特許第6596721号(P6596721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6596721
(24)【登録日】2019年10月11日
(45)【発行日】2019年10月30日
(54)【発明の名称】美容ローラー
(51)【国際特許分類】
   A61H 15/00 20060101AFI20191021BHJP
【FI】
   A61H15/00 310D
   A61H15/00 310C
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-138015(P2016-138015)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-225796(P2017-225796A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年4月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591199039
【氏名又は名称】ベス工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】紀伊野 進一
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−217516(JP,A)
【文献】 特開2015−163179(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/129435(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の長手方向に対する幅方向の左右における左右一対のローラーを前記本体の長手方向の一端側に前記本体の長手方向に沿って複数並設すると共に、
前記本体の長手方向の他端側に把持部を設け、
前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの間隔を、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの間隔よりも大きくすると共に、
各前記左右一対のローラーの各前記間隔が可変となるよう、前記本体を前記本体の長手方向の一端側から前記把持部側へ途中まで前記本体の幅方向において左右に分断する分断部を設けると共に前記本体は弾性を有し、
各前記左右一対のローラーの各回転軸中心線を前記本体の幅方向において傾斜させ、
前記本体の長手方向の他端側に設けた前記把持部が、前記本体の長手方向の一端側に設けた各前記左右一対のローラーよりも上方に位置した状態における前記本体の上下方向に、
前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線
及び前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線のうちの
いずれかの前記本体の幅方向から見た傾きを合わせると共に、
各前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端が前記本体の上下方向において下へ向いている状態で、
前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端頂点の位置を、
前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端頂点の位置よりも上になるようにしたことを特徴とする美容ローラー。
【請求項2】
前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線の前記ローラー間における相互角度を、
前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線の前記ローラー間における相互角度よりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の美容ローラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体をマッサージするための美容ローラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の美容ローラーとして、人の体などの身体部位を摘まんでマッサージする左右一対のローラーを前後方向に複数並設することで、マッサージの効果を高めたものが既に存在し、各ローラーの配置を左右対称や前後対称としている(例えば、特許文献1の図6、及び特許文献2を参照)。
【0003】
しかし、身体の表面形状は複雑であり、細い部位や太い部位、また柔らかい部位や硬い部位、さらに痩せた部位や膨らんだ部位など様々な部位が存在するため、各ローラーの配置が左右対称や前後対称となっているだけでは、前後方向に複数並設した左右一対のローラーのそれぞれの間で効果的に摘まんでマッサージするには限界があった。すなわち、左右一対のローラーの間隔がすべて同じであれば、例えば身体における細く、または柔らかい部位を一側の左右一対のローラーで摘まめたとしても、他側の左右一対のローラーが身体における太く、または硬い部位に位置する場合、一側の左右一対のローラーよりも他側の左右一対のローラーの間の方において身体部位が入りにくくなるため、他側の左右一対のローラー間で細い身体部位と同じような摘まみ感を得ることは期待できない。同様、前方の左右一対のローラーと後方の左右一対のローラーとが前後において身体における痩せた部位と膨らんだ部位とに跨る場合、大抵は膨らんだ身体部位の方に力がかかるため、痩せた身体部位の方は摘まみ感が損なわれやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−183171号公報
【特許文献2】意匠登録第1374255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、一対のローラーを複数並設したローラーであっても、各一対のローラーのそれぞれの間で効果的に摘まんでマッサージできるようにするという点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の美容ローラーは、本体の長手方向に対する幅方向の左右における左右一対のローラーを前記本体の長手方向の一端側に前記本体の長手方向に沿って複数並設すると共に、前記本体の長手方向の他端側に把持部を設け、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの間隔を、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの間隔よりも大きくすると共に、各前記左右一対のローラーの各前記間隔が可変となるよう、前記本体を前記本体の長手方向の一端側から前記把持部側へ途中まで前記本体の幅方向において左右に分断する分断部を設けると共に前記本体は弾性を有し、各前記左右一対のローラーの各回転軸中心線を前記本体の幅方向において傾斜させ、前記本体の長手方向の他端側に設けた前記把持部が、前記本体の長手方向の一端側に設けた各前記左右一対のローラーよりも上方に位置した状態における前記本体の上下方向に、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線及び前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線のうちのいずれかの前記本体の幅方向から見た傾きを合わせると共に、各前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端が前記本体の上下方向において下へ向いている状態で、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端頂点の位置を、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端頂点の位置よりも上になるようにしたことを最も主要な特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の美容ローラーとして、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線の前記ローラー間における相互角度を、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線の前記ローラー間における相互角度よりも小さくしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の美容ローラーは、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの前記間隔を、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの前記間隔よりも大きくしているため、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーで、身体における細く、または柔らかい部位を十分に摘まむと同時に、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーよりも身体部位が入りやすくなっている前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーで、身体における太く、または硬い部位も同じように十分に摘まむことができるので、効果的なマッサージを施せる。また、各前記左右一対のローラーの各前記間隔が可変となるよう、前記本体を前記本体の長手方向の一端側から前記把持部側へ途中まで前記本体の幅方向において左右に分断する分断部を設けると共に前記本体は弾性を有するので、各前記左右一対のローラーの間に身体部位が入りやすくなって、様々な身体部位の太さや硬さ、また凸凹面に対応しやすくなり、充実した効果的なマッサージを施すことが可能になる。また、本発明の美容ローラーは、各前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線を前記本体の幅方向において傾斜させ、前記本体の長手方向の他端側に設けた前記把持部が、前記本体の長手方向の一端側に設けた各前記左右一対のローラーよりも上方に位置した状態における前記本体の上下方向に、各前記回転軸中心線のうちのいずれかの前記本体の幅方向から見た傾きを合わせると共に、各前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端が前記本体の上下方向において下へ向いている状態で、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端頂点の位置を、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線上にある各先端頂点の位置よりも上になるようにしたため、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーに力がかかり過ぎず、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーにも適度な力がかかるようになり、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーで身体における膨らんだ部位を十分に摘まむと同時に、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーで身体における痩せた部位も同じように十分に摘まんで効果的にマッサージを施すことができる。
【0011】
さらに、本発明の美容ローラーとして、前記本体の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線の前記ローラー間における相互角度を、前記本体の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーの各前記回転軸中心線の前記ローラー間における相互角度よりも小さくするなら、比較的ローラーの間隔が狭く、身体部位が入りにくい最も前方の前記左右一対のローラーにおいても、摘まみ感を高めることができて効果的なマッサージを実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態における美容ローラーの正面図。
図2】同美容ローラーの底面図。
図3】同美容ローラーの右側面図。
図4】同美容ローラーにおけるローラーの断面図。
図5】同美容ローラーの使用状態図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の美容ローラーを図面に基づき詳細に説明する。本発明の美容ローラー1は図1図3の実施形態で示したように、把持部12の前方に左右一対のローラーR1・R1、R2・R2を前後方向に複数並設した本体10を有する。すなわち、前記本体10の長手方向に対する幅方向の左右における左右一対のローラーR1・R1、R2・R2を前記本体10の長手方向の一端側に前記本体10の長手方向に沿って複数並設すると共に、前記本体10の長手方向の他端側に前記把持部12を設けている。図面では前後に二つ並設した左右一対のローラーとしているが、前後三つでもまたはそれ以上の数でもよく、必要に応じた数の左右一対のローラーを並設できる。
【0014】
尚、図1に示す身体部位Mは人の身体の特定の部位に限定せず、頭や首、胴体、腕や脚の肢体や手足など、あらゆる部位のことを指している。図5に示す身体部位Mは人の脚部である。
【0015】
さらに図1及び図3図5において、最も前方に位置する、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1の回転軸の仮想中心線をそれぞれ回転軸中心線L1と示し、最も後方に位置する、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2の回転軸の仮想中心線をそれぞれ回転軸中心線L2と示している。
【0016】
図1及び図5に示すように、前記左右一対のローラーR1・R1、R2・R2のそれぞれの間に前記身体部位Mが入って摘まんだ状態になり、その状態で押し引きすると各前記ローラーR1、R2がそれぞれ回転するので、摘まみながらローリングマッサージを実施することができる。
【0017】
図1に示すように各前記ローラーR1、R2は、前記把持部12の前方左右にそれぞれ延設した四つのローラー軸11にそれぞれ軸設している。すなわち、図4に示すように各前記ローラー軸11の周囲を回転するローラー中具21をそれぞれ備え、各前記ローラー中具21が各前記ローラー軸11から外れないよう、各前記ローラー軸11の先端にローラー止め具22をそれぞれ係止している。また、各前記ローラー中具21の外側には略半球形状または略球形状の軟質部材23をそれぞれ被嵌している。前記軟質部材23は他にも略円盤形状であってもよい。
【0018】
さらに、図4に示すように各前記ローラーR1、R2の形状について、各前記回転軸中心線L1、L2方向における各前記ローラーR1、R2のそれぞれの外形幅Fを、各前記ローラーR1、R2のそれぞれの外径幅Gよりも小さく抑えた形状にしているため、全体としてコンパクトな外観になっている。また、図1に示すように正面視且つ、前記本体10の幅方向において各前記回転軸中心線L1、L2がそれぞれ傾斜して各前記ローラーR1、R2の周囲側面が前記身体部位Mに当接しやすくなっているため、各前記ローラーR1、R2のそれぞれにおいて前記外形幅Fを前記外径幅Gよりも小さく抑えた形状にするほど前記身体部位Mの肌をとらえやすくなり、各前記左右一対のローラーR1・R1、R2・R2のそれぞれの間で効果的な摘まみマッサージを実施できる。
【0019】
さらに、図4にも示すように各前記ローラーR1・R2の先端側に、各前記ローラーR1・R2の外径幅Gよりも小さい径の外周溝230をそれぞれ設けるなら、各前記ローラーR1・R2は略半球形状または略球形状、または略円盤形状で肌当たりが良好でありながら、各前記外周溝230で前記身体部位Mの肌をしっかりとらえこんで、各前記左右一対のローラーR1・R1、R2・R2のそれぞれの間で効果的な摘まみマッサージを実施できる。
【0020】
図1及び図4に示すように、各前記ローラー軸11は円錐形状としている。正面視において、前記本体10を前記身体部位Mに押し当てた時に、各前記ローラー中具21の内部に挿入された各前記ローラー軸11の下側が特に圧接状態になる。これらの圧接する部分を図1では軸圧接線L11・L11、L22・L22として示している。各前記軸圧接線L11、L22の正面視における角度が水平線L0の角度に近づくほど、各前記軸圧接線L11、L22以外の前記本体10における部分に押し当てた力がかからなくなり、そのような部分における各前記ローラーR1、R2の回転摩擦による破損を防止することができる。それで、各前記ローラー軸11を円錐形状とすることにより、前記水平線L0を基準として、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1の各前記軸圧接線L11は、各前記回転軸中心線L1よりも鋭角になって前記水平線L0の角度に近づくようにしており、同じように、最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2の各前記軸圧接線L22は、各前記回転軸中心線L2よりも鋭角になって前記水平線L0の角度に近づくようにしている。尚、図1に示すように前記水平線L0は、正面視において前記本体10を押し当てた前記身体部位Mの面の傾き角度と近似している。
【0021】
前記把持部12は図2図3図5に示すように、人が片手で握れる形状のものとしており、前記本体10の前後方向に延びる棒形状としてもよい。または塊形状であれば鷲掴みしてしっかりと保持することができる。それでも前記把持部12を棒形状にすると共に、図3に示すように最も後方に位置する、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2の各前記回転軸中心線L2よりも後方に位置するよう構成するなら、図5に示すように人体の足首のような手が届きにくい身体部位に各前記ローラーR1、R2が届きやすくなる。
【0022】
図1及び図2に示すように、最も後方に位置する、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2の間隔D2を、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1の間隔D1よりも大きくしている。尚、前記間隔D1は、底面視における前記左右一対のローラーR1・R1の間に存する最小の隙間幅のことであり、前記間隔D2も同様の隙間幅のことを指している。
前記間隔D2を前記間隔D1よりも大きくしているため、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1で、身体における細く、または柔らかい部位を十分に摘まむと同時に、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1よりも前記身体部位Mが入りやすくなっている最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2で、身体における太く、または硬い部位も同じように十分に摘まむことができ、効果的なマッサージを施せる。特に、図5に示すように人の脚の細い痩せた部位であるアキレス腱から太くなり硬い筋肉のある脹脛にかけてマッサージするのに適している。または、膝から太い筋肉のある太ももにかけてマッサージするのにも適しており、太ももから大きく膨らんだ臀部にかけても十分対応することができる。他にも、腰から胸へ、また手首から前腕にかけて、さらに肘から二の腕にかけてマッサージを実施しやすい。
【0023】
また、本発明の美容ローラー1は、図3に示すように前記本体10の幅方向から見た側面視において、前記本体10の長手方向の他端側に設けた前記把持部12が、前記本体10の長手方向の一端側に設けた各前記左右一対のローラーR1・R1よりも上方に位置した状態における前記本体10の上下方向に、最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2の各前記回転軸中心線L2及び最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1の各前記回転軸中心線L1のうちのいずれかの前記本体10の幅方向から見た(側面視における)傾きを合わせると共に、各前記左右一対のローラーR1・R1・R2・R2の各前記回転軸中心線上L1・L2にある各先端が前記本体10の上下方向において下へ向いている状態で、前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2の各前記回転軸中心線L2上にある各先端頂点P2の位置を、前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1の各前記回転軸中心線L1上にある各先端頂点P1の位置よりも上になるようにしているため、最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2に力がかかり過ぎず、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1にも適度な力がかかるようになり、最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2で身体における膨らんだ部位を十分に摘まむと同時に、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1で身体における痩せた部位も同じように十分に摘まんで効果的にマッサージを施すことができる。
【0024】
特に、図5に示すように最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2が人の脚の膨らんだ脹脛の下部を摘まむ時、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1は脹脛よりも痩せたアキレス腱に届いてこの部位を十分に摘まむことができる。または、膨らんだ筋肉のある太ももとそれよりも痩せて屈曲する部位の膝、膨らんだ臀部とそれよりも膨らんでいない太もも、膨らんだ胸とそれよりも引き締まった腰、膨らんだ前腕とそれよりも引き締まった手首、膨らんだ二の腕とそれよりも痩せて屈曲する部位の肘であっても、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1は、より膨らんでいない痩せた方または引き締まった方に十分届いて、最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2と同時にそのような部位を十分に摘まんで効果的なマッサージを実施できる。
【0025】
また、本発明の美容ローラー1として図1及び図2に示すように、各前記左右一対のローラーR1・R1、R2・R2の前記間隔D1、D2がそれぞれ可変となるよう、前記本体10を前方から、すなわち前記本体10の長手方向の一端側から前記把持部12側へ途中まで前記本体10の幅方向において左右に分断する分断部13を設けると共に弾性を有するものとすることができる。例えば、前記本体10をU字形状となるよう弾性を有する樹脂で形成することができるし、または前記本体10のU字形状の一部が弾性を有する部材を含む構成とすることも可能である。そのように前記本体10を構成することにより、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1及び最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2のそれぞれの間に前記身体部位Mがさらに入りやすくなるため、様々な前記身体部位Mの太さや硬さ、また凸凹面に対応しやすくなり、充実した効果的なマッサージを施すことが可能になる。
【0026】
さらに図3に示すように、前記ローラーR1と前記ローラーR2との間に切り欠き部14をそれぞれ設けるなら、前記本体10が前記把持部12よりも前方すべてを弾性部材で形成する場合、各前記ローラーR1、R2が独立懸架に近い状態となり、前記身体部位Mの複雑な面にフィットしやすくなるし、また、例えば各前記左右一対のローラーR2・R2の間が広がった時、各前記左右一対のローラーR1・R1の間がそれに追従して不必要に広がることにより、そこでのつまみ感が失われてしまう事態を軽減することができる。さらに、各前記切り欠き部14を設ける場合、図3に示すように人の手の指のように細長い棒状の棒状部15をそれぞれ各前記ローラーR1、R2毎に形成してもよい。さらに、各前記棒状部15の太さに応じて弾力を設定することも可能である。
【0027】
図1では、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1の各前記回転軸中心線L1の相互角度A1と、最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2の各前記回転軸中心線L2の相互角度A2をそれぞれ示している。各前記相互角度A1、A2について、この角度を調整することで摘まみ感や転がり感(ローリング感)を調整することができる。すなわち、この角度を大きくすると各前記ローラーR1、R2が回転しやすくなるので、転がり感を大きくしてスムーズなローリングマッサージを施すことができ、この角度を小さくすると各前記ローラーR1、R2の転がり抵抗が増して各前記左右一対のローラーR1・R1、R2・R2のそれぞれで捏ねるようなマッサージ感が生じ、その結果摘まみ感が強くなる。
【0028】
そこで図1に示すように本発明の美容ローラー1として、前記本体10の正面視において、最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1の各前記回転軸中心線L1の前記ローラーR1・R1間における相互角度A1を、最も後方の、すなわち前記本体10の長手方向の他端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR2・R2の各前記回転軸中心線L2の前記ローラーR2・R2間における相互角度A2よりも小さくすることにより、前記身体部位Mが入りにくい最も前方の、すなわち前記本体10の長手方向の一端側の最も端に位置する前記左右一対のローラーR1・R1においても摘まみ感を高めることができ、効果的なマッサージを実施できるようにすることが可能となる。
【0029】
上記美容ローラー1を試作し、前記間隔D1、D2、前記先端頂点間高さ幅H及び前記先端頂点間前後幅I、前記相互角度A1、A2をそれぞれ調整しつつ各前記左右一対のローラーR1・R1、R2・R2の間での摘まみ感がそれぞれ同時に良好になるよう設定した。尚、前記ローラーR1、R2の前記外形幅Fを24.5ミリとし、外径幅Gを34ミリとした。
【0030】
すなわち、前記間隔D1を3ミリから25ミリの範囲内で設定し、前記間隔D2を6ミリから80ミリの範囲内で設定するのが良好であった。また、前記間隔D1と前記間隔D2との比率について、前記間隔D1を1として前記間隔D2を2〜6の間になるように設定するのがさらに良好であった。
【0031】
また、前記先端頂点間高さ幅Hを3ミリから50ミリの範囲内で設定し、前記先端頂点間前後幅Iを10ミリから80ミリの範囲内で設定するのが良好であった。また、前記先端頂点間高さ幅Hと前記先端頂点間前後幅Iとの比率について、前記先端頂点間高さ幅Hを1として前記先端頂点間前後幅Iを0.8〜3の間になるように設定するのがさらに良好であった。
【0032】
さらに、前記相互角度A1、A2について、それぞれ5°から100°の範囲内で設定するのが良好であった。また、前記相互角度A1と前記相互角度A2との比率について、前記相互角度A1を1として前記相互角度A2を1.05〜1.5の間になるように設定するのがさらに良好であった。
【0033】
検討を進めた結果、前記間隔D1と前記間隔D2との比率において、前記間隔D1を1として前記間隔D2を2〜6の間になるように設定した状態で、前記先端頂点間高さ幅Hと前記先端頂点間前後幅Iとの比率において、前記先端頂点間高さ幅Hを1として前記先端頂点間前後幅Iを2〜3の間になるように設定すると共に、前記相互角度A1と前記相互角度A2との比率において、前記相互角度A1を1として前記相互角度A2を1.05〜1.5の間になるように設定すると同時に、前記外径幅Gと前記先端頂点間前後幅Iとの比率において、前記外径幅Gを1として前記先端頂点間前後幅Iを0.8〜1.5の間になるように設定するのが最も好ましい結果を得ることができた。
【符号の説明】
【0034】
1 美容ローラー
10 本体
11 ローラー軸
12 把持部
13 分断部
14 切り欠き部
15 棒状部
21 ローラー中具
22 ローラー止め具
23 軟質部材
230 外周溝
A1、A2 相互角度
D1、D2 間隔
F 外形幅
G 外径幅
H 先端頂点間高さ幅
I 先端頂点間前後幅
L0 水平線
L1、L2 回転軸中心線
L11、L22 軸圧接線
M 身体部位
P1、P2 先端頂点
R1、R2 ローラー
図1
図2
図3
図4
図5