(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のノズルを含む複数のマニフォールドによって構成されるホットランナを有した射出成形機と、前記射出成形機内の複数のキャビティに各々設置され、前記各キャビティ内の圧力値を測定可能な複数のセンサ装置と通信可能に接続される情報処理装置であって、
ショット毎に、前記各センサ装置により測定される圧力値を示す測定データを取得する取得手段と、
前記取得された複数の測定データを、前記各キャビティに対応したノズルが含まれるマニフォールド別に分類し、マニフォールド毎に測定データ群を生成する生成手段と、
前記生成された複数の測定データ群のうちの1つに着目し、着目した測定データ群に含まれる複数の測定データの中から、最も大きい圧力値を示す最大測定データと、最も小さい圧力値を示す最小測定データとを抽出する第1の抽出手段と、
前記抽出された最大測定データ及び最小測定データに基づいて算出される圧力値の差分が第1の閾値未満であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記算出された圧力値の差分が前記第1の閾値未満でないと判定された場合、前記抽出された最大測定データ及び最小測定データに対応した2つのノズルのうちの少なくとも一方の樹脂温度を調整する第1の調整手段と、
前記生成された測定データ群毎に、測定データ群に含まれる複数の測定データによって示される各圧力値の平均値を算出する算出手段と、
前記測定データ群毎に算出された複数の平均圧力値の中から、最も大きい平均圧力値を示す最大平均値データと、最も小さい平均圧力値を示す最小平均値データとを抽出する第2の抽出手段と、
前記抽出された最大平均値データ及び最小平均値データに基づいて算出される平均圧力値の差分が前記第1の閾値未満であるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記算出された平均圧力値の差分が前記第1の閾値未満でないと判定された場合、前記抽出された最大平均値データ及び最小平均値データに対応した2つのマニフォールドのうちの少なくとも一方の樹脂温度を調整する第2の調整手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
前記抽出された最大測定データ及び最小測定データに基づいて算出される圧力値の差分を入力とし、前記抽出された最大測定データ及び最小測定データに対応した2つのノズルのうちの少なくとも一方の調整後の樹脂温度を出力とした教師あり学習を行い、
前記抽出された最大平均値データ及び最小平均値データに基づいて算出される平均圧力値の差分を入力とし、前記抽出された最大平均値データ及び最小平均値データに対応した2つのマニフォールドのうちの少なくとも一方の調整後の樹脂温度を出力とした教師あり学習を行う学習手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
複数のノズルを含む複数のマニフォールドによって構成されるホットランナを有した射出成形機と、前記射出成形機内の複数のキャビティに各々設置され、前記各キャビティ内の圧力値を測定可能な複数のセンサ装置と通信可能に接続される情報処理装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータに、
ショット毎に、前記各センサ装置により測定される圧力値を示す測定データを取得する取得ステップと、
前記取得された複数の測定データを、前記各キャビティに対応したノズルが含まれるマニフォールド別に分類し、マニフォールド毎に測定データ群を生成する生成ステップと、
前記生成された複数の測定データ群のうちの1つに着目し、着目した測定データ群に含まれる複数の測定データの中から、最も大きい圧力値を示す最大測定データと、最も小さい圧力値を示す最小測定データとを抽出する第1の抽出ステップと、
前記抽出された最大測定データ及び最小測定データに基づいて算出される圧力値の差分が第1の閾値未満であるか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記算出された圧力値の差分が前記第1の閾値未満でないと判定された場合、前記抽出された最大測定データ及び最小測定データに対応した2つのノズルのうちの少なくとも一方の樹脂温度を調整する第1の調整ステップと、
前記生成された測定データ群毎に、測定データ群に含まれる複数の測定データによって示される各圧力値の平均値を算出する算出ステップと、
前記測定データ群毎に算出された複数の平均圧力値の中から、最も大きい平均圧力値を示す最大平均値データと、最も小さい平均圧力値を示す最小平均値データとを抽出する第2の抽出ステップと、
前記抽出された最大平均値データ及び最小平均値データに基づいて算出される平均圧力値の差分が前記第1の閾値未満であるか否かを判定する第2の判定ステップと、
前記算出された平均圧力値の差分が前記第1の閾値未満でないと判定された場合、前記抽出された最大平均値データ及び最小平均値データに対応した2つのマニフォールドのうちの少なくとも一方の樹脂温度を調整する第2の調整ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、一実施形態に係る射出成形システムの概略構成例を示す。
図1に示す射出成形システムは、射出成形機10、センサ装置20及び情報処理装置30を備えている。
射出成形機10は、ホットランナを有する一般的な射出成形機であり、次のような一連の動作を実行する。まず、ホッパー11にペレット状の樹脂が投入されると、シリンダ12の中で当該樹脂を暖めて液状にすることで射出の準備を整える動作を実行する。その後、シリンダ12から液状の樹脂(溶融樹脂)を射出することで、液状の樹脂を、セットされた金型内のホットランナ13を通じて多数のキャビティ14に流し込む動作を実行する。そして、各キャビティ14に流し込まれた樹脂を冷やして固化させた後に、金型を開き、成形品を外部に排出する動作を実行する。
【0011】
ここで、
図1に加えて
図2を参照して、ホットランナ13の構成について詳しく説明する。
図2はホットランナ13の構成例を示す。なお、
図2では、一度に8個の成形品を生産可能な8個取りのホットランナ13を例示しているが、ホットランナ13が一度に生産可能な成形品の数はこれに限定されない。
【0012】
ホットランナ13は、
図1及び
図2に示すように、液状の樹脂を各キャビティ14に流し込むためのノズル13aと、液状の樹脂をシリンダ12からノズル13aまで流すための流路を含むマニフォールド13bとによって構成される。
図2では、ノズル13aは、一度に生産可能な成形品の数と同数、つまり、キャビティ14と同数だけ設けられている場合を例示している。但し、ノズル13aの数とキャビティ14の数との対応関係は、これに限定されず、1つのキャビティ14に対して複数のノズル13aが設けられていても良い。
図2では、ホットランナ13が、8つのノズル13aと、2つのマニフォールド13bとによって構成され、マニフォールド13b毎に4つのノズル13aが設けられている場合を例示している。
【0013】
ホットランナ13には、
図1及び
図2に示すように、各ノズル13a近辺において液状の樹脂を固化させないための第1のヒータ13cと、各マニフォールド13b近辺において液状の樹脂を固化させないための第2のヒータ13dとが設けられている。第1及び第2のヒータ13c,13dは、液状の樹脂の温度(樹脂温度)を調整するために使用される。
以上説明した一連の動作を実行可能であり、かつ上記したホットランナ13を有した射出成形機であれば、本システムには、任意の射出成形機が適用可能である。
【0014】
一方で、上記した一般的な射出成形機10を使用して成形品を生産する場合、次のような不都合が生じる可能性がある。
図3は、一般的な射出成形機10を使用して成形品を生産した場合に生じ得る不都合を説明するための図であって、ホットランナ13のノズル13aと、大きさの異なる成形品を生産可能な2つのキャビティ14とを模式的に示している。
【0015】
上記したように、シリンダ12から液状の樹脂が射出されると、当該液状の樹脂は、ホットランナ13を構成するマニフォールド13bを通って、
図3に示すノズル13a
1,13a
2に辿り着き、その後、各キャビティ14a,14bに流し込まれる。ここで、例えば、ホットランナ13を構成するマニフォールド13bから各ノズル13a
1,13a
2までの距離と、マニフォールド13bを流れる樹脂の流速とが一定である場合を想定すると、
図3に示す2つのノズル13a
1,13a
2に液状の樹脂が辿り着くまでにかかる時間は同一になる。その後、同様の条件にて、各キャビティ14a,14bに液状の樹脂が流し込まれると、大きさの小さいキャビティ14bは、大きさの大きいキャビティ14aよりも早くに液状の樹脂の充填が完了することになる。これによれば、既に充填が完了しているにも関わらず、さらになる充填が行われてしまう過充填が生じる可能性があり、これに伴い、大きさの小さいキャビティ14bにより生産される成形品には、樹脂バリ、クラック(過密度)、反り、変形、収縮率が小さいことに起因した寸法不良、等といった成形不良が生じてしまう可能性がある。
【0016】
また、上記したように大きさの小さいキャビティ14bへの充填が先に完了してしまうと、上記した過充填の他に、大きさの大きいキャビティ14aへの充填が十分でないまま成形品が生産されてしまう未充填が生じる可能性もある。この場合、大きさの大きいキャビティ14aにより生産される成形品には、ショート、ヒケ、ボイド、反り、変形、収縮率が大きいことに起因した寸法不良、等といった成形不良が生じてしまう可能性がある。
本実施形態においては、このような不都合を解消し得る射出成形システムについて説明する。
【0017】
再度
図1の説明に戻る。センサ装置20は、射出成形機10内の各キャビティ14にそれぞれ設けられている。より詳しくは、センサ装置20は、液状の材料をキャビティ14に流し込むためのノズル13aとは反対側の末端近辺に設けられている。なお、本実施形態においては、センサ装置20が、1ショット毎に、射出成形機10にセットされる金型内の樹脂圧力(型内圧力)の値を測定可能な圧力センサ装置である場合を想定するが、センサ装置20の種別はこれに限定されない。
【0018】
例えば、センサ装置20は、1ショット毎に、射出成形機10にセットされる金型内の樹脂温度(型内温度)の値を測定可能であって、光ファイバ赤外線方式により金型内の温度変化を追従可能な樹脂温度センサ装置であっても良い。あるいは、センサ装置20は、1ショット毎に、可視光を樹脂に放射し、反射光を検出することで、樹脂のフローフロント(先端)速度(型内流速)の値を測定可能な流速センサ装置であっても良い。さらには、センサ装置20は、1ショット毎に、キャビティ表面から1mm金型側の部分の温度を測定可能な表面温度センサ装置であっても良い。
【0019】
情報処理装置30は、センサ装置20によって測定される測定データを取得し、取得した測定データに基づいて、ホットランナ13内を流れる樹脂の温度を好適な温度に調整する機能を有している。より詳しくは、上記した不都合を解消するために、ホットランナ13内を流れる樹脂の温度を調整し、各キャビティ14に流し込まれる樹脂の充填完了時間を略同一にする機能を有している。なお、一般的に、液状の樹脂は、温度が低い時よりも温度が高い時の方が粘性が弱くなるため、より速く流れる性質を有している。
【0020】
以下では、情報処理装置30についてより詳しく説明する。
図4は、
図1に示した情報処理装置30のハードウェア構成例を示す。
図4に示すように、情報処理装置30においては、バス31に、不揮発性メモリ32、CPU(Central Processing Unit)33、メインメモリ34及び通信部35、等が接続されている。情報処理装置30に含まれる各部のうち、不揮発性メモリ32及びメインメモリ34は、情報処理装置30の記憶装置を構成している。なお、本実施形態では、情報処理装置30がパーソナルコンピュータ(PC)である場合を想定するが、これに限定されず、情報処理装置30は、例えばタブレット端末やスマートフォン、各種ウェアラブルデバイス、等であっても良い。
【0021】
不揮発性メモリ32は、例えばオペレーティングシステム(OS)や各種アプリケーションプログラム、センサ装置20から取得される測定データ、ホットランナ13内を流れる樹脂の温度を調整した結果を示す調整結果データ、等を格納(記憶)する。アプリケーションプログラムには、ホットランナ13内を流れる樹脂の温度を好適な温度に調整するためのプログラムP(以下、「温度調整プログラム」と表記する)が含まれる。
【0022】
CPU33は、例えば不揮発性メモリ32に格納されている各種アプリケーションプログラムを実行するためのプロセッサである。CPU33は、情報処理装置30に含まれる各部の制御も行う。
【0023】
メインメモリ34は、例えばCPU33が各種アプリケーションプログラムを実行する際に必要とされるワークエリアとして使用される。また、上記した測定データや調整結果データは、不揮発性メモリ32だけでなく、当該メインメモリ34にも格納されていても良い。
【0024】
なお、
図3においては、情報処理装置30に含まれる記憶装置として、不揮発性メモリ32及びメインメモリ34だけが示されているが、情報処理装置30は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等、他の記憶装置をさらに備えていても良い。
【0025】
通信部35は、射出成形機10やセンサ装置20と有線または無線により通信可能に接続され、例えば、センサ装置20から測定データを取得するために使用される。また、通信部35は、第1及び第2のヒータ13c,13dの温度を調整するための指示を射出成形機10に送信するために使用される。
【0026】
次に、
図5の機能ブロック図を参照して、CPU33が温度調整プログラムPを実行することによって実現される情報処理装置30の主となる機能構成について説明する。なお、この温度調整プログラムPは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に予め格納して頒布可能であるものとする。また、このプログラムPは、例えばインターネット等のネットワークを介して情報処理装置30にダウンロードされても良い。
【0027】
情報処理装置30は、
図5に示すように、測定データ取得部301、第1の判定部302、第1の温度調整部303、第2の判定部304、第2の温度調整部305、学習部306、等を備えている。また、不揮発性メモリ32及びメインメモリ34によって構成されるデータ格納部307には、第1及び第2の温度調整部303,305によって行われる温度調整の結果を示す調整結果データ、等が格納される。
【0028】
なお、本実施形態においては、各部301〜306は、CPU33が温度調整プログラムPを実行すること(つまり、ソフトウェア)によって実現されるものとして説明するが、これに限定されず、各部301〜306は、ハードウェアによって実現されても良いし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実現されても良い。
以下では、上記した各機能部301〜305について詳しく説明する。なお、学習部306の機能については別途後述するため、ここではその詳しい説明は省略する。
【0029】
測定データ取得部301は、1ショット毎に、各キャビティ14に設けられているセンサ装置20によって測定された型内圧力の最大値(ピーク値)(以下では、単に「型内圧力値」とも称する)と、各センサ装置20を識別するための識別コードとを含む測定データを、通信部35を経由して取得する。
【0030】
第1の判定部302は、測定データ取得部301によって取得された測定データを、ホットランナ13を構成するマニフォールド13b別に分類し、測定データ群を生成する。また、第1の判定部302は、生成した測定データ群に含まれる測定データの中から、最も大きい型内圧力値を示す最大測定データと、最も小さい型内圧力値を示す最小測定データとを抽出し、これら型内圧力値の差分が第1の閾値未満であるか否か(換言すると、誤差内であるか否か)を判定する。
なお、第1の閾値は、不揮発性メモリ32及びメインメモリ34によって構成される記憶装置に、設定情報の1つとして予め格納される値である。
【0031】
第1の温度調整部303は、第1の判定部302による判定の結果に基づいて、ホットランナ13を構成するノズル13a近辺に設けられている第1のヒータ13cの温度を調整する。これによれば、ノズル13a内の液状の樹脂の温度を調整することが可能であり、ひいては、ノズル13aからキャビティ14に流し込まれる樹脂の流速を調整することが可能である。
【0032】
第2の判定部304は、第1の判定部302と同様に、測定データ取得部301によって取得された測定データを、ホットランナ13を構成するマニフォールド13b別に分類し、測定データ群を生成する。また、第2の判定部304は、生成した測定データ群に含まれる各測定データによって示される各型内圧力値の平均(以下では、「平均圧力値」と称する)を算出する。第2の判定部304は、算出した平均圧力値の最大値及び最小値を抽出し、これら平均圧力値の差分が上記した第1の閾値未満であるか否かを判定する。
【0033】
第2の温度調整部305は、第2の判定部304による判定の結果に基づいて、ホットランナ13を構成するマニフォールド13b近辺に設けられている第2のヒータ13dの温度を調整する。これによれば、マニフォールド13b内の流路を流れる液状の樹脂の温度を調整することが可能であり、ひいては、マニフォールド13b内の流路を流れる樹脂の流速を調整することが可能である。
【0034】
ここで、
図6のフローチャートを参照して、各機能部301〜303によって実行される第1のヒータ13cの温度を調整する温度調整処理の手順の一例について説明する。
まず、所定温度の液状の樹脂を用いて射出成形が開始され、ショットが行われると(ステップS1)、測定データ取得部301は、当該ショット時に測定された型内圧力の値を示す測定データを各センサ装置20から取得する(ステップS2)。取得された測定データは、第1の判定部302に出力される。
【0035】
続いて、第1の判定部302は、測定データ取得部301から送られて来る測定データの入力を受け付けると、測定データに含まれるセンサ装置20を識別するための識別コードに基づいて、当該入力を受け付けた測定データを、マニフォールド13b別に分類し、測定データ群を生成する(ステップS3)。
例えば、ホットランナ13が
図2に示した構成を有している場合、第1の判定部302は、入力を受け付けた測定データを分類し、マニフォールド13b
1側の4つのノズル13aに対応したキャビティ14内のセンサ装置20によって測定された測定データを含む第1の測定データ群と、マニフォールド13b
2側の4つのノズル13aに対応したキャビティ14内のセンサ装置20によって測定された測定データを含む第2の測定データ群とを生成する。
【0036】
なお、以下の説明中では、マニフォールド13b
m側の所定のノズル13aに対応したキャビティ14内のセンサ装置20によって測定された測定データのことを、単に「所定のノズル13aに対応した測定データ」と称しても良いものとする。
【0037】
次に、第1の判定部302は、所定のマニフォールド13bに対応した測定データ群に着目し、当該着目した測定データ群に含まれる測定データの中から、比較対象とする測定データを抽出する。具体的には、最も大きな型内圧力値(Max値)を示す最大測定データと、最も小さな型内圧力値(min値)を示す最小測定データとを比較対象として抽出する(ステップS4)。
【0038】
第1の判定部302は、抽出した最大測定データ及び最小測定データに基づいて算出される型内圧力値の差分が第1の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS5)。なお、この処理の結果、型内圧力値の差分が第1の閾値未満であると判定された場合(ステップS5のYES)、第1の判定部302は、全てのマニフォールド13b(に対応した測定データ群)に着目したか否かを判定し(ステップS6)、全てのマニフォールド13bに着目したと判定された場合(ステップS6のYES)、後述する
図9に示すステップS21の処理が実行される。一方で、全てのマニフォールド13bに着目していないと判定された場合(ステップS6のNO)、まだ着目していないマニフォールド13bに着目した処理を実行するために、上記したステップS2の処理に戻り、次のショット時に測定される測定データを取得する処理が実行される。
【0039】
一方で、上記したステップS5の処理の結果、型内圧力値の差分が第1の閾値未満でない、つまり、型内圧力値の差分が第1の閾値以上であると判定された場合(ステップS5のNO)、第1の判定部302は、比較対象として抽出した最大測定データと最小測定データとを第1の温度調整部303に出力する。
第1の温度調整部303は、第1の判定部302から送られて来る最大測定データ及び最小測定データの入力を受け付けると、当該入力を受け付けた最大測定データ及び最小測定データに基づいて算出される型内圧力値の差分に基づいて、最小測定データに対応したノズル13a内の樹脂の温度TN
1を調整するための準備を行う。具体的には、第1の温度調整部303は、上記した型内圧力値の差分に基づいて、最小測定データに対応したノズル13a内の樹脂の温度TN
1を何℃上昇させるか(つまり、上昇温度)を決定する(ステップS7)。
【0040】
なお、情報処理装置30の不揮発性メモリ32及びメインメモリ34によって構成される記憶装置には、
図7に示すように、型内圧力値の差分と、型内圧力値の差分が対応付けられた値であった時にノズル13a内の樹脂温度TN
1を何℃上昇させれば良いかを示す上昇温度とが対応付けられた第1の温度調整データTC
1が予め格納されているものとする。
【0041】
例えば
図7の第1の温度調整データTC
11は、型内圧力値の差分がX
1以上である場合には、樹脂温度TN
1をY
1だけ上昇させれば良いことを示している。第1の温度調整データTC
12,TC
13についても同様であるため、ここではこれらの具体的な説明は省略する。
【0042】
続いて、第1の温度調整部303は、最小測定データに対応したノズル13a内の樹脂温度TN
1と、上記したステップS7の処理により決定した上昇温度との和、つまり、温度調整後のノズル13a内の樹脂温度TN
2を算出する。なお、ノズル13a内の樹脂温度TNは、各ノズル13aに設けられる図示せぬ樹脂温度センサ装置によって測定され、適宜取得可能であるものとする。
その後、第1の温度調整部303は、算出した樹脂温度TN
2がノズル13a内の樹脂温度TNとして適切な値であるか否かを判定する。具体的には、第1の温度調整部303は、算出した樹脂温度TN
2が、ノズル13a内の樹脂温度の最小値TN
minより大きく、最大値TN
Maxより小さい値であるか否か(換言すると、予め設定されたノズル13aの設定温度の範囲内か否か)を判定する(ステップS8)。なお、ノズル13a内の樹脂温度の最小値TN
min及び最大値TN
Maxは、情報処理装置30の記憶装置に設定情報の1つとして予め格納されているものとする。
【0043】
上記したステップS8の処理の結果、算出した樹脂温度TN
2がノズル13a内の樹脂温度TNとして適切な値でないと判定された場合(ステップS8のNO)、第1の温度調整部303は、第1の閾値を変更するよう第1の判定部302に対して指示する。第1の判定部302は、第1の温度調整部303からの指示にしたがって、第1の閾値を現在よりも大きくするように変更する(ステップS9)。その後、次のショット時に測定される測定データを取得するために、上記したステップS2の処理に戻り、再度同様な処理が実行される。なお、第1の閾値を変更する際に、どの程度大きくするかは、情報処理装置30の記憶装置に設定情報の1つとして予め格納されているものとする。
【0044】
一方で、上記したステップS8の処理の結果、算出した樹脂温度TN
2がノズル13a内の樹脂温度TNとして適切な値であると判定された場合(ステップS8のYES)、第1の温度調整部303は、最小測定データに対応したノズル13a内の樹脂温度TNを、算出した樹脂温度TN
2になるよう温度調整を行う。具体的には、第1の温度調整部303は、当該ノズル13a近辺に設けられている第1のヒータ13cの温度を上昇させて、当該ノズル13a内の樹脂温度TNが当該算出した樹脂温度TN
2になるように温度調整を行う(ステップS10)。その後、次のショット時に測定される測定データを取得するために、上記したステップS2の処理に戻り、再度同様な処理が実行される。
【0045】
以上説明した一連の処理が実行され、上記したステップS6の処理により、後述するステップS21の処理に進む旨の判定がなされた場合、第1の温度調整部303は、上記したステップS5の処理が初めて実行された際に算出された型内圧力値の差分と、当該判定がなされた時の各ノズル13a内の樹脂温度TNとが対応付けられた第1の調整結果データを格納部307に格納する。
【0046】
なお、
図6のステップS7〜S10では、最小測定データに対応したノズル13a内の樹脂温度TN
1を上昇させるように調整する場合を例示したが、これに限定されず、例えば、最大測定データに対応したノズル13a内の樹脂温度を下降させるように調整するとしても良い。
この場合、情報処理装置30の記憶装置には、上記した第1の温度調整データTC
1の代わりに、型内圧力値の差分と、型内圧力値の差分が対応付けられた値であった時に、ノズル13a内の樹脂温度を何℃下降させれば良いかを示す下降温度とが対応付けられた第1の温度調整データが予め格納されていれば良い。
【0047】
あるいは、測定データ群に含まれる各測定データによって示される型内圧力値の平均、つまり、平均圧力値を算出し、当該測定データ群に含まれる各測定データに対応した各ノズル13a内の樹脂温度を一斉に調整するとしても良い。この場合の処理手順の一例を、
図8のフローチャートに示す。なお、
図8のフローチャートでは、既に説明した
図6のフローチャートと同一の処理においては同一の符号を付し、その詳しい説明を省略するものとする。
【0048】
まず、上記したステップS1〜S3の処理が実行されると、第1の判定部302は、所定のマニフォールド13bに対応した測定データ群に着目し、当該着目した測定データ群に含まれる各測定データによって示される型内圧力値の平均(平均圧力値)を算出する(ステップS11)。
【0049】
続いて、第1の判定部302は、着目した測定データ群に含まれる各測定データのうちの1つを比較対象として抽出する(ステップS12)。そして、第1の判定部302は、上記したステップS11の処理により算出された平均圧力値と、抽出した測定データによって示される型内圧力値とに基づいて算出される型内圧力値の差分が第1の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0050】
なお、この処理の結果、型内圧力値の差分が第1の閾値未満であると判定された場合(ステップS13のYES)、第1の判定部302は、着目した測定データ群に含まれる全ての測定データを比較対象として抽出したか否かを判定する(ステップS14)。この処理の結果、全ての測定データを比較対象として抽出していないと判定された場合(ステップS14のNO)、上記したステップS12の処理に戻り、第1の判定部302は、まだ抽出していない測定データを抽出する処理を実行する。
【0051】
一方で、上記したステップS14の処理の結果、全ての測定データを比較対象として抽出したと判定された場合(ステップS14のYES)、第1の判定部302は、全てのマニフォールド13b(に対応した測定データ群)に着目したか否かを判定する(ステップS15)。
【0052】
この処理の結果、全てのマニフォールド13bに着目したと判定された場合(ステップS15のYES)、後述する
図9に示すステップS21の処理が実行される。一方で、全てのマニフォールド13bに着目していないと判定された場合(ステップS15のNO)、まだ着目していないマニフォールド13bに着目した処理を実行するために、上記したステップS2の処理に戻り、次のショット時に測定される測定データを取得する処理が実行される。
【0053】
上記したステップS13の処理の結果、型内圧力値の差分が第1の閾値未満でないと判定された場合(ステップS13のNO)、第1の判定部302は、上記したステップS11の処理により算出された平均圧力値を示す平均値データと、上記したステップS12の処理により比較対象として抽出された測定データとを第1の温度調整部303に出力する。
第1の温度調整部303は、第1の判定部302から送られて来る平均値データ及び測定データの入力を受け付けると、当該入力を受け付けた平均値データ及び測定データに基づいて算出される型内圧力値の差分に基づいて、当該測定データに対応したノズル13a内の樹脂の温度を調整するための準備を行う。具体的には、第1の温度調整部303は、上記した型内圧力値の差分に基づいて、測定データに対応したノズル13a内の樹脂の温度を何℃上昇させるか、または何℃下降させるかを決定する(ステップS16)。
【0054】
なお、測定データによって示される型内圧力値が平均値データによって示される平均圧力値よりも大きい場合には、測定データに対応したノズル13a内の樹脂の温度を何℃下降させるかが決定され、当該型内圧力値が当該平均圧力値よりも低い場合には、当該ノズル13a内の樹脂の温度を何℃上昇させるかが決定される。
【0055】
次に、第1の温度調整部303は、測定データに対応したノズル13a内の樹脂温度TN
1と、上記したステップS16の処理により決定した上昇温度または下降温度との和、つまり、温度調整後のノズル13a内の樹脂温度TN
2を算出する。
その後、第1の温度調整部303は、算出した樹脂温度TN
2がノズル13a内の樹脂温度TNとして適切な値であるか否かを判定する(ステップS17)。この処理の結果、算出した樹脂温度TN
2がノズル13a内の樹脂温度TNとして適切な値でないと判定された場合(ステップS17のNO)、第1の温度調整部303は、第1の閾値を変更するよう第1の判定部302に対して指示する。第1の判定部302は、第1の温度調整部303からの指示にしたがって、第1の閾値を現在よりも大きくするように変更し(ステップS18)、次のショット時に測定される測定データを取得するために、上記したステップS2の処理に戻り、再度同様な処理が実行される。
【0056】
一方で、上記したステップS17の処理の結果、算出した樹脂温度TN
2がノズル13a内の樹脂温度TNとして適切な値であると判定された場合(ステップS17のYES)、第1の温度調整部303は、測定データに対応したノズル13a内の樹脂温度TN
1を、算出した樹脂温度TN
2になるよう温度調整を行う。具体的には、第1の温度調整部303は、当該ノズル13a近辺に設けられている第1のヒータ13cの温度を上昇させて、当該ノズル13a内の樹脂温度TN
1が当該算出した樹脂温度TN
2になるように温度調整を行う(ステップS19)。その後、上記したステップS14の処理に進み、着目した測定データ群に含まれる全ての測定データを比較対象として抽出したか否かを判定する処理が実行される。
【0057】
図8に示した処理手順によれば、1つのマニフォールド13bに含まれる各ノズル13a内の樹脂温度TNの調整を一度に行うことができるので、
図6に示した処理手順に比べて、ノズル13a内の樹脂温度TNの調整が完了するまでに必要とされるショット数を減らすことが可能となる。これによれば、温度調整が完了するまでに無駄となってしまう(可能性のある)ショットを減らすことができる。
【0058】
次に、
図9のフローチャートを参照して、各機能部301,304,305によって実行される第2のヒータ13dの温度を調整する温度調整処理の手順の一例について説明する。
まず、測定データ取得部301は、ショット時に測定された型内圧力値を示す測定データを各センサ装置20から取得する(ステップS21)。取得された測定データは、第2の判定部304に出力される。
【0059】
続いて、第2の判定部304は、測定データ取得部301から送られて来る測定データの入力を受け付けると、測定データに含まれるセンサ装置20を識別するための識別コードに基づいて、当該入力を受け付けた測定データを、マニフォールド13b別に分類し、測定データ群を生成する(ステップS22)。
【0060】
次に、第2の判定部304は、生成した各測定データ群に含まれる各測定データに基づいて、測定データ群毎に、型内圧力値の平均(平均圧力値)を算出する(ステップS23)。第2の判定部304は、測定データ群毎に算出された複数の平均圧力値の中から、最も大きい平均圧力値と最も小さい平均圧力値とを比較対象として抽出する(ステップS24)。
【0061】
そして、第2の判定部304は、抽出した平均圧力値の最大値と最小値とに基づいて算出される平均圧力値の差分が第1の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS25)。なお、この処理の結果、平均圧力値の差分が第1の閾値未満であると判定された場合(ステップS25のYES)、各キャビティ14への充填完了時間を略同一にするための温度調整が完了したとして、ここでの処理を終了させる。
【0062】
一方で、上記したステップS25の処理の結果、平均圧力値の差分が第1の閾値未満でないと判定された場合(ステップS25のNO)、第2の判定部304は、比較対象として抽出した平均圧力値の最大値を示す最大平均値データと、平均圧力値の最小値を示す最小平均値データとを第2の温度調整部305に出力する。
第2の温度調整部305は、第2の判定部304から送られて来る最大平均値データ及び最小平均値データの入力を受け付けると、当該入力を受け付けた最大平均値データ及び最小平均値データに基づいて算出される平均圧力値の差分に基づいて、最小平均値データに対応したマニフォールド13b内の樹脂温度TM
1を調整するための準備を行う。具体的には、第2の温度調整部305は、上記した平均圧力値の差分に基づいて、最小平均値データに対応したマニフォールド13bの樹脂温度TM
1を何℃上昇させるかを決定する(ステップS26)。
【0063】
なお、情報処理装置30の記憶装置には、平均圧力値の差分と、平均圧力値の差分が対応付けられた値であった時にマニフォールド13b内の樹脂温度TM
1を何℃上昇させれば良いかとを示す上昇温度とが対応付けられた第2の温度調整データが予め格納されているものとする。
【0064】
続いて、第2の温度調整部305は、最小平均値データに対応したマニフォールド13b内の樹脂温度TM
1と、上記したステップS26の処理により決定した上昇温度との和、つまり、温度調整後のマニフォールド13b内の樹脂温度TM
2を算出する。なお、マニフォールド13b内の樹脂温度TMは、各マニフォールド13bに設けられる図示せぬ樹脂温度センサ装置によって測定され、適宜取得可能であるものとする。
その後、第2の温度調整部305は、算出した樹脂温度TM
2がマニフォールド13b内の樹脂温度TMとして適切な値であるか否かを判定する。具体的には、第2の温度調整部305は、算出した樹脂温度TM
2が、マニフォールド13b内の樹脂温度の最小値TM
minより大きく、最大値TM
Maxより小さい値であるか否かを判定する(ステップS27)。なお、マニフォールド13b内の樹脂温度の最小値TM
min及び最大値TM
Maxは、情報処理装置30の記憶装置に設定情報の1つとして予め格納されているものとする。
【0065】
上記したステップS27の処理の結果、算出した樹脂温度TM
2がマニフォールド13b内の樹脂温度TMとして適切な値でないと判定された場合(ステップS27のNO)、第2の温度調整部305は、第1の閾値を変更するよう第2の判定部304に対して指示する。第2の判定部304は、第2の温度調整部305からの指示にしたがって、第1の閾値を現在よりも大きくするように変更する(ステップS28)。その後、次のショット時に測定される測定データを取得するために、上記したステップS21の処理に戻り、再度同様な処理が実行される。なお、第1の閾値を変更する際に、どの程度大きくするかは、情報処理装置30の記憶装置に設定情報の1つとして予め格納されているものとする。
【0066】
一方で、上記したステップS27の処理の結果、算出した樹脂温度TM
2がマニフォールド13b内の樹脂温度TMとして適切な値であると判定された場合(ステップS27のYES)、第2の温度調整部305は、最小平均値データに対応したマニフォールド13b内の樹脂温度TMを、算出した樹脂温度TM
2になるよう温度調整を行う。具体的には、第2の温度調整部305は、当該マニフォールド13b近辺に設けられている第2のヒータ13dの温度を上昇させて、当該マニフォールド13b内の樹脂温度TMが当該算出した樹脂温度TM
2になるように温度調整を行う(ステップS29)。その後、次のショット時に測定される測定データを取得するために、上記したステップS21の処理に戻り、再度同様な処理が実行される。
【0067】
以上説明した一連の処理が実行され、温度調整が完了すると、第2の温度調整部305は、上記したステップS25の処理が初めて実行された際に算出された平均圧力値の差分と、温度調整が完了した際の各マニフォールド13b内の樹脂温度TMとが対応付けられた第2の調整結果データを格納部307に格納する。
【0068】
なお、
図9のステップS26〜S29では、最小平均値データに対応したマニフォールド13b内の樹脂温度TM
1を上昇させるように調整する場合を例示したが、これに限定されず、例えば、最大平均値データに対応したマニフォールド13b内の樹脂温度を下降させるように調整するとしても良い。
この場合、情報処理装置30の記憶装置には、上記した第2の温度調整データの代わりに、平均圧力値の差分と、平均圧力値の差分が対応付けられた値であった時に、マニフォールド13b内の樹脂温度を何℃下降させれば良いかを示す下降温度とが対応付けられた第2の温度調整データが予め格納されていれば良い。
さらに、
図8に示した処理手順と同様な処理手順にて、平均圧力値の平均を算出し、ホットランナ13を構成する複数のマニフォールド13b内の樹脂温度を一斉に調整するとしても良い。
【0069】
以上説明した一連の処理手順により、各ノズル13aの樹脂温度と各マニフォールド13bの樹脂温度とが調整され、当該調整の結果を示す第1及び第2の調整結果データが格納部307に格納されると、学習部306は、当該第1及び第2の調整結果データを用いた教師あり学習を行う。
【0070】
具体的には、学習部306は、格納部307に格納された第1の調整結果データによって示される最初に得られた型内圧力値の差分を入力とし、当該第1の調整結果データによって示される各ノズル13aの調整後の温度TN
2を出力とした教師あり学習を行う。また、学習部306は、格納部307に格納された第2の調整結果データによって示される最初に得られる平均圧力値の差分を入力とし、当該第2の調整結果データによって示される各マニフォールド13bの調整後の温度TM
2を出力とした教師あり学習を行う。
【0071】
学習部306は、上記した教師あり学習を繰り返すことにより、最初に算出される型内圧力値の差分が所定値の場合、どのノズル13aの樹脂温度TNを何℃にすれば良いかを推測可能な第1のモデルを生成する。同様に、学習部306は、最初に算出される平均圧力値の差分が所定値の場合、どのマニフォールド13bの樹脂温度TMを何℃にすれば良いかを推測可能な第2のモデルを生成する。生成された第1及び第2のモデルは格納部307に格納される。
【0072】
これによれば、第1の温度調整部303は、生成された第1のモデルに基づいて各ノズル13a内の樹脂温度TNを決定し、温度調整を行う。つまり、第1の温度調整部303は、第1の判定部302によって最初に算出される型内圧力値の差という入力に対して、各ノズル13a内の樹脂温度TNを出力して、温度調整を行う。同様に、第2の温度調整部305は、生成された第2のモデルに基づいて各マニフォールド13b内の樹脂温度TMを決定し、温度調整を行う。つまり、第2の温度調整部305は、第2の判定部304によって最初に算出される型内圧力値の平均値の差という入力に対して、各マニフォールド13b内の樹脂温度TMを出力して、温度調整を行う。
【0073】
以上説明した一実施形態によれば、情報処理装置30は各機能部301〜305を備えているので、ホットランナ13を構成する各ノズル13a内の樹脂温度TNと、各マニフォールド13b内の樹脂温度TMとを調整して、各キャビティ14に流し込まれる液状の樹脂の流速を調整し、各キャビティ14への充填完了時間を略同一にすることが可能である。これによれば、各キャビティ14への過充填・未充填が生じる可能性を低減させることが可能である。すなわち、ホットランナを有した射出成形機における成形不良の発生を低減させることが可能となる。
【0074】
上記した実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0075】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0076】
更に、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であってもよい。
【0077】
なお、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0078】
なお、本願発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【解決手段】情報処理装置は、複数のノズルを含む複数のマニフォールドによって構成されるホットランナを有した射出成形機と、射出成形機内の複数のキャビティに各々設置され、各キャビティ内の圧力値を測定可能な複数のセンサ装置と通信可能に接続される。情報処理装置は、ショット毎に、各センサ装置により測定される圧力値を示す測定データを取得し、取得された所定の測定データに基づいて算出される圧力値の差分が第1の閾値未満でないと判定した場合、所定の測定データに対応した2つのノズルのうちの少なくとも一方の樹脂温度を調整する。