【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を実現するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
支承構造部材の設計方法であって、前記支承構造部材は、外部負荷作用を受ける下で提供する最大反力が
所定値つまり自身の設計閾値である。即ち、外部負荷が支承構造部材の
所定値よりも大きい場合、前記支承構造部材には変形が発生し、同時に
所定値の大きさに相当する反力を提供する。
【0006】
本発明の前記支承構造部材は、従来の材料構造であり、当該
所定値は、当該支承構造部材が外部負荷を受ける場合、歪み発生過程において提供できる最大反力であり、当該反力は、支承構造部材が外部負荷作用の主体に提供する反力、または当該支承構造部材が支承構造部材を支持する担体に伝送される圧力を示す。当該外部負荷が提供する力は圧縮応力であってよく、引張応力であってもよい。
【0007】
説明すべきことは、当該最大反力は、理論上点まで精確に絞った1つの値であるが、実際には各支承構造部材自身の構造に微視的差異が存在し、測定上の誤差も加わり、当該最大反力は実質的には安定した区間を有する1つの値域である。この値域は、支承構造部材の
所定値である。さらに、当該支承構造部材が支承構造部材の
所定値より大きな外部負荷を受ける場合、支承構造部材が提供する最大反力は、歪みが発生する過程においてそれが提供できる最大反力を指す。当該支承構造部材は変形方向において一定の長さを有するため、外部負荷を受けて歪みが発生し、その変形量は、変形極限(つまり最大の変形量)を有するものである。当該支承構造部材が安定した状態にある場合、その支承構造部材の変形量は変形極限になる傾向ではなく、その場合に当該支承構造部材が提供する反力は
所定値に等しい。当該支承構造部材が極限に至るまで歪み、これ以上歪みが発生できないとき、それが提供する最大反力は逆に突然の変化が発生して外部負荷の大きさに近付く。本出願で議論する当該反力の値は、変形の発生から変形極限の区間までの範囲である。
【0008】
当該支承構造部材の設計方法では、支承構造部材に弾性変形と塑性変形のみが発生し、上限負荷より大きい場合に破断が発生するという剛性構造の欠陥を克服し、また、弾性変形のみが発生する柔軟性構造の欠陥を克服することができる。即ち、当該支承構造部材が外部負荷が高くなく、且つ
所定値より低い場合、鋼構造物と同じ支持反力を提供して効果的に変形を抑制することができる。一方、当該支承構造部材には、外部負荷が
所定値を超える場合、外部負荷の大きさより小さく、安定した支持反力を提供するために、柔軟性構造のように迅速に変形または切削変形(当該変形は従来の弾性変形または塑性変形とは異なる)が発生する、それにより、当該支持担体に破壊が発生しないように、当該支承構造部材を支持する担体に安定した圧力を提供することができ、橋梁設計、建築構造設計の工事の応用分野に広く利用され得る。
【0009】
好ましくは、外部負荷が支承構造部材の
所定値以下である場合、前記支承構造部材には変形が発生すると共に、外部負荷の大きさ以下の反力を提供する。
【0010】
前記分析に基づいて、当該支承構造部材の荷重変位特性曲線を複数の段階に分けることができる。第1段階では、その支承構造部材が外部負荷を受けて発生する反力は、支承構造部材の変形量(変位量)の増大とともに徐々に増大する。このときに外部負荷の力の大きさは支承構造部材の
所定値より小さい。当該支承構造部材には変形が発生し、同時に外部負荷の大きさ以下の反力を提供する。その支承構造が外部負荷を受けて
所定値の大きさに到達し、ひいては
所定値を超える場合、第2段階に入る。第2段階において、当該支承構造の変形量は増加し続ける。この場合、支承構造には歪みが発生することによって提供される反力は、支承構造部材の変形量が歪みの極限に達するまで、変化せずに
所定値と等しい状態を保持する。
【0011】
好ましくは、外部負荷が支承構造部材の
所定値以下である場合、前記支承構造部材には弾性変形および/または塑性変形の歪みが発生する。
【0012】
上記の支承構造部材は、外部負荷が支承構造部材の
所定値以下である場合、発生する変形は弾性変形および/または塑性変形の歪みである。その場合に支承構造部材は剛性構造部材に発生する歪みが提供する最大反力と類似する。当該歪みの大きさは必ずしも肉眼で識別できる長さの範囲ではなく、マイクロメートルレベルの微視的な変位の変形範囲である。それは支承構造部材の内部構造で発生する弾性変形または塑性変形の歪みによって発生した反力である。
【0013】
好ましくは、外部負荷が支承構造部材の
所定値より大きい場合、前記支承構造部材は、例えば切削変形のように塑性変形よりもさらに迅速な歪みが発生する。この場合、当該支承構造部材は柔軟性構造部材と同様な歪みを発生する。提供する最大反力は外部負荷の大きさより小さいものであり、歪みが発生する過程において外部負荷の力の一部分を解放し、最終的に提供する最大反力は安定した閾値である。
【0014】
好ましくは、前記外部負荷は前記支承構造部材が受ける圧力である。つまり支承構造部材に垂直な面の力である。この力は同じ大きさを持続する力であってもよく、時間と共に変化する力であってもよい。
【0015】
本発明は支承構造部材をさらに提供する。前記支承構造部材が外部負荷の作用を受ける下で提供する最大反力は
所定値つまり自身の設計閾値である。つまり外部負荷が支承構造部材の設計値より大きい場合、前記支承構造には変形が発生し、さらに設計値と同じ大きさの反力を提供する。
【0016】
好ましくは、外部負荷が支承構造部材の
所定値以下である場合、前記支承構造部材には弾性変形および/または塑性変形の歪みが発生し、外部負荷の大きさ以下の反力を提供する。
【0017】
支承構造部材が受ける外部負荷が小さい場合、つまり支承構造部材の
所定値以下である場合、支承構造部材は剛性状態にある。弾性変形を利用して十分な支持反力を提供することができ、安定状態に置かれる。このときの当該反力は外部負荷の大きさよりも大きくならない(つまりそれ以下)。具体的には一般的な状況下において、支承構造部材が外部負荷を受けて微小の弾性変形が発生している過程において(例えばマイクロメートルレベルの微視的変位の変形範囲)提供する支持反力は当該時刻に対応する外部負荷力の大きさより小さいものである。支承構造部材に微小の弾性変形が発生した後に安定状態にある場合、当該支持反力は外部負荷の大きさに等しくなる。
【0018】
外部負荷が継続して増大する場合、支承構造部材は別の変形状態に入り、さらに大きい支持反力を提供すると同時に変形が発生する(例えば塑性変形状態)。当該支承構造が提供する反力の大きさと変位の変形量は曲線変化の関係にある。
【0019】
外部負荷が支承構造部材の
所定値より大きくなった場合、つまり当該支承構造部材の構造の安全性の上限を危険にさらす場合、当該支承構造部材は大変形または急速切削の状態に入る(ただし一般的な構造材料のような破断状態が発生しない)。当該支承構造部材
に急速変形が発生する過程において、迅速に外部負荷の一部分を解放することができる。当該一部の外部負荷の大きさは、支承構造部材の
所定値を超える負荷力と等しい、あるいは略等しい。そのため当該支承構造部材は外部負荷の大きさよりも小さくて安定した支持反力を提供することができる。提供された反力は一定の値前後を維持する、安定した力であるため、当該支承構造が提供する反力の大きさと変位の変形量は水平な直線変化の関係にある。
【0020】
外部負荷が
所定値の大きさ以下まで解放された場合、当該支承構造部材は第2段階の変形の発生が停止し、再度塑性変形または弾性変形状態のような第1段階の変形に入る。
【0021】
当該支承構造部材は、支承構造部材に弾性変形と塑性変形のみが発生し、上限負荷より大きい場合に破断が発生するという剛性構造の欠陥を克服し、また、弾性変形のみが発生する柔軟性構造の欠陥を克服することができる。つまり、当該支承構造部材は、外部負荷が高くなく、且つ
所定値より低い場合、鋼構造物と同じ支持反力を提供して効果的に変形を抑制することができる。一方、外部負荷が
所定値を超える場合、当該支承構造部材には、外部負荷の大きさより小さく、安定した支持反力を提供するために、柔軟性構造のように迅速に大変形または切削変形(ここでの大変形は、支承構造部材が設計値より低い外部負荷を受けるときに発生する小さな変形に対して言及したものであり、つまり単位時間あたりの変形量がさらに大きいことを意味する。切削変形は、支承構造部材に発生する変形過程において結晶体が結晶格子に沿って滑動し得ることによって発生した変形状態を指す。)が発生し得る。それにより、当該支持担体に破壊が発生しないように、当該支承構造部材を支持する担体に安定した圧力を提供することができ、橋梁設計、建築構造設計の工事の応用分野に広く利用され得る。
【0022】
好ましくは、前記支承構造部材は金属材料または金属合金材料の構造部材である。
【0023】
好ましくは、前記支承構造部材は亜鉛材料の構造部材、亜鉛合金材料の構造部材、アルミ材料の構造部材またはアルミ合金材料の構造部材である。
【0024】
当該支承構造部材は適切な展延性および優れた切削性を有し、亜鉛、亜鉛合金、またはアルミニウム、アルミニウム合金等の金属に適し、加工や製造をしやすい。一方、従来の赤銅のような展延性に非常に優れる金属および青銅のような脆性金属は、当該支承構造部材の特性には合致しない。
【0025】
好ましくは、前記支承構造部材は柱状体である。
【0026】
好ましくは、前記支承構造は、例えば円柱形状の構造のような回転体構造であり、当該材料は軸線を対称軸とする均質等方性を有し、これにより、当該支承構造の特性をより効果的に満たすことができる。
【0027】
好ましくは、前記支承構造部材は異径部を含み、前記異径部は横断面の大きさが軸方向に沿って変化する構造部分である。
【0028】
当該支承構造部材の異径部の構造部分は、外部負荷を支承する作用を発揮するだけでなく、さらに荷重変位曲線を安定させる作用を発揮する。つまり、異径部の変形過程において安定した大きさの反力を提供する。
【0029】
好ましくは、前記異径部は横断面の大きさが軸方向に沿って徐々に大きくなる構造であり、異径部の端部の横断面の大きさは前記定径部と接続される異径部の位置の横断面の大きさより大きい。
【0030】
好ましくは、前記異径部の側面は、内側へ凹み、ラッパ形状である。当該構造により、当該支承構造部材が
所定値よりも大きい外部負荷の作用下で、発生した大変形または切削変形が比較的対称で均一である場合、それによって提供される反力も比較的安定した状態である。
【0031】
好ましくは、前記支承構造部材は、前記異径部上に接続される定径部をさらに含み、前記定径部は断面積の大きさが軸方向に沿って同じである構造部分である。
【0032】
当該支承構造部材の定径部は主に外部負荷を支承することに用いられ、異径部は主に主要な変形作用を発揮する構造部分である。
【0033】
好ましくは、前記定径部と異径部は
曲線で接続されている。前記支承構造部材は一体成形されている構造部材であり、これにより、材料は等方性を有し、表面または内部構造の欠陥により塑性変形の負荷上限で破断が発生することが回避される。
【0034】
好ましくは、前記異径部の下端にはさらに前記支承構造部材を配置するため用いられる組立部が設けられている。前記異径部に接続されている組立部の一端の大きさは、前記異径部端部の大きさより小さい。
【0035】
組立部は支承構造部材を配置して固定することに用いられ、同時に支承構造部材の変形が定径部と組立部との間の異径部に集中するようにしている。
【0036】
好ましくは、前記組立部は回転体構造であり、さらに前記定径部と異径部は一体で成形された構造部材である。
【0037】
好ましくは、前記支承構造部材の定径部、異径部、組立部の横断面の直径はそれぞれd3、d3〜d2およびd1である。ここで、d2>d3>d1であり、前記異径部の横断面の直径はd3〜d2である。これは、異径部(12)の横断面の直径の最小寸法がd3であり、横断面の直径の最大寸法がd2であることを示している。
【0038】
好ましくは、前記異径部と組立部が相互に接続されている部分が肩幅であり、前記肩幅の大きさは(d2-d1)/2に等しい。ここで、(d2-d1)/2の参考値は3〜4mmである。
【0039】
試験において、当該肩部構造の肩幅の大きさにより、当該支承構造部材が大変形または切削変形を発生する場合に、提供される反力の大きさと変位の変形量が水平直線に近い変化の関係であることが示されている。
【0040】
好ましくは、前記定径部の長さL3は22〜28mmであり、直径d3は45〜50mmである。前記異径部の長さL2は18〜22mmであり、最大直径d2は48〜55mmである。前記組立部の長さL1は13〜16mmであり、直径d1は42〜45mmである。
【0041】
本発明は、少なくとも1つの上記の支承構造部材を含むホルダをさらに提供する。
【0042】
当該ホルダは当該支承構造部材を含む。示すべきことは、当該ホルダ上に位置する支承構造部材が圧力を受けて変形する場合、支承構造部材と同層のホルダ内部に位置する他の構造は剛性支持を提供しないということである。それによって当該ホルダは支承構造部材が変形する場合にホルダも変形を発生することができる。当該ホルダは上記支持構造部材
が変形することによって提供される反力と変位の変化量の応力歪み特性を利用しているため、負荷記憶型保護を実現している。つまり、外部負荷が比較的小さい(ホルダ負荷の上限より小さい)場合、ホルダ全体は剛性状態にある。全ての支持構造部材の弾性変形を利用することで、十分な支持反力を提供することができる。外部負荷が継続して増大し、且つ全ての支持構造部材の
所定値の和よりも小さい場合、ホルダは塑性状態に入る。当該ホルダはさらに大きな支持反力を提供することができると同時に、塑性変形を発生して負荷を解放する。外部負荷が増大して構造の安全性の上限を危険にさらす場合(つまり全ての支持構造部材の
所定値の和より大きいが、ホルダの破断が発生する負荷の上限値よりは小さい)、ホルダは大変形または迅速な切削変形の記憶状態に入る。つまり、ホルダは迅速な変形過程が発生する過程において、迅速に一部の負荷を解放する。この過程において外部負荷よりも小さい安定した支持反力を提供し続ける。負荷が下限負荷(つまりホルダに塑性変形が発生する最小外部負荷値)より小さくなるまで解放された場合、ホルダは再度弾性状態に入る。
【0043】
そのため、当該ホルダは剛性ホルダと柔軟性ホルダの欠点を克服する。外部負荷が高くない場合、効果的に変形を抑制し、外部負荷が制限を超えている場合、迅速に変形して構造を保護する。それにより、ホルダ底部の支持担体に対して安定した圧力を提供することができ、支持担体が破壊されず、当該ホルダは橋梁設計、建築構造設計の工事の応用分野に広く利用することができる。
【0044】
好ましくは、各前記支承構造部材の受ける力が提供する反力の方向はホルダの外部負荷を受けて変形する方向に平行である。
【0045】
好ましくは、全ての前記支承構造部材の高さは同じである。
【0046】
好ましくは、全ての前記支承構造部材の構造は同じである。つまり、形状、大きさおよび材質は全て同じである。
【0047】
このような各支承構造部材が提供できる最大支持反力は同じである。実際に必要な支持反力の大きさに基づいて、異なる数量の支承構造を柔軟に選択し、必要な要求を達成しやすい。
【0048】
さらに、単一の支承構造部材の直径および長さのパラメータを変えることにより、様々なレベルの負荷支承能力のホルダの設計を実現することができる。また、複数の支承構造部材を組み合わせることにより、高い負荷支承能力のホルダの設計も実現することができる。さらに、複数の支承構造を組み合わせたホルダの支承能力はさらに安定し、単一の支承構造のみを含むホルダの不安定性を解消することができる。
【0049】
好ましくは、受圧板をさらに含み、全ての前記支承構造部材の底部は前記受圧板の表面に配置され、前記受圧板の硬度は全ての支承構造部材の硬度より高い。
【0050】
全ての支承構造部材の底部には受圧板が配置され、支承構造部材が受圧板上に配置されることにより、全ての支承構造部材は受けた力を支承板に伝えることができる。次に、支承板は力を下方の支持担体上に伝え、これにより、ホルダの力の安定した伝達を実現し、ホルダから下方の支持担体に伝送された応力が不均一であることによって不安定な状態になることを回避する。
【0051】
好ましくは、前記受圧板上にはそれぞれ各前記支承構造部材に対して横向きの位置決めを行う位置決め構造が設けられ、支承構造部材が力を受けるときに発生する横向きの移動を回避し、安定した、軸線に沿った下向きの伝達を実現する。
【0052】
好ましくは、前記位置決め構造は各前記支承構造部材上の組立部構造と適合することができる組立穴である。
【0053】
好ましくは、前記組立穴は直径が比較的小さい上穴と、直径が比較的大きい下穴を含む。前記上穴と下穴は相互に連通し、前記上穴の直径は前記支承構造部材上の組立部の直径の大きさに適合している。
【0054】
当該組立穴は比較的小さい上穴を採用し、同時に小穴の下方に位置する直径が比較的大きい下穴を採用する。上穴は、支承構造部材の組立部と適合することで位置決めをして固定する作用を発揮する。また、上穴の側壁は、組立部と異径部とを接続する肩部構造と適合して支持作用を発揮する。下穴は、支承構造部材が
所定値を超過した外部負荷を受けて大変形または切削変形が発生した場合、変形した構造は上穴を通じて下穴に入り、収容の作用を発揮する。そのため変形した構造が異径部の径方向に向いて広がってホルダのその他の構造に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0055】
好ましくは前記上穴と支承構造部材の組立部は締まりばめである。
【0056】
さらに好ましくは、前記上穴の直径の大きさは前記支承構造部材の組立部の直径より10〜20マイクロメートル小さい。そのため、支承構造部材が受圧板上で緊密に合わさることに有利であり、支承構造部材が外部負荷作用を受ける場合、揺れ動くことなく、安定して力を受ける状態を保持する。
【0057】
好ましくは、全ての前記支承構造部材は均等に前記受圧板上に配置されている。
【0058】
好ましくは、前記
ホルダは加圧板をさらに含む。前記加圧板は全ての前記支承構造部材の頂端に配置され、全ての前記支承構造部材は前記加圧板と受圧板との間に配置されている。前記加圧板の硬度は全ての前記支承構造部材の硬度より高い。
【0059】
当該加圧板は支承構造部材の頂端に配置されている。その目的は外部負荷の力を均一に各支承構造部材上に伝えることである。
【0060】
説明することは、加圧板及び開孔受圧板は、硬度が支承構造部材より高い金属または非金属材料であり、これにより、支承構造部材を変形するように押圧及び切削することができる。
【0061】
好ましくは、前記受圧板と前記加圧板との間には、全ての前記支承構造部材と受圧板の横方向の移動を防止するための少なくとも1つのせん断抵抗柱が設けられている。前記受圧板上には位置決め穴が設けられ、前記加圧板上にはめくら穴が設けられている。前記せん断抵抗柱下端には前記受圧板の位置決め穴が適合し、上端には前記加圧板のめくら穴が適合する。初期状態の場合、前記せん断抵抗柱と前記めくら穴の底部は相互に接触しておらずに間隙がある。前記剪断穴の硬度は前記支承構造部材の硬度より高い。
【0062】
受圧板上には位置決め穴が設けられ、加圧板上にはめくら穴が設けられている。当該位置決め穴とめくら穴は相対して設けられ、せん断抵抗柱を収容することができる。せん断抵抗柱の作用はホルダが水平方向のせん断力を受けて支持構造が破壊されることを防止し、支承構造部材がホルダのその他構造に対して水平に移動することを回避し、さらに、ホルダ内の支承構造部材の正常な支承と変形を保護することである。当然のことながら、各支承構造部材の組立が便利になるように、加圧板に、支承構造部材に対応する複数のめくら穴を設けてもよい。
【0063】
好ましくは、ホルダの、水平方向の剪断力に対抗する作用を高めるために、全ての前記せん断抵抗柱は、形状、構造および大きさが同じであり、かつ全ての前記支承構造の間に均等に設けられている。
【0064】
好ましくは、前記受圧板底部には防滑ベースがさらに設けられている。
【0065】
当該受圧板底部に採用された防滑ベースは、ホルダの水平スライド移動を増加させ、それによって支持担体のホルダ底部に対する摩擦力によりホルダの内部構造が過大な水平の剪断力を受けることを低減またはなくす機能を有する。また、ホルダは、水平の剪断力を受ける際に、ホルダ内の受圧構造部材とその他の構造との相対的な静止を保護するために、全体が適切なスライドおよび回転を行うことができる。当該防滑ベースを採用する必要性は、利用条件によって決められる。具体的な防滑ベースはアスファルト、ゴム、ステンレス等の材料からなる。
【0066】
好ましくは、前記加圧板の上方にはホルダの高さを調整することができる楔形の填隙パッドが配置されている。
【0067】
当該填隙ベースは、ホルダを配置した後の余った隙間を埋める作用を有し、鋼板、コンクリート袋のように、任意の構成要素である。
【0068】
好ましくは、前記加圧板および受圧板の間の周辺にはサイドバッフル板が配置されている。サイドバッフル板は縦向きに加圧板と受圧板の間に配置され、ホルダの外観を美しくし、防水と防塵の作用を有する。
【0069】
さらに、ホルダのホイスティング、配置および移動の利便性を考慮するために、ホルダの表面に耳板等のモジュールを設けてもよい。
【0070】
好ましくは、前記ホルダの形状は長方形、正方形、柱状多面体、円形または楕円形状である。配置空間の形状および寸法に基づいてカスタマイズ化設計してもよい。
【0071】
本発明は、第1継手および第2継手を含む継手モジュールをさらに提供する。前記第1継手と前記第2継手の相互に接続される2つの端部には少なくとも1つの第1剪断キーおよび少なくとも1つの第2剪断キーが設けられている。全ての前記第1剪断キーおよび第2剪断キーは、対応する前記第1継手または前記第2継手の端面上に位置ずれ配置されている。隣接する前記第1剪断キーと第2剪断キーとの間の間隙には、前記ホルダが配置されている。
【0072】
当該継手モジュールは第1継手および第2継手を含む。当該第1継手および第2継手は、例えば梁体、函体等の構造部材に配置される端部構造のように、2つの独立した構造であってよい。従来の固定接続または剛性接続とは異り、2つのせん断キーを採用し、第1剪断キーおよび第2剪断キーの間にはホルダが配置されている。第1剪断キーおよび第2剪断キーの極限荷重がホルダの
所定値に等しいことを考慮する。ホルダが支承構造部材を含むため、当該支承構造部材は、外部負荷を受ける際に、最大が
所定値である反力を提供することができる。そのため、このような継手モジュールは、一定の設計負荷値を有する伝達作用を提供することができる。つまり、継手モジュールにおけるホルダは、第1継手および/または第2継手に接続される梁体、または函体構造部材に対する一定の支持力を提供することができる。外部負荷がホルダの
所定値以下である場合、当該ホルダは剛性構造部材のように支持反力を提供し、継手モジュールを安定状態に保持する。外部負荷がホルダの
所定値より大きい場合、第1継手と第2継手が新たなバランスに達するま
で、ホルダには迅速な変形または切削変形が発生し、これにより、ホルダから下方の剪断キーに伝送された圧力を
所定値の大きさと同じように保持する。ホルダのみが最大にまで達し(つまり支承構造部材が完全に変形して扁平状になる)、外部負荷がなおホルダの
所定値を超えている場合、ホルダが受ける外部負荷は2つの剪断キーに伝えられる。剪断キーの極限荷重をも超えているので、剪断キーには破断が発生する。そのうちの1つの継手は安定を保持し、第1継手および第2継手は分離し、これにより、2つの継手両方の破損を回避することができる。当該継手モジュールは、支承構造部材を有するホルダを配置することにより、従来の剛性接続を固定する継手が外部の負荷に遭遇した場合、2つの継手が同時に歪むか同時に破壊されることに対し、当該継手モジュールは従来の継手の剛性接続または柔軟性接続の欠陥を克服する。外部負荷が高くない場合、継手モジュールは変形を有効に抑制することができる。外部負荷が制限を超えている場合、継手モジュールにおけるホルダは迅速に変形して構造を保護する。それによって2つの継手に対して安定した支持反力を提供することができ、同時に2つの継手が破壊されることがない。当該継手モジュールを橋梁やトンネル構造の安全設計、建築構造設計の工事の応用分野に広く利用することができる。
【0073】
好ましくは、前記第1継手および第2継手の2つの端部が相互に協働する場合、全ての前記第1剪断キーおよび第2剪断キーは垂直方向に沿って交差して協働する。
【0074】
好ましくは、前記第1継手の一端は垂直方向に沿って2つの相互に平行な前記第1剪断キーが設けられている。2つの前記第1剪断キーは水平方向に沿うようになっている。前記第2継手と前記第1継手の相互に接続される一端には1つの前記第2剪断キーが設けられている。前記第2剪断キーは2つの前記第1剪断キーの間の間隙に適合し、隣接する前記第1剪断キーと第2剪断キーとの間の間隙に前記ホルダが配置されている。
【0075】
好ましくは、前記第1継手および第2継手は鉄筋コンクリートの構造管部材である。前記第1剪断キーは埋込み部材を介して前記第1継手の端部に固定されている鋼鉄剪断キーである。前記第2剪断キーは埋込み部材を介して前記第2継手の端部に固定されている鋼鉄剪断キーである。
【0076】
2つの鋼剪断キーは2つの継手中に埋め込まれており、それ自体が極限荷重を有しているため、
所定値が鋼鉄剪断キーの極限荷重と同じであるホルダを選択すれば、ホルダは2つの継手に対する保護作用を発揮することができる。
【0077】
本発明は、さらに函体モジュールを提供し、複数の函体を含み、隣接する2つの函体の間は上記継手モジュールにより接続されている。
【0078】
当該函体モジュールは函体を含み、陸地、山における函体の接続に用いることができ、さらに海底の沈埋函の分野においても利用することができる。例えば海底の沈埋函に用いるときに、第2函体は沈没船との衝突、海底地震等の外部の作用を受ける場合、沈降が発生する可能性がある場合、第2函体の一端はまず力を第1函体の相互に接続される継手モジュール中に伝える。当該継手モジュールのホルダが受ける外部負荷が突然増大し、当該ホルダ中の支承構造部材には歪みが発生する。これにより反対方向の支持力を提供し、2つの函体は新たな力学的平衡に達する。具体的には、以下の状況を含む。
【0079】
外部負荷がホルダの
所定値以下である場合、継手モジュールが提供する支持反力は第1函体および第2函体に解放され、第1函体および第2函体は共同で当該支持反力を支承する。そのため継手モジュールに接続される第2函体の端部は第1函体に対して相対的な変位を発生させず、両者は不変である。2つの函体底部が提供する反作用力が第1函体と第2函体の圧力に等しくなるまで、変位が発生するとしても、第1函体と第2函体が沈降
変位を共同で発生する変化である。
【0080】
外部負荷がホルダの
所定値より大きい場合
、継手モジュールのホルダは迅速に歪みと切削変形が発生する。ホルダが変形する過程において、第2函体の端部は第1函体に対して相対変位が発生し、これにより、構造部材2と構造部材1には相対的な位置ずれが発生するが、第2函体が外部負荷を受けて第1函体に伝送された作用力は、始終ホルダの歪みによって提供された
所定値に等しい反力に等しく、安全範囲にあり、第1函体および継手モジュール構造の安定に影響を及ぼさない。このとき、第2函体には変位が発生して沈降が引き起こされるため、第2函体の沈降により第2函体の底部の支持基盤が押圧を受けて第2函体に反作用力を提供する。つまり、第2函体が受ける基盤の支持反力は徐々に増大し、第2函体が受ける基盤の支持反力の増加量が、第2函体が沈降作用により継手モジュールのホルダ100上に作用する一部分の負荷力を相殺し、第1函体と第2函体との間の継手モジュールが受ける負荷力がホルダの
所定値以下である場合、ホルダは変形を停止して新たな力学的平衡を保持する。そうでない場合、ホルダは変形し続け、第2函体は沈降し続け、基盤も圧縮され続ける。基盤が提供する基盤の支持反力は、第1函体、継手モジュールおよび基盤の第2函体に対する支持力が新しい力学的平衡状態に達し、全ての構造が安定した平衡状態を保持するまで増加し続ける。このとき、第1函体および第2函体の相互の変位は函体の尺度に比べて非常に小さく(例えば函体のサイズが10メートルを超える場合、変位量は数センチメートル前後である。)、ホルダの非常に小さい変位量により新しい力学的平衡に達する。
【0081】
極端な状況において、外部負荷がホルダの
所定値より大幅に大きい場合、継手モジュールに増加した負荷作用力により、ホルダは迅速に発生する歪みと切削変形が最大化となった後、第2函体の沈降によって受ける基盤の支持反力の増加量が継手モジュールのホルダ上の
所定値より大きい一部の負荷力を相殺しきれない場合、継手モジュール上の第1函体に位置する剪断キーが受ける負荷力も極限荷重を超過する。そのため第1剪断キーは剪断され、第1函体および第2函体は分離し、第2函体は沈降し続け、外部負荷力は第1函体と第2函体との共同応力状態から第2函体のみの応力状態に変化し、継続して沈降する。これにより、第2函体と基盤は相互に圧縮して新しい力学的平衡に達し、ひいては、第2函体は破壊される。しかしながらこのような極端な状況において、第1函体と第2函体に採用される剛性接続に対して、また、同時に破壊される可能性があることに対して、このような極端な状況では第1函体ひいてはその他多くの函体が破壊されることを回避することができ、大部分の函体構造の安全を維持することができる。当該函体モジュールを陸地の橋梁やトンネル構造の安全設計、建築構造設計および海底パイプラインを接続する工事の応用分野に広く利用することができ、函体設計の安全係数を高め、潜在的なリスクを低減し、函体の安全と耐用年数を保証し、函体のメンテナンスをしやすい。