特許第6596522号(P6596522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596522アンモニア及び二酸化炭素から尿素を製造するための方法、並びに装置
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  • 特許6596522-アンモニア及び二酸化炭素から尿素を製造するための方法、並びに装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596522
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】アンモニア及び二酸化炭素から尿素を製造するための方法、並びに装置
(51)【国際特許分類】
   C07C 273/04 20060101AFI20191010BHJP
   C07C 275/00 20060101ALI20191010BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20191010BHJP
   F28D 5/02 20060101ALN20191010BHJP
【FI】
   C07C273/04
   C07C275/00
   F28D7/16 D
   !F28D5/02
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-18025(P2018-18025)
(22)【出願日】2018年2月5日
(62)【分割の表示】特願2015-510204(P2015-510204)の分割
【原出願日】2013年5月2日
(65)【公開番号】特開2018-76379(P2018-76379A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】12166579.8
(32)【優先日】2012年5月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512061836
【氏名又は名称】スタミカーボン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・アルベルト・アルノ・ファン・デン・ティラート
(72)【発明者】
【氏名】ヨゼフ・フベルト・メーセン
【審査官】 奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−104949(JP,A)
【文献】 国際公開第02/090323(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/141344(WO,A1)
【文献】 特開昭63−126857(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02196965(GB,A)
【文献】 国際公開第03/064379(WO,A1)
【文献】 特開昭63−112552(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00417830(EP,A1)
【文献】 米国特許第06730811(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 273/04
C07C 275/00
F28D 7/16
F28D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧合成セクションを含む尿素プラントにおいてアンモニア及び二酸化炭素から尿素を製造する方法であって、前記高圧合成セクションが、水平なプール凝縮器を含み、前記尿素プラントが、ストリッパー及び後続の反応器を含み、前記水平なプール凝縮器が、シェルアンドチューブ熱交換器であり、且つシェルセクション並びに第1の熱交換セクション及び第2の熱交換セクションを含み、前記後続の反応器が前記水平なプール凝縮器の下流に設けられ、
本方法が、
−高圧プロセス媒体を前記水平なプール凝縮器から前記後続の反応器に供給する段階であって、前記高圧プロセス媒体がカルバミン酸アンモニウムを含む、段階と、
−前記後続の反応器において前記高圧プロセス媒体から尿素合成溶液を形成する段階と、
−前記後続の反応器からの前記尿素合成溶液を前記ストリッパーにおいてストリッピングして、混合されたガスの流れ及びストリッピングされた溶液を与える段階と、
−前記混合されたガスの流れを前記水平なプール凝縮器の前記シェルセクションへ供給し、それによって、高圧プロセス媒体を前記水平なプール凝縮器の前記シェルセクション内に供給する段階と、
−前記シェルセクションにおいてカルバミン酸アンモニウムを凝縮し、それによって熱を放出する段階と、
−前記ストリッピングされた溶液を中圧尿素溶液として前記第1の熱交換セクション内に供給する段階であって、前記中圧尿素溶液が尿素及びカルバミン酸アンモニウムを含む、段階と、
−前記シェルセクションにおける前記高圧プロセス媒体から、前記第1の熱交換セクションにおける前記中圧尿素溶液へ熱を交換して、それによって、前記中圧尿素溶液に含まれるカルバミン酸アンモニウムをNH及びCOへと少なくとも分解する段階と、を含み、
本方法が、
−前記第2の熱交換セクションに水を供給する段階と、
−前記シェルセクションにおいて含まれる前記高圧プロセス媒体から、前記第2の熱交換セクションにおける前記水へと熱を交換して、それによって、低圧スチームを製造する段階を含む、
方法。
【請求項2】
新鮮なCOが、前記後続の反応器へ供給され、前記後続の反応器内部で吸熱性の尿素反応のための熱を提供する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
本方法が、中圧の再循環システム(22)における再循環段階を、前記第1の熱交換セクションの下流で、含み、
前記再循環段階が、前記第1の熱交換セクションから得られる流れを、分離器(24)において液相とガスとに分離するための分離段階と、中圧精留塔(26)において前記液相のための精留する段階と、前記ガスのための凝縮段階であって、前記ガスが中圧凝縮器蒸発器(28)において少なくとも部分的に凝縮される段階と、を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
尿素−水混合物に含まれる水が、前記中圧凝縮器蒸発器において、真空条件下で蒸発される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記中圧凝縮器蒸発器が、流下膜式蒸発器を含む、請求項又はに記載の方法。
【請求項6】
前記後続の反応器が、単一の容器において前記水平なプール凝縮器と組み合わされる、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
アンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造のための装置であって、本装置が、高圧合成セクションを含み、前記高圧合成セクションが、水平なプール凝縮器を含み、前記装置が、ストリッパー及び後続の反応器を含み、前記水平なプール凝縮器が、シェルアンドチューブ熱交換器であり、且つシェルセクション並びに第1の熱交換セクション及び第2の熱交換セクションを含み、前記後続の反応器が前記水平なプール凝縮器の下流に設けられ、
前記水平なプール凝縮器は、高圧プロセス媒体を前記後続の反応器に供給するように構成され、前記高圧プロセス媒体がカルバミン酸アンモニウムを含み、
前記後続の反応器は、前記高圧プロセス媒体から尿素合成溶液を形成し、且つ前記尿素合成溶液を前記ストリッパーへ供給するように構成され、
前記ストリッパーは、前記後続の反応器からの前記尿素合成溶液をストリッピングして、混合されたガスの流れ及びストリッピングされた溶液を与え、且つ前記混合されたガスの流れを前記水平なプール凝縮器の前記シェルセクションへ供給し、それによって、高圧プロセス媒体を前記水平なプール凝縮器の前記シェルセクション内に供給するように構成され、
前記シェルセクションは、カルバミン酸アンモニウムを凝縮し、それによって熱を放出するように構成され、
前記第1の熱交換セクションは、前記ストリッピングされた溶液が中圧尿素溶液として供給されるように構成され、前記中圧尿素溶液は尿素及びカルバミン酸アンモニウムを含み、
前記シェルセクションは、前記高圧プロセス媒体から、前記第1の熱交換セクションにおける前記中圧尿素溶液へ熱を交換して、それによって、前記中圧尿素溶液に含まれるカルバミン酸アンモニウムをNH及びCOへと少なくとも分解するように構成され、
前記第2の熱交換セクションは、水が供給されるように構成され、
前記第2の熱交換セクションは、前記シェルセクションにおける前記高圧プロセス媒体から、前記第2の熱交換セクションにおける前記水へと熱を交換して、それによって低圧スチームを製造するように構成される、装置。
【請求項8】
前記後続の装置が、CO前記後続の反応器へ供給するためのCO注入口をさらに含む、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記後続の反応器が垂直な反応器である、請求項又はに記載の装置。
【請求項10】
前記第1の熱交換セクションの下流で、中圧の再循環システム(22)を含み、前記再循環システムが、前記第1の熱交換セクションから得られる流れをガスと液相とに分離するための分離器と、前記液相を精留するための中圧精留塔と、前記ガスを少なくとも部分的に凝縮するための中圧凝縮器蒸発器とを含む、請求項7から9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記中圧凝縮器蒸発器が、真空条件下で尿素−水混合物からの水の蒸発のために、且つ、前記第1の熱交換セクションにおいて製造されたガスを凝縮するために、前記第1の熱交換セクションと流体接続され、且つ、前記第1の熱交換セクションの下流に設けられ、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記中圧凝縮器蒸発器が流下膜式蒸発器である、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記後続の反応器が、単一の容器において前記水平なプール凝縮器と組み合わされる、請求項7から12の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧合成セクションを含む尿素プラントにおいて、アンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
尿素プラントにおいてアンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造方法は既知である。このような方法は、例えば、特許文献1から知られている。尿素プラントは、高圧ストリッパー、高圧カルバミン酸塩濃縮器、及び、プール凝縮器又はプール反応器を含み得る。本方法は、いわゆるn=2熱統合のコンセプトに基づき得、尿素プラントへ供給される熱は2度用いられる。スチームはストリッパーを加熱するために用いられる。高圧カルバミン酸塩濃縮器、プール濃縮器、又はプール反応器における熱を回復した後、熱は、尿素プラントにおける他のプロセスセクションにおいて低圧スチームの形態で再利用される、又は、尿素プラントの外部のユーザーへと(部分的に)運ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/141344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エネルギーのコストの増大、ひいては、アンモニア及び二酸化炭素から尿素を製造するためのコストの増大により、尿素プラントのエネルギー効率の改善が望まれる。
【0005】
従って、本発明の目的は、尿素プラントにおいて、アンモニア及び二酸化炭素からの尿素を製造するための改善された方法を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、低減されたエネルギー消費によって動作する尿素プラントにおけるアンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、水平なプール凝縮器を備える高圧合成セクションを含む尿素プラントにおける、アンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造方法が提供される。本方法は、プール凝縮器のシェルセクションにおいて受けられる高圧プロセス媒体から、プール凝縮器において提供される第1の熱交換セクションにおいて受けられる溶液を含む中圧尿素へと熱を交換する段階を含み、カルバミンサンアンモニウムをNH及びCOへと少なくとも分解する。本方法は、高圧プロセス媒体から、プール凝縮器において提供される第2の熱交換セクションにおいて受けられる低圧スチーム凝縮物へと熱を交換する段階をさらに含み、低圧スチームを製造する。
【0007】
このような方法によって、低圧スチームを生成する段階の次に、カルバミン酸塩は凝縮されて、カルバミン酸塩をCO及びNHへと分解するために用いられる熱を放出する。これら二つの機能の統合によって、尿素の製造のために用いられる尿素プラントのスチーム消費は低減される。その結果、エネルギー消費は、例えば、アンモニア及び二酸化炭素からの尿素を製造する上述の従来技術の方法において用いられるものよりも低くなる。結果として、エネルギー効率が得られ、尿素の製造のためのコストが低減される。記載全般において、プール凝縮器は、液相が連続相である凝縮器として理解されるべきことに留意する。このようなプール凝縮器は、サブマージ凝縮器とも呼ばれ得る。
【0008】
さらに、この記載全般において、高圧は典型的には、100bar(10MPa)より上の圧力として定義され得、例えば120bar(12MPa)であることに留意する。中圧は典型的には、10〜35bar(1〜3.5MPa)の間、例えば10〜25bar(1〜2.5MPa)の間の圧力として定義され得、中間圧は典型的には、20〜100bar(2.0〜10MPa)の間、例えば25〜100bar(2.5〜10MPa)の間の圧力として定義され得、低圧は典型的には、2〜10bar(0.2〜1MPa)の間の圧力として定義され得る。
【0009】
上述の機能を統合するために、プール凝縮器は、本発明の他の一つの態様によると、シェルアンドチューブ熱交換器であり、第1の及び第2の熱交換セクションはそれぞれ、実質的にU字型のチューブ束を含む。シェルアンドチューブ熱交換器は、水平に配されるサブマージ凝縮器であり得る。言い換えると、シェルアンドチューブ熱交換器は容器を含み得、容器は実質的に水平に配され、容器の少なくとも中心軸が、実質的に水平に伸びて、本発明による方法を実施することが可能である。
【0010】
上記第1の及び第2のU字型のチューブ束は、プール凝縮器の内部空間を少なくとも部分的に通って、プール凝縮器のチューブシートから伸びる。第2のU字型のチューブ束は、低圧スチームの生成のために構成される。第1のU字型のチューブ束は、中圧の再循環セクションによる熱統合のために用いられる。第1の束は、使用時に、上記中圧の再循環セクションからのプロセス媒体によって満たされる。そのため、第1の束は、そのシェル側と同様にチューブ側上でプロセス媒体と接触する。好ましくは、酸化剤が、尿素の製造のためのプロセスへ加えられ、プラントの異なる部分の材料を腐食に対して保護する。そのようにすることによって、酸化物の膜が、金属表面上で形成される。酸化剤は、酸素であり得、空気の形態で、又は、過酸化物若しくは酸素放出化合物として加えられる。さらに、プロセス媒体と接触する部分は、耐腐食特性を有するオーステナイト−フェライト二相ステンレス鋼種から作製され得る。その場合、酸化剤の使用は、本発明による尿素の製造のプロセスにおいて、減少され得る、又は省略さえされ得る。
【0011】
上述の機能、つまり、カルバミン酸塩の凝縮と、NH及びCOへとカルバミン酸塩を分解するために続いて用いられる熱の放出との統合により、如何なる中間の伝熱媒体無しで、両方のプロセス側の間の利用可能な温度差は、それぞれのU字型のチューブ束を比較的小さくすることが可能である。これは、本発明による方法によって尿素を製造するための装置の製造コストに関して有利である。
【0012】
本発明のさらなる精巧さにおいて、プール凝縮器のシェルセクションにおいて受け取られる高圧プロセス媒体は、プール凝縮器の下流に設けられる後続の反応器へと提供される。好ましくは、尿素合成溶液を形成するための後続の反応器の内部での吸熱性の尿素反応のための熱を提供するために、新鮮なCOが後続の反応器へと提供される。
【0013】
本発明の他の一つの態様によると、本方法は、第1の熱交換セクションにおいて少なくとも製造されるガスを中圧凝縮器蒸発器へと供給する段階であって、上記ガスが少なくとも部分的に、且つ必要に応じて完全に凝縮される段階をさらに含む。プール凝縮器の第1のUチューブ束に入る前に、尿素/カルバミン酸塩溶液は、中間圧へと勢いよく流れる。結果として得られる液体は、中圧へとさらに減少され、プール凝縮器の第1のUチューブ束において加熱されるので、それによって、一度目に熱を効率的に再利用し、液体をCO及びNHへと分解する。中圧凝縮器蒸発器において、第1のU字型のチューブ束の下流に設けられる分離器からのガスは少なくとも、蒸発器のシェル側において凝縮される。ここで解放された凝縮の熱は実質的に、中圧凝縮器蒸発器のチューブ側へ提供される、水を含む尿素溶液から水を蒸発させるために用いられる。そのため、熱は二度目に再利用され、チューブ側上で、尿素と水の混合物から水を蒸発させる。
【0014】
本発明のさらなる態様によると、尿素−水混合物からの水は、中圧凝縮器蒸発器において真空条件下で蒸発され得る。
【0015】
好ましくは、本発明の他の一つの態様によると、中圧凝縮器蒸発器は、流下膜式蒸発器である。流下膜式蒸発器として中圧凝縮器蒸発器を設計することによって、効率的な対向流操作が得られ得る。凝縮の軌跡のどこかで、例えば凝縮の軌跡の中間で、低圧再循環セクションから来るカルバミン酸塩は、中圧洗浄器を介して加えられ得る。そのようにすることによって、シェル側とチューブ側との間に十分な温度差が維持され得、中圧凝縮器蒸発器の効率的な設計が得られる。
【0016】
また、本発明は、好ましくは前述の請求項の内の何れか一項に記載の方法を用いる、アンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造のための装置に関し、装置は、そのシェル側で高圧プロセス媒体を受けるように構成された水平なプール凝縮器を備える高圧合成セクションを含み、装置は、高圧プロセス媒体から、第1の熱交換セクションにおいて受けられる中圧尿素溶液へと熱を交換して、カルバミン酸アンモニウムをNH及びCOへと分解するための第1の熱交換セクションを含み、プール凝縮器は、高圧プロセス媒体から、第2の熱交換セクションにおいて受けられる低圧スチーム凝縮物へと熱を交換して、上記凝縮物を低圧スチームへと移動するための第2の熱交換セクションを含む。
【0017】
このような装置は、本発明による方法によって説明されるような同様の効果、及び優位点を提供する。
【0018】
本発明の、前述の及び他の特徴及び優位点は、本発明を制限せず、例示を意図する添付の図面と共に、本発明の特定の実施形態の以下の詳細な記載から、さらに十分に理解されることになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態による、アンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照して、本発明による尿素プラントにおけるアンモニア及び二酸化炭素からの尿素の製造方法の実施例が、尿素を製造するための装置1の異なる構成要素を参照して説明される。尿素プラントは、水平なプール凝縮器4、つまり、いわゆるシェルアンドチューブ熱交換器を備えた高圧セクション2を含む装置1を備える。プール凝縮器4は、第1の熱交換セクション6及び第2の熱交換セクション8を備える、使用時には実質的に水平に配される容器を含む。示される実施形態では、両方の熱交換セクション6、8は、実質的にU字型のチューブ束10、12を含む。第1のU字型のチューブ束10は、カルバミン酸塩の凝縮のために、且つ、上記凝縮の間に放出される熱によってNH及びCOへとカルバミン酸アンモニウムを続いて分解するために構成される。
【0021】
第2のU字型のチューブ束12は、低圧スチームを製造するために構成される。両方のU字型の束10、12は、プール凝縮器4のシェル14によって画定される内部空間を少なくとも部分的に介して、プール凝縮器4のチューブシート16から伸びる。
【0022】
装置1は、尿素変換の最終的な反応のための、後続の反応器、示された実施形態では垂直な反応器18をさらに含み得る。(示されない)他の一つの実施形態では、後続の反応器は、プール凝縮器と組み合わされ得る。好ましくは、垂直な反応器18は、地表面で配される。垂直な反応器18の下部セクションにおいて、新鮮なCOを反応器へ提供し、吸熱性の尿素反応を可能にするために、注入口19が設けられる。また、装置1は、COストリッパー20、及び中圧の再循環システム22を含み得る。後者のシステム22は、第1のU字型のチューブ束10の下流に配された分離器24、中圧精留塔26、及び中圧凝縮器蒸発器28を含み得る。
【0023】
中圧凝縮器蒸発器28は、効率的な対向流操作を可能にするための流下膜式蒸発器であり得る。示された実施形態の、中圧セクション22の最適な動作圧力は、15〜35bar(1.5〜3.5MPa)の間、より好ましくは20〜30bar(2〜3MPa)の間であり得ることが見出された。例えば、およそ22.5bar(2.25MPa)である。本発明の示された実施形態による装置1の低圧セクション32において、この最適な動作圧力は、2〜7bar(0.2〜0.7MPa)の間、好ましくは4〜6bar(0.4〜0.6MPa)の間であり得る。例えば、およそ5.8bar(0.58MPa)である。また、ストリッパー20のシェル上でのスチームの必要とされる圧力は、前述の先行技術の方法の圧力と比較して大幅に低いことがあり得る。タービン抽気スチームの圧力が大幅に低くされ得るので、これにより総エネルギー消費のさらなる減少が可能であり得る。
【0024】
本発明による方法は、ある量の二酸化炭素を垂直な反応器18へと供給する段階を含む。垂直な反応器18において、尿素合成溶液が形成され、ストリッパー20へ供給される(矢印B)。ストリッパー20において、この溶液は、熱の追加によって、且つストリッピングガスとして供給される二酸化炭素(矢印E)によって、ストリッピングされる。ストリッピングの間に、プール凝縮器4へ供給される(矢印J)、混合されたガスの流れが得られる。また、新鮮なアンモニアが、プール凝縮器4へと供給される(矢印K)。プール凝縮器4の容器において形成される尿素溶液は、垂直な反応器18へ供給される(矢印L)。好ましくは、合成圧力は、125〜175bar(12.5〜17.5MPa)の間、より好ましくは140〜150bar(14〜15MPa)の間の動作レベルで維持される。例えば、およそ144bar(14.4MPa)である。
【0025】
分離器24は、第1のU字型のチューブ束10の下流に配され、上記チューブ束10から気相と液相とを分離する。また、中圧の再循環システム22において、COが豊富なガスを中圧精留塔26へ供給し得(矢印C)、第1のU字型のチューブ束10からの液体のNH/CO比を修正する、中間のフラッシュタンク30が設けられる。中間のフラッシュタンクにおいて用いられる動作圧力は、例えば20〜80(2〜8MPa)の間、より好ましくは30と70bar(3〜7MPa)の間、さらにより好ましくは50〜60bar(5〜6MPa)の間、例えば55bar(5.5MPa)であり得る。その後、液体は、低圧再循環セクション32へ排出される(矢印D)。
【0026】
中圧精留塔26からのガス、分離器24からのガス、及び合成からのガス(矢印F)は、混ぜ合わされ、中圧凝縮器蒸発器28のシェル側において凝縮される。その結果として、熱は、効率的に二度目に再利用され、チューブ側上で尿素融解溶液からの水を蒸発させる。中圧の再循環システム22は、中圧洗浄器34をさらに含み得る。凝縮の軌跡のどこかで、例えば上記軌跡の中間で、低圧再循環セクション32から来るカルバミン酸塩は、中圧洗浄器34を介して中圧凝縮器蒸発器28(シェル側)へと加えられる。そのようにすることによって、中圧凝縮器蒸発器28のシェル側とチューブ側との間で、十分な温度差が維持され、効率的な熱交換器設計をもたらす。
【0027】
中圧凝縮器蒸発器28のシェル側から来る、凝縮したカルバミン酸塩溶液は、高圧カルバミン酸塩ポンプ36を用いて、プール凝縮器4へと供給される(矢印G)。不活性ガス(inerts)と一緒に、凝縮していないガスは、低圧再循環セクション32から来る(矢印H)カルバミン酸塩を用いて、中圧洗浄器34において洗浄される。結果として得られるガスは、低圧吸収体38へと供給される(矢印I)。
【0028】
本発明の例示的な実施例は、添付の図面を部分的に参照して上述されてきたが、本発明は当該実施例に限定されるものではないことが理解されるべきである。開示された実施例に対する変形は、図面の検討、開示、及び添付の特許請求の範囲から、特定された発明を実施することにおいて、当業者によって理解され、達成され得る。
【0029】
本明細書全般にわたって、“一実施形態”又は“実施形態”との呼び方は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態において含まれることを意味する。そのため、本明細書全般にわたって、様々な場所における“一実施形態において”又は“実施形態において”との記載の登場は、必ずしもすべてが同一の実施形態を言及するものではない。さらに、一以上の実施形態の特定の特徴、構造、又は特性は、適切な方法において組み合わされることがあり、新しい、明示的に説明されない実施形態を形成することが留意される。
図1