特許第6596688号(P6596688)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6596688鎖状ポリマーの製造方法及び鎖状ポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596688
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】鎖状ポリマーの製造方法及び鎖状ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 85/00 20060101AFI20191021BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
   C08G85/00
   C08G63/91
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-206029(P2014-206029)
(22)【出願日】2014年10月7日
(65)【公開番号】特開2016-74818(P2016-74818A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】横澤 勉
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−543781(JP,A)
【文献】 特表2010−501669(JP,A)
【文献】 特開2012−207023(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/086974(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 81/00 − 85/00
C08G 63/00 − 63/91
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する繰り返し単位を含む環状ポリマーと、交換反応剤としてメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物とを、触媒の存在下、メタセシス交換反応させることを特徴とする鎖状ポリマーの製造方法であって、
前記繰り返し単位が式(1)で表されるものであり、前記交換反応剤が式(2)で表されるアルケン誘導体である鎖状ポリマーの製造方法。
【化1】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
3は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
4及びR5は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
1及びX2は、それぞれ独立にアミド結合、チオエステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレイレン結合、スルフィド結合又はスルホニル結合を表し、
1及びY2は、それぞれ独立にメタセシス交換反応を起こす二重結合を有しない1価の基を表す。)
【請求項2】
1及びY2が、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルアミノ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルチオ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルチオ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルオキシ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルオキシ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルアミノ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基又は炭素数7〜20のアリールスルホニル基である請求項1記載の鎖状ポリマーの製造方法。
【請求項3】
1及びX2がエステル結合である請求項1又は2記載の鎖状ポリマーの製造方法。
【請求項4】
1及びR2が、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状アルキレン基である請求項1〜3のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
【請求項5】
3が、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基である請求項〜4のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
【請求項6】
4及びR5が、それぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基である請求項〜5のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
【請求項7】
1及びY2が、それぞれ独立に炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基である請求項〜6のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
【請求項8】
前記環状ポリマーの数平均分子量が1,000〜50,000である請求項1〜7のいずれか1項記載の鎖状ポリマーの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の方法によって得られる鎖状ポリマー。
【請求項10】
数平均分子量が500〜30,000である請求項9記載の鎖状ポリマー。
【請求項11】
分子量分布が1〜1.5である請求項9又は10記載の鎖状ポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鎖状ポリマーの製造方法及び鎖状ポリマーに関し、より詳細には、環状ポリマーから誘導される、分子量及び分子量分布が制御された鎖状ポリマーの製造方法、並びに該方法によって得られる鎖状ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーの分子量及び分子量分布の制御は、ポリマー材料の高性能化、その性能の均一化等の観点から重要である。しかしながら、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル等のような機能性ポリマーを与える縮合重合については、逐次的に反応が進行し、そのために制御が困難とされている。
【0003】
このような事情の下、AB型モノマーと開始剤とを用いることで、縮合重合で分子量及び分子量分布を制御するという報告例がある(非特許文献1〜3)が、当該方法では、使用可能なモノマーに制限があり、またモノマー合成が非常に煩雑なため、その点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, pp. 8313-8314
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc., 1999, 121, pp. 11573-11574
【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, pp. 9902-9903
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、分子量及び分子量分布が制御された鎖状ポリマーの製造方法、並びに該方法によって得られる鎖状ポリマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、主鎖に炭素−炭素二重結合を有する環状ポリマーに所定の交換反応剤を添加し、メタセシス交換反応を行うことによって、初期の環状ポリマーの分子量にかかわらず、分子量分布の狭い鎖状ポリマーを安定的に合成できる事を見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記鎖状ポリマー及びその製造方法を提供する。
1.メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する繰り返し単位を含む環状ポリマーと、交換反応剤としてメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物とを、触媒の存在下、メタセシス交換反応させることを特徴とする鎖状ポリマーの製造方法であって、
前記繰り返し単位が式(1)で表されるものであり、前記交換反応剤が式(2)で表されるアルケン誘導体である鎖状ポリマーの製造方法。
【化1】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
3は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
4及びR5は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、
1及びX2は、それぞれ独立にアミド結合、チオエステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレイレン結合、スルフィド結合又はスルホニル結合を表し、
1及びY2は、それぞれ独立にメタセシス交換反応を起こす二重結合を有しない1価の基を表す。)
2.Y1及びY2が、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルアミノ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルチオ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルチオ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルオキシ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルオキシ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルアミノ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基又は炭素数7〜20のアリールスルホニル基である1の鎖状ポリマーの製造方法。
3.X1及びX2がエステル結合である2の鎖状ポリマーの製造方法。
4.R1及びR2が、それぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状アルキレン基である1〜3のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
5.R3が、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基である〜4のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
6.R4及びR5が、それぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基である〜5のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
7.Y1及びY2が、それぞれ独立に炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基である〜6のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
8.前記環状ポリマーの数平均分子量が1,000〜50,000である1〜7のいずれかの鎖状ポリマーの製造方法。
9.1〜8のいずれかの方法によって得られる鎖状ポリマー。
10.数平均分子量が500〜30,000である9の鎖状ポリマー。
11.分子量分布が1〜1.5である9又は10の鎖状ポリマー。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鎖状ポリマーは分子量及び分子量分布が制御されているため、これを用いたポリマー材料は高性能であり、しかもその性能が均一化されたものとなる。また、本発明の鎖状ポリマーの製造方法によれば、従来の方法よりも簡易に、分子量及び分子量分布が制御された鎖状ポリマーを安定的に合成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[鎖状ポリマーの製造方法]
本発明の鎖状ポリマーの製造方法は、メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する繰り返し単位を含む環状ポリマーと、交換反応剤としてメタセシス交換反応を起こし得る二重結合を1つ有する化合物とを、触媒の存在下、メタセシス交換反応させるものである。
【0010】
[環状ポリマー]
本発明で用いる環状ポリマーは、メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ有する繰り返し単位を含むものであれば、特に限定されない。このような環状ポリマーとしては、環状ポリエステル、環状ポリアミド、環状ポリチオエステル、環状ポリカーボネート、環状ポリイミド、環状ポリウレタン、環状ポリウレア、環状ポリスルフィド、環状ポリスルホン等であることが好ましい。これらのうち、環状ポリエステル、環状ポリアミド、環状ポリチオエステルであることがより好ましく、環状ポリエステルであることがより一層好ましい。本発明で用いる環状ポリマーは、分子内にメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を1つ以上含むものである。
【0011】
前記繰り返し単位としては、例えば、式(1)で表されるもの挙げられる。
【化2】
【0012】
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、R3は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、X1及びX2は、それぞれ独立に単量体の縮合反応によって得られる連結基を表す。
【0013】
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルキレン基及び炭素数6〜20のアリーレン基等としては、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数6〜20のアリール基から更に水素原子を1つ取り除いた構造の基が挙げられる。炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数6〜20のアリール基の例としては、後述するもの等が挙げられる。
【0014】
具体的には、炭素数1〜20のアルキレン基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。
【0015】
炭素数6〜20のアリーレン基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等が挙げられる。
【0016】
これらのうち、R1及びR2としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基が好ましく、炭素数3〜10の直鎖状アルキレン基が好ましい。また、R1及びR2は互いに同一であることが好ましい。R3としては、炭素数1〜20の直鎖状のアルキレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、炭素数6〜10の直鎖状のアルキレン基又はフェニル基がより好ましい。
【0017】
また、X1及びX2で表される連結基としては、エステル結合、アミド結合、チオエステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレイレン結合、スルフィド結合、スルホニル結合等が挙げられる。これらのうち、エステル結合、アミド結合、チオエステル結合、エーテル結合等であることが好ましく、エステル結合であることがより好ましい。また、X1及びX2は互いに同一であることが好ましい。
【0018】
本発明の製造方法によれば、初期の環状ポリマーの分子量にかかわらず、分子量分布の狭い鎖状ポリマーを安定的に合成できるため、前記環状ポリマーの数平均分子量は特に限定されない。ただし、前記環状ポリマーの数平均分子量の下限は、環状ポリマーの合成の観点から、1,000が好ましく、2,000がより好ましい。一方、その上限は、環状ポリマーの合成の観点から、50,000が好ましく、20,000がより好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。また、前記環状ポリマーの分子量分布は、通常、1〜3程度である。
【0019】
本発明で用いる環状ポリマーは、cis型、trans型、両方を含むもののいずれでもよい。つまり、前記環状ポリマーは、メタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を有する繰り返し単位がcis型のみであるものでも、trans型のみであるものでも、cis型及びtrans型の両方を含むものであってもよい。特に、前記環状ポリマーは、繰り返し単位がcis型のみであるものが好ましい。
【0020】
本発明で用いる環状ポリマーは、これを構成する繰り返し単位が全てメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を有するものでもよく、また、更にメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を有しない繰り返し単位を含むものでもよい。
【0021】
前記環状ポリマーは、これを製造し得る単量体を用いて、従来公知の方法で縮合重合させることによって製造することができる。例えば、前記環状ポリマーが、環状ポリエステル、環状ポリアミド又は環状ポリチオエステルである場合は、式(A)で表される化合物と、式(B)で表されるジカルボン酸塩化物との縮合重合により合成することができる。
【化3】
(式中、R1〜R3、X1'及びX2'は、−O−、−NH−又は−S−を表す。)
【0022】
式(A)で表される化合物は、不飽和ジオール、不飽和ジアミン、又は不飽和ジチオールである。式(A)で表される化合物は、cis型、trans型のいずれでもよく、また、これらの混合物でもよいが、特に、cis型であることが好ましい。
【0023】
式(A)で表される不飽和ジオールとして、具体的には、(Z)−2−ブテン−1,4−ジオール、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジオール、(Z)−3−ヘキセン−1,6−ジオール、(Z)−2−ヘプテン−1,7−ジオール、(Z)−3−ヘプテン−1,7−ジオール、(Z)−2−オクテン−1,8−ジオール、(Z)−4−オクテン−1,8−ジオール、(Z)−5−デセン−1,10−ジオール、(E)−2−ブテン−1,4−ジオール、(E)−2−ヘキセン−1,6−ジオール、(E)−3−ヘキセン−1,6−ジオール、(E)−2−ヘプテン−1,7−ジオール、(E)−3−ヘプテン−1,7−ジオール、(E)−2−オクテン−1,8−ジオール、(E)−4−オクテン−1,8−ジオール、(E)−5−デセン−1,10−ジオール等が挙げられる。これらのうち、(Z)−4−オクテン−1,8−ジオール等が好ましい。
【0024】
式(A)で表される不飽和ジアミンとして、具体的には、(Z)−2−ブテン−1,4−ジアミン、(Z)−3−ヘキセン−1,6−ジアミン、(Z)−2−オクテン−1,8−ジアミン、(Z)−4−オクテン−1,8−ジアミン、(Z)−5−デセン−1,10−ジアミン、(Z)−N,N'−ジメチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、(Z)−N,N'−ジエチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、(Z)−N,N'−ジフェニル−2−ブテン−1,4−ジアミン、(E)−2−ブテン−1,4−ジアミン、(E)−3−ヘキセン−1,6−ジアミン、(E)−2−オクテン−1,8−ジアミン、(E)−4−オクテン−1,8−ジアミン、(E)−5−デセン−1,10−ジアミン、(E)−N,N'−ジメチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、(E)−N,N'−ジエチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、(E)−N,N'−ジフェニル−2−ブテン−1,4−ジアミン等が挙げられる。
【0025】
式(A)で表される不飽和ジチオールとして、具体的には、(Z)−2−ブテン−1,4−ジチオール、(Z)−2−ヘキセン−1,6−ジチオール、(Z)−3−ヘキセン−1,6−ジチオール、(Z)−2−ヘプテン−1,7−ジチオール、(Z)−3−ヘプテン−1,7−ジチオール、(Z)−2−オクテン−1,8−ジチオール、(Z)−4−オクテン−1,8−ジチオール、(Z)−5−デセン−1,10−ジチオール、(E)−2−ブテン−1,4−ジチオール、(E)−2−ヘキセン−1,6−ジチオール、(E)−3−ヘキセン−1,6−ジチオール、(E)−2−ヘプテン−1,7−ジチオール、(E)−3−ヘプテン−1,7−ジチオール、(E)−2−オクテン−1,8−ジチオール、(E)−4−オクテン−1,8−ジチオール、(E)−5−デセン−1,10−ジチオール等が挙げられる。
【0026】
式(A)で表される化合物は、公知の方法、例えば、V. Singh, P. T. Deota, Synth. Commun., 1988, 18, 617、U. Henneche, C. H. Mueller, R. Floehlich, Org. Lett., 2011, 13, 860等に従って合成することができる。また、式(A)で表される化合物は、市販品としても入手可能である。
【0027】
式(B)で表されるジカルボン酸塩化物として、具体的には、マロン酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、グルタル酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、ピメリン酸ジクロリド、スベリン酸ジクロリド、アゼライン酸ジクロリド、セバシン酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド等が挙げられる。これらのうち、セバシン酸ジクロリド等が好ましい。
【0028】
ジカルボン酸塩化物は、従来公知の方法、例えば、ジカルボン酸をハロゲン化剤で処理する等の方法で合成してもよく、市販品を使用してもよい。
【0029】
式(A)で表される化合物と、式(B)で表されるジカルボン酸塩化物との縮合重合は溶媒中で行われることが好ましい。前記縮合重合反応に使用可能な溶媒としては、ジクロロメタン等が挙げられる。
【0030】
縮合重合反応において、式(A)で表される化合物と式(B)で表されるジカルボン酸塩化物との濃度比は、式(1)で表される環状ポリマーを高純度で合成する観点から、式(B)で表されるジカルボン酸塩化物が、式(A)で表される化合物1molに対して、0.8〜1.2molであることが好ましく、0.9〜1.03molであることがより好ましい。
【0031】
前記縮合重合反応の反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、−78〜100℃程度が好ましく、−50〜60℃がより好ましい。また、前記縮合重合反応の反応時間は、通常、24〜168時間である。
【0032】
縮合重合反応後は、クロマトグラフィー、ろ過、減圧濃縮、再沈殿等の常法に従って精製を行ってもよい。
【0033】
また、環状ポリマーが更にメタセシス交換反応を起こし得る炭素−炭素二重結合を有しない繰り返し単位も含む場合は、式(A)及び式(B)で表される化合物に加えて、飽和ジオール、飽和ジアミン、飽和ジチオール等を共存させて縮合重合を行えばよい。
【0034】
前記環状ポリマーが、環状ポリカーボネート、環状ポリイミド、環状ポリウレタン、環状ポリウレア、環状ポリスルフィド、環状ポリスルホンである場合も、これらを製造し得る単量体を用いて、従来公知の方法で縮合重合させればよい。
【0035】
[交換反応剤]
本発明で用いる交換反応剤としては、メタセシス交換反応を起こし得る二重結合を1つ有する化合物であれば特に限定されないが、式(2)で表されるアルケン誘導体が好ましい。
【化4】
【0036】
式中、R4及びR5は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表す。Y1及びY2は、それぞれ独立に任意の1価の基を表す。
【0037】
前記2価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基等が挙げられる。前記アルキレン基においては、これを構成する少なくとも1つのメチレン基が、−O−、−NH−、−S−等で置換されていてもよい。ただし、二重結合炭素及びR4又はR5に結合するメチレン基は置換されない。前記アルキレン基及びアリーレン基としては、前述したものと同じものが挙げられる。
【0038】
これらのうち、R4及びR5としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状アルキレン基がより好ましい。
【0039】
前記任意の1価の基としては、メタセシス交換反応を起こす二重結合を有しない基であることが好ましい。このような基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニル基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルアミノ基、炭素数2〜11のアルキルカルボニルチオ基、炭素数7〜20のアリールカルボニルチオ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルオキシ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルオキシ基、炭素数2〜11のN−アルキルカルバモイルアミノ基、炭素数7〜20のN−アリールカルバモイルアミノ基、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基、炭素数7〜20のアリールスルホニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基等が挙げられる。
【0041】
前記アルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルコキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基、ビシクロブチルオキシ基、ビシクロペンチルオキシ基、ビシクロヘキシルオキシ基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチルオキシ基、ビシクロノニルオキシ基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルコキシ基等が挙げられる。
【0042】
前記アルキルアミノ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキルアミノ基;シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロノニルアミノ基、シクロデシルアミノ基、ビシクロブチルアミノ基、ビシクロペンチルアミノ基、ビシクロヘキシルアミノ基、ビシクロヘプチルアミノ基、ビシクロオクチルアミノ基、ビシクロノニルアミノ基、ビシクロデシルアミノ基等の炭素数3〜20の環状アルキルアミノ基等が挙げられる。
【0043】
前記アルキルチオ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基、シクロオクチルチオ基、シクロノニルチオ基、シクロデシルチオ基、ビシクロブチルチオ基、ビシクロペンチルチオ基、ビシクロヘキシルチオ基、ビシクロヘプチルチオ基、ビシクロオクチルチオ基、ビシクロノニルチオ基、ビシクロデシルチオ基等の炭素数3〜20の環状アルキルチオ基等が挙げられる。
【0044】
前記アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
【0045】
前記アラルキル基としては、ベンジル基、p−メチルフェニルメチル基、m−メチルフェニルメチル基、o−エチルフェニルメチル基、m−エチルフェニルメチル基、p−エチルフェニルメチル基、2−プロピルフェニルメチル基、4−イソプロピルフェニルメチル基、4−イソブチルフェニルメチル基、α−ナフチルメチル基等が挙げられる。なお、アラルキル基のアルキル部は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0046】
前記アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、1−フェナントリルオキシ基、2−フェナントリルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、4−フェナントリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基等が挙げられる。
【0047】
前記アリールアミノ基としては、フェニルアミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、1−アントリルアミノ基、2−アントリルアミノ基、9−アントリルアミノ基、1−フェナントリルアミノ基、2−フェナントリルアミノ基、3−フェナントリルアミノ基、4−フェナントリルアミノ基、9−フェナントリルアミノ基等が挙げられる。
【0048】
前記アリールチオ基としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントリルチオ基、2−アントリルチオ基、9−アントリルチオ基、1−フェナントリルチオ基、2−フェナントリルチオ基、3−フェナントリルチオ基、4−フェナントリルチオ基、9−フェナントリルチオ基等が挙げられる。
【0049】
前記アルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルカルボニル基、n−オクチルカルボニル基、n−ノニルカルボニル基、n−デシルカルボニル基等が挙げられる。
【0050】
前記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0051】
前記アリールカルボニル基としては、フェニルカルボニル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、1−アントリルカルボニル基、2−アントリルカルボニル基、9−アントリルカルボニル基、1−フェナントリルカルボニル基、2−フェナントリルカルボニル基、3−フェナントリルカルボニル基、4−フェナントリルカルボニル基、9−フェナントリルカルボニル基等が挙げられる。
【0052】
前記アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、s−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、n−ヘプチルカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基、n−ノニルカルボニルオキシ基、n−デシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0053】
前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、イソブトキシカルボニルオキシ基、s−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ基、n−オクチルオキシカルボニルオキシ基、n−ノニルオキシカルボニルオキシ基、n−デシルオキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0054】
前記アリールカルボニルオキシ基としては、フェニルカルボニルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基、1−アントリルカルボニルオキシ基、2−アントリルカルボニルオキシ基、9−アントリルカルボニルオキシ基、1−フェナントリルカルボニルオキシ基、2−フェナントリルカルボニルオキシ基、3−フェナントリルカルボニルオキシ基、4−フェナントリルカルボニルオキシ基、9−フェナントリルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0055】
前記アリールオキシカルボニル基としては、フェニルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、1−アントリルオキシカルボニル基、2−アントリルオキシカルボニル基、9−アントリルオキシカルボニル基、1−フェナントリルオキシカルボニル基、2−フェナントリルオキシカルボニル基、3−フェナントリルオキシカルボニル基、4−フェナントリルオキシカルボニル基、9−フェナントリルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0056】
前記アルキルカルボニルアミノ基としては、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基、n−ブチルカルボニルアミノ基、イソブチルカルボニルアミノ基、s−ブチルカルボニルアミノ基、t−ブチルカルボニルアミノ基、n−ペンチルカルボニルアミノ基、n−ヘキシルカルボニルアミノ基、n−ヘプチルカルボニルアミノ基、n−オクチルカルボニルアミノ基、n−ノニルカルボニルアミノ基、n−デシルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0057】
前記アリールカルボニルアミノ基としては、フェニルカルボニルアミノ基、1−ナフチルカルボニルアミノ基、2−ナフチルカルボニルアミノ基、1−アントリルカルボニルアミノ基、2−アントリルカルボニルアミノ基、9−アントリルカルボニルアミノ基、1−フェナントリルカルボニルアミノ基、2−フェナントリルカルボニルアミノ基、3−フェナントリルカルボニルアミノ基、4−フェナントリルカルボニルアミノ基、9−フェナントリルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0058】
前記アルキルカルボニルチオ基としては、メチルカルボニルチオ基、エチルカルボニルチオ基、n−プロピルカルボニルチオ基、イソプロピルカルボニルチオ基、n−ブチルカルボニルチオ基、イソブチルカルボニルチオ基、s−ブチルカルボニルチオ基、t−ブチルカルボニルチオ基、n−ペンチルカルボニルチオ基、n−ヘキシルカルボニルチオ基、n−ヘプチルカルボニルチオ基、n−オクチルカルボニルチオ基、n−ノニルカルボニルチオ基、n−デシルカルボニルチオ基等が挙げられる。
【0059】
前記アリールカルボニルチオ基としては、フェニルカルボニルチオ基、1−ナフチルカルボニルチオ基、2−ナフチルカルボニルチオ基、1−アントリルカルボニルチオ基、2−アントリルカルボニルチオ基、9−アントリルカルボニルチオ基、1−フェナントリルカルボニルチオ基、2−フェナントリルカルボニルチオ基、3−フェナントリルカルボニルチオ基、4−フェナントリルカルボニルチオ基、9−フェナントリルカルボニルチオ基等が挙げられる。
【0060】
前記N−アルキルカルバモイルオキシ基としては、N−メチルカルバモイルオキシ基、N−エチルカルバモイルオキシ基、N−n−プロピルカルバモイルオキシ基、N−イソプロピルカルバモイルオキシ基、N−n−ブチルカルバモイルオキシ基、N−イソブチルカルバモイルオキシ基、N−s−ブチルカルバモイルオキシ基、N−t−ブチルカルバモイルオキシ基、N−n−ペンチルカルバモイルオキシ基、N−n−ヘキシルカルバモイルオキシ基、N−n−ヘプチルカルバモイルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基、N−n−ノニルカルバモイルオキシ基、N−n−デシルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0061】
前記N−アリールカルバモイルオキシ基としては、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−1−ナフチルカルバモイルオキシ基、N−2−ナフチルカルバモイルオキシ基、N−1−アントリルカルバモイルオキシ基、N−2−アントリルカルバモイルオキシ基、N−9−アントリルカルバモイルオキシ基、N−1−フェナントリルカルバモイルオキシ基、N−2−フェナントリルカルバモイルオキシ基、N−3−フェナントリルカルバモイルオキシ基、N−4−フェナントリルカルバモイルオキシ基、N−9−フェナントリルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0062】
前記N−アルキルカルバモイルアミノ基としては、N−メチルカルバモイルアミノ基、N−エチルカルバモイルアミノ基、N−n−プロピルカルバモイルアミノ基、N−イソプロピルカルバモイルアミノ基、N−n−ブチルカルバモイルアミノ基、N−イソブチルカルバモイルアミノ基、N−s−ブチルカルバモイルアミノ基、N−t−ブチルカルバモイルアミノ基、N−n−ペンチルカルバモイルアミノ基、N−n−ヘキシルカルバモイルアミノ基、N−n−ヘプチルカルバモイルアミノ基、N−n−オクチルカルバモイルアミノ基、N−n−ノニルカルバモイルアミノ基、N−n−デシルカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
【0063】
前記N−アリールカルバモイルアミノ基としては、N−フェニルカルバモイルアミノ基、N−1−ナフチルカルバモイルアミノ基、N−2−ナフチルカルバモイルアミノ基、N−1−アントリルカルバモイルアミノ基、N−2−アントリルカルバモイルアミノ基、N−9−アントリルカルバモイルアミノ基、N−1−フェナントリルカルバモイルアミノ基、N−2−フェナントリルカルバモイルアミノ基、N−3−フェナントリルカルバモイルアミノ基、N−4−フェナントリルカルバモイルアミノ基、N−9−フェナントリルカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
【0064】
前記アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、s−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基、n−ヘプチルスルホニル基、n−オクチルスルホニル基、n−ノニルスルホニル基、n−デシルスルホニル基等が挙げられる。
【0065】
前記アリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントリルスルホニル基、2−アントリルスルホニル基、9−アントリルスルホニル基、1−フェナントリルスルホニル基、2−フェナントリルスルホニル基、3−フェナントリルスルホニル基、4−フェナントリルスルホニル基、9−フェナントリルスルホニル基等が挙げられる。
【0066】
交換反応剤は、cis型、trans型のいずれでもよく、また、これらの混合物でもよいが、特に、cis型であることが好ましい。
【0067】
交換反応剤の具体例としては、(Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、(Z)−1,6−ジアセトキシ−3−ヘキセン、(Z)−1,8−ジアセトキシ−4−オクテン、(Z)−1,10−ジアセトキシ−5−デセン、(Z)−1,4−ビス(アセチルアミノ)−2−ブテン、(Z)−1,6−ビス(アセチルアミノ)−3−ヘキセン、(Z)−1,8−ビス(アセチルアミノ)−4−オクテン、(Z)−1,10−ビス(アセチルアミノ)−5−デセン、(Z)−1,4−ビス(アセチルチオ)−2−ブテン、(Z)−1,6−ビス(アセチルチオ)−3−ヘキセン、(Z)−1,8−ビス(アセチルチオ)−4−オクテン、(Z)−1,10−ビス(アセチルチオ)−5−デセン、(E)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、(E)−1,6−ジアセトキシ−3−ヘキセン、(E)−1,8−ジアセトキシ−4−オクテン、(E)−1,10−ジアセトキシ−5−デセン、(E)−1,4−ビス(アセチルアミノ)−2−ブテン、(E)−1,6−ビス(アセチルアミノ)−3−ヘキセン、(E)−1,8−ビス(アセチルアミノ)−4−オクテン、(E)−1,10−ビス(アセチルアミノ)−5−デセン、(E)−1,4−ビス(アセチルチオ)−2−ブテン、(E)−1,6−ビス(アセチルチオ)−3−ヘキセン、(E)−1,8−ビス(アセチルチオ)−4−オクテン、(E)−1,10−ビス(アセチルチオ)−5−デセン等が挙げられる。これらのうち、(Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン等が好ましい。
【0068】
交換反応剤は、公知の方法、例えば、Z. He, D. V. Nadkarni, L. M. Sayre, F. T Greenaway, Biochimica et Biophysica Acta, 1995, 1253, 117-127、A. A. Nagarlar, A. Crochet, K. F. M. Kilbinger, Macromolecules, 2012, 45, 4447-4453等に従って合成することができる。また、交換反応剤は、市販品としても入手可能である。
【0069】
[メタセシス交換反応]
メタセシス交換反応は、溶媒中、触媒の存在下で行えばよい。メタセシス交換反応に用いる溶媒は、反応に関与しないものであれば特に限定されない。このような溶媒としては、例えば、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のカルボン酸エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素非プロトン性極性溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄非プロトン性極性溶媒;ピリジン、ピコリン等のピリジン化合物;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール;水等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0070】
メタセシス交換反応に用いる触媒は、通常のオレフィンメタセシス反応に用いられる触媒であれば特に限定されない。このような触媒としては、ルテニウムカルベン錯体やモリブデンカルベン錯体等が挙げられ、具体的には、グラブス触媒等が挙げられる。
【0071】
メタセシス交換反応において、前記環状ポリマーの濃度は、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%程度がより好ましい。前記交換反応剤の濃度は、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%程度がより好ましい。また、前記環状ポリマーと前記交換反応剤との濃度比は、目的とするポリマーを再現性よく得る観点から、前記交換反応剤が、前記環状ポリマーの繰り返し単位1molに対して、0.01〜50molであることが好ましく、0.01〜10molであることがより好ましい。
【0072】
メタセシス交換反応の反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、−78〜100℃程度が好ましく、−50〜60℃がより好ましい。また、メタセシス交換反応の反応時間は、通常、24〜120時間である。
【0073】
反応終了後は、クロマトグラフィー、ろ過、減圧濃縮、再沈殿等の常法に従って精製を行ってもよい。
【0074】
本発明の製造方法によって、初期の環状ポリマーの分子量にかかわらず、分子量分布の狭い鎖状ポリマーを安定的に合成することができる。
【0075】
[鎖状ポリマー]
前記メタセシス交換反応によって得られる本発明の鎖状ポリマーは、分子量分布が狭く、分子量が揃ったものとなる。本発明の鎖状ポリマーの数平均分子量は、500〜30,000程度が好ましく、1,000〜25,000程度がより好ましい。また、分子量分布は、1〜3程度が好ましく、1〜2程度がより好ましく、1〜2未満であることがより一層好ましく、1〜1.5程度が更に好ましい。
【実施例】
【0076】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、使用した装置は、以下のとおりである。
(1)1H−NMR:日本電子(株)製ECA-500
(2)FT−IR:日本分光(株)製FT/IR-410
(3)GPC:昭和電工(株)製GPC-101((カラム:Shodex GPC KF-804L、カラム温度:40℃、検出器:RI、溶離液:THF、カラム流速:1mL/min.))
(4)HPLC:(株)島津製作所製LC-6AD
(5)MALDI−TOF MS:(株)島津製作所製AXIMA-CFR+
【0077】
[合成例1](Z)−4−オクテン−1,8−ジオールとセバシン酸ジクロリドとの縮合重合による環状ポリエステルの合成
10mLのナス型フラスコに攪拌子を入れ、フラスコ内をアルゴンで置換した。
スナップバイアルに、(Z)−4−オクテン−1,8−ジオール(シグマ アルドリッチ社製)0.1441g(0.9992mmol)、乾燥ジクロロメタン2.0mL、乾燥ピリジン0.17mL(2.1mmol)を入れ、溶液を調製し、この溶液を、窒素気流下でナス型フラスコに入れて、0℃でよく攪拌した。
次いで、スナップバイアルに、セバシン酸ジクロリド(東京化成工業(株)製)0.2461g(1.029mmol)及び乾燥ジクロロメタン2.0mLを入れ、溶液を調製した。この溶液を、窒素気流下で、ナス型フラスコに2分間かけて滴下し、室温(23℃)で48時間攪拌し、攪拌終了後、少量のメタノールを加えて反応を停止させた。
その後、得られた反応混合物を1mol/L塩酸と水で2回ずつ洗浄し、有機層を回収し、更に、洗浄で用いた水層をジクロロメタンで抽出し、このジクロロメタンと先に回収した有機層を合わせ、これを無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
乾燥後、ろ過を行い、ろ液から減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、淡黄色粘性液体を得た(収量0.2896g、粗収率93%)。これを、良溶媒にジクロロメタンを、貧溶媒にメタノールを用いた再沈殿により精製し、減圧乾燥し、無色粘性液体のポリマーAを得た(収量0.1981g、収率64%、Mn=18,100、Mw/Mn=1.90)。また、再沈殿による精製で取り除いた上澄み液を濃縮し、減圧乾燥し、淡黄色粘性液体のポリマーBを得た(収量0.0903g、収率29%、Mn=3,700、Mw/Mn=3.14)。1H−NMR及びIRの測定結果を以下に示す。
1H-NMR (600MHz, CDCl3) δ 5.42-5.37(m, 2H), 4.06(t, J=6.7Hz, 4H), 2.29(t, J=7.6Hz, 4H), 2.11-2.08(m, 4H), 1.68(quint, J=7.0Hz, 4H), 1.63-1.59(m, 4H), 1.30(brs, 8H);
IR (neat) 2925, 2853, 1735, 1686, 1655, 1638, 1560, 1544, 1509, 1459, 1169, 1027 cm-1.
【0078】
[実施例1]ポリマーAのメタセシス交換反応
10mLのナス型フラスコに攪拌子を入れ、ナス型フラスコ内をアルゴンで置換し、そこへ、第二世代グラブス触媒1.75mg(0.00206mmol)を入れて、再びナス型フラスコ内をアルゴンで置換した。
一方、ナシ型フラスコ内に、ポリマーA62.1mg(繰り返し単位0.200mmol)を入れた。その後、スナップバイアルに、交換反応剤として(Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン(東京化成工業(株)製)68.9mg(0.400mmol)及び乾燥ジクロロメタン11.55mLを入れ、溶液を調製し、この溶液1.155mL((Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン0.0400mmol)をナシ型フラスコ内に入れた。
前記ナシ型フラスコ内を脱気してアルゴン置換し、窒素雰囲気下で、ナシ型フラスコ内の混合物をナス型フラスコに入れ、室温で120時間攪拌し、攪拌終了後、エチルビニルエーテル0.04mL(0.4mmol)を加えて反応を停止させ、更に2時間攪拌した。
その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、緑褐色粘性固体を得た。これを用いて、SECカラムを使用した分取HPLC(溶媒THF)による分離・精製を行なって目的化合物を含むフラクションを分取し、分取したフラクションから減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、淡褐色粘性固体を得た(収量0.0326g、収率47%、Mn=3,270、Mw/Mn=1.49)。1H−NMR及びIRの測定結果を以下に示す。なお、得られたポリマーの両末端は、交換反応剤由来のCH3COO−であることをMALDI−TOF MSで確認した。
1H-NMR (500MHz, CDCl3) δ 5.79-5.57(trans) and 5.46-5.37(cis) (m, 2nH), 4.51(dd, J=0.9 and 6.6Hz, 2H), 4.08-4.04(m, 4nH), 2.29(t, J=7.6Hz, 4nH), 2.20-2.04(m, 4nH), 2.06(s, 3H), 1.76-1.65(m, 4nH), 1.65-1.55(m, 4nH), 1.30(brs, 8nH);
IR (neat) 2930, 2855, 2345, 1736, 1655, 1638, 1560, 1543, 1509, 1459, 1363, 1260, 1170, 1094, 1025, 800 cm-1.
【0079】
[実施例2]ポリマーBのメタセシス交換反応
10mLのナス型フラスコに攪拌子を入れ、ナス型フラスコ内をアルゴンで置換し、そこへ、第二世代グラブス触媒0.80mg(0.00094mmol)を入れて、再びナス型フラスコ内をアルゴンで置換した。
一方、ナシ型フラスコ内に、ポリマーB31.1mg(繰り返し単位0.100mmol)を入れた。その後、スナップバイアルに、交換反応剤として(Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン68.9mg(0.400mmol)及び乾燥ジクロロメタン11.55mLを入れ、溶液を調製し、この溶液0.57mL((Z)−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン0.020mmol)をナシ型フラスコ内に入れた。
前記ナシ型フラスコ内を脱気してアルゴン置換し、窒素雰囲気下で、ナシ型フラスコ内の混合物をナス型フラスコに入れ、室温で5日間攪拌し、攪拌終了後、エチルエチルビニルエーテル0.02mL(0.2mmol)を加えて反応を停止させ、更に2時間攪拌した。
その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、赤茶色粘性液体を得た。これを用いて、SECカラムを使用した分取HPLC(溶媒THF)による分離・精製を行なって目的化合物を含むフラクションを分取し、分取したフラクションから減圧下で溶媒を留去し、減圧乾燥し、淡褐色粘性液体を得た(収量0.0106g、収率31%、Mn=3,000、Mw/Mn=1.47)。なお、得られたポリマーの両末端は、交換反応剤由来のCH3COO−であることをMALDI−TOF MSで確認した。
【0080】
以上のとおり、本発明の鎖状ポリマーは、分子量が制御され、分子量分布も狭いものであった。