(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596719
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/06 20060101AFI20191021BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20191021BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20191021BHJP
【FI】
B65H7/06
B65H5/06 P
G03G15/00 420
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-160493(P2015-160493)
(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公開番号】特開2017-40684(P2017-40684A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】鳴瀬 邦彦
【審査官】
冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−120984(JP,A)
【文献】
特開2010−228854(JP,A)
【文献】
特開2016−90788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H5/02、5/06、5/22、5/36−5/38、7/00−7/20、29/12−29/24、29/32、29/52、43/00−43/08
G03G15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートが通過する経路であって、第1搬送部、第2搬送部及び屈曲部を有する搬送経路と、
前記搬送経路において前記シートを動かすシート搬送手段と、
を備え、
前記屈曲部は、前記第1搬送部及び前記第2搬送部を接続する部分であって、前記シートの搬送方向と直交し、かつ、該シートの主面と平行な第1の方向から見たときに弧を描く部分であり、
前記第1搬送部は、前記第2搬送部よりも搬送方向の下流側に位置し、
前記第1搬送部には、前記シートを前記屈曲部の外周側の壁面から離す離間機構が設けられ、
前記シート搬送手段は、ジャム発生時に前記搬送経路に複数の前記シートが残留している場合に、該搬送経路の搬送方向における下流側のシートの後端及び該下流側のシートの次に搬送される上流側のシートの前端が、該シートの主面と直交する方向から見たときに、前記屈曲部において重なるように停止させること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記屈曲部には、前記シートを挟み込む屈曲部搬送ローラが配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記屈曲部において、該屈曲部を通過する前記シートの主面と直交する方向の幅が一部大きくなっていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記離間機構は、前記シートを該シートの両主面から挟み込む第1ローラ及び第2ローラから構成される搬送ローラ対であり、
前記第1ローラは、前記第2ローラよりも前記屈曲部の外周側に位置し、
前記第1ローラの中心軸は、前記第2ローラの中心軸よりも搬送方向の上流側に位置していること、
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の方向から見たときに、前記第1搬送部の延長線と前記第2搬送部の延長線とが成す角は鈍角であること、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1搬送部は、前記シートを鉛直方向に搬送する縦搬送部であること、
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記屈曲部は、ジャム処理時に開閉する扉よりも下流側に配置されていること、
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の内部で紙詰まり等(以下で、ジャムと称す)が発生すると、該画像形成装置内部でのシートの搬送が自動的に停止される。このとき、画像形成装置内部において搬送が開始されたシートの一部が搬送経路で停止し、該シートの他の部分が給紙カセットで停止する場合がある。この状態で給紙カセットを引き抜くと、該シートを引きちぎってしまい、さらなるジャム、いわゆる二次ジャムを引き起こしてしまう虞がある。従って、ジャムの発生時に装置内部に残留したシートを、二次ジャムを引き起こさない位置へ移動させる必要がある。
【0003】
ここで、シートを搬送経路における二次ジャムを引き起こさない位置へ単純に移動させようとすると、画像形成装置内部に残留したシート同士が接触して、該シートが傷んでしまう虞がある。そこで、特許文献1に記載されたような画像形成装置(以下で、従来の画像形成装置と称す)では、ジャム発生時に両面コピーのために設けられた反転搬送経路を用いるなどして、画像形成装置内部に残留したシートを移動させている。しかし、この方法は、反転搬送経路等の複雑な機構を持たない画像形成装置には適用できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−120984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、反転搬送経路等の複雑な機構を用いずに、ジャム発生時の装置内部に残留したシートを衝突させることなく、二次ジャムを引き起こさない位置へ移動させることを可能とする画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の形態である画像形成装置は、
搬送されるシートが通過する経路であって、第1搬送部、第2搬送部及び屈曲部を有する搬送経路と、
前記搬送経路において前記シートを動かすシート搬送手段と、
を備え、
前記屈曲部は、前記第1搬送部及び前記第2搬送部を接続する部分であって、前記シートの搬送方向と直交し、かつ、該シートの主面と平行な第1の方向から見たときに弧を描く部分であり、
前記第1搬送部は、前記第2搬送部よりも搬送方向の下流側に位置し、
前記第1搬送部には、前記シートを前記屈曲部の外周側の壁面から離す離間機構が設けられ、
前記シート搬送手段は、ジャム発生時に前記搬送経路に複数の前記シートが残留している場合に、該搬送経路の搬送方向における下流側のシートの後端及び該下流側のシートの次に搬送される上流側のシートの前端が、該シートの主面と直交する方向から見たときに、前記屈曲部において重なるように停止させること、
を特徴とする。
【0007】
本発明の一の形態である画像形成装置では、ジャム発生時にシート搬送手段が、下流側のシートの後端及び該下流側のシートの次に搬送される上流側のシートの前端が屈曲部において重なるように、両シートを停止させる。これにより、本発明の一の形態である画像形成装置では、屈曲部を利用して、二次ジャムを引き起こさない位置にシートを移動させている。また、両シートが屈曲部に移動した際に、下流側のシートの後端は、第1搬送部に設けられた離間機構により、屈曲部の外周側の壁面から離された状態である。一方、上流側のシートの前端は、屈曲部が成す弧に沿うように、該屈曲部の外周側の壁面に押し付けられた状態となる。つまり、両シートは衝突していない。以上より、本発明の一の形態である画像形成装置では、反転搬送経路等の複雑な機構がなくても、ジャム発生時の画像形成装置内部に残留したシートを衝突させることなく、二次ジャムを引き起こさない位置へ移動させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像形成装置によれば反転搬送経路等の複雑な機構がなくても、ジャム発生時の装置内部に残留したシートを衝突させることなく、二次ジャムを引き起こさない位置へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施例に係る画像形成装置の内部構造を示す概略図である。
【
図2】一実施例に係る画像形成装置における給紙ユニットの下段周辺の構成を示す図である。
【
図3】一実施例に係る画像形成装置における搬送経路の屈曲部の具体的な構造を示す図である。
【
図4】第1変形例に係る画像形成装置における搬送経路の屈曲部の具体的な構造を示す図である。
【
図5】第2変形例に係る画像形成装置における搬送経路の水平搬送部及び縦搬送部の位置関係を示す図である。
【
図6】比較例に係る画像形成装置における搬送経路の屈曲部の周辺の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(画像形成装置の概略構成、
図1参照)
以下、一実施例である画像形成装置1について、添付図面を参照して説明する。各図においては、同じ部材、部分について共通する符号を付し、重複する説明は省略する。各図において、画像形成装置1の左右方向をx軸で表し、奥行き方向をy軸で表す。さらに、上下方向をz軸で表す。
【0011】
画像形成装置1は、
図1に示すように、タンデム方式の電子写真プリンタであり、画像形成装置1の各部及び各手段を制御する制御部4、画像形成部10、給紙ユニット20、定着部30、及びシート搬送手段50を備えている。
【0012】
画像形成部10は、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の画像を形成するための、感光体ドラム12を中心として帯電器、現像器などを配置した画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K、各画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kで形成されたトナー画像を1次転写して合成する中間転写ベルト15、合成されたトナー画像を中間転写ベルトからシートに2次転写する2次転写ローラ18,及びレーザービームによる露光ユニット16で構成されている。なお、この種の電子写真法による画像形成は従来から周知であり、詳細な説明は省略する。
【0013】
給紙ユニット20は、装置本体の下部に配置され、3つの給紙カセットから構成されている。一つは、給紙ユニット20の上段側に位置し、A3等の比較的大きなシートを積載することが可能な箱型のA3給紙カセット22である。また、給紙ユニット20の下段側には、A4以下のシートを積載することが可能な箱型のA4給紙カセット24,26が左右方向に並んで配置されている。なお、いずれかの給紙カセットのシートがなくなった場合には、給紙カセットを画像形成装置1の手前側に引き出すことでシートの補充を行うことが可能である。
【0014】
各給紙カセットに積載されたシートは、シート搬送手段50により、2次転写ローラ18に送り込まれる。そして、2次転写ローラ18から付与される電界によって中間転写ベルト15上のトナー画像がシートに転写される。その後、シートは、定着部30でトナーの加熱定着を施され、画像形成装置1の上面に設けられた排紙トレイ2に排出される。シート搬送手段50によるシートの具体的な搬送過程は後述する。
【0015】
(シートの搬送過程
図1及び
図2参照)
装置内におけるシートの搬送は、シート搬送手段50により行われる。シート搬送手段50は、各給紙カセットから排紙トレイ2に至る経路である搬送経路100の各所に設けられたローラから構成されている。シート搬送手段50を構成するローラを、シートの搬送過程と共に以下で説明する。
【0016】
A3給紙カセット22に積載されたシートは、
図1に示すように、最上層の1枚がピックアップローラ56にピックアップされ、給紙ローラ58と捌きローラ60とで給紙される。さらに、給紙されたシートは、縦搬送ローラ対62で搬送方向の下流に搬送される。その後、シートは、タイミングローラ対63を経由して、2次転写及び加熱定着が施されて、排出ローラ対64によって画像形成装置1の上面に設けられた排紙トレイ2に排出される。
【0017】
給紙ユニット20の下段の左側に位置するA4給紙カセット24に積載されたシートは、
図2に示すように、最上層の1枚がピックアップローラ66にピックアップされる。ピックアップされたシートは、給紙ローラ68と捌きローラ70とで、搬送経路100の一部である水平搬送部102へと給紙される。水平搬送部102には、給紙されたシートを水平方向の右側に向かって送り出す水平搬送ローラ対72が設けられており、これがシートを搬送方向の下流側に送り出す。水平搬送ローラ対72によって送り出されたシートは、水平搬送部102と接続された屈曲部104においてその進行方向を水平方向から鉛直方向の上向きに変えられて、縦搬送部106へと搬送される。そして、縦搬送部106へと搬送されたシートは、縦搬送ローラ対74で搬送方向のさらに下流に搬送される。その後、シートの搬送経路は、A3給紙カセット22に積載されたシートの搬送経路と合流する。合流後、シートは、
図1に示される縦搬送ローラ対62及びタイミングローラ対63を経由して、2次転写及び加熱定着が施されて、排出ローラ対64によって排紙トレイ2に排出される。なお、屈曲部104には、搬送されてくるシートを挟み込む屈曲搬送ローラ対76が設けられている。また、A4給紙カセット24から給紙されたシートの搬送経路と、後述するA4給紙カセット26から給紙されたシートの搬送経路とは、
図2及び
図3に示すように、屈曲部104において合流している。これにより、
図3に示すように、屈曲部104の合流部分の幅d1が、屈曲部104における他の部分よりも大きくなっている。
【0018】
給紙ユニット20の下段の右側に位置するA4給紙カセット26に積載されたシートは、
図2に示すように、最上層の1枚がピックアップローラ78にピックアップされ、給紙ローラ80と捌きローラ82とで給紙される。さらに、給紙されたシートは、縦搬送部106、縦搬送ローラ対62及びタイミングローラ対63をこの順に経由し、2次転写及び加熱定着が施されて、排出ローラ対64によって排紙トレイ2に排出される。
【0019】
(ジャム発生時の対応
図3参照)
画像形成装置1では、ジャムが発生すると、装置内のシートを2次ジャムが発生しない位置に移動させる。この移動について、A4給紙カセット24からピックアップされたシートの移動を例として、以下で具体的に説明する。
【0020】
画像形成装置1の給紙ユニット20、定着部30及び搬送経路100には、ジャムの発生を検出する図示しないジャム検出センサが設けられている。ジャム検出センサは、例えば、搬送経路100に沿って所定の間隔で配置されたフォトセンサにより構成されており、上流側のセンサによりシートが検知された後、下流側のセンサにより検知されるまでの時間によってジャムが検知されるようになっている。そして、シートが搬送不良を起こした際にこれを検出し、制御部4に対してジャム検出信号を送信するようになっている。
【0021】
ここで、2次転写ローラ18の近傍で搬送不良が発生したと仮定する。このとき、ジャム検出信号を受け取った制御部4は、シート搬送手段50の各ローラに指示をして、装置内のシートの搬送を即時に停止させる。
【0022】
シートの搬送を停止させた結果、例えば、シートP1が縦搬送部106の上部で停止したとする。そうすると、シートP1は、
図3に示すように、縦搬送ローラ74により、該シートP1の後端が搬送経路100の屈曲部104で停止する位置まで戻される。
【0023】
また、ジャム発生によるシートの搬送停止により、シートP1の次に搬送されるシートP2の下流側の半分が水平搬送部102で、シートP2の上流側の半分がA4給紙カセット24で停止したとする。この状態でA4給紙カセット24を引き抜くと、シートP2を引きちぎってしまい、二次ジャムを引き起こしてしまう。従って、制御部4は、給紙ローラ68、捌きローラ70及び水平搬送ローラ対72を回転させ、二次ジャムを引き起こさない位置へシートP2を移動させる。
【0024】
この移動では、
図3に示すように、シートP2の前端が屈曲部104で停止する。このとき、シートP2の前端を除く部分は、水平搬送部102に移動する。つまり、シートP2の上流側の半分はA4給紙カセット24から退避する。従って、この状態でA4給紙カセット24を引き抜いても、シートP2が引きちぎられることがないため、二次ジャムの発生が抑制される。
【0025】
ところで、シートP1の後端は、上述のとおり、搬送経路100の屈曲部104で停止している。従って、シートP1又はシートP2の主面と直交する方向F1から、シートP1の後端とシートP2前端とを見ると、それらは重なっている。ただし、シートP1の後端は、縦搬送部106に設けられた縦搬送ローラ対74によって挟持されるため、屈曲部104の外周側の壁面Sに接触しない位置にあり、シートP2の前端は屈曲部104が描く弧に沿うため、該前端は、屈曲部104の外周側の壁面Sと接触している。従って、シートP1の後端とシートP2の前端とは接触していない。また、屈曲部104には屈曲搬送ローラ対76が設けられているため、仮にシートP2がカールしていても、シートP2の前端が屈曲部104の内周側に傾くことが抑制されている。
【0026】
そして、ジャム発生によってシートP1,P2を移動させた後に、該ジャムの発生原因となったシートが取り除かれると、制御部4は、シートP1を搬送方向の下流へ送り出し、それに続いて、シートP2の搬送を開始して、通常の画像形成のプロセスに復帰する。
【0027】
(効果)
一実施例である画像形成装置1では、ジャム発生時にシート搬送手段50が、シートP1の後端及びシートP2の前端が屈曲部104において重なるように、両シートを停止させる。これにより、一実施例である画像形成装置1では、屈曲部104を利用して、二次ジャムを引き起こさない位置にシートP2を移動させている。また、両シートが屈曲部104に移動した際に、シートP1の後端は、縦搬送部106に設けられた縦搬送ローラ74により、屈曲部104の外周側の壁面Sに接触しない位置にある。一方、シートP2の前端は、屈曲部104が成す弧に沿うように、該屈曲部104の外周側の壁面に押し付けられた状態となる。従って、両シートは衝突していない。以上より、一実施例である画像形成装置1では、反転搬送経路等の複雑な機構がなくても、ジャム発生時の装置内部に残留したシートを衝突させることなく、二次ジャムを引き起こさない位置へ移動させることができる。
【0028】
また、一実施例である画像形成装置1では、シートP1の後端及びシートP2の前端が屈曲部104において重なっても、それらが衝突しづらい構造になっている。具体的には、屈曲部104には屈曲搬送ローラ対76が設けられているため、仮にシートP2がカールしていても、シートP2の前端が屈曲部104の内周側に傾くことが抑制される。これにより、シートP2の前端は、カールしていた場合でも屈曲部104の外周側に位置しやすくなるため、該屈曲部104の内周側に位置するシートP1の後端と衝突しづらい。
【0029】
さらに、屈曲部104の合流部分の幅d1が、屈曲部104における他の部分よりも大きくなっている。これにより、屈曲部104に停止したシートP2の前端とシートP1の後端との距離がさらに離れる。結果として、シートP1とシートP2とが衝突しづらくなる。
【0030】
ところで、一実施例である画像形成装置1では、ジャム発生時に搬送経路100において異なる位置に停止したシートP1,P2を、屈曲部104の周辺に移動させている。これにより、画像形成装置1を使うユーザーは、屈曲部104の近傍に位置する開閉扉を開くだけで、シートP1,P2を取り除くことができる。つまり、ユーザーは、シートP1,P2を取り除くために、画像形成装置1の筐体に設けられた多くの開閉扉を開く必要がなくなる。従って、画像形成装置1では、シートP1,P2を屈曲部104に周辺に移動させることで、その利便性を向上させている。
【0031】
(第1変形例
図4参照)
第1変形例である画像形成装置1Aと一実施例である画像形成装置1との相違点は、縦搬送ローラ対74である。
【0032】
第1変形例である画像形成装置1Aの縦搬送ローラ対74では、
図4に示すように、屈曲部104の外周側に位置するローラ74aの中心軸C1が、屈曲部104の内周側に位置するローラ74bの中心軸C2よりも、搬送方向の上流側に位置している。これにより、縦搬送ローラ対74に挟み込まれたシートP1の後端は、ローラ74a,74bの中心軸C1,C2が搬送方向の同じ位置にある場合と比較して、より屈曲部104の内周側に位置するようになる。従って、第1変形例である画像形成装置1Aは、一実施例である画像形成装置1と比較して、さらに、シートP1の後端とシートP2前端とが衝突しづらくなる。
【0033】
(第2変形例
図5及び
図6参照)
第2変形例である画像形成装置1Bと一実施例である画像形成装置1との相違点は、縦搬送部106が鉛直方向に対して傾いている点である。
【0034】
第2変形例である画像形成装置1Bの縦搬送部106は、
図5に示すように、鉛直方向に対して、屈曲部104の外周側に傾いている。これにより、水平搬送部102の延長線L1と縦搬送部106の延長線L2との成す角αは、鈍角になる。ここで、仮に、水平搬送部102の延長線L1と縦搬送部106の延長線L2との成す角αが鋭角であった場合、
図6に示すように、シートP1の後端は、屈曲部104の外周側に寄ってしまう。その結果、シートP1の後端とシートP2前端とが衝突しやすくなる。しかし、画像形成装置1Bでは、延長線L1と延長線L2との成す角αが鈍角であるため、シートP1の後端は、屈曲部104の内周側に寄りやすくなる。従って、第2変形例である画像形成装置1Bでは、シートP1の後端とシートP2前端とが衝突しづらくなる。
【0035】
(他の実施例)
本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。例えば、本発明を給紙ユニット以外のシート搬送経路に用いてもよい。また、各部材の具体的な寸法や詳細な形状、個数等は任意である。さらに、屈曲部をジャム処理時の際に開閉される扉よりも搬送方向の下流側に位置、つまり、装置内部に残留したシートが引きちぎられない位置に配置して、ジャム処理時の扉の開閉動作を容易にすることでジャム処理の効率性を向上させてもよい。これに加え、各実施例を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、反転搬送経路等の複雑な機構がなくても、ジャム発生時の装置内部に残留したシートを衝突させることなく、二次ジャムを引き起こさない位置へ移動させることができる点で優れている。
【符号の説明】
【0037】
α 角
C1,C2 中心軸
L1,L2 延長線
d1 幅
P1 シート(下流側のシート)
P2 シート(上流側のシート)
S 壁面
50 シート搬送手段
74 縦搬送ローラ対(離間機構)
74a 外周側ローラ(第1ローラ)
74b 内周側ローラ(第2ローラ)
100 搬送経路
102 水平搬送部(第2搬送部)
104 屈曲部
106 縦搬送部(第1搬送部)