特許第6596587号(P6596587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6596587有機電子素子用化合物、それを用いた有機電子素子及びその電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596587
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】有機電子素子用化合物、それを用いた有機電子素子及びその電子装置
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/91 20060101AFI20191010BHJP
   C07D 333/76 20060101ALI20191010BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20191010BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20191010BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20191010BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20191010BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20191010BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20191010BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20191010BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   C07D307/91CSP
   C07D333/76
   C07D409/14
   C07D409/12
   C07D405/12
   C07D405/14
   H01L27/32
   H05B33/22 D
   H05B33/14 B
   B32B9/00 Z
   C07F7/10 V
【請求項の数】15
【全頁数】76
(21)【出願番号】特願2018-528221(P2018-528221)
(86)(22)【出願日】2016年11月24日
(65)【公表番号】特表2019-505475(P2019-505475A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】KR2016013626
(87)【国際公開番号】WO2017095075
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年6月8日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0169758
(32)【優先日】2015年12月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515127979
【氏名又は名称】ドク サン ネオルクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン グアン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨン フイ
(72)【発明者】
【氏名】リー ユン スク
(72)【発明者】
【氏名】ソー キ ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒョン クェン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヨン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ファン スン ピル
(72)【発明者】
【氏名】リー スン ヘ
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0125004(KR,A)
【文献】 特開2008−127290(JP,A)
【文献】 特表2005−516059(JP,A)
【文献】 特表2012−518896(JP,A)
【文献】 韓国特許第2010−1493482(KR,B1)
【文献】 国際公開第2014/091958(WO,A1)
【文献】 特開2015−147905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H01L
H05B
B32B
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物:
【化1】
[式中、
1)X、Yは、互いに独立して、NAr、SまたはO(但し、X、Yが同時にNArのときは除く)であり、
2)Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、互いに独立して、C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPからなる群から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C60の複素環基;C−C60の芳香環とC−C60の脂肪族環との縮合環基;C−C50のアルキル基;C−C20のアルケニル基;C−C20のアルキニル基;C−C30のアルコキシル基;及びC−C30のアリールオキシ基からなる群から選ばれ、
3)R、R、R及びRは、互いに独立して、重水素;三重水素;ハロゲン;シアノ基;ニトロ基;C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPからなる群から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C60の複素環基;C−C60の脂肪族環とC−C60の芳香族環との縮合環基;C−C50のアルキル基;C−C20のアルケニル基;C−C20のアルキニル基;C−C30のアルコキシル基;及びC−C30のアリールオキシ基からなる群から選ばれ、複数のR〜Rが存在する場合、互いに独立して、隣接するR同士、R同士、R同士、R同士の少なくとも一組が結合して環を形成していてもよく、環を形成しないR〜Rは前記定義と同義であり、
4)m、n、o、pは、互いに独立して、0〜3の整数であり、これらそれぞれが2以上の整数のとき、R〜Rは、互いに同一または異なっていてもよく、複数のR、R、R及びRは、それぞれ互いに同一または異なっていてもよく、
5)L、L、L及びLは、互いに独立して、単結合;C−C60のアリーレン基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C60の二価複素環基;及び−C60の脂肪族環とC−C60の芳香族環との二価縮合環基;からなる群から選ばれ、これらが単結合でないとき、それぞれは、重水素;ハロゲン;シラン基;シロキサン基;ホウ素基;ゲルマニウム基;シアノ基;ニトロ基;C−C20のアルキルチオ基;C−C20のアルコキシル基;C−C20のアルキル基;C−C20のアルケニル基;C−C20のアルキニル基;C−C20のアリール基;重水素で置換されたC−C20のアリール基;C−C20の複素環基;C−C20のシクロアルキル基;C−C20のアリールアルキル基;−N(R)(R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C60の複素環基;からなる群から選ばれる);及びC−C20のアリールアルケニル基;からなる群から選ばれた一つ以上の置換基で置換されていてもよく、
前記アリール基、複素環基、縮合環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のそれぞれは、重水素;ハロゲン;C−C20のアルキル基又はC−C20のアリール基で置換又は非置換されたシラン基;シロキサン基;ホウ素基;ゲルマニウム基;シアノ基;ニトロ基;C−C20のアルキルチオ基;C−C20のアルコキシル基;C−C20のアルキル基;C−C20のアルケニル基;C−C20のアルキニル基;C−C20のアリール基;重水素で置換されたC−C20のアリール基;O、N、S、Si及びPからなる群から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C20の複素環基;C−C20のシクロアルキル基;C−C20のアリールアルキル基;及びC−C20のアリールアルケニル基からなる群から選ばれた一つ以上の置換基でさらに置換されていてもよく、これら各置換基が隣接したとき、これらは互いに結合して環を形成していてもよい。]
【請求項2】
前記一般式(1)は、下記一般式(2)〜一般式(11)のいずれか一つで示されることを特徴とする請求項1に記載の化合物:
【化2】
(式中、X、Y、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、L、L、L、L、R、R、R、R、m、n、o及びpは、請求項1に記載の定義と同義である。)
【請求項3】
前記一般式(1)は、下記一般式(12)〜一般式(14)のいずれか一つで示されることを特徴とする請求項1に記載の化合物:
【化3】
(式中、X、Y、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、L、L、L、L、R、R、R、R、m、n、o及びpは、請求項1に記載の定義と同義である。)
【請求項4】
前記一般式(1)の化合物は、下記化合物(P1−1)〜(P1−112)のいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の化合物:
【化4】
【請求項5】
第1電極;第2電極;及び前記第1電極と第2電極と間に位置する有機物層;を含む有機電子素子であって、
前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層を含み、
前記有機物層は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含有することを特徴とする有機電子素子。
【請求項6】
前記正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層の少なくとも一つの層に、前記化合物は、1種単独又は構造の異なる2種の化合物が混合された組成物を含むことを特徴とする請求項5に記載の有機電子素子。
【請求項7】
前記正孔輸送層又は前記発光補助層に、前記化合物が1種単独又は構造の異なる2種の化合物が混合された組成物を含むことを特徴とする請求項5に記載の有機電子素子。
【請求項8】
前記発光層は、下記一般式(16)で示される化合物を含有することを特徴とする請求項7に記載の有機電子素子:
【化5】
[式中、
1)Arは、互いに独立して、C〜C60のアリール基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC〜C60の複素環基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環との縮合環基;C〜C50のアルキル基;C〜C20のアルケニル基;C〜C20のアルキニル基;C〜C30のアルコキシル基;C〜C30のアリールオキシ基;及び−L'−N(R)(R)(ここで、L’は、単結合;C〜C60のアリーレン基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環との縮合環基;及びC〜C60の複素環基;からなる群から選ばれ、R及びRは、互いに独立して、C〜C60のアリール基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環との縮合環基;及びO、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC〜C60の複素環基;からなる群から選ばれる);からなる群から選ばれ、
2)a、b、cは、0〜4の整数であり、
3)R、R及びRは、同一または異なっていてもよく、互いに独立して、重水素;ハロゲン;C〜C60のアリール基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC〜C60の複素環基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環との縮合環基;C〜C50のアルキル基;C〜C20のアルケニル基;C〜C20のアルキニル基;C〜C30のアルコキシル基;C〜C30のアリールオキシ基;及び−L'−N(Ra)(Rb);からなる群から選ばれ、又はa、b、cが2以上のとき、それぞれ複数であり、互いに同一または異なっていてもよく、複数のR同士あるいは複数のR同士あるいは複数のR同士互いに結合して、芳香族又はヘテロ芳香族環を形成していてもよく、
4)A、Bは、互いに独立して、単結合、S、O、NR’又はCR’R’’であり、
5)R’及びR’’は、互いに独立して、水素;C〜C60のアリール基;C〜C60の複素環基;又は1〜C50のアルキル基;であり、R’とR’’は、互いに結合して、スピロ化合物を形成していてもよく、
6)d、eは、0又は1であり、但し、d+eは、1以上である。]
【請求項9】
前記一般式(16)で示される化合物は、下記一般式(17)又は(18)で示されることを特徴とする請求項8に記載の有機電子素子:
【化6】
(式中、R、R、R、a、b、c、Ar、A、Bは、請求項8に記載の定義と同義である。)
【請求項10】
前記一般式(16)で示される化合物が、下記一般式(19)〜(34)のいずれか一つで示されることを特徴とする請求項8に記載の有機電子素子:
【化7】
[式中、
1)R、R、R、a、b、c、A、Bは、請求項8に記載の定義と同義であり、
2)Ar及びArは、互いに独立して、C〜C60のアリール基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC〜C60の複素環基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環の縮合環基;からなる群から選ばれ、
3)C、C、C及びCは、互いに独立して、CH、Nからなる群から選ばれ、
4)D、Eは、互いに独立して、単結合、S、O、NR’, CR’R’’であり、R’、R’’は、水素;C〜C60のアリール基;C〜C60の複素環基;C〜C50のアルキル基;からなる群から選ばれ、
5)R’とR’’は、互いに結合して、スピロ化合物を形成することができるし、
6)f、gは、0又は1であり、但し、f+gは、1以上である。]
【請求項11】
前記一般式(16)で示される化合物は、下記一般式(P16−1)〜一般式(P16−33)のいずれか一つで示されることを特徴とする請求項8に記載の有機電子素子:
【化8】
【請求項12】
前記第1電極の一側面中の前記有機物層と反対される一側又は前記第2電極の一側面中の前記有機物層と反対される一側の少なくとも一つに形成される光効率改善層を更に含む請求項5に記載の有機電子素子。
【請求項13】
前記有機物層は、スピンコーティング工程、ノズルプリンティング工程、インクジェットプリンティング工程、スロットコーティング工程、ディップコーティング工程又はロール・ツー・ロール工程によって形成されることを特徴とする請求項5に記載の有機電子素子。
【請求項14】
請求項5に記載の有機電子素子を含むディスプレイ装置;及び
前記ディスプレイ装置を駆動する制御部;
を含む電子装置。
【請求項15】
前記有機電子素子は、有機電子発光素子、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスター、及び単色又は白色照明用素子のいずれか一つであることを特徴とする請求項14に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子素子用化合物、それを用いた有機電子素子及びその電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに変換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機電子素子は通常、正極と負極及びこの間に有機物層を含む構造を有する。ここで、有機物層は、有機電子素子の効率と安定性を高めるために、それぞれ他の物質で構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層などからなり得る。
【0003】
有機電子素子において、有機物層として用いられる材料は、機能によって発光材料と電荷輸送材料、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類される。
【0004】
現在の携帯用ディスプレイ市場は、大面積のディスプレイであり、その大きさが増加している傾向にある。これにより、従来の携帯用ディスプレイで求められていた消費電力よりも更に大きな消費電力が求められている。従って、電池という制限的な電力供給源を有している携帯用ディスプレイの立場では、消費電力が重要な要素になっており、効率と寿命問題もまた、必ず解決しなければならない重要な要素である。
【0005】
効率と寿命、駆動電圧などは互いに関連があり、効率が増加すれば相対的に駆動電圧が落ち、駆動電圧が落ちながら駆動時、発生されるジュール加熱(Joule heating)による有機物質の結晶化が少なくなり、結果的に寿命が高くなる傾向を示す。しかし、前記有機物層を単純に改善したとしても、効率を最大化させることはできない。なぜなら、各有機物層間のエネルギー準位及びT1値、物質の固有特性(移動度、界面特性など)等が最適な組み合わせを成し遂げたとき、長い寿命と高い効率を同時に達成することができるからでる。
【0006】
また、近頃、有機電気発光素子において、正孔輸送層での発光問題を解決するためには、必ず、正孔輸送層と発光層と間に発光補助層が存在しなければならなく、それぞれの発光層(R、G、B)による異なる発光補助層の開発が必要な時点である。
【0007】
一般に、電子輸送層から発光層に電子(electron)が伝達され、正孔(hole)が正孔輸送層から発光層に伝達され、再結合(recombination)により励起子(exciton)が生成される。
【0008】
しかし、正孔輸送層に用いられる物質の場合、低いHOMO値を有しなければならないため、殆ど低いT1値を有しており、これにより、発光層で生成された励起子(exciton)が正孔輸送層に移ることになり、結果的に発光層内の電荷不均衡(charge unbalance)を生じさせ、正孔輸送層界面で発光することになる。
【0009】
正孔輸送層界面で発光される場合、有機電子素子の色純度及び効率が低下され、寿命が短くなる問題が生じることになる。従って、正孔輸送層HOMOエネルギー準位と発光層のHOMOエネルギー準位と間のHOMO準位を有する物質でなければならなく、高いT1値を有し、適当な駆動電圧範囲内(full deviceのblue素子駆動電圧範囲内)正孔移動度(hole mobility)を有する発光補助層の開発が切実に求められている。
【0010】
しかし、これは単純に発光補助層物質のコアに対する構造的特性で達成することができなく、発光補助層物質のコア及びsub−置換基の特性、そして発光補助層と正孔輸送層、発光補助層と発光層と間のバランスの良い組み合わせが達成されたとき、高効率及び高寿命の素子を具現することができる。
【0011】
一方、有機電子素子の寿命短縮の原因の一つである正極電極(ITO)から金属酸化物が有機層に浸透拡散されることを遅延させながら、素子駆動時、発生されるジュール加熱(Joule heating)に対しても安定した特性、即ち、高いガラス転移温度を有する正孔注入/輸送層材料に対する開発が必要とされる。正孔輸送層材料の低いガラス転移点温度は、素子駆動時、薄膜表面の均一度を低下させる特性があるところ、これは素子寿命に大きな影響を及ぼしていると報告されている。
【0012】
また、OLED素子は、主に蒸着方法により形成されるが、蒸着時、長時間耐えられる材料、即ち、耐熱特性の強い材料開発が必要な実状である。
【0013】
即ち、有機電子素子が有する優れた特徴を十分に発揮するためには、素子内有機物層を構成する物質、例えば、正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質、発光補助層物質などが安定、且つ効率的な材料によって裏付けられることが先行しなければならないが、まだ、安定、且つ効率的な有機電子素子用有機物層材料の開発が十分に行われていない。従って、新しい材料の開発が継続して求められており、特に、発光補助層と正孔輸送層の材料に対する開発が切実に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国特許 第10−1418146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前述のような従来の問題点を解決するためになされたものであり、効率的な電子阻止能力及び正孔輸送能力を有する化合物を提供すると同時に、このような化合物を用いて、素子の高い発光効率、低い駆動電圧、高耐熱性、色純度及び寿命を向上させることができる化合物、それをもいい多有機電子素子及びその電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、下記一般式(1)で示される化合物を提供する:
【化1】
【0017】
また、本発明は、前記一般式(1)で示される化合物を用いた有機電子素子及びその電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、3級アミンに正孔特性を有する複素環が2個置換された構造であり、複素環の末端にアミンがそれぞれ1個ずつ導入された特定化合物を有機電子素子の材料として利用することで、正孔輸送能力(hole transferability)及び熱的安定性が向上され、発光層内に電荷均衡を達成するのに容易なHOMOエネルギーレベルと高いT1値及び高い屈折率を有して、有機電子素子の発光効率、耐熱性、寿命などが向上させることができ、駆動電圧を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る有機電子発光素子の例示図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を参照して詳細に説明する。本発明の説明において、関連した公知構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を曇らせることがあると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0021】
また、本発明の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を用いることができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語により該当構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続されてもよいが、構成要素間にまた他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されてもよいと理解されるべきであろう。
【0022】
本明細書及び添付された特許請求の範囲で使用されたように、特段に言及しない限り、下記用語の意味は下記の通りである。
【0023】
本明細書で使用された用語「ハロ」または「ハロゲン」は、特段の説明がない限り、フッ素(F)、臭素(Br)、塩素(Cl)またはヨード(I)である。
【0024】
本発明で使用された用語「アルキル」または「アルキル基」は、特段の説明がない限り、1〜60の炭素数の単結合を有し、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、シクロアルキル(脂環族)基、アルキル−置換されたシクロアルキル基、シクロアルキル−置換されたアルキル基をはじめとする飽和脂肪族官能基のラジカルを意味する。
【0025】
本発明で使用された用語「ハロアルキル基」または「ハロゲンアルキル基」は、特段の説明がない限り、ハロゲンで置換されたアルキル基を意味する。
【0026】
本発明で使用された用語「ヘテロアルキル基」は、アルキル基を構成する炭素原子中の一つ以上がヘテロ原子に代替されたものを意味する。
【0027】
本発明で使用された用語「アルケニル基」、「アルケニル基」または「アルキニル基」は、特段の説明がない限り、それぞれ2〜60の炭素数の二重結合または三重結合を有し、直鎖状または分岐状鎖基を含み、これに制限されるものではない。
【0028】
本発明で使用された用語「シクロアルキル」は、特段の説明がない限り、3〜60の炭素数を有する環を形成するアルキルを意味し、これに制限されるものではない。
【0029】
本発明で使用された用語「アルコキシル基」、「アルコキシ基」または「アルキルオキシ基」は、酸素ラジカルが付着されたアルキル基を意味し、特段の説明がない限り、1〜60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
【0030】
本発明で使用された用語「アルケンオキシル基」、「アルケンオキシ基」、「アルケニルオキシル基」または「アルケニルオキシ基」は、酸素ラジカルが付着されたアルケニル基を意味し、特段の説明がない限り、2〜60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
【0031】
本発明で使用された用語「アリールオキシル基」または「アリールオキシ基」は、酸素ラジカルが付着されたアリール基を意味し、特段の説明がない限り、6〜60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
【0032】
本発明で使用された用語「アリール基」及び「アリーレン基」は、特段の説明がない限り、それぞれ6〜60の炭素数を有し、これに対し制限されるのではない。本発明において、アリール基またはアリーレン基は、単環または多環の芳香族を意味し、隣接する置換基が結合または反応に参加して形成された芳香環を含む。例えば、アリール基は、フェニル基、ビフェニル基、フルオレン基、スピロフルオレン基であってもよい。
【0033】
接頭語「アリール」または「アール」は、アリール基で置換されたラジカルを意味する。例えば、アリールアルキル基は、アリール基で置換されたアルキル基であり、アリールアルケニル基は、アリール基で置換されたアルケニル基であり、アリール基で置換されたラジカルは、本明細書で説明した炭素数を有する。
【0034】
また、接頭語が連続して命名される場合、前に記載された順に置換基が羅列されることを意味する。例えば、アリールアルコキシ基の場合、アリール基で置換されたアルコキシ基を意味し、アルコキシルカルボニル基の場合、アルコキシル基で置換されたカルボニル基を意味し、また、アリールカルボニルアルケニル基の場合、アリールカルボニル基で置換されたアルケニル基を意味し、ここで、アリールカルボニル基はアリール基で置換されたカルボニル基である。
【0035】
本明細書で使用された用語「ヘテロアルキル」は、特段の説明がない限り、一つ以上のヘテロ原子を含むアルキルを意味する。本発明で使用された用語「ヘテロアリール基」または「ヘテロアリーレン基」は、特段の説明がない限り、それぞれ一つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2〜60のアリール基またはアリーレン基を意味し、これに制限されるものではなく、単環及び多環の少なくとも一つを含み、隣接する官能基が結合して形成されていてもよい。
【0036】
本発明で使用された用語「複素環基」は、特段の説明がない限り、一つ以上のヘテロ原子を含み、2〜60の炭素数を有し、単環及び多環の少なくとも一つを含み、ヘテロ脂肪族環及びヘテロ芳香環を含む。隣接する官能基が結合して形成されていてもよい。
【0037】
本明細書で使用された用語「ヘテロ原子」は、特段の説明がない限り、N、O、S、PまたはSiを示す。
【0038】
また、「ヘテロ環基」は、環を形成する炭素の代わりにSOを含む環も含んでいてもよい。例えば、「複素環基」は、下記化合物を含む。
【化2】
【0039】
特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「脂肪族」は、炭素数1〜60の脂肪族炭化水素を意味し、「脂肪族環」は、炭素数3〜60の脂肪族炭化水素環を意味する。
【0040】
特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「環」は、炭素数3〜60の脂肪族環または炭素数6〜60の芳香族環または炭素数2〜60のヘテロ環またはこれらの組み合わせからなる縮合環を意味し、飽和または不飽和環を含む。
【0041】
前述したヘテロ化合物以外のその他のヘテロ化合物またはヘテロラジカルは、一つ以上のヘテロ原子を含んでもよく、これに制限されるものではない。
【0042】
特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「カルボニル」は、−COR’で示されるものであり、ここで、R’は、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである。
【0043】
特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「エーテル」は、−R−O−R’で示されるものであり、ここで、RまたはR’は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである。
【0044】
また、特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「置換または非置換された」における「置換」は、重水素、ハロゲン、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C−C20のアルキル基、C−C20のアルコキシル基、C−C20のアルキルアミン基、C−C20のアルキルチオフェン基、C−C20のアリールチオフェン基、C−C20のアルケニル基、C−C20のアルキニル基、C−C20のシクロアルキル基、C−C20のアリール基、重水素で置換されたC−C20のアリール基、C〜C20のアリールアルケニル基、シラン基、ホウ素基、ゲルマニウム基及びC−C20の複素環基からなる群から選ばれる1個以上の置換基で置換されるものを意味し、これら置換基に制限されるものではない。
【0045】
また、特段の説明がない限り、本発明で使用される式は、下記式の指数の定義による置換基の定義と同様に適用される。
【化3】
(式中、aが0の整数である場合、置換基Rは存在しなく、aが1の整数である場合、1つの置換基Rは、ベンゼン環を形成する炭素中のいずれか1つの炭素に結合し、aが2又は3の整数である場合、それぞれ下記のように結合し、このとき、Rは、互いに同一又は異なってもよく、aが4〜6の整数である場合、これと類似する方式でベンゼン環の炭素に結合し、一方、ベンゼン環を形成する炭素に結合されている水素の表示は省略する。)
【化4】
【0046】
以下、本発明の一側面に係る化合物及びこれを含む有機電子素子について説明する。
【0047】
本発明の具体的な例によれば、下記一般式(1)で示される化合物を提供する:
【化5】
[式中、
1)X、Yは、互いに独立して、NAr、SまたはO(但し、X、Yが同時にNArのときは除く)であり、
2)Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、互いに独立して、C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPからなる群から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C60の複素環基;C−C60の芳香環とC−C60の脂肪族環との縮合環基;C−C50のアルキル基;C−C20のアルケニル基;C−C20のアルキニル基;C−C30のアルコキシル基;及びC−C30のアリールオキシ基からなる群から選ばれ、
3)R、R、R及びRは、互いに独立して、重水素;三重水素;ハロゲン;シアノ基;ニトロ基;C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPからなる群から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C60の複素環基;C−C60の脂肪族環とC−C60の芳香族環との縮合環基;C−C50のアルキル基;C−C20のアルケニル基;C−C20のアルキニル基;C−C30のアルコキシル基;及びC−C30のアリールオキシ基からなる群から選ばれ、複数のR〜Rが存在する場合、互いに独立して、隣接するR同士、R同士、R同士、R同士の少なくとも一組が結合して環を形成していてもよく、環を形成しないR〜Rは前記定義と同義であり、
4)m、n、o、pは、互いに独立して、0〜3の整数であり、これらそれぞれが2以上の整数のとき、R〜Rは、互いに同一または異なっていてもよく、複数のR、R、R及びRは、それぞれ互いに同一または異なっていてもよく、
5)L、L、L及びLは、互いに独立して、単結合;C−C60のアリーレン基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C60の二価複素環基;C−C60の脂肪族環とC−C60の芳香族環との二価縮合環基;及び二価の脂肪族炭化水素基からなる群から選ばれ、これらが単結合でないとき、それぞれは、重水素;ハロゲン;シラン基;シロキサン基;ホウ素基;ゲルマニウム基;シアノ基;ニトロ基;C−C20のアルキルチオ基;C−C20のアルコキシル基;C−C20のアルキル基;C−C20のアルケニル基;C−C20のアルキニル基;C−C20のアリール基;重水素で置換されたC−C20のアリール基;C−C20の複素環基;C−C20のシクロアルキル基;C−C20のアリールアルキル基;−N(R)(R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、C−C60のアリール基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C60の複素環基;からなる群から選ばれる);及びC−C20のアリールアルケニル基;からなる群から選ばれた一つ以上の置換基で置換されていてもよく、
前記アリール基、複素環基、縮合環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基のそれぞれは、重水素;ハロゲン;C−C20のアルキル基又はC−C20のアリール基で置換又は非置換されたシラン基;シロキサン基;ホウ素基;ゲルマニウム基;シアノ基;ニトロ基;C−C20のアルキルチオ基;C−C20のアルコキシル基;C−C20のアルキル基;C−C20のアルケニル基;C−C20のアルキニル基;C−C20のアリール基;重水素で置換されたC−C20のアリール基;O、N、S、Si及びPからなる群から選ばれた少なくとも一つのヘテロ原子を含むC−C20の複素環基;C−C20のシクロアルキル基;C−C20のアリールアルキル基;及びC−C20のアリールアルケニル基からなる群から選ばれた一つ以上の置換基でさらに置換されていてもよく、これら各置換基が隣接したとき、これらは互いに結合して環を形成していてもよい。]
【0048】
具体的に、本発明は前記一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(2)〜(11)のいずれか一つで示される化合物を含む:
【化6】
(式中、X、Y、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、L、L、L、L、R、R、R、R、m、n、o及びpは、一般式(1)に記載の定義と同義である。)
【0049】
また、本発明は、前記一般式(1)は、下記一般式(12)〜(14)のいずれか一つで示される化合物を含む:
【化7】
(式中、X、Y、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、L、L、L、L、R、R、R、R、m、n、o及びpは、一般式(1)に記載の定義と同義である。)
【0050】
また、本発明は、前記一般式(1)の化合物が下記化合物を含んでおり、これを提供する:
【化8】
【0051】
図1に示されるように、本発明に係る有機電子素子100は、基板110上に形成された第1電極120、第2電極180及び第1電極120と第2電極180と間に、式(1)で示される化合物を含む有機物層を備える。このとき、第1電極120は、アノード(正極)であり、第2電極180は、カソード(負極)であってもよく、インバーター状の場合には、第1電極がカソードであり、第2電極がアノードであってもよい。
【0052】
有機物層は、第1電極120上に、順に正孔注入層130、正孔輸送層140、発光層150、電子輸送層160及び電子注入層170を含む。
【0053】
また、未図示したが、本発明に係る有機電子素子は、第1電極と第2電極の少なくとも一面中、前記有機物層と反対される一面に形成された保護層を更に含む。
【0054】
一方、同じコアであっても、どの位置にどの置換基を結合させるかによって、バンドギャップ、電気的特性、界面性質などが変わるので、コアの選択及びこれに結合されたサブ(sub)−置換基の組み合わせも非常に重要であり、特に、各有機物層間のエネルギーlevel及びT1値、物質の固有特性(mobility、界面特性など)等が最適な組み合わせを成したとき、長い寿命と高い効率を同時に達成することができる。
【0055】
本発明の一実施例に係る有機電子発光素子は、PVD(physical vapor deposition)法を利用して製造することができる。例えば、基板上に金属または伝導性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着して正極を形成し、その上に、正孔注入層130、正孔輸送層140、発光層150、電子輸送層160及び電子注入層170を含む有機物層を形成した後、その上に負極として用いられる物質を蒸着させることによって、製造することができる。
【0056】
これにより、本発明は、第1電極;第2電極;及び前記第1電極と第2電極と間に位置する有機物層;ウル含む有機電子素子であって、前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層を含み、前記有機物層は、前記一般式(1)に含まれる化合物を含有するのを特徴とする有機電子素子を提供する。
【0057】
また、本発明は、前記正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層の少なくとも一つの層に、前記一般式(1)に係る化合物が含まれ、前記一般式(1)で示される化合物の1種単独又は2種以上の化合物が混合された組成物を含む有機電子素子を提供する。
【0058】
また、本発明は、前記正孔輸送層又は前記発光補助層に、前記一般式(1)で示される化合物の1種単独又は構造の異なる2種以上の化合物が混合された組成物を含む有機電子素子を提供する。
【0059】
また、本発明の具体的な一例として、前記有機物層で前記発光層は、下記一般式(16)で示された化合物を含有する有機電子素子を提供する:
【化9】
[式中、
1)Arは、互いに独立して、C〜C60のアリール基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC〜C60の複素環基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環との縮合環基;C〜C50のアルキル基;C〜C20のアルケニル基;C〜C20のアルキニル基;C〜C30のアルコキシル基;C〜C30のアリールオキシ基;及び−L'−N(R)(R)(ここで、L’は、単結合;C〜C60のアリーレン基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環との縮合環基;及びC〜C60の複素環基;からなる群から選ばれ、R及びRは、互いに独立して、C〜C60のアリール基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環との縮合環基;及びO、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC〜C60の複素環基;からなる群から選ばれる);からなる群から選ばれ、
2)a、b、cは、0〜4の整数であり、
3)R、R及びRは、同一または異なっていてもよく、互いに独立して、重水素;ハロゲン;C〜C60のアリール基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC〜C60の複素環基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環との縮合環基;C〜C50のアルキル基;C〜C20のアルケニル基;C〜C20のアルキニル基;C〜C30のアルコキシル基;C〜C30のアリールオキシ基;及び−L'−N(Ra)(Rb);からなる群から選ばれ、又はa、b、cが2以上のとき、それぞれ複数であり、互いに同一または異なっていてもよく、複数のR同士あるいは複数のR同士あるいは複数のR同士互いに結合して、芳香族又はヘテロ芳香族環を形成していてもよく、
4)A、Bは、互いに独立して、単結合、S、O、NR’又はCR’R’’であり、
5)R’及びR’’は、互いに独立して、水素;C〜C60のアリール基;C〜C60の複素環基;又は1〜C50のアルキル基;であり、R’とR’’は、互いに結合して、スピロ化合物を形成していてもよく、
6)d、eは、0又は1であり、但し、d+eは、1以上である。]
【0060】
本発明で、前記一般式(16)で示される化合物が、下記一般式(17)又は(18)で示される化合物であり、これを発光層に含む有機電子素子を提供する:
【化10】
(式中、R、R、R、a、b、c、Ar、A、Bは、一般式(16)に記載の定義と同義である。)
【0061】
また、前記一般式(16)で示される化合物は、下記一般式(19)〜(34)のいすれか一つで示される化合物を含む:
【化11】
[式中、
1)R、R、R、a、b、c、A、Bは、前記記載の定義と同義であり、
2)Ar及びArは、互いに独立して、C〜C60のアリール基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC〜C60の複素環基;C〜C60の脂肪族環とC〜C60の芳香族環の縮合環基;からなる群から選ばれ、
3)C、C、C及びCは、互いに独立して、CH、Nからなる群から選ばれ、
4)D、Eは、互いに独立して、単結合、S、O、NR’, CR’R’’であり、R’、R’’は、水素;C〜C60のアリール基;C〜C60の複素環基;C〜C50のアルキル基;からなる群から選ばれ、
5)R’とR’’は、互いに結合して、スピロ化合物を形成することができるし、
6)f、gは、0又は1であり、但し、f+gは、1以上である。]
【0062】
より具体的に、本発明は、前記一般式(16)で示される化合物が、下記一般式(P16−1)〜(P16−33)のいずれか一つである化合物を発光層に含む有機電子素子を提供する:
【化12】
【0063】
また、本発明は、前記有機電子素子において、前記第1電極の一側面中の前記有機物層と反対される一側又は前記第2電極の一側面中の前記有機物層と反対される一側の少なくとも一つに形成される光効率改善層を更に含む有機電子素子を提供する。
【0064】
また、本発明で、前記有機物層は、スピンコーティング工程、ノズルプリンティング工程、インクジェットプリンティング工程、スロットコーティング工程、ディップコーティング工程又はロール・ツー・ロール工程によって形成され、前記有機物層は、電子輸送材料として前記化合物を含むことを特徴とする有機電子素子を提供する。
【0065】
また、本発明は、前記した有機電子素子を含むディスプレイ装置;及び前記ディスプレイ装置を駆動する制御部;を含む電子装置を提供する。
【0066】
また別の側面で、前記有機電子素子は、有機電子発光素子、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスター、及び単色又は白色照明用素子のいずれか一つであることを特徴とする電子装置を本発明で提供する。このとき、電子装置は、現在又は将来の有無線通信端末機であってもよく、携帯電話などの移動通信端末機、PDA、電子辞書、PMP、リモコン、ナビゲーション、ゲーム機、各種TV、各種コンピュータなど全ての電子装置を含む。
【0067】
以下で、本発明の前記一般式(1)で示される化合物の合成例及び本発明の有機電子素子の製造例に関して実施例を聞いて具体的に説明するが、本発明の下記の実施例で限定されるのではない。
【0068】
[合成例]
本発明に係る一般式(1)で示される化合物(final products)は、下記反応スキーム1のように、Sub1とSub2を反応させて合成されるが、これに限定されるものではない。
<反応スキーム1>
【化13】
(式中、X、Y、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、L、L、L、L、R、R、R、R4、m、n、o及びpは、前記に記載の定義と同義である。)
【0069】
I.Sub1の合成
前記反応スキーム1のSub1は、下記反応スキーム2及び反応スキーム3の反応経路によって合成されるが、これに限定されるものではない。
<反応スキーム2>
【化14】
<反応スキーム3>
【化15】
(反応スキーム2及び3中、Aは、X又はYであり;Arは、Ar又はArであり;ArはAr又はArであり;
は、L又はLであり;LはL又はLであり;(Rは、(R又は(Rであり;(Rは(Ro又は(Rpである。)
【化16】
【0070】
Sub1に属する具体的化合物の合成例は以下の通りである。
【0071】
1.Sub1−8の合成例
<反応スキーム4>
【化17】
【0072】
(1)Sub1−J−8の合成
出発物質である(3−([1,1’−ビフェニル]−4−イル(フェニル)アミノ)−2−メチルフェニル)ボロン酸(39.42g、103.94mmol)を丸底フラスコにTHF(360mL)で溶解した後、4−ブロモ−2−ヨードフェノール(34.17g、114.33mmol)、Pd(PPh(4.80g、4.16mmol)、NaOH(12.47g、311.81mmol)、水(180mL)を添加し、80℃で撹拌した。反応が完了すれば、CHClと水で抽出した後、有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物41.06g(収率:78%)を得た。
【0073】
(2)Sub1−8の合成
前記合成で得られたSub1−J−8(41.06g、81.08mmol)を丸底フラスコに、Pd(OAc)(1.82g、8.11mmol)及び3−ニトロピリジン(1.01g、8.11mmol)を添加し、C(120mL)、DMI(80mL)で溶解した後、t−ブチルパーオキシベンゾエート(31.49g、162.15mmol)を添加し、90℃で撹拌した。反応が完了すればCHClと水で抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物16.36g(収率:40%)を得た。
【0074】
2.Sub1−16の合成例
<反応スキーム5>
【化18】
【0075】
(1)Sub1−I−16の合成
出発物質である(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)ボロン酸(29.40g、101.68mmol)に4−ブロモ−2−ヨード−1−(メチルスルフィニル)ベンゼン(38.59g、111.85mmol)、Pd(PPh(4.70g、4.07mmol)、NaOH(12.20g、305.04mmol)、THF(360mL)、水(180mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物34.32g(収率:73%)を得た。
【0076】
(2)Sub1−16の合成
前記合成で得られたSub1−I−16(34.32g、74.22mmol)を丸底フラスコに、トリプリン酸(triflic acid)(98.5mL、1113.30mmol)と共に添加し、室温で24時間撹拌した後、ピリジン水溶液(1300mL、ピリジン:HO=1:5)をゆっくり滴加し、30分間還流撹拌した。反応が完了すれば、CHClと水で抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物16.61g(収率:52%)を得た。
【0077】
3.Sub1−26の合成例
<反応スキーム6>
【化19】
【0078】
(1)Sub1−I−26の合成
出発物質である(4−(ジベンゾ[b,d]チオフェン−2−イル(フェニル)アミノ)フェニル)ボロン酸(19.35g、48.95mmol)に4−ブロモ−2−ヨード−1−(メチルスルフィニル)ベンゼン(18.58g、53.85mmol)、Pd(PPh(2.26g、1.96mmol)、NaOH(5.87g、146.86mmol)、THF(170mL)、水(85mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物19.48g(収率:70%)を得た。
【0079】
(2)Sub1−26の合成
前記合成で得られたSub1−I−26(19.48g、34.26mmol)にトリプリン酸(triflic acid)(45.5mL、513.94mmol)、ピリジン水溶液(600mL、ピリジン:HO=1:5)を添加し、前記Sub1−16合成法を使用して生成物9.01g(収率:49%)を得た。
【0080】
4.Sub1−56の合成例
<反応スキーム7>
【化20】
【0081】
(1)Sub1−J'−56の合成
出発物質である(4−([1,1’−ビフェニル]−3−イル(フェニル)アミノ)−2−ヒドロキシフェニル)ボロン酸(13.99g、36.70mmol)に1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(11.42g、40.37mmol)、Pd(PPh(1.70g、1.47mmol)、NaOH(4.40g、110.09mmol)、THF(130mL)、水(65mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物14.64g(収率:81%)を得た。
【0082】
(2)Sub1−56の合成
前記合成で得られたSub1−J'−56(14.64g、29.73mmol)にPd(OAc)(0.67g、2.97mmol)、3−ニトロピリジン(0.37g、2.97mmol)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(11.55g、59.46mmol)、C(45mL)、DMI(30mL)を添加し、前記Sub1−8合成法を使用して生成物6.27g(収率:43%)を得た。
【0083】
5.Sub1−58の合成例
<反応スキーム8>
【化21】
【0084】
(1)Sub1−K−58の合成
出発物質である(4−(ナフタレン−2−イル(フェニル)アミノ)フェニル)ボロン酸(25.01g、73.73mmol)に4−ブロモ−1−ヨード−2−ニトロベンゼン(26.59g、81.11mmol)、Pd(PPh(3.41g、2.95mmol)、NaOH(8.85g、221.20mmol)、THF(260mL)、水(130mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物31.05g(収率:85%)を得た。
【0085】
(2)Sub1−L−58の合成
前記合成で得られたSub1−K−58(31.05g、62.68mmol)を丸底フラスコにo−ジクロロベンゼン(550mL)で溶解した後、トリフェニルホスフィン(41.10g、156.70mmol)を添加し、200℃で撹拌した。反応が完了すれば、蒸留してo−ジクロロベンゼンを除去し、CHClと水で抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物21.49g(収率:74%)を得た。
【0086】
(3)Sub1−58の合成
前記合成で得られたSub1−L−58(21.49g、46.38mmol)を丸底フラスコに、ニトロベンゼン(290mL)で溶解した後、ヨードベンゼン(14.19g、69.56mmol)、NaSO(6.59g、46.38mmol)、KCO(6.41g、46.38mmol)、Cu(0.88g、13.91mmol)を添加し、200℃で撹拌した。反応が完了すれば、蒸留してニトロベンゼンを除去し、CHClと水で抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物17.01g(収率:68%)を得た。
【0087】
6.Sub1−59の合成例
<反応スキーム9>
【化22】
【0088】
(1)Sub1−I’−59の合成
出発物質である(5−(ジフェニルアミノ)−2−(メチルスルフィニル)フェニル)ボロン酸(51.77g、147.40mmol)に、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(45.87g、162.14mmol)、Pd(PPh(6.81g、5.90mmol)、NaOH(17.69g、442.19mmol)、THF(520mL)、水(260mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物53.84g(収率:79%)を得た。
【0089】
(2)Sub1−59の合成
前記合成で得られたSub1−I’−59(53.84g、116.43mmol)に、トリプリン酸(triflic acid)(154.5mL、1746.50mmol)、ピリジン水溶液(2040mL、ピリジン:H2O=1:5)を添加し、前記Sub1−16合成法を使用して生成物27.06g(収率:54%)を得た。
【0090】
7.Sub1−76の合成例
<反応スキーム10>
【化23】
【0091】
(1)Sub1−J’−76の合成
出発物質である(1−ヒドロキシ−4−(ナフタレン−1−イル(フェニル)アミノ)ナフタレン−2−イル)ボロン酸(25.55g、63.05mmol)に、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(19.62g、69.35mmol)、Pd(PPh(2.91g、2.52mmol)、NaOH(7.57g、189.14mmol)、THF(220mL)、水(110mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物22.79g(収率:70%)を得た。
【0092】
(2)Sub1−76の合成
前記合成で得られたSub1−J’−76(22.79g、44.13mmol)にPd(OAc)(0.99g、4.41mmol)、3−ニトロピリジン(0.55g、4.41mmol)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(17.14g、88.26mmol)、C(66mL)、DMI(44mL)を添加し、前記Sub1−8合成法を使用して生成物8.85g(収率:39%)を得た。
【0093】
8.Sub1−83の合成例
<反応スキーム11>
【化24】
【0094】
(1)Sub1−I−83の合成
出発物質である(3−(ジフェニルアミノ)ナフタレン−1−イル)ボロン酸(15.49g、45.67mmol)に、4−ブロモ−1−ヨード−2−(メチルスルフィニル)ベンゼン(17.33g、50.23mmol)、Pd(PPh(2.11g、1.83mmol)、NaOH(5.48g、137.00mmol)、THF(160mL)、水(80mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物15.21g(収率:65%)を得た。
【0095】
(2)Sub1−83の合成
前記合成で得られたSub1−I−83(15.21g、29.68mmol)にトリプリン酸(triflic acid)(39.4mL、445.20mmol)、ピリジン水溶液(520mL、ピリジン:HO=1:5)を添加し、前記Sub1−16合成法を使用して生成物6.70g(収率:47%)を得た。
【0096】
9.Sub1−95の合成例
<反応スキーム12>
【化25】
【0097】
(1)Sub1−J−95の合成
出発物質である(3’−(ジフェニルアミノ)−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)ボロン酸(27.56g、75.46mmol)に、4−ブロモ−2−ヨードフェノール(24.81g、83.00mmol)、Pd(PPh(3.49g、3.02mmol)、NaOH(9.05g、226.37mmol)、THF(260mL)、水(130mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物29.73g(収率:80%)を得た。
【0098】
(2)Sub1−95の合成
前記合成で得られたSub1−J−95(29.73g、60.38mmol)に、Pd(OAc)(1.36g、6.04mmol)、3−ニトロピリジン(0.75g、6.04mmol)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(23.45g、120.75mmol)、C(90mL)、DMI(60mL)を添加し、前記Sub1−8合成法を使用して生成物12.14g(収率:41%)を得た。
【0099】
10.Sub1−101の合成例
<反応スキーム13>
【化26】
【0100】
(1)Sub1−I’−101の合成
出発物質である(5−(ジフェニルアミノ)−2−(メチルスルフィニル)フェニル)ボロン酸(42.04g、119.69mmol)に、4−ブロモ−4'−ヨード−1,1’−ビフェニル(47.27g、131.66mmol)、Pd(PPh(5.53g、4.79mmol)、NaOH(14.36g、359.08mmol)、THF(420mL)、水(210mL)を添加し、前記Sub1−J−8合成法を使用して生成物49.63g(収率:77%)を得た。
【0101】
(2)Sub1−101の合成
前記合成で得られたSub1−I’−101(49.63g、92.16mmol)にトリプリン酸(triflic acid)(122.3mL、1382.45mmol)、ピリジン水溶液(1615mL、ピリジン:HO=1:5)を添加し、前記Sub1−16合成法を使用して生成物23.34g(収率:50%)を得た。
【0102】
Sub1に属する化合物は、以下の化合物であってもよいが、これに限定されるものではない。表1は、Sub1に属する一部化合物のFD−MS(Field Desorption-Mass Spectrometry)値を示したものである。
【化27】
【0103】
【表1】
【0104】
II.Sub2の合成
【0105】
前記反応スキーム1のSub2は、反応スキーム14の反応経路によって合成されるが、これに限定されるものではない。
<反応スキーム14>
【化28】
【0106】
Sub2に属する具体的化合物の合成例は以下の通りである。
【0107】
1.Sub2−11の合成例
<反応スキーム15>
【化29】
【0108】
前記合成で得られたSub1−8(9.71g、19.25mmol)を丸底フラスコに、トルエン(135mL)で溶解した後、アニリン(1.97g、21.17mmol)、Pd(dba)(0.53g、0.58mmol)、50%P(t−Bu)(0.8mL、1.54mmol)、NaOt−Bu(5.55g、57.75mmol)を添加し、40°Cで撹拌した。反応が完了すれば、CHClと水で抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物7.16g(収率:72%)を得た。
【0109】
2.Sub2−21の合成例
<反応スキーム16>
【化30】
【0110】
前記合成で得られたSub1−26(8.45g、15.75mmol)に、[1,1’−ビフェニル]−4−アミン(2.93g、17.32mmol)、Pd(dba)(0.43g、0.47mmol)、50%P(t−Bu)(0.6mL、1.26mmol)、NaOt−Bu(4.54g、47.25mmol)、トルエン(110mL)を添加し、前記Sub2−11合成法を使用して生成物7.58g(収率:77%)を得た。
【0111】
3.Sub2−38の合成例
<反応スキーム17>
【化31】
【0112】
前記合成で得られたSub1−58(15.80g、29.29mmol)に、アニリン(3.00g、32.22mmol)、Pd(dba)(0.80g、0.88mmol)、50%P(t−Bu)(1.1mL、2.34mmol)、NaOt−Bu(8.44g、87.86mmol)、トルエン(205mL)を添加し、前記Sub2−11合成法を使用して生成物13.09g(収率:81%)を得た。
【0113】
4.Sub2−39の合成例
<反応スキーム18>
【化32】
【0114】
前記合成で得られたSub1−59(12.46g、28.95mmol)に、アニリン(2.97g、31.85mmol)、Pd(dba)(0.80g、0.87mmol)、50%P(t−Bu)(1.1mL、2.32mmol)、NaOt−Bu(8.35g、86.86mmol)、トルエン(205mL)を添加し、前記Sub2−11合成法を使用して生成物10.89g(収率:85%)を得た。
【0115】
5.Sub2−50の合成例
<反応スキーム19>
【化33】
【0116】
前記合成で得られたSub1−76(8.39g、16.31mmol)に、ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−アミン(3.58g、17.94mmol)、Pd(dba)(0.45g、0.49mmol)、50%P(t−Bu)(0.6mL、1.30mmol)、NaOt−Bu(4.70g、48.93mmol)、トルエン(115mL)を添加し、前記Sub2−11合成法を使用して生成物7.02g(収率:68%)を得た。
【0117】
6.Sub2−59の合成例
<反応スキーム20>
【化34】
【0118】
前記合成で得られたSub1−101(16.47g、32.52mmol)に、アニリン(3.33g、35.77mmol)、Pd(dba)(0.89g、0.98mmol)、50%P(t−Bu)(1.3mL、2.60mmol)、NaOt−Bu(9.38g、97.56mmol)、トルエン(230mL)を添加し、前記Sub2−11合成法を使用して生成物13.33g(収率:79%)を得た。
【0119】
7.Sub2−63の合成例
<反応スキーム21>
【化35】
【0120】
前記合成で得られたSub1−95(10.54g、21.49mmol)に、9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(4.95g、23.64mmol)、Pd(dba)(0.59g、0.64mmol)、50%P(t−Bu)(0.8mL、1.72mmol)、NaOt−Bu(6.20g、64.48mmol)、トルエン(150mL)を添加し、前記Sub2−11合成法を使用して生成物9.97g(収率:75%)を得た。
【0121】
Sub2に属する化合物は、以下の化合物であってもよいが、これに限定されるものではなく、表2は、Sub2に属する一部化合物のFD−MS(Field Desorption-Mass Spectrometry)値を示したものである。
【化36】
【0122】
【表2】
【0123】
III.Productの合成
Sub1(1当量)を、丸底フラスコにトルエンで溶解した後、Sub2(1当量)、Pd(dba)(0.03当量)、(t−Bu)P(0.06当量)、NaOt−Bu(3当量)を100°Cで撹拌した。反応が完了すれば、CHClと水で抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、最終生成物(final product)を得た。
【0124】
1.P1−10の合成例
<反応スキーム22>
【化37】
【0125】
前記合成で得られたSub1−8(6.07g、12.03mmol)を、丸底フラスコにトルエン(120mL)で溶解した後、Sub2−11(6.22g、12.03mmol)、Pd(dba)(0.33g、0.36mmol)、50%P(t−Bu)(0.4mL、0.72mmol)、NaOt−Bu(3.47g、36.10mmol)を添加し、100°Cで撹拌した。反応が完了すれば、CHClと水で抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物7.01g(収率:62%)を得た。
【0126】
2.P1−20の合成例
<反応スキーム23>
【化38】
【0127】
前記合成で得られたSub1−16(4.33g、10.06mmol)に、Sub2−21(6.29g、10.06mmol)、Pd(dba)(0.28g、0.30mmol)、50%P(t−Bu)(0.3mL、0.60mmol)、NaOt−Bu(2.90g、30.18mmol)、トルエン(100mL)を添加し、前記P1−10合成法を使用して生成物7.74g(収率:79%)を得た。
【0128】
3.P1−58の合成例
<反応スキーム24>
【化39】
【0129】
前記合成で得られたSub1−56(4.42g、9.01mmol)に、Sub2−38(4.97g、9.01mmol)、Pd(dba)(0.25g、0.27mmol)、50%P(t−Bu)(0.3mL、0.54mmol)、NaOt−Bu(2.60g、27.04mmol)、トルエン(90mL)を添加し、前記P1−10合成法を使用して生成物6.67g(収率:77%)を得た。
【0130】
4.P1−59の合成例
<反応スキーム25>
【化40】
【0131】
前記合成で得られたSub1−59(5.15g、11.97mmol)に、Sub2−39(5.30g、11.97mmol)、Pd(dba)(0.33g、0.36mmol)、50%P(t−Bu)(0.4mL、0.72mmol)、NaOt−Bu(3.45g、35.90mmol)、トルエン(120mL)を添加し、前記P1−10合成法を使用して生成物7.96g(収率:84%)を得た。
【0132】
5.P1−70の合成例
<反応スキーム26>
【化41】
【0133】
前記合成で得られたSub1−59(4.31g、10.01mmol)に、Sub2−50(6.34g、10.01mmol)、Pd(dba)(0.28g、0.30mmol)、50%P(t−Bu)(0.3mL、0.60mmol)、NaOt−Bu(2.89g、30.04mmol)、トルエン(100mL)を添加し、前記P1−10合成法を使用して生成物7.18g(収率:73%)を得た。
【0134】
6.P1−76の合成例
<反応スキーム27>
【化42】
【0135】
前記合成で得られたSub1−16(4.94g、11.48mmol)に、Sub2−39(5.08g、11.48mmol)、Pd(dba)(0.32g、0.34mmol)、50%P(t−Bu)(0.3mL、0.69mmol)、NaOt−Bu(3.31g、34.44mmol)、トルエン(115mL)を添加して前記P1−10合成法を使用して生成物7.73g(収率:85%)を得た。
【0136】
7.P1−92の合成例
<反応スキーム28>
【化43】
【0137】
前記合成で得られたSub1−83(5.14g、10.70mmol)に、Sub2−38(5.90g、10.70mmol)、Pd(dba)(0.29g、0.32mmol)、50%P(t−Bu)(0.3mL、0.64mmol)、NaOt−Bu(3.08g、32.10mmol)、トルエン(105mL)を添加し、前記P1−10合成法を使用して生成物7.73g(収率:76%)を得た。
【0138】
8.P1−96の合成例
<反応スキーム29>
【化44】
【0139】
前記合成で得られたSub1−59(4.95g、11.04mmol)に、Sub2−59(5.72g、11.04mmol)、Pd(dba)(0.30g、0.33mmol)、50%P(t−Bu)(0.3mL、0.66mmol)、NaOt−Bu(3.18g、33.11mmol)、トルエン(110mL)を添加して前記P1−10合成法を使用して生成物6.52g(収率:68%)を得た。
【0140】
9.P1−102の合成例
<反応スキーム30>
【化45】
【0141】
前記合成で得られたSub1−101(6.16g、12.16mmol)に、Sub2−59(6.31g、12.16mmol)、Pd(dba)(0.33g、0.36mmol)、50%P(t−Bu)(0.4mL、0.73mmol)、NaOt−Bu(3.51g、36.49mmol)、トルエン(120mL)を添加し、前記P1−10合成法を使用して生成物6.89g(収率:60%)を得た。
【0142】
10.P1−107の合成例
<反応スキーム31>
【化46】
【0143】
前記合成で得られたSub1−16(5.99g、13.92mmol)に、Sub2−63(8.61g、13.92mmol)、Pd(dba)(0.38g、0.42mmol)、50%P(t−Bu)(0.4mL、0.84mmol)、NaOt−Bu(4.01g、41.76mmol)、トルエン(140mL)を添加し、前記P1−10合成法を使用して生成物7.68g(収率:57%)を得た。
【0144】
前記のような合成例により製造された本発明の一部化合物のFD−MS値は下記表3に示した。
【0145】
【表3】
【0146】
一方、前記では一般式(1)で示される本発明の例示的合成例を説明したが、これらは、いずれもバックワルド・ハートウィグクロスカップリング反応、鈴木クロスカップリング反応、Intramolecular acid-induced cyclization反応(J. mater. Chem. 1999, 9, 2095.)、Pd(II)-catalyzed oxidativecy clization反応(Org. Lett. 2011, 13, 5504)、PPh3−mediated reductive cyclization反応(J. Org. Chem. 2005, 70, 5014.)、ウルマン反応などに基づいたものであり、具体的合成例に明示された置換基以外に、一般式(1)に定義された他の置換基(X、Y、Ar〜Ar、L〜L、R〜R等の置換基)が結合されても前記反応が進むことは当業者であれば簡単に理解できるはずであろう。例えば、反応スキーム1において、Sub1とSub2→Final Product反応、反応スキーム14において、Sub1→Sub2反応は、バックワルド・ハートウィグクロスカップリング反応に基づいたものであり、反応スキーム2及び反応スキーム3において、出発物質→Sub1−I反応、出発物質→Sub1−J反応、出発物質→Sub1−K反応、出発物質→Sub1−I’反応、出発物質→Sub1−J’反応、出発物質→Sub1−K’反応は、いずれも鈴木クロスカップリング反応に基づいたものであり、反応スキーム2及び反応スキーム3において、Sub1−I→Sub1反応、Sub1−I’ →Sub1反応は、Intramolecular acid-induced cyclization反応(J. mater. Chem. 1999, 9, 2095.)に基づいたものである。次いで、反応スキーム2及び反応スキーム3において、Sub1−J→Sub1反応、Sub1−J’ →Sub1反応は、Pd(II)-catalyzed oxidative cyclization反応(Org. Lett. 2011, 13, 5504)に基づいたものであり、反応スキーム2及び反応スキーム3において、Sub1−K→Sub1−L反応、Sub1−K’→Sub1−L反応は、PPh3-mediated reductive cyclization反応(J. Org. Chem. 2005, 70, 5014.)に基づいたものであり、Sub1−L→Sub1反応は、ウルマン反応に基づいたものである。具体的に明示されなかった置換基が結合されても前記反応は進むだろう。
【0147】
有機電子素子の製造評価
【0148】
[実施例1]グリーン有機電子発光素子(正孔輸送層)
本発明の化合物を正孔輸送層物質として用いて、通常の方法で機電子発光素子を製作した。まず、有機基板に形成されたITO層(正極)上に、4,4’,4’’−トリス[2−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(以下、‘2−TNATA’という)を60nm厚さで真空蒸着して、正孔注入層を形成した後、前記正孔注入層上に本発明の化合物(P1−11)を60nm厚さで真空蒸着して、正孔輸送層を形成した。次いで、前記正孔輸送層上に、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(以下、‘CBP’という)をホスト物質として、トリス(2−フェニルピリジン)−イリジウム(以下、‘Ir(ppy)’という)をドーパント物質として用い、90:10重量比でドープし、30nm厚さで真空蒸着して、発光層を形成した。次いで、前記発光層上に、(1,1’−ビスフェニル)−4−オラト)ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(以下、‘BAlq’という)を10nm厚さで真空蒸着して、正孔阻止層を形成し、前記正孔阻止層上に、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、‘Alq’という)を40nm厚さで真空蒸着して、電子輸送層を形成した。以後、ハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着して、電子注入層を形成し、次いでAlを150nmの厚さで蒸着して、負極を形成することによって、有機電子発光素子を製造した。
【0149】
[実施例2]〜[実施例16]グリーン有機電子発光素子(正孔輸送層)
正孔輸送層物質として、本発明の化合物(P1−11)の代わりに本発明の化合物(P1−14)〜(P−108)をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で有機電子発光素子を製作した。
【0150】
[比較例1]〜[比較例6]
正孔輸送層物質として、本発明の化合物(P1−11)の代わりに表4に記載された下記比較化合物(1)〜(6)をそれぞれ用いたこと以外は、前記実施例1と同じ方法で有機電子発光素子を製作した。
【化47】
【0151】
本発明の実施例1〜実施例16及び比較例1〜比較例6によって製造された有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加え、フォトリサーチ社製のPR−650で電気発光(EL)特性を測定した。その結果、5000cd/m基準輝度でMcScience社製の寿命測定装備を利用して、T95寿命を測定し。その結果は、下記表4に示した。
【0152】
【表4】
【0153】
前記表4に示されるように、本発明化合物を正孔輸送層材料として用いた有機電子発光素子は、比較化合物1〜比較化合物6を正孔輸送層材料として用いた有機電子発光素子に比べて、比較的駆動電圧が低く、発光効率が向上されただけでなく、寿命などが改善されたことが分かる。
【0154】
特に、本発明化合物と比較化合物2の比較を通じて、同一骨格を有する構造(3級アミンに複素環が2個置換された構造で、複素環の末端にアミンがそれぞれ1個ずつ導入された構造)であっても複素環の種類に応じて異なる結果を示すことを確認することができた。
【0155】
3級アミンに置換される複素環が全部カルバゾールで構成される比較化合物2よりも、カルバゾールの代わりに少なくとも一つがジベンゾフラン/ジベンゾチオフェンで置換される本発明化合物の方が、発光効率及び寿命において顕著に改善された結果を示した。
【0156】
これは、3級アミンに、カルバゾールの代わりにジベンゾフラン/ジベンゾチオフェンが置換されることで、深いHOMOエネルギーレベル及び高い屈折率を有するからであり、結果的に素子を製作したとき、高い光透過率を有することによって発光効率が上昇され、深いHOMOエネルギーレベルを通じて正孔の移動が容易になり、結果的に正孔と電子の発光層内電荷均衡が増加し、発光効率及び寿命などが最大化されたためと判断される。
【0157】
また、同一骨格上に複素環の種類の変化に応じて、異なる結果が示されるのは、比較化合物3〜比較化合物6の比較を通しても確認することができるが、比較化合物6は、比較化合物3〜比較化合物5よりもさらに深いHOMOエネルギーレベルを有している。これにより、比較化合物6のような形態の複素環導入(3次アミンにジベンゾフラン/ジベンゾチオフェンの2個の置換)が発光補助層材料としてさらに適していることを確認することができた。
【0158】
最後に、3級アミンにヘテロアリールが2個置換された構造で、ヘテロアリール末端にアミンを導入した個数に応じて、異なる結果が示されることを確認することができた。
【0159】
2個の複素環末端にそれぞれ1個ずつアミンが結合されている構造である本発明化合物は、2個の複素環中の1個の複素環末端にのみ1個のアミンが結合されている構造である比較化合物4及び比較化合物5よりも、さらに優れた素子性能(高い発光効率及び長い寿命)を示た。これは、本発明化合物が、比較化合物4〜比較化合物5よりも複素環末端にアミンの導入個数を過度に増やさずに、適切な範囲内でアミンを導入することによって、正孔輸送層のHOMOエネルギーレベルが調節され、正孔輸送層が発光層との最も適切なHOMOエネルギーレベルの差を有するようになり、電荷均衡の増加により発光層内部で発光がさらによく行われるためと判断される。
【0160】
前述した特性(高い屈折率、深いHOMOエネルギーレベル)を総合してみれば、3級アミンに置換されるヘテロアリールの種類及びヘテロアリール末端にアミンが導入される個数によって、バンドギャップ、電気的特性、界面性質などが大きく変わり得ることを示しており、これは、素子の性能向上に主な因子として作用することを確認することができた。
【0161】
また、正孔輸送層の場合には、発光層(ホスト)との相互関係を把握しなければならないところ、類似なコアを使用しても本発明に係る化合物が使用された正孔輸送層に示す特徴を類推することは通常の技術者であっても非常に困難なことである。
【0162】
[実施例17]レッド有機電子発光素子(発光補助層)
本発明の化合物を発光補助層物質として用い、通常の方法で有機電子発光素子を製作した。まず、ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に、2−TNATAを60nm厚さで真空蒸着して、正孔注入層を形成した後、前記正孔注入層上にNPBを60nm厚さで真空蒸着して、正孔輸送層を形成した。次いで、前記正孔輸送層上に本発明の化合物(P1−1)を20nmの厚さで真空蒸着して、発光補助層を形成した後、前記発光補助層上に、ホスト物質としてCBPを、ドーパント物質としてbis−(1−フェニルイソキノリル)イリジウム(III)アセチルアセトネート(以下、‘(piq)Ir(acac)’という)を用いて、95:5重量比でドープし、30nm厚さで真空蒸着して、発光層を形成した。次いで、前記発光層上に、BAlqを10nm厚さで真空蒸着して、正孔阻止層を形成し、前記正孔阻止層上にAlqを40nm厚さで真空蒸着して、電子輸送層を形成した。以後、ハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着して、電子注入層を形成し、次いで、Alを150nmの厚さで蒸着して、負極を形成することによって有機電子発光素子を製造した。
【0163】
[実施例18]〜[実施例45]レッド有機電子発光素子(発光補助層)
発光補助層物質として本発明の化合物(P1−1)の代わりに下記表5に記載された本発明の化合物(P1−5)〜(P1−105)を用いたこと以外は、実施例33と同じ方法で有機電子発光素子を製作した。
【0164】
[比較例7]
発光補助層を形成しなかったこと以外は、前記実施例33と同じ方法で有機電子発光素子を製作した。
【0165】
[比較例8]〜[比較例12]
発光補助層物質として本発明の化合物(P1−1)の代わりに下記表5に記載された下記の比較化合物2〜比較化合物6を、それぞれ用いたこと以外は、前記実施例17と同じ方法で有機電子発光素子を製作した。
【0166】
本発明の実施例17〜実施例45及び比較例7及び比較例12によって製造された有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加え、フォトリサーチ社製のPR−650で電気発光(EL)特性を測定し。その結果、2500cd/m基準輝度でMcScience社製の寿命測定装備を利用して、T95寿命を測定し、その結果を下記表5に示した。
【0167】
【表5】
【0168】
前記表5に示されるように、本発明の化合物を発光補助層材料として用いた有機電子発光素子は、比較例7〜比較例12の有機電子発光素子に比べて発光効率が向上され、寿命が顕著に改善された。
【0169】
特に、発光補助層を形成しなかった素子よりも、比較化合物2〜比較化合物6及び本発明化合物を発光補助層として用いた素子が発光効率及び寿命が向上されたことを確認することができた。その中でも、本発明化合物が発光効率と寿命面で格段に高い結果を示すことを確認することができた。これは、3級アミンに置換されるヘテロアリールの種類及びヘテロアリール末端のアミン導入の有無が正孔輸送層だけでなく、発光補助層(赤色リン光)でも素子の性能向上に主な因子として作用し、高い屈折率、高いT1値及び正孔輸送層で正孔を効率的に輸送し得る深いHOMOエネルギーレベルなどに発光層内に電荷均衡を達成することを容易にすると判断される。
【0170】
さらに、前述した素子製作の評価結果では、本発明の化合物を正孔輸送層及び発光補助層のいずれか1層にのみ適用した素子特性を説明したが、本発明の化合物を正孔輸送層と発光補助層の両方に適用して使用してもよい。
【0171】
[合成例2]
本発明に係る一般式(16)で示される化合物(final product2)は、下記の反応スキーム33のようにSub3とSub4とか反応して製造される。
<反応スキーム33>
【化48】
【0172】
Sub3の合成例
前記反応スキーム33のSub3は、下記の反応スキーム34の反応経路によって合成されるが、これに限定されたものではない。
<反応スキーム34>
【化49】
【0173】
Sub3(1)の合成例
【化50】
【0174】
Sub3−2−1の合成法
5−ブロモベンゾ[b]ナフタ[1,2−d]チオフェン(50g、0.16mol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(48.65g、0.19mol)、KOAc(47g、0.48mol)、PdCl(dppf)(5.21g、4mol%)をDMF溶媒に溶解した後、120℃で12時間還流させた。反応が終了すれば、反応物の温度を室温に冷却し、CHClで抽出し、水で洗浄した。
【0175】
有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された有機物をCHClとメタノール溶媒で再結晶化して、所望のSub3−2−1(46g、80%)を得た。
【0176】
Sub3−4−1の合成法
得られたSub3−2−1(40g、0.11mol)、ブロモ−2−ニトロベンゼン(26.91g、0.13mol)、KCO(46.03g、0.33mol)、Pd(PPh(5.13g、4mol%)を無水THFと少量の水に溶解した後、80℃で12時間還流させた。反応が終了すれば、反応物の温度を室温に冷却し、CHClで抽出し、水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された有機物をシリカゲルカラムにより分離して、所望のSub3−4−1(27.62g、70%)を得た。
【0177】
Sub3(1)合成法
得られたSub3−4−1(20g、0.05mol)とトリフェニルホスフィン(44.28g、0.17mol)をo−ジクロロベンゼンに溶解させ、24時間還流させた。反応完結後に、減圧下蒸留して溶媒を除去した後、濃縮された生成物をシリカゲルカラム及び再結晶して、所望のSub3(1)(26.68g、75%)を得た。
【0178】
Sub3(2)の合成例
【化51】
【0179】
Sub3−2−2の合成法
5−ブロモベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン(50g、0.16mol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(48.65g、0.19mol)、KOAc(47g、0.48mol)、PdCl(dppf)(5.21g、4mol%)をDMF溶媒に溶解した後、120℃で12時間還流させた。反応が終了すれば反応物の温度を室温に冷却し、CHClで抽出し、水で洗浄した。
【0180】
有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された有機物をCHClとメタノール溶媒で再結晶化して、所望のSub3−2−2(45g、78%)を得た。
【0181】
Sub3−4−2の合成法
得られたSub3−2−2(40g、0.11mol)、ブロモ−2−ニトロベンゼン(26.91g、0.13mol)、KCO(46.03g、0.33mol)、Pd(PPh(5.13g、4mol%)を無水THFと少量の水に溶解した後、80℃で12時間還流させた。反応が終了すれば、反応物の温度を室温に冷却し、CHClで抽出し、水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された有機物をシリカゲルカラムにより分離して、所望のSub3−4−2(25.4g、65%)を得た。
【0182】
Sub3(2)の合成法
得られたSub3−4−2(20g、0.05mol)とトリフェニルホスフィン(44.28g、0.17mol)をo−ジクロロベンゼンに溶解させ、24時間還流させた。反応完結後に、減圧下蒸留して溶媒を除去した後、濃縮された生成物をシリカゲルカラム及び再結晶して、所望のSub3(2)(23.48g、66%)を得た。
【0183】
Sub3の例示は以下の通りであるが、これに限定されるものではない。
【化52】
【0184】
【表6】
【0185】
Sub4の例示
Sub4の例示は以下の通りであるが、これに限定されるものではない。
【化53】
【0186】
【表7】
【0187】
Final products2の合成例
【0188】
P16−4の合成例
【化54】
【0189】
Sub3(1)(15.3g、47.3mmol)を丸底フラスコに入れ、トルエン(500mL)で溶解した後、Sub4−15(14.8g、52.0mmol)、Pd(dba)(2.2g、2.4mmol)、P(t−Bu)(1g、4.73mmol)、NaOt−Bu(13.6g、141.8mmol)を添加し、100℃で撹拌した。反応が完了すれば、CHClと水で抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物17.0g(収率:68%)を得た。
【0190】
P16−25の合成例
【化55】
【0191】
Sub3(6)(18.1g、47.3mmol)を丸底フラスコに入れ、トルエン(500mL)で溶解した後、Sub4−5(16.2g、52.0mmol)、Pd(dba)(2.2g、2.4mmol)、P(t−Bu)(1g、4.73mmol)、NaOt−Bu(13.6g、141.8mmol)を添加し、100℃で撹拌した。反応が完了すれば、CHClと水で抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、濃縮した。生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物20.3g(収率:70%)を得た。
【0192】
【表8】
【0193】
[実施例46]レッド有機電子発光素子(発光補助層とホスト)
まず、ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に、ホール注入層としてN1−(ナフタレン−2−イル)−N,N−ビス(4−(ナフタレン−2−イル(フェニル)アミノ)フェニル)−N−フェニルベンゼン−1,4−ジアミン(‘2−TNATA’という)膜を真空蒸着し、60nm厚さで形成した。次いで、この膜上に、正孔輸送化合物としてNPBを60nm厚さで真空蒸着し、正孔輸送層を形成した。次いで、発光補助層材料として一般式(1)で示される前記発明化合物を60nmの厚さで真空蒸着し、発光補助層を形成した。発光補助層を形成した後、発光補助層上部にホストとして一般式(16)で示される化合物を用い、ドーパントとして(piq)Ir(acac)[ビス−(1−フェニルイソキノリル)イリジウム(III)アセチルアセトネート]を95:5重量でドープすることで、前記発光補助層上に30nm厚さの発光層を蒸着した。ホールブロック層で(1,1’−ビスフェニル)−4−オラト)ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(以下BAlqで略記する)を10nm厚さで真空蒸着し、電子輸送層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、‘Alq’という)を40nm厚さで成膜した。以後、電子注入層としてハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着し、次いで、Alを150nmの厚さで蒸着して負極として使用することで有機電子発光素子を製造した。
【0194】
このように製造された実施例及び比較例有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加え、フォトリサーチ社製のPR−650で電気発光(EL)特性を測定し、その結果、2500cd/m基準輝度でMcScience社製の寿命測定装備を利用してT95寿命を測定した。下記表9は素子製作及び評価した結果を示す。
【0195】
[比較例13]
発光補助層として比較化合物2を使用したこと以外は、は前記実施例2と同様の方法で有機電子発光素子を製作した。
【0196】
【表9】
【0197】
前記表9に示されるように、一般式(1)で示される本発明の有機電子発光素子用材料を発光補助層として用い、一般式(1)6で示される本発明の有機電子発光素子用材料をリン光ホストとして用いる場合、そうではない素子に比べて、駆動電圧、効率及び寿命を顕著に改善させることを確認することができた。
【0198】
換言すれば、比較化合物2を発光補助層として用いた比較例13よりも、一般式(1)で示される化合物を発光補助層として用い、一般式(1)6で示される化合物をリン光ホストとして用いた発明素子実施例46〜53が駆動電圧、効率、寿命面で顕著に優れた結果を示した。
【0199】
これは、一般式(1)で示される発明化合物は、比較化合物2と比較して高い屈折率、高いT1値及び深いHOMPOエネルギーレベルのような特徴を有しており、一般式(1)6で示される発明化合物は、一般的なホストCBPと比較して説明すれば、電子だけでなくホールに対する安定性、高いT1などの特徴がある。従って、これらの組み合わせにより、発光層にさらに多いホールが迅速、且つ簡単に移動することになり、これにより、正孔と電子の発光層内、電荷均衡が増加し、正孔輸送層界面でない発光層内部で発光がよくなされ、それにより、またITOとHTL界面に劣化が低減し、素子全体の駆動電圧、効率及び寿命が最大化されると判断される。即ち、一般式(1)と一般式(1)6の組み合わせが電気化学的に相乗作用を起こし、素子全体の性能が向上されたものと思量される。
【0200】
以上の説明は、本発明を例示的に説明したものに過ぎない。本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。従って、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するためのものでなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術は、本発明の権利範囲に含むと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0201】
100:有機電子素子
110:基板
120:第1電極(正極)
130:正孔注入層
140:正孔輸送層
141:バッファ層
150:発光層
151:発光補助層
160:電子輸送層
170:電子注入層
180:第2電極(負極)

図1