化した後に得られるヒストグラムを示す。簡単化の目的で、正規化されたヒストグラムもまたHISTと呼ばれる。
【0087】
この正規化のステップがオプションであることに留意すべきである。それは、考察中の3D画像のサイズ(画像のサイズはそのボクセルの数として定義される)に依存しない品質指標を得るように有利に働く。そのような指標は異なるサイズの3D画像をお互いに比較することを容易にする。とはいえ、もし考察中の3D画像がすべて同じサイズであるなら、そのような正規化が役に立たないことが理解され得る。
【0088】
その後、推定装置1はステップE40で、正規化されたヒストグラムHIST(または、もしステップE30が実行されないならば、適宜、正規化されていないヒストグラム)から複数(すなわちK個)のガウス関数を抽出する。
【0089】
本発明は、断層撮影画像im3D内の取得ノイズが本質的にランダムガウスノイズであり、かつその結果、部品2の複合材料の様々な相のグレースケールレベルがガウス分布を有する、という仮定に依拠する。この仮定では、画像im3DのヒストグラムHISTは複数のガウス関数、より正確にはK個のガウス関数の混合に対応し、ここでKは複合材料内の相の数(本明細書の例ではK=2)である。
【0090】
正規化されたヒストグラムHISTに存在するK個のガウス分布を識別するために、本明細書に記載の実施形態の推定装置1は、Dempsterらによる上記で引用の文献に詳細に記述されたような期待値最大化(EM)アルゴリズムに依拠するガウス関数でのデコンボリューション技術を実行する。
【0091】
EMアルゴリズムは、推定装置1がヒストグラムHIST内に存在するK個のガウス分布G
i(i=1,...,K)のそれぞれに対して、その分布を特徴付ける様々なパラメータを決定することを可能にする、すなわち:
・ その平均m
i
・ その標準偏差σ
iまたはその分散σ
i2
・ ヒストグラムHIST内のガウス分布の比率α
i。
【0092】
知られている方法で、EMアルゴリズムは確率論的モデルのパラメータ(すなわち、この例のガウス分布を特徴付ける上述のパラメータ)の尤度を最大化する働きを持ち、かつこの目的のために、それは複数の反復の間、2つのステップを実行することに依拠する:
・ 尤度の期待値がパラメータの最も新しい推定を考慮に入れながら計算される、期待値を評価するステップE。
・ パラメータの最大尤度がステップEにおいて発見された尤度を最大化することによって推定される最大化ステップM。
【0093】
本明細書に記載の実施態様において、これらのステップEおよびMは、より正確には以下のように実行される。
【0094】
まず、EMアルゴリズムはガウス関数のパラメータの「初期の」推定を使用して初期化される。この初期推定は、デフォルトで定義されたかまたは、例えば複合材料部品2に与えられる、知られているデータから得られるパラメータ値(例えば、複合材料内の2つの相の比率)に対応する。
【0095】
その後、実行されるiter≧1であるそれぞれの反復に対して:
ステップE(iter)の間に:
【0096】
1) ヒストグラムから抽出されるべきK個のガウス関数のそれぞれに対して、反復iter−1で決定されたパラメータを使用して(またはiter=1に対するパラメータの初期推定から開始して)、μ
k(k=1,...,K)と書かれている「責任度」と呼ばれる量が、ヒストグラムHIST(代表的なxによって表され、xは例えば、階級がただ1つのグレースケールレベルしか有さない場合は階級に関連するグレースケールレベルであり、またはxは、階級が複数のグレースケールレベルをカバーしている場合は階級のグレースケールレベルの重量の中心(重心)である)のそれぞれのグレースケールレベル階級に対して評価され、これらの責任度が以下の数式で定義される:
【数1】
ここでD
jは反復iter−1で推定されたその分散およびその標準偏差に基づいて定義される、すなわち以下の数式であるガウス関数を示す:
【数2】
【0097】
2) 尤度期待値LEは次に以下の数式で与えられる:
【数3】
ここでNはヒストグラムHISTの階級の数(または、ヒストグラムのそれぞれの階級が1つのグレースケールレベルしか含まない場合はグレースケールレベルの数)を示し、x
iはヒストグラムHISTの階級iの代表(i=1,...,N)であり、HIST(x
i)は階級iに対するヒストグラムの値であり、KはヒストグラムHISTから抽出されたガウス関数の数である。
【0098】
− ステップM(iter)の間に: 推定装置1は、ガウス関数のパラメータに関係する尤度期待値LE(または、同等な方法で、簡単化の目的のために、尤度期待値LEの対数)を最大化する。K個のガウス関数のパラメータ(平均および標準偏差)に対する尤度期待値LEの対数の偏微分を計算しおよびゼロに設定することによって、推定装置1がK個のガウス関数の平均、標準偏差および比率に対する次の値を計算することになる:
【数4】
【数5】
【数6】
ここでk=1,...,Kである。
【0099】
これらのステップEおよびMは、所定の停止規準が満足されるまで反復される。尤度LEはこうしてそれぞれの反復ごとに増加する。
【0100】
本明細書に記載の実施形態において、推定装置1は、2つの連続した反復iterおよびiter+1の間にEMアルゴリズムを使用して推定されたガウス関数のパラメータ間の差の絶対値(k=1,...,Kに対する
【数7】
および
【数8】
)の和が所定の閾値ε、ε≧0(例えばε=10
−3)、よりも小さいことを検出すると反復を停止する。言い換えれば、推定装置1によって採用されている停止規準に依存して、EMアルゴリズムの実行は、K個のガウス関数を特徴付けるパラメータの推定の値が、2つの連続した反復の間に少ししか変化しないかまたはまったく変化しない場合は停止される。
【0101】
当然ながら、EMアルゴリズムを停止するための他の規準が、上述の規準の変形または追加で考えられても良く、例えば、反復の何らかの最大数に到達すること、および/または、ヒストグラムHISTと所定の閾値ε≧0(例えば実験的に定義され、例えばε=10
−3)でEMアルゴリズムにより推定されたパラメータによって特徴付けられたガウス関数の和との間の誤差を比較すること、などである。
【0102】
EMアルゴリズムは確率論的モデルのパラメータを推定するための非常に有効なアルゴリズムであるが、それはステップMの間に全体(大域的)最大に常に収束するとは限らないアルゴリズムである、ということに留意すべきである。この状況は特に、ヒストグラム中で探しているK個のガウス関数を識別することが不可能またはほとんど不可能という場合に発生する。その結果一般には、非常に遅い収束となり、それはEMアルゴリズムの反復の回数を反復の最大許可数(例えば、1000、2000またはさらに10,000)と比較することによって検出され得る。
【0103】
図3Cは、EMアルゴリズムを適用することによってヒストグラムHISTから抽出された2つのガウス分布G1およびG2を示す。
【0104】
ガウス分布G1はヒストグラムHISTにおいて、平均m
1=22000、標準偏差σ
1=4002および比率α
1=40%によって特徴付けられる。ガウス分布G2はヒストグラムHISTにおいて、平均m
2=25997、標準偏差σ
2=2001および比率α
2=60%によって特徴付けられる。
【0105】
2つのガウス関数G1およびG2の和は、曲線Σによって
図3Cに示される。見られるように、この和とヒストグラムHISTとの間には非常に良好な一致が存在している。
【0106】
本明細書に記載の実施形態において、EMアルゴリズムが、ヒストグラムHISTから抽出されたそれぞれのガウス関数に対して、そのヒストグラム内の平均、標準偏差および比率を推定する役割を担っていることに留意すべきである。1つの変形では、EMアルゴリズムはヒストグラムHIST内に存在するそれぞれのガウス関数を特徴付けるこれらのパラメータのいくつかのみを推定するために使用されてもよく、一方でその他のパラメータは推定装置1に提供される。特に、ガウス関数の平均および比率は部品2が作られる複合材料に依存するので、それらは例えば設計室から推定装置1に供給され得る。それと対照的に、それぞれのガウス関数の標準偏差は画像im3Dの取得ノイズに直接依存しており、好ましくは、本明細書に記載の実施形態におけるEMアルゴリズムを使用することによってガウス関数のデコンボリューションの間に推定される。
【0107】
さらに、本明細書に記載の実施形態において、推定装置1はヒストグラムからK個のガウス関数を抽出するためにEMアルゴリズムを使用する。1つの変形では、ヒストグラムからガウス関数を抽出しそれらのパラメータを決定するために他の方法が使用されてもよく、例えば、マルコフ連鎖に基づいたモンテカルロ法、モーメント一致法、スペクトルもしくはグラフ法、または実際のシミュレーションなどである。
【0108】
本明細書に記載の実施形態において、画像のダイナミックレンジでの変化(例えば、8ビット、16ビットなど)に際してもロバスト性のある品質指標を提案するために、ステップE40の間に抽出されたガウス関数のパラメータのいくつかは、その抽出されたガウス関数の範囲(台)が0から1の分布範囲内のままであるように推定装置1によって正規化される(ステップE50)。
【0109】
ガウス関数の範囲は無限であるが、理論的な観点からは、ガウス関数の99%を超える信号がその平均とその標準偏差のプラスまたはマイナス3倍との間に収まることに留意すべきである。本発明者らはしたがってガウス関数の和の範囲は大部分がその最小限界:
Imin=min(m
1−3σ
1,m
2−3σ
2,...,m
K−3σ
K)
およびその最大限界:
Imax=max(m
1+3σ
1,m
2+3σ
2,...,m
K+3σ
K)
で定義される区間内に収まると有利には考えた。
【0110】
したがって、ステップE50の間に、推定装置1はヒストグラムHISTから抽出されたガウス関数G
iの平均および標準偏差を以下のように正規化する:
【数9】
ここでi=1,...,Kである。
【0111】
ヒストグラム内のガウス関数のそれぞれの比率は当然そのような正規化に関係しないしその影響を受けない。
【0112】
図3Dは、正規化後の
図3Cのガウス関数G
1およびG
2ならびに和Σを示す。ここで横座標軸は0から1までの正規化されたダイナミックレンジに対応する。
【0113】
本発明により、推定装置1は次に、画像im3Dの1つまたは複数の品質指標を推定する(ステップE60)ためにヒストグラムHISTから抽出されたガウス関数G
i(i=1,...,K)の正規化されたパラメータを使用する。
【0114】
本明細書に記載の実施形態において、複数の品質指標はガウス関数の正規化された平均および標準偏差に基づいて、推定装置1によって推定される。
【0115】
より具体的には、本明細書に記載の実施形態において、推定装置1によって推定される第1の指標I1は、部品2の複合材料の相間のコントラストの概念に依拠する。
【0116】
この第1の指標を定義するために、本発明者らは、もしヒストグラムHIST内に存在するすべてのガウス関数がお互いによく分離されていたならば(すなわち、もしガウス関数の範囲の間に交差がなかったならば)、部品2の複合材料の構成要素または相の間の区別をすることは取るに足らないことであると考えた。言い換えれば、画像im3Dは、良好な品質でありかつ1に近い品質指標に対応すると考え得るであろうということである。逆に、もしガウス関数が合致するならば、それは複合材料の異なる相の間にほぼコントラストが存在しない(そのときは、相およびそのためにガウス関数を、分離することが不可能であるかまたはほぼ不可能である)ということ、言い換えれば、画像im3Dが悪い品質であり、0に近い指標に対応するであろうということを意味する。
【0117】
この所見に基づいて、指標I1は、推定装置1により以下の一連のステップを実行することによって推定される。
【0118】
ヒストグラムHISTから抽出されたガウス関数G
i(i=1,...,K)は初めに推定装置1により増加していくそれらの平均値によって分類される。簡単化の目的で、同じ表記が分類された後のガウス関数に対して使用され、言い換えれば、ガウス関数G
i(i=1,...,K)はm
1≦m
2≦...≦m
Kであるようにされている。
【0119】
その後、連続するガウス関数(G
i,G
i+1)の各対に対して、それが因子z
iを以下のように決定する:
z
i=m
i−m
i+1+ω(σ
i+σ
i+1)
ここで、ωは所定の定数を示す。例えばω=1である。
【0120】
この因子z
iに基づいて、推定装置1は、範囲0から1で限定される(すなわち、値が0と1との間にある)関数fを使用して、ガウス関数の各対(G
i,G
i+1)に対する品質指標I1(i)を得る。本明細書に記載の実施形態において、品質指標I1(i)を決定するために使用される関数fはシグモイド関数である。言い換えれば、推定装置1は、それぞれの指標I1(i)を以下のように評価する:
【数10】
ここで、λは所定の負の数である。
【0121】
1つの変形で、例えば、双曲線正接関数に基づく関数fなど、範囲0から1で限定される他の関数fが、品質指標I1(i)を定義するために考慮されてもよい。
【0122】
その後、推定装置1は品質指標I1(i)の平均を計算し、その結果指標I1を得る。本明細書に記載の例のようにK=2に対して、ただ1対のガウス関数がヒストグラムHIST内で識別され、それによって推定装置1はf(z
1)を計算することによって品質指標I1を直接得ることに留意されたい。
【0123】
本明細書に記載の実施形態において、推定装置1はまた、ステップE60で画像im3Dに対する第2の品質指標I2を推定する。この第2の品質指標I2は、ヒストグラムHISTから抽出されたガウス関数G
i(i=1,...,K)の間のオーバーラップを定量化する。
【0124】
具体的には、本発明者らは、この第2の品質指標を定義するためには、ガウス関数によって占有されている全領域と比較したガウス関数間のオーバーラップの領域が小さいほど、ガウス関数の分離がより大きく、かつ画像の品質がより良好である(1に近い指標I2に対応する)、と考える。逆に、より大きいオーバーラップ領域を有するガウス関数は、0に近い指標I2が割り振られるべき悪い品質の画像を表すことが予想され得る。
【0125】
指標I2を推定するために、推定装置1はこのように、ガウス関数の間に存在するオーバーラップゾーンの外側のヒストグラムHISTから抽出されたガウス関数により占有されている領域を評価する。表示のために、
図3Dは、
図3Bの正規化されたヒストグラムHISTから抽出されたガウス関数G
1とG
2との間のオーバーラップゾーンRを示す。
【0126】
より正確には、それは以下の数式を使用して指標I2を推定する:
【数11】
ここで:
【数12】
である。
【0127】
本明細書で想定されている例ではK=2であり、以下の数式が与えられる:
【数13】
【0128】
本明細書に記載の実施形態において、指標I1およびI2は、画像im3Dの品質が良好な場合は1に向かう傾向であり、逆に画像im3Dの品質が悪い場合には0に向かう傾向である、というような方法で選択される、ということに留意すべきである。とはいえ、何らかの他の規則が、その意味がこれらの品質指標を利用しようとする操作者に知られているという前提で、考慮されることは当然可能である。
【0129】
最終的に、本明細書に記載の実施形態において、推定装置1はまた、ヒストグラムHISTから抽出されたK個のガウス関数G
i(i=1,...,K)に対してそれぞれ定義された、画像im3DのK個の品質指標I3(G
i)を推定し、ここでそれぞれの品質指標I3(G
i)は、ガウス関数の平均m
iと標準偏差σ
iとの間の比として定義される。言い換えれば、それぞれの品質指標I3(G
i)は、信号対雑音比を定義する。
【数14】
【0130】
ガウス関数デコンボリューションのステップE40の結果として、部品2の複合材料のそれぞれの相に対する信号対雑音比を計算することが可能である。ヒストグラムHISTから抽出されたそれぞれのガウス関数は、もしも信号対雑音比が5より大きいならば画像の品質が良好である(およびより正確には、画像内の特性が100%の信頼度で区別可能である)、と主張することを本質としたローズ規準を適用することができる。
【0131】
その後、画像im3Dの品質指標I1、I2およびI3(G
i)(i=1,...,K)は次に推定装置1によってこれらの指標を使用かつ/もしくは処理するのに適したエンティティに供給され、またはそれらは後で使用するためにその不揮発性メモリ6に記憶され、または実際にそれらはユーザ、例えば推定装置1の画面7上に表示される。
【0132】
指標I1、I2およびI3はすべて、採用された規則(指標I1およびI2は、3D画像の品質が良好な場合は1に近く、そうでない場合には0に近い)の結果として同じ方向に変化するが、それらはヒストグラムから抽出されたガウス関数のパラメータに応じて全く同じに変化するわけではない、ということに留意すべきである。
【0133】
説明のため、
図4A−
図4Fは、ガウス関数に対する異なる構成を、結果としての指標I1およびI2と共に示す。より正確には:
・
図4Aは、以下の推定されたパラメータを有するヒストグラムHISTから抽出された2つのガウス関数G1およびG2を示す:
・ ガウス関数G1に対して:m
1=8000、σ
1=4000、α
1=40%。
・ ガウス関数G2に対して:m
2=26000、σ
2=2000、α
2=60%。
この結果として、品質指標I1=0.903、I2=0.995となる。
【0134】
・
図4Bは、以下の推定されたパラメータを有するヒストグラムHISTから抽出された2つのガウス関数G1およびG2を示す:
・ ガウス関数G1に対して:m
1=14000、σ
1=4000、α
1=40%。
・ ガウス関数G2に対して:m
2=26000、σ
2=2000、α
2=60%。
この結果として、品質指標I1=0.792、I2=0.959となる。
【0135】
・
図4Cは、以下の推定されたパラメータを有するヒストグラムHISTから抽出された2つのガウス関数G1およびG2を示す:
・ ガウス関数G1に対して:m
1=23000、σ
1=4000、α
1=40%。
・ ガウス関数G2に対して:m
2=26000、σ
2=2000、α
2=60%。
この結果として、品質指標I1=0.302、I2=0.529となる。
【0136】
言い換えれば、ガウス関数G1の平均をガウス関数G2の平均に向かってシフトすることは、指標I1およびI2の両方においてかなりの低減となるが、指標I1が指標I2よりも減少するということにつながる。
【0137】
同様の方法で:
・
図4Dは、以下の推定されたパラメータを有するヒストグラムHISTから抽出された2つのガウス関数G1およびG2を示す:
・ ガウス関数G1に対して:m
1=23000、σ
1=500、α
1=40%。
・ ガウス関数G2に対して:m
2=26000、σ
2=2000、α
2=60%。
この結果として、品質指標I1=0.569、I2=0.808となる。
【0138】
・
図4Eは、以下の推定されたパラメータを有するヒストグラムHISTから抽出された2つのガウス関数G1およびG2を示す:
・ ガウス関数G1に対して:m
1=23000、σ
1=1000、α
1=40%。
・ ガウス関数G2に対して:m
2=26000、σ
2=2000、α
2=60%。
この結果として、品質指標I1=0.500、I2=0.686となる。
【0139】
・
図4Fは、以下の推定されたパラメータを有するヒストグラムHISTから抽出された2つのガウス関数G1およびG2を示す:
・ ガウス関数G1に対して:m
1=23000、σ
1=1500、α
1=40%。
・ ガウス関数G2に対して:m
2=26000、σ
2=2000、α
2=60%。
この結果として、品質指標I1=0.438、I2=0.608となる。
【0140】
言い換えれば、ガウス関数G1の標準偏差の増加は、指標I1およびI2の両方の減少となるが、とはいえ指標I2が指標I1よりも減少するということにつながる。
【0141】
このようにこれらの指標の中からの1つまたは複数の指標の選択は、好ましくは意図された用途に応じて管理されることが必要である。
【0142】
したがって、本発明は、複合材料の一部分(すなわち部品)の、断層撮影画像などのグレースケール符号化された3D画像の品質を自動的に測定することを可能にする方法を提案する。これらの品質指標は様々な方法で使用され得る。この、特に上記で詳細に記述された様々な品質指標によって利用可能となる測定は、多数の利点のある特徴を提供する。このように、それは反復可能であり、それにより画像の品質を検証するためまたは画像をお互いに比較するための客観的なツールを提供し、それは正確で、ノイズに対してロバストで、高速で(1つの画像を処理するために数秒しか必要ない)、正規化されておりかつ解釈が容易であり、それは抽出されるべきガウス関数の数以外のパラメータを全く必要とせず、基準画像に依存しない。
【0143】
本発明により得られる品質指標は、機器の調査および生産ライン中の部品の調査の両方のために様々な方法で使用され得る。例えば、それらは、3D画像を取得および再構成するため、3D画像をお互いに比較するため、または実際に生産ラインの3D画像取得機器でのあり得るドリフト(例えば、特に断層撮影機器の経年に伴う、断層撮影のために使用される検出器またはX線管でのドリフト)を検出するためなどに、パラメータを最適化するために使用されてもよい。これらの用途は、本発明により推定される1つまたは複数の品質指標に依拠してもよい。