特許第6596451号(P6596451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596451
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】菓子用食品収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/72 20060101AFI20191010BHJP
   B65D 85/36 20060101ALI20191010BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B65D85/72
   B65D85/36 300
   B65D83/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-5767(P2017-5767)
(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公開番号】特開2018-114993(P2018-114993A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2018年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】516374705
【氏名又は名称】株式会社勝原白貫堂
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝原 毅
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−145387(JP,U)
【文献】 実開昭49−131393(JP,U)
【文献】 特開2000−190974(JP,A)
【文献】 実開昭57−186380(JP,U)
【文献】 実開昭49−136886(JP,U)
【文献】 特開2015−168445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/72
B65D 83/00
B65D 85/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子を収納可能な合成樹脂製の菓子用食品収納容器であって、
横長の長方形状の底壁部と、該底壁部の両方の横端部から立設される横側壁部と、該底壁部の両方の縦端部から立設される縦側壁部とを有し、上部が開口した合成樹脂製の収納ボックスと、
上記収納ボックスの該底壁部の内面上側に配置されて菓子を載置可能であって、長方形状の合成樹脂製の載置板部と、該載置板部の相対する2つの縦端部から、上記収納ボックスの該縦側壁部に沿って立設される縦板部とを有し、該載置板部の相対する2つの両横側が開放され、上部が開口した合成樹脂製の食品載置部材とを備え
上記収納ボックスの該横側壁部の両方の上端に、外側に飛び出て設けられた横フランジ部を備え、
上記食品載置部材の該縦板部の両方の上端に、上記収納ボックスの該縦側壁部の上端よりも外側に飛び出て設けられた縦フランジ部を備え、
上記収納ボックス内に上記食品載置部材を収納した状態において、上記収納ボックスの両方の該横フランジ部と上記食品載置部材の両方の縦フランジ部とが、同じ高さになって、上記収納ボックスの開口した該上部を囲んで設けられ、
上記収納ボックスの該縦側壁部の両方の上端部には、該縦側壁部の外側から、上記食品載置部材の該縦板部の外面を把持可能にする貫通部が設けられていることを特徴とする菓子用食品収納容器。
【請求項2】
請求項1において、
取り囲んだ該横フランジ部と該縦フランジ部との上面に跨って、食品を保護する保護フィルムが取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする菓子用食品収納容器。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記食品載置部材の板厚が、上記収納ボックスと比較して厚みを有するよう構成されていることを特徴とする菓子用食品収納容器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、
上記食品載置部材の該縦板部が、上記収納ボックスの該縦側壁部の内側に沿って配置される矩形状からなることを特徴とする菓子用食品収納容器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、
上記食品載置部材の上記載置板部には、複数の孔が設けられていることを特徴とする菓子用食品収納容器。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つにおいて、
上記貫通部が、上記収納ボックスの該縦側壁部の両方の上端部を下方に凹ませて形成された凹部を備えることを特徴とする菓子用食品収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の菓子用食品収納容器、特に、水羊羹、心太、寒天、淡雪、ケーキ等のソフト菓子等の食品を入れて、製造、流通、販売する際などに用いられる菓子用食品収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水羊羹、心太、寒天、淡雪、ケーキ等のソフト菓子等の食品が容器内に収納され、食品が外部からの衝撃等によって破損してしまわないように保護して保管したり、流通させる合成樹脂製の容器が知られている。この場合、容器が硬質プラスチック等からなる場合には、製造、流通、販売時等の取扱い性に優れると共に収納された食品の変形を防止し得るという利点を奏するものの、容器内で凝固した食品が容器内面に付着するため、購入者が食する際に取り出しにくいという不具合があった。
【0003】
このような不具合を解消するべく、容器に適度な可撓性を持たせて食品を容易に取り出せるようにしてもよいが、その場合、製造、流通、販売時等の取扱い性が劣ると共に、容器が変形して内容物である食品が変形する虞れが生じる。
【0004】
また、例えば、特許文献1には、底面部と側面部と上部フランジ部からなり、上部が開口している容器であって、底面部に切り込み部を設けて、切り込み部始点を支点として上方に回動して、指で内容物を上方に移動できるようにした合成樹脂製のケーキ収納容器が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、水種菓子用の容器であって、上面開口部の周縁に外向突縁を有する水種菓子容器と、外周縁を外向突縁に熱融着又は高周波溶着して水種菓子容器を密封するフィルム状蓋材と、水種菓子容器の外側に取り外し自在に装着される断熱性を有する取扱枠とからなる水種菓子包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−298451号公報
【特許文献2】特開2003−250452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の特許文献1のものでは、切り込み部始点を支点として底面部を指で上方に回動して、ケーキの一部をケーキ収納容器から飛び出させ、ケーキの飛び出た部分を直接把持して、ケーキを取り出すので、指を当てた部分に指の後が付く虞があり、食品が柔らかい場合には、ケーキ全体を持ち上げてケーキ収納容器から取り出すことが難しい。
【0008】
また、特許文献2では、購入者が食する際には、取扱枠から水種菓子容器を持ち上げて取り出し、そして、水種菓子容器を逆さにして、水種菓子を水種菓子容器から取り出すようになっている。そのために、菓子容器を逆さまにして菓子をとり出すので、菓子容器の内壁に菓子が付着しているとうまく取り出すことができない。また、菓子の表裏が逆になるので、表面の意匠がつぶれて食品価値が悪くなる虞があり、表裏が決まっている菓子などでは、取り出した後で再度裏返す必要があり、食品の形状が崩れる虞がある。
【0009】
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、製造、流通、販売時等の取扱い性に優れると共に、容器内の菓子等の食品を購入者が食する際、食品を容易に取り出すことができる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、収納ボックスの内側に、長方形状の載置面部の相対する2つの縦端部に縦板部が立設され、該載置面部の相対する2つの両横側が開放された食品載置部材を設けて、この食品載置部材を収納ボックスに対し持ち上げることで、食品を収納ボックスから取り外すことができ、且つ食品載置部材の一方の横側から食品を取り外すことができるようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明では、菓子を収納可能な合成樹脂製の菓子用食品収納容器であって、
横長の長方形状の底壁部と、該底壁部の両方の横端部から立設される横側壁部と、該底壁部の両方の縦端部から立設される縦側壁部とを有し、上部が開口した合成樹脂製の収納ボックスと、
上記収納ボックスの該底壁部の内面上側に配置されて菓子を載置可能であって、長方形状の合成樹脂製の載置板部と、該載置板部の相対する2つの縦端部から、上記収納ボックスの該縦側壁部に沿って立設される縦板部とを有し、該載置板部の相対する2つの両横側が開放され、上部が開口した合成樹脂製の食品載置部材とを備え
上記収納ボックスの該横側壁部の両方の上端に、外側に飛び出て設けられた横フランジ部を備え、
上記食品載置部材の該縦板部の両方の上端に、上記収納ボックスの該縦側壁部の上端よりも外側に飛び出て設けられた縦フランジ部を備え、
上記収納ボックス内に上記食品載置部材を収納した状態において、上記収納ボックスの両方の該横フランジ部と上記食品載置部材の両方の縦フランジ部とが、同じ高さになって、上記収納ボックスの開口した該上部を囲んで設けられ、
上記収納ボックスの該縦側壁部の両方の上端部には、該縦側壁部の外側から、上記食品載置部材の該縦板部の外面を把持可能にする貫通部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
取り囲んだ該横フランジ部と該縦フランジ部との上面に跨って、食品を保護する保護フィルムが取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、
上記食品載置部材の板厚が、上記収納ボックスと比較して厚みを有するよう構成されていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、第1ないし3の発明のいずれか1つにおいて、
上記食品載置部材の該縦板部が、上記収納ボックスの該縦側壁部の内側に沿って配置される矩形状からなることを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第1ないし4の発明のいずれか1つにおいて、
上記食品載置部材の上記載置板部には、複数の孔が設けられていることを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、第1ないし5の発明のいずれか1つにおいて
記貫通部が、上記収納ボックスの該縦側壁部の両方の上端部を下方に凹ませて形成された凹部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によると、食品が食品載置部材に載置されているので、食品載置部材の縦フランジ部を持ち上げることで、食品が泡雪やティラミス、ケーキ等のように柔らかい食品であっても、食品の形状を変形させたり壊すことなく、食品載置部材とその上の食品を収納ボックスから簡単に取り出すことができる。また、食品載置部材の両横側が開放されているので、食品載置部から食品を取り外す場合でも、食品の形状を壊すことなく、食品を両横側の開放空間から取り外すことができる。
【0018】
食品載置部材上の食品が予め複数の食品片に切り分けられていない場合であっては、食品載置部材の両横側の開放空間からナイフなどで、簡単に複数の食品片に切り分けることができる。なお、食品が予め複数の食品片に切り分けられている場合では、食品載置部材とその上の食品片を壊すことなく取り出すことができる。
【0019】
また、両方の該横フランジ部と両方の縦フランジ部とで、上記収納ボックスの上部を囲んでおり、収納ボックスが高い剛性を有して変形し難い構造となる。そのため、収納ボックスを運送中などでも、収納ボックスが壊れたり変形することが効果的に防止できる。
【0020】
さらに、上記収納ボックスの両方の該横フランジ部と上記食品載置部材の両方の縦フランジ部との上面に、保護フィルムなどを貼り付けることで、内部の食品を簡単に保護できる。なお、保護フィルムは、簡単に剥がすことできるようにしておくことで、収納ボックスから食品載置部材を持ち上げる際には、フィルムを剥がしてからでもよく、また、フィルム毎食品載置部材を持ち上げても、フィルムは簡単に収納ボックスから剥がれる。
【0021】
それに加えて、貫通部に人差し指を入れて、人差し指の先端を食品載置部材の縦板部の外面に当接させて、互いの人差し指が近づく方向に力を入れることで、しっかりと食品載置部材を保持でき、楽に持ち上げることができる。
【0022】
第2の発明によると、内部の菓子を簡単に保護できるとともに、食品載置部材を持ち上げることにより、保護フィルムを収納ボックスから簡単に剥がすことができる。
【0023】
第3の発明によると、食品載置部材の剛性が高くなって当該食品載置部材が変形することによる菓子の型崩れを防ぐことができる。
【0024】
第4の発明によると、食品載置部材を収納ボックスに対して上方に持ち上げるときに、食品載置部材の該縦板部が収納ボックスの縦側壁部の内側に沿った矩形状であるので、傾くこと無く真上に引き上げることができ、食品載置部材上の食品が収納ボックスに接触して形崩れすることを防止できる。
【0025】
第5の発明によると、食品載置部材の載置板部に複数の孔が設けられているので、樹脂使用量の削減、軽量化を図れる。また、食品中の水分の落下、食品を凍らせたときの水滴や食品が溶けた際の水分の逃がし空間として、孔を活用できる
【0026】
第6の発明によると、貫通部が凹部を備えるので、凹部に人差し指を入れて食品載置部材を容易に確実に持ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の参考実施形態に係わる菓子用食品収納容器を、食品を収納した状態で示す斜視図である。
図2図2は、図1菓子用食品収納容器の収納ボックスを示す斜視図である。
図3図3は、図1菓子用食品収納容器の食品載置部材を示す斜視図である。
図4図4は、図1菓子用食品収納容器にフィルムを被せた状態を示す斜視図である。
図5図5は、図4の状態から、食品を載置した状態で食品載置部材を収納ボックスから取り出した状態を示す斜視図である。
図6図6は、図4の食品収納容器をVI−VI線で切断したときの断面斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係わり、収納ボックスを示す斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係わり、食品を載置した状態で食品載置部材を収納ボックスから取り出す状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0029】
参考実施形態)
図1は本発明の参考実施形態に係る菓子用食品収納容器1を示し、この菓子用食品収納容器1は例えば水羊羹、心太、寒天、淡雪、ケーキ等のソフトな水種菓子等の食品Sを収納可能な合成樹脂製の菓子用食品収納容器である。菓子用食品収納容器1は、略直方体型の箱状である収納ボックス10と、収納ボックス10内に収納可能な断面略コ字状の食品載置部材20とを備える。図2に示すように、収納ボックス10は、例えばPMMA(アクリル樹脂)からなり、横長の長方形状の板状の底壁部11と、該底壁部11の両方の縦端部から立設される略矩形状の板状の縦側壁部12,12と、該底壁部11の両方の横端部から立設される略長方形状の板状の横側壁部13,13とを有し、上部が開口した矩形箱形状である。
【0030】
図3に示すように、食品載置部材20は、例えばPMMA(アクリル樹脂)からなり、収納ボックス10の底壁部11とほぼ同じ大きさで、底壁部11の内面上側に配置されて食品を載置可能な略長方形状の板状の合成樹脂製の載置板部21と、収納ボックス10の縦側壁部12とほぼ同じ大きさで略矩形状であって、該載置板部21の相対する2つの縦端部から、上記収納ボックス10の該縦側壁部12,12に沿って立設される板状の縦板部22、22とを有し、該載置板部21の相対する2つの両横側が開放され、上部が開口した断面略コ字状の板材からなる。
【0031】
食品載置部材20の縦板部22が収納ボックス10の縦側壁部12の内側に沿った矩形状で、ほぼ同じ大きさとなっていることによって、食品載置部材20を収納ボックス10に対して上方に持ち上げるときに、傾くこと無く真上に引き上げることができ、食品載置部材20上の食品Sが収納ボックス10に接触して形崩れすることを防止できる。
【0032】
食品Sを載置する食品載置部材20が、収納ボックス10に比較して厚い厚さになっており、食品載置部材20の載置板部21及び縦板部22は、厚さ2.5mm程度に一体成形されている。また、収納ボックス10の底壁部11、縦側壁部12及び横側壁部13は、厚さ1.2mm程度の薄肉状に一体成形されている。
【0033】
図2に示すように、収納ボックス10はその横側壁部13,13の上端に、外側に飛び出て設けられた横フランジ部15,15を備えている。一方、図3に示すように、食品載置部材20はその縦板部22,22の両方の上端に、外側に飛び出て設けられ、且つ収納ボックス10の縦側壁部12の上端よりも外側に飛び出て設けられた縦フランジ部25、25を備える。
【0034】
収納ボックス10内に食品載置部材20が収納されたときに、収納ボックス10の横フランジ部15と食品載置部材20の縦フランジ部25とは両者によって、収納ボックス10の上部及び食品載置部材20の上部の周囲を取り囲んでいる。収納ボックス10に横フランジ部15を設けることで、収納ボックス10の剛性を高めることに寄与できている。これによって、輸送中等でも、収納ボックス10が変形したり、破損しにくいようになっている。同様に食品載置部材20に縦フランジ部25を設けることで、輸送中等でも、収納ボックス10が変形したり、破損しにくいようになっている。
【0035】
また、詳細は後で説明するが、縦フランジ部25は、収納ボックス10に対して食品載置部材20を持ち上げるときに人差し指等を引っかける部分としての役割を果たしている。
【0036】
さらに、収納ボックス10の横フランジ部15と食品載置部材20の縦フランジ部25とが収納ボックス10の上部及び食品載置部材20の上部の周囲を取り囲むように並んでいる、即ち、一体のフランジ部に見えるように横フランジ部15と縦フランジ部25とが接近しているので、輸送中等でも、互いのフランジ部同士で収納ボックス10や食品載置部材20がねじれたり、破損しにくいようになっている。また、収納ボックス10の縦フランジ部25の縦側壁部12に食品載置部材20の縦板部22が当接することで、食品載置部材20が収納ボックス10の中で、前後方向や左右方向にずれにくいようになっている。
【0037】
両方の横フランジ部15と両方の縦フランジ部25とで、収納ボックス10の上部を囲んでおり、収納ボックス10が高い剛性を有して、変形し難い構造であるので、収納ボックスを運送中などでも、収納ボックスが壊れたり変形することが効果的に防止できる。
【0038】
収納ボックス10の両横側壁部13,13と食品載置部材20の両縦板部22,22とで、底壁部11の周囲を取り囲んで設けられ、収納ボックス10の両方の横フランジ部15,15と食品載置部材20の両方の縦フランジ部25,25とで、収納ボックス10の開口した上部を囲んで設けられているので、収納ボックス10が高い剛性を有して変形し難い構造となっている。その上、厚さを薄くしても、収納ボックス10の運送中などでも、収納ボックス10が壊れたり変形したりすることが効果的に防止できる。
【0039】
収納ボックス10に食品載置部材20を収納した場合には、この取り囲んだ横フランジ部15と縦フランジ部25とがほぼ同じ高さになるように設定されている。それによって、図4に示すように、取り囲んだ横フランジ部15と縦フランジ部25の上面に保護フィルム30を貼り付ける際に、貼り付け易いと共に、周囲をシールしやすい。縦フランジ部25が横フランジ部15よりも外側に飛び出て設けられ、食品載置部材20を持ち上げるときに、指を引っかけ易いようになっている。
【0040】
図4及び図6に示すように、保護フィルム30などを貼り付けることで、内部の食品を簡単に保護できる。なお、保護フィルム30は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性合成樹脂により、厚さ0.1〜0.3mm程度のフィルム状に成形されたものが好ましく、外周縁31の下面を上記横フランジ部15及び縦フランジ部25に熱融着又は高周波溶着により固着して、菓子用食品収納容器1を密封状に塞ぐようになっている。
【0041】
また、保護フィルム30を簡単に剥がすことできるようにしておくことで、収納ボックス10から食品載置部材20を持ち上げる際には、保護フィルム30を剥がしてからでもよく、また、保護フィルム30と一緒に食品載置部材20を持ち上げても、保護フィルム30は収納ボックスから簡単に剥がれるようになっている。なお、保護フィルム30を破ることで取り除くようにしてもよい。
【0042】
食品載置部材20の載置板部21には、貫通状の長孔からなる多数の孔26が設けられている。この長孔26を設けることによって、食品Sを冷凍保存したときや冷蔵に解凍したとき等に余分な水滴が出てきても、この長孔26を通って落下するので、食品Sがべとついたりすることを防止できる。また、長孔26を設けることによって、載置板部21を軽量化できる。長孔26の形状は実施形態1の構成に限られるものではなく、丸孔や矩形状孔でもよく、色々の形状の組み合わせでもよい。長孔26は、底壁部11の全面に設けられて無くてもよい。
【0043】
なお、食品載置部材20の載置板部21と収納ボックス10の底壁部11との間に、積極的に空間を設けたい場合には、底壁部11と載置板部21との間に空間を形成するように、いずれかから突出する突起などを設けてもよい。或いはポーラスの別部材を介在させてもよい。複数の長孔26等の孔は、縦板部22に設けてもよい。底壁部11と載置板部21との間に、吸湿剤や防カビ剤を設けてもよい。
【0044】
食品Sを収納ボックス10に収納するときの例を図1図4に基づいて説明する。淡雪、ケーキ、プリン、羊羹等のソフトな水種菓子等の食品Sを製造後、食品載置部材20に載せてから、上方から収納ボックス10内に納める。このとき、食品載置部材20の載置板部21が底壁部11の上に重ねられる位置で、縦側壁部12の内側に縦板部22が位置するように確認して、収納ボックス10の上方から下降して、載置板部21を収納ボックス10内に収納する。そして、保護フィルム30を横フランジ部15及び縦フランジ部25に固着して、食品Sを密閉する。そして、透明な樹脂製の袋体(図示省略)に包んで、空気が流通しないように封止して、冷凍保存する。冷凍保存することで、食品を長期に保存できることとなり、製造後に冷凍状態で輸送搬送でき、離れた地域にも送付できるメリットを有する。そして、店頭に並べる前に或いは販売前に冷蔵状態に解凍するようにすればよい。また、冷凍のままで販売して、購入者が食する前に、冷蔵状態に解凍するようにしてもよい。また、実際に販売するときには、ケーキ類の販売と同様に、紙製のボックスに、商品Sを収納した菓子用食品収納容器1を納めて販売するようにすることが好ましい。
【0045】
次に、食品Sを収納ボックス10から取り出すときの例を説明する。透明な樹脂製の袋体(図示省略)を破るなどして、図4の状態にする。菓子用食品収納容器1を露出させてから、図示を省略するが、菓子用食品収納容器1の収納ボックス10が持ち上がらないように押さえた状態で、食品載置部材20の縦フランジ部25の下面側に指を掛けて、縦フランジ部25を上方に持ち上げる。保護フィルム30は剥がれ易く固着されているので、この持ち上げ動作によって、保護フィルム30の外周縁31が縦側壁部12から剥がれて食品載置部材20と一緒に、収納ボックス10に対して持ち上げられる。食品載置部材20の載置板部21が収納ボックス10の上部から浮いた状態まで、食品載置部材20が収納ボックス10に対して持ち上げられてから、別の所に載置する(図5参照)。そして、保護フィルム30を剥がして、食品載置部材20に載ったままの食品Sに、食品載置部材の両横側の開放空間からナイフ(図示省略)で切れ目を入れて、適当な大きさに切る。食品載置部材の両横側の開放空間から切ることができるので、簡単に複数の食品片に切り分けることができる。そして、切った食品片を食品載置部材20の横側から取り出す。食品載置部材20の横側から取り出すことができるので、形崩れすることなく取り出すことができる。
【0046】
なお、食品載置部材20の載置板部21に載せた食品を収納ボックス10に納める前に、適当な大きさに切って保存するようにしたものでは、ナイフで切ることを省いて、食品載置部材20の横側から取り出すようにすることができる。この場合でも、食品載置部材20の横側から、食品片を形崩れすることなく取り出すことができる。
【0047】
別の取り出し方法としては、先に収納ボックス10の横フランジ部15及び食品載置部材20の縦フランジ部25に固着した保護フィルム30を剥がしてから、収納ボックス10に対して食品載置部材20が自由に持ち上げられる状態にする。それから、食品載置部材20の縦フランジ部25の下面側に指を掛けて、縦フランジ部25を上方に持ち上げるようにしてもよい。
【0048】
なお、この取り出し方は、1例にすぎず、この取り出し方に限定されるものではない。
【0049】
なお、収納ボックス10及び食品載置部材20は、PMMAに限らず、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性合成樹脂等も使用可能である。保護フィルム30の素材や固着方法も上記実施形態に限られるものではない。収納ボックス10及び食品載置部材20の厚さは、上記実施形態の厚さに限られるものではない。
【0050】
以上述べたように、実施形態1では、食品Sが食品載置部材20に載置されているので、食品載置部材20の縦フランジ部25を持ち上げることで、食品Sが泡雪やティラミス、ケーキ等のように柔らかい食品であっても、食品Sの形状を変形させたり壊すことなく、食品載置部材20とその上の食品Sを収納ボックス10から簡単に取り出すことができる。
【0051】
なお、フィルム30は、簡単に剥がすことできるようにしておくことで、収納ボックス10から食品載置部材20を持ち上げる際には、フィルム30を剥がしてからでもよく、また、フィルム30毎食品載置部材20を持ち上げても、フィルム30は簡単に収納ボックス10から剥がれる。
【0052】
上記食品載置部材20の該縦板部22が、上記収納ボックス10の該縦側壁部12の内側に沿って配置される矩形状からなるので、食品載置部材20を収納ボックス10に対して上方に持ち上げるときに、食品載置部材20の該縦板部22が収納ボックス10の縦側壁部12の内側に沿った矩形状となり、傾くこと無く真上に引き上げることができ、食品載置部材20上の食品Sが収納ボックス10に接触して形崩れすることを防止できる。
【0053】
上記食品載置部材20の上記載置板部21には、複数の孔26が設けられているので、樹脂使用量の削減、軽量化を図れる。また、食品S中の水分の落下、食品Sを凍らせたときの水滴や食品Sが溶けた際の水分の逃がし空間として、孔26を活用できる。
【0054】
なお、上記食品載置部材20の上記載置板部21と上記収納ボックス10の底壁部11との間に、積極的に空間を設けたい場合には、底壁部11と載置板部21との間に空間を形成するように、いずれかから突起などを設けてもよい。或いはポーラスの別部材を介在させてもよい。複数の孔は、縦板部に設けてもよい。
【0055】
(実施形態
実施形態について、図7及び図8に基づいて説明する。実施形態では参考実施形態と異なる部分のみの説明に留める。実施形態では、収納ボックス101の形状が異なるのみである。具体的には、縦側壁部121の上端部に下方に向けて凹んだ凹部16を設けている。この凹部16は、縦側壁部12の外側から、食品載置部材20の縦板部22の外面を把持して、収納ボックス10から食品載置部材20を持ち上げ易いように、縦側壁部121の内外を貫通する貫通部を構成している。凹部16は、図7に示すように、縦側壁部121の幅方向中央に人差し指一本が入るような大きさに設けられている。具体的には、凹部16は、人差し指一本が入るような上下深さで、ほぼ一定の幅で上下に延びており、上端部付近で滑らかに拡がっている。
【0056】
この構造とすることで、食品載置部材20を収納ボックス10に対して持ち上げるときに、図8に示すように、凹部(貫通部)16に人差し指を入れて、人差し指の先端を食品載置部材20の縦板部22の外面に当接させて、互いの人差し指が近づく方向に力を入れることで、しっかりと食品載置部材20を保持でき、楽に持ち上げることができるようになっている。その上、把持することで縦板部22が縦側壁部12から離れやすくなるので、食品載置部材20を収納ボックス10に対して持ち上げやすくなる。
【0057】
実施形態では人差し指一本が入る程度の大きさであるが、この大きさに限られるものではなく、指二本が入る大きさでもよい。又、極端な場合には、収納ボックス10の縦側壁部12の上端部の幅方向全体が低くなっていてもよい。又、縦側壁部12の幅方向中央に凹部を設けたが、凹部16を幅方向2箇所に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、水羊羹、心太、寒天、淡雪、ケーキ等のソフト菓子等の食品を入れて、製造、流通、販売する際などに用いられる合成樹脂製の容器に極めて有用である。
【符号の説明】
【0059】
S 食品
菓子用食品収納容器
10 収納ボックス
11 底壁部
12 縦側壁部
13 横側壁部
15 横フランジ部
16 凹部
20 食品載置部材
21 載置板部
22 縦板部
25 縦フランジ部
26 長孔
30 保護フィルム
31 外周縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8