【実施例】
【0065】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0066】
<実施例1>
透明基材フィルム2は、日本ゼオン株式会社(Zeon Corporation)製「ZeonorFilm ZF16−100(製品名)」を用いた。この透明基材フィルム2の一方の面にコロナ処理を施した後、その一方の面にハードコート層3を積層し、ハードコートフィルムを作製した。さらに、ハードコートフィルムにおけるハードコート層3の表面に光学調整層4を積層して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0067】
(ハードコート塗工液(1a)の調製)
ディスポカップにDIC株式会社(DIC Corporation)製「PC16−2291(製品名)」と酢酸ブチルとメチルエチルケトン(MEK)を次の配合比で混合し、ハードコート塗工液(1a)を調整した。
【0068】
【表1】
【0069】
(ハードコートフィルム(1A)の作製)
前記ハードコート塗工液(1a)を#5のワイヤーバーを用いて、透明基材フィルム2のコロナ処理した面に塗布し、その後80℃の温度で1.0分間かけて乾燥し、次いで高圧水銀ランプを用いて、光量200mJ/cm
2の条件で紫外線を照射し、ハードコートフィルム(1A)を作製した。
【0070】
(光学調整層塗工液(1b)の調製)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−816−3L(製品名)」と綜研化学株式会社(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)製「ケミスノー(CHEMISNOW)MX−80H3wT(製品名)」とメチルエチルケトン(MEK)を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(1b)を調整した。
【0071】
【表2】
【0072】
(光学調整層付きハードコートフィルム(1B)の作製)
ハードコートフィルム(1A)のハードコート層3の表面に光学調整層塗工液(1b)を#3のワイヤーバーを用いて塗布し、その後80℃の温度で1.0分間かけて乾燥し、次いで、紫外線を透過する窓が上面に設けられた容器の中にフィルムを入れ3分間容器内を窒素雰囲気化に置いた。その後高圧水銀ランプを用いて、光量200mJ/cm
2の条件で紫外線を照射し、光学調整層付きハードコートフィルム(1B)を作製した。
【0073】
<実施例2>
実施例1の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0074】
(光学調整層塗工液(2b)の調製)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−816−3L(製品名)」と綜研化学株式会社(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)製「ケミスノー(CHEMISNOW)MX−40(製品名)」とメチルエチルケトン(MEK)を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(2b)を調整した。
【0075】
【表3】
【0076】
(光学調整層付きハードコートフィルム(2B)の作製)
光学調整層塗工液(2b)を使用し、他は実施例1と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(2B)を作製した。
【0077】
<実施例3>
実施例1の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0078】
(光学調整層塗工液(3b)の調製)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−816−3L(製品名)」と綜研化学株式会社(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)製「ケミスノー(CHEMISNOW)MX−150(製品名)」とメチルエチルケトン(MEK)を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(3b)を調整した。
【0079】
【表4】
【0080】
(光学調整層付きハードコートフィルム(3B)の作製)
光学調整層塗工液(3b)を使用し、他は実施例1と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(3B)を作製した。
【0081】
<実施例4>
実施例1のハードコート層3の塗工液を変更して、ハードコートフィルムを作製した。さらに、ハードコートフィルムのハードコート層3の表面に実施例1と同様の光学調整層4を積層して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0082】
(ハードコート塗工液(4a)の調製)
ディスポカップにDIC株式会社(DIC Corporation)製ハードコート剤「PC16−2291(製品名)」と「P
C16−9081(製品名)」と酢酸ブチルとメチルエチルケトン(MEK)を次の配合比で混合し、ハードコート塗工液(4a)を調整した。
【0083】
【表5】
【0084】
(ハードコートフィルム(4A)の作製)
ハードコート塗工液(4a)を使用し、他は実施例1のハードコートフィルム(1A)の作製と全く同様にして、ハードコートフィルム(4A)を作製した。
【0085】
(光学調整層付きハードコートフィルム(4B)の作製)
ハードコートフィルム(4A)を使用し、他は実施例1と全く同様に光学調整層4を積層して、光学調整層付きハードコートフィルム(4B)を作製した。
【0086】
<実施例5>
実施例4の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0087】
(光学調整層付きハードコートフィルム(5B)の作製)
光学調整層塗工液(2b)を使用し、他は実施例4と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(5B)を作製した。
【0088】
<実施例6>
実施例4の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0089】
(光学調整層付きハードコートフィルム(6B)の作製)
光学調整層塗工液(3b)を使用し、他は実施例4と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(6B)を作製した。
【0090】
<実施例7>
実施例1のハードコート層3の塗工液を変更して、ハードコートフィルムを作製した。さらに、ハードコートフィルムのハードコート層3の表面に実施例1と同様の光学調整層4を積層して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0091】
(ハードコート塗工液(7a)の調製)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−739L(製品名)」と東レ・ダウコーニング株式会社(Dow Corning Toray Co.,Ltd.)製「8019ADDITIVE(製品名)」とメチルイソブチルケトン(MIBK)を次の配合比で混合し、ハードコート塗工液(7a)を調整した。
【0092】
【表6】
【0093】
(ハードコートフィルム(7A)の作製)
ハードコート塗工液(7a)を使用し、他は実施例1のハードコートフィルム(1A)の作製と全く同様にして、ハードコートフィルム(7A)を作製した。
【0094】
(光学調整層付きハードコートフィルム(7B)の作製)
ハードコートフィルム(7A)を使用し、他は実施例1と全く同様にして光学調整層4を積層して、光学調整層付きハードコートフィルム(7B)を作製した。
【0095】
<実施例8>
実施例1の光学調整層付きハードコートフィルム(1B)の透明基材フィルム2の面(他方の面)に実施例1と同様の手順でハードコート層3と光学調整層4を形成し、両面光学調整層付きハードコートフィルム(8B)を作製した。
【0096】
<実施例9>
実施例1の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0097】
(光学調整層塗工液(9b)の調製)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−816−3L(製品名)」と綜研化学株式会社(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)製「ケミスノー(CHEMISNOW)MX−80H3wT(製品名)」とメチルエチルケトン(MEK)を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(9b)を調整した。
【0098】
【表7】
【0099】
(光学調整層付きハードコートフィルム(9B)の作製)
光学調整層塗工液(9b)を使用し、他は実施例1と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(9B)を作製した。
【0100】
<実施例10>
実施例1の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0101】
(光学調整層塗工液(10b)の調製)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−816−3L(製品名)」と綜研化学株式会社(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)製ケミスノー(CHEMISNOW)MX−80H3wT(製品名)」とメチルエチルケトン(MEK)を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(10b)を調整した。
【0102】
【表8】
【0103】
(光学調整層付きハードコートフィルム(10B)の作製)
光学調整層塗工液(10b)を使用し、他は実施例1と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(10B)を作製した。
【0104】
<実施例11>
実施例1のハードコート層3の塗工液およびワイヤーバーの番手を変更して、ハードコートフィルムを作製した。さらに、ハードコートフィルムのハードコート層3の表面に実施例1と同様の光学調整層4を積層して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0105】
(ハードコート塗工液(11a)の調整)
ディスポカップに日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社(Nippon Paint Automotive Coatings Co.,Ltd.)製「UT−1147/P55(製品名)」と酢酸ブチルとメチルイソブチルケトン(MIBK)を次の配合比で混合し、ハードコート塗工液(11a)を調整した。
【0106】
【表9】
【0107】
(ハードコートフィルム(11A)の作製)
ハードコート塗工液(11a)を使用し、その塗工液の塗布に#7のワイヤーバーを用い、他は実施例1のハードコートフィルム(1A)の作製と全く同様にして、ハードコートフィルム(11A)を作製した。
【0108】
(光学調整層付きハードコートフィルム(11B)の作製)
ハードコートフィルム(11A)を使用し、他は実施例1と全く同様に光学調整層4を積層して、光学調整層付きハードコートフィルム(11B)を作製した。
【0109】
<実施例12>
実施例1のハードコート層3の塗工液と光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0110】
(ハードコート塗工液(12a)の調整)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−73
5−35
L(製品名)」と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を次の配合比で混合し、ハードコート塗工液(12a)を調整した。
【0111】
【表10】
【0112】
(ハードコートフィルム(12A)の作製)
ハードコート塗工液(12a)を使用し、他は実施例1のハードコートフィルム(1A)の作製と全く同様にして、ハードコートフィルム(12A)を作製した。
【0113】
(光学調整層塗工液(12b)の調整)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−816−3L改(製品名)」と、綜研化学株式会社(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)製「ケミスノー(CHEMISNOW)MX−80H3wT(製品名)」と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)と、ビックケミー・ジャパン株式会社(BYK Japan KK)製「BYK−UV3570(製品名)」を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(12b)を調整した。
【0114】
【表11】
【0115】
(光学調整層付きハードコートフィルム(12B)の作製)
光学調整層塗工液(12b)を使用し、他は実施例1と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(12B)を作製した。
【0116】
<実施例13>
実施例12の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0117】
(光学調整層塗工液(13b)の調整)
ディスポカップにトーヨーケム株式会社(Toyochem Co.,Ltd.)製「リオデュラス(LIODURAS)TYZ−A15−S(製品名)」と、綜研化学株式会社(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)製「ケミスノー(CHEMISNOW)MX−80H3wT(製品名)」と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(13b)を調整した。
【0118】
【表12】
【0119】
(光学調整層付きハードコートフィルム(13B)の作製)
光学調整層塗工液(13b)を使用した他は実施例12と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(13B)を作製した。
【0120】
<実施例14>
実施例13の光学調整層4の乾燥条件を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0121】
(光学調整層付きハードコートフィルム(14B)の作製)
光学調整層の塗工後の乾燥温度を100℃にした他は実施例13と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(14B)を作製した。
【0122】
<実施例15>
実施例14の光学調整層4の乾燥条件を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0123】
(光学調整層付きハードコートフィルム(15B)の作製)
光学調整層の塗工後の乾燥温度を130℃にした他は実施例14と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(15B)を作製した。
【0124】
<実施例16>
実施例15の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0125】
(光学調整層塗工液(16b)の調整)
ディスポカップにトーヨーケム株式会社(Toyochem Co.,Ltd.)製「リオデュラス(LIODURAS)TYZ−A15−S(製品名)」と、綜研化学株式会社(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)製「ケミスノー(CHEMISNOW)MX−80H3wT(製品名)」と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(16b)を調整した。
【0126】
【表13】
【0127】
(光学調整層付きハードコートフィルム(16B)の作製)
光学調整層塗工液(16b)を使用した他は実施例15と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(16B)を作製した。
【0128】
<比較例1>
実施例1の光学調整層4の塗工液を変更して、光学調整層付きハードコートフィルムを作製した。
【0129】
(光学調整層塗工液(Xb)の調製)
ディスポカップにアイカ工業株式会社(Aica Kogyo Co.,Ltd.)製「アイカアイトロン(AICAAITRON)Z−816−3L(製品名)」とメチルエチルケトン(MEK)を次の配合比で混合し、光学調整層塗工液(Xb)を調整した。
【0130】
【表14】
【0131】
(光学調整層付きハードコートフィルム(XB)の作製)
光学調整層塗工液(Xb)を使用し、他は実施例1と全く同様にして、光学調整層付きハードコートフィルム(XB)を作製した。
【0132】
<実施例17>
実施例1の光学調整層付きハードコートフィルム(1B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、透明導電性フィルム(17)を作製した。
【0133】
<実施例18>
実施例2の光学調整層付きハードコートフィルム(2B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、透明導電性フィルム(18)を作製した。
【0134】
<実施例19>
実施例3の光学調整層付きハードコートフィルム(3B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、透明導電性フィルム(19)を作製した。
【0135】
<実施例20>
実施例4の光学調整層付きハードコートフィルム(4B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、透明導電性フィルム(20)を作製した。
【0136】
<実施例21>
実施例5の光学調整層付きハードコートフィルム(5B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、透明導電性フィルム(21)を作製した。
【0137】
<実施例22>
実施例6の光学調整層付きハードコートフィルム(6B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、透明導電性フィルム(22)を作製した。
【0138】
<実施例23>
実施例13の光学調整層付きハードコートフィルム(13B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、145℃のオーブンで1時間アニーリング(annealing)し、透明導電性フィルム(23)を作製した。
【0139】
<実施例24>
実施例14の光学調整層付きハードコートフィルム(14B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、145℃のオーブンで1時間アニーリング(annealing)し、透明導電性フィルム(24)を作製した。
【0140】
<実施例25>
実施例15の光学調整層付きハードコートフィルム(15B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、145℃のオーブンで1時間アニーリング(annealing)し、透明導電性フィルム(25)を作製した。
【0141】
<実施例26>
実施例16の光学調整層付きハードコートフィルム(16B)の光学調整層4側にITOターゲットを用い、21nmのスパッタリング蒸着を行い、145℃のオーブンで1時間アニーリング(annealing)し、透明導電性フィルム(26)を作製した。
【0142】
<実施例27>
実施例23の透明導電性フィルム(23)のITO層側に銅ターゲットを用い、200nmのスパッタリング蒸着を行い、金属層付き透明導電性フィルム(27)を作製した。
【0143】
<実施例28>
実施例26の透明導電性フィルム(26)のITO層側に銅ターゲットを用い、200nmのスパッタリング蒸着を行い、金属層付き透明導電性フィルム(28)を作製した。
【0144】
<光学調整層付きハードコートフィルムの評価結果>
光学調整層付きハードコートフィルムの評価結果を、次の表15および表16に示す。
【0145】
【表15】
【0146】
【表16】
【0147】
表15および表16から明らかなように、実施例1〜16における光学調整層付きハードコートフィルムは、光学調整層4に光学調整層4の平均膜厚よりも平均粒径の大きい粒子4aを含み、光学調整層4の特定部分の算術平均粗さRaが0.3nm〜10nmであり、Hz(ヘイズ)が低く、静摩擦係数が1よりも低く、粒子脱落もない。この光学調整層付きハードコートフィルムは視認性が良く、光学調整層の表面に透明導電層を設けた場合でも充分な耐ブロッキング性を得ることができる。
【0148】
また、比較例1の光学調整層付きハードコートフィルムも、視認性が良好であるが、光学調整層4に粒子を添加しておらず、静摩擦係数が1を超えている。このため、透明導電層を表面に設けた場合には、充分な耐ブロッキング性が得られていない。
【0149】
<透明導電性フィルムの評価結果>
透明導電性フィルムの評価結果を、次の表17および表18に示す。
【0150】
【表17】
【0151】
【表18】
【0152】
表17および表18において、実施例17〜26における透明導電性フィルムは、実施例1〜6および実施例13〜16の光学調整層付きハードコートフィルムを使用しているが、Hz(ヘイズ)が低く、静摩擦係数が低い。この透明導電性フィルムは、視認性がよく、透明導電層付きであっても充分な耐ブロッキング性を有している。また、実施例23〜26における透明導電性フィルムは光学調整層の表面の谷側面積が、661780μm
2当たり200000μm
2以下であり、電気抵抗値も低い。
【0153】
<金属層付き透明導電性フィルムの評価結果>
金属層付き透明導電性フィルムの評価結果を、次の表19に示す。
【0154】
【表19】
【0155】
表19において、実施例27〜28における金属層付き透明導電性フィルムは、実施例23および実施例26の透明導電性フィルムを使用しているが、電極となる金属層を付けても充分な耐ブロッキング性を有している。
【0156】
<評価方法>
(Hz)
日本電色工業株式会社(Nippon Denshoku Industries Co.,Ltd.)製「Haze Meter NDH2000(製品名)」を用い、JIS−K7136の方法で測定した。
【0157】
(視認性)
3波長蛍光灯の透過光を目視観察し、粒が殆ど見えない場合を○とし、粒が目視できるが1つ1つの粒がはっきりと見えない場合を△とし、1つ1つの粒がはっきり見える場合を×とした。
【0158】
(耐ブロッキング性)
株式会社島津製作所(Shimadzu Corporation)製「オートグラフ(AUTOGRAPH)AG−IS MS(AG−1kNIS)(製品名)」を用いて、摩擦方向60mm×50mmの面積に4.4kg重の垂直荷重を加えて試料の測定面同士の静摩擦係数を測定した。静摩擦係数が1以上である場合を×とし、1未満である場合を○とした。
【0159】
(粒子脱落)
テスター産業株式会社(Tester Sangyo Co.,Ltd.)製「AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER(製品名)」を用い、ネル布(16号双糸ネルWKF2254)を500gの荷重で500往復光学調整層の面を擦り、その後表面を、株式会社キーエンス(Keyence Corporation)製「マイクロスコープ(Microscope)VHX−1000(製品名)」を用い粒子4aの脱落が無いか確認した。粒子4aの脱落がないものを○とし、粒子4aの脱落のあるものを×とした。
【0160】
(ハードコート層の平均膜厚)
ハードコート層3の平均膜厚は、フィルメトリクス(Filmetrics)株式会社製「Filmetrics F20 膜厚測定システム(製品名)」を用いて測定した。
【0161】
(光学調整層の平均膜厚)
光学調整層4の膜厚は、以下の手順で測定した。
(1)株式会社島津製作所(Shimadzu Corporation)製「UV3600(製品名)」を用い、波長380〜800nmにおける反射率を測定し波形を得る。
(2)光学シミュレーションソフトにて、光学調整層4の膜厚以外の積層膜の情報[構成、透明基材フィルム2の屈折率(1.52とした)と厚さ、ハードコート層3の屈折率(1.50とした)と平均膜厚(前記のハードコート層3の平均膜厚の測定値)、光学調整層の屈折率(実施例13〜16は1.60とした。その他の実施例は1.62とした)]を入れる。
(3)光学シミュレーションの光学調整層に任意の膜厚を入力して得られた波形と、(1)で得られた波形とが一致したときの膜厚値を、光学調整層の平均膜厚とする。
すなわち、株式会社島津製作所(Shimadzu Corporation)製「UV3600(製品名)」を用い干渉波形を得た後、測定した干渉波形とシミュレーションによる計算波形とが一致する膜厚値を光学調整層の平均膜厚とした。
【0162】
(ハードコート層に含有される粒子の平均粒径)
国際標準化機構規格ISO 13320を基とする日本工業規格JIS Z8825に従うレーザ回折・散乱法により得られる体積基準の粒子径分布の算術平均値を、粒子の平均粒径とした。
【0163】
(光学調整層に含有される粒子の平均粒径)
国際標準化機構規格ISO 13320を基とする日本工業規格JIS Z8825に従うレーザ回折・散乱法により得られる体積基準の粒子径分布の算術平均値を、粒子の平均粒径とした。
【0164】
(光学調整層の特定部分の算術平均粗さRa)
三菱ケミカルシステム株式会社(Mitsubishi Chemical Systems,Inc.)(旧社名:株式会社菱化システム(Ryoka Systems Inc.))製「非接触表面・層断面形状計測システムVertScan2.0(型式:R5300GL−L−A100−AC)(製品名)」を用いて50mm×50mmに切り出したサンプルをステージに置き、10倍レンズにて表面形状の測定を行った。その後、測定データを観察し、光学調整層4に含まれる粒子4aにより形成される凸部を除く特定部分において50μm×50μmの範囲の算術平均粗さRaを算出した。
【0165】
(光学調整層含有粒子の個数N)
三菱ケミカルシステム株式会社(Mitsubishi Chemical Systems,Inc.)(旧社名:株式会社菱化システム(Ryoka Systems Inc.))製「非接触表面・層断面形状計測システムVertScan2.0(型式:R5300GL−L−A100−AC(製品名))を用いて、50mm×50mmに切り出したサンプルをステージに置き、10倍レンズにて表面形状の測定を行った。その後、測定データの粒子解析を実行し1mm×1mmにおける、光学調整層4の表面から50nm以上の高さのある粒子個数を数えた。
【0166】
(光学調整層の表面の谷側面積)
三菱ケミカルシステム株式会社(Mitsubishi Chemical Systems,Inc.)(旧社名:株式会社菱化システム(Ryoka Systems Inc.))製「非接触表面・層断面形状計測システムVertScan2.0(型式:R5300GL−L−A100−AC(製品名))」を用いて、50mm×50mmに切り出したサンプルをステージに置き、5倍レンズにて表面形状の測定を行った。その後、測定データのベアリング解析を実行し、粒子4aの存在していない部分の光学調整層4の平均高さから3nm以上谷側である面積(光学調整層の表面の谷側面積)を、661780μm
2当たりの値で算出した。
【0167】
(透明導電性フィルムの電気抵抗値)
株式会社三菱ケミカルアナリテック(Mitsubishi Chemical Analytech Co.,Ltd.)(旧社名:株式会社三菱化学アナリテック)製「Loresta−GP(型式:MCP−T610)(製品名)」を用いて測定した。