(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596570
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】コンポーネントモジュールおよびパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/34 20060101AFI20191010BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20191010BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20191010BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20191010BHJP
H01L 23/373 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
H01L23/34 A
H01L23/46 Z
H05K7/20 A
H01L23/48 L
H01L23/36 M
H05K7/20 M
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-504906(P2018-504906)
(86)(22)【出願日】2016年8月2日
(65)【公表番号】特表2018-528609(P2018-528609A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】EP2016068394
(87)【国際公開番号】WO2017021394
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】102015214928.5
(32)【優先日】2015年8月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517291346
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】シュテグマイアー、シュテファン
【審査官】
木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−352080(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/086184(WO,A1)
【文献】
特開2012−174856(JP,A)
【文献】
特開2004−006603(JP,A)
【文献】
特開2005−057130(JP,A)
【文献】
特開2013−197560(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0329365(US,A1)
【文献】
特開2005−123265(JP,A)
【文献】
特開2008−028163(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01130643(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34−23/473
H01L 23/48−23/50
H01L 25/00−25/18
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気接触部(40、50)を有するコンポーネント(10)を備え、流体通路(170)内に配置されたコンポーネントモジュールであって、
前記少なくとも1つの電気接触部(40、50)に開気孔接触片(60、70)が結合されており、
コンポーネントモジュールが冷却流体による冷却のための冷却システムを有し、
前記冷却システムが、
前記開気孔接触片(60、70)の孔により形成された1つまたは複数の冷却チャネルを含み、
前記冷却流体を前記流体通路(170)に導き、前記冷却チャネル内を前記冷却流体が通過するように形成された、
コンポーネントモジュール。
【請求項2】
前記開気孔接触片(60、70)が、めっき、焼結またはろう付け、拡散ろう付け、プレス、締め付け、および、接着の少なくとも1つにより結合される請求項1記載のコンポーネントモジュール。
【請求項3】
少なくとも1つの集積回路を有し、
前記開気孔接触片(60、70)が前記少なくとも1つの集積回路に結合される請求項1または2記載のコンポーネントモジュール。
【請求項4】
プリント基板(90)が少なくとも2つのコンポーネントを有し、
前記コンポーネントがそれぞれ開気孔接触片により共通に前記プリント基板(90)に結合される請求項1から3のいずれか1項に記載のコンポーネントモジュール。
【請求項5】
前記少なくとも1つの開気孔接触片(60、70)が金属で形成される請求項1から4のいずれか1項に記載のコンポーネントモジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの開気孔接触片(60、70)が織物状の構造、発泡体状の構造、および、網状の構造または積層状のリードフレームの少なくとも1つにより形成される請求項1から5のいずれか1項に記載のコンポーネントモジュール。
【請求項7】
前記冷却流体が水および他の冷却液の少なくとも一方で形成される請求項1から6のいずれか1項に記載のコンポーネントモジュール。
【請求項8】
前記冷却システムがヒートパイプ(180)を含む請求項1から7のいずれか1項に記載のコンポーネントモジュール。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のコンポーネントモジュールを含むパワーモジュール。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコンポーネントがパワーコンポーネントである請求項9記載のパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、コンポーネントモジュールおよびパワーモジュールに関する。
【0002】
電子機器、特にパワー電子機器においては半導体デバイス、特にIGBT、ダイオード、MOSFETなどにおける電流のスイッチングや導通は損失電力を生じる。このような損失電力は、半導体デバイスを加熱させずに効率的な運転を保証するように、冷却器により吸収しなければならない。パワーデバイスの下側を空洞の無いろう付け、拡散ろう付けまたは焼結により基板(DCB、AMBなど)上に取り付け、基板を平面状に冷却器に結合することが知られている。しかし冷却は効果的でないことが多い。その結果生じるこのようなパワーデバイスの加熱は通常はパワーデバイスの故障率の増大並びに熱劣化による早期の故障の原因となる。上側ではパワーデバイスの冷却は特に困難であることが多い。なぜならワイヤボンディングまたはリボンボンディング技術を使用するために電気絶縁用の熱エネルギー放出を妨げる材料が鋳込まれるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえ本発明の課題は、デバイスの冷却を改良したコンポーネントモジュールおよびパワーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この本発明の課題は、請求項1に記載の特徴を有するコンポーネントモジュール並びに請求項9に記載の特徴を有するパワーモジュールにより解決される。本発明の有利な発展形態は従属請求項、以下の説明および図面により明らかにされる。
【0005】
本発明によるコンポーネントモジュールは少なくとも1つの電気接触部を備えたコンポーネントを有する。本発明によるコンポーネントモジュールではこの少なくとも1つの接触部に少なくとも1つの開気孔接触片が電気接触のために結合される。本発明によるコンポーネントモジュールはさらにコンポーネントを冷却流体で冷却するための冷却システムを有する。この冷却システムは開気孔接触片の孔により形成される1つまたは多数の冷却チャネルを含む。
【0006】
この場合本発明によれば、開気孔接触片はしたがって電気接触のためだけでなく、この接触片は冷却流体との熱接触も可能にする。このようにして熱放出は直接コンポーネントで行われるので、熱放出は特に効果的になる。特に熱放出は多数の層の上で行われる必要はないので、これらの層の熱伝導率は可能な熱放出を制限しない。むしろ冷却流体による熱放出は本発明によるコンポーネントモジュールではコンポーネントへの空間的に任意の近さで行われる。効率的な熱放出によりコンポーネントモジュールの非故障率並びに場合によって用いられる絶縁材料の耐性は明らかに高められる。
【0007】
本発明によるコンポーネントモジュールでは、接触片は電気的におよび/または焼結によりおよび/またはろう付けによりおよび/または拡散ろう付けによりおよび/またはプレスによりおよび/または締め付けによりおよび/または接着によりコンポーネントの少なくとも1つの接触部に結合されると合目的的である。上述の方法により同時に特に良好な電気接触並びに熱放出のための特に良好な熱接触が本発明によるコンポーネントモジュールの接触片により保証される。まさに集積回路の場合には効率的な熱放出は特に使用上重要である。まさに本発明のこのような発展例ではしたがって本発明により可能となる効率的な熱放出は特に有利である。本発明によるコンポーネントモジュールの合目的的な発展例では、このモジュールは少なくとも2つまたは多数のコンポーネントを有し、これらはそれぞれ開気孔接触片により1つの共通のプリント基板に結合される。本発明のこの発展例では熱は局所的に各コンポーネントで直接放出されるので、コンポーネントモジュールの非故障率は著しく高められる。
【0008】
本発明によるコンポーネントモジュールでは、少なくとも1つの開気孔接触片は金属、特にニッケルおよび/または銀および/または金および/または錫および/または銅から成るかまたは備え、好適には発泡金属、特に銅発泡体として形成されるのが好適である。本発明によるコンポーネントモジュールのこの発展例では、開気孔接触片は電気接触片として特に簡単に導電的に形成される。同時に上述の材料は開気孔の形成物を可能にする。
【0009】
本発明によるコンポーネントモジュールでは、少なくとも1つの接触片は織物状および/または発泡状および/または網状構造を備え、特に金属網として形成された構造で形成される。代替的にまたは付加的に開気孔接触片はリードフレームの積層体で形成することができる。この発展例では接触片の開気孔が容易に保証される。
【0010】
“開気孔”とは本出願の意味においては、接触片の孔が接触片の表面に、外側から流体たとえば冷却流体を接触片に侵入させることのできる入口を形成するものと解釈されると合目的的である。接触片の開気孔材料はさらにオープンセル構造を有するものとし、これを通って冷却流体が効率的に通過でき、好適には冷却流体が接触片を貫流するようにすると理想的である。
【0011】
本発明によるコンポーネントモジュールでは、本発明により設けられた開気孔接触片がその孔を通して冷却流体、特に冷却液を導くのに特に適しているようにすると合目的的である。
【0012】
本発明によるコンポーネントモジュールでは、冷却システムはヒートパイプを含むのが理想的である。ヒートパイプにより特に効率的な冷却循環路が実現される。
【0013】
本発明によるパワーモジュールは上述のような本発明によるコンポーネントモジュールを1つ含む。本発明によるパワーモジュールでは少なくとも1つのコンポーネントがパワーコンポーネントであると有利である。まさにパワーモジュールでは効率的な熱放出の問題が増大する。なぜならここでは特に大きなエネルギー量が熱エネルギーに変換されるからである。本発明によるパワーモジュールでは、したがって本発明によるコンポーネントモジュールで可能な効率的な熱放出が大きな利点となる。
【0014】
以下に本発明を図面に示した実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1はコンポーネントモジュールの開気孔接触片により実現された冷却システムを備えた本発明によるコンポーネントモジュールを備えた本発明によるパワーモジュールの第1の実施例の概略縦断面図を示す。
【
図2】
図2はコンポーネントモジュールの開気孔接触片により形成されたヒートパイプを備えた本発明によるコンポーネントモジュールを備えた本発明によるパワーモジュールの第2の実施例の概略縦断面図を示す。
【
図3】
図3は
図1、2による実施例の開気孔接触片の結合部の詳細を示す原理スケッチ縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示したパワーコンポーネント10は絶縁ゲート電極を備えたバイポーラトランジスタ(英語:”Insulated-Gate Bipolar Transistor”: IGBT)であり、第1の平坦面20と第2の平坦面30を有しており、これらの面は互いに反対側を向いている。第1の平坦面20と第2の平坦面30に沿ってパワーコンポーネント10の薄層状の平面状接触部40、50が延びており、これらは平面状のチップメタライジングとして形成されている。図示の実施例ではパワーコンポーネントの
図1の上側に配置された平面状接触部40が銅から成るのに対し、パワーコンポーネントの下側に配置された平面状接触部50は銀から成る。原理的には上側の平面状接触部40も銀から成るかこれを備えるまたはAlSiCu、その他の金属または他の導電材料から成るかこれらを備えることができるのに対し、下側の平面状接触部50も金および/または他の金属または他の導電材料から成るかこれらを備えることができる。
【0017】
これらの平面状接触部40、50の接触化のために平面状接触部40、50に当接して開気孔材料の接触片60、70が設置され、これらの接触片はほぼ平面状接触部40、50に沿って延びている。図示の実施例では接触片60、70は導電性に形成され、銅発泡体として実現されている。当然ながら、他のことさら示していない実施例では図面により説明する実施例にほぼ相当はするが開気孔接触片60、70は他の開気孔導電性材料から成ることができる、たとえば織物または網状またはその他の多孔性構造から形成されたアルミニウムまたはチタン接触片またはその他の金属からまたはそれと共に形成された接触片である。たとえば導電性材料で部分的に成層されたまたは導電性粒子で置き換えられたポリマー発泡体も接触片として用いることができる。他の実施例では図示の実施例に他の点では相当するが、開気孔接触片はリードフレームの積層体で形成することができる。
【0018】
パワーコンポーネント10の一方の平面状接触部50は、窒化アルミニウム(AlN)から成るセラミックコア100を備えたセラミック基板90のもう一つの平面状接触部80に対向している。原理的にはセラミックコア100は他のことさら示していない実施例では別の材料、たとえば別のセラミック材料またはポリマー、たとえばPCBまたはFR4から成ることもできる。セラミック基板90のもう一つの平面状接触部80は表面が基板メタライジング、図示の実施例では銅基板メタライジングとして形成される。セラミック基板90に対向するパワーコンポーネント10の平面状接触部50およびセラミック基板90のもう1つの平面状接触部80は互いに平行に延び、この場合空隙を形成する。セラミック基板90に対向する平面状接触部50に配置された接触片70はこの平坦な空隙を完全に満たし、全面でパワーコンポーネント10のこの平面状接触部50並びにセラミック基板90のもう1つの平面状接触部80に当接する。接触片70はしたがってパワーコンポーネント10およびセラミック基板90の接触化のために配置されているものである。
【0019】
開気孔接触片60、70は電気的にそれぞれの基板メタライジングまたはチップメタライジングに接触しているので、一連の導電性金属による接触のために各平面状接触部40、50、80間の導電接続が作られる。
【0020】
平面状接触部40、50、80は互いにおよび場合によってはその周囲にある他の電気的ポテンシャルから、平面状接触部40、50、80が接触片60、70と当接していない表面領域において電気絶縁材料、ここに記載の実施例では合成材料で覆われる(図面には詳細には示していない)ことにより、電気的に絶縁される。
【0021】
開気孔接触片60、70のめっき結合により金属、図示の実施例では銅が開気孔接触片60、70と平面状接触部40、50、80の間の領域に析出される(
図3)。図示の実施例では析出材料により層が形成され、これらの層は面状にチップメタライジングまたはセラミック基板メタライジング並びに接触片60、70に沿って延びている。この析出によりそれぞれ開気孔接触片60、70はパワーコンポーネントに接続される。全接触片60、70は同時に各平面状接触部40、50、80に接続され、これらにそれぞれ当接する。他のことさら示していない実施例では図面により説明する実施例にほぼ相当はするが、接触片はめっき結合されずに、焼結またはろう付けまたは拡散ろう付けまたはプレスまたは締め付けまたは接着により結合される。
【0022】
セラミック基板90および接触化されたパワーコンポーネント10により形成されたパワーモジュールはパワーモジュールの冷却システムの流体流路170に配置される(
図1)。パワーモジュールの冷却システムは冷却流体をR方向に流体流路を通って導くように形成される。図示の実施例では流体流路170は空気流路である。他のことさら示していない実施例では図面により説明する実施例にほぼ相当はするが、別の流体流、たとえば冷却ガス流または冷却液体流、たとえば冷却水流が冷却用に使用される。冷却流体は流体流路170内で開気孔接触片70を通過し、接触片70の開気孔材料が冷却チャネルを形成するようにできる。当然ながら他のことさら示していない実施例では冷却流体は必ずしも付加的に使用される流れ材料により積極的に流される必要はない。むしろ流体流はある程度既に自動的に熱対流により形成することもできる。
【0023】
図2に示した別の実施例は
図1に示した実施例にほぼ相当するが、冷却循環路の空気流の代わりにヒートパイプ180が設けられている。ヒートパイプ180はパワーコンポーネント10とセラミック基板90の間に配置された接触片70により形成される。ヒートパイプ180は開気孔接触片70により形成される。開気孔材料はヒートパイプ180の内部を形成する。接触片70の材料の開気孔により冷却流体はヒートパイプ180を通流できる。ヒートパイプ180はこのため液密のハウジング182を有する。このハウジング182は、たとえばめっきまたは蒸着またはろう付けにより外周に取り付けられるので、冷却流体は損失無くヒートパイプ180の間を案内される。
【0024】
ヒートパイプ180はこの場合それ自体は公知のように冷却液のための循環路を形成し、蒸発および凝縮により熱がこれにより吸収または放出される。このためヒートパイプ180はパワーコンポーネント10から遠い端部で冷却体185に結合されるので、冷却液はヒートパイプ180のこの遠い端部で凝縮する。
【符号の説明】
【0025】
10 パワーコンポーネント
20 平坦面
30 平坦面
40 平面状接触部
50 平面状接触部
60 開気孔接触片
70 開気孔接触片
80 平面状接触部
90 セラミック基板
100 セラミックコア
170 流体流路
180 ヒートパイプ
182 ハウジング
185 冷却体