(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記n枚の撮影画像に含まれる一の撮影画像に現れる被写体画像を基準被写体画像とし、前記n枚の撮影画像に含まれる他の撮影画像に現れる被写体画像が、前記基準被写体画像と同一サイズとなるよう、前記他の撮影画像を拡縮することを特徴とする請求項3に記載の可変画像表示体。
前記可変画像表示体は、複数のシリンドリカルレンズが前記第一の方向に配列されたレンチキュラーシートと、前記シリンドリカルレンズの表面とは反対側の面に配置された合成画像を有する前記可変画像表示体であって、
前記合成画像は、前記シリンドリカルレンズと作用して可変画像を表示するレンチキュラー合成画像であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可変画像表示体。
前記可変画像表示体は、複数のドットレンズが前記第一の方向及び当該第一の方向と直交する第二の方向に配列されたドットレンズシートと、前記ドットレンズの表面とは反対側の面に配置された合成画像を有する前記可変画像表示体であって、
前記合成画像は、前記ドットレンズと作用して立体視可能な可変画像を表示する合成画像であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の可変画像表示体。
複数のレンズを第一の方向に配列して成るレンズシートと作用して可変画像を表示する合成画像を形成する合成画像形成方法であって、可変画像における移動体の動き量と背景の動き量の比をs:tで観察可能な前記合成画像を形成する前記合成画像形成方法において、
前記合成画像の元画像は、前記移動体を被写体として連続して撮影したn枚(ただし、nは3以上の自然数)の撮影画像であって、かつ、当該n枚の撮影画像に現れる前記移動体の像である被写体画像が、少なくとも前記第一の方向に直交する方向へ移動している前記n枚の撮影画像であって、
前記n枚の撮影画像のうち最初の撮影画像に基準ラインを定義する基準ライン定義工程と、
前記基準ライン定義工程にて定義された基準ラインに基づいて、前記n枚の撮影画像を位置調整して重ね合わせてトリミングするトリミング工程と、
前記トリミング工程にてトリミングされた各前記撮影画像からそれぞれライン状に抽出され、所定順に配列された画像列を形成する工程と、
を有し、
前記基準ライン定義工程は、
前記最初の撮影画像に定義される基準ラインであって、
当該最初の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位を含み、前記第一の方向に平行な第一基準ラインLaを定義し、かつ、
前記n枚の撮影画像のうちn枚目の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位に対応する部位を含み、前記第一の方向に平行な第二基準ラインLbを定義し、かつ、
前記第一基準ラインLaと前記第二基準ラインLbの間に位置し、前記第一基準ラインLaからの距離と前記第二基準ラインLbからの距離の比が、s:t(ただし、t=0である場合を除く。)である第三基準ラインLeを定義し、かつ、
前記第一基準ラインLaと前記第三基準ラインLeの間に、前記第一基準ラインLaと前記第三基準ラインLeとの間を(n−1)等分する(n−2)本の位置合わせ基準ラインであって、前記第三基準ラインLeに近い方から順に(n−1)番目の前記位置合わせ基準ライン、(n−2)番目の前記位置合わせ基準ライン、・・・とし、かつ、前記第三基準ラインLeをn番目の前記位置合わせ基準ラインとして定義し、
前記トリミング工程は、
m枚目の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位が、前記最初の撮影画像のm番目(ただし、mは、0<m≦nである自然数)の位置合わせ基準ライン上となるよう位置調整して重ね合わせて、前記被写体画像を含む領域をトリミングすることを特徴とする合成画像形成方法。
前記拡縮工程において、前記n枚の撮影画像に含まれる一の撮影画像に現れる被写体画像を基準被写体画像とし、前記n枚の撮影画像に含まれる他の撮影画像に現れる被写体画像が、前記基準被写体画像と同一サイズとなるよう、前記他の撮影画像を拡縮することを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
前記合成画像形成方法は、複数のシリンドリカルレンズを前記第一の方向に配列して成るレンチキュラーシートと作用して可変画像を表示するレンチキュラー合成画像を形成するレンチキュラー合成画像形成方法であることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の合成画像形成方法。
前記合成画像形成方法は、複数のドットレンズを前記第一の方向及び当該第一の方向と直交する第二の方向に配列して成るドットレンズシートと作用して立体視可能な可変画像を表示する合成画像を形成することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載の合成画像形成方法。
【背景技術】
【0002】
複数のシリンドリカルレンズが並列配置されたレンチキュラーシートを用いて視認角度によって絵柄を切り替えて表示するチェンジングやムービングなどの可変画像を表示する技術がある。レンチキュラーシートには、シリンドリカルレンズのそれぞれに対応させたライン状の細分化画像を、レンチキュラーシートの各シリンドリカルレンズと反対側の面に配置させる。これにより、ユーザーがシリンドリカルレンズを介して画像を視認すると、視認される画像が見る角度を変えることにより切り替わり動画のように観察することが可能になる。
【0003】
このようなレンチキュラーシートを用いた画像表示に関し、たとえば特許文献
2には、レンチキュラーレンズに相当するレンチキュラーシートと複数の画像を用いて合成されたサンプリング画像とからなる立体、アニメーション、或いはチェンジング画像表示方式において、画像配列に画像変化の無い部分を抽出した画像を組み込み配列したことで、観察時のクロストークを軽減し、鮮明なチェンジングを行う技術が開示されている。
例えば、移動している電車を連続撮影した画像を用いて、可変画像表示を楽しみたい場合がある。この場合、大きく分けて4つの方法がある。
【0004】
第一の方法は、背景は単独(静止)画像を用いて固定し、当該固定された背景画像上で被写体像を動かす方法である。この場合、被写体像は単独画像を左右に動かしてもよいし、複数の画像を合成してもよい。しかし、この方法では、背景に変化がなく、合成画像であることがわかりやすく臨場感はない。被写体が移動するため、車輪の回転の様子や汽車の煙など被写体の細部の再現が困難だという問題がある。
【0005】
第二の方法は、複数画像を用いて背景を合成して生成し、生成された合成背景画像を固定して、この上で被写体像を動かす方法である。具体的には、背景の移動が無いように位置を合わせて背景の合成画像を生成固定する。そしてこの上で被写体の画像を動かす。被写体像は固定画像(静止画合成)でも複数画像の合成でもよい。この方法では、被写体が左右に移動するため被写体が移動していることは表現できるが、やはり、被写体が移動するため、車輪の回転の様子や汽車の煙など被写体の細部の再現が困難だという問題がある。
【0006】
第三の方法は、単独の被写体画像を固定し、背景のほうを動かす方法である。この方法によれば、被写体をシャープに再現できるが、車輪の回転の様子や汽車の煙など被写体の細部の変化がないため、面白みに欠ける。
【0007】
第四の方法は、複数画像を用いて被写体像を固定して合成する。つまり、被写体像を固定し、背景と被写体共に複数画像を合成する方法である。この方法によれば、被写体をシャープにくっきりと見せながら、動きに伴う車輪の回転の様子や汽車の煙など被写体の細部を再現でき、臨場感を出す事ができるという利点がある。しかし、撮影時におけるカメラと被写体の距離の変化に伴って、被写体の大きさが撮影画像ごとに違って写る。そして、このような撮影画像を使用して、被写体の合成画像を生成し固定し、背景の合成画像だけが動くように画像を設計して可変表示用のレンチキュラー合成画像を作成すると被写体の大きさの変化が目立つ。例えば、可変画像表示において左から右へ動画のように移動する電車が、左から右へと移動する間に、電車の大きさが伸びたり縮んだり変化するように見えてしまい、違和感がある。
当該第四の方法における問題等に鑑みて、可変画像を違和感なく表示する出願人による技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方で、背景の動きが大きくなると背景画像のシャープさが失われ、ぼやけた画像になるという問題がある。特に、背景の動きが大きいほどシャープに見えにくくなり、小さいとシャープに見えやすい。
背景画像をぼやけずに見せるには、背景の動きを小さくすればよい。しかし、その場合、被写体の動きのスピード感が損なわれる。特に、新幹線のように移動スピードが速い被写体の場合は、スピード感が重要であるため、具合が悪い。
【0010】
本発明の目的は、(1)被写体が動いていることを表現し、かつ、(2)被写体はできるだけシャープに再現し、(3)背景も動いていることを表現し、(4)背景もできるだけシャープに再現、することができる可変画像表示体及び合成画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の可変画像表示体は、複数のレンズが第一の方向に配列されたレンズシートと、前記レンズの表面とは反対側の面に配置された合成画像を有する可変画像表示体において、前記合成画像の元画像は、移動体を被写体として連続して撮影したn枚(ただし、nは3以上の自然数)の撮影画像であって、かつ、当該n枚の撮影画像に現れる前記移動体の像である被写体画像が、少なくとも前記第一の方向に直交する方向へ移動している前記n枚の撮影画像であって、前記合成画像は、前記n枚の撮影画像のうち最初の撮影画像に定義される基準ラインであって、当該最初の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位を含み、前記第一の方向に平行な第一基準ラインLaを定義し、前記n枚の撮影画像のうちn枚目の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位に対応する部位を含み、前記第一の方向に平行な第二基準ラインLbを定義し、前記第一基準ラインLaと前記第二基準ラインLbの間に位置し、前記第一基準ラインLaからの距離と前記第二基準ラインLbからの距離の比が、s:t
(ただし、t=0である場合を除く。)である第三基準ラインLeを定義し、前記第一基準ラインLaと前記第三基準ラインLeの間に、前記第一基準ラインLaと前記第三基準ラインLeとの間を(n−1)等分する(n−2)本の位置合わせ基準ラインであって、前記第三基準ラインLeに近い方から順に(n−1)番目の前記位置合わせ基準ライン、(n−2)番目の前記位置合わせ基準ライン、・・・とし、かつ、前記第三基準ラインLeをn番目の前記位置合わせ基準ラインとして定義し、前記n枚の撮影画像を重ね合わせてトリミングする際、m枚目の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位が、前記最初の撮影画像のm番目(ただし、mは、0<m≦nである自然数)の位置合わせ基準ライン上となるよう位置調整して重ね合わせて、前記被写体画像を含む領域をトリミングし、トリミングされた各前記撮影画像からそれぞれライン状に抽出され、各前記レンズのそれぞれ対応する位置に配列された表示用画像列により構成され、当該可変画像表示体における前記移動体の動き量と背景の動き量の比をs:tで観察可能であることを特徴とする。
【0012】
トリミングの際は、前記第一基準ラインLaと前記第三基準ラインLeを含む領域をトリミングしてもよい。
【0013】
前記合成画像は、前記n枚の撮影画像のそれぞれについて、当該n枚の撮影画像に現れる前記被写体のサイズが同一となるよう拡縮された後に、前記基準ラインの定義及び前記位置調整及び前記トリミングが行われて形成されるよう構成してもよい。
【0014】
前記n枚の撮影画像に含まれる一の撮影画像に現れる被写体画像を基準被写体画像とし、前記n枚の撮影画像に含まれる他の撮影画像に現れる被写体画像が、前記基準被写体画像と同一サイズとなるよう、前記他の撮影画像を拡縮してもよい。
【0015】
前記n枚の撮影画像のうち、前記被写体画像のサイズが最も大きく現れている撮影画像を前記一の撮影画像としてもよい。
【0016】
前記移動体の移動方向のサイズA1と、前記移動体が撮影地点に最も近付いた際に撮影された撮影画像を前記一の撮影画像とし、かつ、この際の前記移動体と前記撮影地点の直線距離X1と、前記一の撮影画像を撮影した際の前記移動体と前記撮影地点とを結ぶ直線と、前記他の撮影画像を撮影した際の前記移動体と前記撮影地点とを結ぶ直線とが成す角度θ1と、に基づいて、拡縮率を算出してもよい。
【0018】
前記可変画像表示体は、複数のシリンドリカルレンズが前記第一の方向に配列されたレンチキュラーシートと、前記シリンドリカルレンズの表面とは反対側の面に配置された合成画像を有する前記可変画像表示体であって、前記合成画像は、前記シリンドリカルレンズと作用して可変画像を表示するレンチキュラー合成画像であるよう構成してもよい。
【0019】
前記可変画像表示体は、複数のドットレンズが前記第一の方向及び当該第一の方向と直交する第二の方向に配列されたドットレンズシートと、前記ドットレンズの表面とは反対側の面に配置された合成画像を有する前記可変画像表示体であって、前記合成画像は、前記ドットレンズと作用して立体視可能な可変画像を表示する合成画像であるよう構成してもよい。
【0020】
本発明の合成画像形成方法は、複数のレンズを第一の方向に配列して成るレンズシートと作用して可変画像を表示する合成画像を形成する合成画像形成方法であって、可変画像における移動体の動き量と背景の動き量の比をs:tで観察可能な前記合成画像を形成する前記合成画像形成方法において、前記合成画像の元画像は、前記移動体を被写体として連続して撮影したn枚(ただし、nは3以上の自然数)の撮影画像であって、かつ、当該n枚の撮影画像に現れる前記移動体の像である被写体画像が、少なくとも前記第一の方向に直交する方向へ移動している前記n枚の撮影画像であって、前記n枚の撮影画像のうち最初の撮影画像に基準ラインを定義する基準ライン定義工程と、前記基準ライン定義工程にて定義された基準ラインに基づいて、前記n枚の撮影画像を位置調整して重ね合わせてトリミングするトリミング工程と、前記トリミング工程にてトリミングされた各前記撮影画像からそれぞれライン状に抽出され、所定順に配列された画像列を形成する工程と、を有し、前記基準ライン定義工程は、前記最初の撮影画像に定義される基準ラインであって、当該最初の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位を含み、前記第一の方向に平行な第一基準ラインLaを定義し、かつ、前記n枚の撮影画像のうちn枚目の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位に対応する部位を含み、前記第一の方向に平行な第二基準ラインLbを定義し、かつ、前記第一基準ラインLaと前記第二基準ラインLbの間に位置し、前記第一基準ラインLaからの距離と前記第二基準ラインLbからの距離の比が、s:t
(ただし、t=0である場合を除く。)である第三基準ラインLeを定義し、かつ、前記第一基準ラインLaと前記第三基準ラインLeの間に、前記第一基準ラインLaと前記第三基準ラインLeとの間を(n−1)等分する(n−2)本の位置合わせ基準ラインであって、前記第三基準ラインLeに近い方から順に(n−1)番目の前記位置合わせ基準ライン、(n−2)番目の前記位置合わせ基準ライン、・・・とし、かつ、前記第三基準ラインLeをn番目の前記位置合わせ基準ラインとして定義し、前記トリミング工程は、m枚目の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位が、前記最初の撮影画像のm番目(ただし、mは、0<m≦nである自然数)の位置合わせ基準ライン上となるよう位置調整して重ね合わせて、前記被写体画像を含む領域をトリミングすることを特徴とする。
【0021】
前記トリミング工程において、前記第一基準ラインLaと前記第三基準ラインLeを含む領域をトリミングしてもよい。
【0022】
前記n枚の撮影画像のそれぞれについて、当該n枚の撮影画像に現れる前記被写体のサイズが同一となるよう拡縮する拡縮工程を有し、前記拡縮工程の後、前記n枚の撮影画像に対し、前記基準ライン定義工程にて前記基準ラインが定義され、前記トリミング工程にてトリミングを行うよう構成してもよい。
【0023】
前記拡縮工程において、前記n枚の撮影画像に含まれる一の撮影画像に現れる被写体画像を基準被写体画像とし、前記n枚の撮影画像に含まれる他の撮影画像に現れる被写体画像が、前記基準被写体画像と同一サイズとなるよう、前記他の撮影画像を拡縮してもよい。
【0024】
前記n枚の撮影画像のうち、前記被写体画像のサイズが最も大きく現れている撮影画像を前記一の撮影画像としてもよい。
【0025】
前記移動体の移動方向のサイズA1と、前記移動体が撮影地点に最も近付いた際に撮影された撮影画像を前記一の撮影画像とし、かつ、この際の前記移動体と前記撮影地点の直線距離X1と、
前記一の撮影画像を撮影した際の前記移動体と前記撮影地点とを結ぶ直線と、前記他の撮影画像を撮影した際の前記移動体と前記撮影地点とを結ぶ直線とが成す角度θ1と、に基づいて、拡縮率を算出してもよい。
【0027】
前記合成画像形成方法は、複数のシリンドリカルレンズを前記第一の方向に配列して成るレンチキュラーシートと作用して可変画像を表示するレンチキュラー合成画像を形成してもよい。
【0028】
前記合成画像形成方法は、複数のドットレンズを前記第一の方向及び当該第一の方向と直交する第二の方向に配列して成るドットレンズシートと作用して立体視可能な可変画像を表示する合成画像を形成してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の可変画像表示体によれば、(1)被写体が動いていることを表現し、かつ、(2)被写体はできるだけシャープに再現し、(3)背景も動いていることを表現し、(4)背景もできるだけシャープに再現、することができる。
本発明の合成画像形成方法によれば、(1)被写体が動いていることを表現し、かつ、(2)被写体はできるだけシャープに再現し、(3)背景も動いていることを表現し、(4)背景もできるだけシャープに再現、することができる可変画像を表示可能な合成画像を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その効果を奏する限りにおいて種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0032】
図1は、本発明の可変画像表示体の一例を示す概略図、
図2は、本発明の可変画像表示体の他の例を示す概略図である。
本実施形態による可変画像表示体100は、
図1、2に示すように、半円筒形状のシリンドリカルレンズが並列配置されたレンチキュラーシート10と、レンチキュラー合成画像20により構成される。レンチキュラー合成画像20は、シリンドリカルレンズの表面とは反対側の面に配置されていればよい。
また、可変画像表示体100は、例えば、
図2に示すような画像形成媒体30にレンチキュラー合成画像20を形成し、これをレンチキュラーシート10と重ね合わせて構成してもよい。画像形成媒体30は、例えば、紙、木板、フィルム、金属等である。
【0033】
本実施形態では、複数のシリンドリカルレンズが第一の方向に配列されたレンチキュラーシートを、本発明の複数のレンズが第一の方向に配列されたレンズシートの一例として説明する。また、本発明の画像の一例として、例えば、新幹線等の被写体を連続して複数枚撮影した撮影画像を元画像とし、元画像を本発明の画像の一例として説明する。
【0034】
図3は、撮影画像の一例を示す説明図である。
図4及び
図5は、最初の撮影画像20(1)に基準ラインを定義する手順を示す説明図である。
図6は、最初の撮影画像20(1)に定義される基準ラインの一例を示す説明図である。
図7は、n枚の撮影画像20(1)〜20(n)の位置調整に関する説明図である。
図8は、トリミング後の撮影画像の一例を示す説明図である。
図9は、トリミング後の撮影画像から作成された表示用画像列とレンチキュラー合成画像の一例を示す説明図である。
なお、図において、構成を理解し易くするためにレンチキュラーシートのシリンドリカルレンズの数は省略して図示している。
【0035】
本実施形態による可変画像表示体100は、複数のレンズの一例であるシリンドリカルレンズが第一の方向に配列されたレンズシートの一例であるレンチキュラーシート10と、シリンドリカルレンズの表面とは反対側の面に配置された合成画像の一例であるレンチキュラー合成画像20を有する可変画像表示体である。レンチキュラー合成画像20の元画像は、移動体を被写体として連続して撮影したn枚(ただし、nは3以上の自然数)の撮影画像20(1)〜20(n)であって、かつ、当該n枚の撮影画像20(1)〜20(n)に現れる移動体の像である被写体画像21が、少なくとも第一の方向に直交する方向へ移動しているn枚の撮影画像20(1)〜20(n)である。
【0036】
そして、レンチキュラー合成画像は、
(1)まず、n枚の撮影画像20(1)〜20(n)のうち最初の撮影画像20(1)に定義される基準ラインであって、当該最初の撮影画像20(1)に現れる被写体画像21の基準部位を含み、第一の方向に平行な第一基準ラインLaを定義し、n枚の撮影画像20(1)〜20(n)のうちn枚目の撮影画像に現れる被写体画像21の基準部位に対応する部位を含み、第一の方向に平行な第二基準ラインLbを定義し、第一基準ラインLaと第二基準ラインLbの間に位置し、第一基準ラインLaからの距離と第二基準ラインLbらの距離の比が、s:tである第三基準ラインLeを定義し、第一基準ラインLaと第三基準ラインLeの間に、第一基準ラインLaと第三基準ラインLeとの間を(n−1)等分する(n−2)本の位置合わせ基準ラインであって、第三基準ラインLeに近い方から順に(n−1)番目の位置合わせ基準ラインL
(n−1)、(n−2)番目の位置合わせ基準ラインL
(n−2)、・・・とし、かつ、第三基準ラインLeをn番目の位置合わせ基準ラインL
(n)として定義する。
【0037】
(2)そして、n枚の撮影画像20(1)〜20(n)を重ね合わせてトリミングする際、m枚目の撮影画像20(1)〜20(n)に現れる被写体画像21の基準部位が、最初の撮影画像(1)のm番目(ただし、mは、0<m≦nである自然数)の位置合わせ基準ライン上となるよう位置調整して重ね合わせて、被写体画像21を含む領域をトリミングし、トリミングされた各撮影画像からそれぞれライン状に抽出され、各シリンドリカルレンズのそれぞれ対応する位置に配列された表示用画像列20(1)''a、20(1)''b、20(1)''c、20(1)''d、…、20(n)''fにより構成される。
そして、可変画像表示体100における移動体の動き量と背景の動き量の比をs:tで観察可能に構成する。
【0038】
本実施形態では移動体の一例として新幹線を例に説明する。
図3は、新幹線を被写体21として連続して撮影したn枚の撮影画像であり、本実施形態では図示のように5枚(n=5)の撮影画像20(1)、20(2)、20(3)、20(4)、20(5)を例に説明する。撮影画像20(1)〜20(5)に現れる新幹線の像である被写体画像が、シリンドリカルレンズの配列方向(第一の方向)に直交する方向に移動している。
図3の撮影画像20(1)〜20(5)の例では、新幹線が徐々に左に移動している。
【0039】
なお、撮影画像20(1)〜20(5)に複数の被写体が写っている場合、任意の被写体の画像を被写体画像21とする。ここで、「被写体画像」とは、後述する位置調整において基準となる画像である。好ましくは、撮影画像20(1)〜20(5)中、動きを違和感なくシャープに見せることを所望する被写体の画像を被写体画像21とする。
【0040】
被写体画像の移動方向は、シリンドリカルレンズの配列方向(第一の方向)に直交する方向に限らない。被写体画像の移動方向は、シリンドリカルレンズの配列方向である第一の方向へ移動する移動成分と、当該第一の方向と直交する方向である第二の方向の移動成分を有していてもよい。
【0041】
図3に示す例では、被写体画像が、シリンドリカルレンズの配列方向(第一の方向)に直交する第二の方向に移動しているが、例えば、図中、左上から右下へと移動しているような場合、すなわち、シリンドリカルレンズの配列方向である第一の方向の移動成分と、当該第一の方向と直交する方向である第二の方向の移動成分を有していてもよい。
【0042】
まず、n枚の撮影画像のうち最初の撮影画像20(1)に基準ラインを定義する。撮影画像20(1)に現れる被写体画像21の基準部位を含み、シリンドリカルレンズの配列方向(第一の方向)と平行な第一基準ラインLaを撮影画像20(1)に定義する。
図4は、「新幹線の先端部分」を、基準部位とした例である。
第一基準ラインLaは、当該新幹線の先端部分を含み、かつ、シリンドリカルレンズの配列方向(第一の方向)と平行なラインである。
【0043】
また、n枚の撮影画像20(1)〜20(n)のうちn枚目の撮影画像に現れる被写体画像21の基準部位に対応する部位を含み、シリンドリカルレンズの配列方向(第一の方向)に平行な第二基準ラインLbを撮影画像20(1)に定義する。
図4に示す例は、n=5の例であり、第二基準ラインLbは、「5枚目の撮影画像20(5)に現れる被写体画像21の基準部位」、つまり、「撮影画像20(5)に現れる新幹線の先端部分」、に対応する部位を含み、かつ、シリンドリカルレンズの配列方向(第一の方向)と平行なラインである。説明のため、
図4の撮影画像20(1)において、「撮影画像20(5)に現れる新幹線の先端部分」に対応する部位を星印で示した。
【0044】
次いで、撮影画像20(1)に定義した第一基準ラインLaと第二基準ラインLbの間に位置し、第一基準ラインLaからの距離と第二基準ラインLbからの距離の比が、s:tである第三基準ラインLeを、撮影画像20(1)に更に定義する。ここで、s:tの比率は、可変画像表示体100として観察する際の、背景の動き量と移動体の動き量の比率である。
【0045】
背景を動かし移動体を固定した場合には、s:t=10:0であり、背景を固定し移動体を動かした場合には、s:t=0:10である。背景の動き量と移動体の動き量の比率を所望の比率に設定することができる。例えば、(s:t=99:1)乃至(s:t=1:99)の間で設定することができる。実際に移動体を目で見て観察する際の移動体のスピード感や、撮影された背景の明るさや画質など種々の状況に鑑みて、移動体と背景の双方が最もシャープに見える比率を適宜設定することができる。
【0046】
図5は、第三基準ラインLeを、第一基準ラインLaと第二基準ラインLbの間に位置し、第一基準ラインLaからの距離と第二基準ラインLbからの距離の比が、5:5となる箇所に位置させた例である。すなわち、可変画像表示体100にて観察した際に背景と移動体が同じ動き量(s:t=5:5)で動くように設定する場合の例である。
【0047】
そして、第一基準ラインLaと第三基準ラインLeの間に、第一基準ラインLaと第三基準ラインLeとの間を撮影画像の枚数で等分する位置合わせ基準ラインを、撮影画像20(1)に更に定義する。つまり、第一基準ラインLaと第三基準ラインLeとの間を(n−1)等分する(n−2)本の位置合わせ基準ラインを撮影画像20(1)に定義する。
【0048】
図6に示す例は、n=5の例であり、撮影画像20(1)に、第一基準ラインLaと第三基準ラインLeとの間を4等分する3本((n−2)=(5−2)本)の位置合わせ基準ラインを定義する。位置合わせ基準ラインは、第三基準ラインLeに近い方から順に(n−1)番目の位置合わせ基準ラインL
(n−1)、(n−2)番目の位置合わせ基準ラインL
(n−2)、・・・とする。また、第三基準ラインLeは、n番目の位置合わせ基準ラインL
(n)として利用され定義されることとなる。
以上の手順で、最初の撮影画像20(1)に基準ラインを定義する。
【0049】
そして、n枚の撮影画像20(1)〜20(n)を重ね合わせてトリミングする。
この重ね合わせの際、最初の撮影画像20(1)に定義した基準ラインに基づいてn枚の撮影画像20(1)〜20(n)を位置調整して重ね合わせる。m枚目の撮影画像20(1)〜20(n)に現れる被写体画像21の基準部位が、最初の撮影画像(1)のm番目(ただし、mは、0<m≦nである自然数)の位置合わせ基準ライン上となるよう位置調整して重ね合わせる。
【0050】
n=5の例である
図7を参照して説明する。
5枚目の撮影画像20(5)は、当該撮影画像20(5)に現れる被写体画像21の基準部位(新幹線の先端部分)が、最初の撮影画像(1)に定義した5番目の位置合わせ基準ラインL
(n)上となるよう位置調整して重ね合わせる。
4枚目の撮影画像20(4)は、当該撮影画像20(4)に現れる被写体画像21の基準部位(新幹線の先端部分)が、最初の撮影画像(1)に定義した4番目の位置合わせ基準ラインL
(n−1)上となるよう位置調整して重ね合わせる。
3枚目の撮影画像20(3)は、当該撮影画像20(3)に現れる被写体画像21の基準部位(新幹線の先端部分)が、最初の撮影画像(1)に定義した3番目の位置合わせ基準ラインL
(n−2)上となるよう位置調整して重ね合わせる。
2枚目の撮影画像20(2)は、当該撮影画像20(2)に現れる被写体画像21の基準部位(新幹線の先端部分)が、最初の撮影画像(1)に定義した2番目の位置合わせ基準ラインL
(n−3)上となるよう位置調整して重ね合わせる。
1枚目の撮影画像20(1)はそのまま使用することができる。1枚目の撮影画像20(1)に現れる被写体画像21の基準部位(新幹線の先端部分)は、第一基準ラインLa上である。
【0051】
位置合わせの後、n枚の撮影画像20(1)〜20(n)をトリミングし、トリミング後のn枚の撮影画像20(1)''〜20(n)''を得る。
図8に示す例は、n=5の例であり、トリミング後の撮影画像20(1)''、20(2)''、20(3)''、20(4)''、20(5)''である。
図8の例では、1枚目の撮影画像20(1)に定義した第一基準ラインLaと第三基準ラインLeを含む領域をトリミングした。
【0052】
なお、トリミングでは、n枚の撮影画像の全てに写る領域をトリミングしてもよい。特に、被写体画像21についてn枚全ての撮影画像に写る領域をトリミングしてもよい。或いは、可変画像表示体100における可変画像表示に与える影響等を鑑みてトリミング領域を決定すればよい。完成される可変画像表示への影響が許容範囲である領域をトリミングすればよい。
【0053】
トリミング後の撮影画像20(1)''〜20(n)''から画像列を抽出してレンチキュラー合成画像20を形成する。なお、撮影画像20(1)''〜20(n)''から画像列を抽出してレンチキュラー合成画像20を形成する工程は、従来公知のレンチキュラー合成画像の形成方法と同様であるためここでは簡単な説明に留める。
【0054】
先ず、
図9に示す例は、n=5の例であり、撮影画像20(1)''〜20(5)''をそれぞれライン状に抽出し、所定順に配列して画像列を形成する。
図9に示す例ではシリンドリカルレンズの対応する位置に表示用画像列として配列される。
具体的には、撮影画像20(1)''から、表示用画像列20(1)''a、20(1)''b、20(1)''c、20(1)''d、20(1)''e、20(1)''fを抽出する。
撮影画像20(2)''から、表示用画像列20(2)''a、20(2)''b、20(2)''c、20(ii)''d、20(2)''e、20(2)''fを抽出する。同様に、撮影画像20(3)''からも表示用画像列20(3)''a〜20(3)''fが抽出され、撮影画像20(4)''からも表示用画像列20(4)''a〜20(4)''fが抽出され、撮影画像20(5)''からも表示用画像列20(5)''a〜20(5)''fが抽出される。
【0055】
そして、抽出された表示用画像列を各シリンドリカルレンズに対応するよう配列させ、レンチキュラー合成画像20(20a、20b、20c、20d、20e、20f)を形成する。
【0056】
図10は、表示用画像列に基づいて形成したレンチキュラー合成画像の一例を示す拡大概略図である。
図11は、レンチキュラー合成画像20(20a、20b、20c、20d、20e、20f)が配置された可変画像表示体100の一例を示す説明図である。
図12は、
図11に示すレンチキュラー合成画像20(20a、20b、20c、20d、20e、20f)を示す概略平面図である。
【0057】
図10乃至
図12に示すように、k番目のシリンドリカルレンズに対応した位置には、撮影画像20(1)''から抽出された表示用画像列20(1)''aと、撮影画像20(2)''から抽出された表示用画像列20(2)''aと、撮影画像20(3)''から抽出された表示用画像列20(3)''aと、撮影画像20(4)''から抽出された表示用画像列20(4)''aと、撮影画像20(5)''から抽出された表示用画像列20(5)''aが配置され、レンチキュラー合成画像20を構成するレンチキュラー画像20aを形成している。
【0058】
また、(k+1)番目のシリンドリカルレンズに対応した位置には、撮影画像20(1)''から抽出された表示用画像列20(1)''bと、撮影画像20(2)''から抽出された表示用画像列20(2)''bと、撮影画像20(3)''から抽出された表示用画像列20(3)''bと、撮影画像20(4)''と、撮影画像20(5)''から抽出された表示用画像列20(5)''bから抽出された表示用画像列20(4)''bが配置され、レンチキュラー合成画像20を構成するレンチキュラー画像20bを形成している。
他のシリンドリカルレンズ下でも同様に画像列が配列され、レンチキュラー画像20a、20b、20c、20d、20e、20fにより、レンチキュラー合成画像20を形成している。
【0059】
このような画像列群によって形成されたレンチキュラー合成画像20をレンズ側(
図11中左側)から観察した場合、観察する角度によって、撮影画像20(1)''〜撮影画像20(5)''の何れかのみが表示され、角度を変えることで見える画像が変わり動画のように見える。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の可変画像表示体100によれば、背景画像の動き量と、移動体の画像である被写体画像の動き量を自在に設定、調節できるので、(1)被写体が動いていることを表現し、かつ、(2)被写体はできるだけシャープに再現し、(3)背景も動いていることを表現し、(4)背景もできるだけシャープに再現、することができる。
【0061】
ところで、被写体画像21は、撮影状態により撮影場所と被写体の距離が変化し、撮影画像20(1)〜20(n)に現れる被写体画像21の其々でサイズが異なる場合がある。被写体画像21のサイズが異なることにより、可変画像表示体100における可変画像表示に与える影響等を考慮して、例えばその影響が大きい場合には、位置調整を行う前に、撮影画像を拡大又は縮小(拡縮)する処理を行ってもよい。
【0062】
以下、n枚の撮影画像に現れる被写体のサイズを同一化する撮影画像の拡縮処理について説明する。
図13は撮影画像の一例を示す説明図である。撮影画像40(1)〜40(3)に現れる被写体画像41のサイズが同一となるよう、撮影画像40(1)〜40(3)を拡大又は縮小(拡縮)する。なお、実際の撮影画像には背景も写っているが、図示を省略している。
【0063】
撮影画像40(1)〜40(3)の拡縮方法は、被写体画像41(又は被写体画像41の一部)のサイズが同一となればどのような方法であってもよい。例えば、撮影画像40(1)〜40(3)のうち、任意の撮影画像に現れる被写体画像41(又は被写体画像41の一部)を基準被写体画像とし、任意の撮影画像以外の他の撮影画像に現れる被写体画像41(又は被写体画像41の一部)が、上記基準被写体画像と同一サイズとなるよう、他の撮影画像を拡縮するよう構成してもよい。
【0064】
特に、被写体画像41(又は被写体画像41の一部)のサイズが最も大きく現れている撮影画像を任意の撮影画像とすることが好ましい。
図14は、基準被写体画像の一例を示す説明図である。
図15は、拡縮後の撮影画像の一例を示す説明図である。
図13の例では、撮影画像40(3)が、被写体画像41が最も大きなサイズで現れている。そのため、撮影画像40(3)中の被写体画像41(又は被写体画像41の一部)を基準被写体画像とし(
図14)、他の撮影画像40(1)、30(2)を拡大した(
図15)。
図14に示す例では、撮影画像40(3)に現れる被写体画像41の一部である「新幹線の先頭車両部分」を基準被写体画像とした。
【0065】
具体的には、
図14に示すように、撮影画像40(3)中の被写体画像41の「新幹線の先頭車両部分」について、レンチキュラーシートに配列されるシリンドリカルレンズの配列方向と同じ方向である第一の方向のサイズX、当該第一の方向に直交する方向である第二の方向のサイズYを測定する。測定結果に基づいて、他の撮影画像40(1)、40(2)中に現れる被写体画像21の「新幹線の先頭車両部分」の第二の方向のサイズがY、第一の方向のサイズがXとなるよう、他の撮影画像40(1)、40(2)を拡大する(
図15)。
なお、本実施形態の例では、第一の方向(
図14中、縦方向)が、撮影画像と重ね合される際のレンチキュラーシートのシリンドリカルレンズの配列方向に相当する。
【0066】
以上の手法により、撮影画像を拡縮し、n枚の撮影画像に現れる被写体のサイズを同一化する。そして、拡縮後の撮影画像40(1)'〜40(3)'について、先に詳述したように位置調整を行い(
図3乃至
図7)、トリミングして(
図8)、レンチキュラー合成画像を得る(
図9乃至
図12)。
【0067】
各撮影画像に現れる被写体画像のサイズを同一化した後にレンチキュラー合成画像を形成することにより、被写体画像を鮮明に違和感なく可変表示することができる。特に、被写体画像が第一の方向へ移動しているような場合には、被写体が電車や車等の移動体であっても、被写体の大きさが伸びたり縮んだり変化するように見えることを防いで、違和感のない可変画像を表示できる。撮影画像に現れる被写体画像を使用するので、撮影画像毎に被写体画像に変化がある場合にも、この変化を逃すことなく表現できる。
【0068】
上述した手法では、撮影画像40(1)〜40(3)中の被写体画像41(又は被写体画像41の一部)の第一の方向のサイズX、当該第一の方向に直交する方向である第二の方向のサイズYを測定し、この測定結果に基づいて撮影画像40(1)〜40(3)を拡縮したが、撮影条件から拡縮率を算出してもよい。
【0069】
例えば、撮影画像が、上記実施形態の如く移動体を連続して撮影した撮影画像である場合について説明する。すなわち、移動体Aと撮影地点Cが最も近付いたときの直線距離をX1とし、この際に撮影された撮影画像を上記一の画像とする。そして、上記他の画像が撮影された際の移動体Aと撮影地点Cの直線距離X2と上記直線距離X1とが成す角をθ1とする。そして、移動体Aの移動方向のサイズA1がわかれば、これら直線距離X1、成す角θ1、サイズA1を撮影パラメータとし、当該撮影パラメータに基づいて、上記他の画像の拡縮率を算出することができる。
【0070】
図16は、撮影パラメータに基づいて算出される拡縮率の算出方法の一例を示す説明図である。
移動体Aの移動方向のサイズをA1、移動体Aが撮影地点Cと最も近付いた地点をPointP(1)、地点PointP(1)で移動体Aを撮影した際の移動体Aと撮影地点Cの直線距離をX1、移動体Aが地点PointP(2)で撮影された際の移動体Aと撮影地点Cの直線距離をX2、直線X1と直線X2との成す角をθ1とする。
【0071】
予め移動体AのサイズA1、移動体Aが撮影地点Cと最も近付いた地点PointP(1)の直線X1、直線X1と直線X2との成す角θ1を取得しておく。そして、これら既知の撮影パラメータであるサイズA1、直線X1、角θ1に基づいて、地点PointP(1)で撮影した際の撮影画像を一の撮影画像とし、地点PointP(2)で撮影した際の撮影画像を他の撮影画像として、当該他の画像を拡縮する際の拡縮率を求めることができる。
【0072】
具体的には、地点PointP(2)で撮影した際の撮影画像(他の画像)を第一の方向に下記の式1で得られる第一の拡縮率で拡縮し、かつ、第一の方向に直交する第二の方向に下記の式2で得られる第二の拡縮率で拡縮する。第一の方向は、移動体Aの移動方向に直交する方向であり、第二の方向は、移動体Aの移動方向である。
【数1】
【0073】
なお、本実施形態の例では、第二の方向が移動体の移動方向である(
図16中、横方向)。そして、第二の方向に直交する第一の方向(
図16中、縦方向)が、撮影画像と重ね合される際のレンチキュラーシートのシリンドリカルレンズの配列方向に相当する。
【0074】
以上説明したように、撮影パラメータとして、移動体AのサイズA1、移動体Aが撮影地点Cと最も近付いた地点PointP(1)の直線X1、直線X1と直線X2との成す角θ1をあらかじめ計測して取得しておき、これらの撮影パラメータを用いて他の撮影画像の拡縮率を得ることができる。
【0075】
得られた拡縮率により他の撮影画像を拡縮し、上述した手法により被写体画像(ここでは移動体Aの像)で位置調節をして重ね合わせ、トリミングを行ない、レンチキュラー合成画像を得る。各撮影画像に現れる被写体画像のサイズを同一化した後にレンチキュラー合成画像を形成することができ、被写体が電車や車等の移動体であっても、被写体のサイズの変化がなく、違和感のない可変画像を表示できる。撮影画像に現れる被写体画像を使用するので、撮影画像毎に被写体画像に変化がある場合にも、この変化を逃すことなく表現できる。
【0076】
上述した実施形態では、レンチキュラーシートを使用した可変画像表示体及びレンチキュラー合成画像の形成を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ドットレンズと作用して立体視可能な可変画像を表示するインテグラルフォトグラフィ方式による可変画像表示体に対しても適用することができる。インテグラルフォトグラフィ方式による可変画像表示体は、複数のドットレンズが第一の方向及び当該第一の方向と直交する第二の方向に配列されたドットレンズシートと、ドットレンズの表面とは反対側の面に配置された合成画像を有するよう構成される。
【0077】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、(1)被写体が動いていることを表現し、かつ、(2)被写体はできるだけシャープに再現し、(3)背景も動いていることを表現し、(4)背景もできるだけシャープに再現できる可変画像表示体及び合成画像形成方法に対し、広く適用することができる。
【解決手段】 複数のレンズが第一の方向に配列されたレンズシート10と、前記レンズの表面とは反対側の面に配置された合成画像20を有する可変画像表示体100において、合成画像は、n枚の撮影画像のうち最初の撮影画像に第一基準ラインLa、第二基準ラインLb、第三基準ラインLe、位置合わせ基準ラインを定義し、前記n枚の撮影画像を重ね合わせてトリミングする際、m枚目の撮影画像に現れる被写体画像の基準部位が、最初の撮影画像の前記m番目(ただし、mは、0<m≦nである自然数)の位置合わせ基準ライン上となるよう位置調整して重ね合わせて、被写体画像を含む領域をトリミングしてそれぞれからライン状に抽出し配列された画像列により構成される。