(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
ソリッドステート照明といった、既存の発光材料を置き換え又は補足することができる良好な無機発光材料を獲得する必要性が依然として存在する。例えば、より良い効率、もしくは、励起、及び/又は、放出帯域位置、及び/又は、放出帯域幅のような他の利点によるものである。照明等級(illumination grade)白色蛍光体変換(phosphor converted、pc)LEDの発光効率は、赤色発光蛍光体コンポーネントの発光帯域(emission band)のスペクトル幅によって現在は制限されている。
【0004】
従って、本発明の一つの態様は、代替的な蛍光体、特に、代替的な赤色蛍光体、及び/又は、任意的に黄色及び/又は緑色蛍光体を提供することであり、好ましくは、さらい、一つまたはそれ以上の上記の欠点を少なくとも部分的に予防し、好ましくは、青色及び/又はUV(及び/又は緑色光及び/又は黄色光)において、特には青色において、良く吸収し、かつ/あるいは、吸収された光を可視光、特には赤色光(及び/又は緑色光及び/又は黄色光)に効率的に変換する。しかしながら、シアンやオレンジのような、(目に見える)他の色も同様に対象であり得る。そうした代替的な(赤色)蛍光体(例えば、発光材料としてのものであり、任意的に、他の蛍光体と組み合せたもの)を使用するように構成された、代替的な照明ユニットを提供することは、さらなる一つの態様である。
【0005】
第1の態様において、本発明は、光源光(特には、一つまたはそれ以上のUVと青色光)を生成するように構成されている光源、および、光源光のうち少なくとも一部分を発光材料光へと変換するように構成されている発光材料、を含む照明ユニットを提供する。光源は、発光ダイオード(LED)を含み、かつ、発光材料は、
M
2D
2C
2-2bB
bA
2N
6:Ln (I)
に係るクラスから選択された蛍光体を含む。ここで、
Mは、二価のCa、Sr、およびBaからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Dは、一価のLi、二価のMg、Mn、Zn、Cd、および、三価のAlとGaからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Cは、一価のLiとCuからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Bは、二価のMg、Zn、Mn、およびCdからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Aは、四価のSi、Ge、Ti、およびHfからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Lnは、ESとREからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
ESは、二価のEu、Sm、およびYbからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
REは、三価のCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、およびTmからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、かつ、
bは、0以上1以下である(0≦b≦1)。Nは、窒素を記号で表していることに留意する。
【0006】
蛍光体は、光源光によって照らされるとき、このように光源光の少なくとも一部を発光材料光(発光)へと変換する。発光材料光は、従って、蛍光体からの発光(式(I)を伴うもの)、および、任意的に、他の蛍光体の発光を含む(下記も参照のこと)。
【0007】
第2の態様において、本発明は、また、そうした蛍光体それ自体も提供する。つまり、蛍光体は、
M
2D
2C
2-2bB
bA
2N
6:Ln (I)
に係るクラスから選択された蛍光体であって、
Mは、二価のCa、Sr、およびBaからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Dは、一価のLi、二価のMg、Mn、Zn、Cd、および、三価のAlとGaからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Cは、一価のLiとCuからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Bは、二価のMg、Zn、Mn、およびCdからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Aは、四価のSi、Ge、Ti、およびHfからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
Lnは、ESとREからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
ESは、二価のEu、Sm、およびYbからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、
REは、三価のCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、およびTmからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のものであり、かつ、
bは、0以上1以下である。
【0008】
そうした蛍光体は、例えば、ドーパントとして二価のユーロピウム(Eu;つまりEu
2+)の場合に、620−650の波長範囲における最大値を伴う発光を有し、非常に高いCRI(演色評価数)を伴う光を可能にする。さらに、この発光は、たった60nmのオーダーの相対的に狭い半値全幅(FWHM)を有している。従って、本発明は、実質的に向上した変換効率を有する、赤色蛍光体といった、蛍光体を提供する。さらに、最適化されていないサンプルでさえ、既に相対的に高い量子効率を有している。
【0009】
従って、本発明は、式M
2D
2C
2-2bB
bA
2N
6:Lnによって特定的に特徴付けられる蛍光体組成物の驚くべき発見によって、従来技術の赤色発光LED蛍光体に係る問題を解決する。これらのタイプの蛍光体は、A
2N
6ボウタイ(bow-tie)形状の二重四面体ユニットおよびDN
4/2四面体鎖といった、特定の構造エレメントを有している。ホスト格子ネットワーク構造を形成するためのこれらの構造的モチーフの組み合せは、低いローカルなフォノン周波数(phonon frequencies)の組み合せ、および、例えば、格子の高いデバイ温度(Debye temperature)といった、驚くべき特性を導くものと考えられている。単斜晶系空間群C2/m(no.12)におけるCa
2Mg
2Li
2Si
2N
6:Euの一つの例として、結晶学的情報が表1にまとめられている。この例について、M=Ca、D=Mg、C=Li、A=Si、およびb=0である。原子座標および等方的変位(isotropic displacement)パラメータが表2に示されている。選択された結合長さが、表3に列挙されている。
【表1】
【表2】
【表3】
【0010】
Ca
2Mg
2Li
2Si
2N
6において[Si
2N
6]
10-ボウタイユニットを形成するための[SiN
4]四面体のエッジ共有(edge sharing)は、N1-Si-N1に対して94.40(13)°の歪んだ四面体角度(tetrahedral angle)を誘発する。これは1.805(3)ÅのSi-N1結合長(bond length)の増大、そして、従って、2.4378(18)Åのより短いSi-Si距離をもたらす。ターミナル(terminal)N原子への結合は、1.72から1.78Åまでの範囲である。化学的には、1つのメンバーとしてCa
2Mg
2Li
2Si
2N
6を伴う発明された材料は、マグネノニトリドシリケート(magnesonitridosilicates)として分類され得るものであり、そして、従って、[Si
2N
6]
10-ボウタイユニットは[MgN
4]四面体によって接続されている。これらは、2つの共通のエッジを介して相互に結合されており、[100]に沿って延びるストランド(strands)を形成している(
図2を参照のこと)。Mg-N結合長は2.07から2.08Åまでの範囲であり、バウア(Baur)のイオン半径とMgSiN
2のイオン半径の和に良好に一致している。Caは、Ca-N距離が2.49から2.75Åの6重の窒素配位(sixfold nitrogen coordination)である。[CaN
6]八面体は2つの共通のエッジを介して相互に結合されており、[001]に沿ってセーチェルリング層(sechser ring layers)を形成している。セーチェルリングは、6つの原子のリングである。(110)面におけるCa原子のネット(net)は、六方晶配置(hexagonal arrangement)からのわずかな偏差を示している(a*√3/b=0.976)。Liは、窒化物の周辺(nitridic surroundings)について、稀な3重配位(threefold coordination)である。Liサイトの配位圏(coordination sphere)の拡大図は、3+2配位をもたらし、2.336(13)Åの短いLi-Li距離を結果として生じている。両方のLi原子の周りに生じている配位多面体(coordination polyhedron)は、ほとんど歪んでいない八面体として記述され得るものである。これらの分離された八面体は、[CaN
6]八面体によって形成されたセーチェルリングの層を接続する。
【0011】
式M
2D
2C
2-2bB
bA
2N
6に従って、小部分(fraction)または全ての一価のC原子は、二価のB原子(b>0)で置換することができる(
図3)。この場合、N原子により3重に配位されたワイコフ(Wycoff)サイト4i(表2を参照のこと)に配置された2つのC原子は、4つのN原子による平面四角形配位を伴いワイコフサイト2b(2/mサイト対称性)に配置された1つのB原子で置換することができる(
図4)。ホスト格子骨格における全ての一価のC原子が、例えば、二価のB原子で置き換えられている場合には、より簡単な組成物を得ることができる。例えば、Ca
2Mg
2Li
2Si
2N
6:Euにおける全てのLiは、Ca
2Mg
3Si
2N
6:Euを形成するために、Mgによって置換され得る。置換は、必要とされる異なる出発化合物の数を減少させ、そして、従って、プロセス制御をより容易にする。特には、b<1であり、さらに特には、b<0.5であって、さらにより特別には、bは0である。
【0012】
結晶学的軸(crystallographic an axis)に沿って延びるエッジが結合された四面体鎖DN
4/2の中心原子であるMg(II)またはZn(II)といった二価のD原子は、他の原子によって置き換えることができる。例えば、2つのMg(II)原子は、1つのLi(I)および(+)1つのAl(III)原子で置き換えることができる。そうした置換は、発光材料における希土類活性材(rare earth activator)であるEu(II)またはCe(III)を配位し、かつ、吸収および発光遷移の青色シフト(blue shift)をもたらすN2原子の酸度(acidity)を増加させる。一価と三価の原子による二価のD原子の完全な置換を示す材料の例は、例えば、Ca
2AlLi
3Si
2N
6:EuまたはCa
1.8Sr
0.2GaLi
3Si
2N
6:Euである。
【0013】
混合結晶(mixed crystals)を形成するためにM=CaをSrにより置換することは、セル容積(cell volume)の増加をもたらし、活性剤−Nリガンド接触(ligand contacts)が長くなる。配位子場(ligand field)強度の低下は、吸収および放出帯域(band)の青色シフトをもたらす。表4は、Caについて0%および7%のSrを用いて置換した単結晶の格子定数を比較したものである。
【表4】
【0014】
Eu(II)を用いたMサイトのドーピング(doing)は、赤色スペクトル領域における発光をもたらす一方で、Ce(III)を用いたドーピングは、緑色から黄色スペクトル領域における発光をもたらす。発光色のこれらの関係は、約650nmにおいて発光を示すCaS:Eu
2+および約505nmにおいて発光を示すCaS:Ce
3+のような他の既知の蛍光体から知られている。Eu(II)蛍光体の発光帯域の位置が既知であれば、同じホスト格子におけるCe(III)の帯域の位置が非常に正確に予測され得る。
【0015】
本発明は、また、少なくともこの蛍光体、および、任意的に一つまたはそれ以上の他の材料を含んでいる発光材料にも関連する。一つまたはそれ以上の他の蛍光体、及び/又は、(残余の)フラックス材料のような一つまたはそれ以上の他のフェイズ(phases)のようなものである。蛍光体は、また、一つまたはそれ以上のハロゲン不純物および金属不純物のような、不純物を含んでもよい。発光材料は、ここにおいて定義される一つまたはそれ以上の蛍光体に隣接してよく、また、他のフェイズも含んでいる。一つまたはそれ以上の−既に示された(残余の)−フラックス材料、残余の出発材料、および、一つまたはそれ以上(それぞれの)蛍光体の合成の最中にも形成される一つまたはそれ以上のフェイズ、のようなものである。
【0016】
同様に、蛍光体は、また、他のフェイズを含んでよい。一つまたはそれ以上の−既に示された(残余の)−フラックス材料、残余の出発材料、および、一つまたはそれ以上(それぞれの)蛍光体の合成の最中にも形成される一つまたはそれ以上のフェイズ、のようなものである。一般的に、こうした他のフェイスの重量パーセントは、(蛍光体の全重量に関して)約10重量%未満である。
【0017】
上述のように、蛍光体は、また、不純物も含んでよい。このことは、従来技術において知られている。従って、実施例において、M
2D
2C
2-2bB
bA
2N
6:Lnのような化学式は、不純物の存在を、例えば合計で約500ppmまで、特には、約200ppmまで、さらにより特定的には、約100ppmまで排除するものではない。従って、たとえ化学式が不純物の存在を示さなくても、(それにもかかわらず)存在し得る不純物は、例えば、Li、Na、K、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Cu、Zn、V、C、N、O、F、Al、Si、P、S、Cl、Ga、Ge、Se、Br、Lu、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Tl、Pb、およびBiからなるグループから選択され得る。ここでは、不純物が列挙されている。例えば、化学式がLiまたはEuの利用可能性を示す場合、これらは、−少量で利用可能であっても−不純物として考慮されない。従って、例えば、Ca
2Mg
3Si
2N
6:Euにおいて、Euは不純物ではないが、Ca
2Mg
3Si
2N
6:Euは、例えば、150ppmのHf、またはNa、もしくはMgを(不純物として)含み得るものである。
【0018】
さらに、発光材料は、一つまたはそれ以上の散乱粒子(scattering particles)およびハロゲン化物塩(halide salt)を含んでよい。
【0019】
白色LEDにおける赤色蛍光体コンポーネントに対する要求は、Ra8>90の演色(color rendering)が得られること、および、(任意的に他の蛍光体との組み合せにおいて)2500−5000Kの範囲における相関色温度(correlated color temperature)を得られることである。赤色蛍光体コンポーネントは、80nm未満の半値全幅(FWHM)を伴う605−655nmの波長範囲において特に発光ピークを示すものである。白色LEDにおける赤色蛍光体コンポーネントに対する要求は、ディスプレイのバックライト構成において、NTSC規格に係る>90%の色域(color gamut)が得られること、および、(任意的に他の蛍光体との組み合せにおいて)7000−11000Kの範囲における相関色温度を得られることである。理想的に、赤色蛍光体コンポーネントは、80nm未満の半値全幅を(FWHM)伴い、630−655nmの波長範囲において発光ピークを示すものである。上述のように、このFWHM条件は、本発明の蛍光体を用いて容易に満たされ得るものである(例えば、Eu
2+に基づく場合)。
【0020】
しかしながら、上述のように、他の特性を有する蛍光体もまた興味深いものである。
【0021】
ここにおける用語「クラス("class")」は、特に、同一の結晶学的構造または関連する構造を有する材料のグループを参照する。少なくとも、材料のグループは、全てが同一の式Iを有し得る。材料は、さらに、全てが、ボウタイA
2N
6構成要素(building block)とBN
4及び/又はC
2N
6基、およびDN
4/2鎖を形成し得るDN
2四面体を有し得る。クラスの中の少なくともいくらかのファミリーメンバー(family members)は、特には一般に(Sr,Ca)
2Mg
2Li
2Si
2N
6:Lnによって定義されるもの、単斜晶系であり、そして、空間群(sapace group)C2/m(no.12)に属している(上記もまた参照のこと)。さらに、用語「クラス」は、また、特に構造モチーフ(structural motif)が維持されている場合には、カチオン及び/又はアニオンの部分的な置換(partial substitutions)を含み得る。例えば、上述のクラスのうちのいくつかにおいて、Si-Nが、部分的にAl-Oによって置き換えられてよい。
【0022】
一つの実施例において、用語「蛍光体("phosphor")」は、式(I)に全て従っている異なる蛍光体の組み合せに関連し得る。用語「式(I)」は、また、「化学式(I)"chemical formula (I)"」としても示されてよい。従って、発光材料は、化学式(I)を有する一つまたはそれ以上の蛍光体、および、任意的に、この化学式(I)を有していない一つまたはそれ以上の蛍光体(例えば、Y
3Al
5O
12:Ce
3+及び/又はSr
2Si
5N
8:Eu
2+といったもの)を少なくとも含んでいる。
【0023】
新規な蛍光体は、ソリッドステート(solid state)合成方法を用いて作製することができる。請求される材料の合成は、例えば、様々な処理方法によって実施することができる。焼成温度を低く保つことは(約1500℃未満、例えば1400℃未満)、請求されるフェイズの相純度(phase purity)および発光特性を改善し得ることが見出されてきている。従って、本発明は、また、1400℃未満の温度において実施されるソリッドステート窒化物の合成方法、および、そうした合成方法によって得ることができる式(I)の蛍光体にも関連する。成分M、D、C、B、およびA金属、アルカリ土類アミド、または、シリコンジイミド(silicon diimide)のうち2つまたはそれ以上を溶融することによって得られる金属間フェイズのような反応性前駆体(reactive precursors)が特に適していることが判明している。フッ化物または塩化物、特に少なくともフッ化物のようなフラックス材料の添加は、また、フェイズ形成を改善し得る。与えられた式においては明示的に説明されていないが、添加されたハライドフラックス(halide flux)の一部は、発光特性を劣化させることなく、焼成後に蛍光体内に残留し得るものである。同じことが、炭素のような他の不純物についても成り立つが、そのような不純物は、例えば、グラファイト炉における反応中に、または、炭素還元窒化(CRN)反応方法の適用によって、窒素格子サイト上の格子に、ある程度、組み込まれ得る。好適な合成方法は、(a)高圧窒化、(b)アルカリ金属溶融における処理、(c)アンモノ熱合成(ammonothermal synthesis)、および(d)標準的な混合および焼結のアプローチを含んでいる。特定の実施例において、出発材料のうち一つまたはそれ以上が水素化物(SrH
2といったもの)を含み、そして、任意的に、合成方法として高温アイソスタティックプレス(hot Isostatic pressing、HIP)が適用される。さらに特定の実施例において、出発材料のうち一つまたはそれ以上が水素化物(SrH
2といったもの)を含み、そして、余剰アルカリ土類金属がアルカリ金属フッ化物(SrF
2といったもの)の形態において適用され、そして、任意的に、合成方法として、高温アイソスタティップレス(HIP)が適用される。
【0024】
こうした合成方法は、従来技術において知られており、そして、例えば、Watanabe共著、Synthesis of Sr
0.99Eu
0.01AlSiN
3 from intermetallic precursor、Journal of the Ceramic Society of Japan 117(2009)115-119;Zeuner共著、Li
2CaSi
2N
4 and Li
2SrSi
2N
4 -a Synthetic Approach to Three-Dimensional Lithium Nitridosilicates、European Journal of Inorganic Chemistry(2010)4945-495;Li共著、Low-Temperature Crystallization of Eu-Doped Red-Emitting CaAlSiN
3 from Alloy-Derived Ammonometallates、Chemistry of Materials 19(2007)3592-3594、において説明されている。
【0025】
従って、さらに別の態様において、本発明は、ここにおいて定められる蛍光体を製造するための方法を提供する。ここで、本方法は、蛍光体を得るために選択された出発材料を混合するステップと、800℃から1300℃の範囲における温度でこれらを加熱するステップと、を含んでいる。ここにおいて示されるように、特にLnは、EuとCeのうち一つまたはそれ以上を含み、加熱は、特にはH
2を含むものといった、還元雰囲気において実行される。他のランタニド(lanthanides)が適用される場合は、また、特には金属間化合物前駆体が適用される場合に、還元雰囲気において加熱が実行され得る。金属間化合物前駆体は、少なくともMを含んでよい。さらに、金属間化合物前駆体は、また、特には、少なくともDを含んでよい。なお、さらに、金属間化合物前駆体は、また、C、AおよびLnのうち一つまたはそれ以上のを含んでよく、特には、AとLnのうち少なくとも一つまたはそれ以上である。
【0026】
蛍光体を含んでいるアルカリ金属の共ドーピング(codoping)もまた、本発明の一つの実施例であり得る。Ce(III)とEu(II)両方を用いるドーピングは、効率的な赤色発光と、低いEu濃度のおかげでEu(II)発光の低減された自己吸収を伴う蛍光体をもたらし得る。そうした材料の一つの例は、例えば、(Ca
0.9Sr
0.1)
1.976Li
3AlSi
2N
6:Ce
0.02,Eu
0.004である(ここで、y=0.01;x=0.002;すなわち、(Ca
0.9Sr
0.1)
1.976Eu
0.004Ce
0.02Li
3AlSi
2N
6;以下もまた参照のこと;この例ではM=Ca,Sr;D=Li、C=LiおよびAl、b=0およびA=Siであることに留意する)。
【0027】
Eu
2+、または、Ce
3+のような、他の希土類カチオンは、6つのN原子によって配位されたM格子サイトに組み込まれると考えられている。E
2+、または、部分的にMを置換している、他の二価ランタニドイオンについて、電荷補償(charge compensation)は不要である。しかしながら、Ce
3+といった、三価のイオンを導入する場合には、電荷補償が必要なことがある。例えば、2 SEは、Mを置き換えることができる。例えば、LiまたはCuである。ここでは、簡略化の目的のため、以下のより詳細な式において電荷補償は含まれていない。
(M
1-x-y)
2D
2C
2-2bB
bA
2N
6:ES
x、RE
y (I)
ここで、0≦x≦0、0≦y≦0、かつ、0<x+y≦0.4であり、bは上記のように定義されている。この式は、また、(M
1-x-y)
2ES
xRE
yD
2C
2-2bB
bA
2N
6として書き直すこともできる(この式において、y>0の場合、電荷補償が含まれることを要する;上記も参照のこと)。
【0028】
ESが、サマリウム(samarium)とユーロピウム(europium)(および、任意的に(二価の)イッテルビウム(ytterbium))であると仮定すると、xに対する値は、ここにおいて示した通りであり、しかし、個々の種(species)の合計である。同様に、このことは、式において示される全ての他の基本種(elementary species)にも適用される。従って、式(I)の一つ例は、例えば、Ca
1.99Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.01(すなわち、x=0.005)、(Ca
0.8Sr
0.2)
1.99Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.01(すなわち、x=0.005)、Ca
1.84Sr
0.14Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.02(すなわち、x=0.01)、等である。一般式において、x*100およびy*100は、それぞれに、E及び/又はREによって置き換えられるMの%を示すことに留意する。例えば、xが0.01の場合、式は、M
1.98Eu
0.02Mg
2Li
2Si
2N
6である。これは、また、M
2Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.01または(M)
1.98Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.02としても示すこともできる。これら3つの指標はすべてx=0.01であることを示しており、すなわち、全てのMイオンの1%がEuにより置き換えられている。
【0029】
二価および三価のサマリウム及び/又は二価および三価のユーロピウムは、例えば、合成の最中の(還元)条件に応じて存在し得る。発光イオンとして、好ましくは、REおよびESは、(a)Eu
2+(すなわち、REが無く、かつ、Smが無い)、または、(b)Ce
3+(すなわち、ESが無く、かつ、他のREが無い)、もしくは、(c)Eu
2+とCe
3+(Smが無く、かつ、他のREが無い)からなるものである。従って、実施例(a)においては、一方における他の全ての任意的なESとREの和と、他方におけるEuとの間のモル比(molar ratio)は、((Sm(II)+RE)/Eu)<0.1であり、特には、<0.01であり、さらには、<0.0001である;実施例(b)においては、一方における他の全ての任意的なESとREの和と、他方におけるCeとの間のモル比は、(ES+RE)/Ce)<0.1、特には、<0.01、さらには<0.001である;および、実施例(b)においては、一方における他の全ての任意的なESとREの和と、他方におけるEu(II)とCeとの間のモル比は、((ES+RE)/(Ce+Eu(II))<0.1であり、特には、<0.01であり、さらには、<0.0001である。Yb(II)も、また、利用可能であり、(Sm(II)+RE)/Eu)は、(Sm(II)+Yb(II)+RE)/Eu)として再定義することができ、(Sm(II)+Yb(II)+RE)/Eu)<0.1であり、特には、<0.01であり、さらには、<0.0001である。還元条件は、特に、H
2を含む雰囲気を含んでよい。
【0030】
特には、二価の発光種(luminescent species)として、SmとEuのうち一つまたはそれ以上のみが選択され、特には、実質的にEuのみである。
【0031】
別の実施例においては、REとして、CeとPrが適用される(特には、SmとEuの不存在において);Prは、(n個の追加の)赤色発光を提供し得るものである。三価のセリウムは、黄色及び/又は緑色の放射体(emitter)提供するため、かつ/あるいは、二価のユーロピウムを(CeとEuの両方が存在する場合において)敏感にする(sensitize)ために使用され得る。種ESとREは、ここにおいてはまた、ドーパント(dopants)として示されている。
【0032】
ESが利用可能で、かつ、REが利用可能である場合に、一つの実施例において、RE≠Ceの場合、y/xは、好ましくは<0.1、特には、<0.01である。このことは、二価のEu及び/又はSmが適用される場合に、任意的な三価のランタニド(lanthanide)REがモル量において存在することを意味する。任意的な三価のランタニドがセリウムではない場合には、それぞれに、Eu及び/又はSmのモル量の10%未満である。特定の実施例においては、x>0、かつ、y=0であり;例えば、ESは、実質的には排他的にユーロピウムであり、ドーパントなどのような二価のユーロピウムが存在し、そして、他の全ての潜在的な発光ドーパントが利用可能でないか、もしくは、二価のユーロピウムのモル量の0.01%未満のモル量において利用可能である。
【0033】
一つの特定な実施例において、蛍光体は、発光希土類イオン(RE)に加えて、または、代替として(も、また)、非発光希土類イオンを含んでよい。理解目的のために、このことは、基本式には含まれていないが、一つの代替的な実施例において、式(I)の蛍光体は、また、式を有する蛍光体としても書き換えられ得る。
(M
1-x-y-z)
2D
2C
2-bB
bA
2N
6:ES
x、RE
y、NRE
z (I)
ここで、0≦z<1;0<x+y+z≦0.4;b、x、およびyは上記のように定義されており、ここにおいて、NREは、Sc(スカンジウム)、La(ランタン)、および、Lu(ルテチウム)からなるグループら選択される。
【0034】
x/y<0.1、または、y/x<0.1である条件は、RE=Ceが発光種(luminescent species)として主に存在するか、または、ES=Euが発光種として主に存在するか、いずれかを示している。これらの実施例は、また、それぞれの、x=0(Ceのみ)またはy=0(Euのみ)である変形(variant)も含み得ることに留意する。
【0035】
特には、Ca及び/又はSrを含むAを用いて、良好な蛍光体を得ることができる。特には、Dは、Mgを含んでいる。さらに、bは、特に0であり、かつ(/あるいは)Cは、特にLiを含んでよい。このようにして、最も効率の良い蛍光体を得ることができる。さらに、特に、Lnは、三価のCe、及び/又は、二価のEuを含み、特には、実質的に、二価のEuのみを含む(かつ、他のESまたはREを含まない)。なおもさらなる実施例において、REは、三価のCe、Pr、Sm、Gd、Tb、およびDyからなるグループから選択される。好ましい実施例においては、0<x≦0.2であり;別の言葉で言えば、少なくとも二価のSm及び/又はEuが存在し、特には、実質的に二価のEuだけである。さらなる実施例において、y(およびz)は、(実質的に)ゼロである。
【0036】
条件0<x+y≦0.4は、Mが、合計で40%までのES及び/又はREで置換され得ることを示している。条件「0<x+y≦0.4」は、0と0.2との間にあるxとyを伴う組み合せにおいて、ESとREのうち少なくとも一つが存在することを示す。必ずしも両方のタイプが存在するとは限らない。上記のように、ESとREの両方は、それぞれに、一つまたはそれ以上の亜種(subspecies)を参照する。SmとEuのうち一つまたはそれ以上を参照しているES、および、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、およびTmのうち一つまたはそれ以上を参照しているRE、といったものである。
【0037】
特には、ユウロピウムが二価の発光種またはドーパントとして適用される場合に、サマリウムとユウロピウムとの間のモル比(Sm/Eu)は、<0.1、特に、<0.01、特には、<0.001である。
【0038】
イッテルビウムと組み合せたユーロピウムが適用される場合も同じことが当てはまる。ユウロピウムが二価の発光種またはドーパントとして適用される場合に、イッテルビウムとユーロピウムとの間のモル比(Yb/Eu)は<0.1であり、特に、<0.01、特には、<0.001である。3つ全てが一緒に適用されるとすれば、同じモル比が適用されてよい。すなわち、(Sm+b)/Eu)が<0.1、特に、<0.01、特には、<0.001である。
【0039】
特に、xは、0.001−0.2の範囲にある(すなわち、0.001≦x≦0.2)。0.02−0.2のようであり、0.05−0.1といったものであり、特には、0.05−0.08である。特に、ここにおいて記載されたシステムにおける二価のユーロピウムの場合に、モルパーセントは、0.1−5%(0.001≦x≦0.05)の範囲内にあってよい。0.2−5%といったもの、0.5−2%のようなものである。他の発光イオンについて、実施例におけるxは(必ずしもそうである必要はないが)、1%に等しいか、それ以上である(xは、0.01以上)。特定の実施例において、Lnは実質的にEu
2+だけを含んでいる。
【0040】
なおもさらなる実施例において、REは、Ceを含み、x/y<0.1、特には、<0.01、さらにより特定的には、<0.001、そして、n≦0.1である。従って、この実施例において、REは、セリウムを含むか、または、特にセリウムからなるものである。このことは、三価のCeが(REとして)適用される場合に、任意的な二価のランタニドSEが、それぞれにCeのモル量の10%未満のモル量で存在することを意味している。例えば、Ceが存在し、y=0.05を伴う場合に、例えば、(二価の)Smのx1は0.001であってよく、そして、(二価の)Euのx2は0.001であってよく、x=x1+x2=0.002を導いている。そうした場合には、x/y=0.04である。さらに、より特定的には、x=0である。
【0041】
セリウムが存在する場合、yは、0.001−0.2の範囲にある(すなわち、0.001≦y≦0.2)。0.02−0.2のようであり、0.05−0.1といったものであり、特には、0.05−0.08である。特定の実施例において、Lnは、実質的にCe
3+だけを含んでいる。さらには、以下をまた参照のこと。
【0042】
上記のように、安定性を増加させるため、または、発光特性を変更するために、REエレメントが格子の中に組み込まれてよい。REの組み込みは、典型的には、Eu(II)発光帯域の青色シフトをもたらす。Ce(III)の組み込みは、緑色からオレンジ色までのスペクトル範囲における発光をもたらし得る。Ce(III)を用いたEu(II)ドープ化合物の共ドーピングは、Eu(II)放射に対する増感剤(sensitizer)として作用しているCe(III)を用いる青色スペクトル範囲における吸収を増加させるために使用することができる(上記も参照のこと)。
【0043】
特定の実施例において、蛍光体は、Ca
2Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu、および(Ca,Sr)
2Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu、等からなるグループから選択される。
【0044】
ここにおいても示されるように、表記「(Sr,Ca)」、および他のエレメントを用いた同様な表記は、M位値(M-positions)がSr及び/又はCaカチオン(または、それぞれに他のエレメント)で占められていることを示している。(Ca,Sr)
2Mg
2Li
2Si
2N
6:Euの一つの実施例において、Mは、特にはCaとSrを含み、より特定的には、2:1−20:1の範囲から選択される比率の中にある。同様に、Dは、Li、Mg、Mn、Zn、Cd、Al、およびGaのうちの一つまたはそれ以上から選択されてよい。例えば、Dは、LiとMg、または、LiとAlを含んでよい。
【0045】
特に、Mは、Ca、Sr、およびBaからなるグループから選択される。さらには、特に、Dは、Li、Mg、Zn、Al、およびGaからなるグループから選択される。なおも一つの実施例において、Cは、特に、一価のLiとCuからなるグループから選択される。さらに一つの実施例において、Bは、特に、Mg、Zn、およびMnからなるグループから選択されるが、bは、特には0に選択されてもよい。さらに一つの実施例において、Aは、特にSiとGeからなるグループから選択される。そうしたシステムは、比較的に効率的であり得る。フレーズ「からなるグループ選択される("selected from the group consisting")」は、また、これらのグループのうち2つ以上が選択されること(M=Ca+Sr)、等も含んでよいことに留意する。従って、特定の実施例において、本発明は、M
2D
2C
2-bB
bA
2N
6:Ln(I)を含んでいる蛍光体を提供する。ここで、Mは、CaとSrのうち一つまたはそれ以上を含み(特に、ここでMは、(実質的に)CaとSrのうち一つまたはそれ以上からなるものである)、ここで、Dは、Mgを含み(特に、ここでDは、(実質的に)Mgからなるものである)、ここで、Cは、Liを含み(特に、ここでCは、(実質的に)Liからなるものである)、かつ、b=0を含み、ここで、Aは、Siを含み(特に、ここでAは、(実質的に)Siからなるものである)、そして、ここで、Lnは、二価のEuと三価のCeのうち一つまたはそれ以上を含み、特に、ここで、Lnは、(実質的に)Eu(II)とCeのうち一つまたはそれ以上のからなるものである。
【0046】
なおもさらなる特定の実施例において、本発明は、(M
1-x)
2D
2C
2-2bB
bA
2N
6:Eu
xを含んでいる蛍光体を提供する。ここで、特には、0<x≦0.2である。代替的に、蛍光体は、セリウム(だけ)を含んでよい。従って、なおも特定の実施例において、本発明は、蛍光体(M
1-y)
2D
2C
2-2bB
bA
2N
6:Ce
yを提供する。ここで、特には、0<y≦0.2である。特に、一つの実施例において、本発明は、M
2Mg
2Li
2Si
2N
6:Lnを含んでいる蛍光体を提供する。ここで、Mは、CaとSrのうち一つまたはそれ以上を含む。これらの特定の蛍光体の実施例それぞれは、さらに、また、こうした蛍光体を含んでいる照明装置の実施例にも関連し得る。
【0047】
一般的に、当業者にとっては明らかであるように、D、C、およびBは、M、A、および窒素(N)との組み合せにおいて、電荷的中性(charge neutrality)に適合する化学式を提供するように選択される。従って、D
2C
2-2bB
bの全電荷は6に等しい。D
2C
2-2bB
bの例は、例えば、Li
3Al、または、Mg
2Li
2、もしくは、ZnMgLi
2、任意的には、なおMg
3、等である。
【0048】
二価のユウロピウムを参照すると、Eu
2+組み込みのためにただ一つの格子サイトが存在し得るので、請求される蛍光体の発光帯域は、M
2Si
5N
8:Eu(M=Ba、Sr、Ca)のような最先端の赤色発光蛍光体よりも著しく狭い。最先端の赤色発光蛍光体は、人間の目が鈍感である低エネルギー光の量が低減されるので、照明アプリケーションにおいて有利である。請求される組成物のいくつかについて見出される規則構造(ordered structure)の変形に係る利点は、Eu
2+は、こうした格子の中に組み込まれる場合に、より狭い発光帯域をを示すことである。このことは、放射帯域の不均一な広がりが少ないことによって引き起こされ得るものである。単純な構成座標モデルを用いて観測された発光スペクトルの分析(Henderson、Imbusch共著:Optical Spectroscopy of Inorganic Solids、Clarendon Press、1989を参照のこと)は、3−4の範囲におけるHuang-Rhys結合パラメータS、および、250−400cm
-1の範囲における平均フォノン(phonon)周波数hωを明らかにしている。
【0049】
なおもさらなる特定の実施例において、本発明は被膜された蛍光体を提供する。なおも別の特定の実施例において、本発明は、エンベッドされた蛍光体を提供する。前者の実施例、被膜された実施例において、特に、蛍光体は、コーティングを含んでいる蛍光体パーティクルを伴う、粒子状蛍光体である。しかしながら、蛍光体は、また、コーティングを用いて片面または両面に被膜された層を含んでもよい。後者の実施例において、蛍光体は、有機または無機のホスト材料の中にエンベッドされてよい。例えば、蛍光体は、粒子状の蛍光体を含んでよく、ここで、粒子状の蛍光体のパーティクルは、有機または無機のホストの中にエンベッドされている。例えば、PMMA、PET、PC、シルセスキオキサン(silsesquioxane)、ガラス、等のようなものである。特定の実施例において、蛍光体は、AlPO
4コーティングを含んでいる。そうしたコーティングは、例えば、Cho共著、(2005)"Control of AlPO
4-nanoparticle coating on LiCoO
2 by using water or ethanol"、Electrochimica Acta 50、4182-4187において記載された方法によって提供され得る。一つまたはそれ以上の代替的または追加的なコーティングは、Al
2O
3コーティングとSiO
2コーティングのうち一つまたはそれ以上を含んでよい。Al
2O
3コーティングは、例えば、原子層堆積(atomic layer deposition)によって用意され得る(例えば、Avci,N.;Musschoot,J.;Smet,P.F.;Korthout,K.;Avci,A;Detavernier,C.;Poelman,D.共著のMicroencapsulation of Moisture-Sensitive CaS:Eu
2+ Particles with Aluminum Oxide、J.Electrochem. Soc. 2009、156、J333−J337といったものである)。シリカ(silica)コーティングは、例えば、ゾルゲル法(sol-gel)を介して用意され得る。こうした方法は、いくらかのテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)を用いてエタノール中で蛍光体粉末を攪拌することを含んでよい。次に、濃縮されたNH
3溶液が加えられる。アンモニアを加えた後で、エタノール中のテトラエトキシシランが、攪拌している間にクローズドシステム(closed system)において加えられ得る。任意的に、超音波処理(sonication)が適用されてよい。このようにして得られた懸濁液(suspension)は、濾過され、洗浄され、そして、乾燥され得る。
【0050】
本発明は、有利にも、代替的な蛍光体を提供する。中でも、有利なことに、以下の特性のうち一つまたはそれ以上を有し得るものである。(1)緑色、黄色、および赤色のうち少なくとも一つまたはそれ以上において、可視スペクトルの一つまたはそれ以上の部分を放射すること、特には赤色、(2)良好な効率を有すること、(3)狭い帯域幅を有すること(赤色におけるもの)、(4)高い演色Raを有すること(赤色蛍光体を想定している)、および、(5)他の有利な(光学的)特性を有すること(例えば、長寿命/高安定性)。
【0051】
用語「蛍光体("phosphor")」は、ここにおいて、励起の際にスペクトルの可視部分において光を放射するあらゆる材料について使用されている。「蛍光体」について別の用語は、発光材料であってよいが、この用語「発光材料("luminescent material")」は、ここにおいて、少なくとも蛍光体を含んでいる材料または混合材料のためにリザーブされている(ここにおいて定義される式(I)を有している蛍光体、および、任意的に、また、一つまたはそれ以上の他の蛍光体である(以下もまた参照のこと))。
【0052】
用語である蛍光体は、一つの実施例においては、粒状蛍光体に関連し得るものであり、そして、別の実施例においては、(単結晶)蛍光体層(phosphor layer)に関連し得るものである。特定の実施例において、用語である蛍光体は、セラミック多結晶材料といった、自己支持層(self-supporting layer)を含み得る。同様に、用語「発光材料」は、一つの実施例においては、粒状「発光材料」に関連し得るものであり、別の実施例においては、(単結晶)「発光材料」層に関連し得るものである。特定な実施例において、用語「発光材料」は、セラミック材料といった、自己支持層を含み得る。
【0053】
用語「セラミック("ceramic")」は、特には、−中でも−以下によって得ることができる無機材料に関する。少なくとも500℃、特には、少なくとも800℃、少なくとも1000℃といった、少なくとも1400℃のような温度において(多結晶)粉末を加熱することによるものであり、減圧の下、大気圧の下または高圧の下、10
-8−500MPaの範囲内といったもの、特には、少なくとも0.5MPaといったもので、特には、少なくとも1MPaのようなもの、1−約500MPaのようなもの、少なくとも5MPa、または、少なくとも10MPaといったもの、特には、単軸(uniaxial)または等方圧の下、特には、等方圧の下で行われる。セラミックを得るための特定的な方法は、熱間等方圧加圧法(HIP)であるが、一方で、HIPプロセスは、上記のような温度および圧力条件下のように、焼結後HIP(post-sinter HIP)、カプセルHIP、または、組み合せ焼結HIPプロセスであってよい。こうした方法によって得ることができるセラミックは、それ自体として使用されてよく、または(研磨のように)さらに加工されてよい。セラミックは、特には、理論密度(theoretical density)(すなわち、単結晶の密度)の97−100%の範囲内のように、少なくとも90%(または、より高い、以下を参照のこと)、少なくとも95%といった、密度を有する。セラミックは、いまだに多結晶であるが、粒子(圧縮粒子または圧縮凝集粒子)の間の体積が減少または著しく減少している。高圧の下での加熱は、HIPといったもの、例えば、N
2とアルゴン(Ar)のうち一つまたはそれ以上を含んでいるといった、不活性ガス中で行うことができる。特には、高圧下での加熱の前に、700−1900℃の範囲から選択された、900−1800℃といった、温度において焼結プロセスが行われる。そうした焼結は、減圧下、10
-2Pa以下といった圧力下で行うことができる。そうした焼結は、理論密度の少なくとも95%、さらにより特別には、少なくとも99%のオーダーの密度を既にもたらすことがある。予備焼結(pre-sintering)と加熱の両方の後で、特には、HIPといった、高圧の下では、セラミック体(ceramic body)の密度は単結晶の密度に近くなり得る。しかしながら、セラミック本体が多結晶なので、セラミック体において粒界(grain boundaries)が存在するという違いがある。そうした粒界は、例えば、光学顕微鏡またはSEMによって検出することができる。従って、ここにおけるセラミック体は、特に、(同じ材料の)単結晶と実質的に同一な密度を有している焼結多結晶を参照するものである。そうした物体は、従って、(特にEu
2+といった光吸収種による吸収を除いては)可視光について非常に透明であり得る。
【0054】
しかしながら、一般には、また、蛍光体を得るために、単軸または等方圧力が適用されてよい。従って、一つの実施例において、本発明は、また、ここにおいて記載される蛍光体を製造するための方法も提供する。少なくとも所望の蛍光体および加熱をもたらし得る比率において出発材料を選択することによるものである。圧力、特には、単軸または等方圧力、さらにより特定的には等方圧力の下における一つの実施例において、出発材料は、少なくとも所望の蛍光体を生成する。等方圧力の場合には、圧力伝達ガスフェイズ(pressure transmitting gas phase)が窒素を含むとすれば、特に適している。窒素は、高温における窒化物蛍光体材料の分解を防止し、かつ、従って、ターゲット材料の特性を向上させ得ることが見い出されてきた。0.001−200MPaの範囲内の窒素分圧が適用されてよい。特には、少なくとも800℃の温度、約1500℃までの温度、および、大気圧から上記の圧力、または、さらに上までの全ガス圧である。
【0055】
上述のように、かつ/あるいは、上記から誘導され得るように、発光材料、そして、従って、また、セラミック発光材料が適用される事例におけるセラミック材料は、一つまたはそれ以上のここにおいて記載される蛍光体を含んでよい。そして、任意的に、(a)一つまたはそれ以上の他のタイプの蛍光体、(b)一つまたはそれ以上のここにおいて記載される蛍光体(それぞれ)の合成の最中に形成される一つまたはそれ以上の他のフェイズ、(c)一つまたはそれ以上のここにおいて記載される蛍光体(それぞれ)の合成の最中に使用される一つまたはそれ以上の出発材料、(d)一つまたはそれ以上のここにおいて記載される蛍光体(それぞれ)の合成の最中に使用される一つまたはそれ以上のフラックス、(e)一つまたはそれ以上の散乱材料、および、(f)一つまたはそれ以上の他の物質(ハロゲン化物塩といったもの)のうち任意的に一つまたはそれ以上を含んでよい。
【0056】
用語「含む("comprising")」は、一つの実施例において、「からなる("consisting of")」を参照するが、別の実施例においては、また、「少なくとも定義された種および任意的に一つまたはそれ以上の他の種を含む」ことも参照してよい。フレーズ「三価からなるグループから選択される」という語句は、一つの実施例においては、グループから選択される単一の種を参照し得るが、別の実施例においては、また、そのグループから選択される一つまたはそれ以上の種も参照し得る。従って、ときどきフレーズ「からなるグループから選択される一つまたはそれ以上の」も、また、適用される。従って、「Ca、SrおよびBaからなるグループから選択されるM」のようなフレーズは、Ca、Sr、およびBaからなるグループから選択された一つまたはそれ以上のM(種)を示すことができる。従って、そうしたフレーズも、また、(適用可能な場合に)2つ以上の組み合せに関連するものである。
【0057】
用語である光源は、原理的には、従来技術において知られているあらゆる光源に関連し得るが、特には、LEDベースの光源を参照してよく、ここにおいては、さらに、LEDとして示されている。以下の説明は、−理解の目的のために−、LEDベースの光源だけを取り扱う。光源は、UV及び/又は青色光を提供するように構成されている。一つの好ましい実施例において、発光ダイオードは、青色成分を伴うLED光を生成するように構成されている。別の言葉で言えば、光源は、青色LEDを含んでいる。従って、一つの実施例において、光源は、青色光を生成するように構成されている。特に、LEDは、ソリッドステートLEDである。
【0058】
なおも別の実施例において、発光ダイオードは、UVコンポーネントを伴うLED光を生成するように構成されている。別の言葉で言えば、光源は、UV LEDを含んでいる。UV光源が適用され、かつ、青色または白色光が望まれる場合には、青色コンポーネントとして、例えば、良く知られた材料であるBaMgAl
10O
17:Eu
2+または(Sr、Ba、Ca)
5(PO
4)
3Cl:Eu
2+が適用されてよい。しかしながら、UV光を青色光へと変換することができる他の発光材料も、また、代替的または追加的に適用されてよい。
【0059】
好ましくは、光源は、動作の最中に、少なくとも200−490nmの範囲から選択された波長における光、特には、動作の最中に、少なくとも400−490nmの範囲、さらにより特定的には440−490nmの範囲内、から選択された波長において光を放射する光源である。この光は、発光材料によって部分的に使用されてもよい(以下を参照のこと)。特定の実施例において、光源は、ソリッドステートLED光源(LEDまたはレーザダイオードといったもの)を含んでいる。
【0060】
用語「光源("light source")」は、また、2−20(ソリッドステート)LED光源といった、複数の光源に関連してもよい。従って、用語LEDは、また、複数のLEDを参照してもよい。従って、特定の実施例において、光源は、青色光を生成するように構成されている。
【0061】
ここにおける用語である白色光(white light)は、当業者に知られている。特には、約2000と20000Kとの間、特に2700−20000K、の相関色温度(CCT)を有する光に関連するものである。特には、約2700Kと6500Kの範囲の一般照明のためであり、そして、特には、約7000Kと20000Kの範囲のバックライト目的のためである。そして、特には、BBL(黒体軌跡)から約15SDCM(standarad deviation of color matching)以内であり、特に、BBLから約10SDCM以内、なおもより特定的には、BBLから約5SDCM以内である。
【0062】
一つの実施例において、光源はまた、約5000と20000Kとの間の相関色温度(CCT)を有する光源光を提供し得る。例えば、ダイレクト蛍光体変換LED(direct phosphor converted LED)(例えば、10000Kを得るために、蛍光体の薄い層を有する青色発光ダイオード)である。したがって、特定の実施例において、光源は、5000−20000Kの範囲、なおもより特定的には6000−20000Kの範囲、8000−20000Kといった、相関色温度を有する光源光を提供するように構成されている。相対的に高い色温度の利点は、光源光において比較的に高い青色成分が存在し得ることである。
【0063】
用語「紫色光("violet light")」または「紫色発光("violet emission")」は、特に、約380−440nmの範囲における波長を有する光に関連するものである。用語「青色光("blue light")」または「青色発光("blue emission")」は、特に、約440−490nmの範囲における波長(いくつかの紫色およびシアン色の色調を含んでいる)を有する光に関連するものである。用語「緑色光("green light")」または「緑色発光("green emission")」は、特に、約490−560nmの範囲における波長を有する光に関連するものである。用語「黄色光("yellow light")」または「黄色発光("yellow emission")」は、特に、約540−570nmの範囲における波長を有する光に関連するものである。用語「オレンジ色光("orange light")」または「オレンジ色発光("orange emission")」は、特に、約570−600の範囲における波長を有する光に関連するものである。用語「赤色光("red light")」または「赤色発光("red emission")」という用語は、特に約600−750nmの範囲における波長を有する光に関連するものである。用語「ピンク色光("pink light")」または「ピンク色発光("pink emission")」は、青色成分および赤色成分を有する光を参照する。用語「可視("visible")」、「可視光("visible light")」または「可視発光("visible emission")」は、約380−750nmの範囲における波長を有する光を参照する。
【0064】
発光材料は、ここにおいて記載されるような一つまたはそれ以上の蛍光体、および、任意的に、窒化物発光材料を含んでいる二価のユーロピウム、または、オキソ窒化物発光材料を含んでいる二価のユーロピウム、からなるグループから選択される一つまたはそれ以上のさらなる蛍光体を含んでいる。赤色発光材料は、一つの実施例において、(Ba、Sr、Ca)S:Eu、(Mg、Sr、Ca)AlSiN
3:Eu、および(Ba、Sr、Ca)
2Si
5-xAl
xO
xN
8-x:Euからなるグループから選択される一つまたはそれ以上の材料を含んでよい。特には、0−5の範囲にあるxを伴い、なおもより特定的には、0−2の範囲にあるxを伴い、なおもより特定的には、0<x≦0.2であって、少なくとも0.02といったものである。これらの化合物において、ユーロピウム(Eu)は、実質的または唯一の二価(divalent)であり、そして、指示された二価のカチオンの一つまたはそれ以上を置き換える。一般的に、Euは、カチオンの10%より大きい量は存在せず、それが置換するカチオンに対して、特に、約0.5−10%の範囲、より特定的には、約0.5−5%の範囲におけるものである。用語「:Eu」または「:Eu
2+」は、金属イオンの一部がEu(これらの例においては、Eu
2+)によって置換されていることを示している。例えば、CaAlSiN
3:Euにおて2%のEuを仮定すると、正しい式は(Ca
0.98Eu
0.02)AlSiN
3となり得るだろう。二価のユーロピウムは、一般的に、二価のカチオンを置換する。上記の二価のアルカリ土類カチオン、特には、Ca、Sr、またはBaといったものである。物質(Ba、Sr、Ca)S:Euは、MS:Euとして表記されてよい。ここで、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、およびカルシウム(Ca)からなるグループから選択される一つまたはそれ以上のエレメントであり、特に、Mは、この化合物において、カルシウムまたはストロンチウム、もしくは、カルシウムおよびストロンチウム、より特定的には、カルシウムを含んでいる。ここでは、Euが導入され、そして、Mの少なくとも一部を置換する(すなわち、Ba、Sr、およびCaのうち一つまたはそれ以上)。さらに、(Ba、Sr、Ca)
2Si
5-xAl
xO
xN
8-x:Euは、また、M
2Si
5-xAl
xO
xN
8-x:Euとしても表記されてよい。ここで、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、およびカルシウム(Ca)からなるグループから選択される一つまたはそれ以上のエレメントであり、特に、Mは、この化合物において、Sr及び/又はBaを含んでいる。さらに特定の実施例において、Mは、Sr及び/又はBaからなり(Euの存在を考慮に入れていない)、特に、50−100%、特には、50−90%のBaおよび50−0%、特に、50−10%のSrであって、Ba
1.5Sr
0.5Si
5N
8:Eu(すなわち、75%のBa;25%のSr)といったものである。ここでは、Euが導入され、そして、Mの少なくとも一部、すなわち、Ba、Sr、およびCaの一つまたはそれ以上を置換する。同様に、材料(Ba、Sr、Ca)AlSiN
3:Euは、また、MAlSiN
3:Euとしても表記されてよい。ここで、Mは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、およびカルシウム(Ca)からなるグループから選択される一つまたはそれ以上のエレメントであり、特に、Mは、この化合物において、カルシウムまたはストロンチウム、もしくは、カルシウムおよびストロンチウム、より特定的には、カルシウムを含んでいる。ここでは、Euが導入され、そして、Mの少なくとも一部(すなわち、Ba、Sr、Caのうち一つまたはそれ以上)を置換する。好ましくは、一つの実施例において、第1の発光材料は、(Ca、Sr、Mg)AlSiN
3:Eu、好ましくは、CaAlSiN
3:Euを含んでいる。さらに、別の実施例、前者と組み合わされ得るもの、において、第1の発光材料は、(Ca、Sr、Ba)
2Si
5N
8:Eu、好ましくは(Sr、Ba)
2Si
5N
8:Euを含んでいる。用語「(Ca、Sr、Ba)」は、対応するカチオンが、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウムによって占有され得ることを示している。また、そうした材料において、対応するカチオンのサイトは、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムからなるグループから選択されるカチオンを用いて占有され得ることも示している。従って、材料は、例えば、カルシウムおよびストロンチウム、もしくは、ストロンチウムのみ、等を含んでよい。
【0065】
従って、一つの実施例において、発光材料は、さらに、M
2Si
5N
8:Eu
2+を含んでよい。ここで、Mは、Ca、Sr、およびBaからなるグループから選択され、なおもより特定的に、Mは、SrとBaからなるグループから選択される。さらに別の実施例、前者と組み合わされ得るもの、において、発光材料は、さらに、MSiAlN
3:Eu
2+を含んでよい。ここで、Mは、Ca、Sr、およびBaからなるグループから選択され、なおもより特定的には、Mは、SrとBaからなるグループから選択される。
【0066】
発光材料は、また、ガーネットを含んでいる三価のセリウム、および、オキソ窒化物(oxonitride)を含んでいる三価のセリウム、からなるグループから選択される一つまたはそれ以上の蛍光体も含んでよい。オキソ窒化物材料は、また、従来技術において、しばしば、酸窒化物材料(oxynitride)としても表記されている。
【0067】
特に、発光材料は、さらに、M
3A
5O
12:Ce
3+発光材料を含んでよい。ここで、Mは、Sc、Y、Tb、Gd、およびLuからなるグループから選択され、ここで、Aは、AlおよびGaからなるグループから選択される。望ましくは、Mは、少なくともYとLuのうち一つまたはそれ以上を含み、そして、ここで、Aは、少なくともAlを含んでいる。これらのタイプの材料は、最高の効率をもたらし得るものである。特定の実施例において、第2の発光材料は、M
3A
5O
12:Ce
3+のタイプに係る少なくとも2つの発光材料を含む。ここで、Mは、YおよびLuからなるグループから選択され、ここで、Aは、Alからなるグループから選択され、そして、比率Y:Luは、少なくとも2つの発光材料について異なっている。例えば、それらのうち一つは、Y
3Al
5O
12:Ce
3+といった、Yに純粋に基づくものであってよく、そして、それらのうち一つは、(Y
0.5Lu
0.3)
3Al
5O
12:Ce
3+といった、Y、Luベースのシステムであってよい。ガーネットの実施形態は、特には、M
3A
5O
12ガーネットを含んでいる。ここで、Mは、少なくともイットリウムまたはルテチウムを含み、そして、ここで、Aは、少なくともアルミニウムを含んでいる。そうしたガーネットは、セリウム(Ce)を用いて、プラセオジム(Pr)またはセリウムとプラセオジムの組み合せを用いて、特には、しかしながら、Ceを用いて、ドープされてよい。特に、Aは、アルミニウム(Al)を含み、しかしながら、Aは、また、ガリウム(Ga)、及び/又は、スカンジウム(Sc)、及び/又は、インジウム(In)を部分的に含んでよい。特には、Alの約20%まで、より特定的には、Alの約10%までである(すなわち、Aイオンは、本質的に、Alが90モル%以上と、Ga、Sc、およびInのうち一つまたはそれ以上が10モル%以下と、からなるものである)。Aは、特に、約10%までのガリウムを含んでよい。別の変形において、AとOは、少なくとも部分的に、SiとNによって置換され得る。エレメントMは、特に、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、およびルテチウム(Lu)からなるグループから選択されてよい。さらに、Gd及び/又はTbは、特には、Mの約20%の量までしか存在しない。特定の実施例において、ガーネット発光材料は、(Y
1-xLu
x)
3Al
5O
12:Ceを含み、ここで、xは、0以上かつ1以下である。用語「:Ce」または「:Ce
3+」(または、同様の用語)は、発光材料における金属イオンの一部(すなわち、ガーネットにおける:「M」イオンの部分)が、Ce(または、用語が「:Yb」のようなものを示すであろう場合には、別の発光種)によって置き換えられることを示している。例えば、(Y
1-xLu
x)
3Al
5O
12:Ceを仮定すると、Y及び/又はLuの一部が、Ceによって置換される。この表記法は、当業者に対して知られている。Ceは、一般的に、Mを多くて10%まで置き換え、一般的に、Ce濃度は、0.1−4%、特には、(Mに関して)0.1−2%の範囲内にあるだろう。1%のCeと10%のYを仮定すると、完全に正しい式は(Y
0.1Lu
0.89Ce
0.01)
3Al
5O
12となり得るだろう。ガーネットにおけるCeは、当業者対して知られているように、実質的に、または、単に三価におけるものである。これらのYAGの例において、xは、例えば、LuによるYの置換を示すために使用されていることに留意する。
【0068】
従って、発光材料は、一つの実施例において、さらに、窒化物発光材料を含んでいる二価のユーロピウム、オキソ窒化物発光材料を含んでいる二価のユーロピウム、ガーネットを含んでいる三価のセリウム、およびオキソ窒化物を含んでいる三価のセリウム、からなるグループから選択される一つまたはそれ以上の他の蛍光体を含んでよい。
【0069】
当業者に対して明らかなように、蛍光体の組み合せも、また、適用されてよい。さらに、当業者に対して明らかなように、構成エレメント、活性化剤濃度、パーティクルサイズ、等のうち一つまたはそれ以上に関する発光材料(または蛍光体)の最適化、もしくは、発光材料の組み合せに関する最適化が、照明装置を最適化するために適用されてよい。
【0070】
発光材料は、特には、ここにおいて記載される(式(I)の)蛍光体の少なくとも10重量%、少なくとも20重量%といったもの、なおもより特定的には、少なくとも30重量%を含んでよい。本出願に係る実施例においては、ここにおいて記載される新規な蛍光体及び/又は他の発光材料を含んでいる、異なる発光材料も、また、特には、遠隔アプリケーションにおいて、デバイスにおける異なる位置に配置され得ることに留意する。照明装置は、しかしながら、ここにおいて記載される蛍光体(I)を少なくとも含んでいる。従って、実施例において、発光材料は、少なくとも80重量%を含んでよい。ここにおいて記載される(式(I)の)蛍光体の少なくとも85重量%といったものである。
【0071】
光源は、(TiO
2のような反射材料を用いてコーティングされたといった)反射壁、および、透明なウィンドウ(window)を伴い、チャンバの中で構成されてよい。一つの実施例において、ウィンドウは、光変換層(light conversion layer)である。なおもさらなる実施例において、ウィンドウは、光変換層を含んでいる。この層は、ウィンドウの上流(upstream)、または、ウィンドウの下流(downstream)に配置されてよい。なおもさらなる実施例では、ウィンドウの両側において光変換層が適用されている。
【0072】
用語「上流("upstream")」と「下流("downstream")」は、光生成手段(ここにおいては、光源)からの光の伝搬(propagation)に関するアイテムまたは機能の配置に関する。ここにおいて、光生成手段からの光ビームの中の第1の位置に関して、光生成手段に対してより近い光ビームの中の第2の位置が「上流」であり、そして、光生成手段からさらに遠い光ビームの中の第3の位置が「下流」である。
【0073】
発光材料は、光源光の少なくとも一部を変換するように構成されている。別の言葉で言えば、光源が発光材料に対して放射結合している(radiationally coupled)と言うことができる。光源が、実質的にUV発光光源を含む場合に、発光材料は、発光材料の上にに当たる実質的に全ての光源光を変換するように構成されてよい。光源が、青色光を生成するように構成されている場合において、発光材料は、光源光を部分的に変換することができる。構成に応じて、残りの光源光の一部は、発光材料を含んでいる層を透過することができる。
【0074】
ここでは、本発明に係る数多くのアプリケーションが示される。オフィス照明システム、家庭用アプリケーションシステム、店舗照明システム、家庭用照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバ適用システム、投影システム、自己点灯(self-lit)ディスプレイシステム、ピクセル表示システム、セグメント化ディスプレイシステム、警告サインシステム、医療照明アプリケーションシステム、インジケータサインシステム、装飾照明システム、ポータブルシステム、自動車アプリケーション、および、温室照明システム、である。
【0075】
上述のように、照明ユニットは、LCD表示装置のバックライトユニットとして使用され得る。従って、さらなる態様において、本発明は、また。バックライトユニットとして構成された、ここにおいて定められるような照明ユニットを含んでいるLCD表示装置も提供する。
【0076】
ここにおける用語「実質的に("substantially")」、「実質的に全ての発光」または「実質的に構成される」の中にあるといったもの、は、当業者によって理解されるであろう。用語「実質的に」は、「全く("entirely")」、「完全に("completely")」、「全て("all")」、等を伴う実施例も含んでよい。従って、実施例においては、また、形容詞が、実質的に削除されてもよい。適用可能な場合に、用語「実質的に」は、また、90%以上、95%以上といったもの、特には、99%以上、さおもより特定的には、100%を含んでいる、99.5%以上、に関連し得るものである。用語「含む("comprise")」は、また、用語「含む」が「からなる("consisting of")」を意味する実施例も含んでいる。用語「含む」は、一つの実施例において、「からなる」を参照するが、別の実施例においては、また、「少なくとも定められた種、および、任意的に一つまたはそれ以上の他の種を含んでいる」ことも参照することができる。用語「及び/又は("and/or")」は、特に、「及び/又は」の前後に言及されたアイテムのうち一つまたはそれ以上に関連するものである。例えば、フレーズ「アイテム1及び/又はアイテム2」、および、類似のフレーズは、アイテム1とアイテム2のうち一つまたはそれ以上に関連し得るものである。
【0077】
さらに、明細書および請求項において、用語である第1の("first")、第2の("second")、第3の("third")、等は、類似のエレメントを区別するために使用されており、そして、必ずしも、連続的または時系列な順序を記述するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な状況の下では交換可能であること、および、ここにおいて記載される本発明の実施例は、ここにおいて記載され、または、図示された以外の順序において動作可能であること、が理解されるべきである。
【0078】
ここにおける装置は、中でも、動作の最中に説明されるものである。当業者に対して明らかなように、本発明は、動作の方法、または、動作における装置について限定されるものではない。
【0079】
上記の実施例は、本発明を限定するより、むしろ説明するものであること、および、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替的な実施例をデザインすることが可能であること、に留意すべきである。請求項において、括弧内に置かれたあらゆる参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「含む("to comprise")」と、その活用形の使用は、請求項において記載されたエレメントまたはステップ以外のものの存在を排除するものではない。エレメントに先行する冠詞「a」または「an」は、複数のそうしたエレメントの存在を排除するものではない。本発明は、いくつかの別個のエレメントを含んでいるハードウェアによって、および、適切にプログラムされたコンピュータによって、実施され得るものである。いくつかの手段を列挙している装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、ハードウェアに係る一つおよび同一のアイテムによって具体化され得るものである。特定の手段が相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0080】
本発明は、さらに、明細書に記載された、かつ/あるいは、添付の図面において示された、一つまたはそれ以上の特色となる特徴を含んでいる装置に対して適用される。本発明は、さらに、明細書に記載された、かつ/あるいは、添付の図面において示された、一つまたはそれ以上の特色となる特徴を含んでいる方法またはプロセスに関連するものである。
【0081】
この特許出願において説明された様々な態様は、さらなる利点を提供するために組み合せることができる。さらにまた、いくつかの特徴は、一つまたはそれ以上の分割出願の基礎を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1aは、参照番号100で示される、本発明の照明ユニットに係る一つの実施例を概略的に示している。照明ユニットは、光源10を含んでおり、この概略図においてはLED(発光ダイオード)である。この実施例において、光源10の上、ここでは(光出口)表面15の上、従って光源10の下流(downstream)において、発光材料20が設けられる。この発光材料20は、ここにおいて説明されるように蛍光体(phosphor)を含み、参照番号40で示されている。例として、照明ユニット100は、例えば、光抽出特性のために、(透過性)ドーム61をさらに含んでいる。これは、透過性光学エレメント60の一つ実施例であり、この実施例においては、光源10の下流に、および、また光変換層20の下流に配置されている。光源10は、光源光11(図面には示されていない)を提供し、少なくとも光変換層20により、少なくとも蛍光体40によって少なくとも部分的に変換される。照明ユニットから放射される光は、参照番号101を用いて示されており、そして、少なくともこの発光材料光51を含んでいるが、任意的に、発光材料50の吸収と光源光11にも依存している。
【0084】
図1bは、ドームのない、別の実施例を概略的に示しているが、任意的なコーティング62を伴うものである。このコーティング62は、透過性光学エレメント60のさらなる例である。一つの実施例において、コーティング62は、ポリマー(polymeric)層、シリコーン(silicone)層、または、エポキシ(epoxy)層であってよいことに留意する。代替的または追加的に、二酸化ケイ素(silicon dioxide)及び/又は窒化ケイ素(silicon nitride)のコーティングが適用されてよい。
【0085】
図1a−1b両方の概略的に示された実施例において、発光材料20は、光源10、または、LEDのダイ(die)といった、少なくともその光出口表面(つまり、表面15)と物理的に接触している。
図1cにおいては、しかしながら、発光材料20が、光源10から離れて配置されている。この実施例において、発光材料20は、出口窓(exit window)といった、透過性(すなわち、光透過性)サポート30の上流に構成されている。サポート30の表面は、それに対して光変換層20が適用されるが、参照番号65を用いて示されている。発光材料20は、また、支持体30の下流に配置されてもよく、もしくは、サポート発光材料20の両側に配置されてもよいことに留意する。発光材料20と光源(特には、その光出口表面15)との間の距離は、参照記号d1を用いて示されており、そして、0.1mm−10cmの範囲内にあってよい。
図1c構成においては、原則として、一つ以上の光源10も適用され得ることに留意する。
【0086】
図1dは、概略的に
図1と同じであるが、ここでは、複数の光源10を伴うものである。
【0087】
任意的に、発光材料は、セラミック材料といった、自己支持層(self-supporting layer)へと成形される。そうした場合に、透過性光学エレメント60は必要ではないかもしれないが、それにもかかわらず存在してもよい。
【0088】
実験
上記のように、請求される材料の合成は、様々な処理方法によって実行され得るものである。焼成温度を800−1300℃の範囲に保つことが、請求されるフェイズに係る相純度(phase purity)および発光特性を改善することが、本発明者によって見い出されてきた。成分M、D、C、B、Aおよび希土類/ランタニド金属、アルカリ土類アミド、または、シリコンジイミド(silicon diimide)の溶融によって得られる金属間フェイズのような反応性前駆体(reactive precursors)が特に適していることが判明している。フッ化物または塩化物のようなフラックス材料の添加も、また、フェイズ形成を改善する。適切な合成方法は、高圧窒化、アルカリ金属溶融における処理、アモノサーマル(ammonotherrmal)合成、および、標準的な混合と焼結(mix and fire)アプローチを含んでいる。
【0089】
実施例1:Ca
1.99Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.01(つまり、(Ca
0.995Eu
0.005)
2Mg
2Li
2Si
2N
6;すなわちx=0.005)
5.331g(131.4ミリモル(mmole))CaH
2、5.611g(40ミリモル)Si
3N
4、1.393g(40ミリモル)Li
3N、2.917g(120ミリモル)Mg、および、0.125g(0.6ミリモル)EuF
3が混合され、かつ、成形ガス(5%H
2)の下で1100℃において2時間焼結される。
【0090】
粉末蛍光体が、内部標準(internal standard)としてのシリコン(silicon)を伴う粉末XRDによって分析された。蛍光体は、格子定数a=5.5579Å、b=9.8285Å、c=6.0050Å、およびβ=97.25°の単斜(monoclinic)Ca
2Mg
2Li
2Si
2N
6構造において結晶化する。
図5は、生の(raw)蛍光体粉末の粉末XRDパターンを示している。CaO二次フェイズは、アンモニア溶液で洗浄することによって除去されている。440nmでの励起は、639nmにおけるピーク発光、および、スペクトル幅FWHM=1550cm
-1(CIE色座標x、y=0.687、0.313、ルーメン相当LE=129.4lm/W)を伴う赤色スペクトル範囲における発光をもたらす。スペクトルは
図6に示されている。本発明者は、約410、460、および、550nmに位置する3つの励起極大は、理想的な八面体配位において3つの5d t
2g状態のエネルギー的縮退(energetic degeneracy)を除去する八面体EuN
6配位に係る低減された対称性によるものであると考えている。
【0091】
実施例2:(Ca
.0.8Sr
0.2)
1.99Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.01(つまり、(Ca
0.796Sr
0.199Eu
0.005)
2Mg
2Li
2Si
2N
6;すなわちx=0.005)
4.021g(95.52ミリモル)CaH
2、2.141g SrH
2(23.88ミリモル)、5.611g(40ミリモル)Si
3N
4、1.393g(40ミリモル)Li
3N、2.917g(120ミリモル)Mg、および、0.125g(0.6ミリモル)EuF
3が混合され、かつ、成形ガス(5%H
2)の下で1100℃において2時間焼結される。
【0092】
粉末蛍光体が、内部標準としてのシリコンを伴う粉末XRDによって分析された。蛍光体は、格子定数a=5.5636Å、b=9.8376Å、c=6.0126Å、およびβ=97.26°の単斜Ca
2Mg
2Li
2Si
2N
6構造において結晶化する。
図5は、生の(raw)蛍光体粉末の粉末XRDパターンを示している。(Ca、Sr)Oの二次フェイズは、アンモニア溶液で洗浄することによって除去されている。440nmでの励起は、635nmにおけるピーク発光、および、スペクトル幅FWHM=1510cm
-1(CIE色座標x、y=0.680、0.320、ルーメン相当LE=154.1lm/W)を伴う赤色スペクトル範囲における発光をもたらす。実施例1と比較した放射に係るスペクトルの青色シフトは、より大きなSr原子の取り込み(incorporation)によるホスト格子の膨張によるものである。励起と放射は、
図7に示されている。
【0093】
実施例3:Ca
.1.848Sr
0.14Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.02(つまり、(Ca
0.92Sr
0.07Eu
0.01)
2Mg
2Li
2Si
2N
6;すなわちx=0.001)
5g(0.05モル)Mg
3N
2、18.8g(0.15モル)SrF
2、Mg
3N
2とCaF
2を混合して窒素の下で950℃で焼結することによって用意された33.5g(0.1モル)Mg
3Ca
3N
2F
6、11.6g(0.2モル)Si(NH)
2、9.8g Li
3N(0.2モル)、13.9.g(2モル)Li、および、0.2g(0.001モル)EuF
3が混合され、かつ、密封されたタンタル反応容器の中で950℃において24時間焼結される。スクリーニングによって、生の生産物からCa
.1.848Sr
0.14Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.02の橙色微結晶が分離される。EDXを用いた材料の分析は、X線粉末回折およびリートベルト法(Rietvelt refinement)によって分析されたものに対応する組成を示す。表5は、EDX分析結果を重量%で示す。
【表5】
Liは、EDXを用いて検出され得ない。
【0094】
励起および発行が
図8に示されている。
【0095】
以降には、Ca
.1.99Mg
2Li
2Si
2N
6:Eu
0.01について、いくつかの代替的な準備方法が説明される(実施例1も参照のこと)。
【0096】
実施例4
4.188g(99.5ミリモル)CaH
2、1.161g(33.3ミリモル)Li
3N、8.041g(100.0ミリモル)MgSiN
2、および、0.088g(0.25ミリモル)Eu
2O
3が混合され、かつ、続いて窒素ガスの下で1100℃において5時間焼結される。前駆体MgSiN
2(precursor MgSiN
2)は、3.364g(33.3ミリモル)Mg
3N
2と4.676g(33.3ミリモル)Si
3N
4を混合し、かつ、成形ガス(5%H
2)の下で1250℃において3時間焼結することによって合成される。444ナノメートル(nm)における励起が、638nmにおけるピーク発光を伴う赤色スペクトル範囲におけるものであり、かつ、スペクトル幅がFWFH=1451cm
-1である発光を導いている。
【0097】
実施例5
4.188g(99.5ミリモル)CaH
2、1.161g(33.3ミリモル)Li
3N、3.836g(50.0ミリモル)Mg
2Si、1.404g(50.0ミリモル)Si、および、0.088g(0.25ミリモル)Eu
2O
3が混合され、かつ、続いて窒素ガスの下で1000℃において5時間焼結される。444nmにおける励起が、637nmにおけるピーク発光を伴う赤色スペクトル範囲におけるものであり、かつ、スペクトル幅がFWFH=1480cm
-1である発光を導いている。
【0098】
実施例6
4.917g(33.1ミリモル)Ca
3N
2、1.161g(33.3ミリモル)Li
3N、3.364g(33.3ミリモル)Mg
3N
2(または、2.431g(100.0ミリモル)Mg)、および、0.104g(0.5ミリモル)EuF
3が混合され、かつ、続いて窒素ガスの下で1100℃において5時間焼結される。444nmにおける励起が、639nmにおけるピーク発光を伴う赤色スペクトル範囲におけるものであり、かつ、スペクトル幅がFWFH=1549cm
-1である発光を導いている。
【0099】
実施例7
6.782g(99.5ミリモル)CaSi、1.161g(33.3ミリモル)Li
3N、3.364g(33.3ミリモル)Mg
3N
2(または、2.431g(100.0ミリモル)Mg)、および、0.104g(0.5ミリモル)EuF
3が混合され、かつ、続いて窒素ガスの下で1000℃において5時間焼結される。前駆体CaSi(precursor CaSi)は、4.209g(100.0ミリモル)CaH
2と2.809g(100.0ミリモル)Siを混合し、かつ、窒素の下で975℃において3時間焼結することによって合成される。
【0100】
実施例8
5.182g(50.0ミリモル)CaSi
2:Eu、2.094g(49.755ミリモル)CaH
2、1.161g(33.3ミリモル)Li
3N、2.431g(100.0ミリモル)Mg、および、0.052g(0.25ミリモル)EuF
3が混合され、かつ、続いて成形ガス(5%H
2)の下で1100℃において2時間焼結される。前駆体CaSi
2:Euは、4.188g(99.5ミリモル)CaH
2、5.617g(200.0ミリモル)Si、および、0.088g(0.25ミリモル)Eu
2O
3を混合し、続いてアルゴン雰囲気(argon atmosphere)において975℃で3時間焼結することによって得られた。444nmにおける励起が、639nmにおけるピーク発光を伴う赤色スペクトル範囲におけるものであり、かつ、スペクトル幅がFWFH=1421cm
-1である発光を導いている。
【0101】
実施例9
9.303g(100.0ミリモル)CaMgSi:Euと1.161g(33.3ミリモル)Li
3Nが混合され、かつ、成形ガス(5%H
2)の下で1100℃において2時間焼結される。前駆体CaMgSi:Euが、4.188g(99.5ミリモル)CaH
2、2.431g(100.0ミリモル)Mg、2.809g(100.0ミリモル)Si、および、0.088g(0.25ミリモル)Eu
2O
3を混合し、かつ、アルゴン雰囲気において975℃で3時間焼結することによって受け取られた。444nmにおける励起が、638nmにおけるピーク発光を伴う赤色スペクトル範囲におけるものであり、かつ、スペクトル幅がFWFH=1413cm
-1である発光を導いている。
【0102】
実施例のいくつかのデータのまとめが、表6に示されている。
【表6】
【0103】
実施例10
熱硬化性シリコーン樹脂(heat curable silicone resin)における、実施例1に係る蛍光体粉末と市販されている緑色蛍光体β-SiAlON:Euとの混合物が、CIEカラーポイントx、y=0.265、0.2354(
図9)が実現されるようなやり方において、441nm発光LEDダイを含むLEDパッケージにおいて分配される。製造されたLEDをLCDバックライト(backlighting)ユニットの中に統合することは、平衡したホワイトポイント(white point)(スクリーンCIE色座標x、y=0.287、0.304の前面(front))について、8677Kのスクリーン相関色温度(correlated color temperature)の前面を結果として生じる。94%(133%)のNTSC(sRGB)の色域(color gamut)パフォーマンスが達成されている。この例に係るLEDの発光スペクトルが
図9に示されており、x軸は波長(nm)、y軸は任意単位における相対強度(I)である。