(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596573
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】時間領域におけるプリコーディングダイバーシティ
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20191010BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20191010BHJP
H04B 7/0456 20170101ALI20191010BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20191010BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20191010BHJP
H04B 1/713 20110101ALI20191010BHJP
【FI】
H04W72/04 131
H04W16/28 130
H04W72/04 136
H04W72/04 133
H04B7/0456 300
H04B7/06 984
H04L27/26 114
H04B1/713
【請求項の数】42
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-506299(P2018-506299)
(86)(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公表番号】特表2018-528672(P2018-528672A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】IB2016054700
(87)【国際公開番号】WO2017021915
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2018年4月3日
(31)【優先権主張番号】62/201,718
(32)【優先日】2015年8月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/223,453
(32)【優先日】2016年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】ブランケンシップ, ユフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, シウェイ
【審査官】
桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/077577(WO,A1)
【文献】
特表2016−503611(JP,A)
【文献】
MediaTek Inc.,Coverage Analysis of PDSCH and Enhancement Techniques for MTC Ues[online], 3GPP TSG-RAN WG1#72b R1-131180,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_72b/Docs/R1-131180.zip>,2013年 4月14日
【文献】
Ericsson,PDSCH transmission for MTC[online], 3GPP TSG-RAN WG1#82 R1-153733,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_82/Docs/R1-153733.zip>,2015年 8月24日
【文献】
Samsung,PDSCH/PUSCH Coverage Enhancements for MTC UEs[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯76 R1-140358,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_76/Docs/R1-140358.zip>,2014年 2月10日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04B 1/713
H04B 7/0456
H04B 7/06
H04L 27/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE)(12)であって、
物理チャネルがサブフレームのセットにわたって反復される旨のインジケーションを受け取り、
前記UEは前記物理チャネルの前記反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを受け取る
ように構成された、処理モジュール(30)とメモリモジュール(36)とを備えた回路
を備える、ユーザ機器(UE)(12)。
【請求項2】
前記回路は、
前記物理チャネルを復号するために、前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットの複数をコヒーレントに組み合わせる
ようにさらに構成される、請求項1に記載のUE(12)。
【請求項3】
前記回路は、
前記物理チャネルが、第1のサブフレームにおいて第1のアンテナポート上で、および第2のサブフレームにおいて第2のアンテナポート上で送信されたと決定する
ことによって、前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨の前記インジケーションを受け取るように構成される、請求項1または2に記載のUE(12)。
【請求項4】
前記回路は、
複数の周波数帯域のうちの1つにおいて前記物理チャネルを受信することであって、前記周波数帯域は、前記物理チャネルが送信されたサブフレームのインデックスに従って決定される、受信することと、
第2のプリコーダを用いて送信された参照信号を用いて、前記物理チャネルの前記反復の第2のサブセットを受信することと
を行うようにさらに構成される、請求項1または2に記載のUE(12)。
【請求項5】
前記回路は、
前記物理チャネルが、第1および第3のサブフレームにおいて第1および第2のアンテナポート上で送信されることを決定することであって、リソースエレメントの第1および第2のサブセットが、それぞれ前記第1および前記第3のサブフレームにおいて前記第1および第2のアンテナポートに関連付けられる、決定することと、
リソースエレメントの前記第1のサブセットが前記第1のプリコーダによって送信され、リソースエレメントの前記第2のサブセットが第2のプリコーダによって送信されることを決定することによって、前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨の前記インジケーションを受け取るように構成される、請求項1または2に記載のUE(12)。
【請求項6】
前記回路は、
リソースエレメントの前記第1および前記第2のサブセットが、それぞれ第2および第4のサブフレームにおいて前記第2および第1のアンテナポートに関連付けられることを決定し、
リソースエレメントの前記第1のサブセットが前記第2のプリコーダによって送信され、リソースエレメントの前記第2のサブセットが前記第1のプリコーダによって送信されることを決定する
ようにさらに構成される、請求項5に記載のUE(12)。
【請求項7】
前記回路は、
前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットのシステムタイミング値を決定することによって、前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨の前記インジケーションを受け取るように構成される、請求項1または2に記載のUE(12)。
【請求項8】
前記システムタイミング値は、周波数ホッピング周期を示すパラメータである、請求項7に記載のUE(12)。
【請求項9】
前記物理チャネルは、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)である、請求項1から8のいずれか一項に記載のUE(12)。
【請求項10】
前記物理チャネルがサブフレームの前記セットにわたって反復される旨の前記インジケーション、および前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨の前記インジケーションは、進化型ノードB(eNB)(10)からもたらされる、請求項1から9のいずれか一項に記載のUE(12)。
【請求項11】
ユーザ機器(UE)(12)を動作させる方法であって、
物理チャネルがサブフレームのセットにわたって反復される旨のインジケーションを受け取ることと、
前記UEは前記物理チャネルの前記反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを受け取ることと
を含む、方法。
【請求項12】
前記物理チャネルを復号するために、前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットの複数をコヒーレントに組み合わせること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを受け取ることは、
前記物理チャネルが、第1のサブフレームにおいて第1のアンテナポート上で、および第2のサブフレームにおいて第2のアンテナポート上で送信されたことを決定すること
を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
複数の周波数帯域のうちの1つにおいて前記物理チャネルを受信することであって、前記周波数帯域は、前記物理チャネルが送信されたサブフレームのインデックスに従って決定される、受信することと、
第2のプリコーダを用いて送信された参照信号を用いて、前記物理チャネルの前記反復の第2のサブセットを受信することと
をさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを受け取ることは、
前記物理チャネルが、第1および第3のサブフレームにおいて第1および第2のアンテナポート上で送信されることを決定することであって、リソースエレメントの第1および第2のサブセットは、それぞれ前記第1および前記第3のサブフレームにおいて前記第1および前記第2のアンテナポートに関連付けられる、決定することと、
リソースエレメントの前記第1のサブセットが、前記第1のプリコーダによって送信され、リソースエレメントの前記第2のサブセットが、第2のプリコーダによって送信されることを決定することと
を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項16】
リソースエレメントの前記第1および前記第2のサブセットが、それぞれ第2および第4のサブフレームにおいて前記第2および第1のアンテナポートに関連付けられることを決定することと、
リソースエレメントの前記第1のサブセットが前記第2のプリコーダによって送信され、リソースエレメントの前記第2のサブセットが前記第1のプリコーダによって送信されることを決定することと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを受け取ることは、
前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットのシステムタイミング値を決定すること
を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項18】
前記システムタイミング値は、周波数ホッピング周期を示すパラメータである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記物理チャネルは、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)である、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記物理チャネルがサブフレームの前記セットにわたって反復される旨の前記インジケーション、および前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨の前記インジケーションは、eNB(10)からもたらされる、請求項11から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
進化型ノードB(eNB)(10)であって、
ユーザ機器(UE)(12)に、物理チャネルがサブフレームのセットにわたって反復される旨を示し、
前記UE(12)に、前記UE(12)は前記物理チャネルの前記反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示す
ように構成された、処理モジュール(40)とメモリモジュール(46)とを備えた回路
を備える、進化型ノードB(eNB)(10)。
【請求項22】
前記回路は、
前記物理チャネルを、第1のサブフレームにおいて第1のアンテナポート上で、および第2のサブフレームにおいて第2のアンテナポート上で送信することによって、前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示すように構成される、請求項21に記載のeNB(10)。
【請求項23】
前記回路は、
複数の周波数帯域のうちの1つにおいて前記物理チャネルを送信することであって、前記周波数帯域は、前記物理チャネルが送信されたサブフレームのインデックスに従って決定される、送信することと、
第2のプリコーダを用いて、前記物理チャネルの前記反復の第2のサブセットのための前記参照信号を送信することと
を行うようにさらに構成される、請求項21に記載のeNB(10)。
【請求項24】
前記回路は、
前記物理チャネルを、第1および第3のサブフレームにおいて第1および第2のアンテナポート上で送信することであって、リソースエレメントの第1および第2のサブセットが、それぞれ前記第1および前記第3のサブフレームにおいて前記第1および第2のアンテナポートに関連付けられる、送信することと、
前記第1のプリコーダを用いてリソースエレメントの前記第1のサブセットを、および第2のプリコーダを用いてリソースエレメントの前記第2のサブセットを送信することと
を行うことによって、前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示すように構成される、請求項21に記載のeNB(10)。
【請求項25】
前記回路は、
リソースエレメントの前記第1および前記第2のサブセットを、それぞれ第2および第4のサブフレームにおいて前記第2および第1のアンテナポートに関連付け、
前記第2のプリコーダを用いてリソースエレメントの前記第1のサブセットを、および前記第1のプリコーダを用いてリソースエレメントの前記第2のサブセットを送信する
ようにさらに構成される、請求項24に記載のeNB(10)。
【請求項26】
前記回路は、
前記UE(12)に、前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットのシステムタイミング値を示すことによって、前記UEは前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットおよび前記参照信号が前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示すように構成される、請求項21に記載のeNB(10)。
【請求項27】
前記システムタイミング値は、周波数ホッピング周期を示すパラメータである、請求項26に記載のeNB(10)。
【請求項28】
前記物理チャネルは、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)である、請求項21から27のいずれか一項に記載のeNB(10)。
【請求項29】
反復された送信にわたってダイバーシティをもたらすように進化型ノードB(eNB)(10)を動作させる方法であって、
ユーザ機器(UE)(12)に、物理チャネルがサブフレームのセットにわたって反復される旨を示すこと(100)と、
前記UE(12)に、前記UE(12)は前記物理チャネルの前記反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示すこと(102)と
を含む、方法。
【請求項30】
前記UE(12)は前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットが前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示すことは、
前記物理チャネルを、第1のサブフレームにおいて第1のアンテナポート上で、および第2のサブフレームにおいて第2のアンテナポート上で送信すること
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
複数の周波数帯域のうちの1つにおいて前記物理チャネルを送信することであって、前記周波数帯域は、前記物理チャネルが送信されたサブフレームのインデックスに従って決定される、送信することと、
第2のプリコーダを用いて、前記物理チャネルの前記反復の第2のサブセットのための前記参照信号を送信することと
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記UE(12)は前記物理チャネルの前記反復の前記第1のサブセットが前記第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示すことは、
前記物理チャネルを、第1および第3のサブフレームにおいて第1および第2のアンテナポート上で送信することであって、リソースエレメントの第1および第2のサブセットが、それぞれ前記第1および前記第3のサブフレームにおいて前記第1および第2のアンテナポートに関連付けられる、送信することと、
前記物理チャネルを第2および第4のサブフレームにおいて前記第1および前記第2のアンテナポート上で送信することであって、リソースエレメントの前記第1および前記第2のサブセットは、それぞれ前記第2および前記第4のサブフレームにおいて前記第2および第1のアンテナポートに関連付けられる、送信すること
を含む請求項29に記載の方法。
【請求項33】
ユーザ機器(UE)(12)であって、
物理チャネルがサブフレームのセットにわたって反復される旨のインジケーションを受け取り、
前記UE(12)は前記物理チャネルの前記反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを受け取る
ように適合された、ユーザ機器(UE)(12)。
【請求項34】
請求項12から20のいずれか一項に記載の方法を行うように適合された、請求項33に記載のUE(12)。
【請求項35】
少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項11から20のいずれか一項に記載の方法を遂行させる命令を備えた、コンピュータプログラム。
【請求項36】
請求項35に記載のコンピュータプログラムを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項37】
進化型ノードB(eNB)(10)であって、
ユーザ機器(UE)(12)に、物理チャネルがサブフレームのセットにわたって反復される旨を示し、
前記UE(12)に、前記UE(12)は前記物理チャネルの前記反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示す
ように適合された、進化型ノードB(eNB)(10)。
【請求項38】
請求項30から32のいずれか一項に記載の方法を行うように適合された、請求項37に記載のeNB(10)。
【請求項39】
少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたとき、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法を遂行させる命令を備えた、コンピュータプログラム。
【請求項40】
請求項39に記載のコンピュータプログラムを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項41】
ユーザ機器(UE)(12)であって、
物理チャネルがサブフレームのセットにわたって反復される旨のインジケーションを受け取るように動作する通信モジュール(52)を備え、
前記通信モジュール(52)は、前記UE(12)は前記物理チャネルの前記反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを受け取るようにさらに動作する
ユーザ機器(UE)(12)。
【請求項42】
進化型ノードB(eNB)(10)であって、
ユーザ機器(UE)(12)に、物理チャネルがサブフレームのセットにわたって反復される旨を示すように動作する通信モジュール(50)を備え、
前記通信モジュール(50)は、前記UE(12)に、前記UE(12)は前記物理チャネルの前記反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示すようにさらに動作する
進化型ノードB(eNB)(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその開示がその全体において本明細書に組み込まれている、2015年8月6日に出願された仮特許出願第62/201,718号、および2016年7月29日に出願された正規の特許出願第15/223,453号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示の実施形態は、無線通信に関し、より詳細には、時間領域におけるプリコーディングダイバーシティに関する。
【背景技術】
【0003】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ロングタームエボリューション(LTE)技術は、基地局(進化型ノードB(eNB)と呼ばれる)から移動局(ユーザ機器(UE)と呼ばれる)への送信が、3GPP TS 36.211 v12.0.0で規定されるように2つの基本エレメント、すなわち、物理信号および物理チャネルを備えた物理レイヤによって送られるモバイルブロードバンド無線通信技術である。物理チャネルは、より上位のレイヤから生じる情報を搬送するリソースエレメントのセット(本明細書で後に定義される)に対応し、物理信号は、物理レイヤによって用いられるが、より上位のレイヤから生じる情報を搬送しない。ダウンリンクLTE物理チャネルの例は、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)、物理ブロードキャストチャネル(PBCH)、物理マルチキャストチャネル(PMCH)、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH)、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)、物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH)、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)、およびマシン型通信物理ダウンリンク制御チャネル(MPDCCH)を含む。LTEダウンリンク物理信号の例は、参照信号、同期信号、および発見信号を含む。これらのダウンリンク物理チャネルおよび物理信号は、直交周波数分割多重(OFDM)を用いてUEへ送信される。
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、複数のUE(12−1から12−2)に送信するネットワークノード(eNB10)を有するLTE無線通信ネットワークを示す。
【0004】
OFDMは、信号を周波数において複数の並列なサブキャリアに分割する。LTEにおける送信の基本ユニットは、物理リソースブロック(PRB、あるいは以下ではリソースブロック(RB)と呼ばれる)であり、その最も一般的な構成では、12個のサブキャリア、および7個のOFDMシンボル(1つのスロット)からなる。1つのサブキャリアおよび1つのOFDMシンボルのユニットは、
図2に示されるようにリソースエレメント(RE)と呼ばれる。したがって、RBは、84個のREを含む。LTE無線サブフレームは、
図3に示されるように、周波数において、RBの数がシステムの帯域幅を決定する、複数のRBと、時間において2つのスロットから構成される。さらに、時間において隣接する、サブフレーム内の2つのRBは、RBペアとして表される。
【0005】
時間領域において、LTEダウンリンク送信は、10msの無線フレームに体系化され、各無線フレームは、長さT
subframe=1msの10個の等しいサイズのサブフレームからなる。ダウンリンク(eNB10からUE12に送信を搬送するリンク)サブフレームにおいてeNB10によって送信される信号は、複数のアンテナから送信されることができ、信号は、複数のアンテナを有するUE12において受信されることができる。無線チャネルは、複数のアンテナポートからの送信された信号を歪ませる。ダウンリンク上のいずれかの送信を復調するために、UE12は、ダウンリンク上で送信される参照シンボル(RS)に依存する。これらのRS、および時間−周波数グリッド内のそれらの位置は、UE12に知られており、したがって、これらのシンボルに対する無線チャネルの影響を測定することによってチャネル推定を決定するために用いられることができる。
【0006】
マルチアンテナ技法は、無線通信システムのデータレートおよび信頼性を著しく向上させることができる。性能は、送信器および受信器が共に複数のアンテナを装備する場合、特に改善され、これは結果として多入力多出力(MIMO)通信チャネルを生じる。このようなシステムおよび/または関連する技法は、一般にMIMOと呼ばれる。
【0007】
LTEにおけるコア構成要素は、MIMOアンテナ展開およびMIMO関連技法のサポートである。現在、LTE−Advancedは、チャネル依存プリコーディングを有する8個のTxアンテナに対する8レイヤ空間多重化モードをサポートする。空間多重化モードは、良好なチャネル条件における、より高いデータレートを目的とする。空間多重化動作の図は
図4に示され、これはLTEにおけるプリコーディングされた空間多重化モードの送信構造を示す。
【0008】
図4に示されるように、情報を搬送するシンボルベクトルsは、N
T×rプリコーダ行列Wで乗算され、これはN
T(N
T個のアンテナポートに対応する)次元ベクトル空間の部分空間に、送信エネルギーを分散するように働く。プリコーダ行列は通常、取り得るプリコーダ行列のコードブックから選択され、通常、プリコーダ行列インジケータ(PMI)を用いて示され、これは所与の数のシンボルストリームに対して、コードブック内の一意のプリコーダ行列を指定する。sにおけるr個のシンボルはそれぞれレイヤに対応し、rは送信ランクと呼ばれる。このようにして、複数のシンボルが同じ時間/周波数リソースエレメント(TFRE)にわたって同時に送信されることができるので、空間多重化が達成される。シンボルの数rは通常、現在のチャネル特性に適するように適合される。サブキャリアn(あるいはデータTFRE番号n)上の一定のTFREに対する、受信されるN
R×1ベクトルy
nは以下によりモデル化され、
y
n=H
nWS
n+e
n
ただしe
nは、ランダムプロセスの具現化として得られるノイズ/干渉ベクトルである。
【0009】
プリコーダWは広帯域プリコーダとすることができ、これは周波数にわたって一定、または周波数選択的である。送信ランクが1であるとき、プリコーダWはN
T×1ベクトルであることに留意されたい。
【0010】
プリコーダ行列はしばしば、N
R×N
T MIMOチャネル行列Hの特性と一致するように選ばれ、結果として、いわゆるチャネル依存プリコーディングを生じる。これは一般に閉ループプリコーディングとも呼ばれ、本質的に、UE12への送信されるエネルギーの多くを伝達するという意味で強力である、部分空間内に送信エネルギーを集中させるように努める。さらにプリコーダ行列は、チャネルを直交化するように努めるように選択されることもでき、これは、UE12における適切な線形等化の後に、レイヤ間干渉が低減されることを意味する。
【0011】
送信ランク、したがって空間的に多重化されるレイヤの数は、プリコーダの列の数に反映される。効率的な性能のためには、チャネル特性に適合する送信ランクが選択されることが重要である。
【0012】
マシン型通信(MTC)は、オペレータにとって重要な収益源であり、オペレータの観点から非常に大きな潜在性を有する。オペレータが、すでに展開された無線アクセス技術を用いてMTC UEにサーブできることは効率的である。したがって、3GPP LTEは、MTCの効率的なサポートのための競争力のある無線アクセス技術として調査されてきている。MTC UE12のコストを下げることは、「モノのインターネット」の概念の実施のための重要な実現要因である。多くの用途のために用いられるMTC UE12は、低い動作電力消費を必要とするようになり、低頻度の小さなバースト送信によって通信することが予想される。さらに、規定されたLTEセルカバレッジフットプリントと比べてカバレッジ強化を必要とし得る、建物の内部深くに展開されたデバイスのマシンツーマシン(M2M)使用のケースに対するかなりの市場がある。
【0013】
3GPP LTE Rel−12は、長い電池寿命を可能にするUE節電モード、およびモデムの複雑さを低減することを可能にする新しいUEカテゴリを規定している。3GPP LTE Rel−13において、UEコストをさらに低減し、カバレッジ強化をもたらすように、さらなるMTC作業が期待される。コスト低減を可能にするための主要な要素は、任意のシステム帯域幅内のダウンリンクおよびアップリンクにおける、1.4MHzの低減されたUE RF帯域幅を導入することである。この帯域幅は、6個のRBに対応する。
【0014】
無線リンク上でユーザへ送信されるメッセージは、概して制御メッセージまたはデータメッセージとして分類される。制御メッセージは、システムの適切な動作、およびシステム内の各UE12の適切な動作を容易にするために用いられる。制御メッセージは、UE12からの送信される電力、データがその中でUE12によって受信されるまたはUE12から送信されることになるRBのシグナリングなどの、機能を制御するためのコマンドを含み得る。
【0015】
3GPP LTE Rel−8において、サブフレーム内の最初の1つから4つのOFDMシンボルは構成に応じて、
図3に示されるようにこのような制御情報を含むように予約される。Rel−11以降の通常の(非MTC)UE12に対して、UE12は物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)に加えて、拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)をモニタするように構成されることができる。
【0016】
このようにEPDCCHが、
図5に示されるように、Rel−11において導入される。そこではデータ領域内の2、4、または8個の物理リソースブロック(PRB)ペアが、専らEPDCCH送信を含むために予約されるが、それらはRel−11より前のリリースのUE12に送信される制御情報を含み得る1から4個の最初のシンボルをPRBペアから除外する。
図5は、10個のRBペアを示すサブフレーム、およびそれぞれサイズ1のPRBペアの3つのEPDCCH領域(下、中、および上)の構成を示す(EPDCCHに対する現在のLTE仕様は、サイズ1のPRBペアのEPDCCH領域をサポートしないので、図は概念を示すためのみに用いられる)。残りのPRBペアは、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)送信のために用いられることができる。
【0017】
したがって、PDSCH送信と時間多重化されるPDCCHとは対照的に、EPDCCHはPDSCH送信と周波数多重化される。またPRBペア内のPDSCHとEPDCCH送信の多重化は、LTE Rel−11ではサポートされないことに留意されたい。
【0018】
さらに、EPDCCH送信の2つのモード、つまり局所型および分散型EPDCCH送信がサポートされる。
【0019】
拡張制御チャネルエレメント(ECCE)の物理リソースへのマッピングを容易にするために、各PRBペアは16個の拡張リソースエレメントグループ(EREG)に分割され、各ECCEは、
、または
のEREGにさらに分割される。通常サイクリックプレフィックス(CP)および通常のサブフレームに対しては、TS 36.213で述べられるようにいくつかの条件が満たされない限り、
である。拡張CPに対して、およびフレーム構造2(時分割複信(TDD))に対するいくつかの特別サブフレームにおいて、
が用いられる。EPDCCHは、その結果としてアグリゲーションレベルに応じて4または8個のEREGの複数にマッピングされる。
【0020】
EPDCCHに属するこれらのEREGは、単一のPRBペア(局所型送信に対して典型的であるように)、または複数のPRBペア(分散型送信に対して典型的であるように)に位置する。PRBペアのEREGへの分割は
図6に示され、これは、通常のサブフレームにおける通常CP構成のPRBペアを示す。濃い影の四角形は、復調用参照信号(DMRS)を含む。各タイルはREであり、その中の番号は、REが属するEREGに対応する。薄い影のREは、インデックスが0の同じEREGに属するREに対応し、以下同様となる。
【0021】
EPDCCHは
図6に示されるように、復調のためにDMRSを用いる。PRBペアごとにDMRSのために予約された24個のREがある。分散型EPDCCHに対しては、アンテナポート107および109として知られる、通常CPのための各PRBペアにおいて2つのDMRSアンテナポートがある。これら2つのポートは、PRBペアにおけるすべての分散型EPDCCHメッセージのために用いられ、二重アンテナダイバーシティをもたらす(eNB10が別個のアンテナから各ポートを送信することを選ぶ場合、これは実装の選択となる)。局所型EPDCCHに対しては4つまでのアンテナポート107〜110があり、各ポートはそのPRBペア内の1つのEPDCCHメッセージのみによって用いられる。
【0022】
ポート107はPRBペア内の24個のREのうちの12個のREを用い、ポート109は他の12個のREを用いる。したがって、ポート107および109に属するDMRS REは、PRBペアにおいて時間および周波数多重化される。一方、ポート107および108(およびまたポート109/110)は同じREを用いるが、同じサブキャリア上の4つのRE上で、直交カバーコード(OCC)を適用することによって符号多重化される。
【0023】
分散型EPDCCHを受信するときUE12は、各DMRS RE内のチャネルを推定し、次いで各サブキャリア内のOCC、およびPRBペア内の対応する3つのサブキャリアを用いて、それぞれアンテナポート107および109に対するチャネル推定を得る。これらのチャネル推定は、次いでEPDCCHを復調するときに用いられる。
【0024】
PDSCHに対して、DMRSベース送信モード(9または10)の復調のために用いるためのアンテナポート(ポート7〜15)は、PDSCHをスケジューリングするダウンリンク制御情報(DCI)メッセージに含まれる。
【0025】
PDSCHのためのDMRSアンテナポート7〜15は、EPDCCHのためのDMRSポート107、109と、PRBペア内の同じREを用いる。したがって、MTCデバイスが用いることになるランク1送信のために、ポート7がPDSCH復調のために用いられることになり、対応するREは
図7に示される。
【0026】
PDSCH DMRSポートに対して、表1のOCCが適用され、これは通常サイクリックプレフィックスのためのシーケンス
を示す。
表1
【0027】
非常に高い伝搬損失を有するMTC UE12にデータを送信するための、複数のサブフレームにわたるデータ反復が提案されている。この場合、参照信号(例えばDMRS)さえも非常に弱く、およびサーブするeNB10とUE12との間のチャネルは、サブフレーム内で信頼性良く推定されることができないことが想定される。参照信号は、チャネルを推定するために複数のサブフレームにわたって累積される必要がある。これは、チャネルが累積期間にわたって一定であるときにのみ可能である。eNB10において複数の送信アンテナが用いられ、参照信号がアンテナにわたってプリコーディングされるとき、累積期間にわたって同じプリコーダが用いられる必要がある。1つの問題は、eNB10がチャネルの十分な知識をもたないとき(これは、このシナリオのもとではチャネルフィードバックが一般に信頼性が良くないので、通常当てはまる)、プリコーダは実際のチャネルに良好に適合することができず、これは結果としてUE12において不十分な受信性能を生じる。
【発明の概要】
【0028】
時間領域におけるプリコーディングダイバーシティを可能にするシステムおよび方法がもたらされる。いくつかの実施形態においてユーザ機器(UE)は、物理チャネルはサブフレームのセットにわたって反復される旨のインジケーションを
受け取り、UEは物理チャネルの反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを
受け取るように構成された、処理モジュールとメモリモジュールとを含んだ回路を含む。このようにして、いくつかの実施形態においてUEは、物理チャネルによって用いられる参照信号を含む、反復をコヒーレントに組み合わせることができる。物理チャネルの反復をコヒーレントに組み合わせる能力は、物理チャネルの推定、および反復された参照信号から導き出されるチャネル推定の両方を改善する。
【0029】
いくつかの実施形態において、可変にプリコーディングされた参照信号に関連付けられた物理チャネルの反復された送信に対してダイバーシティをもたらすためのプリコーダ巡回技法が本明細書でもたらされ、これは反復された送信のコヒーレントな組み合わせを可能にする。本方法は、UEに、物理チャネルはサブフレームのセットにわたって反復される旨、およびUEは物理チャネルの反復のサブセットおよび関連付けられた参照信号は1つのプリコーダを用いると想定され得ると想定することができる旨を示す。同じプリコーダを用いる反復は、システムタイミングを通じて、またはどのサブフレームが、物理チャネルに関連付けられた同じアンテナポートを搬送するかによって決定される。
【0030】
同じプリコーダがサブセットにわたって用いられることができるので、UEは、物理チャネルによって用いられる参照信号を含む、サブセットにおける反復をコヒーレントに組み合わせることができる。物理チャネルの反復をコヒーレントに組み合わせる能力は、物理チャネルの推定、および反復された参照信号から導き出されるチャネル推定の両方を改善する。
【0031】
本方法は、共通チャネルおよび専用チャネルの両方に、ならびに制御チャネルおよび共有チャネルに適用される。どの反復が同じプリコーダを用いるかを決定する機構は、ユーザデータ、ならびにシステム情報、ランダムアクセス、ページング、およびダウンリンク制御情報(MTC物理ダウンリンク制御チャネル(M−PDCCH)における)などの制御データに対してもたらされる。
【0032】
プリコーダ巡回と組み合わせた周波数ホッピングを通じて、さらなるダイバーシティをもたらす強化も本明細書で述べられる。
【0033】
本明細書で述べられる方法およびシステムは、同じプリコーディングを用いる反復に対するコヒーレントな組み合わせの利得を可能にしながら、物理チャネルの反復された送信に対するダイバーシティ次数を増加させるために、異なるプリコーディングが用いられることを可能にする。UEは用いられるプリコーダを認識する必要はなく、UE実装を簡単にする。いくつかの実施形態は、アンテナポートごとに参照信号を用いることと比べて、参照信号オーバーヘッドを低減した。本方法は、専用チャネルおよび共通チャネル、ならびに制御および共有チャネルを含む、多様な物理チャネルに適用されることができる。
【0034】
当業者は、様々な通信ノード(例えばUEまたは他の局)が、本明細書で述べられる様々なプロセスを行い得ることを理解するであろう。他の特徴および利点は、当業者に、以下の詳しい説明および図面に照らして明らかになるであろう。
【0035】
当業者は、添付の図面の図に関連して以下の実施形態の詳しい説明を読んだ後、本開示の範囲を認識し、そのさらなる態様を理解するであろう。
【0036】
本明細書に組み込まれ、その一部となる添付の図面の図は、本開示のいくつかの態様を示し、説明と共に本開示の原理を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、複数の無線デバイス(ユーザ機器(UE))およびネットワークノード(進化型ノードB(eNB))を有する、ロングタームエボリューション(LTE)無線通信ネットワークなどの無線通信ネットワークを示す図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態によるLTEダウンリンク物理リソースの図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態によるダウンリンクサブフレームを示す図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、LTEにおけるプリコーディングされた空間多重化モードの送信構造を示す図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、3つの拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)領域の構成を示すダウンリンクサブフレームを示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、通常のサブフレームにおける通常のサイクリックプレフィックス構成の物理リソースブロック(PRB)ペアを示す図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)復調のためにポート7が用いられるであろうことを示す、リソースエレメント(RE)を示す。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態によるUE12の図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態によるeNB10の図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態によるeNB10の動作を示す図である。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態によるUE12の動作を示す図である。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態による、時間領域プリコーディングダイバーシティが得られ得る複数の方法のうちの1つを示す図である。
【
図13】本開示のいくつかの実施形態による、時間領域プリコーディングダイバーシティが得られ得る複数の方法のうちの1つを示す図である。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による、時間領域プリコーディングダイバーシティが得られ得る複数の方法のうちの1つを示す図である。
【
図15】本開示のいくつかの実施形態による、2つの復調用参照信号(DMRS)ポートを有するデータ送信を示す図である。
【
図16】本開示のいくつかの実施形態による、2つの復調用参照信号(DMRS)ポートを有するデータ送信を示す図である。
【
図17】本開示のいくつかの実施形態による、2つの狭帯域の間の周波数ホッピングを有するアンテナポート巡回を示す図である。
【
図18】本開示のいくつかの実施形態による、モジュールを含むeNB10の図である。
【
図19】本開示のいくつかの実施形態による、モジュールを含むUE12の図である。
【
図20】本開示のいくつかの実施形態による、eNB10の仮想化された実施形態を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に記載された実施形態は、当業者が実施形態を実施することを可能にするための情報を表し、実施形態を実施する最良の形態を示す。添付の図面の図に照らして以下の説明を読めば、当業者は本開示の概念を理解し、本明細書で具体的に述べられない概念の適用を認識するであろう。これらの概念および適用は、本開示および添付の特許請求の範囲の範囲に包含されることが理解されるべきである。
【0039】
以下の説明では数多くの詳細が記載される。しかし、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細がなくても実施され得ることが理解される。他の場合において、この説明の理解を不明瞭にしないように、周知の回路、構造、および技法は詳細に示されていない。当業者は、含まれた説明によって過度の実験なしに、適切な機能を実施することができるであろう。
【0040】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態」、「例示の実施形態」等への言及は、述べられる実施形態は特定の機能、構造、または特徴を含み得るが、その特定の機能、構造、または特徴を必ずしもあらゆる実施形態が含むとは限らないことを示す。さらに、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の機能、構造、または特徴が実施形態に関連して述べられるときは、明示的に述べられている否かに関わらず、他の実施形態に関連してこのような機能、構造、または特徴を実施することは当業者の知識の範囲内であることが思量される。
【0041】
以下の説明および特許請求の範囲において、「結合される(coupled)」および「接続される(connected)」という用語が、それらの派生語と共に用いられ得る。これらの用語は、互いに同義とするものではないことが理解されるべきである。「結合される」は、互いに直接物理的または電気的に接触してもしなくてもよい2つ以上の要素が、協働し、または互いに相互作用することを示すために用いられる。「接続される」は、互いに結合された2つ以上の要素の間での通信の確立を示すために用いられる。
【0042】
電子デバイス(例えばエンドステーション、ネットワークデバイス)は、コード(ソフトウェア命令から構成される)およびデータを、非一時的機械可読媒体(例えば磁気ディスク、光ディスク、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリデバイス、相変化メモリなどの機械可読記憶媒体)および一時的機械可読送信媒体(例えば電気、光、音響、または搬送波、赤外線信号などの他の形の伝搬される信号)などの機械可読媒体を用いて、記憶および送信する(内部的におよび/またはネットワーク上で他の電子デバイスを用いて)。さらに、このような電子デバイスは、1つまたは複数の非一時的機械可読媒体(コードおよび/またはデータを記憶するための)、ユーザ入力/出力デバイス(例えばキーボード、タッチスクリーン、および/またはディスプレイ)、ならびにネットワーク接続(伝搬信号を用いてコードおよび/またはデータを送信するための)など、1つまたは複数の他の構成要素に結合された1つまたは複数のプロセッサのセットなどのハードウェアを含む。プロセッサのセットと、他の構成要素との結合は通常、1つまたは複数のバスおよびブリッジ(バスコントローラとも呼ばれる)による。したがって、所与の電子デバイスの非一時的機械可読媒体は通常、その電子デバイスの1つまたは複数のプロセッサの実行のための命令を記憶する。本発明の実施形態の1つまたは複数の部分は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアの種々の組み合わせを用いて実施され得る。
【0043】
本明細書で用いられるネットワークデバイスまたは装置(例えばルータ、スイッチ、ブリッジ)とは、ネットワーク上の他の機器(例えば他のネットワークデバイス、エンドステーション)と通信するように相互接続する、ハードウェアおよびソフトウェアを含んだ1つのネットワーク機器である。いくつかのネットワークデバイスは、複数のネットワーク化機能(例えばルーティング、ブリッジング、スイッチング、レイヤ2アグリゲーション、セッションボーダ制御、サービス品質、および/または加入者管理)に対するサポートをもたらし、および/または複数のアプリケーションサービス(例えばデータ、音声、およびビデオ)に対するサポートをもたらす、「複数サービスネットワークデバイス」である。加入者エンドステーション(例えばサーバ、ワークステーション、ラップトップ、ネットブック、パームトップ、携帯電話、スマートフォン、マルチメディアフォン、ボイスオーバインターネットプロトコル(VOIP)フォン、ユーザ機器、端末、ポータブルメディアプレーヤ、全地球測位システム(GPS)、ゲーミングシステム、セットトップボックス)は、インターネット上でもたらされるコンテンツ/サービス、および/またはインターネットの上にオーバーレイされた(例えばトンネリングされた)仮想プライベートネットワーク(VPN)上でもたらされるコンテンツ/サービスにアクセスする。コンテンツおよび/またはサービスは通常、サービスもしくはコンテンツプロバイダに属する1つまたは複数のエンドステーション(例えばサーバエンドステーション)、またはピアツーピアサービスに参加するエンドステーションによってもたらされ、例えばパブリックウェブページ(例えば無料コンテンツ、インターネット店舗、検索サービス)、プライベートウェブページ(例えば電子メールサービスをもたらすユーザ名/パスワードでアクセスされるウェブページ)、および/またはVPNを通した企業ネットワークを含むことができる。通常、加入者エンドステーションは、(例えばアクセスネットワークに(有線または無線で)結合された、顧客構内機器を通じて)エッジネットワークデバイスに結合され、これは他のエッジネットワークデバイスに結合され(例えば1つまたは複数のコアネットワークデバイスを通じて)、これは他のエンドステーション(例えばサーバエンドステーション)に結合される。当業者は、任意のネットワークデバイス、エンドステーション、または他のネットワーク装置が、本明細書で述べられる機能を行うことができることを理解するであろう。
【0044】
本明細書では一般にロングタームエボリューション(LTE)用語が用いられるが、本開示はこれに限定されない。当業者に理解されるように、実施形態は他の無線通信ネットワークにも適用可能となり得る。
【0045】
図8は、本明細書で述べられる1つまたは複数の実施形態において用いられることができる、いくつかの実施形態によるUE12(例えばモバイルデバイス)のブロック図である。いくつかの実施形態においてUE12は、マシンツーマシン(M2M)またはマシン型通信(MTC)のために構成されたモバイルデバイスとすることができる。UE12は、UE12の動作を制御する処理モジュール30を含んだ回路を含む。いくつかの実施形態において処理モジュール30は、1つまたは複数のプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)を含む。処理モジュール30は、ネットワーク2内のeNB10から信号を受信するため、またはそれに信号を送信およびそれから信号を受信するために用いられる、関連付けられたアンテナ34を有するトランシーバモジュール32に結合される。間欠受信(DRX)を利用するために処理モジュール30は、指定された長さの時間の間、受信器またはトランシーバモジュール32を非活動化するように構成されることができる。回路はまたメモリモジュール36を備え、これは処理モジュール30に接続され、UE12の動作のために必要なプログラムならびに他の情報およびデータを記憶する。
【0046】
図9は、本明細書で述べられる実施形態において用いられることができる、進化型ノードB(eNB)10(または基地局)を示す。マクロeNBは実際にはサイズおよび構造においてマイクロeNBと同一にならないが、説明のためにeNB10は同様な構成要素を含むものと仮定されることが認識されるであろう。したがって、eNB10は、eNB10の動作を制御する処理モジュール40を備えた回路を含む。いくつかの実施形態において処理モジュール40は、1つまたは複数のプロセッサ(例えばCPU、ASIC、FPGAなど)を含む。処理モジュール40は、ネットワーク2内のUE12に信号を送信し、およびそれから信号を受信するために用いられる、関連付けられたアンテナ44を有するトランシーバモジュール42に接続される。eNB10はまたメモリモジュール46を備え、これは処理モジュール40に接続され、eNB10の動作のために必要なプログラムならびに他の情報およびデータを記憶する。eNB10はまた、eNB10が他の基地局10と情報を交換する(例えばX2インターフェースを経由して)ことを可能にするための構成要素および/または回路48、およびeNB10がコアネットワーク4内のノードと情報を交換する(例えばS1インターフェースを経由して)ことを可能にするための構成要素および/または回路49を含む。他のタイプのネットワーク(例えばユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)または広帯域符号分割多元接続(WCDMA)無線エリアネットワーク(RAN))における使用のための基地局は、
図9に示されるものと同様の構成要素、およびそれらのタイプのネットワーク内の他のネットワークノード(例えば他の基地局、モビリティ管理ノード、および/またはコアネットワーク内のノード)との通信を可能にするための適切なインターフェース回路を含むであろうことが認識されるであろう。
【0047】
時間領域におけるプリコーディングダイバーシティを可能にするシステムおよび方法がもたらされる。いくつかの実施形態においてUE12は、物理チャネルはサブフレームのセットにわたって反復される旨のインジケーションを
受け取り、UE12は物理チャネルの反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを
受け取るように構成された処理モジュール30とメモリモジュール36とを含んだ回路を含む。このようにして、いくつかの実施形態においてUE12は、物理チャネルによって用いられる参照信号を含む、反復をコヒーレントに組み合わせることができる。物理チャネルの反復をコヒーレントに組み合わせる能力は、物理チャネルの推定、および反復された参照信号から導き出されるチャネル推定の両方を改善する。いくつかの実施形態において、UE12がこれらのインジケーションを
受け取ることは、UE12がどのタイプのデバイスであるか、またはUE12がどの動作モードにあるかを決定することを含む。いくつかの実施形態において、UE12は物理チャネルの反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションは、第1のサブセット内にどれだけ多くの反復があるかのインジケーションである。
【0048】
図10は、本開示のいくつかの実施形態によるeNB10の動作を示す。eNB10は最初にUE12に、物理チャネルはサブフレームのセットにわたって反復される旨を示す(ステップ100)。上記で論じられたように、これは例えばUE12が属するデバイスのクラスによるものとすることができ、またはそれがカバレッジ強化モードにあるためとすることができる。次いでeNB10はUE12に、UE12は物理チャネルの反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示す(ステップ102)。これはUE12が、コヒーレントな組み合わせまたは同様の技法を用いて、そうでない場合に可能になるであろうものと比べて、反復のより良好な復号を得ることを可能にし得る。以下でより詳しく論じられるように、反復の第1のサブセットのこのインジケーションは、送信器ポートを変化させること、または異なる周波数にホッピングすることによって示されることができる。またいくつかの実施形態において、周波数ホッピングが用いられない場合でも、どの反復が第1のサブセットに含められ、同じプリコーダを用いるかを示すために、周波数ホッピング周期を示すパラメータなどのシステムタイミング値が用いられ得る。
【0049】
図11は、本開示のいくつかの実施形態によるUE12の動作を示す。UE12は最初に、物理チャネルはサブフレームのセットにわたって反復される旨のインジケーションを
受け取る(ステップ200)。上記で論じられたように、これは例えばUE12が属するデバイスのクラスによるものとすることができ、またはそれがカバレッジ強化モードにあるためとすることができる。UE12はまた、UE12は物理チャネルの反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを
受け取る(ステップ202)。以下でより詳しく論じられるように、反復の第1のサブセットのこのインジケーションは、送信器ポートを変化させること、または異なる周波数にホッピングすることによって示されることができる。またいくつかの実施形態において、周波数ホッピングが用いられない場合でも、どの反復が第1のサブセットに含められ、同じプリコーダを用いるかを示すために、周波数ホッピング周期を示すパラメータなどのシステムタイミング値が用いられ得る。
【0050】
このようにしていくつかの実施形態において、任意選択でUE12は、物理チャネルを復号するために、反復の第1のサブセットの複数をコヒーレントに組み合わせることができる(ステップ204)。物理チャネルの反復をコヒーレントに組み合わせる能力は、物理チャネルの推定、および反復された参照信号から導き出されるチャネル推定の両方を改善する。
【0051】
時間において複数のサブフレームに及ぶデータ送信に対して、他のタイプのダイバーシティ(例えば周波数ダイバーシティ)に加えて、時間領域プリコーディングダイバーシティが得られることができる。この技法は、DL制御チャネル(例えばMTC物理ダウンリンク制御チャネル(M−PDCCH))およびDLデータチャネル(例えば物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH))の両方を含み、ならびにブロードキャスト送信(例えばMTCシステム情報ブロックx(SIBx)、再認可要求(RAR)、ページング)およびユニキャスト送信(例えばユニキャストDLデータペイロード)の両方を含む、復調用参照信号(DMRS)ベースとすることができるすべてのダウンリンク(DL)送信に適用される。プリコーダW
iはDMRS、および同じサブフレーム内の対応するPDSCHの変調シンボルに適用される。構成される必要があるパラメータは、プリコーダ周期性Mであり、これはいくつかの実施形態において、どれだけ多くのサブフレームに対して、用いられるプリコーダが同じになることをUE12が想定することができるかを示す。いくつかの実施形態において、本明細書で論じられる送信は、M−PDCCH(適用可能な場合)およびPDSCHの両方に適用される。
【0052】
MTC−SIB1のブロードキャスト送信に対して、プリコーダ周期性Mは、シグナリングが不要となるように仕様において予め定義されることが好ましい。あるいはこれは、オーバーヘッドが許容できると見なされる場合、MIBを通じてシグナリングされることができる。MTC−SIB1以外のMTC−SIB、例えばMTC−SIB2、MTC−SIB3のブロードキャスト送信に対して、プリコーダ周期性Mは、シグナリングが不要となるように仕様において予め定義されることが好ましい。あるいはこれはMTC−SIB1を通じてシグナリングされることができる。RARおよびページングのブロードキャスト送信に対して、プリコーダ周期性Mは、シグナリングが不要となるように仕様において予め定義されることが好ましい。あるいはこれは、MTC−SIBの1つを通じてシグナリングされることができる。ユニキャスト送信に対して、プリコーダ周期性Mは、UE固有RRC構成メッセージを通じてシグナリングされることが好ましい。
【0053】
プリコーダ周期性Mの値は、以下の少なくとも1つによって決定され得る:
サブフレームの数、これは直接的な方法である、
無線フレームの数、ただしLTEにおいて1無線フレームは10サブフレームである、および/または、
他の周期、例えば周波数ホッピング周期の関数。
【0054】
UE12がeNB10のダウンリンクの十分に良好な周波数トラッキングを有するとき、UE12は、eNBが同じプリコーディングベクトルを用いたことをUE12が知ったとき、M個のサブフレームのセットにわたる反復をコヒーレントに累積することができる。ここで、eNB10は複雑さの低いUE12のために常にランク1送信を用いるので、プリコーダはベクトルとなる。UE12は、この知識を用いて、M個のサブフレーム内のDMRSからのチャネル推定を改善することができる。Mは1以上の整数である。異なるプリコーディングおよび/または周波数ホッピングが用いられるとき、UE12はサブフレームにわたってコヒーレントに組み合わせることができる。したがって、いつ同じプリコーディングが用いられるかを知ることはまた、いつサブフレームの各セット内の組み合わされた参照信号を用いてチャネル推定を行い、サブフレームの異なるセットにわたって受信された信号をコヒーレントに組み合わせるべきかを知ることを可能にする。
【0055】
同じプリコーダが用いられる反復は、直接的または暗黙的に示されることができる。1つの直接的手法において、いつ新しいプリコーダが用いられるかを識別するために、3GPP TS 36.211 v12.0.0からのサブフレームn
s内のスロットインデックスなどの、システム時間のインデックスが用いられる。異なるUE12へのPDSCH送信は、異なるプリコーダの間で拡げられるべきであり、したがって、UE12識別情報は、いつ新しいプリコーダが用いられるかを決定するために用いられることができる。この場合、新しいプリコーダは
であるときに用いられることができ、ただしn
RNTIは、セルRNTI(C−RNTI)、ページングRNTI(P−RNTI)、ランダムアクセスRNTI(RA−RNTI)、システム情報RNTI(SI−RNTI)などの無線ネットワーク一時識別子(RNTI)である。暗黙的手法において、物理チャネルは、M個のサブフレームごとの後に、異なるアンテナポート上で送信される。PDSCHの例示的実施形態において、DMRSポート番号pは、
として決定され得る。これらの実施形態のさらなる詳細は以下で論じられる。
【0056】
M個のサブフレームの1つのセットからM個のサブフレームの次のセットに、プリコーディングベクトルは、空間ダイバーシティを得るために変化することができる。M個のサブフレームのN個のセットにわたってeNB10は、最大でN個の潜在的に異なるプリコーディング行列を通して巡回することができる。できるだけ多くのM×N個のサブフレームがコヒーレントに組み合わされることを可能にするために、Nを小さくすることが望ましくなり得る。このような場合、Nは送信アンテナの数に等しく、N個のプリコーディングベクトルは相互に直交することが好ましい。しかし、DMRSベースのプリコーディングを用いると、用いられるプリコーディング行列はUE12にトランスペアレントであり、すなわち、Wiを予め定義し、またはW
iをUE12にシグナリングする必要はないことに留意されたい。
【0057】
ランク1プリコーディングが用いられるので、DMRSポート(ポート7)上で送信するために用いられるアンテナエレメントの数に関わらず、所与のサブフレームにおいて1つのDMRSポートが必要となるだけである。これは、2つ(または2つ以上)のアンテナポートを用いる、分散型EPDCCHのために用いられるリソースエレメント(RE)ごとのプリコーダ巡回と比べて、オーバーヘッドを低減している。
図6でのようなDMRSに対してREの2つのグループ(例えば物理リソースブロック(PRB)ごとに24個のRE)の代わりに、REの1つのグループが、DMRS送信のために予約される必要があるだけである(例えばPRBごとに12個のRE)。
【0058】
DMRSまたはPDSCHのために、より高い送信電力が使用可能である。すなわちポート7DMRSの送信電力は、ポート7およびポート8の両方がオンにされるケースより、3dB高くなることができる。あるいはポート8のために用いられたであろう電力は、PDSCH REのために用いられることができる。分かりやすくするために図のいくつかにおいてサブフレームは連続のように示されるが、実際の動作ではそれらは連続であってもなくてもよいことに留意されたい。さらにサブフレームセットは、同数(M)の使用可能なサブフレームをもたない場合があることも可能である。これは例えばいくつかのDLサブフレームが、制御/データ送信のために使用可能でないことによる。具体的にはサブフレームは、DL送信のために、(a)TDD構成、(b)MBSFNサブフレーム、(c)測定ギャップなどにより使用不可能となり得る。サブフレームが連続でない、またはセットが異なる数の使用可能サブフレームを含むときでも、同じ原理が当てはまる。すなわちeNB10およびUE12が、どのサブフレームが同じプリコーディングベクトルWを用いるかを知っている限り、これは性能を強化するためにチャネル推定において用いられることができる。
【0059】
また分かりやすくするために、所与のサブフレームの狭帯域におけるすべてのPRBが、同じプリコーディングベクトルを用いることを仮定しているが、一般にこれは必要ではないことに留意されたい。一般に狭帯域内のPRBは、Q個の連続したPRBのP個のグループにグループ化されることができ、その結果UE12は、所与のグループのPRBの間で同じプリコーディングベクトルが用いられるが、PRBグループの間で異なるプリコーディング行列が適用され得ることを想定することができる。この場合プリコーディングダイバーシティ方法は、プリコーディングベクトルは所与のPRBグループに対して、M個のサブフレームのセット内で同じままであるが、M個のサブフレームの異なるセットでは異なるプリコーディングベクトルに変化できることを意味する。
【0060】
図12は、周波数ホッピングなしの、時間領域プリコーディングダイバーシティを用いた実施形態を示す。この実施形態では、周波数ホッピングなしのDMRSベースの周期的プリコーダ巡回が用いられる。
図12に示されるように、所与の情報ブロックを送信するためにN×M個のサブフレームが用いられる。M個のサブフレームの第1のセットはプリコーダW
0を用い、M個のサブフレームの第2のセットはプリコーダW
1を用い、・・・、M個のサブフレームのN番目のセットはプリコーダW
N−1を用いる。
【0061】
このシナリオにおいて、周波数ホッピングは適用されない。しかし、プリコーダ巡回により、周波数領域ダイバーシティがないことを補償することを助けるように、空間領域ダイバーシティが達成される。いくつかの実施形態において、周波数ホッピングが用いられなくても、Mの値を示すために周波数ホッピング周期を示すパラメータなどのシステムタイミング値が用いられ得る。
【0062】
図13は、周波数ホッピングを有する時間領域プリコーディングダイバーシティを用いた実施形態を示す。この実施形態では、周波数ホッピングを有するDMRSベースの周期的プリコーダ巡回が用いられる。
図13に示されるように、所与の情報ブロックを送信するためにN×M個のサブフレームが用いられる。M個のサブフレームの第1のセットはプリコーダW
0を用い、M個のサブフレームの第2のセットはプリコーダW
1を用い、以下M個のサブフレームのN番目のセットがプリコーダW
N−1を用いるまで同様となる。周波数ホッピングは、各セットが周波数領域において、潜在的に異なる狭帯域位置に移動できるように適用される。
【0063】
図13において周波数ホッピング周期はプリコーダ巡回周期Mと同じであり、ここで周波数ホッピング周期は、異なる狭帯域にホッピングする前に、送信が同じ狭帯域に位置する、サブフレームの数である。一般に周波数ホッピング周期は、プリコーダ巡回周期と同じである必要はない。周波数ホッピングパターン(周波数ホッピング周期を含む)の主な考慮すべき事項は、より低いシグナリングオーバーヘッド、UE12の間の低い衝突率、ブロードキャストタイプの送信とユニキャストタイプとの低い衝突率、再チューニング時間のオーバーヘッドなどである。プリコーダ巡回周期の主な考慮すべき事項は、チャネルのコヒーレンス時間である。
【0064】
例えば周波数ホッピング周期は2×M個のサブフレームとすることができ、その結果1つの周波数ホッピング周期において、周波数ホッピング周期内でダイバーシティを得るために2つの異なるプリコーダが適用されることができる。いずれにしてもMの値は、周波数ホッピング周期のインジケーションによって、UE12に示されることができる。
【0065】
図14では、DL周波数ホッピングパターンが、2つの狭帯域{狭帯域#0、狭帯域#1}のみの間だけである実施形態が示される。異なるUE12は{狭帯域#0、狭帯域#1}のうちの異なるものを用いることができ、その結果それらの送信は同じサブフレームにわたって多重化される。2つの狭帯域位置のみを用いることは、複数のUE12からの送信が同時に進行中であるとき、簡潔性、および衝突低減の利点を有する。この場合プリコーダ巡回は、限られた周波数ダイバーシティを補償するように空間ダイバーシティをもたらす。
【0066】
いくつかの実施形態において、空間ダイバーシティを増加させるために2つのDMRSポートが用いられ、サブフレーム内のREのサブセットはDMRSポート7に関連付けられ、サブフレーム内の残りのREはDMRSポート8に関連付けられる。ここで「関連付け」とは、REにわたって送信されるデータが、関連付けられたDMRSポートによって用いられるものと同じプリコーダを用いてプリコーディングされることを意味する。
図15に例が示され、「1」とラベルが付されたREのセット(セット1と呼ばれる)は2つのDMRSポート(ポート7またはポート8のいずれか)の一方に関連付けられ、「2」とラベルが付されたREのセット(セット2と呼ばれる)は他方のDMRSポートに関連付けられる。
図15に示されるREの2つのセットは単に例であり、他の分割があり得る。
【0067】
複数のサブフレームにわたる同じデータの時間反復をうまく利用するために、REのセットとDMRSポートとの間の関連付けは、反復周期にわたって2つのサブフレームの間で変化されることができる。
図16に例が示され、データ送信は7つのサブフレーム(すなわちサブフレームkからk+6)において反復される。最初の4つのサブフレーム(すなわちサブフレームkからk+3)においてプリコーダの1つのセットが用いられ、次の3つのサブフレーム(すなわちサブフレームk+4からk+6)においてプリコーダの異なるセットが用いられる。サブフレームkにおいて、セット1のREはDMRSポート7に関連付けられ、セット2のREはDMRSポート8に関連付けられる。次いでサブフレームK+1において関連付けは切り換えられ、すなわちセット1のREはDMRSポート8に関連付けられ、セット2のREはDMRSポート7に関連付けられる。関連付けは、後続のサブフレームにおいても切り換えられる。
【0068】
ポートと各REセットの関連付けは、第1のサブフレームにおいて予め定義されることができ、次いで関連付けは後続のサブフレームにおいて切り換えられる。DMRSポート7および8のためのプリコーダは、プリコーダ巡回周期内で不変である。この例ではプリコーダW1およびW2は、最初の4つのサブフレームにおいてポート7およびポート8のために用いられる。プリコーダは、次の3つのサブフレームにおいてW3およびW4に切り換えられる。これは各プリコーダ巡回周期にわたる、コヒーレントなDMRSおよびデータ組み合わせを可能にする。組み合わせの後、各DMRSポートに関連付けられたチャネルは、推定されることができる。各DMRSポート上の推定されたチャネルは、各サブフレーム内の関連付けられたデータRE上で受信された信号を等化するために用いられることができる。各プリコーダ巡回周期からの等化されたデータは次いで、復調および復号される前にコヒーレントに組み合わされる。いくつかの実施形態においてこれは、REの同じセット上で送信された信号が、異なるサブフレーム内の異なるプリコーディングされたチャネルを通過することを可能にし、したがって、複数のサブフレームにわたる、より良好なチャネル平均化を可能にする。
【0069】
他の実施形態において、物理チャネルによって用いられるアンテナポートは、所与のバンドルに対して、M個のサブフレームの1つのセットから別のセットに変化することができる。ここで「バンドル」とは、単一の制御またはデータチャネル送信に関連付けられた、物理チャネル反復の全体のセットを指す。同じアンテナポートおよびサブキャリアを用いた反復は、コヒーレントに組み合わされることができる。これは
図17に示される。この実施形態において、使用可能な2つのアンテナポート(AP
0、AP
1)が存在し、それらはバンドル内で交替されると仮定される。一般に必要ではないがこの例はまた、アンテナポートホッピング周期は、周波数ホッピング周期Mに等しいと仮定する。
【0070】
1つの例は、局所型M−PDCCH送信である。バンドル内のすべてのサブフレームに対して同じアンテナポートを用いる代わりに、アンテナポートはパラメータMおよびNに従って変化することができる。例えば局所型送信のために用いられる単一のアンテナポートpは、次式を用いて表2(3GPP TS 36.211 v12.0.0の表6.8A.5−1から)で与えられ、
ただしn
ECCE,lowはEPDCCHセットにおけるこのEPDCCH送信によって用いられる最も低いECCEインデックスであり、n
RNTIはC−RNTIに等しく、および
はこのEPDCCHのために用いられるECCEの数である。ここで
は、アンテナポート巡回周期のインデックス、n=0、1、・・・N−1である。用いられるアンテナポートは、アンテナポート巡回周期内のM個のサブフレームにわたって一定に保たれる。変数n
sは、M−PDCCHがその上で送信される無線フレーム内のスロット番号である。
表2
【0071】
いくつかの実施形態において、同様なアンテナポートホッピング方式がPDSCH送信にも適用されることができる。
【0072】
空間ダイバーシティに加えて、他のタイプのダイバーシティが同様のやり方で適用されることができる。一例において、ダイバーシティは反復バージョン(RV)ダイバーシティである。M個のサブフレームの所与のセットは、同じRVを用いる。1つのセットから次のセットに、潜在的に異なるRVが用いられる。巡回するためのRVのシーケンスは、仕様において予め定義されることが好ましい。
【0073】
1つの代替において、バンドルに対して用いるための開始RVは固定され、例えばRV=0であり、したがって、シグナリングは必要ない。いくつかの実施形態において、これはM−PDCCH送信、および関連付けられたM−PDCCHをもたないPDSCH送信に対して適切である。
【0074】
他の代替において、バンドルに対して用いるための開始RVは動的または半静的であり、eNB10によってシグナリングされる。これは関連付けられたM−PDCCHが、開始RVを動的なやり方でもたらすことができるPDSCHに対して用いられることができる。
【0075】
上記の実施形態の結果として、同じプリコーディングを用いる反復に対するコヒーレントな組み合わせの利得を可能にしながら、異なるプリコーディングが、物理チャネルの反復された送信のためのダイバーシティ次数を増加させるために用いられることができる。UE12は用いられるプリコーダを認識する必要がなく、UE12の実装を簡単にする。
【0076】
図におけるプロセスは、本開示のいくつかの実施形態によって行われる動作の特定の順序を示すが、このような順序は例示的であることが理解されるべきである(例えば代替的実施形態は、動作を異なる順序で行う、いくつかの動作を組み合わせる、いくつかの動作を重ね合わせることなどができる)。
【0077】
図18は本開示のいくつかの実施形態による、モジュールを含むeNB10の図である。eNB10は、ソフトウェアにおいて実施される少なくとも通信モジュール50を含む。通信モジュール50は、本明細書で述べられるeNB10の機能をもたらす。例えば通信モジュール50は、物理チャネルはサブフレームのセットにわたって反復される旨をUE12に示すように動作することができ、通信モジュール50はさらに、UE12に、UE12は物理チャネルの反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨を示すように動作することができる。
【0078】
図19は本開示のいくつかの実施形態による、モジュールを含むUE12の図である。UE12は、ソフトウェアにおいて実施される少なくとも通信モジュール52、および任意選択で組み合わせモジュール54を含む。通信モジュール52は、本明細書で述べられるUE12の機能をもたらす。例えば通信モジュール52は、物理チャネルはサブフレームのセットにわたって反復される旨のインジケーションを
受け取るように動作することができ、および通信モジュール52はさらに、UE12は物理チャネルの反復の第1のサブセットおよび参照信号が第1のプリコーダを用いると想定することができる旨のインジケーションを
受け取るように動作することができる。任意選択の組み合わせモジュール54は、物理チャネルを復号するために、反復の第1のサブセットの複数をコヒーレントに組み合わせるように動作することができる。
【0079】
図20は、本開示のいくつかの実施形態による、eNB10の仮想化された実施形態を示す概略ブロック図である。本明細書で用いられる「仮想化」ネットワークノードとは、eNB10の機能の少なくとも一部分が仮想構成要素として(例えばネットワーク内の物理処理ノード上で実行する仮想マシンによって)実施される、eNB10の実装形態である。示されるように、この例においてeNB10は、1つまたは複数のプロセッサ58(例えばCPU、ASIC、FPGAなど)、メモリ60、およびネットワークインターフェース62を含んだ、制御システム56を含む。さらにeNB10は無線ネットワークノードであるのでeNB10は、上述のように1つまたは複数の送信器66と、1つまたは複数のアンテナ70に結合された1つまたは複数の受信器68とをそれぞれが含む、1つまたは複数の無線ユニット64をさらに含む。制御システム56は、例えば光ケーブルなどを通じて無線ユニット64に接続される。制御システム56は、ネットワーク74に結合されまたはその一部として含まれる1つまたは複数の処理ノード72に、ネットワークインターフェース62を経由して接続される。各処理ノード72は、1つまたは複数のプロセッサ76(例えばCPU、ASIC、FPGAなど)、メモリ78、およびネットワークインターフェース80を含む。
【0080】
この例において、本明細書で述べられるeNB10の機能82は、1つまたは複数の処理ノード72において実施され、または制御システム56および1つまたは複数の処理ノード72にわたって任意の所望のやり方で分散される。いくつかの特定の実施形態において、本明細書で述べられるeNB10の機能82のいくつかまたはすべては、処理ノード72によってホストされた仮想環境において実施される、1つまたは複数の仮想マシンによって実行される仮想構成要素として実施される。当業者によって認識されるように、所望の機能82の少なくともいくつかを遂行するために、処理ノード72と制御システム56との間の、追加のシグナリングまたは通信が用いられる。特に、いくつかの実施形態において制御システム56は含まれなくてよく、この場合無線ユニット64は、適切なネットワークインターフェースを経由して処理ノード72と直接通信する。いくつかの他の実施形態においてeNB10は、全体に仮想化される(すなわち制御システム56または無線ユニット64を含まない)。
【0081】
いくつかの実施形態においてコンピュータプログラムがもたらされ、これは少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、本明細書で述べられる実施形態のいずれかによる仮想環境におけるeNB10の機能82の1つまたは複数を実施するeNB10またはノード(例えば処理ノード72)の機能を遂行させる命令を含む。いくつかの実施形態において、上記のコンピュータプログラム製品を備えたキャリアがもたらされる。キャリアは、電気信号、光信号、無線信号、またはコンピュータ可読記憶媒体(例えばメモリなどの非一時的コンピュータ可読媒体)のうちの1つである。
【0082】
本発明はいくつかの実施形態によって述べられたが、当業者は、本発明が述べられた実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で変更および変形を有して実施されることができることを認識するであろう。したがって、説明は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。
【0083】
本開示の全体にわたって、以下の頭字語が用いられる。
・3GPP 第3世代パートナーシッププロジェクト
・ASIC 特定用途向け集積回路
・BW 帯域幅
・CP サイクリックプレフィックス
・CPU 中央処理装置
・C−RNTI セルRNTI
・DCI ダウンリンク制御情報
・DL ダウンリンク
・DMRS 復調用参照信号
・DRX 間欠受信
・ECCE 拡張制御チャネルエレメント
・eNB 進化型ノードB
・EPDCCH 拡張物理ダウンリンク制御チャネル
・EREG 拡張リソースエレメントグループ
・FPGA フィールドプログラマブルゲートアレイ
・GPS 全地球測位システム
・LTE ロングタームエボリューション
・M2M マシンツーマシン
・MIMO 多入力多出力
・M−PDCCH MTC物理ダウンリンク制御チャネル
・MTC マシン型通信
・OCC 直交カバーコード
・OFDM 直交周波数分割多重
・PBCH 物理ブロードキャストチャネル
・PCFICH 物理制御フォーマット指示チャネル
・PDCCH 物理ダウンリンク制御チャネル
・PDSCH 物理ダウンリンク共有チャネル
・PHICH 物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル
・PMCH 物理マルチキャストチャネル
・PMI プリコーディング行列インジケータ
・PRB 物理リソースブロック
・P−RNTI ページングRNTI
・RAN 無線アクセスネットワーク
・RAR ランダムアクセス応答
・RA−RNTI ランダムアクセスRNTI
・RB リソースブロック
・RE リソースエレメント
・RNTI 無線ネットワーク一時識別子
・RS 参照シンボル
・RV 反復バージョン
・SIB システム情報ブロック
・SI−RNTI システム情報RNTI
・TDD 時分割複信
・TFRE 時間/周波数リソースエレメント
・UE ユーザ機器
・UTRAN ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク
・VoIP ボイスオーバIP
・VPN 仮想パーソナルネットワーク
・WCDMA 広帯域符号分割多元接続
【0084】
当業者は、本開示の実施形態に対する改善および変更を認識するであろう。すべてのこのような改善および変更は、本明細書で開示される概念の範囲内であると見なされる。